JP2001234193A - 洗浄用溶剤組成物 - Google Patents

洗浄用溶剤組成物

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JP2001234193A
JP2001234193A JP2000206519A JP2000206519A JP2001234193A JP 2001234193 A JP2001234193 A JP 2001234193A JP 2000206519 A JP2000206519 A JP 2000206519A JP 2000206519 A JP2000206519 A JP 2000206519A JP 2001234193 A JP2001234193 A JP 2001234193A
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fluorine
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JP2000206519A
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English (en)
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Binsuke Kaneko
旻又 金子
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Kaneko Chemical Co Ltd
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Kaneko Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被洗浄物にある極めて微小な隙間部にまで奥
深く浸透し、十分洗浄し得る浸透性に優れた洗浄用溶剤
組成物の提供。 【解決手段】 主成分であるノルマルプロピルブロマイ
ド(NPB)100重量部に対して、沸点が40〜70
℃のフッ素系溶剤を0.3〜5.0重量部および/また
はフッ素系界面活性剤を0.05〜5.0重量部混合す
る。もともと表面張力の小さいこれらの溶剤を混合すれ
ば、その混合量に応じて割合で表面張力が低下するもの
と予想されるが、その予想の範囲を越えて表面張力が低
下する。これにより、浸透性が向上し、洗浄力が増す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノルマルプロピル
ブロマイドを主成分とする洗浄用溶剤組成物に関し、特
に被洗浄物の小さなクリアランスやわずかな隙間にも浸
透して細部まで洗浄することができる浸透性に優れた洗
浄用溶剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、各種洗浄用溶剤としては、フロン
や塩素系のものが多用されていた。しかし、近年のオゾ
ン層の破壊などの環境問題により、これらの洗浄用溶剤
はその使用が制限されるに至っている。
【0003】このような状況から、これらフロンや塩素
系溶剤に代わる新しい洗浄用溶剤として、ノルマルプロ
ピルブロマイド(別名:n−臭化プロピル、1−ブロモ
プロパン。以下単にNPBともいう)を主成分とした洗
浄用溶剤組成物が提案されている[特開平6−2204
94号、特開平7−150196号、特開平7−150
197号参照)。ノルマルプロピルブロマイドは、KB
値が約125と比較的高く、脱脂洗浄に優れているとと
もに、引火点がなく不燃または難燃な性質を有している
ため、危険物に該当せず、安全で取り扱い易い。しか
も、フッ素系溶剤または塩素系溶剤を一切含有しないこ
とから、環境に優しいとして現在注目を浴びている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この洗
浄用溶剤には次のような問題点があった。すなわち、主
成分であるNPBは、その表面張力がNPBで約25.
8(dyn/cm)と、フッ素系溶剤の表面張力14.0〜
18.0(dyn/cm)と比べるとある程度大きい。この
ため、被洗浄物に小さなクリアランスやきわめて微細な
隙間等があると、毛細管現象により抵抗を受けてなかな
かこれらの奥部にまでスムーズに浸透せず、従来のフッ
素系溶剤を主成分とした洗浄用溶剤に比べて浸透性の面
で劣っていた。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、その目的は、被洗浄物にクリアランスの小さ
い部分やきわめて微細な隙間がある被洗浄物に対しても
奥部にまでスムーズに浸透し、被洗浄物の細部まで十分
に洗浄し得るような浸透性に優れた洗浄用溶剤組成物を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために本発明にかかる第1の洗浄用溶剤組成物にあっ
ては、(a)ノルマルプロピルブロマイド100重量部
に対して、(b)フッ素系溶剤を0.3〜10.0重量
部混合してなることを特徴とする。
【0007】フッ素系溶剤は、前述したように最近まで
工業用洗浄用溶剤の主成分として多用されてきた溶剤で
ある。そのKB値は全般的に40以下と低く、脱脂能力
にはいささか劣るものの、その表面張力は一般に12.
