JP3809351B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関し、詳しくは、表面層が特定の構造のモノマーと特定の粒径の微粒子とを含有する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真感光体に用いられる材料として、有機光導電物質が、その無公害性や高生産性といった利点を有するため広く利用されている。これらの電子写真感光体は、電気的および機械的特性の双方を満足するために電荷発生層と電荷輸送層を積層した機能分離型の感光体として利用される場合が多い。
【0003】
一方、当然のことながら、電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度や電気的特性、さらには光学的特性を備えていることが要求される。
【0004】
特に、繰り返し使用される感光体の表面層には、帯電、露光、トナー現像、紙への転写およびクリーニングといった様々な電気的および機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が要求される。具体的には、感度の低下、帯電能の低下および残留電位の増加、さらには表面の摩耗や傷などに対する耐久性が要求される。加えて、トナー像の転写性や転写後の残留トナーのクリーニング性に優れていることが要求され、そのためには表面エネルギーが小さく、また滑り性が高いことが必要であり、かつ、これが繰り返し使用時にも性能が低下しないことが望まれる。
【0005】
しかしながら有機光導電物質を用いた電子写真感光体の表面層は一般に薄くて、柔軟性のある樹脂層であり、充分な耐久性を得るには不充分である。
【0006】
有機光導電物質を用いた電子写真感光体の表面層は一般に薄い樹脂層であり、樹脂の特性が非常に重要である。上述の諸特性をある程度満足する樹脂として、近年、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などが実用化されている。しかしながら、前述したような特性の総てがこれらの樹脂で満足されるわけではなく、特に、さらなる高耐久化を図る上では該樹脂の硬度は十分高いとは言い難い。これらの樹脂を表面層用の樹脂として用いた場合でも、繰り返し使用に伴って、表面層が摩耗したり、傷が発生したりすることがあった。また、近年の高感度化に対する要求から、電荷輸送物質などの低分子量成分が比較的大量に添加される場合が多く、より一層耐久性を有する樹脂が望まれている。
【0007】
これらの問題点を解決する手段として、硬化性樹脂を電荷輸送層用の樹脂として用いることが、例えば特開平2−127652号公報などに開示されている。すなわち硬化性の樹脂を用い、電荷輸送層を硬化、架橋することにより膜強度が増し、繰り返し使用時の耐摩耗性が向上し、より高耐久化が可能となるというものであるが、硬化性樹脂を使用することで耐摩耗性は向上するものの、一方で摩耗しない分、相対的に傷が目立つことになり、耐傷性が低下するといった問題点がある。また、熱硬化性モノマーの比誘電率が高い、あるいは未反応の重合性基の残存量が多いと、電荷の滞留が生じ、フォトメモリーが発生しやすくなる。さらに電子写真感光体の電位特性をも低下させてしまう。よってこれらの問題点を解決するため、耐傷性に関してはトナー、ローラー、紙粉などによる外的衝撃を吸収することが可能な微粒子、例えば、フッ素原子含有樹脂微粒子や無機微粒子などの添加が提案されている。またフォトメモリーに関しては比誘電率の低い熱硬化性モノマーの開発あるいは反応性の高い重合性基の開発が行われている。しかしながら、これらの問題点を充分に満足できるものはなく、微粒子を添加することで耐摩耗性は向上するが、耐傷性に関してはやはり、不充分である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、良好な耐久性、電気特性を持つ電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、支持体ならびに該支持体上に形成された電荷発生物質および電荷輸送物質を含有する感光層を有する電子写真感光体において、
(イ)該電子写真感光体の表面層が
重合性基を有する下記式(1)で示される構造を有するモノマーの重合物と、
体積平均粒径が0.08μm以上0.5μm以下の範囲である有機微粒子および無機微粒子の少なくとも一方の微粒子と
を含有し、
(ロ)該モノマーが下記式(2)で示される構造を有する基または下記式(3)で示される構造を有する基を3個以上有する
ことを特徴とする電子写真感光体である。
【0010】
【外9】
Figure 0003809351
【0011】
式(1)で示される構造は非環状構造であり、R、Rはそれぞれ置換されてもよいアルキレン基、アルキレン基中にエーテル結合を有する基、シクロアルキレン基、アリーレン基からなる群より選択される基を示し、W、Wはそれぞれ下記式(2)で示される構造を有する基または下記式(3)で示される構造を有する基を示す。aは1以上10以下の整数である。aが2以上のとき、Rはそれぞれ異なってもよい。
【0012】
【外10】
Figure 0003809351
【0013】
【外11】
Figure 0003809351
【0014】
式(2)中、Xは単結合または−O−を示す。Rは水素原子またはメチル基を示し、bは0または1を示す。ただし、b=0のときRはメチル基を示す。
