JP2010138376A - 絶縁膜形成用重合体の重合方法、絶縁膜形成用重合体、有機絶縁膜用材料及び有機絶縁膜並びに電子デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 重合性不飽和結合を含む基と、アダマンタン構造を最小単位とするカゴ型構造を有するカゴ型構造化合物を、少なくとも2段階以上の多段階反応により重合する方法であって、各段階の反応において、該1段階前の反応より、反応温度を1℃以上低温で重合することを特徴とする、絶縁膜形成用重合体の重合方法。前記重合方法で重合して得られた絶縁膜形成用重合体を含む有機絶縁膜用材料。前記有機絶縁膜用材料を、加熱、活性エネルギー線照射、又は加熱と活性エネルギー線照射により、架橋反応させて得られる有機絶縁膜。前記有機絶縁膜を具備する、電子デバイス。
【選択図】 図1
Description
(1) 重合性不飽和結合を含む基と、アダマンタン構造を最小単位とするカゴ型構造を有するカゴ型構造化合物を、少なくとも2段階以上の多段階反応により重合する方法であって、各段階の反応において、該1段階前の反応より、反応温度を1℃以上低温で重合することを特徴とする、絶縁膜形成用重合体の重合方法。
本発明は、重合性不飽和結合を含む基とアダマンタン構造を最小単位とするカゴ型構造を有するカゴ型構造化合物を多段階反応により重合する絶縁膜形成用重合体の重合方法であり、各段階の反応においては、その1段前の反応における反応温度よりも、1℃以上低い温度で重合することを特徴とするものである。
本発明の絶縁膜形成用重合体は、前記重合方法により重合した重合体であり、有機絶縁膜用材料は、前記重合体を含むものである。
本発明の有機絶縁膜は、前記有機絶縁膜用材料を用いて得られるものであり、電子デバイスは、前記有機絶縁膜を具備するものである。
本発明に用いる重合性不飽和結合を含む基と、アダマンタン構造を最小単位とするカゴ型構造を有するカゴ型構造化合物は、カゴ型構造として、アダマンタン構造、ポリアマンタン構造、アダマンタン構造が複数連なった構造を骨格として有するポリアダマンタン構造、前記ポリアマンタン構造が複数連なった構造を骨格として有するポリ(ポリアマンタン)構造が挙げられる。
ここで、ポリアマンタン構造としては、ジアマンタン環、トリアマンタン環、テトラマンタン環、ペンタマンタン環及びヘキサマンタン環などが挙げられる。
上記ポリアダマンタン構造化合物、ポリ(ポリアマンタン)構造化合物は、前記式(1)におけるnとして、2以上のものである。
前記炭素−炭素三重結合または炭素−炭素二重結合を含む基として具体的には、式(3)〜(6)で表される基が好ましく、これらを1つ以上有することが好ましい。
本発明は、重合性不飽和結合を含む基と、アダマンタン構造を最小単位とするカゴ型構造を有するカゴ型構造化合物を、有機溶媒中で、多段階で反応させて重合する方法であり、各段階における重合は、重合性不飽和結合基を反応させることができる公知の重合方法を適用することが可能である。
これら種々有機溶媒の中でも、アニソール、エトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、1,4−ジメトキシベンゼン及びジフェニルエーテル等のフェニルエーテル系溶剤が、カゴ型構造化合物の溶解性及び重合性不飽和結合を含む基の反応性に優れるため、これらフェニルエーテル系溶剤を単独、あるいは2種以上混合して用いるのが、より好ましい。
例えば、2段階反応の場合、1段階目の反応は、所望の分子量あるいは所望の反応液粘度よりも、小さい分子量、反応液粘度にて反応を停止し、該1段階目の反応よりも低温である2段階目の反応で、所望の分子量、反応液粘度に達するまで、重合を行うものであり、最終段の反応において、所望の分子量、反応液粘度に到達すれば良い。
本発明の有機絶縁膜用材料は、上記絶縁膜形成用重合体の重合方法で得た重合体を含むものであり、一般的には、後述するように、有機絶縁膜用材料ワニスとして、支持体上に塗布することによって膜を形成することから、該重合体を溶解又は分散させる溶媒を含むことができる。ワニスにするにあたっては、上記にて反応して得た重合体を回収、乾燥させて固形としたものを、有機溶剤に溶解させて有機絶縁膜用材料としてもよいし、前記重合体の製造により得られた反応溶液を、直接、有機絶縁膜用材料として用いてもよいし、また、反応溶液に別の有機溶剤を混合してもよい。
