JP2003240693A - フレッチング腐食試験装置 - Google Patents

フレッチング腐食試験装置

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JP2003240693A
JP2003240693A JP2002045005A JP2002045005A JP2003240693A JP 2003240693 A JP2003240693 A JP 2003240693A JP 2002045005 A JP2002045005 A JP 2002045005A JP 2002045005 A JP2002045005 A JP 2002045005A JP 2003240693 A JP2003240693 A JP 2003240693A
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fixing
terminals
frictional force
piezoelectric element
fretting corrosion
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JP2002045005A
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Shinya Matsuura
伸也 松浦
Hiroshi Kawasaki
広志 川崎
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Yazaki Corp
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Yazaki Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微摺動試験を行う際に試験片間に生じる摩擦
力を正確に測定できるフレッチング腐食試験装置を提供
する。 【解決手段】 フレッチング腐食試験装置は雌端子と雄
端子を互いに接離させてフレッチング腐食させこれら端
子間の電気的な抵抗を測定する。フレッチング腐食試験
装置は端子間に生じる摩擦力を測定する荷重センサ15
を備えている。荷重センサ15は圧電素子43と一対の
電極44を備えている。圧電素子43が端子間の摩擦力
により歪んで電極44間に出力電圧を生じる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二つの試験片を互
いに接触させた状態で、これらの試験片を相対的に移動
させてこれらの試験片をフレッチング腐食させるフレッ
チング腐食試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車などに配索されるワイヤハーネス
は、電線とコネクタを備えている。コネクタは、絶縁性
のコネクタハウジングと導電性の端子金具とを備えてい
る。コネクタハウジングは、端子金具を収容する。端子
金具は、電線の端部などに取り付けられる。端子金具に
は、所謂雄型の端子金具(以下単に雄端子と呼ぶ)と、
所謂雌型の端子金具(以下単に雌端子と呼ぶ)とが用い
られる。
【0003】雄端子は、帯状又は棒状の電気接触部を備
えている。雌端子は、筒状の電気接触部と、電気接触部
の内面に雄端子の電気接触部を押し付けるばね片と、を
備えている。これらの雄端子と雌端子は、ワイヤハーネ
スを構成して、自動車に配索される際に、帯状又は棒状
の電気接触部が筒状の電気接触部内に挿入されてばね片
が帯状又は棒状の電気接触部を筒状の電気接触部の内面
に押し付けて、互いに電気的に接続する。
【0004】このとき、ワイヤハーネスが自動車に配索
されると、該自動車の走行中の振動などによって、例え
ば50μmなどの微少な距離内を帯状又は棒状の電気接
触部の長手方向に沿って、雄端子と雌端子とが互いに近
づいたり離れたりすることがある。このため、前述した
雄端子と雌端子を設計・開発する段階では、前記端子金
