JP3785371B2 - フレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法と固定具 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、雄型の端子金具と雌型の端子金具とを互いに接続した状態で接離させてフレッチング腐食させるフレッチング腐食試験装置に係り、端子金具の取り付け方法と固定具に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車などに配索されるワイヤハーネスは、電線とコネクタを備えている。コネクタは、絶縁性のコネクタハウジングと導電性の端子金具とを備えている。コネクタハウジングは、端子金具を収容する。端子金具は、電線の端部などに取り付けられる。端子金具には、所謂雄型の端子金具(以下単に雄端子と呼ぶ)と、所謂雌型の端子金具(以下単に雌端子と呼ぶ)とが用いられる。
【0003】
雄端子は、帯状又は棒状の電気接触部を備えている。雌端子は、筒状の電気接触部と、電気接触部の内面に雄端子の電気接触部を押し付けるばね片と、を備えている。これらの雄端子と雌端子は、ワイヤハーネスを構成して、自動車に配索される際に、帯状又は棒状の電気接触部が筒状の電気接触部内に挿入されてばね片が帯状又は棒状の電気接触部を筒状の電気接触部の内面に押し付けて、互いに電気的に接続する。
【0004】
このとき、ワイヤハーネスが自動車に配索されると、該自動車の走行中の振動などによって、例えば50μmなどの微少な距離内を帯状又は棒状の電気接触部の長手方向に沿って、雄端子と雌端子とが互いに近づいたり離れたりすることがある。このため、前述した雄端子と雌端子を設計・開発する段階では、前記端子金具を構成する金属からなる試験片を互いに接触した状態で微摺動させて、試験片の摩耗(所謂フレッチング腐食)状況を確認することが行われている。このとき、試験片間の電気的な抵抗を測定することにより、前記試験片の評価を行っている。
【0005】
前述した微摺動(フレッチング腐食)試験を行う際には、前述した試験片よりも実際の雄端子と雌端子を用いることが望まれている。また、前述した微摺動試験を行うために従来から種々の試験装置が用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述した雄端子と雌端子とを、例えば50μmなどの微少な距離内を接離する際に、従来から用いられてきた種々の試験装置では、試験装置自体の変形によって、雄端子と雌端子とを所望の微少な距離近づけたり離したりすることが困難であった。また、前記試験装置自体の変形を抑制するために、試験装置自体の剛性を高くすると、雄端子の帯状の電気接触部の長手方向と、前記雄端子と雌端子とが互いに近づいたり離れたりする方向とを一致させるのが困難となり、前記電気接触部同士の接触荷重が低下する虞があった。
【0007】
つまり、実際にコネクタハウジング内に収容されて、端子金具同士が接続した状態を再現して、微摺動試験を行うことが困難であった。この場合、勿論、雄端子と雌端子の微摺動試験の評価を正確に行うことが困難となる。このように、従来から用いられてきた試験装置では、微摺動試験を正確に行うことが困難であった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、微摺動試験を正確に行うことができるフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法と端子金具の固定具を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法は、雄型の端子金具の第1の電気接触部を雌型の端子金具の筒状の第2の電気接触部内に挿入した状態で前記第1の電気接触部の長手方向に沿ってこれらの端子金具を互いに接離させるフレッチング腐食試験装置の装置本体に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具を取り付けるフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法において、前記雌型の端子金具は、前記第1の電気接触部を前記第2の電気接触部の内面に向かって押し付ける帯状のばね片を備えており、前記第1の電気接触部を前記第2の電気接触部内に挿入して雄型の端子金具と雌型の端子金具とを互いに接続して、前記ばね片の幅方向に沿って前記雌型の端子金具を挟んで、前記第1の電気接触部と前記第2の電気接触部との間の接触圧力を正規圧力に保った状態で、前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具との双方を前記装置本体に固定することを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の本発明のフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法は、雄型の端子金具の第1の電気接触部を雌型の端子金具の筒状の第2の電気接触部内に挿入した状態で前記第1の電気接触部の長手方向に沿ってこれらの端子金具を互いに接離させるフレッチング腐食試験装置の装置本体に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具を取り付けるフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法において、前記フレッチング腐食試験装置は、前記雄型の端子金具を前記装置本体に固定する第1の固定具と、前記雌型の端子金具を前記装置本体に固定する第2の固定具と、を備え、前記第1の固定具と前記第2の固定具のうち一方は、互いに接離自在に設けられかつ互いの間に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具のうち一方を挟む一対の挟み片と、前記挟み片の前記装置本体に対する相対的な位置を変更可能とする変更手段と、前記挟み片を前記装置本体に固定する固定手段と、を備え、前記第1の電気接触部を前記第2の電気接触部内に挿入して雄型の端子金具と雌型の端子金具とを互いに接続した後、他方の固定具で前記雄型の端子金具と雌型の端子金具のうち他方を前記装置本体に仮止めしかつ前記一対の挟み片間に一方の端子金具を挟むとともに、前記変更手段により前記第1の電気接触部と前記第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に前記挟み片の前記装置本体に対する相対的な位置を調整した後、前記固定手段により前記挟み片を装置本体に固定して、前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具との双方を前記第1の固定具と前記第2の固定具とで前記装置本体に固定することを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の本発明のフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法は、雄型の端子金具の第1の電気接触部を雌型の端子金具の筒状の第2の電気接触部内に挿入した状態で前記第1の電気接触部の長手方向に沿ってこれらの端子金具を互いに接離させるフレッチング腐食試験装置の装置本体に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具を取り付けるフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法において、前記雌型の端子金具は、前記第1の電気接触部を前記第2の電気接触部の内面に向かって押し付ける帯状のばね片を備えており、前記フレッチング腐食試験装置は、前記雄型の端子金具を前記装置本体に固定する第1の固定具と、前記雌型の端子金具を前記装置本体に固定する第2の固定具と、を備え、前記第1の固定具は、互いに接離自在に設けられかつ互いの間に前記雄型の端子金具を挟む一対の挟み片と、前記挟み片の前記装置本体に対する相対的な位置を変更可能とする変更手段と、前記挟み片を前記装置本体に固定する固定手段と、を備え、前記第2の固定具は、前記装置本体の表面から凹でかつ雌型の端子金具の外形に沿った溝と、前記溝内に収容された雌型の端子金具を溝の底面に向かって押す押さえ板と、を備え、前記ばね片の幅方向に沿って押さえ板と溝の底面とで前記雌型の端子金具を挟んで前記装置本体に固定するとともに、前記第1の電気接触部を前記第2の電気接触部内に挿入して雄型の端子金具と雌型の端子金具とを互いに接続した後、前記第2の固定具で前記雌型の端子金具を前記装置本体に仮止めしかつ前記一対の挟み片間に前記雄型の端子金具を挟むとともに、前記変更手段により前記第1の電気接触部と前記第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に前記挟み片の前記装置本体に対する相対的な位置を調整した後、前記固定手段により前記挟み片を装置本体に固定して、前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具との双方を前記第1の固定具と前記第2の固定具とで前記装置本体に固定することを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の本発明のフレッチング腐食試験装置の端子金具の固定具は、雄型の端子金具の第1の電気接触部を雌型の端子金具の筒状の第2の電気接触部内に挿入した状態で前記第1の電気接触部の長手方向に沿ってこれらの端子金具を互いに接離させるフレッチング腐食試験装置の装置本体に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具を取り付けるフレッチング腐食試験装置の端子金具の固定具において、互いに接離自在に設けられかつ互いの間に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具とのうち一方を挟む一対の挟み片と、前記挟み片の前記装置本体に対する相対的な位置を変更可能とする変更手段と、前記挟み片を前記装置本体に固定する固定手段と、を備え、前記第1の電気接触部を前記第2の電気接触部内に挿入して雄型の端子金具と雌型の端子金具とを互いに接続した後、前記雄型の端子金具と雌型の端子金具とのうち他方を前記装置本体に仮止めしかつ前記一対の挟み片間に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具とのうち一方を挟み、前記変更手段により前記第1の電気接触部と前記第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に前記挟み片の前記装置本体に対する相対的な位置を調整した後、前記固定手段により前記挟み片を装置本体に固定して、前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具との双方を前記装置本体に固定することを特徴としている。
【0014】