本発明の有機絶縁膜は、前記有機絶縁膜用材料を用いて得られるが、例えば、上記で得られた有機絶縁膜用材料ワニスを、基板などの支持体に塗布し、これを、加熱や活性エネルギー線照射などの処理をすることで製造できる。また、上記で得られた反応溶液をそのまま、又は前記有機絶縁材料を加熱して溶解して、支持体に塗布して製造しても良い。前記加熱や活性エネルギー線照射など処理を行うことにより、重合体中に残存する重合性不飽和結合基を、架橋反応することにより、より耐熱性、機械特性に優れる有機絶縁膜を提供することができる。
また、基板などの支持体との密着性を高めるために、基板上に密着促進剤層を形成後、その上に有機絶縁膜を形成しても良い。
前記有機絶縁膜の用途としては、例えば、半導体用の層間絶縁膜や表面保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜、エッチング保護膜(エッチングストッパー)、接着剤等が挙げられる。これらの中でも、半導体用の層間絶縁膜及び表面保護膜、エッチング保護膜として好適に用いられる。
半導体用保護膜などにおいては、0.05〜70μmが好ましく、特に0.1〜50μmが好ましい。厚さが前記範囲内であると、特に半導体素子の保護特性及び加工性の両方に優れる。
図1は、本発明の電子デバイスの一例を模式的に示す断面図である。
電子デバイス100は、素子が形成された半導体基板1と、半導体基板1の上側(図1上側)に設けられた配線構造から構成されている。
トランジスタ等の素子を作り込んだ半導体基板1または必要に応じてその上側に化学気相堆積(CVD)法等により形成した無機絶縁膜等を形成した基板に、まず1層目の層間絶縁膜2が形成される。該層間絶縁膜2には、本発明の有機絶縁膜用材料より形成された有機絶縁膜、あるいはCVD法等により形成した無機絶縁膜などが使用される。該絶縁膜は、素子との電気的接合をとるための配線層が作りこまれており、層間絶縁膜2及びバリアメタル層4で覆われた銅配線層3となる構造を有している。
層間絶縁膜2には、配線すべきパターンに対応した凹部が形成されており、その凹部内には銅配線層3が設けられている。
また、層間絶縁膜2と、銅配線層3との間には、例えば、層間絶縁膜2とバリアメタル層4の密着性を向上する上で、また、前記バリアメタル層4を有しない場合には層間絶縁膜2と銅配線層3の密着性を向上する上で、後述する配線溝の内面にプラズマ処理などにより改質処理層を設けることがある。
また、層間絶縁膜2の上側(半導体基板1と反対側面)には、ハードマスク層5が形成されている。
この1層目の配線の上部には、さらに配線層が形成され、上記同様にして層間絶縁膜などが形成され多層配線構造とすることができる。
さらに配線層を積層する場合にも、基本的に上記1層目の配線形成と同様な方法により形成することができる。
本発明の電子デバイスは、上述したような層間絶縁膜を用いているので寸法精度に優れ、絶縁性を十分に発揮できるので、それにより接続信頼性が優れている。
また、上述したような層間絶縁膜は、誘電特性に優れているので、配線遅延を低下することができる。
3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタンの合成
温度計、撹拌機および還流管を備えた4つ口の2000mLフラスコに、金属ナトリウム28g(1.2mol)とn−オクタン1200mlを入れ、内温を0℃に冷やした。激しく撹拌しながら、n−オクタン600mlに予め溶解した1−ブロモ−3,5−ジメチルアダマンタン145.9g(0.6mol)を徐々に滴下した。滴下中、内温は、0℃〜5℃に保った。滴下終了後、温度が上昇しなくなったら、引き続き1時間反応を続けた。その後、冷水約3000mLに注いで、粗生成物を濾別し、純水で洗い、乾燥した。更に粗成生物を、熱ヘキサンにより、再結晶した。得られた再結晶物を、減圧乾燥することにより、生成物65.2gを得た。赤外分光(IR)分析によりBr基の吸収(690−515cm−1付近)が消失し、質量分析による分子量が326である結果より、生成物が3,3’,5,5’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタンであることが示された。
以下に、生成物の外観、質量分析及び元素分析の結果を示す。これらのデータは、上記で得られた化合物が3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタンであることを示している。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):574(M+)
