JP3785621B2 - 防雪柵 - Google Patents
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Description
【発明の目的】
この発明は、道路や駐車場、その他の防雪対象地上部の風上側に設置され、吹雪による防雪対象地上部への雪の吹き溜まりや積雪、ホワイトアウト現象等の発生を防止可能とする防雪施設に関するものであって、特に、歩道を行き交う歩行者への強風や吹雪の吹き付け等を防止することも可能にするようにした新規な構造からなる防雪柵を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
気温が氷点下で雪が降った直後に強風に見回れると、粉状の新雪が強い風の吹き付けによって吹き飛ばされ、地表から1〜2mの範囲に粉雪が舞い上がって極めて濃い霧状となって視界を完全に遮ってしまう地吹雪が発生し、これに降雪を伴ってしまうと降ってきた雪粒も加わって状況は最悪で、路上の吹き溜まりや視界不良によって交通障害を引き起こし、脱輪や衝突事故を多発するだけではなく、通行止めとなって産業活動に多大の損害をもたらしたり、閉じ込められた車の中でガス中毒死や凍死に至らしむることさえも稀ではない。
【0003】
吹雪による道路上への雪の吹き溜まりや視程の減少を防止し、良好な交通を確保すると共に、除雪作業を軽減する手段として多種、多様な防雪柵が開発、実用化されており、特に最近主流をなす防雪柵としては、風を集めて路面に吹き付け、路面に溜まる雪を吹き払ってしまう、所謂吹き払い式防雪柵があり、風を集める風受け板(別称、整流板、防雪板等)に工夫を加えたものとして、例えば、特開平10−292319号公報に開示された整流板を湾曲形状とすることによって整流効果を高め、風速を向上して路面上の積雪を効率的に拭き払うことができる「拭払式防雪柵」発明をはじめ多数があり、また、不要時(降雪時期以外の期間)の景観維持のために分解、収納に特徴のあるものとしては、例えば、特開平7−62614号公報記載の発明のように、冬期以外の不要期間には、道路脇の法面に沿って略路面に面一状とするように収納可能とし、車両通行の邪魔にならないよう構成した「防雪柵装置」外多数があり、更には、登録実用新案第3061355号「下部閉塞吹き払い防雪柵」考案に提案のあるように、従来からの全面吹き払い構造の防雪柵を改良し、上部だけは従前からの吹き払い式防雪柵とするものの、下部は地上から略垂直に立ち上げた壁状の閉塞板とし、防雪柵際の地上部近くを強風から守るようにしたもの等も散見される。
【0004】
しかし、従前からのこれら吹き払い式防雪柵は、いずれも通行車両の視界以下となる地上1〜1.2m前後の範囲に整流板または防雪板を設けず、下部間隙を形成して同下部間隙の上側に上下複数枚の防雪板を夫々横架する略門型構造をなすよう形成されたものとなっていて、歩道を有する通学路や生活道路に設置された場合には、地上1〜1.2m前後のところを強風が拭き抜け、凍結や積雪した歩道路面を歩く比較的体の小さな小学生や高齢者等が強風に煽られてしまい、自動車や大型トラック等が頻繁に走行する車道の傍らであるにも拘らず、安全な通行を確保することができなくなることが危惧されるものであった。
【0005】
このような懸念を払拭するものとして、前記したとおり、従前からの吹き払い式防雪柵を改良した実用新案登録第3061355号公報掲載の「下部閉塞吹き払い防雪柵」考案では、確かに下部間隙を平板状の下部閉塞板によって閉塞してあって、歩行者を強風や吹雪から保護できるように配慮したものとはなっているものの、このように下部間隙を完全に閉塞したままの構造としてしまうものでは、単に整流板等のない(路面等の雪を吹き払う上で必要がない)箇所である防雪柵下部の間隙を、整流板等とは関係のない防風板で閉塞したに過ぎない、換言するならば、空いている空間を板で蓋をしたに過ぎない程度の改良技術であって、防雪柵が設置される地域の風況や地形の違い、あるいは防雪柵際となる路面の用途の違い等に応じ、下部閉塞板の取付け構造を最適な状態に変更、対応するようにすることが不可能なものであって、実用上で問題があるだけではなく、現場における施工においても、施工内容が違って作業効率を落すと共に、部品点数も増えるという不都合も加わり、全体として不経済なものになってしまうという欠点があった。