0〜18.0(dyn/cm)と非常に小さいとともに、プ
ラスチックやゴムへの影響が少ないことから、特にプラ
スチック基板をはじめとするプラスチック部品またはゴ
ム部品等の細部の洗浄に好適に適用されている。ここで
フッ素系溶剤が含有する割合は、溶剤全体の30重量%
〜40重量%以上であり、数重量%のオーダーの割合で
はなかった。
【0008】本発明者は、フッ素系溶剤の表面張力が小
さいという性質に着目し、このフッ素系溶剤を使って、
NPBを主成分とした洗浄用溶剤の表面張力を低下させ
られないかと考えた。そこで、当該洗浄用溶剤にフッ素
系溶剤を混合したところ、蒸気洗浄においては、予測を
遙かに上回る効果が得られたのである。つまり、蒸気洗
浄においては、フッ素系溶剤はNPBと共沸してNPB
と蒸発気化する。このため、混合液中に比べて蒸気中で
はフッ素系溶剤の割合が飛躍的に高まり、NPBに対す
るフッ素系溶剤の割合が増加した分だけ、全体の表面張
力が低下するのである。このように表面張力が低下する
ことで、NPBからなる洗浄用溶剤組成物は、その浸透
性が向上し、被洗浄物のクリアランスの小さい部分やわ
ずかな隙間等にも入り込んで、これらの奥部をも十分に
洗浄することができる。
【0009】また、本発明にかかる第2の洗浄用溶剤組
成物にあっては、(a)ノルマルプロピルブロマイド1
00重量部に対し、(b)フッ素系界面活性剤としてア
クリル酸ポリオキシアルキレングリコールモノエステル
アクリル酸−N−ペルフルオロオクチルスルホニル−N
−アルキルアミノエチル共重合物を0.05〜5.0重
量部混合してなることを特徴とする。
【0010】アクリル酸ポリオキシアルキレングリコー
ルモノエステルアクリル酸−N−ペルフルオロオクチル
スルホニル−N−アルキルアミノエチル共重合物(以
下、単にANPNAという)は、NPBを主成分とする
洗浄用溶剤に混合したときに表面張力低減効果があると
して、多くのフッ素系界面活性剤の中から本発明者が鋭
意実験を重ねて知得したものである。このフッ素系界面
活性剤は、蒸気洗浄においては、前述したフッ素系溶剤
のようにNPBとは共沸せず、表面張力低減効果はごく
わずかであるものの、混合液中ではフッ素系溶剤よりも
遙かに表面張力が低くなり、主に液中洗浄において洗浄
性能向上効果を発揮する。
【0011】また、本発明にかかる第3の洗浄用溶剤に
あっては、(a)ノルマルプロピルブロマイド100重
量部に対し、(b)フッ素系溶剤を0.3〜10.0重
量部、(c)フッ素系界面活性剤としてアクリル酸ポリ
オキシアルキレングリコールモノエステルアクリル酸−
N−ペルフルオロオクチルスルホニル−N−アルキルア
ミノエチル共重合物を0.05〜5.0重量部混合して
なることを特徴とする。
【0012】フッ素系溶剤およびフッ素系界面活性剤の
双方を含有することで、両方の良い面を取り入れること
ができる。すなわち、この洗浄用溶剤組成物において
は、フッ素系溶剤の蒸気洗浄における優れた面と、フッ
素系界面活性剤の液中洗浄における優れた面との両方を
兼ね備え、液中洗浄でも蒸気洗浄でも優れた浸透性を発
揮する。しかも、フッ素系界面活性剤はNPBに分散し
にくいことから、撹拌などの機械的な方法により混ぜ合
わせる必要がある。このときに気泡が発生して被洗浄物
に悪影響を及ぼす虞がある。ここでフッ素系溶剤が混合
されていると、フッ素系溶剤が気泡の発生を抑制する消
泡剤として機能し、被洗浄物への悪影響を回避すること
ができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明にかかる洗浄用溶剤
組成物の実施の形態について説明する。本発明にかかる
洗浄用溶剤組成物は、整理すると次の3つのタイプがあ
る。
【0014】[タイプ1] (a)ノルマルプロピルブロマイド100重量部に対
し、(b)フッ素系溶剤を0.3〜10.0重量部混合
してなる洗浄用溶剤組成物。 [タイプ2] (a)ノルマルプロピルブロマイド100重量部に対
し、(b)フッ素系界面活性剤としてアクリル酸ポリオ
キシアルキレングリコールモノエステルアクリル酸−N
−ペルフルオロオクチルスルホニル−N−アルキルアミ
ノエチル共重合物を0.05〜5.0重量部混合してな
る洗浄用溶剤組成物。 [タイプ3] (a)ノルマルプロピルブロマイド100重量部に対
し、(b)フッ素系溶剤を0.3〜10.0重量部、