元素分析:理論値(/%)C;91.93、H;8.07、実測値(/%)C;91.87、H;8.00
(1)3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタンの重合と有機絶縁膜用材料ワニスの製造
合成例1で得られた3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン5gを1,3−ジメトキシベンゼン45gに溶解させ、乾燥窒素下170℃で3時間反応させ、反応液を一旦室温まで冷却した。GPCにより分子量測定を行ったところ、数平均分子量が39,800であった。分子量測定は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフ(GPC)装置(東ソー株式会社製、HLC−8220GPC)を用い、また、カラムとして、TSKgel GMHXL(ポリスチレン換算排除限界4x108(推定))x2本及びTSKgel G2000HXL(ポリスチレン換算排除限界1x104)x2本を直列接続して、検出器として、屈折率計(RI)又は紫外・可視検出器(UV(254nm))を用いて測定を行い、RIまたはUVで得られた結果を解析することにより求めた。 測定条件としては、移動相:テトラヒドロフラン、温度:40℃、流量:1.00mL/min、試料濃度:0.1wt%テトラヒドロフラン溶液とした。再び反応液を加熱し、150℃で6時間反応させ、反応液を、10倍の体積のメタノール/ジオキサン=3/1の混合溶媒に滴下して沈殿物を集めて乾燥し、2.7gのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーの数平均分子量は42,000であった。得られたプレポリマー2gを、シクロペンタノン18gに溶解させ、フィルターでろ過することにより、有機絶縁膜用材料ワニスとした。
(2)絶縁膜の製造
上記で得られた有機絶縁膜用材料ワニスを用いて、スピンコーターにより、シリコンウエハ上に塗布した。この際、熱処理後の絶縁膜の厚さが、約0.3μmとなるように、スピンコーターの回転数と時間を設定した。塗布後に200℃のホットプレート上で1分間乾燥。その後、400℃のオーブン中で窒素雰囲気下30分間硬化することで、絶縁膜を得た。
(1)3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタンの重合と有機絶縁膜用材料ワニスの製造
実施例1(1)と同条件にて、合成例1で得られた3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタンを、乾燥窒素下170℃で3時間反応させ、反応液を一旦室温まで冷却した。GPCにより分子量測定を行ったところ、数平均分子量が41,200であった。再び反応液を加熱し、150℃で6時間反応させ、反応液を、10倍の体積のメタノール/ジオキサン=3/1の混合溶媒に滴下して沈殿物を集めて乾燥し、2.6gのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーの数平均分子量は49,000であった。同条件で重合した実施例1と実施例2では得られたプレポリマーの分子量のバラツキは小さかった。得られたプレポリマー2gを、シクロペンタノン18gに溶解させ、フィルターでろ過することにより、有機絶縁膜用材料ワニスとした。
(2)絶縁膜の製造
上記で得られた有機絶縁膜用材料ワニスを用いて、実施例1(2)と同様の操作をし、絶縁膜を得た。
(1)3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタンの重合と有機絶縁膜用材料ワニスの製造
合成例1で得られた3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン5gを1,3−ジメトキシベンゼン45gに溶解させ、乾燥窒素下170℃で6時間反応させ、反応液を、10倍の体積のメタノール/ジオキサン=3/1の混合溶媒に滴下して沈殿物を集めて乾燥し、2.8gのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーの数平均分子量は、86,500であった。得られたプレポリマー2gを、シクロペンタノン18gに溶解させ、フィルターでろ過することにより、有機絶縁膜用材料ワニスとした。
(2)絶縁膜の製造
上記で得られた有機絶縁膜用材料ワニスを用いて、実施例1(2)と同様の操作をし、絶縁膜を得た。
