JP3785485B2

JP3785485B2 - 溶剤組成物

Info

Publication number: JP3785485B2
Application number: JP2002191687A
Authority: JP
Inventors: 潤一土井
Original assignee: Daiwa Chemical Industries Ltd
Current assignee: Daiwa Chemical Industries Ltd
Priority date: 2002-07-01
Filing date: 2002-07-01
Publication date: 2006-06-14
Anticipated expiration: 2022-07-01
Also published as: JP2004035630A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペンタフルオロブタンを含む溶剤組成物に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
今日、成層圏のオゾン層破壊に関し、また大気温質化（温質効果）に関し、環境問題の原因物質は禁止の方向にあって、無害の新規な組成物を提供する必要がある。ペンタフルオロブタンは、その目的に副った溶剤組成物である。
【０００３】
この点、ペンタフルオロブタンは安価で好ましいが、沸点が低く、燃焼の恐れあって、使いづらい点が難点である。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
上記の事情に鑑み本発明は、沸点を高め、燃焼の恐れのない、使い安いペンタフルオロブタンの改良品の提供を課題とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を達成するために、１，１，１，３，３−ペンタフルオロブタン７０重量％と、ジクロロペンタフルオロプロパン３０重量％とを混合したドライクリーニング用溶剤組成物を構成するものである。
【０００６】
【発明の実施の形態】
本発明の溶剤組成物は、１，１，１，３，３−ペンタフルオロブタンと、ジクロロペンタフルオロプロパンとの混合物からなっている。然し、共沸混合物または疑似共沸混合物にすることもできる。なお混合に際しては、ジクロロペンタフルオロプロパンに可溶なソ−プであっても、１，１，１，３，３−ペンタフルオロブタンに不溶なソ−プは相溶性に問題がある。そのため、１，１，１，３，３−ペンタフルオロブタンに可溶な溶剤または相溶性のよいカチオン系や非イオン系界面活性剤からなるソ−プを添加して混合することが望ましい。
【０００７】
本発明の溶剤組成物は、主としてドライクリ−ニング用の洗浄溶剤に使用されるものである。しかし、染み抜きや金属洗浄を始めとして、印刷回路板や電子部品の洗浄・脱脂・乾燥剤等用途にも使用は可能である。
【０００８】
本発明でいう１，１，１，３，３−ペンタフルオロブタンとは、化学式Ｃ_４Ｈ_５Ｆ_５で、ソルヴェイ社製のＳＯＬＫＡＮＥ（商標）３６５ｍｆｃのことである。
【０００９】
本発明でいうジクロロペンタフルオロプロパンとは、３，３−ジクロロ−１，１，１，２，２−ペンタフルオロプロパンと、１，３−ジクロロ−１，１，２，２，３−ペンタフルオロプロパンとのことである。
【００１０】
３，３−ジクロロ−１，１，１，２，２−ペンタフルオロプロパンとは、化学式ＣＦ_３ＣＦ_２ＣＨＣｌ_２である。１，３−ジクロロ−１，１，２，２，３−ペンタフルオロプロパンとは、化学式ＣＣｌＦ_２ＣＦ_２ＣＨＣｌＦで、旭硝子株式会社製のアサヒクリン（商標）ＡＫ−２２５Ｇがこれに相当する。またアサヒクリン（商標）ＡＫ−２２５は、両者のブレンド品となっている。なおこの混合比率はＣＦ_３ＣＦ_２ＣＨＣｌ_２／ＡＫ−２２５Ｇ＝４０〜５０／５０〜６０であるものが望ましいとされている。
【００１１】
次の表１は、以下の実施例に使用される各溶剤の、物性の一部を対比したものである。
【表１】

