JP3786676B2 - 施肥機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペースト肥料等を地中に注入施肥する施肥機の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、走行機体の両側で施肥ノズルを上下運動させながら肥料ポンプで圧送されるペースト肥料等の流動性肥料を施肥ノズルによって地中に点状に施肥する施肥部を具えた施肥機は、この施肥部が走行機体の伝動ケースの出力軸に所定の固定された間隔で設けられた伝動構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の構造による施肥機は、施肥する幅が機体の両側に規定されているので、所定の巾よりも広く作付けされた作物列に対して正確に施肥することができず、広巾に施肥可能に構成された施肥機を別途準備して施肥作業を行なわねばならない等の問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の施肥機は、走行機体(1) の両側に突出させた出力軸(21)に、ユニバーサルジョイント (7) を有する拡縮継手機構 (8) を介してガイド板 (5c) に沿って上下動する施肥ノズル (5b) を備えた施肥部 (5) を連結して前記施肥部 (5) の狭巾施肥位置と広巾施肥位置とを切換え自在にした施肥機において、前記出力軸 (21) 及び前記拡縮継手機構 (8) を、エンジン (4) からの動力を伝達する動力伝動部 (12) を覆う伝動ケース (16) の上部側に位置させ、かつ、前記ガイド板 (5c) の内側の中央部に枢支した支持軸 (51) を、前記伝動ケース (16) の下部に設けた調節筒 (16a) 内にスライド自在に嵌挿して前記施肥部 (5) を垂直施肥姿勢と傾斜施肥姿勢とに切換え可能したことを特徴としている。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び2において、1は施肥機Aの走行機体であって、左右の走行車輪2を具えた機体フレーム3の前部にエンジン4を搭載し、その上方には肥料タンク4aや燃料タンク4b等が配設している。また、機体フレーム3の後端部には尾輪2aを装着し、その上方には操作ハンドル3aが立設している。
【0006】
そして走行機体1の後部には図3に示すようにクランク機構5aで上下揺動往復運動する施肥ノズル5b及びガイド板5c等からなる施肥部5(図3)を機体の両側に後述する構成によって設置していると共に、前記車輪2には駐車ブレーキ機構6を設けている(図11)。
上記施肥部5の伝動構成について説明すると、エンジン4からの動力伝動部12を介して機体の左右両側に設けた施肥ノズル5bがガイド板5cの案内溝15に沿って上下動する。16は上記動力伝動部12を覆う伝動ケースであって、この伝動ケース16に施肥ノズル5bが上記動力伝動部12を介して取付けられている。
【0007】
この動力伝動部12は、伝動ケース(ミッションケース)17側の入力軸18と動力伝動部12側の伝動シャフト19とが、ベルト伝動機構20を介して連動連結されており、更に、この伝動シャフト19と伝動ケース16の上部側に設けた施肥ノズル5bの駆動軸である出力軸21との間をチェン伝動機構22を介して連結している。
【0008】
なお、23(図2)は出力軸21に設けたチェンスプロケット、24は上記入力軸18と伝動シャフト19とを支持するリンクアーム、25はベルト伝動機構20のテンションプーリであって、このテンションプーリ25が操作ハンドル3aに設けた操作レバー26にワイヤ27で連結されており、この操作レバー26の操作により、エンジン4からの動力を断続するように構成している。
【0009】
前記施肥部5は、従来の装置と同様な構成によりエンジン4で駆動される施肥ポンプ9によって、肥料タンク4a内に収容されているペースト肥料を送給管等を介して前記施肥部5に圧送し、施肥ノズル5bの上下往復動のタイミングに合わせてこの施肥ノズル5bが最下位置で地中に突入したときその先端部からペースト肥料を吐出して所定の深さに施肥することができるようにしている。
【0010】
次に、施肥部5の構成について説明する。
