JP3789085B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関し、詳しくは、特定の構造を有する添加剤および特定の電荷発生物質を含有する電荷発生層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真感光体に用いられる材料として、有機光導電物質が、その無公害性や高生産性といった利点を有するため広く利用されている。これらの電子写真感光体は、電気的および機械的特性の双方を満足するために電荷発生層と電荷輸送層を積層した機能分離型の感光体として利用される場合が多い。
【0003】
一方、当然のことながら、電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度や電気的特性、さらには光学的特性を備えていることが要求される。
【0004】
電子写真感光体の感度は、電荷発生効率、電荷注入効率、電荷移動度に支配される。そこで、感度の向上を目的として電荷発生効率の高い電荷発生物質、および電荷移動度の大きい電荷輸送物質、さらには電荷注入効率の高い電荷発生物質と電荷輸送物質の組み合わせ(マッチング)などの開発が盛んに行われている。
【0005】
例えば、電荷発生効率が比較的高いフタロシアニン顔料やアゾ顔料が頻繁に使用されているが、無機電荷発生物質の電荷発生効率がほぼ100%であるのに対して、有機電荷発生物質では30〜40%である。そこで電荷発生効率を上げる目的で様々な試みが行われている。その1つとしてアクセプター性化合物の添加があり、例えば、特公昭53−89434号公報に記載されているように、多環芳香族ニトロ化合物を添加剤として使用したり、あるいは特開平3−163559号公報では感光層にフタル酸またはその誘導体、特開平8−320581号公報では特定の脂肪酸エステルを添加したりすることで、光感度を向上させることが提案されている。しかしながら、電荷発生効率の向上はみられるものの、このような系は耐久による膜厚変化で、電界強度が変化し、それに伴い電位変動が大きくなる。また環境安定性が低下するなどの欠点を有していた。
【0006】
またフタロシアニン顔料は、有機顔料の中では特に電荷発生量子収率が大きいが、低電場域では発生するキャリア数が多いため、これらが空間電荷となり光電流が空間電荷制限電流となるため、事実上、感度の低下や、残留電位の上昇につながるなどの問題も抱えている。
【0007】
電荷移動度に関しても比較的高移動度であるトリフェニルアミン化合物などが挙げられるが、近年のプロセススピードの増加でより高感度の電荷輸送物質が強く要求されている。また高感度化のために電荷輸送物質などの低分子量成分が比較的大量に添加される場合が多いが、電子写真感光体の機械的強度が低下してしまう。
【0008】
電荷注入効率に関しては高電場域では高くても50%、低電場域では10%以下であり、これを高くすることにより、さらに一層の高感度化が可能と考えられる。一般に、電荷注入効率を向上させるためには、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルを電荷発生物質のそれよりも小さくして、エネルギー障壁を無くす必要がある。あるいは、機能分離型の場合、電荷発生層と電荷輸送層の密着性、接着性を向上させる必要がある。これらはフォトメモリーの向上にもつながる。すなわち、電荷発生層と電荷輸送層の界面の電気化学的不完全さを取り除くことで、界面電荷の蓄積によるメモリーを減少させることができる。特開平7−199502号公報では電荷輸送層に特定の飽和脂肪族鎖を有する化合物を添加する、特開平7−271067号公報ではジフェノキノン誘導体、クマレート誘導体およびフタルイミド誘導体を添加する、特開平2000−275880号公報ではベンゾフェノン誘導体、フタル酸誘導体、ジフェニルエーテル誘導体、トリフェニルアルカン化合物および脂肪族二塩基酸エステルを添加することで、感度が向上する、あるいは長期にわたり帯電が安定するとある。しかし、化合物を添加することによる感度の良化度合いは小さく、環境安定性、フォトメモリーの向上が不充分である。
【0009】
このように、有機感光体の高感度化、耐久性、環境安定性の向上には多くの問題が残されており、これらを改良した高性能感光体が当該技術分野で強く要請されているのが実情である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、良好な感度、繰り返し安定性、環境安定性を持つ電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、支持体上に電荷発生物質を含有する電荷発生層および電荷輸送物質を含有する電荷輸送層からなる感光層を有する電子写真感光体において、該電荷発生層が少なくとも下記式(1)で示される添加剤を含有し、該電荷発生物質がオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンおよびクロロガリウムフタロシアニンからなる群より選択される電荷発生物質であり、該添加剤の該電荷発生物質に対する含有量が質量比で20%以上150%以下であることを特徴とする電子写真感光体。
【0012】
【外7】
【0013】
上記式(1)で示される構造は非環状構造であり、R1、R2はそれぞれ置換されてもよいアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基からなる群より選択される基を示し、W1、W2はそれぞれ水素原子、シロキサン基、オキシアルキル基、オキシアリール基、下記式(2)で示される構造を有する基および下記式(3)で示される構造を有する基からなる群より選択される基を示す。式中aは1以上10以下の整数である。aが2以上のとき、R2はそれぞれ異なってもよい。
