JP3785452B2 - 芳香族ポリカルボシランを含む層間絶縁膜及びこれを用いた半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機ケイ素ポリマーを用いた低誘電率の層間絶縁膜及びその膜を用いて構成される半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、半導体装置の層間絶縁膜としては、気相薄膜形成法(CVD法 )によって形成されるSiO2膜(誘電率k>4.0)が用いられているが、さらに低誘電率化を目指した材料として、SiO2系のSOG(スピンオングラス)材料に代表される無機高分子材料やポリアリーレンエーテルに代表される有機高分子材料が知られている。
【0003】
超LSIの高集積化、高速化がますます要求されている中で、チップのより一層の微細化及び高集積化を計るために、配線材料の細線化、配線距離の増大及び配線構造の多層化などが推進されている。ところが、これらにより引き起こされる配線抵抗及び寄生容量の増大は、チップ性能を左右する信号遅延をもたらすことから、これらの問題を解消させることが重要な課題となっている。このようなチップの信号遅延を抑制するため、使用材料及びプロセス技術等の面から研究開発が行われており、従来のAl配線よりも低抵抗なCu配線を用いることや、より誘電率の低い層間絶縁膜材料の開発が求められている。
【0004】
従来のCVD法により得られたSiO2膜を用いた層間絶縁膜では、誘電率が高くなり、超LSIの高集積化、高速化を進展させる際、信号遅延を引き起こす要因となっている寄生容量を低減しなければならず、そのためには層間絶縁膜の低誘電率化を図ることが不可欠である。また、配線材料である金属の絶縁膜中への拡散が生じるため、これを抑制するためのバリアー膜を設ける必要があるなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記のような問題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、低誘電率であり、耐熱性、熱伝導性及び機械強度に優れ、熱膨張係数が低くて配線材料である金属の絶縁膜中への拡散を抑制できる絶縁材料によって形成された層間絶縁膜を提供することにある。また、本発明の他の目的は、その層間絶縁膜を半導体装置に適用することにより、高集積化及び高速化を達成し得る半導体装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の層間絶縁膜は、下記一般式(1)
【化4】
(式中、R1及び R2は、それぞれ置換基を有していても良い2価の芳香族基を示す。n=2〜50000の整数である。)で表される芳香族ポリカルボシランを含む重合体を用いて形成されたことを特徴とする。
【0007】
その層間絶縁膜の作製に用いる芳香族ポリカルボシランとしては、下記一般式(2)
【化5】
(式中、R1は前記したと同意義を有する。)で表されるエチニル基を2個有する芳香族化合物と、下記一般式(3)
【化6】
(式中、 R2は前記したと同意義を有する。)で表されるジメチルシリル基を2個有する芳香族化合物とを、反応させて得られるものであることが好ましい。その反応は、白金系触媒の存在下に行うものであることがより好ましい。
また、本発明の半導体装置は、絶縁体として上記の層間絶縁膜を用いて構成されるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明における層間絶縁膜は、ケイ素原子を繰り返し構造単位(ユニット)の主鎖に持つ有機ケイ素ポリマーであって、さらに、その主鎖中に芳香環ユニットと炭素−炭素二重結合ユニットを持つ一般式(1)で表される芳香環ポリカルボシラン化合物を含む重合体を用いて作製されるものであって、誘電率が低く、かつ耐熱性などの諸特性に優れていることから、高集積で高速の半導体装置における絶縁膜として有益である。
【0009】
本発明の層間絶縁膜に含まれる芳香族ポリカルボシランは、下記一般式(1)で表されるものである。
【化7】
上記式中のR1及びR2は、それぞれ置換基を有していても良い2価の芳香族基であるが、その芳香族基の炭素数としては、6〜24個の範囲、好ましくは6〜12個のものである。その芳香族基の具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等のアリーレン基及びフェニレンオキシフェニレン等の酸素等のヘテロ原子を連結基として含む置換アリーレン基等が挙げられる。
また、前記芳香族基に結合していても良い置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が含まれる。
【0010】
本発明に用いられる一般式(1)で表される芳香族ポリカルボシランは、式中の繰り返し構造単位を示すnが、2〜50000の整数、好ましくは5〜20000の整数の範囲の重合体である。
【0011】
本発明における芳香族ポリカルボシランは、その製造原料として、一般式(2)で表されるエチニル基を2個有する芳香族化合物と一般式(3)で表されるジメチルシリル基を2個有する芳香族化合物とを反応させること、好ましくは白金系触媒の存在下に反応させることにより容易に得ることができる。
【0012】
前記一般式(2)で表されるエチニル基を2個有する芳香族化合物としては、R1 は前記したと同意義を有するものであり、その具体例としては、m−ジエチニルベンゼン、p−ジエチニルベンゼン、1,4−ジエチニルナフタレン、1,5−ジエチニルナフタレン、4,4’− ジエチニルビフェニル、ビス(4− エチニルフェニル)エーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの1種を単独で用いても又は2種以上を併用しても良い。