具を構成する金属からなる試験片を互いに接触した状態
で微摺動させて、試験片の摩耗(所謂フレッチング腐
食)状況を確認することが行われている。このとき、試
験片間の電気的な抵抗を測定することにより、前記試験
片の評価を行っている。
【0005】前述した微摺動(フレッチング腐食)試験
を行う際には、前述した試験片よりも実際の雄端子と雌
端子を用いることが望まれている。さらに、前述した微
摺動試験では、前記試験片または端子金具同士を相対的
に移動させた際に、これらの試験片間または端子金具間
に生じる摩擦力を測定することが望まれている。
【0006】そこで、前述した微摺動試験を行うために
用いられてきた種々の試験装置は、前記摩擦力を測定す
るために、歪みゲージを有する荷重センサを用いてい
る。この荷重センサは、機械的な強度が弱い脆弱部を設
けておりこの脆弱部に歪みゲージを取り付けている。そ
して、この荷重センサは、前記試験片または端子金具を
相対的に移動させた際に、前記脆弱部が弾性変形する。
そして、前述した弾性変形に伴って歪みゲージの電気抵
抗が変化して、前述した荷重センサに作用する荷重値即
ち前述した試験片間又は端子金具間の摩擦力を測定す
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述した歪みゲージを
有する荷重センサは、機械的な強度が低い脆弱部を積極
的に弾性変形させて、歪みゲージで摩擦力を測定する。
前述したように、例えば50μmなどの微少な距離内を
前記試験片または端子金具を相対的に移動させる際に
は、前述した脆弱部自体の変形量が例えば10μm程度
生じてしまうことがある。このように、微少な距離内を
試験片または端子金具を移動させた際に、これらの移動
距離に対して前記脆弱部の変形量が無視できないほど大
きくなる。このため、試験片間または端子金具間の摩擦
力によって、前記脆弱部が変形してしまい、この摩擦力
を正確に測定することが困難であった。
【0008】したがって、本発明の目的は、微摺動試験
を行う際に試験片間に生じる摩擦力を正確に測定できる
フレッチング腐食試験装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し目的を
達成するために、請求項1に記載の本発明のフレッチン
グ腐食試験装置は、第1の試験片と第2の試験片とを互
いに接触させかつこれらの試験片を互いに接触させたま
ま相対的に移動させるフレッチング腐食試験装置におい
て、前記第1の試験片を固定する第1の固定部と、前記
第2の試験片を固定する第2の固定部と、前記第2の固
定部を前記第1の固定部に対して相対的に移動させる駆
動手段と、前記第2の固定部と前記駆動手段とを互いに
連結しかつ前記第2の固定部が前記第1の固定部に対し
て相対的に移動した際に前記第1の試験片と第2の試験
片との間に生じる摩擦力を検出する検出手段と、を備
え、前記検出手段は、前記摩擦力により歪む圧電素子
と、前記圧電素子と接触しかつ該圧電素子を挟み込む一
対の電極と、を備え、前記摩擦力により前記圧電素子が
歪んで前記一対の電極間に前記摩擦力に応じた出力電圧
を発生することにより、前記摩擦力を検出することを特
徴としている。
【0010】請求項2に記載の本発明のフレッチング腐
食試験装置は、請求項1記載のフレッチング腐食試験装
置において、前記第1の試験片は、筒状の第1の電気接
触部を有する雌型の端子金具であり、前記第2の試験片
は、帯状の第2の電気接触部を有する雄型の端子金具で
あり、前記第1の電気接触部内に前記第2の電気接触部
を挿入した状態で、前記第1及び第2の固定部それぞれ
が前記雌型及び雄型の端子金具を固定するとともに、前
記駆動手段は、前記第2の電気接触部の長手方向に沿っ
て前記雄型の端子金具を前記雌型の端子金具に対して相
対的に移動させることを特徴としている。
【0011】請求項3に記載の本発明のフレッチング腐
食試験装置は、請求項1または請求項2記載のフレッチ
ング腐食試験装置において、前記検出手段の一対の電極