【0006】
この発明は、以上のように吹雪が発生したときに、道路上の積雪を吹き払い、視界を確保して車両の安全な通行を可能とする防雪柵が、歩道の有無や地域毎の吹雪の発生条件、平地や山間部等の地形の変化等に応じて、下部間隙の形状や開度を変更することができず、様々な地理的条件を考慮した上で、多様な構造の防雪柵の中から、設置個所に最適なものを選択しなければならず、選定に多大な時間と労力とを要するものとなってしまい、しかも一旦選択を誤ると、構造の見直し変更が困難であるという事情に疑問を抱き、同一の構造であっても地理的条件や歩行者の有無等に随時対応して吹止め、吹払い、吹抜け等の設定変更を可能にすることはできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の防雪柵を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【0007】
【発明の構成】
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明に包含される防雪柵は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、道路等防雪対象地上部の風上側に沿って所定間隔を隔て鉛直状に立設した複数本の支柱の隣接する支柱間夫々に、上下複数枚を一組とした防雪板を横架状に配設するものとし、それら一組の防雪板の中、少なくとも地上から1〜2m前後の所定範囲までに属すこととなる一枚またはそれ以上の防雪板夫々と、その両端に位置する各支柱との間には、各防雪板が略垂直状となる吹止め姿勢、下端縁を風下側に30゜〜45゜前後の角度に傾斜させて半開放状とする吹払い姿勢、略水平状として全開放状とする吹抜け姿勢の三態の姿勢の全ての姿勢に適宜選択的に変更、仮固定可能とする開閉角度調節機構を設けてなるものとした構成を要旨とする防雪柵である。
【0008】
この基本的な構成からなる防雪柵には、道路等防雪対象地上部の風上側に沿って所定間隔を隔て鉛直状に立設した複数本の支柱の隣接する支柱間夫々に、上下複数枚を一組とした防雪板を横架状に配設するものとし、それら一組の防雪板の中、少なくとも地上から1〜2m前後の所定範囲までに属すこととなる一枚またはそれ以上の防雪板夫々と、その両端に位置する各支柱との間には、各防雪板が略垂直状となる吹止め姿勢、下端縁を風下側に30゜〜45゜前後の角度に傾斜させて半開放状とする吹払い姿勢、略水平状として全開放状とした吹抜け姿勢とする三態の姿勢の全ての姿勢、または何れかが吹払い姿勢を除いた二態の姿勢に適宜選択的に変更、仮固定可能とする開閉角度調節機構を設けてなるものとした防雪柵が包含されている。
【0009】
上記構成からなる防雪柵は、より具体的には、道路等防雪対象地上部の風上側に沿って所定間隔を隔て鉛直状に立設した複数本の支柱の隣接する支柱間夫々に、上下複数枚を一組とした防雪板を横架状に配設するものとし、それら一組の防雪板の中、少なくとも地上から1〜2m前後の所定範囲までに属すこととなる一枚またはそれ以上の防雪板は、全てまたは一部を垂直状姿勢としたときに所定範囲を実質的に一枚板状の吹止め壁状となし得るよう、相互の上下間隔が規制された寸法に設定されると共に、それら防雪板夫々と、その両端に位置する各支柱との間には、各防雪板が略垂直状となる吹止め姿勢、下端縁を風下側に30゜〜45゜前後の角度に傾斜させて半開放状とする吹払い姿勢、略水平状として全開放状とした吹抜け姿勢とする三態の姿勢の全ての姿勢、または何れかが吹払い姿勢を除いた二態の姿勢に適宜選択的に変更、仮固定可能とする開閉角度調節機構を設けてなる構成とした防雪柵ということができる。
【0010】