【0013】
また、前記一般式(3)で表されるジメチルシリル基を2個有する芳香族化合物としては、R2は前記したと同意義を有するものであり、その具体例としては、m−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、p−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルシリル)ナフタレン、1,5−ビス(ジメチルシリル)ナフタレン、4,4’−ビス(ジメチルシリル)ビフェニル、ビス{4−(ジメチルシリル)フェニル}エーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの1種を単独で用いても又は2種以上を併用しても良い。
【0014】
その製造に用いられる白金系触媒としては、白金単独、坦持白金、白金塩、白金錯体などの従来公知のものを適宜使用することができる。その使用量は、適宜採択されるが、原料モルに対し、0.00001〜0.5の範囲が好ましい。
【0015】
その反応は、−50〜250℃、好ましくは−20〜150℃の温度で行う。また、この反応は溶媒の存在下でも非存在下でも実施できるが、溶媒を用いる場合、エチルベンゼン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素溶媒やエーテル系溶媒などのほか、本反応に関与しない各種の有機溶媒を用いることができる。
【0016】
本発明の層間絶縁膜を得るには、上記一般式(1)で表される芳香環ポリカルボシラン化合物からなる重合体を有機溶媒に溶かした樹脂溶液を基材に展開する、キャスト法、スピンコート法、バーコート法等の通常の塗工方法を用いて行う。その有機溶媒としては、上記重合体を溶解し得る溶剤であれば何ら制限なく使用可能であって、これを例示すれば、テトラヒドロフラン、トルエン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、メチルエチルケトン、ヘキサメチルジシロキサン等が挙げられる。また、基材としては、塗工により被膜を形成できる材質、形状、構造体であれば使用可能である。その材質としては、プラスチック、無機材料、有機材料、金属が挙げられ、またその形状としては、シート状物、板状物、管状物、線状物等が挙げられ、具体的には、板状ガラス、シリコンウエファー、各種の形状に加工したプラスチック、金属板等が挙げられる。
【0017】
また、層間絶縁膜の作成条件としては、大気中又は窒素ガス等の不活性ガス中において、上記の溶液を基材の表面に塗布等によって展開した後、適宜の時間、即ち、1分〜50時間、好ましくは3分から10時間にわたり、加熱処理して溶媒を乾燥除去することにより被膜が形成される。その加熱温度は、40〜500℃の範囲が望ましい。
【0018】
本発明に用いる一般式(1)で表される芳香環ポリカルボシラン化合物は、上記の方法で有機溶媒に溶解させた塗布液を用いて塗工することにより容易に被膜を形成できる。この膜厚としては、0.01〜20μm、好ましくは0.1〜5μmである。
この被膜は、誘電率が低い上に、二重結合の架橋などによって強固な膜を形成することができると共に、その主鎖にケイ素原子及び芳香環を持つ重合体であるという化学構造から、機械的特性及び耐熱性などの優れた諸特性を有するから、半導体等の層間絶縁膜などに有利に使用できる。
【0019】
【実施例】
実施例1
m−ジエチニルベンゼン1モルとp−ビス ジメチルシリルベンゼン1モルとのヒドロシリル化重合を、エチルベンゼン溶媒中、窒素雰囲気下、白金触媒( Pt2(dvs)3、dvsは1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジシロキサン)の存在下、50℃において約2時間反応を行った。この反応生成物中の未反応残存モノマーについてガスクロマトグラフィを用いて測定し、残存モノマーが0%であることを確認して反応を終了した。得られた均一状態のポリカルボシラン溶液をスピンコート法を用いてウエハ上に塗布した。次に、その塗布ウエハを電気炉中、アルゴンガス雰囲気下で、200℃において1時間、さらに300℃において30分間加熱処理した。得られた薄膜の膜厚は約3000Åであった。この薄膜の電気特性及び熱特性を調べた結果、比誘電率は2.88の値が得られ、また、これを窒素中で加熱したところ、5%重量減少の温度は536℃であった。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、ケイ素系高分子化合物の主鎖中に芳香環ユニットと炭素−炭素二重結合ユニットを導入した重合体を絶縁膜として用いるから、低誘電率化され、かつ耐熱性及び機械的特性の向上した層間絶縁膜を提供することができる。また、本発明によれば、特定の芳香族ポリカルボシラン化合物からなる低誘電率材料を半導体装置の層間絶縁膜として用いることにより、半導体装置の配線構造における配線の寄生容量を低減できるから、半導体装置の高集積化及び高速化を実現可能とすると共に、その工業的生産性の向上に貢献できる。
Claims (4)
- 前記反応が、白金系触媒の存在下に行われたものであることを特徴とする請求項2に記載の層間絶縁膜。
- 請求項1に記載の層間絶縁膜を用いて構成される半導体装置。
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