間に生じた出力電圧を増幅するアンプと、前記アンプか
ら増幅した出力電圧が入力するとともに、前記増幅した
出力電圧に基づいて前記摩擦力を算出する制御手段と、
を備え、前記駆動手段は、前記第2の固定部を前記第1
の固定部に近づけたり該第2の固定部を第1の固定部か
ら離して、前記第2の固定部を前記第1の固定部に対し
て相対的に移動させ、前記制御手段は、前記駆動手段が
前記第2の固定部を第1の固定部に近づけたり離すこと
を1回行う毎に、前記アンプに向かってオフセット調整
させるリセット信号を出力することを特徴としている。
【0012】請求項4に記載の本発明のフレッチング腐
食試験装置は、請求項3記載のフレッチング腐食試験装
置において、前記リセット信号は、前記駆動手段が前記
第2の固定部を第1の固定部に近づけて離した後又は離
して近づけた後に、これらの固定部を相対的に停止した
状態で前記圧電素子からアンプに入力する出力電圧を零
にする信号であることを特徴としている。
【0013】請求項1に記載した本発明によれば、検出
手段の圧電素子が歪んで、一対の電極間に出力電圧を生
じることにより、試験片間の摩擦力を測定する。圧電素
子は、歪みゲージを有する荷重センサの脆弱部に比べ
て、剛性が高い。このため、試験片の相対的な移動距離
に比較して、試験片間に生じる摩擦力によって生じる圧
電素子の歪み量を非常に小さく押さえることができる。
【0014】請求項2に記載した本発明によれば、試験
片として雌型の端子金具と雄型の端子金具を用いてい
る。また、圧電素子で端子金具間の摩擦力を測定してい
る。このため、端子金具間に生じる摩擦力を正確に測定
できる。
【0015】請求項3に記載した本発明によれば、駆動
手段が第2の固定部を第1の固定部に接離させる1回毎
に、アンプにオフセット調整させるリセット信号を出力
する。このため、圧電素子に摩擦力(荷重)が作用して
いない状態で一対の電極間に微弱な出力電圧が生じて
も、アンプをオフセット調整(零点調整)させて、一対
の電極間に微弱な出力電圧が生じていない状態に保つこ
とができる。
【0016】請求項4に記載した本発明によれば、リセ
ット信号が圧電素子に摩擦力(荷重)が作用していない
状態で一対の電極間に生じる微弱な出力電圧を零にする
信号である。このため、圧電素子に摩擦力(荷重)が作
用していない状態で一対の電極間に微弱な出力電圧が生
じても、アンプを確実にオフセット調整(零点調整)で
きる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図1ないし
図19を参照して説明する。図1などに示す本発明の一
実施形態にかかるフレッチング腐食試験装置1は、第1
の試験片としての図18に示す雌型の端子金具(以下雌
端子と呼ぶ)2と、第2の試験片としての図17に示す
雄型の端子金具(以下雄端子と呼ぶ)3とを取り付け
る。そして、フレッチング腐食試験装置1は、これらの
端子2,3をフレッチング腐食させたときの端子2,3
間の電気的な抵抗を測定して、端子2,3の良否を判定
する装置である。フレッチング腐食試験装置1は、端子
2,3の設計・開発段階において、これらの端子2,3
が予め定められた要求を満たしているか否かを判定する
ために用いられる。
【0018】前記フレッチング腐食試験装置1は、図1
9に示すように、雌端子2と雄端子3とを接続させて、
雌端子2の後述する筒部8と雄端子3の後述するタブ4
の長手方向(端子2,3の長手方向)に沿って、これら
の端子2,3を相対的に微少な距離内を移動させて、前
述したフレッチング腐食試験を行う。
【0019】雌端子2は、導電性の板金を折り曲げられ
て得られる。雌端子2は、図18に示すように、筒部8
と、ばね片9と、電線接続部10と、を一体に備えてい
る。筒部8は、筒状に形成されている。ばね片9は、帯
状に形成されており、筒部8内に曲げられた格好で収容
されている。ばね片9は、弾性変形可能である。ばね片
9は、筒部8内に侵入した雄端子3のタブ4を筒部8の
内面に向かって押す。ばね片9がタブ4を筒部8の内面