この施肥部5は図2及び図3に示すようにクランク機構5aのクランク軸(入力軸)50が前記出力軸21とユニバーサルジョイント7を有する拡縮継手機構8を介して伝動連結されており、ガイド板5cの内側の中央部に枢支した支持軸51を伝動ケース16の下部に設けた調節筒16a内に嵌挿してスライド自在に固定できるようになっている。そして図3の左側の施肥部5のように略垂直状の点注施肥を行なう垂直施肥姿勢と、右側の施肥部5に示ように外側に張出して傾斜した姿勢に調節して機体から離間した位置に斜め方向に点注施肥を行なう傾斜施肥姿勢とに切換えできるように構成している。
【0011】
即ち、前記拡縮継手機構8は図4に示すように伝動ケース16からユニバーサルジョイント7の前後を覆うように突設したホルダ80に対してガイド板5cの内側から突出させた二又の支持片81を、回動取付軸82によって前記ユニバーサルジョイント7の自在軸70と軸芯を一致させて回動及び着脱可能に取付けていることにより、前記両姿勢への切換えと支持を安定して行なうことができるように構成している。
【0012】
また、この拡縮継手機構8は前記回動取付軸82を取外すと共に出力軸21とユニバーサルジョイント7を連結している連結ピン71を抜くことにより、図5に示すように施肥部5を伝動ケース16から取外すことができるよう構成しており、この状態で図6及び図7に示すように延長軸83を出力軸21に連結ピン71を差し込んで連結するようにしている。
【0013】
そしてホルダ80のものと同様な回動孔85aを有する延長ホルダ85を、前記ホルダ80に重ねて取付ネジ86によって取付けたのち、ユニバーサルジョイント7を延長軸83の軸端に延長連結ピン87を差込んで連結し、支持片81を延長ホルダ85の回動孔85aと回動取付軸82を介して取付けて施肥部5を図8に示すように、伝動ケース16から機体外側に向けて前記延長軸83長さ分だけ機体から広巾な間隔に取付け変更することができるようにしている。
【0014】
なお、図6及び図8に示す85Rは芯出治具であって、これより突出している軸dを矢印で示すようにボスに嵌入した状態で延長ホルダ85に設けたボルト孔bにこの治具85Rに設けた孔aとを合わせてボルトで締結することによって連結部分の芯合わせを行うことができる。
以上のように拡縮継手機構8を具えた施肥機Aは、ユニバーサルジョイント7を出力軸21に図4に示すように連結したこときは、左右の施肥部5を図3で示す狭巾施肥位置に縮小状させて施肥ノズル5bから肥料を施肥できる。
【0015】
また、ユニバーサルジョイント7を延長軸83を介して出力軸21に連結したときは(図6,7,8)、左右の施肥部5を図9で示す広巾施肥位置に拡大させて施肥ノズル5bから肥料を施肥することができることになる。
従って、この施肥機Aによれば、通常行なわれる狭巾位置における標準的な点注施肥作業を良好に行なうことができる。更に広巾な間隔で点注施肥作業を行ないたい場合は、同一な機体を使用して出力軸21及び施肥部5の伝動基部に設けた拡縮継手機構8を前記したような簡単な調節操作することによって、施肥部5全体を広巾位置に設けることができることから、施肥ノズル5bによる広巾点注施肥作業を同一の施肥機Aを使用して行なうことができる利点がある。
【0016】
また、狭巾と広巾との施肥作業において、拡縮継手機構8は同一なユニバーサルジョイント7を使用して同様な操作による傾斜点注施肥を行なうことを可能にしているので、広巾施肥位置においても図9に示すように施肥部5を支持して施肥ノズル5bによる施肥を良好に行なうことができる。
次に、施肥機Aの走行部に構成した駐車ブレーキ機構6について図10〜図12を参照して説明する。
【0017】
この駐車ブレーキ機構6は、車輪2の後方で機体フレーム3の前後部に設けた支持ブラケット30,31に前後方向にスライド可能に嵌挿支持した棒状のロック部材60と、上記車輪2の車軸20に固着した円板状のロック板61の外周に側方に向けて屈曲させたロック片62を複数形成したロック体63で構成している。なと、このロック体63はスプリング性を持つ薄い金属板で構成したものでロック片62に強い力が作用すると撓むことができるようになっている。
【0018】
上記ロック部材60は、操作ハンドル3aの下方側においてその端部を屈曲させたレバー部6aを形成しているとともに、軸部にピン65,66を支持ブラケット31の前後に植設して、ピン65と支持ブラケット31との間に拡張スプリング67を嵌挿し、この拡張スプリング67に抗してレバー部6aを引き動作したロック解除姿勢において、支持ブラケット31に形成した係合部32に上記ピン66を切換可能に係合させて上記ロック解除姿勢を保持するように構成している。