請求項1に記載した本発明によれば、第1の電気接触部と第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具を装置本体に固定する。そして、微摺動試験を行う。このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。なお、本明細書で記す接触圧力とは、第1の電気接触部と第2の電気接触部との相互間の圧力である。正規圧力とは、雄型の端子金具と、雌型の端子金具との設計時に定められる正常な(正規の)電気接触部間の接触圧力である。互いに接続された雄型の端子金具と雌型の端子金具とに外力が作用しない状態で、電気接触部間の接触圧力が正規圧力にんばる。このため、正規圧力となる状態とは、雄型の端子金具と雌型の端子金具とに外力が作用していない状態を示している。このため、電気接触部間の接触圧力が正規圧力となる状態に雄型の端子金具と雌型の端子金具とが嵌合した状態を正規嵌合状態と呼ぶ。この正規嵌合状態では、雄型の端子金具と雌型の端子金具には、電気接触部以外からは外力が作用していない。
【0015】
雌型の端子金具のばね片の幅方向に沿って、雌型の端子金具を挟んで固定する。このため、雌型の端子金具を固定する際の挟む力によって、ばね片が変形することを防止できる。このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。
【0016】
請求項2に記載した本発明によれば、変更手段が挟み片の装置本体に対する相対的な位置を変更可能としており、第1の電気接触部と第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に、変更手段が挟み片を位置付けて固定手段が挟み片を装置本体に固定する。このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。
【0017】
請求項3に記載した本発明によれば、変更手段が挟み片の装置本体に対する相対的な位置を変更可能としており、第1の電気接触部と第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に、変更手段が挟み片を位置付けて固定手段が挟み片を装置本体に固定する。
【0018】
また、雌型の端子金具のばね片の幅方向に沿って、押さえ板と溝の底面とで雌型の端子金具を挟んで固定する。このため、雌型の端子金具を固定する際の挟む力によって、ばね片が変形することを防止できる。
【0019】
このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。
【0020】
請求項4に記載した本発明によれば、変更手段が挟み片の装置本体に対する相対的な位置を変更可能としており、第1の電気接触部と第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に、変更手段が挟み片を位置付けて、固定手段が挟み片を装置本体に固定する。このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1ないし図13を参照して説明する。
図1などに示す本発明の一実施形態にかかる固定具としての後述する第1の固定具17と第2の固定具18とを備えたフレッチング腐食試験装置1は、端子金具としての図11に示す雄型の端子金具(以下雄端子と呼ぶ)2と、図12に示す雌型の端子金具(以下雌端子と呼ぶ)3とを取り付ける。そして、フレッチング腐食試験装置1は、これらの端子2,3をフレッチング腐食させたときの端子2,3間の電気的な抵抗を測定して、端子2,3の良否を判定する装置である。フレッチング腐食試験装置1は、端子2,3の設計・開発段階において、これらの端子2,3が予め定められた要求を満たしているか否かを判定する装置である。
【0022】
前記フレッチング腐食試験装置1は、図13に示すように、雄端子2と雌端子3とを接続させて、雄端子2の後述するタブ4と雌端子3の後述する筒部8の長手方向(端子2,3の長手方向)に沿って、これらの端子2,3を相対的に微少な距離内を移動させて、前述したフレッチング腐食試験を行う。雄端子2は、導電性の板金を折り曲げられて得られる。雄端子2は、図11に示すように、第1の電気接触部としてのタブ4と、電線接続部5と、連結部6と、を一体に備えている。タブ4は、帯状(平板状)に形成されている。タブ4は、帯状に形成されて、雌端子3の後述する筒部8内に挿入されて、該雌端子3と電気的に接続する。
【0023】
電線接続部5は、電線を加締める加締め片7を複数備えている。電線接続部5は、加締め片7が電線を加締めることにより、該電線の芯線と電気的に接続する。連結部6は、筒状に形成されており、タブ4と電線接続部5とを電気的に接続している。雄端子2は、タブ4と連結部6と電線接続部5とがタブ4の長手方向に沿って順に連結している。なお、雄端子2は、本明細書に記した一方の端子金具をなしている。
【0024】
雌端子3は、導電性の板金を折り曲げられて得られる。雌端子3は、図12に示すように、第2の電気接触部としての筒部8と、ばね片9と、電線接続部10と、を一体に備えている。筒部8は、筒状に形成されている。ばね片9は、帯状に形成されており、筒部8内に曲げられた格好で収容されている。ばね片9は、弾性変形可能である。ばね片9は、筒部8内に侵入した雄端子2のタブ4を筒部8の内面に向かって押す。ばね片9がタブ4を筒部8の内面に向かって押して、筒部8は、雄端子2と電気的に接続する。
【0025】
電線接続部10は、電線を加締める加締め片11を複数備えている。電線接続部10は、加締め片11が電線を加締めることにより、該電線の芯線と電気的に接続する。雌端子3は、筒部8と電線接続部10とがばね片9の長手方向に沿って互いに連結している。なお、雌端子3は、本明細書に記した他方の端子金具をなしている。
【0026】
図13に示すように、タブ4が筒部8内に侵入しかつばね片9がタブ4を筒部8の内面に向かって押し付けて、雄端子2と雌端子3とが互いに接続する。このとき、タブ4の長手方向と筒部8の長手方向とが平行となり、タブ4と筒部8との間の接触圧力を正規圧力に保つ。なお、接触圧力とは、タブ4と筒部8との相互間の圧力である。正規圧力とは、雄端子2と、雌端子3との設計時に定められる正常な(正規の)タブ4と筒部8との間の接触圧力である。このため、タブ4と筒部8との間の接触圧力が正規圧力となる状態に雄端子2と雌端子3とが嵌合した状態を正規嵌合状態と呼ぶ。この正規嵌合状態では、雄端子2と雌端子3には、タブ4とばね片9以外からは外力が作用していない。フレッチング腐食試験装置1は、前記タブ4及び筒部8の長手方向に沿って雄端子2と雌端子3とを互いに近づけたり離して(即ち接離して)、端子2,3の特にタブ4と筒部8の内面などをフレッチング腐食させる。
【0027】
そして、これらの端子2,3間の電気的な抵抗を測定することにより、前記端子2,3の設計の良否を判定する。即ち、フレッチング腐食試験装置1は、タブ4及び筒部8の長手方向に沿って、予め定められた距離内を予め定められた回数、端子2,3を接離(微摺動)させた際の端子2,3間の電気的な抵抗を測定することにより、前記端子2,3の設計の良否を判定する。
【0028】
フレッチング腐食試験装置1は、図1に示すように、ベース12と、駆動源としてのステッピングモータ13と、微動テーブル14と、荷重センサ15と、支持テーブル16と、第1の固定具17と、第2の固定具18と、測定手段としての測定部19と、制御手段としての制御装置20と、を備えている。ベース12は、フロア上などに設置される。ステッピングモータ13は、ベース12に固定されている。ステッピングモータ13の出力軸にはねじ軸21が取り付けられている。ねじ軸21の軸芯は、固定具17,18に取り付けられる端子2,3のタブ4及び筒部8の長手方向に沿う。ねじ軸21は、その軸芯を中心として回転自在にベース12に支持されている。ねじ軸21には、ナット22が螺合している。
【0029】
微動テーブル14は、ナット22に固定されている。微動テーブル14は、ステッピングモータ13が駆動すると、ねじ軸21の長手方向に沿って移動する。荷重センサ15は、微動テーブル14と支持テーブル16との間に設けられており、これらと連結している。荷重センサ15は、例えば、水晶などの圧電素子を備えている。荷重センサ15の圧電素子は、微動テーブル14がねじ軸21の軸芯に沿って移動した際に、支持テーブル16に作用する荷重(即ちタブ4と筒部8の内面との間に生じる摩擦力)に応じた信号をアンプ23に向かって出力する。アンプ23は、前記荷重センサ15からの信号を増幅して、インターフェース(図1中にI/Fと示し、以下I/Fと呼ぶ)24に向かって出力する。
【0030】
支持テーブル16は、第1の固定具17を取り付けている。第1の固定具17は、雄端子2を取り付ける。なお、この第1の固定具17の詳細な構成は後述する。第2の固定具18は、ベース12に取り付けられている。第2の固定具18は、雌端子3を取り付ける。なお、この第2の固定具18の詳細な構成は後述する。また、前記ベース12と、微動テーブル14と、支持テーブル16とは、本明細書に記した装置本体を構成している。
【0031】
測定部19は、電源ユニット25と、電圧計26とを備えている。電源ユニット25は、プラスの端子とマイナスの端子とを備えている。電源ユニット25のプラスの端子は、第2の固定具18を介して雌端子3と電気的に接続する。電源ユニット25のマイナスの端子は、第1の固定具17を介して雄端子2と電気的に接続する。電源ユニット25は、制御装置20からの命令に基づいて、前記第1の固定具17と第2の固定具18とを介して、端子2,3間に所定の電流値で印加する。
【0032】
電圧計26は、プラスの端子とマイナスの端子とを備えている。電圧計26のプラスの端子は、第2の固定具18を介して雌端子3と電気的に接続する。電圧計26のマイナスの端子は、第1の固定具17を介して雄端子2と電気的に接続する。電圧計26は、制御装置20からの命令に基づいて、前記第1の固定具17と第2の固定具18とを介して、端子2,3間の電圧を測定する。前述した構成の測定部19は、制御装置20からの命令に基づいて、前記電源ユニット25が端子2,3間に印加するとともに、電圧計26が端子2,3間の電圧を測定する。
【0033】
制御装置20は、周知のRAM、ROM、CPUなどを備えたコンピュータであって、前記ステッピングモータ13とアンプ23と測定部19などと接続して、フレッチング腐食試験装置1全体の制御をつかさどる。制御装置20は、双方向バス27などを介して前記電源ユニット25と電圧計26と接続している。制御装置20は、双方向バス27などを介してI/F24と接続している。I/F24には、前記ステッピングモータ13と、アンプ23とが接続している。
【0034】
制御装置20は、予め記憶されたプログラムに基づいて、I/F24を介してステッピングモータ13を駆動させて、ねじ軸21を一方向に所定数回転させた後、ねじ軸21を逆方向に所定数回転させる。なお、ねじ軸21が回転する所定数とは、微動テーブル14が例えば50μmなどの微少な距離移動する回転数である。ステッピングモータ13の回転が終了すると、この終了したことを示す信号がI/F24を介して制御装置20に入力する。また、前記ステッピングモータ13が駆動している間の前記荷重センサ15が測定した荷重値(摩擦力)が、アンプ23とI/F24を介して制御装置20に入力する。
【0035】