【0014】
【外8】
【0015】
【外9】
【0016】
上記式(2)中、Xは単結合または−O−を示す。R3は水素原子またはメチル基を示し、bは0または1を示す。ただし、b=0のときR3はメチル基を示す。
【0017】
上記式(3)中、R4、R5はそれぞれ置換されてもよいアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基からなる群より選択される基を示し、R4、R5の置換基は上記式(3)で示される構造を有する基、水素原子、アルキル基およびアリール基からなる群より選択される基を示す。Yは上記式(2)で示される構造を有する基である。cは0以上9以下の整数である。ただし、a+cは1以上10以下である。cが2以上のとき、R5はそれぞれ異なってもよい。
【0018】
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明によると、電荷発生層中に少なくとも式(1)で示される構造を有する添加剤と、電荷発生物質としてオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンまたはクロロガリウムフタロシアニンを含有することで低電場域の電気特性が大きく向上することが明らかとなり、よって感度、残留電位の電界依存性が小さくなる。すなわち、低残留電位、低フォトメモリー、繰り返し特性あるいは環境電位安定性が大きく向上する。さらに、電気特性が向上する分、電荷輸送物質の量を減らし、表面の膜強度を高めることができ、さらに電荷輸送層、電荷発生層の薄膜化が可能であり、画質が向上するという効果も有する。
【0020】
これらの理由が例えば電荷発生層に添加剤を含有する場合、添加剤とフタロシアニン群との相互作用で、電荷発生効率及び電荷輸送層への電荷注入効率が増加するからであると推測している。
【0021】
なお、添加剤の構造に関しては本発明による添加剤以外の、例えば、カルボニル基間が飽和脂肪族あるいは芳香族であっても本発明で得られる効果はなく、本発明の添加剤が特異的に電気特性を大きく向上させる。
【0022】
以下、本発明の添加剤の詳細を説明する。
【0023】
上記式(1)中のW1、W2は水素原子、シロキサン基、オキシアルキル基、オキシアリール基、上記式(2)で示される構造を有する基または上記式(3)で示される構造を有する基であるが、上記特性をより向上させるためには、その中でも、オキシアルキル基、オキシアリール基、上記式(2)で示される構造を有する基または上記式(3)で示される構造を有する基であることが好ましく、その中でもさらに、上記式(2)で示される構造を有する基または上記式(3)で示される構造を有する基であることが、適度な分子量を有することから成膜時の乾燥による揮発を防ぐメリットも有するため、より好ましい。
【0024】
また、上記式(1)中のR1、R2の置換基の中で、W1、W2以外の置換基としては、水素原子、シロキサン基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、オキシアルキル基、オキシアリール基またはハロゲン原子が挙げられるが、この中では、水素原子またはアルキル基が好ましい。
【0025】
また、上記式(1)中のaは1以上10以下の整数を示し、上記式(3)中のcは0以上9以下の整数を示し、aとcの和は1以上10以下であるが、それぞれ1以上5以下の整数であることが、顔料との相互作用がより大きくなるため好ましく、さらにはそれぞれ1または2であることが好ましい。
【0026】
また、上記式(2)中のXは単結合または−O−であるが、好ましくは−O−であり、上記特性の向上効果がより大きくなる。
【0027】
上記式(1)で示される構造を有する添加剤が上記式(2)で示される構造を有する基を有する場合、特にフォトメモリーが向上する。
【0028】
上記式(3)中のR4の置換基は、式(3)で示される構造を有する基、水素原子または置換されてもよいアルキル基が、上記特性の向上効果がより大きくなるため好ましく、その中でも、式(3)で示される構造を有する基または水素原子がより好ましい。上記アルキル基の置換基は、式(3)で示される構造を有する基でもよい。
【0029】
また、上記式(1)で示される構造を有する添加剤が、下記式(4)で示される構造を有する基、下記式(5)で示される構造を有する基または(6)で示される基を有することが、より結着樹脂との相溶性が高くなり、また顔料との相互作用も大きくなり、より安定した高感度、低残留電位、低フォトメモリーを実現することができるため好ましく、その中でも、下記式(4)で示される構造を有する基または下記式(5)で示される構造を有する基を有することがより好ましい。
【0030】
【外10】
【0031】
【外11】
【0032】
【外12】
【0033】
また、上記式(1)中のW1、W2が上記式(2)で示される構造を有する基または上記式(3)で示される構造を有する基である添加剤を用いた場合、その添加剤を含有する層を作製するための乾燥温度が125℃を超えると、上記特性の向上の度合いが低下する。この理由として、乾燥温度が高いと、上記式(2)で示される構造を有する基または上記式(3)で示される構造を有する基が重合反応してしまい、モノマーとして存在しなくなることが挙げられる。
【0034】