に向かって押して、筒部8は、雄端子3と電気的に接続
する。
【0020】電線接続部10は、電線を加締める加締め
片11を複数備えている。電線接続部10は、加締め片
11が電線を加締めることにより、該電線の芯線と電気
的に接続する。雌端子2は、筒部8と電線接続部10と
がばね片9の長手方向に沿って互いに連結している。
【0021】雄端子3は、導電性の板金を折り曲げられ
て得られる。雄端子3は、図17に示すように、タブ4
と、電線接続部5と、連結部6と、を一体に備えてい
る。タブ4は、帯状(平板状)に形成されている。タブ
4は、帯状に形成されて、雌端子2の後述する筒部8内
に挿入されて、該雌端子2と電気的に接続する。
【0022】電線接続部5は、電線を加締める加締め片
7を複数備えている。電線接続部5は、加締め片7が電
線を加締めることにより、該電線の芯線と電気的に接続
する。連結部6は、筒状に形成されており、タブ4と電
線接続部5とを電気的に接続している。雄端子3は、タ
ブ4と連結部6と電線接続部5とがタブ4の長手方向に
沿って順に連結している。
【0023】図19に示すように、タブ4が筒部8内に
侵入しかつばね片9がタブ4を筒部8の内面に向かって
押し付けて、雌端子2と雄端子3とが互いに接続する。
このとき、タブ4の長手方向と筒部8の長手方向とが平
行となり、タブ4と筒部8との間の接触圧力を正規圧力
に保つ。なお、接触圧力とは、タブ4と筒部8との相互
間の圧力である。正規圧力とは、雄端子3と、雌端子2
との設計時に定められる正常な(正規の)タブ4と筒部
8との間の接触圧力である。このため、タブ4と筒部8
との間の接触圧力が正規圧力となる状態に雄端子3と雌
端子2とが嵌合した状態を正規嵌合状態と呼ぶ。この正
規嵌合状態では、雄端子3と雌端子2には、タブ4とば
ね片9以外からは外力が作用していない。フレッチング
腐食試験装置1は、前記タブ4及び筒部8の長手方向に
沿って雄端子3と雌端子2とを互いに近づけたり離して
(即ち接離して)、端子2,3の特にタブ4と筒部8の
内面などをフレッチング腐食させる。なお、筒部8は本
明細書に記した第1の電気接触部をなし、タブ4は本明
細書に記した第2の電気接触部をなしている。
【0024】そして、これらの端子2,3間の電気的な
抵抗を測定することにより、前記端子2,3の設計の良
否を判定する。即ち、フレッチング腐食試験装置1は、
タブ4及び筒部8の長手方向に沿って、予め定められた
距離内を予め定められた回数、端子2,3を接離(微摺
動)させた際の端子2,3間の電気的な抵抗を測定する
ことにより、前記端子2,3の設計の良否を判定する。
【0025】フレッチング腐食試験装置1は、図1に示
すように、ベース12と、駆動手段としてのステッピン
グモータ13と、微動テーブル14と、検出手段として
の荷重センサ15と、支持テーブル16と、第1の固定
部としての第1の固定具17と、第2の固定部としての
第2の固定具18と、測定手段としての測定部19と、
制御手段としての制御装置20と、を備えている。ベー
ス12は、フロア上などに設置される。ステッピングモ
ータ13は、ベース12に固定されている。ステッピン
グモータ13の出力軸には、ねじ軸21が取り付けられ
ている。ねじ軸21の軸芯は、固定具17,18に取り
付けられる端子2,3の筒部8及びタブ4の長手方向に
沿う。ねじ軸21は、その軸芯を中心として回転自在に
ベース12に支持されている。ねじ軸21には、ナット
22が螺合している。
【0026】微動テーブル14は、ナット22に固定さ
れている。微動テーブル14は、ステッピングモータ1
3が駆動すると、ねじ軸21の長手方向に沿って移動す
る。荷重センサ15は、微動テーブル14と支持テーブ
ル16との間に設けられており、これらと連結してい
る。即ち、荷重センサ15は、微動テーブル14と支持
テーブル16とを介して、ステッピングモータ13と第
2の固定具18とを互いに連結している。
【0027】荷重センサ15は、図11に示すように、