支柱は、上下複数枚一組の防雪板の両端を、各防雪板の所望する高さ位置毎に強風や着雪に耐える十分な強度をもって支持する機能を果たすものであり、少なくとも二本一対が、防雪板を横架状に支持できる間隔を隔てて略鉛直状に立設させたものとし、さらに、同様の間隔を隔てて複数本が略一線状に林立するよう設置して隣接する支柱間の夫々に一組ずつの防雪板を装着できるよう形成したものにすると共に、各防雪板端部との間に防雪板の開閉角度を適宜調節可能とする開閉角度調節機構を組み込んだものとしなければならず、夫々が一本の柱状に形成されたもの、あるいは複数本の棒体を一体に組み合わせて骨格状の枠型柱状に形成したもの等とすることが可能であり、冬期以外の不要期間は、折り畳んで小型化できる折り畳み機構や、分解して撤去できるようにした分解機構等を組み込んだものとすることができる。
【0011】
防雪板は、略垂直姿勢に支持されることにより、風上から吹き付ける風雪を堰止めて道路等防雪対象地上部への風雪の吹き付けを阻止し、また、略水平姿勢に支持されたときには、風上から吹き付ける風をそのまま通過させてしまうものとなり、さらに、下端縁を風下側に所望角度傾斜させた姿勢とすることにより、風上から吹き付ける風雪を道路等防雪対象地上面へ向けて強制的に誘導、吹き付け、同防雪対象地上面へ降り積もろうとする雪を吹き払い、その積雪を阻止するという三態に対応した機能を選択的に果たし得るものであり、風雪による風圧や着雪による荷重、凍結等に耐える十分な強度を有する素材および構造を有するものとしなければならず、必要に応じて網目や多数の小孔を穿孔する等して通気性を確保したり、透光性を有する素材を用いることも可能であり、上下複数枚の中、所定範囲内の複数枚の防雪板は、夫々両端支柱への取着部が、その上下間隔を防雪板の上下巾に略匹敵する寸法から、その略半分に相当する寸法までのものに規制されてなるものとすることができる。
【0012】
したがって、防雪板は、上下複数枚を略垂直状の姿勢としたときに、上下所定範囲内の互いに一部重なり状となった吹止め壁状とする構造や、連続する端部同士を略一直線状に連続する構造とすることが可能であり、また、所定範囲内全ての防雪板を吹止め姿勢とした吹止め壁状と、一枚を吹抜け姿勢とし、その上下のものだけを吹止め姿勢とした吹止め壁状とすることも可能である。さらに、最上位の防雪板が水平となって、所定範囲外の斜設防雪板からの吹払い風が人に当たらないよう廂的機能を果たすようにすることも可能であり、勿論全ての防雪板が角度調節可能となる構造とすることができる。
【0013】
開閉角度調節機構は、支柱間にある各防雪板の各支持姿勢を必要に応じて個別に適宜変更、および仮固定可能とする機能を果たすものであり、防雪板が略垂直状となる吹止め姿勢、下端縁を風下側に30゜〜45゜前後の角度に傾斜させて半開放状とする吹払い姿勢、略水平状として全開放状とした吹抜け姿勢とする三態の姿勢の全ての姿勢、または何れかが吹払い姿勢を除いた二態の姿勢に適宜選択的に変更、仮固定可能とするものとしなければならない。
【0014】
しかも、隣接する支柱間の上下複数枚を一組とした防雪板であって、所定範囲内の複数枚の防雪板は、その中の最上位の防雪板だけが、三態全ての姿勢に適宜選択的に変更、仮固定可能とする開閉角度調節機構を付設したものとし、その他の防雪板は吹抜け姿勢を除いた二態の姿勢に適宜選択的に変更、仮固定可能とするようにしたものや、あるいは、上下所定範囲内の複数枚の防雪板は、夫々両端支柱への取着部に開閉角度調節機構が組み込まれ、それら各開閉角度調節機構が、支柱中途部適所に防雪板の回動軸心に略垂直に交叉するよう固着、一体化されたフランジ部と、防雪板の左右端縁中央に略同心状に突設された四角柱型の支持軸部に、水平方向断面が略U形に形成され、支持軸部を90゜単位の角度姿勢毎に回動不能に連結可能とする嵌合部を有し、該フランジ部に対し、略U型断面の開口を鉛直上方に向けた姿勢か、もしくは風上方向に30゜〜45゜前後の角度に傾けて上方向に向けた姿勢の何れかにボルト・ナットを用いて選択的に仮固定可能とした回動取付け金具部とからなるものに形成されたものとすることができる。
【0015】