その後、制御装置20は、前記測定部19の電源ユニット25に端子2,3間に印加させるとともに、電圧計26に端子2,3間の電圧を測定させる。電圧計26から双方向バス27を介して、制御装置20に前記端子2,3間の電圧に応じた信号が伝えられる。制御装置20は、電圧計26からの電圧と、電源ユニット25が印加した電流値とから前記端子2,3間の抵抗値を求める。そして、制御装置20は、再度ステッピングモータ13を駆動して、端子2,3を互いに接離させるとともに、端子2,3間の抵抗値を求める。
【0036】
こうして、制御装置20即ちフレッチング腐食試験装置1は、端子2,3を互いに接離させて、これらの端子2,3間の抵抗を測定する。また、制御装置20は、ステッピングモータ13を駆動させる毎即ち端子2,3を互いに接離させる毎に、測定部19に端子2,3間の抵抗を測定させても良く、複数回端子2,3を互いに接離させる毎に、測定部19に端子2,3間の抵抗を測定させても良い。制御装置20は、フレッチング腐食試験の開始直後には、端子2,3を互いに接離させる毎に測定部19に端子2,3間の抵抗を測定させるのが望ましく、試験の経過時間とともに端子2,3間の抵抗を測定する間隔(抵抗を測定する間に端子2,3を互いに接離させる回数)を徐々に大きくするのが望ましい。
【0037】
例えば、端子2,3を接離させるのが1回目から10回目では、毎回端子2,3間の抵抗を測定するのが望ましい。端子2,3を接離させるのが10回目から100回目では、数回毎に端子2,3間の抵抗を測定するのが望ましい。端子2,3を接離させるのが100回目から1000回目では、数十回毎に端子2,3間の抵抗を測定するのが望ましい。端子2,3を接離させるのが1000回目を越えると、100回毎に端子2,3間の抵抗を測定するのが望ましい。
【0038】
また、前記制御装置20は、前記双方向バス27などを介して周知のプリンタ装置やモニタなどと接続しても良い。この場合、前述した測定結果(端子2,3間の抵抗値や荷重センサ15からの荷重値)などを、前記プリンタ装置やモニタなどから出力させる。
【0039】
前記第1の固定具17は、図2に示すように、雄端子2を支持テーブル16に取り付けるために用いられる。第1の固定具17は、請求項5に記載された固定具をなしている。第1の固定具17は、図5に示すように、一対の挟み片28と、一つの取付用ボルト29と、変更手段としての一対の長孔30と、固定手段としての固定部31とを備えている。
【0040】
一対の挟み片28は、支持テーブル16上に重ねられている。一対の挟み片28は、前記ねじ軸21の軸芯に直交しかつ水平方向に沿って互いに並べられており、互いに接離自在に設けられている。一対の挟み片28には、それぞれ、取付用ボルト29が螺合するねじ孔32が設けられている。それぞれの挟み片28に設けられたねじ孔32は、互いに同一線上に配されている。これらのねじ孔32には、取付用ボルト29が螺合する。取付用ボルト29がねじ孔32にねじ込まれる量に応じて、一対の挟み片28が前記ねじ軸21の軸芯に直交しかつ水平方向に沿って互いに接離する。
【0041】
一対の挟み片28は、互いの間に、タブ4の厚み方向と一対の挟み片28が互いに接離する方向とが平行になる状態で雄端子2の連結部6を挟む。即ち、一対の挟み片28は、タブ4の長手方向に交差する断面形の長手方向が、鉛直方向に沿う状態で、雄端子2の連結部6を互いの間に挟む。
【0042】
取付用ボルト29は、ねじ孔32に螺合する。取付用ボルト29が、ねじ孔32の奥にねじ込まれるのにしたがって、一つの挟み片28が徐々に互いに近づく。取付用ボルト29が、ねじ孔32からゆるめられるのにしたがって、一対の挟み片28が徐々に互いに離れる。
【0043】
一対の長孔30は、それぞれ、支持テーブル16に挟み片28が重ねられる方向に沿って、挟み片28を貫通している。長孔30の長手方向は、一対の挟み片28が互いに接離する方向に沿っている。長孔30の内側には、固定部31の後述するボルト34が通される。長孔30は、内側にボルト34が通されることによって、一対の挟み片28間に挟まれる雄端子2のタブ4の厚み方向(ねじ軸21の軸芯に直交しかつ水平方向に沿う方向)に沿って、これらの挟み片28を支持テーブル16に対して移動自在とする。即ち、長孔30は、タブ4の厚み方向に沿った挟み片28の支持テーブル16に対する相対的な位置を変更可能としている。
【0044】
固定部31は、一対のねじ孔33と、一対のボルト34とを備えている。ねじ孔33は、支持テーブル16の表面に開口している。ねじ孔33は、支持テーブル16に挟み片28が重ねられると、長孔30と連通する。
【0045】
ボルト34は、長孔30を通してねじ孔33に螺合する。ボルト34は、長孔30の長手方向に沿って、長孔30に対して相対的に移動可能である。ボルト34は、ねじ孔33の奥までねじ込まれると、該ボルト34の頭34aと支持テーブル16との間に挟み片28を挟んで固定する。ボルト34は、ねじ孔33からゆるめられると、頭34aと支持テーブル16との間に隙間が生じて、挟み片28を互いに接離する方向即ちタブ4の厚み方向に沿って支持テーブル16に対して移動自在とする。こうして、固定部31は、ボルト34の頭34aと支持テーブル16との間に挟み片28を挟んで、該挟み片28を支持テーブル16に固定する。
【0046】
前述した構成によって第1の固定具17は、取付用ボルト29をねじ孔32にねじ込むことによって、一対の挟み片28間に雄端子2を挟む。そして、長孔30内をボルト34が通る位置が調整されて、即ち、タブ4の厚み方向に沿った挟み片28の支持テーブル16に対する相対的な位置が調整されて、ボルト34がねじ孔33の奥にねじ込まれる。そして、挟み片28が支持テーブル16に固定される。こうして、第1の固定具17は、雄端子2を支持テーブル16に固定する。
【0047】
第2の固定具18は、第1の固定具17の挟み片28間に挟まれる雄端子2のタブ4の長手方向に沿って、第1の固定具17と相対している。第2の固定具18は、図2ないし図4に示すように、ベース12に取り付けられており、溝35と、一対の押さえ板36と、一対の板ばね37とを備えている。
【0048】
溝35は、ベース12の表面から凹に形成されている。溝35は、第1の固定具17の一対の挟み片28間に挟まれる雄端子2のタブ4と相対する位置に配されている。溝35は、第1の固定具17に取り付けられる雄端子2のタブ4の長手方向に沿って直線状に延びている。溝35は、雌端子3の外形に沿って形成されている。溝35は、ばね片9の厚み方向が、第1の固定具17の一対の挟み片28が互いに接離する方向と平行な状態で、内側に雌端子3を収容する。
【0049】
また、ベース12の表面には、一対のねじ孔38が設けられている。これらのねじ孔38は、互いの間に、第1の固定具17の挟み片28が互いに接離する方向に沿って溝35を位置させている。
【0050】
一対の押さえ板36は、板状に形成されている。押さえ板36は、ベース12に重ねられる。押さえ板36には、長孔39が貫通している。長孔39の長手方向は、第1の固定具17の挟み片28が互いに接離する方向と平行である。長孔39は、押さえ板36がベース12に重ねられると、ねじ孔38と連通する。長孔39内には、ボルト40が通される。ボルト40は、長孔39内を通って、ねじ孔38に螺合する。ボルト40が、長孔39内を通り、かつこれらのボルト40と長孔39とが相対的に移動することにより、押さえ板36は、長孔39の長手方向に沿って移動自在となる。
【0051】
押さえ板36は、長孔39の長手方向に沿って移動して、図3に示す一端部36aが溝35に重なる第1の位置と、図4に示す一端部36aが溝35に重ならなくなる第2の位置とに亘って移動する。
【0052】
ボルト40がねじ孔38の奥までねじ込まれると、該ボルト40の頭40aが押さえ板36と接触して押さえ板36をベース12に向かって押す。そして、ボルト40が押さえ板36を固定する。ボルト40がねじ孔38からゆるめられると、該ボルト40の頭40aと押さえ板36との間に隙間が生じて、押さえ板36を長孔39の長手方向に沿って移動自在とする。
【0053】
また、前記溝35内に雌端子3を収容しかつ第1の位置に位置づけた状態でボルト40などで固定すると、押さえ板36は、雌端子3を溝35の底面35aに向かって押す。また、前述した第2の位置に押さえ板36を位置づけると、押さえ板36の一端部36a間を通して、溝35に雌端子3を出し入れ自在となる。
【0054】
それぞれの板ばね37は、一端部がベース12に取付られかつ他端部が押さえ板36に重ねられている。板ばね37は、押さえ板36をベース12に向かって押している。板ばね37は、押さえ板36がベース12から不意に脱落することを防止している。
【0055】
前述した構成によって、第2の固定具18は、第2の位置に押さえ板36を位置づけて、溝35内に雌端子3を収容する。第1の位置に押さえ板36を位置づけて、ボルト40をねじ孔38の奥にねじ込んで、雌端子3を溝35の底面35aに向かって押した状態で、押さえ板36をベース12に固定する。こうして、第2の固定具18は、雌端子3のばね片9の幅方向に沿って、雌端子3を押さえ板36と溝35の底面35aとの間に挟んで固定する。
【0056】
前述した構成のフレッチング腐食試験装置1を用いて、端子2,3の微摺動試験(フレッチング腐食試験)を実施する際には、まず、試験対象物としての端子2,3それぞれを固定具17,18に以下のように取り付ける。まず、端子2,3の取付前では、図6に示すように、第1の固定具17のボルト29,34がゆるめられて、挟み片28が互いに離れているとともに、これらの挟み片28が互いに接離する方向に沿って支持テーブル16に対して移動自在となっている。また、図4に示すように、第2の固定具18のボルト40がゆるめられて、押さえ板36が第2の位置に位置づけられている。
【0057】
そして、図10(a)に示すように、雌端子3の筒部8内に雄端子2のタブ4を挿入して、これらの端子2,3を互いに接続する。図7及び図10(b)に示すように、第1の固定具17の一対の挟み片28間に雄端子2を挿入する。さらに、第2の固定具18の溝35内に雌端子3を挿入する。このとき、雄端子2のタブ4の厚み方向が一対の挟み片28が互いに接離する方向に沿いかつ雌端子3のばね片9の厚み方向が一対の押さえ板36が互いに接離する方向に沿っている。
【0058】
その後、図10(c)に示すように、押さえ板36を第2の位置に位置づけて、ボルト40を若干ねじ孔38の奥に向かってねじ込んで、第2の固定具18の押さえ板36で雌端子3を仮止めする。図8及び図10(d)に示すように、取付用ボルト29をねじ孔32の奥に向かってねじ込んで、挟み片28間に雄端子2を挟む。こうして、挟み片28と雄端子2とを互いに固定する。
【0059】
すると、前記雄端子2のタブ4と雌端子3のばね片9の弾性復元力によって、前述した正規嵌合状態を保つように、挟み片28が支持テーブル16に対して移動する。または、前述した正規嵌合状態となるように、挟み片28を図8及び図10(d)中の矢印Yに沿って移動する。このため、タブ4と筒部8との間の接触圧力は正規圧力に保たれる。したがって、第1及び第2の固定具17,18は、タブ4と筒部8との接触圧力を正規圧力に保った状態で端子2,3をベース12などに固定する。その後、図9及び図10(e)に示すように、ボルト34をねじ孔33の奥に向かってねじ込んで、挟み片28を支持テーブル16に固定する。さらに、図3に示すように、ボルト40をねじ孔38の奥に向かってねじ込んで、雌端子3を溝35の底面35aに向かって押した状態で、押さえ板36をベース12に固定する。このように、第1及び第2の固定具17,18は、タブ4と筒部8との間の接触圧力が正規圧力となる位置に、挟み片28の支持テーブル16に対する相対的な位置を調整した後(位置づけた後)、固定部31により挟み片28を支持テーブル16に固定して、端子2,3をベース12などに固定する。