(1)3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタンの重合と有機絶縁膜用材料ワニスの製造
比較例1(1)と同条件にて、合成例1で得られた3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタンの重合を行い、3.0gのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーの数平均分子量は、119,700であった。比較例1と同条件の重合を行ったが、比較例1よりも分子量の大きいプレポリマーが得られ、分子量のバラツキが大きかった。得られたプレポリマー2gを、シクロペンタノン18gに溶解させ、フィルターでろ過することにより、有機絶縁膜用材料ワニスとした。
(2)絶縁膜の製造
上記で得られた有機絶縁膜用材料ワニスを用いて、実施例1(2)と同様の操作をし、絶縁膜を得た。
3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ジエチニル−1,1’−ビアダマンタンの合成
フラスコ内で、合成例1と同様の手順で得られた3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ジブロモ−1,1’−ビアダマンタン50g(103mmol)及びブロモエテン27.25ml(387.5mmol)をジクロロメタン120mlに溶解させ、乾燥窒素下−15℃において、塩化アルミニウム(III)4.55g(33.3mmol)を滴下し、これを1時間攪拌した。さらに、−15℃において、水20mlを滴下した後、室温に戻し、反応液を得た。10%塩酸水溶液200mlに、反応液を投入し、ジクロロメタン40mlずつを用いて、3回抽出、水40mlで洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、有機層を濃縮して、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(ジブロモエチル)−1,1’−ビアダマンタン67.2gを得た。
以下に、生成物の外観、質量分析及び元素分析の結果を示す。これらのデータは、上記で得られた化合物が3,3’,5,5−テトラメチル−7,7’−ジエチニル−1,1’−ビアダマンタンであることを示している。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):374(M+)
元素分析:理論値(/%)C;89.78、H;10.22、実測値(/%)C;89.70、H;10.13
(1)3,3’,5,5−テトラメチル−7,7’−ジエチニル−1,1’−ビアダマンタンの重合と有機絶縁膜用材料ワニスの製造
合成例2で得られた3,3’,5,5−テトラメチル−7,7’−ジエチニル−1,1’−ビアダマンタン5gを1,3−ジメトキシベンゼン45gに溶解させ、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリド0.1gを添加し、乾燥窒素下190℃で4時間反応させ、反応液を一旦室温まで冷却した。GPCにより分子量測定を行ったところ、数平均分子量が21,400であった。再び反応液を加熱し、180℃で6時間反応させ、反応液を、10倍の体積のメタノール/ジオキサン=3/1の混合溶媒に滴下して沈殿物を集めて乾燥し、3.1gのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーの数平均分子量は32,600であった。得られたプレポリマー2gを、シクロペンタノン18gに溶解させ、フィルターでろ過することにより、有機絶縁膜用材料ワニスとした。
(2)絶縁膜の製造
上記で得られた有機絶縁膜用材料ワニスを用いて、実施例1(2)と同様の操作をし、絶縁膜を得た。
(1)3,3’,5,5−テトラメチル−7,7’−ジエチニル−1,1’−ビアダマンタンの重合と有機絶縁膜用材料ワニスの製造
実施例3(1)と同条件にて、合成例1で得られた3,3’,5,5−テトラメチル−7,7’−ジエチニル−1,1’−ビアダマンタンを、乾燥窒素下190℃で4時間反応させ、反応液を一旦室温まで冷却した。GPCにより分子量測定を行ったところ、数平均分子量が20,900であった。再び反応液を加熱し、180℃で6時間反応させ、反応液を、10倍の体積のメタノール/ジオキサン=3/1の混合溶媒に滴下して沈殿物を集めて乾燥し、2.8gのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーの数平均分子量は29,800であった。同条件で重合した実施例3と実施例4では得られたプレポリマーの分子量のバラツキは小さかった。得られたプレポリマー2gを、シクロペンタノン18gに溶解させ、フィルターでろ過することにより、有機絶縁膜用材料ワニスとした。