また、開閉角度調節機構は、隣接する支柱間の上下複数枚を一組とした防雪板中、最下位に位置する防雪板を支持する最下位の開閉角度調節機構のみが、支柱中途部適所に対してフランジ部が、防雪板の回動軸心に略垂直に交叉するよう固着、一体化され、防雪板の左右端縁中央に略同心状に突設された四角柱型の支持軸部を、90゜単位の角度姿勢毎に回動不能に連結可能とするよう水平方向断面が略U形に形成された嵌合部の複数を、それよりも上方の個所から取り外され、垂直状の姿勢とした複数枚の防雪板が、積層状に保持可能となるよう、夫々の略U型断面の開口を鉛直上方に向けた姿勢として該フランジ部の風上側から風下側に略水平状に連なるよう形成してなるものとすることができる。
以下、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述していくこととする。
【0016】
【実施例】
図1の防雪柵の正面図、図2の防雪柵の側面図、図3の上部に配置された防雪板一部の斜視図、図4の下部に配置された防雪板一部の斜視図、図5の開閉角度調節機構の斜視図、図6の分解された開閉角度調節機構の斜視図、図7の支柱を挟んで設けられた開閉角度調節機構の斜視図、図8の支柱を挟んで設けられた開閉角度調節機構の断面図に示される事例は、上下複数枚を一組とした防雪板を一対の支柱間の地上面付近から上端付近にかけて横架状に配設し、地上面付近から1〜2m前後の所定範囲に属する防雪板、およびそれよりも上方に位置するその外の防雪板の夫々の端部と、各支柱との間に、各防雪板の角度姿勢を適宜変更可能とする開閉角度調節機構を設けた基本的構成からなるこの発明に包含される防雪柵における代表的な一実施例を示すものである。
【0017】
当該防雪柵1は、歩道を有する道路(防雪対象地上部)の風上側に沿って設置されたものとなっており、歩道脇に沿って所定間隔を隔てた位置の夫々に、図1および図2中に示されるように、地中に埋設された基礎ブロック21、および同基礎ブロック21の略中央を貫通して地盤中に強固に固定された基礎杭22を設け、各基礎杭22の上端側には、アンカーボルト23を介して下部支柱24およびその上部に連結された上部支柱25からなる支柱2,2が確りと立設状に支持されたものとなっている。
【0018】
下部支柱24は、後述する防雪板3の巾寸法よりも僅かに長い高さ寸法に設定され、風上側に立設された棒状枠部26と、これと同一の長さ寸法に設定され、所定間隔を隔て風下側に平行状に立設、配置された棒状枠部27とを有し、各棒状枠部26,27の下端部には一枚の下部ベースプレート28が、上端にも一枚の上部ベースプレート28が夫々水平状に結合され、該下部ベースプレート28がアンカーボルト23を介して基礎ブロック21および基礎杭22に結合されたものとなっており、棒状枠部26,27の上下略中央となる位置には、開閉角度調節機構4の一部を形成するフランジ部41が掛け渡し状に一体化されたものとなっている。
【0019】
上部支柱25は、防雪板3巾寸法の4枚分よりも僅かに長い高さ寸法に設定した風上側の棒状枠部26と、これに所定間隔を隔てた風下側に、略同様の高さ寸法に設定され、平行状に配置された棒状枠部27とを有し、該棒状枠部27の上端が風上側に向けて折曲されて棒状枠部26の上端に結合することにより骨格枠形状となし、左右上部支柱25,25上端間に連結パイプ29を横架して門型構造に形成されている。風上風下の棒状枠部26,27間の上下所定間隔毎の四個所には、夫々開閉角度調節機構4の一部を形成するフランジ部41,41,……が掛け渡し状に一体化されたものとなって前後の棒状枠部26,27を一体に連結したものとなっている。
【0020】
防雪板3は、所定間隔を隔てて隣接する一対の支柱2,2間に横架状となる長さと、所定巾寸法とに設定された略長方形状であって水平方向断面が、図3中に示すように、波板状の凹凸断面形に形成され、左右両端部の夫々には、補強枠31,31が結合され、各補強枠31の略中央には、開閉角度調節機構4の一部を形成する略角柱状の支持軸部32,32が、水平且つ同心状に突設されたものとなっている。さらに、防雪板3,3,……の中、下側に配置される二枚は、図4中に示すように、僅かな通気を可能とするよう多数の小孔が穿孔されている。
【0021】