【0015】
式(3)中、R、Rはそれぞれ置換されてもよいアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基からなる群より選択される基を示し、Rの置換基は上記式(3)で示される構造を有する基、水素原子、アルキル基およびアリール基からなる群より選択される基を示す(ただし、R の置換基は上記(ロ)を満足するように選択される。)。Yは上記式(2)で示される構造を有する基である。cは0以上9以下の整数である。ただし、a+cは1以上10以下である。cが2以上のとき、Rはそれぞれ異なってもよい。
【0016】
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるモノマーの特徴として、中心骨格のフマル酸エステルユニットと末端の重合性基とを同時に有することで重合性が優れ、さらに重合開始反応が酸素との反応であることが挙げられる。よって、重合反応時に酸素が存在することが重要であり、さらに、その酸素量は多い方が好ましい。
【0018】
そこで、重合反応時に酸素をより多く取り込む方法を検討した結果、微粒子を含有することが好ましいことが明らかとなった。微粒子を含有しなくても重合は進行するが、より優れた耐久性を有する表面層を形成するためには、微粒子を含有することによる滑り性付与、硬さ付与、反応性の向上といったメリットを有効に利用することが好ましい。
【0019】
微粒子を含有させることによる滑り性付与、硬さ付与は周知の事実であるが、反応性の向上に関しては以下のように推測している。すなわち微粒子を含有することで微粒子に取り込まれている酸素が、積極的に重合を促進させることで重合体の絡み合い密度が増加し、さらには、微粒子の本来の作用である微粒子−重合物界面でのより有効な摩擦で外的衝撃を吸収すると推測している。
【0020】
現に、赤外線吸収スペクトルにより微粒子のあり/なしのモノマーの重合率の差を比較すると微粒子を含有することで重合率が高いことを確認している。
【0021】
また、微粒子の体積平均粒径は小さい方が、表面積が大きく、含有酸素量の増加につながるため、本発明で用いられる微粒子の体積平均粒径は、0.08μm以上0.5μm以下の範囲であるが、0.08μm以上0.3μm以下であることが好ましい。0.08μmより小さいと微粒子が取り込んでいる酸素量が多すぎてドラムの製造の際、感光体表面に気泡が発生してしまう。0.5μmより大きいと酸素量が低下し、同時に重合性も低下する。
【0022】
なお、微粒子の分散平均粒径(体積平均粒径)と粒度分布にはLeeds and Northrup社製(〔商品名〕マイクロトラックUPA粒度分析計)で測定した。
【0023】
上記式(1)で示される構造は非環状構造であり、R、Rはそれぞれ置換されてもよいアルキレン基、アルキレン基中にエーテル結合を有する基、シクロアルキレン基またはアリーレン基を示すが、この中でも、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基が反応性の向上はもちろん、優れた電子写真特性を引き出すため好ましい。
【0024】
また、上記式(1)中、aは1以上10以下の整数であるが、1以上5以下の整数であることが好ましく、さらには1であれば反応性がより一層向上するため好ましい。
【0025】
上記aが2以上のとき、上記Rはそれぞれ異なってもよい。
【0026】
また、上記式(1)中、W、Wはそれぞれ下記式(2)で示される構造を有する基、下記式(3)で示される構造を有する基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、オキシアルキル基、オキシアリール基またはハロゲン基を示すが、優れた反応性、電子写真特性の観点から、W、Wの少なくとも1つは式(3)で示される構造を有する基であることが好ましく、その他の置換基は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であることが好ましい。
【0027】
【外12】
Figure 0003809351
【0028】
【外13】
Figure 0003809351
【0029】
上記式(2)中、Xは単結合または−O−を示すが、より好ましくは−O−がよく、Rは水素原子またはメチル基を示し、bは0または1を示す。ただし、bが0のときRはメチル基を示す。
【0030】
上記式(3)中、R、Rは置換されてもよいアルキレン基、シクロアルキレン基またはアリーレン基を示し、Rの置換基は上記式(3)で示される構造を有する基、水素原子、アルキル基またはアリール基を示すが、上記式(3)または置換されてもよいアルキル基が好ましい。なお、アルキル基の置換基は上記式(3)で示される構造を有する基でもよく、反応性の置換基は1分子中に多い方がより好ましく、微粒子との組み合わせで膜強度の向上が著しい。Yは上記式(2)で示される構造を有する基である。cは0以上9以下の整数であるが、0以上5の正の整数であることが、反応性がより一層向上するため好ましい。ただし、a+cは0以上10以下である。
【0031】
上記cが2以上のとき、上記Rはそれぞれ異なってもよい。
【0032】