上記式(1)で示される構造を有する添加剤の具体例を表1に示すが、これらに限定されるものではない。また、添加剤を2種以上混合してもよい。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
この中でも、(1−1)、(1−3)、(1−5)、(1−6)、(1−11)、(1−12)、(1−14)および(1−15)が、優れた電気特性および膜強度の両立を可能にするため好ましく、さらに、(1−5)、(1−6)、(1−14)、(1−12)および(1−15)がより好ましい。
【0040】
次に本発明の添加剤の合成法について、添加剤(1−1)を例に説明する。
【0041】
フマル酸エステルをアルコールであるCH3−CH(Cl)−CH2−OHと触媒存在下、公知のエステル交換法で合成できる。この場合、アルコールをエステル基1個に対して1〜10倍モル量を用いる。その他の合成法としてはフマル酸とエーテルであるCH3−CH(Cl)−CH2−O−Clとの縮合が挙げられる。
【0042】
なお、ここで使用される溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミドや、塩基性のピリジン類、ピコリン、コリジンなどが挙げられる。
【0043】
次に、添加剤の含有量について説明する。
【0044】
感光層が、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに機能分離した層構成(積層型)の場合であって、そのうち、電荷発生層に本発明の添加剤を含有させる場合、電荷発生物質に対して添加剤を質量比で20%以上150%以下含有させ、また、50%以上150以下含有させることがより好ましい。20%より少ないと本発明の効果が得られにくく、150%より多いと膜界面における密着性が低下し、剥がれやすくなることがある。
【0045】
次に、電荷発生物質について説明する。
【0046】
本発明においては、電荷発生物質としてフタロシアニン顔料である、オキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンまたはクロロガリウムフタロシアニンが用いられる。これらの顔料と組み合わせることで、特性の向上はもちろんのことより電位の環境変動量が抑えられる。
【0047】
上記オキシチタニウムフタロシアニンの中では、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θの24.0°±0.2°および27.2°±0.2°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニンが好ましく、その中でも、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°、27.3°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニン、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°、27.1°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニンがより好ましく、さらにその中でも、後者のCuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°、27.1°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニンがより好ましい。
【0048】
上記ヒドロキシガリウムフタロシアニンの中では、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°が6.8°および26.2°に強いピークを有する結晶型のヒドロキシガリウムフタロシアニン、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の6.9°、13.3°、16.5°および26.7°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニンが、分散安定性に優れ、添加剤との組み合わせによる特性向上の度合いがより大きいため好ましく、その中でも、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニンが好ましい。
【0049】
上記クロロガリウムフタロシアニンの中では、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の8.7°〜9.2°、17.5°、24.0°、27.4°および28.7°に強いピ−クを有する結晶型のクロロガリウムフタロシアニン、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°、16.6°、25.5°および28.2°に強いピークを有する結晶形のクロロガリウムフタロシアニンが好ましく、その中でも、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°、16.6°、25.5°および28.2°に強いピークを有する結晶形のクロロガリウムフタロシアニンが好ましい。
【0050】
また、これら上記フタロシアニン顔料の中でも、ヒドロキシガリウムフタロシアニンおよびクロロガリウムフタロシアニンが好ましい。
【0051】
なお、耐久電位変動、環境電位安定性、フォトメモリー、画像安定性などを損なうことがなければ、上記フタロシアニン顔料と他の顔料とを組み合わせて用いてもよい。他の顔料としては、他のフタロシアニン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料などが挙げられ、含有量は本発明で用いる上記フタロシアニン顔料に対して質量比で90%以下であればよい。