各防雪板3と、支柱2との間には、夫々開閉角度調節機構4が設けられており、この中、下部支柱24,24と防雪板3との間に夫々設けられた左右の開閉角度調節機構4は、図2および図12の防雪柵の側面図に示されるように、互いに左右対象形状であって、フランジ部41の側面に、支持軸部32の角柱断面形状を上方から嵌合状に装着可能とする、略U型状に形成された嵌合部42,42,……の五個が、風上側の棒状枠部26から風下側の棒状枠部27までの間に、略水平状に配列され、互いの間隔を防雪板3の厚み寸法を僅かに越える寸法に設定したものとし、左右何れか同心状となる一対の嵌合部42,42間に防雪板3を90゜単位毎に角度調節可能とするよう仮固定可能な構造とした上、冬期以外の取り外された、上段に設置される四枚の防雪板3,3,……を、風上側の棒状枠部26から風下側の棒状枠部27までの間に、縦姿勢に積層状とするよう横架、収納可能な構造となっている。
【0022】
防雪板3支持軸部32,32の夫々には、その四角形断面を十字状に貫通する固定孔が穿孔されており、また、嵌合部42,42の略U型状断面の対応する底面個所にも同様の固定孔が穿孔され、これら固定孔同士を同心状に配置して抜け止め構造を有する図示しない仮固定ピンを装着して脱抜不能に仮固定するものとなっており、したがって、下部支柱24,24間に横架された防雪板3は、その開閉角度調節機構4,4により、垂直状の吹止め姿勢と、水平状の吹抜け姿勢との何れかの姿勢を任意に選択して仮固定することができるものとなる。
【0023】
また、上部支柱25,25と四枚の防雪板3,3,……との間の夫々の個所には、構造を変更したことにより、前述のような複数枚の防雪板3を収納する構造をもたず、防雪板3を傾斜状の姿勢に支持可能とした開閉角度調節機構4が設けられ、その構造は、防雪板3を挟んで左右対象形状となっており、各フランジ部41は、図5および図6中に示すように、防雪板3の回動軸心に垂直状に交叉するよう配置、形成され、フランジ部41と支持軸部32との間には、フランジ部41に接合する円盤部45と、水平方向断面がU形で、支持軸部を90゜単位の角度姿勢毎に回動不能に連結可能とする嵌合部42とを一体化してなる回動取付け金具部44が装着され、回動取付け金具部44円盤部45には、嵌合部42を挟んで180゜を隔てた位置に一対の仮固定用の貫通孔46,46を厚み方向に穿孔し、これに対応するフランジ部41にも、嵌合部42のU形開口を鉛直上方に向けた姿勢に仮固定可能な貫通孔47,47を穿孔し、さらに、嵌合部42のU形開口を風上方向(風上側の棒状枠部26側)に30゜〜45゜前後の角度に傾け、上方に向けた姿勢との夫々に仮固定、可能とする貫通孔47,47を穿孔し、ボルト・ナット48を用いることにより、防雪板3を水平状姿勢、垂直状姿勢、あるいは下端を風下側へ30゜〜45゜前後の角度に傾けた姿勢の何れかに仮固定可能なものとしてある。
【0024】
さらに、図7および図8中に示すように、三本以上の支柱2を互いに所定間隔を隔てて立設し、支柱2を挟んで防雪板3,3を装着する場合には、フランジ部41を挟んで同一構造のニ個の回動取付け金具部44,44を、ボルト・ナット48,48によって共締めして仮固定できるよう形成されている。
【0025】
【作用】
以上のとおりの構成からなるこの発明の防雪柵は、図1〜図8、図9の開閉角度調節機構の正面図、図10の吹払い姿勢に調整した開閉角度調節機構の正面図、図11の角度調節される防雪板の側面図、図12の防雪板を吹止め姿勢に角度調節された防雪柵の側面図、図13の防雪板を吹払い姿勢に調節する防雪柵の側面図、図14の利用状態にある防雪柵の正面図、および図15の利用状態にある防雪柵の側面図に示されるように、道路(防雪対象地上部)の風上側に沿って立設された支柱2,2,……の上下間に横架された五枚の防雪板3,3,……の中、最下位の防雪板3を、垂直状の姿勢とするよう左右支持軸部32,32を夫々対応する嵌合部42,42に装着し、仮固定すると共に、その外の上側の四枚を支持する各回動取付け金具部44,44,……の取付け角度を、図9中に示すように、嵌合部42の断面U形状の開口を鉛直上方に向けた状態に仮固定し、各四枚の防雪板3,3,……を垂直状の姿勢に取り付け、全五枚の防雪板支持軸部32,32,……を、夫々装着した嵌合部42,42,……に仮固定ピン43,43,……を用いて脱落しないよう確りと固定することにより、吹止め姿勢となった各防雪板3,3,……同士が、その上下方向端縁部同士を連続状として一枚の壁を形成することとなり、風上から吹き付ける風雪を塞き止め、図12および図14中に示すように、歩道を含む道路(防雪対象地上部)に、風雪が及ぶことを阻止するものとなり、地吹雪が強く吹き溜まりとなり易い、比較的積雪の少ない地域等に有効な構造となる。