また、上記式(1)で示される構造を有するモノマーは、例えば、下記式(9)や(10)で示される構造を有するモノマーのように、上記式(2)で示される構造を有する基または上記式(3)で示される構造を有する基を3個以上有することが、反応基数の増加により酸素との反応性が高まり、また、酸素との反応後の反応活性種の安定性も高く、良好な重合性が得られるため好ましい。
【0033】
【外14】
Figure 0003809351
【0034】
【外15】
Figure 0003809351
【0035】
上記式(9)および(10)中のAは、上記式(9)にも示すとおり、
【0036】
【外16】
Figure 0003809351
を示す。
【0037】
上記R、Rは上記式(1)中のR、Rと同様であり、R10は置換基を有してもよい炭素数が1〜3の基を示す。
【0038】
また、上記式(2)で示される構造を有する基は、下記式(4)で示される構造を有する基であることが、酸素との反応性が高く、酸素との反応後の反応活性種の安定性も高く、良好な重合性が得られるため好ましい。
【0039】
【外17】
Figure 0003809351
【0040】
また、前記式(3)で示される構造を有する基は、下記式(5)で示される構造を有する基であることが、酸素との反応性が高く、酸素との反応後の反応活性種の安定性も高く、良好な重合性が得られるため好ましい。
【0041】
【外18】
Figure 0003809351
【0042】
上記式(5)中、R、Rはそれぞれ置換されてもよいアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基からなる群より選択される基を示し、Rの置換基は上記式(3)で示される構造を有する基、水素原子、アルキル基およびアリール基からなる群より選択される基を示す(ただし、R の置換基は上記(ロ)を満足するように選択される。)
【0043】
また、上記式(1)のR、R、上記式(3)のRは、下記式(6)で示される構造を有する基、下記式(7)で示される構造を有する基または下記式(8)で示される構造を有する基であれば、フォトメモリー特性がより向上するため好ましい。
【0044】
【外19】
Figure 0003809351
【0045】
【外20】
Figure 0003809351
【0046】
【外21】
Figure 0003809351
【0047】
フォトメモリー特性がより向上する理由について、1つの可能性としては、上記式(7)、(8)および(9)で示される構造を有する基が、モノマーの誘電率をより低下させる作用を有することが挙げられる。
【0048】
記モノマーの具体例を表1および2に示すが、これらに限定されるものではない。また、モノマーを2種以上混合してもよい。
【0049】
【表1】
Figure 0003809351
【0050】
【表2】
Figure 0003809351
【0051】
この中でも、(1−11)、(1−12)、(1−14)および(1−15)が、優れた電気特性および膜強度の両立を可能にするため好ましく、さらに、(1−14)、(1−12)および(1−15)がより好ましい。
【0052】
続いて、本発明で用いられるモノマーの合成法について説明する。
【0053】
下記モノマー(1−5)
【0054】
【外22】
Figure 0003809351
の場合、フマル酸エステルを下記式で示される構造を有するアルコールと触媒存在下、公知のエステル交換法で合成できる。この場合、アルコールをエステル基1個に対して1〜10倍モル量を用いる。
【0055】
【外23
Figure 0003809351
【0056】
本発明で用いられるモノマーについても、各モノマーに相応のアルコールを用いることによって、上記と同様の方法で合成することができる。
【0057】
その他の合成法としては、フマル酸とエーテルとの縮合が挙げられる。
【0058】
なお、ここで使用される溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミドや、塩基性のピリジン類、ピコリン、コリジンなどが挙げられる。
【0059】
また、末端にCH−CH=CH−を有するモノマーの場合、CH=CH−CH−を有する化合物を異性化することによっても合成することができる。この異性化反応は、Pd、Ru、Rhなどの金属錯体や金属担持触媒を用いて、反応温度50℃〜200℃で行うことができる。
【0060】
上記微粒子の含有量は、画質劣化の問題を考慮すると上記モノマーの重合物に対して質量比で50%以下が好ましい。
【0061】
また、上記式(2)で示される構造を有する基または上記式(3)で示される構造を有する基を3個以上有する上記式(1)で示される構造を有するモノマー、あるいは、上記式(4)または(5)で示される構造を有する反応性が高い重合性基を有する上記式(1)で示される構造を有するモノマーを使用する場合は、微粒子の量を少なくして、画質劣化を抑える工夫をしてもよい。その場合、上記微粒子の含有量は、上記モノマーの重合物に対して30%以下がより好ましい。
【0062】
一方、本発明の効果をより顕著に発現させるためには、また、上記式(1)で示される構造を有するモノマーが、下記式(11)で示される構造を有する基のような、比較的酸素との反応性の低い基のみを2個以下しか有さないモノマーである場合には特に、上記微粒子は上記モノマーの重合物に対して質量比で20%以上であることが好ましい。
【0063】
【外24
Figure 0003809351
【0064】