【００１２】
３６５ｍｆｃは、安価なので代替フロンとして有望である。然し沸点が４０．２℃と低いため、ロスが多くて使いづらい。また引火点はテストでは出ないが、燃焼するので問題である。この点ＡＫ−２２５とＣＦ_３ＣＦ_２ＣＨＣｌ_２は、沸点も高く、引火点もなく、そして燃焼や爆発の危険性もなく使いやすい。そのため本発明の溶剤組成物は、３６５ｍｆｃにＡＫ−２２５やＣＦ_３ＣＦ_２ＣＨＣｌ_２を混合するようにした。
【００１３】
３６５ｍｆｃにＡＫ−２２５やＣＦ_３ＣＦ_２ＣＨＣｌ_２を混合するに際しては、３６５ｍｆｃに可溶な溶剤または相溶性のよいカチオン系や非イオン系界面活性剤（３６５ｍｆｃ用ソ−プ）を添加して混合することが望ましい。３６５ｍｆｃ用ソ−プとしては可溶な溶剤として、炭素数５以上のアルカン酸・炭素数５以上のシクロアルカン酸・アルコ−ル類・ケトン類・エ−テル類・ハロゲン化炭化水素類・塩素化フッ素化炭化水素類から選ばれる少なくとも１種以上の溶剤、及びまたは非イオン性界面活性剤として、エ−テル型・エ−テルエステル型・エステル型・含窒素型から選ばれる少なくとも１種以上のカチオン系や非イオン系界面活性剤を配合したものである。
【００１４】
以下に本発明の実施例を示す。３６５ｍｆｃ用ソ−プとして、カチオン系に非イオン系を一部混ぜた界面活性剤０．３重量％を添加し、３６５ｍｆｃとＡＫ−２２５を、以下の各比率で混合して本発明の溶剤組成物とした。相溶性は良好であり、アクリルの試験布を使用して、ラウンド・オ・メ−タを使用して１０分間洗浄した。
【００１５】
次の表２は、その性能試験の結果である。
【表２】

【００１６】
上記試験の結果から、３６５ｍｆｃとＡＫ−２２５の混合比率（重量％）が、７０／３０と５０／５０のものは、共に洗浄力を有するので使用可能であり、帯電圧もこの数値程度であれば同等であるが、７０／３０の方が再汚染防止力が優れている。
【００１７】
ＡＫ−２２５の１００％は、従来ドライクリ−ニング用の洗浄剤として使用されており、３６５ｍｆｃの１００％も使用は可能である。従って、本発明の３６５ｍｆｃとＡＫ−２２５の混合比率が７０／３０と５０／５０のものと対比し、アクリルボタンと名刺入れで浸食テストをした。
【００１８】
表３は、５４時間の浸食テスト結果を示したものである。
【表３】

【００１９】
上記試験の結果から、３６５ｍｆｃとＡＫ−２２５の混合比率が、７０／３０と５０／５０のものは、共にシビヤ−な浸食テストに耐えうるものであり、７０／３０の方が浸食性に優れていた。
【００２０】
そこで３６５ｍｆｃとＡＫ−２２５の混合比率が、７０／３０の本発明の溶剤組成物を３６５ＬＩＶＥと称し、各種の安全試験を実施した。３６５ＬＩＶＥは沸点４３℃であり、大阪市消防学校で行なった引火点測定試験の結果で、クリ−ブランド開放式で引火点なしと判定され、可燃性なく不燃物と認定された。
【００２１】
なお３６５ｍｆｃにブレンドするジクロロペンタフルオロプロパンとしては、ＡＫ−２２５に限るものではなく、ＣＦ_３ＣＦ_２ＣＨＣｌ_２に変えて、一層のコストダウンを計るようにしてもよい。
【００２２】
【発明の効果】
本発明の溶剤組成物は、オゾン層に有害な影響を及ぼさないフロン代替品であり、ドライクリ−ニング用として洗浄性は良好で、３６５ｍｆｃの欠点となっていた燃焼の恐れを解消したものである。
【００２３】
本発明の溶剤組成物は、３６５ｍｆｃより沸点を高めているので、使い安いものとした。
【００２４】
本発明の溶剤組成物は、３６５ｍｆｃに混合するジクロロペンタフルオロプロパンを、単品や混合品や混合比率を変えることによって、多様なコスト品を提供することができる。

Claims

１，１，１，３，３−ペンタフルオロブタン７０重量％と、ジクロロペンタフルオロプロパン３０重量％とを混合したドライクリーニング用溶剤組成物。
前記混合に際し、カチオン系界面活性剤からなる１，１，１，３，３−ペンタフルオロブタンに可溶なソープを０．３重量％配合した請求項１記載のドライクリーニング用溶剤組成物。
前記カチオン系界面活性剤が、カチオン系界面活性剤に非イオン系界面活性剤を一部混ぜたものである請求項２記載のドライクリーニング用溶剤組成物。