(c)フッ素系界面活性剤としてアクリル酸ポリオキシ
アルキレングリコールモノエステルアクリル酸−N−ペ
ルフルオロオクチルスルホニル−N−アルキルアミノエ
チル共重合物(ANPNA)を0.05〜5.0重量部
混合してなる洗浄用溶剤組成物。
【0015】これらの洗浄用溶剤組成物については、N
PBがアルミニウムまたはその合金等と金属反応し易い
ことから、この反応を防止するためにニトロアルカン
類、エーテル類、エポキシド類およびアミン類の群から
選ばれる少なくとも1種の物質が安定剤として添加され
る。また、本洗浄用溶剤においては、NPBの臭気を抑
制するために、d−リモネン等をはじめとする香料が添
加されることがある。
【0016】また、フッ素系溶剤の混合量をNPB10
0重量部に対し0.3〜10.0重量部と設定したのは
次の理由による。つまり、フッ素系溶剤はもともとKB
値が低く、これを大量に混入してしまうと、溶剤全体の
KB値が低下してしまい、当初所定していた洗浄性能が
得られない。しかも、溶剤の混合量が多すぎても、その
混合量に見合った効果が得られず、あまり意味がない。
また、オゾン破壊係数や温暖化係数の小さく環境上問題
なく使用可能なフッ素系溶剤は高価であることから、経
済的な理由でなるべく使用量は控えた方が好ましい。つ
まり、フッ素系溶剤の混合量は少なければ少ないほどよ
いのである。
【0017】ここで使用するフッ素系溶剤としてはNP
Bと共沸するものである。具体的には次のようなものが
ある。 (1)C10、(2)COCH、(3)C
OC、(4)(CFNCHCFH、(5)
(CFNCHCF、(6)(CFNCH
CH、(7)(CFNC、(8)CHCC
F、(9)CH CFHCl、(10)CFCF
CHOH、(11)CFCHOH、(12)パーフルオロ
ブチルメチルエーテル[COCH]、(13)C
Cl。この中から、特に表面張力が十分に小さい
18.0(dyn/cm)以下のものを使用するのが好まし
い。また、オゾン破壊係数や温暖化係数が小さいものが
好ましい。また、毒性も少ないものが好ましい。また、
NPBと共沸させるために、NPBの沸点約70℃より
も低いもの、即ち沸点が40〜70℃のもの、特に65
℃以下のものが好ましい。
【0018】これらの条件を考慮すると、もっとも好ま
しいのは(2)COCHと(3)COC
と(12)パーフルオロブチルメチルエーテル[C
CH ]とであり、次に好ましいのが、(1)C
10と(8)CHCClF、それに(9)CHCF
Cl、(13)CHFClである。(2)C
CHは、表面張力13.6(dyn/cm),沸点60
℃,オゾン破壊係数0,温暖化係数500である。ま
た、(3)COCは、表面張力13.6(dyn
/cm),沸点78℃,オゾン破壊係数0,温暖化係数1
00である。また(12)パーフルオロブチルメチルエーテ
ル[COCH]は、表面張力13.6(dyn/c
m),沸点60℃である。また、(1)C10は、
表面張力14.1(dyn/cm),沸点55℃,オゾン破
壊係数0,温暖化係数1300である。
【0019】ANPNAの混合量をNPB100重量部
に対し、0.05〜5.0重量部と設定したのは次の理
由による。すなわち、フッ素系溶剤の場合と同様、大量
に混入し過ぎても、洗浄用溶剤自在の性能の劣化を招
き、好ましくないとともに、後述する試験で結果が示さ
れるように、混合量に比してあまり大きな表面張力低減
効果が得られず、あまり大きな浸透性の向上が期待でき
ないからである。また、ANPNAは、NPBに分散し
にくいことから、その混合量についてはなるべく分散し
易いように少なく設定するのが好ましい。ただし、フッ
素系界面活性剤とともにフッ素系溶剤が消泡剤として混
入される場合にはこの限りではない。
【0020】なお、NPBに対して、フッ素系溶剤およ
びフッ素系界面活性剤の両方を混入する場合には、フッ
素系界面活性剤の混入による気泡の発生を十分防止し得
るようにフッ素系界面活性剤の混合量に応じてフッ素系
溶剤の混合量を設定するのが好ましい。
【0021】この他、本洗浄用溶剤組成物にあっては、
ノルマルプロピルブロマイド、フッ素系溶剤、フッ素系
界面活性剤の他、これ以外の有機溶剤や他の物質が、本
洗浄用溶剤の洗浄性能に影響を及ぼさない範囲、例えば
KB値の大幅な低下を招かない程度において混入ないし
添加されてもかまわない。