円筒状のケース41と、該ケース41内に収容されるサ
ブアッセンブリ42と、を備えている。サブアッセンブ
リ42は、圧電素子43と、一対の電極44と、一対の
絶縁板45と、一対の受圧板46と、を備えている。圧
電素子43は、円板状に形成されている。圧電素子43
は、例えば、チタン酸鉛(PT)、チタン酸ジルコン酸
鉛(PZT)や水晶などの歪みゲージを有する荷重セン
サの脆弱部より遙かに剛性が高くかつ圧電性を有する材
料からなる。
【0028】一対の電極44は、それぞれ円板状に形成
されている。一対の電極44は、それぞれ、圧電素子4
3の両表面に重ねられている。一対の電極44は、圧電
素子43と接触しかつこの圧電素子43を互いの間に挟
み込んでいる。電極44には、それぞれ、リード線47
などが接続している。リード線47は、アンプ23に接
続している。
【0029】一対の絶縁板45は、それぞれ円板状に形
成されている。一対の絶縁板45は、電極44に重ねら
れている。絶縁板45は、互いの間に電極44を挟み込
んでいる。受圧板46は、円柱状に形成されかつ絶縁板
45に重ねられている。受圧板46は、互いの間に絶縁
板45を挟み込んでいる。一方の受圧板46は、微動テ
ーブル14に連結している。他方の受圧板46は、支持
テーブル16に連結している。
【0030】荷重センサ15の圧電素子43は、微動テ
ーブル14がねじ軸21の軸芯に沿って移動した際に、
タブ4と筒部8との摩擦によって、図11中の矢印Sに
沿った荷重が作用する。なお、この荷重は、前記タブ4
と筒部8との摩擦力である。すると、圧電素子43は、
前記荷重(摩擦力)により歪む。なお、このときの歪み
量は、例えば1μmなどの非常に小さい値である。そし
て、一対の電極44間に出力電圧が発生する。この出力
電圧は、リード線47を介してアンプ23に伝えられ
る。
【0031】こうして、荷重センサ15は、支持テーブ
ル16に作用する荷重(即ちタブ4と筒部8の内面との
間に生じる摩擦力)に応じた信号をアンプ23に向かっ
て出力する。アンプ23は、前記リード線47間即ち電
極44間の出力電圧(前記荷重センサ15からの信号)
を増幅して、インターフェース(図1中にI/Fと示
し、以下I/Fと呼ぶ)24に向かって出力する。
【0032】支持テーブル16は、第2の固定具18を
取り付けている。なお、前記ベース12と、微動テーブ
ル14と、支持テーブル16とは、装置本体を構成して
いる。
【0033】第1の固定具17は、雌端子2を取り付け
る。第1の固定具17は、図2ないし図4に示すよう
に、ベース12に取り付けられており、溝35と、一対
の押さえ板36と、一対の板ばね37とを備えている。
【0034】溝35は、ベース12の表面から凹に形成
されている。溝35は、第2の固定具18の後述する一
対の挟み片28間に挟まれる雄端子3のタブ4と相対す
る位置に配されている。溝35は、第2の固定具18に
取り付けられる雄端子3のタブ4の長手方向に沿って直
線状に延びている。溝35は、雌端子2の外形に沿って
形成されている。溝35は、ばね片9の厚み方向が、第
2の固定具18の一対の挟み片28が互いに接離する方
向と平行な状態で、内側に雌端子2を収容する。
【0035】また、ベース12の表面には、一対のねじ
孔38が設けられている。これらのねじ孔38は、互い
の間に、第2の固定具18の挟み片28が互いに接離す
る方向に沿って溝35を位置させている。
【0036】一対の押さえ板36は、板状に形成されて
いる。押さえ板36は、ベース12に重ねられる。押さ
え板36には、長孔39が貫通している。長孔39の長
手方向は、第2の固定具18の挟み片28が互いに接離
する方向と平行である。長孔39は、押さえ板36がベ
ース12に重ねられると、ねじ孔38と連通する。長孔
39内には、ボルト40が通される。ボルト40は、長
孔39内を通って、ねじ孔38に螺合する。ボルト40
が、長孔39内を通り、かつこれらのボルト40と長孔
39とが相対的に移動することにより、押さえ板36
は、長孔39の長手方向に沿って移動自在となる。