表面層用溶液を塗布し、乾燥させることによって表面層を作製する際、乾燥温度は130℃以上であればより高い硬化性が得られるため好ましく、さらには140℃以上170℃以下がより好ましい。
【0065】
上記微粒子を含有する表面層の膜厚は、画質を向上させるためには薄いことが好ましく、感光層上に表面層としての保護層を設ける層構成とすることが好ましい。
【0066】
優れた電気特性を維持するためには、感光層はもちろんのこと、上記保護層を設けた層構成を採る場合でも、その保護層に電荷輸送物質を含有することが好ましい。
【0067】
より膜の強度を高めるためには、電荷輸送物質が上記式(1)で示される構造を有するモノマーと反応可能な重合性基を有することが好ましい。
【0068】
上記式(1)で示される構造を有するモノマーと反応可能な重合性基を有する電荷輸送物質として、例えば、以下に示す電荷輸送物質が挙げられる。
【0069】
【外25
Figure 0003809351
【0070】
【外26
Figure 0003809351
【0071】
【外27
Figure 0003809351
【0072】
【外28
Figure 0003809351
【0073】
これらの中でも、(CTM−1)あるいは(CTM−2)が、特に反応性が優れるため好ましく、さらに、(CTM−1)は溶解性が優れより好ましい。
【0074】
本発明で用いられる有機微粒子としては、シリコーン樹脂、ポリメタアクリレート(PMMA)、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン/メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリ四フッ化エチレン、n−ブチルアクリレート、尿素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ウレタン樹脂、酢酸セルロースなどの微粒子が挙げられる。その中でも、フッ素原子含有樹脂微粒子が潤滑性付与はもちろんのこと、モノマーの反応性向上に効果的であるため好ましく、さらにはポリ四フッ化エチレン微粒子であることが好ましい。
【0075】
また、必要に応じて微粒子の分散を安定化させるために分散助剤を添加してもよい。
【0076】
本発明で用いられる無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどの酸化物、窒化炭素、窒化アルミ、窒化珪素などの窒化物、炭化珪素などの炭化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどのチタン酸化合物の微粒子が挙げられる。その中でも、シリカ微粒子やアルミナ微粒子が表面の硬度を向上させるのはもちろんのこと、モノマーの反応性向上に効果的であるため好ましい。これら微粒子は含有酸素量が多いと推測される。
【0077】
なお、無機微粒子は環境変動を抑えるために微粒子の表面が疎水性であることが好ましい。
【0078】
なお、無機微粒子は有機微粒子より含有酸素量が多く、膜強度がより一層向上するため、より好ましい。
【0079】
また、上記微粒子に求められる電気抵抗値は、表面層に必要な電気抵抗値により様々であるが、10Ω・cm以上であることが好ましい。10Ω・cm未満であると、感光体の電荷保持性、画質などに問題を生じる傾向がある。
【0080】
また、表面層の作製工程における表面層用溶液を塗布した後に乾燥させる際の熱によって、他の層が劣化しないことが必要である。また、本発明の感光体は高耐久であることから、電子写真特性が長期にわたり安定していることが必要である。したがって、感光層を構成する電荷輸送物質はもちろん、電荷発生物質も繰り返し特性に優れることが要求される。特に電荷発生物質の選択は耐久安定性を大きく左右する因子の1つである。したがって、使用する電荷発生物質は熱に対する劣化が少ないこと、耐久安定性が優れるものが好ましい。
【0081】
このような観点から、電荷発生物質としては、フタロシアニン顔料、アゾ顔料が好ましく、その中でも、さらに、フタロシアニン顔料がより安定した電子写真特性を維持できるため好ましい。また、フタロシアニン顔料の中でも、ヒドロキシガリウムフタロシアニンまたはオキシチタニウムフタロシアニンが特に電子写真特性的に優れるため好ましく、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであれば、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニンがより好ましく、オキシチタニウムフタロシアニンであれば、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°、27.1°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニンが好ましい。
【0082】
なお、X線回折の測定にはCuKα線を用い、次の条件で行った。
使用測定機:マック・サイエンス社製、全自動X線回折装置MXP18
X線管球:Cu
管電圧:50KV
管電流:300mA
スキャン方法:2θ/θスキャン
スキャン速度:2deg./min
サンプリング間隔:0.020deg.
スタート角度(2θ):5deg.
ストップ角度(2θ):40deg.
ダイバージェンススリット:0.5deg.
スキャッタリングスリット:0.5deg.
レシービングスリット:0.3deg.
