JP3788904B2 - 温度センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、サーミスタを用いた温度センサに関し、特に被測温体の表面に接触させてその温度を計測するために好適な、表面温度検出用の温度センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
サーミスタは、金属酸化物の混合焼結体からなる半導体素子であって、その電気抵抗の温度依存性が大きいことを利用して、広く温度測定の目的に用いられており、各種の形態のものが既に提案されているが、そのうち、特に物体の表面温度検出用として使用するものには、大別して、固定された物体の表面温度を測定するものと、移動(回転を含む)する物体の表面温度を測定するものとがある。
【0003】
図4は、従来の表面温度検出用温度センサの第1の例を示したものであって、固定された物体の表面温度検出用として用いられるものである。図4において、(a)は上面図を示し、(b)はA−A側端面図を示している。
この従来例の温度センサは、樹脂成形体101の上面に設けられた台形部102上に、耐熱性の軟質樹脂発泡材からなるクッション材片103を接着し、クッション材片103上に、ガラス封止型のサーミスタ素子104を接着等の方法で固定したものである。
サーミスタ素子104のリード線105、106は、樹脂成形体101に設けられた貫通穴107,108を通して、樹脂成形体101の下面に設けられた棒状の端子109,110に、ハンダ付け部111を設ける等の方法で接続されている。
また、端子109,110には、先端部を端子金具112によって端末処理された、外部リード線113,114が、×印で示すスポット溶接による溶接部115を設ける等の方法で固定されている。さらに、樹脂成形体101の一端には、取付穴116が設けられている。
【0004】
図4に示された従来の温度センサは、取付穴116を利用して、例えば図示されない、現像済みの複写用紙を加熱体に押しつけることによってトナーの定着を行う形式の複写機の、筐体の一部等に固定したとき、サーミスタ素子を含むクッション材片103の上面が、加熱体の表面の一部に押し当てられた状態に保持される。
これによって、加熱体の表面温度に応じて、サーミスタ素子104の抵抗値が変化するので、図示されない測定回路によって、この抵抗値の変化を検出することによって、加熱体の表面温度を測定することができる。
この際、クッション材片103は、サーミスタ素子104を柔軟に保持して、加熱体の表面に密着させるとともに、不必要に大きな力がサーミスタ素子や加熱体表面に加わらないようにする緩衝作用を行う。
【0005】
図5は、従来の表面温度検出用温度センサの第2の例を示したものであって、移動(回転を含む)する物体の表面温度検出用として用いられるものである。図5において、(a)は上面図を示し、(b)はB−B側断面図を示している。
この従来例の温度センサは、樹脂成形体201の上面に、耐熱性の軟質樹脂発泡材からなるクッション材片202を接着し、クッション材片202上に、サーミスタ素子203を接着等の方法で固定するとともに、樹脂成形体201の下側に耐熱性シートの一端を固定し、クッション材片202とサーミスタ素子203とを包囲して、耐熱性シートを巻き付けて、その他端を樹脂成形体201の下側に固定することによって、保護フィルム部204を形成して、サーミスタ素子203を絶縁するとともに、機械的に保護するようにしたものである。
樹脂成形体201の内部には、内部導体207,208が埋め込まれていて、樹脂成形体201の上下両面に設けられた溝部内に露出している。サーミスタ素子203のリード線205、206は、クッション材片202内部を経て、樹脂成形体201の上面に設けられた溝部209,210内において、それぞれ内部導体207,208の一端に溶着されている。また、外部リード線211,212は、端子金具213,214によって端末処理されたそれぞれの先端部を、樹脂成形体201の上面に設けられた溝部215,216内に露出している、内部導体207,208の他端に、例えばスポット溶接によって形成された、×印で示す溶接部217,218を設ける等の方法で固定されている。さらに、樹脂成形体201の下面には、取付部219,220が設けられている。