【0022】===表面張力の測定=== 《フッ素系溶剤の混合》本発明にかかる各洗浄用溶剤の
表面張力について調べる試験を行った。まずはじめにN
PBに対しフッ素系溶剤を混合したときの混合溶剤の表
面張力を調べる試験を行った。この試験では、フッ素系
溶剤として、2,3−ジハイドロデカフロロベンタン
(C10)[表面張力:14.1(dyn/cm)]
と、パーフルオロブチルメチルエーテル(C
CH)[表面張力:13.6 (dyn/cm)]と、旭硝
子社製:製品名『AK225』(CHFCl
[表面張力:16.0 (dyn/cm)]とを用いた。フッ素
系溶剤をNPB100重量部に対し、それぞれ0.1重
量部、0.3重量部、0.5重量部、0.8重量部、
1.0重量部、2.0重量部、3.0重量部、5.0重
量部、10.0重量部ずつそれぞれ混合して得られた混
合液の表面張力とこれを蒸発させたときの表面張力(蒸
気相の表面張力)とをそれぞれ測定した。ここで、蒸気
相の表面張力については、図1に示すような一般的な蒸
気洗浄、例えば金属部品や電子部品等の洗浄に使用され
るごく標準的な蒸気洗浄装置を使って得られる各混合液
の蒸気について調べた。この蒸気洗浄装置は、各混合液
が貯留される洗浄液層と、これにより上方に設けられ通
常、被洗浄物が載置される蒸気層とからなる。洗浄液層
に対する蒸気層の体積は2倍くらいである。蒸気層には
各混合液約2kg分の蒸気を収容する能力がある。各混
合液100kgをこの洗浄液層に貯留し、これをヒータ
ーでNPBとフッ素系溶剤の共沸温度まで加熱し、蒸気
層で得られた蒸気を蒸留して測定した。なお、混合液お
よび蒸気相の表面張力についてはウィルヘルミ法(吊板
式)により測定した。次の表1〜表3は、各混合液の表
面張力の測定結果をまとめたものである。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】この結果から、NPBに対してフッ素系溶
剤を混合すると、その混合量がごくわずかであっても、
蒸気相の表面張力が大幅に低下することがわかる。フッ
素系溶剤がNPBと共沸して蒸気化し、表面張力が大幅
に低下するのである。これにより、NPBに対してフッ
素系溶剤を混合することで、洗浄用溶剤自体の浸透性を
向上させることができることが確認された。
【0027】《フッ素系界面活性剤の混合》次にNPB
に対し、アクリル酸ポリオキシアルキレングリコールモ
ノエステルアクリル酸−N−ペルフルオロオクチルスル
ホニル−N−アルキルアミノエチル共重合物(ANPN
A)を混合した場合と、他のフッ素系溶剤を混合した場
合との表面張力を比較する試験を行った。ここでは、N
PB100重量部に対して各フッ素系界面活性剤を0.
1重量部ずつ混合し、その混合液につきそれぞれ表面張
力を測定した。なお、表面張力はウィルヘルミ法(吊板
式)により測定した。次の表4は、この試験で使用した
フッ素系界面活性剤の種類と表面張力とを対比して記載
したものである。
【0028】
【表4】
【0029】この試験結果から、アクリル酸ポリオキシ
アルキレングリコールモノエステルアクリル酸−N−ペ
ルフルオロオクチルスルホニル−N−アルキルアミノエ
チル共重合物(ANPNA)をNPBに添加する場合だ
けが、他のフッ素系界面活性剤を添加する場合に比べて
顕著に表面張力が低下することがわかる。
【0030】次にこのフッ素系界面活性剤の混合量と表
面張力との関係を調べる試験を行った。この試験では、
NPB100重量部に対し、ANPNAをそれぞれ0.
01重量部、0.05重量部、0.1重量部、0.3重
量部、0.5重量部、1.0重量部、5.0重量部ずつ
混合した場合の混合液について表面張力を調べた。次の
表5はその測定結果をまとめたものである。表面張力
は、前記試験と同様、ウィルヘルミ法(吊板式)により
測定した。
【0031】
【表5】
【0032】この試験結果から、NPBに対してフッ素
系界面活性剤を混入すれば、ごくわずかな混合量でも、
表面張力が大きく下回ることがわかる。すなわち、NP
Bにフッ素系界面剤を混合することで、浸透性の向上を
図れるのである。
【0033】《フッ素系溶剤およびフッ素系界面活性剤
の混合》次にNPBに対してフッ素系溶剤およびフッ素
系界面活性剤の両方を混入した場合の各混合液の表面張
力を調べる試験を行った。この試験では、NPBの混合
量を100重量部、フッ素系界面活性剤の混合量を0.