【0037】押さえ板36は、長孔39の長手方向に沿
って移動して、図3に示す一端部36aが溝35に重な
る第1の位置と、図4に示す一端部36aが溝35に重
ならなくなる第2の位置とに亘って移動する。
【0038】ボルト40がねじ孔38の奥までねじ込ま
れると、該ボルト40の頭40aが押さえ板36と接触
して押さえ板36をベース12に向かって押す。そし
て、ボルト40が押さえ板36を固定する。ボルト40
がねじ孔38からゆるめられると、該ボルト40の頭4
0aと押さえ板36との間に隙間が生じて、押さえ板3
6を長孔39の長手方向に沿って移動自在とする。
【0039】また、前記溝35内に雌端子2を収容しか
つ第1の位置に位置づけた状態でボルト40などで固定
すると、押さえ板36は、雌端子2を溝35の底面35
aに向かって押す。また、前述した第2の位置に押さえ
板36を位置づけると、押さえ板36の一端部36a間
を通して、溝35に雌端子2を出し入れ自在となる。
【0040】それぞれの板ばね37は、一端部がベース
12に取付られかつ他端部が押さえ板36に重ねられて
いる。板ばね37は、押さえ板36をベース12に向か
って押している。板ばね37は、押さえ板36がベース
12から不意に脱落することを防止している。
【0041】前述した構成によって、第1の固定具17
は、第2の位置に押さえ板36を位置づけて、溝35内
に雌端子2を収容する。第1の位置に押さえ板36を位
置づけて、ボルト40をねじ孔38の奥にねじ込んで、
雌端子2を溝35の底面35aに向かって押した状態
で、押さえ板36をベース12に固定する。こうして、
第1の固定具17は、雌端子2のばね片9の幅方向に沿
って、雌端子2を押さえ板36と溝35の底面35aと
の間に挟んで固定する。
【0042】第2の固定具18は、雄端子3を取り付け
る。第2の固定具18は、第1の固定具17の溝35内
に収容される雌端子2の筒部8の長手方向に沿って、第
1の固定具17と相対している。第2の固定具18は、
図2に示すように、雄端子3を支持テーブル16に取り
付けるために用いられる。第2の固定具18は、図5に
示すように、一対の挟み片28と、一つの取付用ボルト
29と、変更手段としての一対の長孔30と、固定手段
としての固定部31とを備えている。
【0043】一対の挟み片28は、支持テーブル16上
に重ねられている。一対の挟み片28は、前記ねじ軸2
1の軸芯に直交しかつ水平方向に沿って互いに並べられ
ており、互いに接離自在に設けられている。一対の挟み
片28には、それぞれ、取付用ボルト29が螺合するね
じ孔32が設けられている。それぞれの挟み片28に設
けられたねじ孔32は、互いに同一線上に配されてい
る。これらのねじ孔32には、取付用ボルト29が螺合
する。取付用ボルト29がねじ孔32にねじ込まれる量
に応じて、一対の挟み片28が前記ねじ軸21の軸芯に
直交しかつ水平方向に沿って互いに接離する。
【0044】一対の挟み片28は、互いの間に、タブ4
の厚み方向と一対の挟み片28が互いに接離する方向と
が平行になる状態で雄端子3の連結部6を挟む。即ち、
一対の挟み片28は、タブ4の長手方向に交差する断面
形の長手方向が、鉛直方向に沿う状態で、雄端子3の連
結部6を互いの間に挟む。
【0045】取付用ボルト29は、ねじ孔32に螺合す
る。取付用ボルト29が、ねじ孔32の奥にねじ込まれ
るのにしたがって、一つの挟み片28が徐々に互いに近
づく。取付用ボルト29が、ねじ孔32からゆるめられ
るのにしたがって、一対の挟み片28が徐々に互いに離
れる。
【0046】一対の長孔30は、それぞれ、支持テーブ
ル16に挟み片28が重ねられる方向に沿って、挟み片
28を貫通している。長孔30の長手方向は、一対の挟
み片28が互いに接離する方向に沿っている。長孔30
の内側には、固定部31の後述するボルト34が通され
る。長孔30は、内側にボルト34が通されることによ
って、一対の挟み片28間に挟まれる雄端子3のタブ4
の厚み方向(ねじ軸21の軸芯に直交しかつ水平方向に