【0006】
図5に示された従来の温度センサは、取付部219,220を利用して、例えば図示されない複写機の筐体の一部等に対して、例えば温度センサの長手方向が、定着ヒートローラの回転軸と平行になるように固定し、サーミスタ素子203が、保護フィルム部204を介して、定着ヒートローラ(不図示)の表面に接触するように保持することによって、定着ヒートローラの表面温度に応じてサーミスタ素子203の抵抗値が変化するので、図示されない測定回路によって、この抵抗値の変化を検出することによって、定着ヒートローラの表面温度を測定することができる。
この際、クッション材片202は、サーミスタ素子203の部分を定着ヒートローラの表面に接触させたときの機械的追従性を保たせるとともに、装置に対する取付位置のずれに基づく特性変化を緩和する作用を行っている。また、保護フィルム部204は、定着ヒートローラの回転に基づくサーミスタ素子203の磨耗を防止するとともに、定着ヒートローラとの間の高電圧に対して、温度センサに絶縁性と耐圧性とを付与する作用を行っている。
【0007】
図6は、従来の表面温度検出用温度センサの第3の例を示したものであって、例えば回転する物体の表面温度検出用として用いられるものである。図6において、(a)は上面図を示し、(b)はC−C側断面図を示している。
この従来例の温度センサは、ステンレス又は燐青銅等の弾力性を有する金属の薄板からなる板バネ301を、樹脂成形体302の一端に対して、その一方の端部を埋め込んで固定するとともに、板バネ301の他方の端部の一方の面に、耐熱性の軟質樹脂発泡材からなるクッション材片303を接着し、クッション材片303の上面に熱伝導体薄膜304を介して、サーミスタ素子305を固定したものである。
樹脂成形体302の他端には、2個の端子板306,307が、それぞれ独立して埋め込まれていて、サーミスタ素子305の2本のリード線308,309は、樹脂成形体302の上面に設けられた溝部310,311を経て、それぞれ端子板306,307に接続されている。
この際、板バネ301の上面には、予め絶縁シート312がはり付けられていて、リード線308,309は、絶縁シート312によって、板バネ301との間の絶縁を保たれている。また、板バネ301の先端部には、クッション材片303とサーミスタ素子305とを含めて、耐熱性シートを、下側から上側に折り返して巻き付けることによって、保護フィルム部313を形成して、サーミスタ素子305を絶縁するとともに、機械的に保護するようになっている。さらに、端子板306,307には、外部リード線314,315が、被覆の除去等の処理を施したそれぞれの先端部を、×印で示すスポット溶接による溶接部316を設ける等の方法で固着して接続されているとともに、端子板と外部リード線の先端部には、絶縁チューブ317,318を被せて電気的絶縁と機械的保護を行うようになっている。
【0008】
図6に示された温度センサは、取り付け穴319を利用して、図示されない複写機の筐体の一部等に固定されるが、この際、サーミスタ素子305が、保護フィルム部313を介して、定着ヒートローラ(不図示)の表面に接触することによって、定着ヒートローラの表面温度に応じてサーミスタ素子305の抵抗値が変化するので、図示されない測定回路によって、この抵抗値の変化を検出することによって、定着ヒートローラの表面温度を測定することができる。
この際、クッション材片303は、サーミスタ素子の部分を定着ヒートローラの表面に接触させたときの機械的追従性を保たせるとともに、装置に対する取付位置のずれに基づく特性変化を緩和する作用を行っている。熱伝導体薄膜304は、定着ヒートローラの表面からサーミスタ素子305に対する集熱作用を行って、熱応答性を改善する。また、保護フィルム部313は、定着ヒートローラの回転に基づくサーミスタ素子305の磨耗や位置の変化を防止するとともに、定着ヒートローラとの間の高電圧に対して、温度センサに絶縁性と耐圧性とを付与する作用を行っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図4乃至図6に示された従来の温度センサにおいては、温度検出対象物体の表面温度を測定する際の、使用温度を高くすることができないという問題があった。