(2)絶縁膜の製造
上記で得られた有機絶縁膜用材料ワニスを用いて、実施例1(2)と同様の操作をし、絶縁膜を得た。
(1)3,3’,5,5−テトラメチル−7,7’−ジエチニル−1,1’−ビアダマンタンの重合と有機絶縁膜用材料ワニスの製造
合成例2で得られた3,3’,5,5−テトラメチル−7,7’−ジエチニル−1,1’−ビアダマンタン5gを1,3−ジメトキシベンゼン45gに溶解させ、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリド0.1gを添加し、乾燥窒素下190℃で6時間反応させ、反応液を、10倍の体積のメタノール/ジオキサン=3/1の混合溶媒に滴下して沈殿物を集めて乾燥し、3.4gのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーの数平均分子量は、98,500であった。得られたプレポリマー2gを、シクロペンタノン18gに溶解させ、フィルターでろ過することにより、有機絶縁膜用材料ワニスとした。
(2)絶縁膜の製造
上記で得られた有機絶縁膜用材料ワニスを用いて、実施例1(2)と同様の操作をし、絶縁膜を得た。
(1)3,3’,5,5−テトラメチル−7,7’−ジエチニル−1,1’−ビアダマンタンの重合と有機絶縁膜用材料ワニスの製造
比較例3(1)と同条件にて、合成例2で得られた3,3’,5,5−テトラメチル−7,7’−ジエチニル−1,1’−ビアダマンタンの重合を行い、3.0gのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーの数平均分子量は、75,600であった。比較例3と同条件の重合を行ったが、比較例3よりも分子量の小さいプレポリマーが得られ、分子量のバラツキが大きかった。得られたプレポリマー2gを、シクロペンタノン18gに溶解させ、フィルターでろ過することにより、有機絶縁膜用材料ワニスとした。
(2)絶縁膜の製造
上記で得られた有機絶縁膜用材料ワニスを用いて、実施例1(2)と同様の操作をし、絶縁膜を得た。
9,9’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−4,4’−ビ(ジアマンタン)の合成
合成例1の3,3’,5,5’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタンの合成において、1−ブロモ−3,5−ジメチルアダマンタンに代えて4−ブロモジアマンタン159.6g(0.6mol)を用いる以外は合成例(1)と同様な方法で反応させることにより、生成物4,4’−ビ(ジアマンタン)78.6gを得た。
IR分析によりBr基の吸収(690−515cm−1付近)が消失し、分子量が374である質量分析の結果により、生成物が4,4’−ビ(ジアマンタン)であることが示された。
IR分析によりブロモ基の吸収が690〜515cm−1に見られること、質量分析による分子量が532である結果より、生成物が9,9’−ジブロモ−4,4’−ビ(ジアマンタン)であることが示された。
以下に、生成物の外観、質量分析及び元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が9,9’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−4,4’−ビ(ジアマンタン)であることを示している。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):622(M+)
元素分析:理論値(/%):C;92.56、H;7.44
実測値(/%):C;92.12、H;7.30
(1)9,9’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−4,4’−ビ(ジアマンタン)の重合と有機絶縁膜用材料ワニスの製造