【0052】
以下、本発明に用いる電子写真感光体の構成について説明する。
【0053】
本発明における電子写真感光体は、電荷輸送層と電荷発生層に分離した機能分離型である。また表面層として感光層を保護するための層、すなわち、保護層を設けてもよい。
【0054】
電子写真感光体製造工程において、使用する溶剤としてはクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、単独で用いても複数の溶剤を用いてもよい。
【0055】
本発明で用いる支持体としては、導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、ステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成型したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したものなどが挙げられる。
【0056】
LBPなど画像入力がレーザー光の場合は散乱による干渉縞防止、または基盤の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。これはカーボンブラック、金属粒子などの導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
【0057】
その上に接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層の材料としてはポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン、ポリエーテルウレタンなどが挙げられる。これらは適当な溶剤に溶解して塗布される。中間層の膜厚は0.05〜5μmが好ましく、0.3〜1μmがより好ましい。
【0058】
支持体、導電層または中間層の上には電荷発生層が形成される。機能分離型の場合、電荷発生層は電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着剤樹脂および溶剤とともにホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルおよび液衝突型高速分散機などの方法でよく分散し、分散液を塗布、乾燥させて形成される。電荷発生層の膜厚は5μm以下が好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。なお、本発明の添加剤は電荷発生用塗工液作製時ならどの過程でも添加してよく、好ましくは分散後に添加することがよく、より分散安定性が向上する。
【0059】
続いて電荷輸送層であるが、電荷輸送物質は熱可塑性樹脂に対して30質量%〜200質量%が好ましい。また、電荷輸送層の膜厚は5〜40μmが好ましく、15〜30μmがより好ましい。
【0060】
熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリビニルブチラ−ル樹脂、ベンザール樹脂などが挙げられる。
【0061】
電荷輸送物質としては、正孔輸送物質としてアミン化合物の他に、例えばピレン、アントラセンなどの多環芳香族化合物、カルバゾール系、インドール系、オキサゾール系、チアゾール系、オキサジアゾール系、ピラゾール系、ピラゾリン系、チアジアゾール系、トリアゾール系化合物などの複素環化合物、ヒドラゾン系化合物、トリアリールメタン系化合物、スチルベン系化合物が挙げられる。
【0062】
電子輸送材としては2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、クロラニル、テトラシアノキノジメタンおよびアルキル置換ジフェノキノンなどの電子受容性物質が挙げられる。
【0063】
本発明においては、電荷輸送物質としては、トリフェニルアミン系、ベンジジン系が本発明で使用する顔料とのマッチングが良好で、かつ添加剤との相溶性がよいため好ましい。
【0064】
また、電荷輸送層中に酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤を必要に応じて添加することもできる。
【0065】
電荷輸送層が表面層の場合、必要に応じて潤滑材や微粒子を使用してもよい。また第1電荷輸送層、第2電荷輸送層なる複層を形成し、電子写真特性と膜強度の両立をはかってもよい。
【0066】
次に感光層を保護する層が表面層である場合、高分子量の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂の使用が好ましく、そのような樹脂としては、高分子量ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。また、残留電位の低減あるいは膜強度の向上を目的として導電性微粒子や潤滑材、電荷輸送物質を含有させてもよい。
【0067】
保護層の成膜方法は、熱、光あるいは電子線での硬化が可能であり、必要に応じて重合開始剤や酸化防止剤を含有してもよい。
【0068】
続いて、本発明で使用する分析装置について説明する。
【0069】
粉末X線回折の測定にはCuKα線を用い、次の条件で行った。
使用測定機:マック・サイエンス社製、全自動X線回折装置MXP18
X線管球:Cu
管電圧:50KV
管電流:300mA
スキャン方法:2θ/θスキャン
スキャン速度:2deg./min
サンプリング間隔:0.020deg.