【0060】
こうして、固定具17,18に端子2,3を固定した後、制御装置20に予め記憶されているパターンにしたがって、ステッピングモータ13を駆動して、前記端子2,3を例えば50μmの距離接離させる。このときに生じる摩擦力を荷重センサ15などを介して測定する。また、端子2,3が接離した後、これらの端子2,3間の電気的な抵抗を、測定部19などを用いて測定する。こうして、所定回数、端子2,3を互いに接離させ、摩擦力を測定するとともに端子2,3間の電気的な抵抗を測定する。
【0061】
本実施形態によれば、タブ4と筒部8との接触圧力を正規圧力に保った状態で、第1の固定具17が雄端子2を支持テーブル16に固定する。そして、微摺動試験を行う。このため、試験開始前に、タブ4と筒部8との接触荷重が低下することを防止できる。
【0062】
雌端子3のばね片9の幅方向に沿って、雌端子3を押さえ板36と溝35の底面35aとの間に挟んで固定する。このため、雌端子3を固定する際の挟む力によって、ばね片9が変形することを防止できる。このため、試験開始前及び試験中のタブ4と筒部8との接触荷重が低下することを防止できる。このため、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄端子2と雌端子3の微摺動試験を行うことができる。したがって、微摺動試験を正確に行うことができる。
【0063】
また、第1の固定具17の長孔30が挟み片28の支持テーブル16に対する相対的な位置を変更可能としている。また、長孔30内をボルト34が通る位置を調整するなどして、タブ4と筒部8との接触圧力が正規圧力となる位置に挟み片28を位置づけて、ボルト34をねじ孔33にねじ込んで、挟み片28を支持テーブル16に固定する。このため、タブ4と筒部8との接触圧力が正規圧力となる位置に、端子2,3を確実に固定できる。
【0064】
このため、試験開始前に、タブ4と筒部8との接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄端子2と雌端子3の微摺動試験を行うことができる。したがって、微摺動試験をより正確に行うことができる。さらに、固定部17,18の位置を調整する機能をベース12、微動テーブル14及び支持テーブル16に設けていない。このため、微摺動試験中にベース12、微動テーブル14及び支持テーブル16などが変形することを防止できる。したがって、より一層正確に微摺動試験を行うことができる。また、第1の固定具17に雄端子2を取り付けて、該雄端子2を雌端子3に対して相対的に移動させている。しかしながら、本発明では、第2の固定具18に雄端子2を取り付け第1の固定具17に雌端子3を取り付けても良いことは勿論である。更に、前述した実施形態では、雄端子2のタブ4が帯状に形成されている。しかしながら本発明では、タブ4を棒状に形成しても良いことは勿論である。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の本発明によれば、第1の電気接触部と第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる状態で装置本体に雄型の端子金具と雌型の端子金具を固定する。そして、微摺動試験を行う。このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。したがって、微摺動試験を正確に行うことができる。
【0066】
雌型の端子金具のばね片の幅方向に沿って、雌型の端子金具を挟んで固定する。このため、雌型の端子金具を固定する際の挟む力によって、ばね片が変形することを防止できる。このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。したがって、微摺動試験を正確に行うことができる。
【0067】
請求項2に記載の本発明によれば、変更手段が挟み片の装置本体に対する相対的な位置を変更可能としており、第1の電気接触部と第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に、変更手段が挟み片を位置付けて、固定手段が挟み片を装置本体に固定する。このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。したがって、微摺動試験を正確に行うことができる。
【0068】
請求項3に記載の本発明によれば、変更手段が挟み片の装置本体に対する相対的な位置を変更可能としており、第1の電気接触部と第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に、変更手段が挟み片を位置付けて、固定手段が挟み片を装置本体に固定する。
【0069】
また、雌型の端子金具のばね片の幅方向に沿って、押さえ板と溝の底面とで雌型の端子金具を挟んで固定する。このため、雌型の端子金具を固定する際の挟む力によって、ばね片が変形することを防止できる。
【0070】
このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。したがって、微摺動試験を正確に行うことができる。
【0071】
請求項4に記載の本発明によれば、変更手段が挟み片の装置本体に対する相対的な位置を変更可能としており、第1の電気接触部と第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に、変更手段が挟み片を位置付けて、固定手段が挟み片を装置本体に固定する。このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。したがって、微摺動試験を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるフレッチング腐食試験装置の概略の構成を示す説明図である。
【図2】図1に示されたフレッチング腐食試験装置の第1の固定具と第2の固定具とを示す斜視図である。
【図3】図2中のIII−III線に沿う第2の固定具の断面図である。
【図4】図3に示された第2の固定具の押さえ板を第2の位置に位置づけた状態を示す断面図である。
【図5】図2中のa−b―c−d線に沿う第1の固定具の断面図である。
【図6】図5に示された第1の固定具の取付用ボルトとボルトをゆるめた状態を示す断面図である。
【図7】図6に示す状態から挟み片間に雄端子を挿入した状態を示す断面図である。
【図8】図7に示す状態から取付用ボルトをねじ込んで挟み片間に雄端子を挟んだ状態を示す断面図である。
【図9】図8に示す状態からボルトをねじ込んで挟み片を支持テーブルに固定した状態を示す断面図である。
【図10】図1に示されたフレッチング腐食試験装置の第1の固定具と第2の固定具とに雄端子と雌端子を取り付ける過程を示す説明図である。
【図11】図1に示されたフレッチング腐食試験装置で微摺動試験が行われる雄端子を示す斜視図である。
【図12】図1に示されたフレッチング腐食試験装置で微摺動試験が行われる雌端子を示す斜視図である。
【図13】図11に示された雄端子と図12に示された雌端子とを接続した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 フレッチング腐食試験装置
2 雄端子(雄型の端子金具)
3 雌端子(雌型の端子金具)
4 タブ(第1の電気接触部)
8 筒部(第2の電気接触部)
12 ベース(装置本体)
14 微動テーブル(装置本体)
16 支持テーブル(装置本体)
17 第1の固定具(固定具)
18 第2の固定具
28 挟み片
30 長孔(変更手段)
31 固定部(固定手段)
35 溝
35a 底面
36 押さえ板
【発明の属する技術分野】
本発明は、雄型の端子金具と雌型の端子金具とを互いに接続した状態で接離させてフレッチング腐食させるフレッチング腐食試験装置に係り、端子金具の取り付け方法と固定具に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車などに配索されるワイヤハーネスは、電線とコネクタを備えている。コネクタは、絶縁性のコネクタハウジングと導電性の端子金具とを備えている。コネクタハウジングは、端子金具を収容する。端子金具は、電線の端部などに取り付けられる。端子金具には、所謂雄型の端子金具(以下単に雄端子と呼ぶ)と、所謂雌型の端子金具(以下単に雌端子と呼ぶ)とが用いられる。
【0003】
雄端子は、帯状又は棒状の電気接触部を備えている。雌端子は、筒状の電気接触部と、電気接触部の内面に雄端子の電気接触部を押し付けるばね片と、を備えている。これらの雄端子と雌端子は、ワイヤハーネスを構成して、自動車に配索される際に、帯状又は棒状の電気接触部が筒状の電気接触部内に挿入されてばね片が帯状又は棒状の電気接触部を筒状の電気接触部の内面に押し付けて、互いに電気的に接続する。
【0004】
このとき、ワイヤハーネスが自動車に配索されると、該自動車の走行中の振動などによって、例えば50μmなどの微少な距離内を帯状又は棒状の電気接触部の長手方向に沿って、雄端子と雌端子とが互いに近づいたり離れたりすることがある。このため、前述した雄端子と雌端子を設計・開発する段階では、前記端子金具を構成する金属からなる試験片を互いに接触した状態で微摺動させて、試験片の摩耗(所謂フレッチング腐食)状況を確認することが行われている。このとき、試験片間の電気的な抵抗を測定することにより、前記試験片の評価を行っている。
【0005】
前述した微摺動(フレッチング腐食)試験を行う際には、前述した試験片よりも実際の雄端子と雌端子を用いることが望まれている。また、前述した微摺動試験を行うために従来から種々の試験装置が用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述した雄端子と雌端子とを、例えば50μmなどの微少な距離内を接離する際に、従来から用いられてきた種々の試験装置では、試験装置自体の変形によって、雄端子と雌端子とを所望の微少な距離近づけたり離したりすることが困難であった。また、前記試験装置自体の変形を抑制するために、試験装置自体の剛性を高くすると、雄端子の帯状の電気接触部の長手方向と、前記雄端子と雌端子とが互いに近づいたり離れたりする方向とを一致させるのが困難となり、前記電気接触部同士の接触荷重が低下する虞があった。
【0007】