湾曲モノクロメーター使用
【0083】
以下、本発明に用いる電子写真感光体の構成について説明する。
【0084】
本発明における電子写真感光体は、感光層が電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型であっても、電荷輸送層と電荷発生層に分離した機能分離型(積層型)でもよいが、電子写真特性的には積層型が好ましい。また、表面層として保護層を設けてもよいが、少なくとも電子写真感光体の表面層に、式(1)で示される反応性部位を有するモノマーと微粒子とを含有していればよい。
【0085】
本発明で用いる支持体としては、導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、ステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成型したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したものなどが挙げられ、必要に応じて表面処理を施してもよい。
【0086】
レーザービームプリンター(LBP)など画像入力がレーザー光の場合は散乱による干渉縞防止、または基盤の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。これはカーボンブラック、金属粒子などの導電性微粒子をバインダー樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は5〜40μm、好ましくは10〜30μmが適当である。
【0087】
また、さらにその上に、接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層の材料としてはポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、などが挙げられる。これらは適当な溶剤に溶解して塗布される。中間層の膜厚は0.05〜5μm、好ましくは0.3〜1μmが適当である。
【0088】
支持体、導電層または中間層の上には、感光層が機能分離型の場合、電荷発生層が形成される。本発明に用いられる電荷発生物質としてはフタロシアニン、トリスアゾ、ジスアゾ、モノアゾ系の各顔料が挙げられる。電荷発生層は電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着剤樹脂および溶剤とともにホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルおよび液衝突型高速分散機などの方法でよく分散し、分散液を塗布、乾燥させて形成される。電荷発生層の膜厚は5μm以下、好ましくは0.1〜2μmが適当である。
【0089】
続いて、電荷輸送層が表面層である場合、上記モノマーと微粒子とを溶剤中に溶解させ、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルおよび液衝突型高速分散機などの分散方法を用いて分散する。好ましくは液衝突型高速分散機が適当である。さらに分散した液と電荷輸送物質とを溶剤中に溶解させた塗料を塗工、乾燥して形成する。電荷輸送物質は0.5〜2倍量のバインダー樹脂と組み合わされ、また電荷輸送層の膜厚は5〜40μm、好ましくは15〜30μmが適当である。
【0090】
また、電荷輸送層が表面層でない場合、上記モノマーの重合体の代わりに、熱可塑性樹脂を使用してもよい。ここでいう熱可塑性樹脂とは電子写真感光体分野で一般的に使用されている樹脂で、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ樹脂などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0091】
次に感光層が単層である場合、電荷発生物質及び電荷輸送物質を上記モノマーに分散及び溶解した溶液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。分散方法は上記電荷発生物質を分散するときの方法より選ばれる。なお単層の膜厚は5〜40μm、好ましくは15〜30μmが適当である。
【0092】
次に感光層を保護する層、すなわち、保護層がある場合、本発明のモノマーと微粒子を溶剤中に溶解させ、分散、塗工する。優れた電子写真特性を引き出すためには電荷輸送物質あるいは電気抵抗を制御する導電性金属酸化物などを用いることが好ましい。電荷輸送物質を用いる際、より好ましくは本発明によるモノマーと重合可能な反応性基を有するものがよい。
【0093】
表面層の成膜方法は、熱、光あるいは電子線での硬化が可能であり、必要に応じて重合開始剤や酸化防止剤を含有してもよい。
【0094】
電子写真感光体製造工程において、使用する溶剤としてはクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、単独で用いても複数の溶剤を用いてもよい。
【0095】
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。
【0096】
図1において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)からの露光光4を受ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0097】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体1の回転と同期取りされて給送された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。
【0098】
像転写を受けた転写材7は、感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0099】
像転写後の感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0100】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9などの構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9の少なくとも1つを感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化し、装置本体のレール12などの案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0101】
また、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号にしたがって行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動および液晶シャッターアレイの駆動などにより照射される光である。