これは、従来の温度センサでは、サーミスタ素子の下部に存在するクッション材片として、耐熱性の軟質樹脂発泡材を使用しているため、その耐熱性が十分でないためである。
【0010】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであって、表面温度検出時の使用温度を高くすることが可能な、温度センサを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は温度センサに係り、樹脂成形体からなる支持部の上面に台形部を設け、該台形部上に無機質繊維を抄紙工程によってフェルト状に集成した無機質繊維抄成体からなるクッション材片を装着し、該クッション材片上に熱伝導体薄膜を介在させた状態でサーミスタ素子を固定するとともに上記サーミスタ素子上に上部熱伝導体薄膜を設け、上記クッション材片における上記熱伝導体薄膜の下部に空洞部を設けてなり、上記サーミスタ素子を含むクッション材片の上面を固定体の表面に押し当てた状態に保持して、上記サーミスタ素子によって上記固定体の表面温度を測定することを特徴としている。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の温度センサに係り、上記クッション材片上に熱伝導体薄膜を介在させた状態で上記サーミスタ素子を固定するとともに、上記クッション材片における上記熱伝導体薄膜の下部に空洞部を設けたことを特徴としている。
【0013】
また、請求項3記載の発明は温度センサに係り、樹脂成形体からなる支持部の上面に無機質繊維を抄紙工程によってフェルト状に集成した無機質繊維抄成体からなるクッション材片を装着して、該クッション材片上に熱伝導体薄膜を介在させた状態でサーミスタ素子を固定し、上記クッション材片における上記熱伝導体薄膜の下部に空洞部を設けるとともに、上記樹脂成形体とクッション材片とサーミスタ素子とを含めて耐熱性シートを該温度センサの長手方向と垂直方向に巻き付けて保護フィルム部を形成してなり、上記サーミスタ素子を含むクッション材片の上面を上記保護フィルム部を介して回転体の表面に接触する状態に保持して、上記サーミスタ素子によって上記回転体の表面温度を測定する温度センサであって、その長手方向が上記回転体の回転軸と平行になるように保持されることを特徴としている。
【0014】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の温度センサに係り、上記サーミスタ素子上に上部熱伝導体薄膜を設けたことを特徴としている。
【0015】
また、請求項5記載の発明は温度センサに係り、弾力性金属薄板からなる板バネの上面に無機質繊維を抄紙工程によってフェルト状に集成した無機質繊維抄成体からなるクッション材片を装着して、該クッション材片上に熱伝導体薄膜を介在させた状態でサーミスタ素子を固定し、上記サーミスタ素子の上面に上部熱伝導体薄膜を設けるとともに、上記弾力性金属薄板とクッション材片と上部熱伝導体薄膜とを含めて耐熱性シートを下側から上側に折り返して巻き付けて保護フィルム部を形成してなり、上記サーミスタ素子を含むクッション材片の上面を上記保護フィルム部を介して回転体の表面に接触する状態に保持して、上記サーミスタ素子によって上記回転体の表面温度を測定する温度センサであって、その長手方向が上記回転体の回転軸と垂直になるように保持されることを特徴としている。
【0016】
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の温度センサに係り、上記クッション材片における上記熱伝導体薄膜の下部に空洞部を設けたことを特徴としている。
【0017】
【作用】
この発明の構成では、支持台の上面に無機質繊維抄成体からなるクッション材片を装着し、このクッション材片上にサーミスタ素子を固定したので、クッション材に基づく耐熱性の不足を解消して、温度センサの使用可能温度範囲を高くすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。説明は、実施例を用いて具体的に行う。
◇第1実施例
図1は、この発明の第1実施例である温度センサの構成を示す図である。この例は、固定された物体の表面温度検出用として用いられるものを示し、図1において、(a)は上面図、(b)はA−A側断面図を示している。