沿う方向)に沿って、これらの挟み片28を支持テーブ
ル16に対して移動自在とする。即ち、長孔30は、タ
ブ4の厚み方向に沿った挟み片28の支持テーブル16
に対する相対的な位置を変更可能としている。
【0047】固定部31は、一対のねじ孔33と、一対
のボルト34とを備えている。ねじ孔33は、支持テー
ブル16の表面に開口している。ねじ孔33は、支持テ
ーブル16に挟み片28が重ねられると、長孔30と連
通する。
【0048】ボルト34は、長孔30を通してねじ孔3
3に螺合する。ボルト34は、長孔30の長手方向に沿
って、長孔30に対して相対的に移動可能である。ボル
ト34は、ねじ孔33の奥までねじ込まれると、該ボル
ト34の頭34aと支持テーブル16との間に挟み片2
8を挟んで固定する。ボルト34は、ねじ孔33からゆ
るめられると、頭34aと支持テーブル16との間に隙
間が生じて、挟み片28を互いに接離する方向即ちタブ
4の厚み方向に沿って支持テーブル16に対して移動自
在とする。こうして、固定部31は、ボルト34の頭3
4aと支持テーブル16との間に挟み片28を挟んで、
該挟み片28を支持テーブル16に固定する。
【0049】前述した構成によって第2の固定具18
は、取付用ボルト29をねじ孔32にねじ込むことによ
って、一対の挟み片28間に雄端子3を挟む。そして、
長孔30内をボルト34が通る位置が調整されて、即
ち、タブ4の厚み方向に沿った挟み片28の支持テーブ
ル16に対する相対的な位置が調整されて、ボルト34
がねじ孔33の奥にねじ込まれる。そして、挟み片28
が支持テーブル16に固定される。こうして、第2の固
定具18は、雄端子3を支持テーブル16に固定する。
【0050】測定部19は、電源ユニット25と、電圧
計26とを備えている。電源ユニット25は、プラスの
端子とマイナスの端子とを備えている。電源ユニット2
5のプラスの端子は、第1の固定具17を介して雌端子
2と電気的に接続する。電源ユニット25のマイナスの
端子は、第2の固定具18を介して雄端子3と電気的に
接続する。電源ユニット25は、制御装置20からの命
令に基づいて、前記第2の固定具18と第1の固定具1
7とを介して、端子2,3間に所定の電流値で印加す
る。
【0051】電圧計26は、プラスの端子とマイナスの
端子とを備えている。電圧計26のプラスの端子は、第
1の固定具17を介して雌端子2と電気的に接続する。
電圧計26のマイナスの端子は、第2の固定具18を介
して雄端子3と電気的に接続する。電圧計26は、制御
装置20からの命令に基づいて、前記第1の固定具17
と第2の固定具18とを介して、端子2,3間の電圧を
測定する。前述した構成の測定部19は、制御装置20
からの命令に基づいて、前記電源ユニット25が端子
2,3間に印加するとともに、電圧計26が端子2,3
間の電圧を測定する。
【0052】制御装置20は、周知のRAM、ROM、
CPUなどを備えたコンピュータであって、前記ステッ
ピングモータ13とアンプ23と測定部19などと接続
して、フレッチング腐食試験装置1全体の制御をつかさ
どる。制御装置20は、双方向バス27などを介して前
記電源ユニット25と電圧計26と接続している。制御
装置20は、双方向バス27などを介してI/F24と
接続している。I/F24には、前記ステッピングモー
タ13と、アンプ23とが接続している。
【0053】制御装置20は、予め記憶されたプログラ
ムに基づいて、I/F24を介してステッピングモータ
13を駆動させて、ねじ軸21を一方向に所定数回転さ
せた後、ねじ軸21を逆方向に所定数回転させる。な
お、ねじ軸21が回転する所定数とは、微動テーブル1
4が例えば50μmなどの微少な距離移動する回転数で
ある。ステッピングモータ13の回転が終了すると、こ
の終了したことを示す信号がI/F24を介して制御装
置20に入力する。また、前記ステッピングモータ13
が駆動している間の前記荷重センサ15が測定した荷重
値(摩擦力)が、アンプ23とI/F24を介して制御