スタート角度(2θ):5deg.
ストップ角度(2θ):40deg.
ダイバージェンススリット:0.5deg.
スキャッタリングスリット:0.5deg.
レシービングスリット:0.3deg.
湾曲モノクロメーター使用
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。
【0070】
図1において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)からの露光光4を受ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0071】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体1の回転と同期取りされて給送された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。
【0072】
像転写を受けた転写材7は、感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0073】
像転写後の感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0074】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9などの構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9の少なくとも1つを感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化し、装置本体のレール12などの案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0075】
また、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号にしたがって行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動および液晶シャッターアレイの駆動などにより照射される光である。
【0076】
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンターおよびレーザー製版など電子写真応用分野にも広く用いることができる。
【0077】
以下、実施例にしたがって本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中「部」は質量部を示す。
【0078】
【実施例】
〔実施例1〕
直径30mm×長さ260.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体とし、それに、以下の材料より構成される塗料を支持体上に浸漬コーティング法で塗布し140℃で30分熱硬化して15μmの導電層を形成した。
導電性顔料:SnO2 コート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール、メトキシプロパノール0.2/0.8 20部
次に、この上にN−メトキシメチル化ナイロン3部および共重合ナイロン3部をメタノール65部およびn−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸漬コーティング法で塗布し100℃で10分乾燥し0.5μmの中間層を形成した。
【0079】
次に、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°、27.1°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニン4部をシクロヘキサノン95部にブチラール樹脂(ブチラール化度63モル%、重量平均分子量100,000)2部を溶かした液に加え、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で温度21±3℃の雰囲気下で20時間分散した。その後、酢酸エチル60部を加えて、さらにその分散液に添加剤(1−2)6部添加し、攪拌して電荷発生層用分散液を調製した。前記中間層上に浸漬塗布後、90℃で10分乾燥し0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0080】
次に、下記式で示される繰り返し単位を有するポリアリレート樹脂(PAR−C:Mw80000)40部
【0081】
【外13】
【0082】
をモノクロロベンゼン150部、ジクロロメタン60部に混合、溶解させた後、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質40部
【0083】
【外14】
【0084】
を加え溶解させ電荷輸送層用塗料とし、前記電荷発生層上に浸漬塗布後、120℃で1時間乾燥し、膜厚17μmの電荷輸送層を設け電子写真感光体とした。なお本発明の添加剤を含有する層の組成一覧表は表2に示す。
【0085】
次に、評価について説明する。
【0086】
(初期特性評価)
・評価機
レーザージェット4000(ヒューレットパッカード社製)
プロセススピード:94.2mm/sec
レーザー光量:0.15μJ/cm2(像露光装置に可変抵抗を設け、印加電圧を調整した。)
帯電:AC/DC帯電(高圧電源基板に改造を施し、外部電源を用いた。周波数1kHz、ピーク間電圧1kV)
得られた電子写真感光体を上記評価機に装着し、温度23℃、湿度50%RHの常温常湿環境(N/N)下で暗部電位Vd=−550Vに設定し、明部電位Vlおよび残留電位Vrを測定した。Vdに関してはより帯電能を評価しやすい暗減衰量を見た。すなわち、Vdを測定した直後に印加電圧およびドラム回転を切り、10秒間放置した後のVdを評価し、差をとって評価した。なお感光体の電子写真特性を測定するため現像位置にプローブを取り付けた電位測定冶具を用いて測定した。
【0087】
暗減衰は絶対値が小さいほど帯電能が良い事を示し、明部電位Vl、Vrは小さいほど特性が良いことを示す。
【0088】
(耐久評価)