1重量部と固定し、これに対しフッ素系溶剤の混合量を
徐々に増やしていったときの各混合液の表面張力と蒸気
相の表面張力とを調べた。以下の表6〜表8はその試験
結果をまとめたものである。なお、ここで、蒸気相の表
面張力については、前記試験と同様に蒸気洗浄装置から
得られた蒸気について測定した。また、混合液および蒸
気相の表面張力は、前記試験と同様、ウィルヘルミ法
(吊板式)により測定した。
【0034】
【表6】
【0035】
【表7】
【0036】
【表8】
【0037】これらの結果から、NPBに対し、フッ素
系溶剤およびフッ素系界面活性剤の両方を混入すれば、
混合液および蒸気相ともに表面張力が低下し、液中洗浄
および蒸気洗浄の双方において同時に浸透性の向上を図
ることができる。
【0038】===洗浄力試験=== 次に前述した試験で使用した各混合液につき洗浄力を調
べる試験を行った。この試験では、ガラス板(60mm×
30mm×1mm)の表面にフェルトインキ(黒)を塗布し
て厚さ30μmほどのインキ膜を形成し、このインキ膜
の上にさらにもう1枚、ガラス板を重ね合わせ、両者を
クリップにより挟み込んで固定して試験体を作製した。
この試験体を煮沸している各混合液の液中に浸し、そこ
で3分間液中洗浄を行った。その後、試験体を各混合液
液中から取り出して、前述した蒸気洗浄装置内の蒸気層
に載置し、各混合液を共沸温度まで加熱して3分間、蒸
気洗浄を行った。その後、試験体を乾燥処理してから前
記インキ膜の洗浄具合を調べた。次の表9〜表11はそ
のときの洗浄具合を各混合液ごとにまとめたものであ
る。
【0039】
【表9】
【0040】
【表10】
【0041】
【表11】
【0042】この試験結果から、フッ素系溶剤およびフ
ッ素系界面活性剤の両方を混入すると、混合液の表面張
力と蒸気相の表面張力の両方をともに低下させることが
できることがわかった。すなわち、液中洗浄および蒸気
洗浄の両方に対応することができる。
【0043】
【発明の効果】本発明にかかるの洗浄用溶剤組成物によ
れば、ノルマルプロピルブロマイドに対しフッ素溶剤を
混合すれば、その混合量がきわめて微量であっても、表
面張力を大きく低下させることができる。特に蒸気洗浄
においては、ノルマルプロピルブロマイドとフッ素系溶
剤とが共沸するため、ノルマルプロピルブロマイドに対
しフッ素系溶剤の割合が増大し、浸透力が大幅にアップ
する。この結果、被洗浄物にクリアランスやきわめて微
細な隙間細部があってもこれらの奥部にまで浸透させる
ことができ、細部にわたって非常に良好な洗浄を行うこ
とができる。しかも、フッ素系溶剤の混合量はごくわず
かな量で済むため、KB値が低く洗浄性が若干劣るフッ
素系溶剤を混ぜてもさほど影響はなく、従来と遜色ない
洗浄を行うことができる。
【0044】また、本発明にかかる第2の洗浄用溶剤組
成物によれば、ノルマルプロピルブロマイドに対しフッ
素系界面活性剤を混合すれば、その混合量がきわめて微
量であっても、表面張力を大きく低下させることができ
る。これにより、液中洗浄においては、前述同様、浸透
性が増して、細部にまで行き渡らせることができ、非常
に良好な洗浄を行うことができる。
【0045】また、本発明にかかる第3の洗浄用溶剤組
成物によれば、ノルマルプロピルブロマイドに対し、フ
ッ素系溶剤とフッ素系界面活性剤との両方を混合するこ
とで、フッ素系溶剤とフッ素系界面活性剤の両方の優れ
た面を兼ね備えた洗浄用溶剤にすることができる。すな
わち、液中洗浄および蒸気洗浄の双方において優れた洗
浄性を発揮する。特に、フッ素系界面活性剤とともにフ
ッ素系溶剤が混合されることで、フッ素系溶剤が消泡剤
として機能し、フッ素系界面活性剤の混入による気泡の
発生を抑制し、被洗浄物へ悪影響を及ぼすのを防止する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる洗浄用溶剤組成物について行っ
た洗浄力試験で使用した蒸気洗浄装置を説明する説明図
である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年8月29日(2000.8.2
9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために本発明にかかる第1の洗浄用溶剤組成物にあっ
ては、(a)ノルマルプロピルブロマイド100重量部
に対して、(b)沸点が40〜70℃のフッ素系溶剤を
0.3〜5.0重量部混合してなることを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】また、本発明にかかる第3の洗浄用溶剤に