つまり、実際にコネクタハウジング内に収容されて、端子金具同士が接続した状態を再現して、微摺動試験を行うことが困難であった。この場合、勿論、雄端子と雌端子の微摺動試験の評価を正確に行うことが困難となる。このように、従来から用いられてきた試験装置では、微摺動試験を正確に行うことが困難であった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、微摺動試験を正確に行うことができるフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法と端子金具の固定具を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法は、雄型の端子金具の第1の電気接触部を雌型の端子金具の筒状の第2の電気接触部内に挿入した状態で前記第1の電気接触部の長手方向に沿ってこれらの端子金具を互いに接離させるフレッチング腐食試験装置の装置本体に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具を取り付けるフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法において、前記雌型の端子金具は、前記第1の電気接触部を前記第2の電気接触部の内面に向かって押し付ける帯状のばね片を備えており、前記第1の電気接触部を前記第2の電気接触部内に挿入して雄型の端子金具と雌型の端子金具とを互いに接続して、前記ばね片の幅方向に沿って前記雌型の端子金具を挟んで、前記第1の電気接触部と前記第2の電気接触部との間の接触圧力を正規圧力に保った状態で、前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具との双方を前記装置本体に固定することを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の本発明のフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法は、雄型の端子金具の第1の電気接触部を雌型の端子金具の筒状の第2の電気接触部内に挿入した状態で前記第1の電気接触部の長手方向に沿ってこれらの端子金具を互いに接離させるフレッチング腐食試験装置の装置本体に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具を取り付けるフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法において、前記フレッチング腐食試験装置は、前記雄型の端子金具を前記装置本体に固定する第1の固定具と、前記雌型の端子金具を前記装置本体に固定する第2の固定具と、を備え、前記第1の固定具と前記第2の固定具のうち一方は、互いに接離自在に設けられかつ互いの間に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具のうち一方を挟む一対の挟み片と、前記挟み片の前記装置本体に対する相対的な位置を変更可能とする変更手段と、前記挟み片を前記装置本体に固定する固定手段と、を備え、前記第1の電気接触部を前記第2の電気接触部内に挿入して雄型の端子金具と雌型の端子金具とを互いに接続した後、他方の固定具で前記雄型の端子金具と雌型の端子金具のうち他方を前記装置本体に仮止めしかつ前記一対の挟み片間に一方の端子金具を挟むとともに、前記変更手段により前記第1の電気接触部と前記第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に前記挟み片の前記装置本体に対する相対的な位置を調整した後、前記固定手段により前記挟み片を装置本体に固定して、前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具との双方を前記第1の固定具と前記第2の固定具とで前記装置本体に固定することを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の本発明のフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法は、雄型の端子金具の第1の電気接触部を雌型の端子金具の筒状の第2の電気接触部内に挿入した状態で前記第1の電気接触部の長手方向に沿ってこれらの端子金具を互いに接離させるフレッチング腐食試験装置の装置本体に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具を取り付けるフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法において、前記雌型の端子金具は、前記第1の電気接触部を前記第2の電気接触部の内面に向かって押し付ける帯状のばね片を備えており、前記フレッチング腐食試験装置は、前記雄型の端子金具を前記装置本体に固定する第1の固定具と、前記雌型の端子金具を前記装置本体に固定する第2の固定具と、を備え、前記第1の固定具は、互いに接離自在に設けられかつ互いの間に前記雄型の端子金具を挟む一対の挟み片と、前記挟み片の前記装置本体に対する相対的な位置を変更可能とする変更手段と、前記挟み片を前記装置本体に固定する固定手段と、を備え、前記第2の固定具は、前記装置本体の表面から凹でかつ雌型の端子金具の外形に沿った溝と、前記溝内に収容された雌型の端子金具を溝の底面に向かって押す押さえ板と、を備え、前記ばね片の幅方向に沿って押さえ板と溝の底面とで前記雌型の端子金具を挟んで前記装置本体に固定するとともに、前記第1の電気接触部を前記第2の電気接触部内に挿入して雄型の端子金具と雌型の端子金具とを互いに接続した後、前記第2の固定具で前記雌型の端子金具を前記装置本体に仮止めしかつ前記一対の挟み片間に前記雄型の端子金具を挟むとともに、前記変更手段により前記第1の電気接触部と前記第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に前記挟み片の前記装置本体に対する相対的な位置を調整した後、前記固定手段により前記挟み片を装置本体に固定して、前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具との双方を前記第1の固定具と前記第2の固定具とで前記装置本体に固定することを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の本発明のフレッチング腐食試験装置の端子金具の固定具は、雄型の端子金具の第1の電気接触部を雌型の端子金具の筒状の第2の電気接触部内に挿入した状態で前記第1の電気接触部の長手方向に沿ってこれらの端子金具を互いに接離させるフレッチング腐食試験装置の装置本体に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具を取り付けるフレッチング腐食試験装置の端子金具の固定具において、互いに接離自在に設けられかつ互いの間に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具とのうち一方を挟む一対の挟み片と、前記挟み片の前記装置本体に対する相対的な位置を変更可能とする変更手段と、前記挟み片を前記装置本体に固定する固定手段と、を備え、前記第1の電気接触部を前記第2の電気接触部内に挿入して雄型の端子金具と雌型の端子金具とを互いに接続した後、前記雄型の端子金具と雌型の端子金具とのうち他方を前記装置本体に仮止めしかつ前記一対の挟み片間に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具とのうち一方を挟み、前記変更手段により前記第1の電気接触部と前記第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に前記挟み片の前記装置本体に対する相対的な位置を調整した後、前記固定手段により前記挟み片を装置本体に固定して、前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具との双方を前記装置本体に固定することを特徴としている。
【0014】
請求項1に記載した本発明によれば、第1の電気接触部と第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具を装置本体に固定する。そして、微摺動試験を行う。このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。なお、本明細書で記す接触圧力とは、第1の電気接触部と第2の電気接触部との相互間の圧力である。正規圧力とは、雄型の端子金具と、雌型の端子金具との設計時に定められる正常な(正規の)電気接触部間の接触圧力である。互いに接続された雄型の端子金具と雌型の端子金具とに外力が作用しない状態で、電気接触部間の接触圧力が正規圧力にんばる。このため、正規圧力となる状態とは、雄型の端子金具と雌型の端子金具とに外力が作用していない状態を示している。このため、電気接触部間の接触圧力が正規圧力となる状態に雄型の端子金具と雌型の端子金具とが嵌合した状態を正規嵌合状態と呼ぶ。この正規嵌合状態では、雄型の端子金具と雌型の端子金具には、電気接触部以外からは外力が作用していない。
【0015】
雌型の端子金具のばね片の幅方向に沿って、雌型の端子金具を挟んで固定する。このため、雌型の端子金具を固定する際の挟む力によって、ばね片が変形することを防止できる。このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。
【0016】
請求項2に記載した本発明によれば、変更手段が挟み片の装置本体に対する相対的な位置を変更可能としており、第1の電気接触部と第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に、変更手段が挟み片を位置付けて固定手段が挟み片を装置本体に固定する。このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。
【0017】
請求項3に記載した本発明によれば、変更手段が挟み片の装置本体に対する相対的な位置を変更可能としており、第1の電気接触部と第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に、変更手段が挟み片を位置付けて固定手段が挟み片を装置本体に固定する。
【0018】
また、雌型の端子金具のばね片の幅方向に沿って、押さえ板と溝の底面とで雌型の端子金具を挟んで固定する。このため、雌型の端子金具を固定する際の挟む力によって、ばね片が変形することを防止できる。
【0019】
このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。
【0020】
請求項4に記載した本発明によれば、変更手段が挟み片の装置本体に対する相対的な位置を変更可能としており、第1の電気接触部と第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に、変更手段が挟み片を位置付けて、固定手段が挟み片を装置本体に固定する。このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1ないし図13を参照して説明する。
図1などに示す本発明の一実施形態にかかる固定具としての後述する第1の固定具17と第2の固定具18とを備えたフレッチング腐食試験装置1は、端子金具としての図11に示す雄型の端子金具(以下雄端子と呼ぶ)2と、図12に示す雌型の端子金具(以下雌端子と呼ぶ)3とを取り付ける。そして、フレッチング腐食試験装置1は、これらの端子2,3をフレッチング腐食させたときの端子2,3間の電気的な抵抗を測定して、端子2,3の良否を判定する装置である。フレッチング腐食試験装置1は、端子2,3の設計・開発段階において、これらの端子2,3が予め定められた要求を満たしているか否かを判定する装置である。
【0022】