【0102】
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンターおよびレーザー製版など電子写真応用分野にも広く用いることができる。
【0103】
以下、実施例にしたがって本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中「部」は質量部を示す。
【0104】
【実施例】
参考例1〕
直径30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体とし、それに、以下の材料より構成される塗料を支持体上に浸漬コーティング法で塗布し140℃で30分熱硬化して15μmの導電層を形成した。
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール、メトキシプロパノール0.2/0.8 20部
【0105】
次に、この上にN−メトキシメチル化ナイロン3部および共重合ナイロン3部をメタノール65部およびn−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸漬コーティング法で塗布し100℃で10分乾燥し0.5μmの中間層を形成した。
【0106】
次に、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン4部をシクロヘキサノン95部にブチラール樹脂(ブチラール化度63モル%、重量平均分子量100,000)2部を溶かした液に加え、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で温度21±3℃の雰囲気下で20時間分散した。その後、酢酸エチル60部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。
【0107】
次に、電荷輸送層で使用する分散液を作製した。
【0108】
記モノマー(1−1)
【0109】
【外29】
Figure 0003809351
30部とポリ四フッ化エチレン微粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)5部、分散助剤としてクシ型フッ素系グラフトポリマー(アロンGF−300:東亜合成化学(株)製)0.6部とをモノクロロベンゼン70部に混合、撹拌した後、液衝突型高速分散機で分散処理を施した。この分散液100部にモノクロロベンゼン70部ジクロロメタン60部を加え、さらに電荷輸送物質(CTM−1)25部を加え溶解させ電荷輸送層用塗料とし、前記電荷発生層上に浸漬塗布後、150℃で60分乾燥し、膜厚22μmの電荷輸送層を設け電子写真感光体とした。
【0110】
次に、評価について説明する。
【0111】
(初期特性評価)
・評価機
GP−40(普通紙複写機)(キヤノン(株)製)
帯電方式:AC電圧を重畳したローラー接触帯電手段(AC/DCローラー接触帯電手段)
プロセススピード:210mm/sec
レーザー光量:0.35μJ/cm
クリーニングブレード:感光体に対する線圧を通常の1.3倍に設定
【0112】
得られた電子写真感光体を上記評価機に装着し、温度23℃、湿度50%RHの常温常湿環境(N/N)下で暗部電位Vd、明部電位Vlおよび残留電位Vrを測定した。Vdに関してはより帯電能を評価しやすい暗減衰量を見た。すなわちVdを測定した直後に印加電圧およびドラム回転を切り、10秒間放置した後のVdを評価した。なお感光体の電子写真特性を測定するため現像位置にプローブを取り付けた電位測定冶具を用いて測定した。
【0113】
暗減衰は絶対値が小さいほど帯電能が良いことを示し、明部電位Vl、Vrは小さいほど特性が良いことを示す。
【0114】
(耐久評価)
常温常湿下(N/N)で40,000枚の通紙耐久試験を行い、40,000枚後のVlを測定し、初期と耐久後のVl電位変動量を評価した。なおVl電位変動量については以下に従い算出した。
Vl電位変動量=通紙耐久後のVl電位−初期Vl電位
【0115】
画像に出る傷については、感光体ドラム周方向に沿った傷による画像欠陥が見られる場合がある。
【0116】
傷の深さについては表面粗さ測定機(小坂研究所(株)製サーフコーダーSE−3300)を使用し、カットオフ値0.8mm、基準長さ0.8mm、評価長さ8.0mm、ガウシャンフィルターの条件にて行った。
【0117】
摩耗性については摩耗量の測定にはフィッシャー社製渦電流式膜厚測定機(パーマスコープ タイプE111)を用いた。
【0118】
なお、耐久通紙画像はA4で、印字率4%の格子パターンとした。また、シーケンスはプリント1枚毎に1回停止する間欠モードとした。トナーがなくなったならば補給した。
【0119】
(フォトメモリーの評価)
耐久後の電子写真感光体の一部に3000lux20分間の白色蛍光灯の光をあて4分間放置後明部電位を測定し、光を当てる前から明部電位がどれだけ下がったかを測定し、その変化量をフォトメモリー値とした。変化量が、
0〜30Vの場合を◎、
31〜60Vの場合を○、
61〜90Vの場合を△、
91〜120Vの場合を×、
とした。
【0120】
〔比較例1〕
参考例1において、電荷輸送層中の微粒子および分散助剤を除いた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0121】
具体的には、モノマー(1−1)40部にモノクロロベンゼン150部とジクロロメタン60部を加え、さらに電荷輸送物質(CTM−1)を33部加え、電荷輸送層用塗料とした。
【0122】
〔実施例
参考例1において、モノマー(1−1)およびポリ四フッ化エチレン微粒子を表2に示すモノマーおよび微粒子に代えて、さらに、微粒子の量を表2に示すとおりにした以外は、参考例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0123】
なお、ポリ四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン樹脂以外の微粒子は分散助剤がなくても分散できた。
【0124】
また、各微粒子は次のとおりである。
ポリ四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン微粒子:〔商品名〕ネオフロン、ダイキン工業(株)製
アクリルゴム微粒子:〔商品名〕スタフィロイドIM、武田薬品工業(株)製シリコ−ン樹脂微粒子:〔商品名〕XC−99−501、GE東芝シリコーン(株)製
疎水化シリカ微粒子:〔商品名〕X−120、信越化学工業(株)製
アルミナ微粒子:〔商品名〕LS−235、日本軽金属(株)製
【0125】
〔実施例