N/Nで4,000枚の通紙耐久試験を行い、4,000枚後のVlを測定し、初期と耐久後の電位変動量を評価した。
Vl電位変動量=通紙耐久後のVl電位−初期Vl電位
0〜30V・・・◎
31〜60V・・・○
61〜90V・・・△
91V以上・・・×
【0089】
なお、耐久通紙画像はA4で、印字率4%の格子パターンとした。また、シーケンスは連続プリントモードとした。トナーがなくなったならば補給した。
【0090】
(画像評価)
ドラム一回転目、A41枚中に2×3のべた黒画像6個を印字し、2回転目以降、ハーフトーン画像を印字させ、ハーフトーン画像上に残っている2×3のべた黒画像の残像(ゴースト)の有無を評価した。
ハーフトーン上にほとんど見えない・・◎
ぼんやり見える・・○
薄いがくっきり見える・・△
濃いベタ黒画像が見える・・×
(フォトメモリーの評価)
耐久後の電子写真感光体の一部に3000lux20分間の白色蛍光灯の光をあて4分間放置後明部電位を測定し光を当てる前から明部電位がどれだけ下がったかを測定しフォトメモリー値とした。
0〜10Vの変化量は・・◎
11〜20Vの変化量・・○
21〜30Vの変化量・・△
31V以上の変化量・・×
【0091】
〔実施例2〜4〕
実施例1において、添加剤をそれぞれ表2のように代えた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0092】
〔比較例1〕
実施例1における電荷発生層中の添加剤を除いた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0093】
なお、塗工スピードは実施例1と同様なので、電荷発生層用塗工液の固形分が低下した分、膜厚は減少し0.15μmであった。しかし、電荷発生層中の電荷発生物質の量は実施例1と同様である。以下、特に記述していない限り、電荷発生層中の電荷発生物質の量は実施例1と同様である。
【0094】
〔比較例2〕
実施例1における電荷発生層中の添加剤を下記式で示される構造を有する比較添加剤2に代えた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0095】
(比較添加剤2)
【外15】
【0096】
〔実施例5〜7〕
実施例1における電荷発生層を以下に代えた。
【0097】
すなわち、実施例1において用いた電荷発生物質をCuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニンに代え、その分散液に添加剤を6部添加し、攪拌した液を浸漬法で塗布し90℃で10分乾燥し0.3μmの電荷発生層を形成した。それ以外は実施例1と同様であり、添加剤は表2のとおりである。
【0098】
〔実施例8、9〕
実施例6における電荷発生層用分散液に添加する添加剤の量を1部(25%)、3部(75%)とした以外は、実施例6と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0099】
〔実施例10〕
実施例6における電荷発生層の膜厚を0.15μmとなるよう塗工スピードを調節し、膜中の電荷発生物質の量を1/2にした以外は、実施例6と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0100】
〔比較例3〕
実施例5における電荷発生層中の添加剤を除いた以外は、実施例5と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0101】
〔比較例4〕
実施例5における電荷発生層用分散液に添加する添加剤の量を7部(175%)とした以外は、実施例5と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0102】
〔実施例11〕
実施例1における電荷発生層を以下に代えた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0103】
すなわち、実施例5の電荷発生層用分散液80部と下記式で示される構造を有する電荷発生物質を含有する分散液40部とを混合して、添加剤を含有させた。具体的には、下記式で示される構造を有する比較電荷発生物質2を4部とテトラヒドロフラン86部、直径1mmのガラスビ−ズ150mlを入れ、ペイントシェ−カ−で7時間分散した。次いで、ポリビニルベンザ−ル(ベンザ−ル化度80モル%)のテトラヒドロフラン10%溶液20部を加え、さらに4時間分散し、テトラヒドロフラン40部を加え、電荷発生層用分散液とし、混合した後、添加剤1−6を4.5部添加し、攪拌した液を浸漬法で塗布し90℃で10分乾燥し0.4μmの電荷発生層を形成した。
【0104】
(比較電荷発生物質2)
【外16】
【0105】
〔比較例5〕
実施例11における電荷発生層中の添加剤を除いた以外は、実施例11と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0106】
〔実施例12〕
実施例1における電荷発生層を以下に代えた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0107】
すなわち、実施例1において用いた電荷発生物質をCuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°、16.6°、25.5°および28.2°に強いピ−クを有する結晶形のクロロガリウムフタロシアニンに代え、その分散液に添加剤1−6を6部添加し、攪拌した液を浸漬法で塗布し90℃で10分乾燥し0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0108】
〔比較例6〕
実施例12における電荷発生層中の添加剤を除いた以外は、実施例12と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0109】
[実施例13]
実施例1における電荷発生層を以下に代えた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0110】