前記フレッチング腐食試験装置1は、図13に示すように、雄端子2と雌端子3とを接続させて、雄端子2の後述するタブ4と雌端子3の後述する筒部8の長手方向(端子2,3の長手方向)に沿って、これらの端子2,3を相対的に微少な距離内を移動させて、前述したフレッチング腐食試験を行う。雄端子2は、導電性の板金を折り曲げられて得られる。雄端子2は、図11に示すように、第1の電気接触部としてのタブ4と、電線接続部5と、連結部6と、を一体に備えている。タブ4は、帯状(平板状)に形成されている。タブ4は、帯状に形成されて、雌端子3の後述する筒部8内に挿入されて、該雌端子3と電気的に接続する。
【0023】
電線接続部5は、電線を加締める加締め片7を複数備えている。電線接続部5は、加締め片7が電線を加締めることにより、該電線の芯線と電気的に接続する。連結部6は、筒状に形成されており、タブ4と電線接続部5とを電気的に接続している。雄端子2は、タブ4と連結部6と電線接続部5とがタブ4の長手方向に沿って順に連結している。なお、雄端子2は、本明細書に記した一方の端子金具をなしている。
【0024】
雌端子3は、導電性の板金を折り曲げられて得られる。雌端子3は、図12に示すように、第2の電気接触部としての筒部8と、ばね片9と、電線接続部10と、を一体に備えている。筒部8は、筒状に形成されている。ばね片9は、帯状に形成されており、筒部8内に曲げられた格好で収容されている。ばね片9は、弾性変形可能である。ばね片9は、筒部8内に侵入した雄端子2のタブ4を筒部8の内面に向かって押す。ばね片9がタブ4を筒部8の内面に向かって押して、筒部8は、雄端子2と電気的に接続する。
【0025】
電線接続部10は、電線を加締める加締め片11を複数備えている。電線接続部10は、加締め片11が電線を加締めることにより、該電線の芯線と電気的に接続する。雌端子3は、筒部8と電線接続部10とがばね片9の長手方向に沿って互いに連結している。なお、雌端子3は、本明細書に記した他方の端子金具をなしている。
【0026】
図13に示すように、タブ4が筒部8内に侵入しかつばね片9がタブ4を筒部8の内面に向かって押し付けて、雄端子2と雌端子3とが互いに接続する。このとき、タブ4の長手方向と筒部8の長手方向とが平行となり、タブ4と筒部8との間の接触圧力を正規圧力に保つ。なお、接触圧力とは、タブ4と筒部8との相互間の圧力である。正規圧力とは、雄端子2と、雌端子3との設計時に定められる正常な(正規の)タブ4と筒部8との間の接触圧力である。このため、タブ4と筒部8との間の接触圧力が正規圧力となる状態に雄端子2と雌端子3とが嵌合した状態を正規嵌合状態と呼ぶ。この正規嵌合状態では、雄端子2と雌端子3には、タブ4とばね片9以外からは外力が作用していない。フレッチング腐食試験装置1は、前記タブ4及び筒部8の長手方向に沿って雄端子2と雌端子3とを互いに近づけたり離して(即ち接離して)、端子2,3の特にタブ4と筒部8の内面などをフレッチング腐食させる。
【0027】
そして、これらの端子2,3間の電気的な抵抗を測定することにより、前記端子2,3の設計の良否を判定する。即ち、フレッチング腐食試験装置1は、タブ4及び筒部8の長手方向に沿って、予め定められた距離内を予め定められた回数、端子2,3を接離(微摺動)させた際の端子2,3間の電気的な抵抗を測定することにより、前記端子2,3の設計の良否を判定する。
【0028】
フレッチング腐食試験装置1は、図1に示すように、ベース12と、駆動源としてのステッピングモータ13と、微動テーブル14と、荷重センサ15と、支持テーブル16と、第1の固定具17と、第2の固定具18と、測定手段としての測定部19と、制御手段としての制御装置20と、を備えている。ベース12は、フロア上などに設置される。ステッピングモータ13は、ベース12に固定されている。ステッピングモータ13の出力軸にはねじ軸21が取り付けられている。ねじ軸21の軸芯は、固定具17,18に取り付けられる端子2,3のタブ4及び筒部8の長手方向に沿う。ねじ軸21は、その軸芯を中心として回転自在にベース12に支持されている。ねじ軸21には、ナット22が螺合している。
【0029】
微動テーブル14は、ナット22に固定されている。微動テーブル14は、ステッピングモータ13が駆動すると、ねじ軸21の長手方向に沿って移動する。荷重センサ15は、微動テーブル14と支持テーブル16との間に設けられており、これらと連結している。荷重センサ15は、例えば、水晶などの圧電素子を備えている。荷重センサ15の圧電素子は、微動テーブル14がねじ軸21の軸芯に沿って移動した際に、支持テーブル16に作用する荷重(即ちタブ4と筒部8の内面との間に生じる摩擦力)に応じた信号をアンプ23に向かって出力する。アンプ23は、前記荷重センサ15からの信号を増幅して、インターフェース(図1中にI/Fと示し、以下I/Fと呼ぶ)24に向かって出力する。
【0030】
支持テーブル16は、第1の固定具17を取り付けている。第1の固定具17は、雄端子2を取り付ける。なお、この第1の固定具17の詳細な構成は後述する。第2の固定具18は、ベース12に取り付けられている。第2の固定具18は、雌端子3を取り付ける。なお、この第2の固定具18の詳細な構成は後述する。また、前記ベース12と、微動テーブル14と、支持テーブル16とは、本明細書に記した装置本体を構成している。
【0031】
測定部19は、電源ユニット25と、電圧計26とを備えている。電源ユニット25は、プラスの端子とマイナスの端子とを備えている。電源ユニット25のプラスの端子は、第2の固定具18を介して雌端子3と電気的に接続する。電源ユニット25のマイナスの端子は、第1の固定具17を介して雄端子2と電気的に接続する。電源ユニット25は、制御装置20からの命令に基づいて、前記第1の固定具17と第2の固定具18とを介して、端子2,3間に所定の電流値で印加する。
【0032】
電圧計26は、プラスの端子とマイナスの端子とを備えている。電圧計26のプラスの端子は、第2の固定具18を介して雌端子3と電気的に接続する。電圧計26のマイナスの端子は、第1の固定具17を介して雄端子2と電気的に接続する。電圧計26は、制御装置20からの命令に基づいて、前記第1の固定具17と第2の固定具18とを介して、端子2,3間の電圧を測定する。前述した構成の測定部19は、制御装置20からの命令に基づいて、前記電源ユニット25が端子2,3間に印加するとともに、電圧計26が端子2,3間の電圧を測定する。
【0033】
制御装置20は、周知のRAM、ROM、CPUなどを備えたコンピュータであって、前記ステッピングモータ13とアンプ23と測定部19などと接続して、フレッチング腐食試験装置1全体の制御をつかさどる。制御装置20は、双方向バス27などを介して前記電源ユニット25と電圧計26と接続している。制御装置20は、双方向バス27などを介してI/F24と接続している。I/F24には、前記ステッピングモータ13と、アンプ23とが接続している。
【0034】
制御装置20は、予め記憶されたプログラムに基づいて、I/F24を介してステッピングモータ13を駆動させて、ねじ軸21を一方向に所定数回転させた後、ねじ軸21を逆方向に所定数回転させる。なお、ねじ軸21が回転する所定数とは、微動テーブル14が例えば50μmなどの微少な距離移動する回転数である。ステッピングモータ13の回転が終了すると、この終了したことを示す信号がI/F24を介して制御装置20に入力する。また、前記ステッピングモータ13が駆動している間の前記荷重センサ15が測定した荷重値(摩擦力)が、アンプ23とI/F24を介して制御装置20に入力する。
【0035】
その後、制御装置20は、前記測定部19の電源ユニット25に端子2,3間に印加させるとともに、電圧計26に端子2,3間の電圧を測定させる。電圧計26から双方向バス27を介して、制御装置20に前記端子2,3間の電圧に応じた信号が伝えられる。制御装置20は、電圧計26からの電圧と、電源ユニット25が印加した電流値とから前記端子2,3間の抵抗値を求める。そして、制御装置20は、再度ステッピングモータ13を駆動して、端子2,3を互いに接離させるとともに、端子2,3間の抵抗値を求める。
【0036】
こうして、制御装置20即ちフレッチング腐食試験装置1は、端子2,3を互いに接離させて、これらの端子2,3間の抵抗を測定する。また、制御装置20は、ステッピングモータ13を駆動させる毎即ち端子2,3を互いに接離させる毎に、測定部19に端子2,3間の抵抗を測定させても良く、複数回端子2,3を互いに接離させる毎に、測定部19に端子2,3間の抵抗を測定させても良い。制御装置20は、フレッチング腐食試験の開始直後には、端子2,3を互いに接離させる毎に測定部19に端子2,3間の抵抗を測定させるのが望ましく、試験の経過時間とともに端子2,3間の抵抗を測定する間隔(抵抗を測定する間に端子2,3を互いに接離させる回数)を徐々に大きくするのが望ましい。
【0037】
例えば、端子2,3を接離させるのが1回目から10回目では、毎回端子2,3間の抵抗を測定するのが望ましい。端子2,3を接離させるのが10回目から100回目では、数回毎に端子2,3間の抵抗を測定するのが望ましい。端子2,3を接離させるのが100回目から1000回目では、数十回毎に端子2,3間の抵抗を測定するのが望ましい。端子2,3を接離させるのが1000回目を越えると、100回毎に端子2,3間の抵抗を測定するのが望ましい。
【0038】
また、前記制御装置20は、前記双方向バス27などを介して周知のプリンタ装置やモニタなどと接続しても良い。この場合、前述した測定結果(端子2,3間の抵抗値や荷重センサ15からの荷重値)などを、前記プリンタ装置やモニタなどから出力させる。
【0039】
前記第1の固定具17は、図2に示すように、雄端子2を支持テーブル16に取り付けるために用いられる。第1の固定具17は、請求項5に記載された固定具をなしている。第1の固定具17は、図5に示すように、一対の挟み片28と、一つの取付用ボルト29と、変更手段としての一対の長孔30と、固定手段としての固定部31とを備えている。
【0040】
一対の挟み片28は、支持テーブル16上に重ねられている。一対の挟み片28は、前記ねじ軸21の軸芯に直交しかつ水平方向に沿って互いに並べられており、互いに接離自在に設けられている。一対の挟み片28には、それぞれ、取付用ボルト29が螺合するねじ孔32が設けられている。それぞれの挟み片28に設けられたねじ孔32は、互いに同一線上に配されている。これらのねじ孔32には、取付用ボルト29が螺合する。取付用ボルト29がねじ孔32にねじ込まれる量に応じて、一対の挟み片28が前記ねじ軸21の軸芯に直交しかつ水平方向に沿って互いに接離する。
【0041】
一対の挟み片28は、互いの間に、タブ4の厚み方向と一対の挟み片28が互いに接離する方向とが平行になる状態で雄端子2の連結部6を挟む。即ち、一対の挟み片28は、タブ4の長手方向に交差する断面形の長手方向が、鉛直方向に沿う状態で、雄端子2の連結部6を互いの間に挟む。
【0042】
取付用ボルト29は、ねじ孔32に螺合する。取付用ボルト29が、ねじ孔32の奥にねじ込まれるのにしたがって、一つの挟み片28が徐々に互いに近づく。取付用ボルト29が、ねじ孔32からゆるめられるのにしたがって、一対の挟み片28が徐々に互いに離れる。
【0043】