【0019】
また、ロック部材60の前端部には、ピン66が係合部32から外されて拡張スプリング67の自由長の付勢状態において、ロック片62の回転軌跡内に突入することによってロック体63のロック片62と係合して車輪2の回転を固定するロック姿勢に維持させるロック部68を形成している。
以上のように構成された駐車ブレーキ機構6を具えた施肥機Aは、施肥作業時にはロック部材60をロック解除姿勢に切換えておくことにより走行を円滑に行なうことができる。
【0020】
そして、機体の駐車時にはロック部材60をロック姿勢に切換えるとロック部68がスプリング状のロック片62に接当するので、簡潔な構成でありながら機体を確実に停止させることができる。
また、この駐車ブレーキ機構6はロック板63を伝動ケース17の底部と車輪2との間に形成された空間部を利用して車軸20に固着させるとともに、ロック部材60は機体フレーム3の腹部に沿わせて操作ハンドル3a側から操作可能に設置させることができるので、この駐車ブレーキ機構6の構造を極めて簡単な構成で、廉価に製作することができるものである。そしてまた、狭小な車輪2間においてもコンパクトに他の部品の邪魔になることなく駐車ブレーキ機構6を設置することができるから、小型の走行車において好適な駐車ブレーキ機構6を提供することができる等の利点がある。
【0021】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、走行機体1の両側に拡縮継手機構8を介して施肥部5を設けたことにより、同一の施肥機を使用して狭巾な間隔で両施肥ノズル5bから施肥を行なうことができるとともに、拡縮継手機構8を調節することにより両施肥ノズル5bで広巾な間隔で施肥することができるので、広範な施肥作業を能率よく廉価に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】施肥機の伝動構造を示す側面図である。
【図2】施肥機の施肥構造を示す側面図である。
【図3】図1の施肥機の背面図である。
【図4】狭巾施肥位置における拡縮継手機構の平面図である。
【図5】図4の施肥部を分解して示す側面図である。
【図6】出力軸に延長軸を取付ける状態を示す平面図である。
【図7】延長軸にユニバーサルジョイントを取付ける状態を示す平面図である。
【図8】広巾施肥位置における施肥部の組立図である。
【図9】広巾施肥位置における施肥作業を示す背面図である。
【図10】駐車ブレーキ機構の構造を示す側面図である。
【図11】図10の平面図である。
【図12】図10の背面図である。
【符号の説明】
1 走行機体 2 車輪
3 機体フレーム 5 施肥部
5b 施肥ノズル 6 駐車ブレーキ機構
7 ユニバーサルジョイント 8 拡縮継手機構
9 施肥ポンプ 20 車軸
60 ロック部材 62 ロック片
63 非ロック部材
Claims (1)
- 走行機体(1) の両側に突出させた出力軸(21)に、ユニバーサルジョイント (7) を有する拡縮継手機構 (8) を介してガイド板 (5c) に沿って上下動する施肥ノズル (5b) を備えた施肥部 (5) を連結して前記施肥部 (5) の狭巾施肥位置と広巾施肥位置とを切換え自在にした施肥機において、前記出力軸 (21) 及び前記拡縮継手機構 (8) を、エンジン (4) からの動力を伝達する動力伝動部 (12) を覆う伝動ケース (16) の上部側に位置させ、かつ、前記ガイド板 (5c) の内側の中央部に枢支した支持軸 (51) を、前記伝動ケース (16) の下部に設けた調節筒 (16a) 内にスライド自在に嵌挿して前記施肥部 (5) を垂直施肥姿勢と傾斜施肥姿勢とに切換え可能したことを特徴とする施肥機。
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JP20680198A JP3786676B2 (ja) | 1998-07-22 | 1998-07-22 | 施肥機 |
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