あっては、(a)ノルマルプロピルブロマイド100重
量部に対し、(b)沸点が40〜70℃のフッ素系溶剤
を0.3〜5.0重量部、(c)フッ素系界面活性剤と
してアクリル酸ポリオキシアルキレングリコールモノエ
ステルアクリル酸−N−ペルフルオロオクチルスルホニ
ル−N−アルキルアミノエチル共重合物を0.05〜
5.0重量部混合してなることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】[タイプ1] (a)ノルマルプロピルブロマイド100重量部に対
し、(b)沸点が40〜70℃のフッ素系溶剤0.3〜
5.0重量部混合してなる洗浄用溶剤組成物。 [タイプ2] (a)ノルマルプロピルブロマイド100重量部に対
し、(b)フッ素系界面活性剤としてアクリル酸ポリオ
キシアルキレングリコールモノエステルアクリル酸−N
−ペルフルオロオクチルスルホニル−N−アルキルアミ
ノエチル共重合物を0.05〜5.0重量部混合してな
る洗浄用溶剤組成物。 [タイプ3] (a)ノルマルプロピルブロマイド100重量部に対
し、(b)沸点が40〜70℃のフッ素系溶剤を0.3
5.0重量部、(c)フッ素系界面活性剤としてアク
リル酸ポリオキシアルキレングリコールモノエステルア
クリル酸−N−ペルフルオロオクチルスルホニル−N−
アルキルアミノエチル共重合物(ANPNA)を0.0
5〜5.0重量部混合してなる洗浄用溶剤組成物。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】また、フッ素系溶剤の混合量をNPB10
0重量部に対し0.3〜5.0重量部と設定したのは次
の理由による。つまり、フッ素系溶剤はもともとKB値
が低く、これを大量に混入してしまうと、溶剤全体のK
B値が低下してしまい、当初所定していた洗浄性能が得
られない。しかも、溶剤の混合量が多すぎても、その混
合量に見合った効果が得られず、あまり意味がない。ま
た、オゾン破壊係数や温暖化係数の小さく環境上問題な
く使用可能なフッ素系溶剤は高価であることから、経済
的な理由でなるべく使用量は控えた方が好ましい。つま
り、フッ素系溶剤の混合量は少なければ少ないほどよい
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C11D 7/28 C11D 7/28

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ノルマルプロピルブロマイド10
    0重量部に対し、(b)フッ素系溶剤を0.3〜10.
    0重量部混合してなることを特徴とする洗浄用溶剤組成
    物。
  2. 【請求項2】 (a)ノルマルプロピルブロマイド10
    0重量部に対し、(b)フッ素系界面活性剤としてアク
    リル酸ポリオキシアルキレングリコールモノエステルア
    クリル酸−N−ペルフルオロオクチルスルホニル−N−
    アルキルアミノエチル共重合物を0.05〜5.0重量
    部混合してなることを特徴とする洗浄用溶剤組成物。
  3. 【請求項3】 (a)ノルマルプロピルブロマイド10
    0重量部に対し、(b)フッ素系溶剤を0.3〜10.
    0重量部、(c)フッ素系界面活性剤としてアクリル酸
    ポリオキシアルキレングリコールモノエステルアクリル
    酸−N−ペルフルオロオクチルスルホニル−N−アルキ
    ルアミノエチル共重合物を0.05〜5.0重量部混合
    してなることを特徴とする洗浄用溶剤組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6956015B2 (en) 2003-09-16 2005-10-18 Kaneko Chemical Co., Ltd. Solvent composition for dissolving plastic
JP2006049249A (ja) * 2004-08-09 2006-02-16 Nitto Denko Corp 多孔質膜の製造方法
US7869105B2 (en) 2006-09-21 2011-01-11 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Transmission and communication apparatus including the same

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