すなわち、実施例1において用いた電荷発生物質をCuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°が7.6°、10.2°、22.3°、16.8°、25.3°、28.6°に強いピークを有する結晶形を有するオキシチタニウムフタロシアニンに代え、その分散液に添加剤1−6を6部添加し、攪拌した液を浸漬法で塗布し90℃で10分乾燥し0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0111】
[比較例7]
実施例13における添加剤1−6を除いた以外は、実施例13と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0112】
[比較例8]
実施例1における電荷発生層を以下に代えた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0113】
すなわち、実施例1において用いた電荷発生物質をCuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°が7.0°、9.2°、12.5°、16.8°、18.6°、21.3°、23.8°、26.2°、28.0°、30.5°に強いピークを有する結晶形の銅フタロシアニンに代え、その分散液に添加剤1−6を6部添加し、攪拌した液を浸漬法で塗布し90℃で10分乾燥し0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0114】
[比較例9]
比較例8における添加剤1−6を除いた以外は、比較例8と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0115】
以下、表2に実施例1〜13および比較例1〜9の電子写真感光体の電荷発生物質および添加剤の一覧を示し、表3に実施例1〜13および比較例1〜9の評価結果を示す。
【0116】
【表5】
【0117】
【表6】
【0118】
表3から以下のようにまとめられる。
【0119】
実施例1〜4、比較例1、2から、オキシチタニウムフタロシアニンを含有する電荷発生層に添加剤を含有することで特性の向上度合いが大きいことがわかる。
【0120】
実施例5〜10、比較例3、4から、ヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有する電荷発生層に添加剤を含有するとさらに特性の向上が大きい。また、添加量が多いと、本発明の効果の度合いが低下することがわかる。
【0121】
実施例11、比較例5から、電荷発生層にアゾ顔料および添加剤を含有させても、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの存在で、特性の良化効果が見られる。かつ、電位変動、画像、フォトメモリーが良化する。
【0122】
実施例12、比較例6から、クロロガリウムフタロシアニンと添加剤との組み合わせでも電子写真特性が優れることがわかる。
【0123】
実施例13、比較例7から、実施例1で用いたオキシチタニウムフタロシアニンと異なる結晶型のオキシチタニウムフタロシアニンと添加剤の組み合わせでも電子写真特性が優れることがわかる。
【0124】
比較例8、比較例9から、銅フタロシアニンと添加剤とを組み合わせても電子写真特性の良化が小さいことがわかる。
【0125】
[実施例14、15]
実施例6において、評価環境をそれぞれ、温度15℃、湿度10%RH(L/L)、温度30℃、湿度80%RH(H/H)に変更した以外は、実施例6と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0126】
[比較例10、11]
比較例3において、評価環境をそれぞれ、温度15℃、湿度10%RH(L/L)、温度30℃、湿度80%RH(H/H)に変更した以外は、比較例3と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0127】
以下、表4に実施例14、15および比較例10、11の評価結果を示す。
【0128】
【表7】
【0129】
表3、4から、比較例は環境間での電位変動が大きいが、実施例は電位変動が小さいことがわかる。
【0130】
[実施例16]
実施例6において用いた電子写真感光体と同様の電子写真感光体を用いて、以下に挙げる点以外は、実施例6と同様に評価した。
・評価機
LBP−SX(キヤノン(株)製)
帯電方式:コロナ放電
プロセススピード:47(mm/sec)
暗部電位:−600V
明部電位:Vl=−150V(実施例10のVlが−150Vとなるレ−ザ−光量に設定)
なお、感光体の電子写真特性を測定するため現像位置にプローブを取り付けた電位測定冶具を用いて測定した。
また、耐久枚数は4,000枚に変更した。
【0131】
[比較例12]
比較例3において用いた電子写真感光体を用いた以外は、実施例14と同様に評価した。
【0132】
なお、レーザー光量は、波長802nmのレーザー光を照射した時に実施例14の電子写真感光体の明部電位Vlが−150Vとなる光量である、すなわち、実施例14と同じ光量である。
【0133】
[実施例17]
実施例6において、支持体を直径30mm×長さ357.5mmのアルミニウムシリンダーに代えた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例6において、以下に挙げる点以外は実施例6と同様に評価した。
・評価機
NP−6030(普通紙複写機)(キヤノン(株)製)
帯電方式:直流電圧印加(DC帯電)
プロセススピード:200(mm/sec)
暗部電位:−750V
明部電位:Vl=−200V(実施例10のVlが−200Vとなるレ−ザ−光量に設定)
なお感光体の電子写真特性を測定するため現像位置にプローブを取り付けた電位測定冶具を用いて測定した。
また耐久枚数は20,000枚に変更した。
【0134】
[比較例13]
比較例3において、支持体を直径30mm×357.5mmのアルミニウムシリンダーに代えた以外は、実施例14と同様に電子写真感光体を作製し、実施例15と同様に評価した。