合成例3で得られた9,9’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−4,4’−ビ(ジアマンタン)5gを1,3−ジメトキシベンゼン45gに溶解させ、乾燥窒素下185℃で4時間反応させ、反応液を一旦室温まで冷却した。GPCにより分子量測定を行ったところ、数平均分子量が48,100であった。再び反応液を加熱し、155℃で4時間反応させ、反応液を、10倍の体積のメタノール/ジオキサン=3/1の混合溶媒に滴下して沈殿物を集めて乾燥し、3.2gのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーの数平均分子量は62,300であった。得られたプレポリマー2gを、シクロペンタノン18gに溶解させ、フィルターでろ過することにより、有機絶縁膜用材料ワニスとした。
(2)絶縁膜の製造
上記で得られた有機絶縁膜用材料ワニスを用いて、実施例1(2)と同様の操作をし、絶縁膜を得た。
(1)9,9’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−4,4’−ビ(ジアマンタン)の重合と有機絶縁膜用材料ワニスの製造
実施例5(1)と同条件にて、合成例3で得られた9,9’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−4,4’−ビ(ジアマンタン)を、乾燥窒素下185℃で4時間反応させ、反応液を一旦室温まで冷却した。GPCにより分子量測定を行ったところ、数平均分子量が49,800であった。再び反応液を加熱し、155℃で4時間反応させ、反応液を、10倍の体積のメタノール/ジオキサン=3/1の混合溶媒に滴下して沈殿物を集めて乾燥し、2.9gのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーの数平均分子量は67,800であった。同条件で重合した実施例5と実施例6では得られたプレポリマーの分子量のバラツキは小さかった。得られたプレポリマー2gを、シクロペンタノン18gに溶解させ、フィルターでろ過することにより、有機絶縁膜用材料ワニスとした。
(2)絶縁膜の製造
上記で得られた有機絶縁膜用材料ワニスを用いて、実施例1(2)と同様の操作をし、絶縁膜を得た。
(1)9,9’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−4,4’−ビ(ジアマンタン)の重合と有機絶縁膜用材料ワニスの製造
合成例3で得られた9,9’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−4,4’−ビ(ジアマンタン)5gを1,3−ジメトキシベンゼン45gに溶解させ、乾燥窒素下185℃で7時間反応させ、反応液を、10倍の体積のメタノール/ジオキサン=3/1の混合溶媒に滴下して沈殿物を集めて乾燥し、3.4gのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーの数平均分子量は、81,500であった。得られたプレポリマー2gを、シクロペンタノン18gに溶解させ、フィルターでろ過することにより、有機絶縁膜用材料ワニスとした。
(2)絶縁膜の製造
上記で得られた有機絶縁膜用材料ワニスを用いて、実施例1(2)と同様の操作をし、絶縁膜を得た。
(1)9,9’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−4,4’−ビ(ジアマンタン)の重合と有機絶縁膜用材料ワニスの製造
比較例5(1)と同条件にて、合成例3で得られた9,9’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−4,4’−ビ(ジアマンタン)の重合を行い、3.4gのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーの数平均分子量は、104,900であった。比較例5と同条件の重合を行ったが、比較例5よりも分子量の大きいプレポリマーが得られ、分子量のバラツキが大きかった。得られたプレポリマー2gを、シクロペンタノン18gに溶解させ、フィルターでろ過することにより、有機絶縁膜用材料ワニスとした。
(2)絶縁膜の製造
上記で得られた有機絶縁膜用材料ワニスを用いて、実施例1(2)と同様の操作をし、絶縁膜を得た。
(1)[3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタンの合成]