この例の温度センサは、図1に示すように、樹脂成形体101の上面に設けられた台形部102上に、ガラス等からなる無機質短繊維を抄紙工程によってフェルト状に集成した、無機質繊維抄成体(例えば商品名セラミックペーパー)からなるクッション材片103Aを固定し、クッション材片103A上に、例えばガラス封止型のサーミスタ素子104を接着等の方法で固定したものである。
サーミスタ素子104のリード線105、106は、クッション材片103Aを貫通したのち、樹脂成形体101に設けられた貫通穴107,108を通して、樹脂成形体101の下面に設けられた棒状の端子109,110に、ハンダ付け部111を設ける等の方法で接続されている。
また、端子109,110には、先端部を端子金具112によって端末処理された、外部リード線113,114が、×印で示すスポット溶接による溶接部115を設ける等の方法で固定されている。さらに、樹脂成形体101の一端には、取付穴116が設けられている。
【0019】
次に、図1を参照して、この例の温度センサの動作を説明する。この例の温度センサは、取付穴116を利用して、例えば図示されない、第1の従来例について説明した形式の、複写機の筐体の一部等に固定したとき、サーミスタ素子104ヲ含むクッション材片103Aの上面が、加熱体の表面の一部に押し当てられた状態に保持される。
これによって、加熱体の表面温度に応じて、サーミスタ素子104の抵抗値が変化するので、図示されない測定回路によって、この抵抗値の変化を検出することによって、加熱体の表面温度を測定することができる。
この際、クッション材片103Aとして、無機質繊維抄成体を用いたので、高い温度条件のもとでも確実に動作することができる。
また、クッション材片103Aは、サーミスタ素子104を柔軟に保持して、加熱体の表面に密着させるとともに、不必要に大きな力がサーミスタ素子や加熱体表面に加わらないようにする緩衝作用を行う。
【0020】
このように、この例の温度センサによれば、固定された物体の表面に押し当てるだけで、その表面温度を簡易に検出することができるとともに、高い使用温度条件のもとで、表面温度検出を行うことができる。
【0021】
◇第2実施例
図2は、この発明の第2実施例である温度センサの構成を示す図である。この例は、移動(回転を含む)する物体の表面温度検出用として用いられるものを示し、図2において、(a)は上面図、(b)はB−B側断面図を示している。
この例の温度センサは、図2に示すように、樹脂成形体201の上面に、中央部に例えば円筒状の空洞部222を有する、第1実施例の場合と同様な、無機質繊維抄成体からなるクッション材片202Aを固定し、クッション材片202A上に、空洞部222よりやや大きい径を有する、例えば円板状の熱伝導体薄膜221を、その中央部を空洞部222内に押し込むように取り付け、さらに熱伝導体薄膜221上に、サーミスタ素子203を接着等の方法で固定するとともに、樹脂成形体201の下側に耐熱性シートの一端を固定し、クッション材片202Aとサーミスタ素子203とを包囲して、温度センサの長手方向と垂直方向に耐熱性シートを巻き付けて、その他端を樹脂成形体201の下側に固定することによって、保護フィルム部204を形成して、サーミスタ素子203を絶縁するとともに、機械的に保護するようにしたものである。
樹脂成形体201の内部には、内部導体207,208が埋め込まれていて、樹脂成形体201の上下両面に設けられた溝部内に露出している。サーミスタ素子203のリード線205、206は、クッション材片202Aの内部を経て、樹脂成形体201の上面に設けられた溝部209,210内において、それぞれ内部導体207,208の一端に溶着されている。また、外部リード線211,212は、端子金具213,214によって端末処理されたそれぞれの先端部を、樹脂成形体201の上面に設けられた溝部215,216内に露出している、内部導体207,208の他端に、例えばスポット溶接によって形成された、×印で示す溶接部217,218を設ける等の方法で固定されている。さらに、樹脂成形体201の下面には、取付部219,220が設けられている。
【0022】
なお、この例において、熱伝導体薄膜221としては、例えば、アルミニウム(Al)等の金属箔や、ポリイミドフィルム,シリコンフィルム等の、熱伝導性のよい、薄い柔軟性のあるフィルム状の材料を用いることができる。