【0026】
また、上側四枚の防雪板3,3,……を支持する、回動取付け金具部44,44,……を、各嵌合部42,42,……の断面U形の開口が、風上側(風上側の棒状枠部26側)に向けて30゜〜45゜前後の角度に傾け、上方に向けた状態に仮固定し、各防雪板3,3,……を、下端が風下側(風下側の棒状枠部27側)に傾斜された状態に装着し、仮固定ピン43,43,……を用いて固定して各上側四枚の防雪板3,3,……を吹払い姿勢に仮固定すると共に、最下位の防雪板3を水平状の吹抜け姿勢に仮固定することにより、風上側から吹き付ける吹雪を、塞き止めることなく効率的に風下側へ整流、誘導して高圧の風雪を道路面(防雪対象地上部)に吹き付けて、路面への着雪や積雪を阻止し、しかも走行車両の視界を確保できるものとなり、自動車専用道路等に最適な構造となる。
【0027】
さらにまた、上側三昧の防雪板3,3,3を吹払い姿勢とし、最下位の防雪板3とその直上の、地上GLから凡そ1〜2mの範囲に設置された合計二枚の防雪板3,3を、図13中(矢印)に示すように、垂直状とした吹止め姿勢とすることにより、図15中に示すように、歩道を歩く歩行者を暴風雪から保護すると共に、それより上側の吹払い姿勢の防雪板3,3,……が、道路上の積雪を吹き払い、走行する車両の視界を確保するものとすることができる。
【0028】
そして、多数の小孔が穿孔された地上GL付近の二枚の防雪板3,3は、適度に強風を減衰して風下側へ逃がすので、破損や脱落を防止すると共に、暴風が発生した際にも吹止め姿勢をそのまま維持することができ、図14中に示すように交差点の視界を確保するものとなり、地上GLから3枚目となる防雪板3の回動取付け金具部44,44を、図9に示す鉛直姿勢に取り付けて、同防雪板3を水平状の吹抜け姿勢に取り付けたものとすることにより、歩道上に廂形状部を形成することが可能であり、それよりも上側の吹払い姿勢に仮固定された防雪板3,3に誘導された風雪が、歩道側へ巻き込み状となることを防ぐものとすることができる。
【0029】
【効果】
以上のとおり、この発明の防雪柵によれば、設置された場所の吹雪の発生条件や、歩行者の有無、あるいは平野や山間部等の各種地理的条件に応じて防雪板の姿勢を設定、変更することが可能であり、上下複数枚の防雪板を垂直状として吹雪を吹き止めし、あるいは下端を風下側に傾斜させて吹き払い機能をもたせることにより、道路等の防雪対象地上部への吹き溜まりや積雪の発生を防止することができるのは勿論のこと、歩道近傍に設置された場合には、地上1〜2m前後の所定範囲までに属することとなる一枚またはそれ以上の防雪板を垂直状の吹止め姿勢とすることにより、歩行者や路側を走る自転車等を強風から保護することができ、また、自動車専用道路のように歩行者の無い道路に設置する際には、略水平状の吹抜け姿勢に仮固定するか、あるいは防雪板下端を風下側に傾斜させた吹払い姿勢に固定して、車道への吹き溜まりや積雪をさらに効果的に防止することができ、しかも、設置完了後、自然環境の変化や予測し得なかった地理的条件等により、構造の変更が求められた場合にも、防雪板の取り付け姿勢を吹止め姿勢、吹抜け姿勢あるいは吹払い姿勢の中、設定可能な何れか所望する姿勢に容易に変更し、仮固定することができるという秀れた特徴が得られるものである。
【0030】
特に、実施例に説明した防雪柵1は、上記した特徴に加え、図4中に示すように、地上1〜2mの高さ範囲に位置する防雪板3,3に多数の小孔を穿孔してあって、吹止め姿勢とした防雪板3,3の表裏面間の空気圧力差を軽減し、防雪板3上端部付近での風速の上昇を抑えて歩行者頭上付近に過剰な強風や渦流が発生してしまうことを防止できるという利点が得られるものとなる。