1Lナスフラスコに、合成例1と同様にして得られた3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン28.7g(50mmol)、キノリン193.7g(1500mmol)、5%パラジウム炭酸カルシウム3.19g(1.5mmol)、テトラヒドロフラン300mlを投入し、水素下で27℃に保って攪拌した。水素4.9L(200mmol)が消費された時点で、窒素を導入して反応を停止させた。反応液をろ過した後、溶媒を減圧で除去し、得られた固体をアセトンおよび水の混合液(体積比2:1)で洗浄し、60℃で減圧乾燥して、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン25.1gを得た。
以下に、生成物の外観、質量分析及び元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタンであることを示している。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):582(M+)
元素分析:理論値(/%)C;90.66、H;9.34、実測値(/%)C;90.60、H;9.39
(1)3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタンの重合と有機絶縁膜用材料のワニスの製造
合成例4で得られた3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン5gをアニソール120gに溶解させ、アゾビスイソブチロニトリル0.1gを添加し、乾燥窒素下80℃で1時間反応させ、反応液を一旦室温まで冷却した。GPCにより分子量測定を行ったところ、数平均分子量が37,200であった。再び反応液を加熱し、60℃で2時間反応させた後、メタノールを少量添加し、反応を停止した。その後、反応液を濃縮し、10倍体積のメタノール/テトラヒドロフラン=1/1の混合溶液に滴下して沈殿物を集めて乾燥し、2.1gのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーの数平均分子量は46,100であった。得られたプレポリマー2gをシクロペンタノン18gに溶解させ、フィルターでろ過することにより、有機絶縁膜用材料ワニスとした。
(2)絶縁膜の製造
上記で得られた有機絶縁膜用材料ワニスを用いて、実施例1(2)と同様の操作をし、絶縁膜を得た。
(1)3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタンの重合と有機絶縁膜用材料のワニスの製造
実施例7(1)と同条件にて、合成例4で得られた3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン5gをアニソール120gに溶解させ、アゾビスイソブチロニトリル0.1gを添加し、乾燥窒素下80℃で1時間反応させ、反応液を一旦室温まで冷却した。GPCにより分子量測定を行ったところ、数平均分子量が38,900であった。再び反応液を加熱し、60℃で2時間反応させた後、メタノールを少量添加し、反応を停止した。その後、反応液を濃縮し、10倍体積のメタノール/テトラヒドロフラン=1/1の混合溶液に滴下して沈殿物を集めて乾燥し、2.1gのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーの数平均分子量は47,600であった。同条件で重合した実施例7と実施例8では得られたプレポリマーの分子量のバラツキは小さかった。得られたプレポリマー2gをシクロペンタノン18gに溶解させ、フィルターでろ過することにより、有機絶縁膜用材料ワニスとした。
(2)絶縁膜の製造
上記で得られた有機絶縁膜用材料ワニスを用いて、実施例1(2)と同様の操作をし、絶縁膜を得た。
(1)3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタンの重合と有機絶縁膜用材料のワニスの製造
合成例4で得られた3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン5gをアニソール120gに溶解させ、アゾビスイソブチロニトリル0.1gを添加し、乾燥窒素下80℃で2時間反応させた後、メタノールを少量添加し、反応を停止した。その後、反応液を濃縮し、10倍体積のメタノール/テトラヒドロフラン=1/1の混合溶液に滴下して沈殿物を集めて乾燥し、2.8gのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーの数平均分子量は92,500であった。得られたプレポリマー2gをシクロペンタノン18gに溶解させ、フィルターでろ過することにより、有機絶縁膜用材料ワニスとした。