実施例1において、モノマー(1−1)をモノマー(1−14)に代え、電荷輸送物質(CTM−1)を電荷輸送物質(CTM−5)に代え、さらに微粒子の量を13部とした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0126】
【外30
Figure 0003809351
【0127】
〔比較例2〜
実施例において、電荷輸送層中の微粒子を除いた以外は実施例と同じである。
【0128】
〔実施例
参考例1の電子写真感光体において電荷輸送層を次のとおりに変え、さらにその上に保護層を設けた。
【0129】
具体的には、電荷輸送層としてポリカーボネート樹脂(〔商品名〕ユーピロンZ400、三菱瓦斯化学(株)製)30部と電荷輸送物質(CTM−1)27部とをモノクロロベンゼン130部とジクロロメタン80部に加え、溶解させ、電荷輸送層用塗料とし、浸漬塗布後、120℃で60分間乾燥して、膜厚17μmの電荷輸送層を設けた。
【0130】
次に、保護層の分散液として、モノマー(1−15)を13部とポリ四フッ化エチレン微粒子(〔商品名〕ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)6.5部、分散助剤としてクシ型フッ素系グラフトポリマー(〔商品名〕アロンGF−300、東亜合成化学(株)製)0.5部とをモノクロロベンゼン100部に混合、撹拌した後、参考例1と同様に分散を行った。この分散液25部および電荷輸送物質(CTM−1)2.0部をモノクロロベンゼン20部およびジクロルメタン10部に混合、溶解し表面保護層用塗料とした。この塗料を上記電荷輸送層上に噴霧塗布し、150℃で60分間乾燥して4.0μmの保護層を形成し、電子写真感光体を作成、評価した。
【0131】
〔実施例10
実施例において、ポリ四フッ化エチレン微粒子を表2に示す微粒子に代えて、さらに、微粒子の量を表2に示すとおりにした以外は、実施例と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0132】
〔比較例
比較例に関しては、実施例において、モノマー(1−1)を下記比較モノマー1に代えた以外は、実施例と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0133】
【外31
Figure 0003809351
【0134】
比較例に関しては、比較例において、電荷輸送層中の微粒子を除いた以外は、比較例と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0135】
具体的には、上記比較モノマー1を13部、光重合開始剤として2−メチルチオキサントン0.07部、ポリ四フッ化エチレン微粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)3.3部、分散助剤としてクシ型フッ素系グラフトポリマー(アロンGF−300:東亜合成化学(株)製)0.5部とをメチルセロソルブ100部に混合、撹拌した後、参考例1と同様に分散を行った。この分散液25部および電荷輸送物質(1)2.0部をモノクロロベンゼン30部に混合、溶解し表面保護層用塗料とした。この塗料を上記感光層上に噴霧塗布し、150℃20分で乾燥後、高圧水銀灯にて8mW/cmの光強度で15秒間光硬化を行い、保護層を形成した。保護層の膜厚は4μmとした。比較例7に関しては微粒子および分散助剤を除いた。
【0136】
〔実施例1112、比較例
実施例10において、保護層の微粒子の体積平均粒径を表2に示すとおりにした以外は、実施例10と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0137】
〔比較例10
比較例に関しては、実施例10において、モノマー(1−15)を下記比較モノマー2に代えた以外は、実施例10と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0138】
【外32
Figure 0003809351
【0139】
比較例10に関しては、比較例において、電荷輸送層中の微粒子を除いた以外は、比較例と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0140】
以下、表参考例1、実施例1〜12および比較例1〜10で使用したモノマーおよび微粒子の一覧を示し、表参考例1、実施例1〜12および比較例1〜10の評価結果を示す。
【0141】
【表3】
Figure 0003809351
【0142】
【表4】
Figure 0003809351
【0143】
から、以下のようにまとめられる。
【0144】
参考例1と比較例1とを対比すると、ポリ四フッ化エチレン微粒子を含有する参考例1で初期特性、フォトメモリ−、耐久電位変動、および膜強度が良好であることがわかる。比較例1は、特性が悪く、かつ耐摩耗性が2倍以上悪化し、重合率が低い可能性が挙げられる。
【0145】
実施例と比較例とを対比すると、ポリ四フッ化エチレン微粒子を用いなかった比較例よりも、ポリ四フッ化エチレン微粒子を用いた実施例の方が、電気特性および摩耗量、耐傷性共に良好であることがわかる。
【0146】
実施例および10は、感光層を保護する層、すなわち保護層を設けた層構成の電子写真感光体の実施例である。本2例は微粒子の含有量が異なるが、両例とも耐摩耗性、耐傷性が良好であることがわかる。
【0147】
比較例およびは、比較モノマーを使用して微粒子の効果を見るための例である。微粒子のあり/なしで膜強度の差が小さいことがわかる。一方、本発明によるモノマーは微粒子を含有することで耐久性が約2倍になることから、微粒子を添加することによる膜強度の向上がより大きいといえる。
【0148】
比較例およびから、微粒子の体積平均粒径が本発明の規定の下限を下回っても、上限を上回っても、耐傷性が悪くなることがわかる。
【0149】
比較例および10から、比較モノマーとして、中心骨格がフマル酸エステルユニットではないモノマーを使用した場合、電子写真特性および耐久性が大きく低下することがわかる。
【0150】
【発明の効果】
以上の結果から、特定の表面層を有する本発明の電子写真感光体は、機械的強度が良好で、特に耐傷性が良好であり、かつ、電子写真特性が良好で、特にフォトメモリー特性が良好であり、かつ、繰り返し特性にも優れていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを用いる電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ容器
12 案内手段

Claims (23)

  1. 支持体ならびに該支持体上に形成された電荷発生物質および電荷輸送物質を含有する感光層を有する電子写真感光体において、
    (イ)該電子写真感光体の表面層が
    重合性基を有する下記式(1)で示される構造を有するモノマーの重合物と、