一対の長孔30は、それぞれ、支持テーブル16に挟み片28が重ねられる方向に沿って、挟み片28を貫通している。長孔30の長手方向は、一対の挟み片28が互いに接離する方向に沿っている。長孔30の内側には、固定部31の後述するボルト34が通される。長孔30は、内側にボルト34が通されることによって、一対の挟み片28間に挟まれる雄端子2のタブ4の厚み方向(ねじ軸21の軸芯に直交しかつ水平方向に沿う方向)に沿って、これらの挟み片28を支持テーブル16に対して移動自在とする。即ち、長孔30は、タブ4の厚み方向に沿った挟み片28の支持テーブル16に対する相対的な位置を変更可能としている。
【0044】
固定部31は、一対のねじ孔33と、一対のボルト34とを備えている。ねじ孔33は、支持テーブル16の表面に開口している。ねじ孔33は、支持テーブル16に挟み片28が重ねられると、長孔30と連通する。
【0045】
ボルト34は、長孔30を通してねじ孔33に螺合する。ボルト34は、長孔30の長手方向に沿って、長孔30に対して相対的に移動可能である。ボルト34は、ねじ孔33の奥までねじ込まれると、該ボルト34の頭34aと支持テーブル16との間に挟み片28を挟んで固定する。ボルト34は、ねじ孔33からゆるめられると、頭34aと支持テーブル16との間に隙間が生じて、挟み片28を互いに接離する方向即ちタブ4の厚み方向に沿って支持テーブル16に対して移動自在とする。こうして、固定部31は、ボルト34の頭34aと支持テーブル16との間に挟み片28を挟んで、該挟み片28を支持テーブル16に固定する。
【0046】
前述した構成によって第1の固定具17は、取付用ボルト29をねじ孔32にねじ込むことによって、一対の挟み片28間に雄端子2を挟む。そして、長孔30内をボルト34が通る位置が調整されて、即ち、タブ4の厚み方向に沿った挟み片28の支持テーブル16に対する相対的な位置が調整されて、ボルト34がねじ孔33の奥にねじ込まれる。そして、挟み片28が支持テーブル16に固定される。こうして、第1の固定具17は、雄端子2を支持テーブル16に固定する。
【0047】
第2の固定具18は、第1の固定具17の挟み片28間に挟まれる雄端子2のタブ4の長手方向に沿って、第1の固定具17と相対している。第2の固定具18は、図2ないし図4に示すように、ベース12に取り付けられており、溝35と、一対の押さえ板36と、一対の板ばね37とを備えている。
【0048】
溝35は、ベース12の表面から凹に形成されている。溝35は、第1の固定具17の一対の挟み片28間に挟まれる雄端子2のタブ4と相対する位置に配されている。溝35は、第1の固定具17に取り付けられる雄端子2のタブ4の長手方向に沿って直線状に延びている。溝35は、雌端子3の外形に沿って形成されている。溝35は、ばね片9の厚み方向が、第1の固定具17の一対の挟み片28が互いに接離する方向と平行な状態で、内側に雌端子3を収容する。
【0049】
また、ベース12の表面には、一対のねじ孔38が設けられている。これらのねじ孔38は、互いの間に、第1の固定具17の挟み片28が互いに接離する方向に沿って溝35を位置させている。
【0050】
一対の押さえ板36は、板状に形成されている。押さえ板36は、ベース12に重ねられる。押さえ板36には、長孔39が貫通している。長孔39の長手方向は、第1の固定具17の挟み片28が互いに接離する方向と平行である。長孔39は、押さえ板36がベース12に重ねられると、ねじ孔38と連通する。長孔39内には、ボルト40が通される。ボルト40は、長孔39内を通って、ねじ孔38に螺合する。ボルト40が、長孔39内を通り、かつこれらのボルト40と長孔39とが相対的に移動することにより、押さえ板36は、長孔39の長手方向に沿って移動自在となる。
【0051】
押さえ板36は、長孔39の長手方向に沿って移動して、図3に示す一端部36aが溝35に重なる第1の位置と、図4に示す一端部36aが溝35に重ならなくなる第2の位置とに亘って移動する。
【0052】
ボルト40がねじ孔38の奥までねじ込まれると、該ボルト40の頭40aが押さえ板36と接触して押さえ板36をベース12に向かって押す。そして、ボルト40が押さえ板36を固定する。ボルト40がねじ孔38からゆるめられると、該ボルト40の頭40aと押さえ板36との間に隙間が生じて、押さえ板36を長孔39の長手方向に沿って移動自在とする。
【0053】
また、前記溝35内に雌端子3を収容しかつ第1の位置に位置づけた状態でボルト40などで固定すると、押さえ板36は、雌端子3を溝35の底面35aに向かって押す。また、前述した第2の位置に押さえ板36を位置づけると、押さえ板36の一端部36a間を通して、溝35に雌端子3を出し入れ自在となる。
【0054】
それぞれの板ばね37は、一端部がベース12に取付られかつ他端部が押さえ板36に重ねられている。板ばね37は、押さえ板36をベース12に向かって押している。板ばね37は、押さえ板36がベース12から不意に脱落することを防止している。
【0055】
前述した構成によって、第2の固定具18は、第2の位置に押さえ板36を位置づけて、溝35内に雌端子3を収容する。第1の位置に押さえ板36を位置づけて、ボルト40をねじ孔38の奥にねじ込んで、雌端子3を溝35の底面35aに向かって押した状態で、押さえ板36をベース12に固定する。こうして、第2の固定具18は、雌端子3のばね片9の幅方向に沿って、雌端子3を押さえ板36と溝35の底面35aとの間に挟んで固定する。
【0056】
前述した構成のフレッチング腐食試験装置1を用いて、端子2,3の微摺動試験(フレッチング腐食試験)を実施する際には、まず、試験対象物としての端子2,3それぞれを固定具17,18に以下のように取り付ける。まず、端子2,3の取付前では、図6に示すように、第1の固定具17のボルト29,34がゆるめられて、挟み片28が互いに離れているとともに、これらの挟み片28が互いに接離する方向に沿って支持テーブル16に対して移動自在となっている。また、図4に示すように、第2の固定具18のボルト40がゆるめられて、押さえ板36が第2の位置に位置づけられている。
【0057】
そして、図10(a)に示すように、雌端子3の筒部8内に雄端子2のタブ4を挿入して、これらの端子2,3を互いに接続する。図7及び図10(b)に示すように、第1の固定具17の一対の挟み片28間に雄端子2を挿入する。さらに、第2の固定具18の溝35内に雌端子3を挿入する。このとき、雄端子2のタブ4の厚み方向が一対の挟み片28が互いに接離する方向に沿いかつ雌端子3のばね片9の厚み方向が一対の押さえ板36が互いに接離する方向に沿っている。
【0058】
その後、図10(c)に示すように、押さえ板36を第2の位置に位置づけて、ボルト40を若干ねじ孔38の奥に向かってねじ込んで、第2の固定具18の押さえ板36で雌端子3を仮止めする。図8及び図10(d)に示すように、取付用ボルト29をねじ孔32の奥に向かってねじ込んで、挟み片28間に雄端子2を挟む。こうして、挟み片28と雄端子2とを互いに固定する。
【0059】
すると、前記雄端子2のタブ4と雌端子3のばね片9の弾性復元力によって、前述した正規嵌合状態を保つように、挟み片28が支持テーブル16に対して移動する。または、前述した正規嵌合状態となるように、挟み片28を図8及び図10(d)中の矢印Yに沿って移動する。このため、タブ4と筒部8との間の接触圧力は正規圧力に保たれる。したがって、第1及び第2の固定具17,18は、タブ4と筒部8との接触圧力を正規圧力に保った状態で端子2,3をベース12などに固定する。その後、図9及び図10(e)に示すように、ボルト34をねじ孔33の奥に向かってねじ込んで、挟み片28を支持テーブル16に固定する。さらに、図3に示すように、ボルト40をねじ孔38の奥に向かってねじ込んで、雌端子3を溝35の底面35aに向かって押した状態で、押さえ板36をベース12に固定する。このように、第1及び第2の固定具17,18は、タブ4と筒部8との間の接触圧力が正規圧力となる位置に、挟み片28の支持テーブル16に対する相対的な位置を調整した後(位置づけた後)、固定部31により挟み片28を支持テーブル16に固定して、端子2,3をベース12などに固定する。
【0060】
こうして、固定具17,18に端子2,3を固定した後、制御装置20に予め記憶されているパターンにしたがって、ステッピングモータ13を駆動して、前記端子2,3を例えば50μmの距離接離させる。このときに生じる摩擦力を荷重センサ15などを介して測定する。また、端子2,3が接離した後、これらの端子2,3間の電気的な抵抗を、測定部19などを用いて測定する。こうして、所定回数、端子2,3を互いに接離させ、摩擦力を測定するとともに端子2,3間の電気的な抵抗を測定する。
【0061】
本実施形態によれば、タブ4と筒部8との接触圧力を正規圧力に保った状態で、第1の固定具17が雄端子2を支持テーブル16に固定する。そして、微摺動試験を行う。このため、試験開始前に、タブ4と筒部8との接触荷重が低下することを防止できる。
【0062】
雌端子3のばね片9の幅方向に沿って、雌端子3を押さえ板36と溝35の底面35aとの間に挟んで固定する。このため、雌端子3を固定する際の挟む力によって、ばね片9が変形することを防止できる。このため、試験開始前及び試験中のタブ4と筒部8との接触荷重が低下することを防止できる。このため、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄端子2と雌端子3の微摺動試験を行うことができる。したがって、微摺動試験を正確に行うことができる。
【0063】
また、第1の固定具17の長孔30が挟み片28の支持テーブル16に対する相対的な位置を変更可能としている。また、長孔30内をボルト34が通る位置を調整するなどして、タブ4と筒部8との接触圧力が正規圧力となる位置に挟み片28を位置づけて、ボルト34をねじ孔33にねじ込んで、挟み片28を支持テーブル16に固定する。このため、タブ4と筒部8との接触圧力が正規圧力となる位置に、端子2,3を確実に固定できる。
【0064】
このため、試験開始前に、タブ4と筒部8との接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄端子2と雌端子3の微摺動試験を行うことができる。したがって、微摺動試験をより正確に行うことができる。さらに、固定部17,18の位置を調整する機能をベース12、微動テーブル14及び支持テーブル16に設けていない。このため、微摺動試験中にベース12、微動テーブル14及び支持テーブル16などが変形することを防止できる。したがって、より一層正確に微摺動試験を行うことができる。また、第1の固定具17に雄端子2を取り付けて、該雄端子2を雌端子3に対して相対的に移動させている。しかしながら、本発明では、第2の固定具18に雄端子2を取り付け第1の固定具17に雌端子3を取り付けても良いことは勿論である。更に、前述した実施形態では、雄端子2のタブ4が帯状に形成されている。しかしながら本発明では、タブ4を棒状に形成しても良いことは勿論である。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の本発明によれば、第1の電気接触部と第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる状態で装置本体に雄型の端子金具と雌型の端子金具を固定する。そして、微摺動試験を行う。このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。したがって、微摺動試験を正確に行うことができる。