【0031】
また、図7および図8中に示したもののように、上側四段分の開閉角度調節機構4,4,……は、支柱2に形成されたフランジ部41の表裏面に、合計ニ個の回動取付け金具部44,44を装着する際、ボルト・ナット48,48によって共締めすることができることから、防雪板3,3,……の脱着や取付け姿勢の変更作業を簡便且つ迅速に行うことができ、さらに、下部支柱24から上部支柱25を分離可能な構造とし、下部支柱24のフランジ部41には、垂直姿勢とした五枚の防雪板3,3,……を積層状とした状態に横架可能な、複数の嵌合部42,42,……を設けてなる開閉角度調節機構4を設けてあって、最下位の防雪板3を吹止め姿勢あるいは吹抜け姿勢の何れかに姿勢変更し、仮固定することができる上、冬期以外の期間には、五枚の防雪板3,3,……を下部支柱24,24間に横架状に収納することができるという効果を発揮する。
【0032】
叙述の如く、この発明の防雪柵は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの各種条件に応じて多様な形式の中から選択しなければならなかった防雪柵に比較し、部品点数を抑えて規格化したものとして各種状況に対応可能となって遥かに経済的なものとすることができる上、設置作業や保守、整備作業の効率自体も大幅に高めることができることから、費用の削減と工期の短縮とを確実に達成可能にするものであり、道路設備の維持、管理作業の合理化および交通安全の向上は勿論のこと、特に歩行者の安全確保についても十分な対策が求められている道路建設業界において高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
図面は、この発明の防雪柵の技術的思想を具現化した代表的な実施例を示すものである。
【図1】防雪柵の構造を示す正面図である。
【図2】防雪柵の構造を示す側面図である。
【図3】防雪板の構造を示す斜視図である。
【図4】地上付近の防雪板を示す斜視図である。
【図5】開閉角度調節機構を示す斜視図である。
【図6】分解された開閉角度調節機構を示す斜視図である。
【図7】共締めによる開閉角度調節機構の取付け構造を示す斜視図である。
【図8】共締めによる開閉角度調節機構の取付け構造を示す断面図である。
【図9】開閉角度調節機構を示す正面図である。
【図10】開閉角度調節機構の取付け角度の変更を示す正面図である。
【図11】防雪板の姿勢変更作業を示す側面図である。
【図12】全ての防雪板を吹止め姿勢とした防雪柵を示す側面図である。
【図13】地上付近の防雪板を吹止め姿勢とした防雪柵を示す側面図である。
【図14】防雪柵の利用状態を示す正面図である。
【図15】防雪柵の利用状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 防雪柵
2 支柱
21 同 基礎ブロック
22 同 基礎杭
23 同 アンカーボルト
24 同 下部支柱
25 同 上部支柱
26 同 風上側の棒状枠部
27 同 風下側の棒状枠部
28 同 下部(上部)ベースプレート
29 同 連結パイプ
3 防雪板
31 同 補強枠
32 同 支持軸部
4 開閉角度調節機構
41 同 フランジ部
42 同 嵌合部
43 同 仮固定ピン
44 同 回動取付け金具部
45 同 円盤部
46 同 回動取付け金具部の貫通孔
47 同 フランジ部の貫通孔
48 同 ボルト・ナット
GL 地上面
Claims (7)
- 道路等防雪対象地上部の風上側に沿って所定間隔を隔て鉛直状に立設した複数本の支柱の隣接する支柱間夫々に、上下複数枚を一組とした防雪板を横架状に配設するものとし、それら一組の防雪板の中、少なくとも地上から1〜2m前後の所定範囲までに属すこととなる一枚またはそれ以上の防雪板夫々と、その両端に位置する各支柱との間には、各防雪板が略垂直状となる吹止め姿勢、下端縁を風下側に30゜〜45゜前後の角度に傾斜させて半開放状とする吹払い姿勢、略水平状として全開放状とする吹抜け姿勢の三態の姿勢の全ての姿勢に適宜選択的に変更、仮固定可能とする開閉角度調節機構を設けてなるものとしたことを特徴とする防雪柵。