【0023】
次に、図2を参照して、この例の温度センサの動作を説明する。この例の温度センサは、取付部219,220を利用して、例えば図示されない複写機の筐体の一部等に対して、例えば温度センサの長手方向が、定着ヒートローラの回転軸と平行になるように固定し、サーミスタ素子203が、保護フィルム部204を介して、定着ヒートローラ(不図示)の表面に接触するように保持することによって、定着ヒートローラの表面温度に応じてサーミスタ素子203の抵抗値が変化するので、図示されない測定回路によって、この抵抗値の変化を検出することによって、定着ヒートローラの表面温度を測定することができる。
この際、クッション材片202Aとして、無機質繊維抄成体を用いたので、高い温度条件のもとでも確実に動作することができる。
またクッション材片202Aは、その柔軟性によって、サーミスタ素子203の部分を定着ヒートローラの表面に接触させたときの機械的追従性を保たせるとともに、装置に対する取付位置のずれに基づく特性変化を緩和する作用を行っている。さらに、保護フィルム部204は、定着ヒートローラの回転に基づくサーミスタ素子203の磨耗を防止するとともに、定着ヒートローラとの間の高電圧に対して、温度センサに絶縁性と耐圧性とを付与する作用を行っている。
【0024】
この際、熱伝導体薄膜221は、温度センサが接触している定着ヒートローラの表面から受ける熱を、均一にサーミスタ素子203に伝達する、集熱作用を行うことによって、サーミスタ素子203の、温度測定精度を向上させる作用を行っている。
また、クッション材片202Aには、熱伝導体薄膜221の下部に当たる部分に、空洞部222が設けられていて、熱伝導体薄膜221及び樹脂成形体201の上面とともに、密閉された空間を形成しているため、熱伝導体薄膜221によって伝導された熱の放散が少なくなるので、温度センサの測温精度が向上するとともに、熱伝導体薄膜221がクッション材片202Aに接触している場合と比較して、サーミスタ素子203に対するクッション材片202Aの熱容量の影響が小さくなるので、温度センサの温度測定時の応答性を向上し、時間的な遅れを少なくすることができる。
さらに、クッション材片202Aに対して、熱伝導体薄膜221を、その中央部を空洞部222内に押し込むように取り付けたので、定着ヒートローラと接触する、温度センサの上面が平坦になり、定着ヒートローラの回転に基づく保護フィルム部204の磨耗が少なくなって、サーミスタ素子が定着ヒートローラの表面を傷つける恐れが少なくなる。
【0025】
このように、この例の温度センサによれば、移動物体の移動表面に接触させるだけで、その表面温度を簡易に、計測することができるだけでなく、高い使用温度条件のもとで、表面温度検出を行うことができるとともに、温度測定を正確に、かつ迅速に行うことができ、さらに、移動物体の表面を傷つける恐れが少なくなる。
【0026】
◇第3実施例
図3は、この発明の第3実施例である温度センサの構成を示す図である。この例は、移動(回転を含む)する物体の表面温度検出用として用いられるものを示し、図3において、(a)は上面図、(b)はC−C側断面図を示している。
この例の温度センサは、図3に示すように、ステンレス又は燐青銅等の弾力性を有する金属の薄板からなる板バネ301を、樹脂成形体302の一端に対して、その一方の端部を埋め込んで固定するとともに、板バネ301の他方の端部の一方の面に、第1実施例の場合と同様な、無機質繊維抄成体からなるクッション材片303Aを固定し、クッション材片303Aの上面に、例えば円板状の熱伝導体薄膜304を取り付け、熱伝導体薄膜304上に、サーミスタ素子305を接着等の方法で固定したのち、さらに、例えば円板状の上部熱伝導体薄膜320を取り付けたものである。
なお、熱伝導体薄膜304,320には、第2実施例の場合の熱伝導体薄膜221と同様な材料が用いられる。
【0027】
樹脂成形体302の他端には、2個の端子板306,307が、それぞれ独立して埋め込まれていて、サーミスタ素子305の2本のリード線308,309は、樹脂成形体302の上面に設けられた溝部310,311を経て、それぞれ端子板306,307に接続されている。