【0066】
雌型の端子金具のばね片の幅方向に沿って、雌型の端子金具を挟んで固定する。このため、雌型の端子金具を固定する際の挟む力によって、ばね片が変形することを防止できる。このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。したがって、微摺動試験を正確に行うことができる。
【0067】
請求項2に記載の本発明によれば、変更手段が挟み片の装置本体に対する相対的な位置を変更可能としており、第1の電気接触部と第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に、変更手段が挟み片を位置付けて、固定手段が挟み片を装置本体に固定する。このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。したがって、微摺動試験を正確に行うことができる。
【0068】
請求項3に記載の本発明によれば、変更手段が挟み片の装置本体に対する相対的な位置を変更可能としており、第1の電気接触部と第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に、変更手段が挟み片を位置付けて、固定手段が挟み片を装置本体に固定する。
【0069】
また、雌型の端子金具のばね片の幅方向に沿って、押さえ板と溝の底面とで雌型の端子金具を挟んで固定する。このため、雌型の端子金具を固定する際の挟む力によって、ばね片が変形することを防止できる。
【0070】
このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。したがって、微摺動試験を正確に行うことができる。
【0071】
請求項4に記載の本発明によれば、変更手段が挟み片の装置本体に対する相対的な位置を変更可能としており、第1の電気接触部と第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に、変更手段が挟み片を位置付けて、固定手段が挟み片を装置本体に固定する。このため、電気接触部同士の接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネクタハウジング内に収容された状態で雄型の端子金具と雌型の端子金具の微摺動試験を行うことができる。したがって、微摺動試験を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるフレッチング腐食試験装置の概略の構成を示す説明図である。
【図2】図1に示されたフレッチング腐食試験装置の第1の固定具と第2の固定具とを示す斜視図である。
【図3】図2中のIII−III線に沿う第2の固定具の断面図である。
【図4】図3に示された第2の固定具の押さえ板を第2の位置に位置づけた状態を示す断面図である。
【図5】図2中のa−b―c−d線に沿う第1の固定具の断面図である。
【図6】図5に示された第1の固定具の取付用ボルトとボルトをゆるめた状態を示す断面図である。
【図7】図6に示す状態から挟み片間に雄端子を挿入した状態を示す断面図である。
【図8】図7に示す状態から取付用ボルトをねじ込んで挟み片間に雄端子を挟んだ状態を示す断面図である。
【図9】図8に示す状態からボルトをねじ込んで挟み片を支持テーブルに固定した状態を示す断面図である。
【図10】図1に示されたフレッチング腐食試験装置の第1の固定具と第2の固定具とに雄端子と雌端子を取り付ける過程を示す説明図である。
【図11】図1に示されたフレッチング腐食試験装置で微摺動試験が行われる雄端子を示す斜視図である。
【図12】図1に示されたフレッチング腐食試験装置で微摺動試験が行われる雌端子を示す斜視図である。
【図13】図11に示された雄端子と図12に示された雌端子とを接続した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 フレッチング腐食試験装置
2 雄端子(雄型の端子金具)
3 雌端子(雌型の端子金具)
4 タブ(第1の電気接触部)
8 筒部(第2の電気接触部)
12 ベース(装置本体)
14 微動テーブル(装置本体)
16 支持テーブル(装置本体)
17 第1の固定具(固定具)
18 第2の固定具
28 挟み片
30 長孔(変更手段)
31 固定部(固定手段)
35 溝
35a 底面
36 押さえ板
Claims (4)
- 雄型の端子金具の第1の電気接触部を雌型の端子金具の筒状の第2の電気接触部内に挿入した状態で前記第1の電気接触部の長手方向に沿ってこれらの端子金具を互いに接離させるフレッチング腐食試験装置の装置本体に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具を取り付けるフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法において、
前記雌型の端子金具は、前記第1の電気接触部を前記第2の電気接触部の内面に向かって押し付ける帯状のばね片を備えており、
前記第1の電気接触部を前記第2の電気接触部内に挿入して雄型の端子金具と雌型の端子金具とを互いに接続して、
前記ばね片の幅方向に沿って前記雌型の端子金具を挟んで、前記第1の電気接触部と前記第2の電気接触部との間の接触圧力を正規圧力に保った状態で、前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具との双方を前記装置本体に固定することを特徴とするフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法。 - 雄型の端子金具の第1の電気接触部を雌型の端子金具の筒状の第2の電気接触部内に挿入した状態で前記第1の電気接触部の長手方向に沿ってこれらの端子金具を互いに接離させるフレッチング腐食試験装置の装置本体に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具を取り付けるフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法において、
前記フレッチング腐食試験装置は、前記雄型の端子金具を前記装置本体に固定する第1の固定具と、前記雌型の端子金具を前記装置本体に固定する第2の固定具と、を備え、
前記第1の固定具と前記第2の固定具のうち一方は、互いに接離自在に設けられかつ互いの間に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具のうち一方を挟む一対の挟み片と、前記挟み片の前記装置本体に対する相対的な位置を変更可能とする変更手段と、前記挟み片を前記装置本体に固定する固定手段と、を備え、
前記第1の電気接触部を前記第2の電気接触部内に挿入して雄型の端子金具と雌型の端子金具とを互いに接続した後、他方の固定具で前記雄型の端子金具と雌型の端子金具のうち他方を前記装置本体に仮止めしかつ前記一対の挟み片間に一方の端子金具を挟むとともに、
前記変更手段により前記第1の電気接触部と前記第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に前記挟み片の前記装置本体に対する相対的な位置を調整した後、前記固定手段により前記挟み片を装置本体に固定して、前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具との双方を前記第1の固定具と前記第2の固定具とで前記装置本体に固定することを特徴とするフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法。 - 雄型の端子金具の第1の電気接触部を雌型の端子金具の筒状の第2の電気接触部内に挿入した状態で前記第1の電気接触部の長手方向に沿ってこれらの端子金具を互いに接離させるフレッチング腐食試験装置の装置本体に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具を取り付けるフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法において、
前記雌型の端子金具は、前記第1の電気接触部を前記第2の電気接触部の内面に向かって押し付ける帯状のばね片を備えており、
前記フレッチング腐食試験装置は、前記雄型の端子金具を前記装置本体に固定する第1の固定具と、前記雌型の端子金具を前記装置本体に固定する第2の固定具と、を備え、
前記第1の固定具は、互いに接離自在に設けられかつ互いの間に前記雄型の端子金具を挟む一対の挟み片と、前記挟み片の前記装置本体に対する相対的な位置を変更可能とする変更手段と、前記挟み片を前記装置本体に固定する固定手段と、を備え、
前記第2の固定具は、前記装置本体の表面から凹でかつ雌型の端子金具の外形に沿った溝と、前記溝内に収容された雌型の端子金具を溝の底面に向かって押す押さえ板と、を備え、前記ばね片の幅方向に沿って押さえ板と溝の底面とで前記雌型の端子金具を挟んで前記装置本体に固定するとともに、
前記第1の電気接触部を前記第2の電気接触部内に挿入して雄型の端子金具と雌型の端子金具とを互いに接続した後、前記第2の固定具で前記雌型の端子金具を前記装置本体に仮止めしかつ前記一対の挟み片間に前記雄型の端子金具を挟むとともに、
前記変更手段により前記第1の電気接触部と前記第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に前記挟み片の前記装置本体に対する相対的な位置を調整した後、前記固定手段により前記挟み片を装置本体に固定して、前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具との双方を前記第1の固定具と前記第2の固定具とで前記装置本体に固定することを特徴とするフレッチング腐食試験装置の端子金具の取り付け方法。 - 雄型の端子金具の第1の電気接触部を雌型の端子金具の筒状の第2の電気接触部内に挿入した状態で前記第1の電気接触部の長手方向に沿ってこれらの端子金具を互いに接離させるフレッチング腐食試験装置の装置本体に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具を取り付けるフレッチング腐食試験装置の端子金具の固定具において、
互いに接離自在に設けられかつ互いの間に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具とのうち一方を挟む一対の挟み片と、前記挟み片の前記装置本体に対する相対的な位置を変更可能とする変更手段と、前記挟み片を前記装置本体に固定する固定手段と、を備え、
前記第1の電気接触部を前記第2の電気接触部内に挿入して雄型の端子金具と雌型の端子金具とを互いに接続した後、前記雄型の端子金具と雌型の端子金具とのうち他方を前記装置本体に仮止めしかつ前記一対の挟み片間に前記雄型の端子金具と前記雌型の端子金具とのうち一方を挟み、
前記変更手段により前記第1の電気接触部と前記第2の電気接触部との間の接触圧力が正規圧力となる位置に前記挟み片の前記装置本体に対する相対的な位置を調整した後、前記固定手段により前記挟み片を装置本体に固定することを特徴とするフレッチング腐食試験装置の端子金具の固定具。
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