- 道路等防雪対象地上部の風上側に沿って所定間隔を隔て鉛直状に立設した複数本の支柱の隣接する支柱間夫々に、上下複数枚を一組とした防雪板を横架状に配設するものとし、それら一組の防雪板の中、少なくとも地上から1〜2m前後の所定範囲までに属すこととなる一枚またはそれ以上の防雪板夫々と、その両端に位置する各支柱との間には、各防雪板が略垂直状となる吹止め姿勢、下端縁を風下側に30゜〜45゜前後の角度に傾斜させて半開放状とする吹払い姿勢、略水平状として全開放状とする吹抜け姿勢の三態の姿勢の全ての姿勢、または何れかが吹払い姿勢を除いた二態の姿勢に適宜選択的に変更、仮固定可能とする開閉角度調節機構を設けてなるものとしたことを特徴とする防雪柵。
- 道路等防雪対象地上部の風上側に沿って所定間隔を隔て鉛直状に立設した複数本の支柱の隣接する支柱間夫々に、上下複数枚を一組とした防雪板を横架状に配設するものとし、それら一組の防雪板の中、少なくとも地上から1〜2m前後の所定範囲までに属すこととなる一枚またはそれ以上の防雪板は、全てまたは一部を垂直状姿勢としたときに所定範囲を実質的に一枚板状の吹止め壁状となし得るよう、相互の上下間隔が規制された寸法に設定されると共に、それら防雪板夫々と、その両端に位置する各支柱との間には、各防雪板が略垂直状となる吹止め姿勢、下端縁を風下側に30゜〜45゜前後の角度に傾斜させて半開放状とする吹払い姿勢、略水平状として全開放状とする吹抜け姿勢の三態の姿勢の全ての姿勢、または何れかが吹払い姿勢を除いた二態の姿勢に適宜選択的に変更、仮固定可能とする開閉角度調節機構を設けてなるものとしたことを特徴とする防雪柵。
- 隣接する支柱間の上下複数枚を一組とした防雪板で、所定範囲内の複数枚の防雪板は、その中の最上位の防雪板だけが、三態全ての姿勢に適宜選択的に変更、仮固定可能とする開閉角度調節機構を付設したものとし、その他の防雪板は吹抜け姿勢を除いた二態の姿勢に適宜選択的に変更、仮固定可能とする開閉角度調節機構を設けてなるものとした、請求項1ないし3何れか記載の防雪柵。
- 隣接する支柱間の上下複数枚を一組とした防雪板で、所定範囲内の複数枚の防雪板は、夫々両端支柱への取着部に開閉角度調節機構が組み込まれ、それら各開閉角度調節機構が、支柱中途部適所に防雪板の回動軸心に略垂直に交叉するよう固着、一体化されたフランジ部と、防雪板の左右端縁中央に略同心状に突設された四角柱型の支持軸部に、水平方向断面が略U形に形成され、支持軸部を90゜単位の角度姿勢毎に回動不能に連結可能とする嵌合部を有し、該フランジ部に対し、略U型断面の開口を鉛直上方に向けた姿勢か、もしくは風上方向に30゜〜45゜前後の角度に傾けて上方向に向けた姿勢の何れかにボルト・ナットを用いて選択的に仮固定可能とした回動取付け金具部とからなるものに形成された、請求項1ないし4何れか記載の防雪柵。
- 隣接する支柱間の上下複数枚を一組とした防雪板で、最下位に位置する防雪板は、両端支柱への取着部に開閉角度調節機構が組み込まれ、その最下位の開閉角度調節機構のみが、支柱中途部適所に対してフランジ部が、防雪板の回動軸心に略垂直に交叉するよう固着、一体化され、防雪板の左右端縁中央に略同心状に突設された四角柱型の支持軸部を、90゜単位の角度姿勢毎に回動不能に連結可能とするよう水平方向断面が略U形に形成された嵌合部の複数を、それよりも上方の個所から取り外され、垂直状の姿勢とした複数枚の防雪板が、積層状に保持可能となるよう、夫々の略U型断面の開口を鉛直上方に向けた姿勢として該フランジ部の風上側から風下側に略水平状に連なるよう形成してなる、請求項1ないし5何れか記載の防雪柵。
- 隣接する支柱間の上下複数枚を一組とした防雪板で、所定範囲内の複数枚の防雪板は、夫々両端支柱への取着部が、その上下間隔を防雪板の上下巾に略匹敵する寸法から、その略半分に相当する寸法までのものに規制されてなるものとした、請求項1ないし6何れか記載の防雪柵。
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