この際、板バネ301の上面には、予め絶縁シート312がはり付けられていて、リード線308,309は、絶縁シート312によって、板バネ301との間の絶縁を保たれている。また、板バネ301の先端部には、クッション材片303Aとサーミスタ素子305,熱伝導体薄膜304,320とを含めて、耐熱性シートを、下側から上側に折り返して巻き付けることによって、保護フィルム部313を形成して、サーミスタ素子305を絶縁するとともに、機械的に保護するようになっている。さらに、端子板306,307には、外部リード線314,315が、被覆の除去等の処理を施したそれぞれの先端部を、×印で示すスポット溶接による溶接部316を設ける等の方法で固着して接続されているとともに、端子板と外部リード線の先端部には、絶縁チューブ317,318を被せて電気的絶縁と機械的保護を行うようになっている。
【0028】
次に、図3を参照して、この例の温度センサの動作を説明する。この例の温度センサは、取り付け穴319を利用して、図示されない複写機の筐体の一部等に、例えば板バネ301の長手方向が、定着ヒートローラの回転軸と垂直になるように固定されるが、この際、上部熱伝導体薄膜320の上面が、保護フィルム部313を介して、定着ヒートローラ(不図示)の表面に接触することによって、定着ヒートローラの表面温度に応じてサーミスタ素子305の抵抗値が変化するので、図示されない測定回路によって、この抵抗値の変化を検出することによって、定着ヒートローラの表面温度を測定することができる。
この際、クッション材片303Aとして、無機質繊維抄成体を用いたので、高い温度条件のもとでも確実に動作することができる。
クッション材片303Aは、その柔軟性によって、サーミスタ素子の部分を定着ヒートローラの表面に接触させたときの機械的追従性を保たせるとともに、装置に対する取付位置のずれに基づく特性変化を緩和する作用を行っている。さらに、保護フィルム部313は、定着ヒートローラの回転に基づくサーミスタ素子305の磨耗を防止するとともに、定着ヒートローラとの間の高電圧に対して、温度センサに絶縁性と耐圧性とを付与する作用を行っている。
【0029】
この際、熱伝導体薄膜304は、温度センサが接触している定着ヒートローラの表面から受ける熱を、均一にサーミスタ素子305に伝達する、集熱作用を行うことによって、サーミスタ素子305の、温度測定精度を向上させる作用を行っている。
さらに、熱伝導体薄膜304の上部に当たる部分に、サーミスタ素子305を含めて、上部熱伝導体薄膜320が設けられているので、サーミスタ素子305の、温度測定精度をより向上させることができるとともに、定着ヒートローラと接触する、温度センサの上面が平坦になるので、定着ヒートローラの回転に基づく保護フィルム部313の磨耗が少なくなって、サーミスタ素子が定着ヒートローラの表面を傷つける恐れが少なくなる。
【0030】
このように、この例の温度センサによれば、移動物体の移動表面に接触させるだけで、その表面温度を簡易に、計測することができるだけでなく、高い使用温度条件のもとで、表面温度検出を行うことができ、さらに、温度測定を正確に行えるとともに、移動物体の表面を傷つける恐れが少なくなる。
【0031】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られたものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、第1実施例の場合に、サーミスタ素子の104の下部、又は下部と上部に熱伝導体薄膜を設けることによって温度測定精度を向上することができ、また、下部となる熱伝導体薄膜の下部に空洞部を設けることによって、温度測定精度と温度測定時の応答性とを向上することができる。また、第2実施例の場合に、サーミスタ素子203の上部に、上部熱伝導体薄膜を設けることによって、温度測定精度をより向上することができる。さらに、第3実施例の場合に、熱伝導体薄膜304の下部に空洞部を設けることによって、温度測定時の応答性を向上することができる。これらの場合、空洞部の形状としは、円筒状に限らず、四角筒状乃至多角筒状や不整形筒状であってもよい。また、この空洞部は、密閉された構造を有することが最も望ましいが、必ずしもこれに限るものではなく、例えば下端が開放又は半密閉の構造である場合でも、少なくとも、サーミスタ素子を支持する熱伝導体薄膜がクッション材片に接触しないことによる、熱容量減少の効果を得ることができ、温度センサの応答速度を向上させることが可能となる。