(2)絶縁膜の製造
上記で得られた有機絶縁膜用材料ワニスを用いて、実施例1(2)と同様の操作をし、絶縁膜を得た。
(1)3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタンの重合と有機絶縁膜用材料のワニスの製造
比較例7(1)と同条件にて、合成例4で得られた3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタンの重合を行い、2.7gのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーの数平均分子量は71,600であった。比較例7と同条件の重合を行ったが、比較例7よりも分子量の小さいプレポリマーが得られ、分子量のバラツキが大きかった。得られたプレポリマー2gをシクロペンタノン18gに溶解させ、フィルターでろ過することにより、有機絶縁膜用材料ワニスとした。
(2)絶縁膜の製造
上記で得られた有機絶縁膜用材料ワニスを用いて、実施例1(2)と同様の操作をし、絶縁膜を得た。
実施例1から8及び比較例1から8で得られた絶縁膜について、誘電率、ガラス転移温度及び弾性率のそれぞれの特性を、下記の評価方法により、評価を行った。
得られた結果を表1に示す。
誘電率は、日本エス・エス・エム(株)製、自動水銀プローブCV測定装置SSM495を用いて評価した。
Tgは、上記で得たシリコンウエハ上の絶縁膜を削り取り、これを測定試料として、ティー・エイ・インスツルメント社製示差走査熱量計DSC−Q1000装置で評価した。測定温度範囲を、250℃〜450℃とし、昇温速度を2℃/分とした。ガラス転移温度の評価は、250℃〜450℃の温度範囲においてリバースヒートフローに変極点がないかを解析して求めた。
弾性率は、MTS社製薄膜機械的特性測定装置ナノインデンターで薄膜測定用プログラムを用いて、押し込み深さが膜厚の10分の1までの信号が安定した領域で評価した。
半導体基板の上に窒化珪素層を形成し、該窒化珪素層上に、それぞれ実施例1から8で得られた絶縁膜形成用ワニスを塗布して、400℃で加熱処理して、厚さ0.1μmの層間絶縁膜を形成した。
次に、前記層間絶縁膜に、所定のパターンを形成するように、金属配線を形成して、半導体デバイスを得た。また、この半導体デバイスと同様な構成でSiO2絶縁膜を有する半導体デバイスとの配線遅延の程度を比較した。評価の基準には、リングオシュレータの発信周波数から換算して求めた信号遅延時間を採用した。両者を比較した結果、本発明で得られた半導体デバイスでは、SiO2絶縁膜を有する半導体デバイスより配線遅延が少なく、平均して約25%の速度の向上があることが確認された。
実施例1から8で得られた絶縁膜を層間絶縁膜として用いた半導体デバイスは、層間絶縁膜の誘電率が低いので、信号遅延の低減効果に優れていた。
2 層間絶縁膜
3 銅配線層
4 バリアメタル層
5 ハードマスク層
100 電子デバイス
Claims (9)
- 重合性不飽和結合を含む基と、アダマンタン構造を最小単位とするカゴ型構造を有するカゴ型構造化合物を、少なくとも2段階以上の多段階反応により重合する方法であって、各段階の反応において、該1段階前の反応より、反応温度を1℃以上低温で重合することを特徴とする、絶縁膜形成用重合体の重合方法。
- 前記アダマンタン構造を最小単位とするカゴ型構造が、アダマンタン構造、ポリアマンタン構造、ポリ(ポリアマンタン)構造又はポリアダマンタン構造である、請求項1に記載の絶縁膜形成用重合体の重合方法。
- 前記重合性不飽和結合を含む基は、炭素−炭素三重結合または炭素−炭素二重結合を含む基である、請求項1又は2に記載の絶縁膜形成用重合体の重合方法。
- 前記重合が、無触媒下の熱重合またはラジカル開始剤を用いたラジカル重合である、請求項1から3いずれか1項に記載の絶縁膜形成用重合体の重合方法。
- 前記重合が、フェニルエーテル系溶媒中で重合するものである、請求項1から4いずれか1項に記載の絶縁膜形成用重合体の重合方法。
- 請求項1から5いずれか1項に記載の重合方法で重合して得られた絶縁膜形成用重合体。
- 請求項6記載の絶縁膜形成用重合体を含むことを特徴とする有機絶縁膜用材料。
- 請求項7記載の有機絶縁膜用材料を、加熱、活性エネルギー線照射、又は加熱と活性エネルギー線照射により、架橋反応させて得られる有機絶縁膜。
- 請求項8に記載の有機絶縁膜を具備する、電子デバイス。
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