JP3735823B2 - 立坑の構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、立坑の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多くの用途のために立坑の構築が必要とされている。しかし最近の都市においては立坑のための用地を十分に確保することがきわめて困難となっている。
そのための改善としていったん広い開口部の立坑を深く掘削し、その表面を覆工板によって被覆する方法も採用されている。
覆工板は、通常はその上面を車両、人々の交通に供し、あるいは資材置き場、クレーンの作業ヤードとして利用する。そして資材などの吊り込みが必要な場合だけ覆工板を取り外してその間隔から吊り込みを行い、吊り込み作業が終了したら再び覆工板で被覆する方法である。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
上記したような従来の立坑の構造では次のような問題が存在した。
<イ>重量のある多数枚の覆工板を繰り返し取り外し、ふたたび取り付けて覆工したりするのは多大な作業量である。
<ロ>立坑の内部では、覆工板の下の深い地底で作業を進めている。したがって覆工板を吊り上げることによって、その上面に乗っている部品や土砂が落下する可能性があり、危険な作業である。
<ハ>雨天の場合には覆工板の吊り上げと同時に表面の水が一度に落下して立坑の底の作業環境を悪化させる。
<ニ>覆工板を吊り上げた場合はもちろん、通常でも覆工板の隙間から雨水が侵入し、大粒の水滴となって底まで落下して作業環境を悪化させている。
<ホ>覆工板を取り外しても、覆工板の下には覆工板を支持している桁が存在する。この間隔に制限があるから、クレーンで吊ったまま資材を横移動することはできない。そのために資材を立坑の必要とする所定の位置に直接吊り下ろすことは困難である場合が多い。
その場合には一度開口部から降ろした資材を立坑の底に仮り置きし、クレーンのフックを降ろす場所を何回も盛り替えして移動を行うという手数を要するものであった。
【0004】
本発明は上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、覆工板の撤去作業を行うことなく、地上への影響、地下への影響を最小限に止め、安全に作業を行うことができる、立坑の構造を提供することを目的とする。
さらに本発明は、覆工板の撤去作業を行わずに、所定の位置に資材を吊り降ろすことができる、立坑の構造を提供することを目的とする。
さらに本発明は、雨天の場合でも水滴が落下せず、作業環境を良好に保つことのできる立坑の構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の立坑の構造は、立坑の天井部を覆工板で被覆し、覆工板の下面には遮水面を形成し、覆工板の一部開放部分には複数に分割し、移動可能な屋根を設置し、立坑の底部にはクレーンを設置した、立坑の構造を特徴としたものである。
【0006】
【本発明の実施の態様】
以下図面を参照しながら本発明の立坑の構造の実施例について説明する。
【0007】
<イ>立坑の掘削。
立坑1を公知の方法で掘削し、その周囲はコンクリートの壁面によって保護する。その状態では上面は全面開放した状態である。
【0008】
<ロ>覆工板による天井部の被覆。
この立坑1の天井部には鋼材を基礎梁21としてかけ渡し、その基礎梁21の上には基礎梁21を横断する方向に覆工桁22を架ける。この覆工桁22の上に覆工板2を載置し、これを溶接、ボルトなどで固定する。
覆工板2によって立坑1の天井部のほとんど全面積を覆工するが、一部だけは開放しておく。すなわち、将来の最大部材の吊り込み間隔だけを開放部として残し、その他の範囲のすべてを覆工板2で被覆して固定するものである。
【0009】
<ハ>遮水面の形成。
覆工桁22に固定した覆工板の間にはわずかな間隔が存在するから、そのままでは雨水が底まで落下する。
そのために覆工桁22の間に横つなぎ材23を取り付け、この横つなぎ材23の上に遮水板24を載置して固定する。遮水板24には一方に向けて傾斜を与える。そして遮水板24の傾斜の最下流を基礎梁21の端部に位置させる。端部には遮水板24の傾斜方向を横断する方向に樋25を設け、遮水板24上を流下してきた水を受けて集水する。
遮水板24には一方向に凹凸を設けたキーストンプレートなどを使用すると、流水が案内されて良好に集水できる。