熱伝導体薄膜221,304及び上部熱伝導体薄膜320は、円板状に限らず、四角形板状乃至多角形板状又は不整形板状でもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の温度センサでは、サーミスタ素子を保持するためのクッション材片として、無機質繊維抄成体を用いたので、高い使用温度条件のもとで、表面温度検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例である温度センサの構成を示す図である。
【図2】この発明の第2実施例である温度センサの構成を示す図である。
【図3】この発明の第3実施例である温度センサの構成を示す図である。
【図4】従来の表面温度検出用温度センサの第1の例を示す図である。
【図5】従来の表面温度検出用温度センサの第2の例を示す図である。
【図6】従来の表面温度検出用温度センサの第3の例を示す図である。
【符号の説明】
102 台形部(支持部)
103A,202A,303A クッション材片
103A,202A,303A クッション材片
104,203,305 サーミスタ素子
201 樹脂成形体(支持部)
221,304 熱伝導体薄膜
222 空洞部
301 板バネ(支持部)
320 上部熱伝導体薄膜

Claims (6)

  1. 樹脂成形体からなる支持部の上面に台形部を設け、該台形部上に無機質繊維を抄紙工程によってフェルト状に集成した無機質繊維抄成体からなるクッション材片を装着し、該クッション材片上に熱伝導体薄膜を介在させた状態でサーミスタ素子を固定するとともに前記サーミスタ素子上に上部熱伝導体薄膜を設け、前記クッション材片における前記熱伝導体薄膜の下部に空洞部を設けてなり、前記サーミスタ素子を含むクッション材片の上面を固定体の表面に押し当てた状態に保持して、前記サーミスタ素子によって前記固定体の表面温度を測定することを特徴とする温度センサ。
  2. 前記クッション材片上に熱伝導体薄膜を介在させた状態で前記サーミスタ素子を固定するとともに、前記クッション材片における前記熱伝導体薄膜の下部に空洞部を設けたことを特徴とする請求項1記載の温度センサ。
  3. 樹脂成形体からなる支持部の上面に無機質繊維を抄紙工程によってフェルト状に集成した無機質繊維抄成体からなるクッション材片を装着して、該クッション材片上に熱伝導体薄膜を介在させた状態でサーミスタ素子を固定し、前記クッション材片における前記熱伝導体薄膜の下部に空洞部を設けるとともに、前記樹脂成形体とクッション材片とサーミスタ素子とを含めて耐熱性シートを該温度センサの長手方向と垂直方向に巻き付けて保護フィルム部を形成してなり、前記サーミスタ素子を含むクッション材片の上面を前記保護フィルム部を介して回転体の表面に接触する状態に保持して、前記サーミスタ素子によって前記回転体の表面温度を測定する温度センサであって、その長手方向が前記回転体の回転軸と平行になるように保持されることを特徴とする温度センサ。
  4. 前記サーミスタ素子上に上部熱伝導体薄膜を設けたことを特徴とする請求項3記載の温度センサ。
  5. 弾力性金属薄板からなる板バネの上面に無機質繊維を抄紙工程によってフェルト状に集成した無機質繊維抄成体からなるクッション材片を装着して、該クッション材片上に熱伝導体薄膜を介在させた状態でサーミスタ素子を固定し、前記サーミスタ素子の上面に上部熱伝導体薄膜を設けるとともに、前記弾力性金属薄板とクッション材片と上部熱伝導体薄膜とを含めて耐熱性シートを下側から上側に折り返して巻き付けて保護フィルム部を形成してなり、前記サーミスタ素子を含むクッション材片の上面を前記保護フィルム部を介して回転体の表面に接触する状態に保持して、前記サーミスタ素子によって前記回転体の表面温度を測定する温度センサであって、その長手方向が前記回転体の回転軸と垂直になるように保持されることを特徴とする温度センサ。
  6. 前記クッション材片における前記熱伝導体薄膜の下部に空洞部を設けたことを特徴とする請求項5記載の温度センサ。
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