【0135】
なおレーザー光量は、実施例15の電子写真感光体の明部電位Vlが−200Vとなる光量である、すなわち、実施例15と同じ光量である。
【0136】
以下、表5に実施例16、17および比較例12、13の評価結果を示す。
【0137】
【表8】
【0138】
表5より、実施例の電子写真感光体の特性は良好で、電位変動量も小さく、画像に関してもゴースト現象は見られないことがわかる。
【0139】
【発明の効果】
以上のように、導電性支持体上に、電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層を有する電子写真感光体において、電荷発生層に本発明の添加剤を含有することにより、高感度、低残留電位を示すとともに、繰り返し使用によっても特性の変動が少なく、フォトメモリーも良好となる。さらに、画像安定性、環境安定性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを用いる電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ容器
12 案内手段
Claims (14)
- 支持体上に電荷発生物質を含有する電荷発生層および電荷輸送物質を含有する電荷輸送層からなる感光層を有する電子写真感光体において、該電荷発生層が少なくとも下記式(1)で示される添加剤を含有し、該電荷発生物質がオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンおよびクロロガリウムフタロシアニンからなる群より選択される電荷発生物質であり、該添加剤の該電荷発生物質に対する含有量が質量比で20%以上150%以下であることを特徴とする電子写真感光体。
【外1】
(式(1)で示される構造は非環状構造であり、R1、R2はそれぞれ置換されてもよいアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基からなる群より選択される基を示し、W1、W2はそれぞれ水素原子、シロキサン基、オキシアルキル基、オキシアリール基、下記式(2)で示される構造を有する基および下記式(3)で示される構造を有する基からなる群より選択される基を示す。aは1以上10以下の整数である。aが2以上のとき、R2はそれぞれ異なってもよい。
【外2】
【外3】
式(2)中、Xは単結合または−O−を示す。R3は水素原子またはメチル基を示し、bは0または1を示す。ただし、b=0のときR3はメチル基を示す。
式(3)中、R4、R5はそれぞれ置換されてもよいアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基からなる群より選択される基を示し、R4、R5の置換基は上記式(3)で示される構造を有する基、水素原子、アルキル基およびアリール基からなる群より選択される基を示す。Yは上記式(2)で示される構造を有する基である。cは0以上9以下の整数である。ただし、a+cは1以上10以下である。cが2以上のとき、R5はそれぞれ異なってもよい。) - 前記式(1)のW1、W2がそれぞれオキシアルキル基、オキシアリール基、前記式(2)で示される構造を有する基および前記式(3)で示される構造を有する基からなる群より選択される基である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記式(1)のW1、W2がそれぞれ前記式(2)で示される構造を有する基または前記式(3)で示される構造を有する基である請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生層を作製するための乾燥温度が125℃以下である請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生物質がオキシチタニウムフタロシアニンである請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記オキシチタニウムフタロシアニンが、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θの24.0°±0.2°および27.2°±0.2°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニンである請求項6に記載の電子写真感光体。
- 前記オキシチタニウムフタロシアニンが、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°、27.1°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニンである請求項7に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生物質がヒドロキシガリウムフタロシアニンである請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンが、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニンである請求項9に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生物質がクロロガリウムフタロシアニンである請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記クロロガリウムフタロシアニンが、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°、16.6°、25.5°および28.2°に強いピークを有する結晶形のクロロガリウムフタロシアニンである請求項11に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段およびクリーニング手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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