【0010】
<ニ>屋根の設置。
開放部分の両側縁部には梁を寝かせ、その上にレール31を敷設する。そしてこのレール31には、移動可能な状態で移動屋根3の車輪を搭載する。屋根3は中央を高くし、その両側に脚部を設けて多少の高さを確保する。
屋根3の脚部下端に取り付けた車輪は、脚部に搭載したモーター33によって駆動できるように構成する。
屋根3は複数枚で構成し、開口部の面積を複数枚で被覆する。したがって順次片側に寄せることによって広い面積を開放できる。
屋根3は、覆工板とは相違してまったく重量が加わらない。したがって木製の枠に合成樹脂の板を張り付けたような、きわめて簡易で軽量な構造によって構成することができる。
屋根3の移動範囲の両側に多少の高さを有するフェンス32を立てると、風雨時の横からの雨水の侵入をさらに確実に防止することができる。
【0011】
<ホ>内部クレーンの設置。
以上の工程で、天井部のほとんどを覆工板2で保護され、その一部の開放部に移動屋根3を設置した立坑1が完成する。
その立坑1の底部には内部クレーン4を設置する。この内部クレーン4はブームを旋回しても、運転台その他の部分が立坑1の壁面に当たることのないような寸法のものを選択する。
内部クレーン4の基礎は、立坑1の底面に強固に固定するので、重量物の吊り上げ、移動も安全である。
このようにして立坑1が完成する。
【0012】
【本発明の効果】
本発明の立坑1の構造は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>立坑1の天井部を、将来の最大部材の吊り込み間隔だけを開放部として残し、その他の部分はすべて覆工板2を固定してある。
したがって固定した覆工板2の上は、資材置き場、作業場、あるいは地上のクレーンの設置場所として有効に利用することができる。
従来の立坑1では、覆工板を繰り返し撤去、設置を行う必要があった。そのために覆工板の上に資材などを載置することはできず、有効に利用することはできなかった。
<ロ>開口部は、軽量で移動が可能な屋根3によって被覆してある。
したがって部材の吊り込みの時間以外はつねに閉鎖しておくことができる。
そのために外部の天候、気候に左右されない立坑1内の環境作りがはじめて可能となった。さらに立坑1内部に空調機を設置すれば、冬季には暖房、夏期には冷房をおこなことができ、従来の立坑とはまったく異質の、清潔な工場のような作業環境を提供することができる。
<ハ>部品の吊り込みの際には軽量な移動屋根3を開放するだけであり、重量の大きい覆工板2の撤去作業をまったく行う必要がない。そのために覆工板1上の残留物や土砂、雨水の落下といった危険性がまったくなく、立坑1の底部においても安心して作業に専心することができる。
<ニ>従来のように覆工板を撤去して吊り降ろす方法では、覆工板の下には短い間隔で支持桁が存在しているから、クレーンで吊った資材の横移動は不可能であり、所定の位置へ吊り降ろしはできなかた。
しかし本発明の構造では、立坑1の底部に内部クレーン4が設置してある。したがって、いったん外部から適当な位置に吊り下ろした部材を、立坑1底部の内部クレーン4で必要な位置に確実に移動することができ、作業能率を大幅に向上させることができる。
<ホ>さらに立坑内にクレーンが設置してあるから、資材の移動の際に内部クレーン4のオペレータは吊り上げている部材の状況を肉眼でとらえつつ作業を行うことができ、きわめて安全である。
その点、従来のように地上のクレーンのみからの操作の場合は、例え覆工板を全部撤去しても、立坑底の吊り荷の状況は直接把握できず、合図に頼るしかなかった。
<ヘ>覆工板の下面には、遮水面が形成してある。したがって従来のように覆工板の間隔から雨水が水滴として立坑底に落下してくることがなく、完全に作業環境の悪化の原因を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の立坑の構造の実施例の説明図。
【図2】移動屋根の実施例の説明図。
【図3】全体の平面図。
【図4】覆工板の遮水面の構造の説明図。
【図5】遮水面の集水構造の説明図。
Claims (1)
- 立坑の天井部を覆工板で被覆し、
覆工板の下面には遮水面を形成し、
覆工板の一部開放部分には複数に分割し、移動可能な屋根を設置し、
立坑の底部にはクレーンを設置した、
立坑の構造
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