    体積平均粒径が0.08μm以上0.5μm以下の範囲である有機微粒子および無機微粒子の少なくとも一方の微粒子と
    を含有し、
    (ロ)該モノマーが下記式(2)で示される構造を有する基または下記式(3)で示される構造を有する基を3個以上有する
    ことを特徴とする電子写真感光体。
    【外1】
    Figure 0003809351
    (式(1)で示される構造は非環状構造であり、R、Rはそれぞれ置換されてもよいアルキレン基、アルキレン基中にエーテル結合を有する基、シクロアルキレン基、アリーレン基からなる群より選択される基を示し、W、Wはそれぞれ下記式(2)で示される構造を有する基または下記式(3)で示される構造を有する基を示す。aは1以上10以下の整数である。aが2以上のとき、Rはそれぞれ異なってもよい。
    【外2】
    Figure 0003809351
    【外3】
    Figure 0003809351
    式(2)中、Xは単結合または−O−を示す。Rは水素原子またはメチル基を示し、bは0または1を示す。ただし、b=0のときRはメチル基を示す。式(3)中、R、Rはそれぞれ置換されてもよいアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基からなる群より選択される基を示し、Rの置換基は上記式(3)で示される構造を有する基、水素原子、アルキル基およびアリール基からなる群より選択される基を示す(ただし、R の置換基は上記(ロ)を満足するように選択される。)。Yは上記式(2)で示される構造を有する基である。cは0以上9以下の整数である。ただし、a+cは1以上10以下である。cが2以上のとき、Rはそれぞれ異なってもよい。)
  2. 前記式(2)で示される構造を有する基が下記式(4)で示される構造を有する基であり、前記式(3)で示される構造を有する基が下記式(5)で示される構造を有する基である請求項1に記載の電子写真感光体。
    【外4】
    Figure 0003809351
    【外5】
    Figure 0003809351
    (式(5)中、R、Rはそれぞれ置換されてもよいアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基からなる群より選択される基を示し、Rの置換基は上記式(3)で示される構造を有する基、水素原子、アルキル基およびアリール基からなる群より選択される基を示す(ただし、R の置換基は上記(ロ)を満足するように選択される。)。)
  3. 前記式(1)のR、R および前記式(3)のR下記式(6)で示される構造を有する基、下記式(7)で示される構造を有する基および下記式(8)で示される構造を有する基からなる群より選択される基である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
    【外6】
    Figure 0003809351
    【外7】
    Figure 0003809351
    【外8】
    Figure 0003809351
  4. 前記モノマーの重合物に対して前記微粒子が質量比で50%以下である請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 前記モノマーの重合物に対して前記微粒子が質量比で30%以下である請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 前記モノマーの重合物に対して前記微粒子が質量比で20%以上である請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 前記モノマーの重合物と前記微粒子を含有する表面層を作製するための乾燥温度が130℃以上である請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体。
  8. 前記モノマーの重合物と前記微粒子を含有する表面層が保護層である請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体。
  9. 前記表面層が電荷輸送物質を含有する請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体。
  10. 前記電荷輸送物質が前記モノマーと反応可能な重合性基を有する請求項に記載の電子写真感光体。
  11. 前記微粒子の体積平均粒径が0.08μm以上0.3μm以下である請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真感光体。
  12. 前記表面層が有機微粒子を含有する請求項1〜11のいずれかに記載の電子写真感光体。
  13. 前記有機微粒子がフッ素原子含有樹脂微粒子である請求項12に記載の電子写真感光体。
  14. 前記フッ素原子含有樹脂粒子がポリ四フッ化エチレンである請求項13に記載の電子写真感光体。
  15. 前記表面層が無機微粒子を含有する請求項1〜14のいずれかに記載の電子写真感光体。
  16. 前記無機微粒子が疎水化されたシリカ微粒子またはアルミナ微粒子である請求項15に記載の電子写真感光体。
  17. 前記電荷発生物質がフタロシアニン顔料である請求項1〜16のいずれかに記載の電子写真感光体。
  18. 前記フタロシアニン顔料がヒドロキシガリウムフタロシアニンである請求項17に記載の電子写真感光体。
  19. 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンがCuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニンである請求項18に記載の電子写真感光体。
  20. 前記フタロシアニン顔料がオキシチタニウムフタロシアニンである請求項17に記載の電子写真感光体。
  21. 前記オキシチタニウムフタロシアニンがCuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°、27.1°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニンである請求項20に記載の電子写真感光体。
  22. 請求項1〜21のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  23. 請求項1〜21のいずれかに記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段およびクリーニング手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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