装置20に入力する。
【0054】その後、制御装置20は、前記測定部19
の電源ユニット25に端子2,3間に印加させるととも
に、電圧計26に端子2,3間の電圧を測定させる。電
圧計26から双方向バス27を介して、制御装置20に
前記端子2,3間の電圧に応じた信号が伝えられる。制
御装置20は、電圧計26からの電圧と、電源ユニット
25が印加した電流値とから前記端子2,3間の抵抗値
を求める。
【0055】そして、制御装置20には、前記ステッピ
ングモータ13を停止した状態において、前記荷重セン
サ15の電極44間の微弱な出力電圧がアンプ23で増
幅されて入力することがある。そして、ステッピングモ
ータ13の停止時において、電極44間に微弱な出力電
圧が存在する時には、制御装置20は、アンプ23をオ
フセット調整させるリセット信号を、アンプ23に向か
って出力する。このリセット信号とは、前記一対の電極
44間の微弱な出力電圧と逆極性の電圧の信号である。
すると、前記アンプ23に入力する微弱な出力電圧がな
くなる。こうして、制御装置20がアンプ23に向かっ
て出力するリセット信号とは、前記ステッピングモータ
13が第2の固定具18を第1の固定具17に近づけて
離した後又は離して近づけた後に、これらの固定部1
7,18を相対的に停止した状態で前記圧電素子43か
らアンプ23に入力する出力電圧を零にする信号であ
る。そして、制御装置20は、再度ステッピングモータ
13を駆動して、端子2,3を互いに接離させるととも
に、端子2,3間の抵抗値を求める。
【0056】こうして、制御装置20即ちフレッチング
腐食試験装置1は、端子2,3を互いに接離させて、こ
れらの端子2,3間の抵抗を測定する。また、制御装置
20は、ステッピングモータ13を駆動させる毎即ち端
子2,3を互いに接離させる毎に、測定部19に端子
2,3間の抵抗を測定させても良く、複数回端子2,3
を互いに接離させる毎に、測定部19に端子2,3間の
抵抗を測定させても良い。制御装置20は、フレッチン
グ腐食試験の開始直後には、端子2,3を互いに接離さ
せる毎に測定部19に端子2,3間の抵抗を測定させる
のが望ましく、試験の経過時間とともに端子2,3間の
抵抗を測定する間隔(抵抗を測定する間に端子2,3を
互いに接離させる回数)を徐々に大きくするのが望まし
い。
【0057】例えば、端子2,3を接離させるのが1回
目から10回目では、毎回端子2,3間の抵抗を測定す
るのが望ましい。端子2,3を接離させるのが10回目
から100回目では、数回毎に端子2,3間の抵抗を測
定するのが望ましい。端子2,3を接離させるのが10
0回目から1000回目では、数十回毎に端子2,3間
の抵抗を測定するのが望ましい。端子2,3を接離させ
るのが1000回目を越えると、100回毎に端子2,
3間の抵抗を測定するのが望ましい。
【0058】また、前記制御装置20は、前記双方向バ
ス27などを介して周知のプリンタ装置やモニタなどと
接続しても良い。この場合、前述した測定結果(端子
2,3間の抵抗値や荷重センサ15からの荷重値)など
を、前記プリンタ装置やモニタなどから出力させる。
【0059】前述した構成のフレッチング腐食試験装置
1を用いて、端子2,3の微摺動試験(フレッチング腐
食試験)を実施する際には、まず、試験対象物としての
端子2,3それぞれを固定具17,18に以下のように
取り付ける。まず、端子2,3の取付前では、図6に示
すように、第2の固定具18のボルト29,34がゆる
められて、挟み片28が互いに離れているとともに、こ
れらの挟み片28が互いに接離する方向に沿って支持テ
ーブル16に対して移動自在となっている。また、図4
に示すように、第1の固定具17のボルト40がゆるめ
られて、押さえ板36が第2の位置に位置づけられてい
る。
【0060】そして、図10(a)に示すように、雌端
子2の筒部8内に雄端子3のタブ4を挿入して、これら
の端子2,3を互いに接続する。図7及び図10(b)
に示すように、第2の固定具18の一対の挟み片28間
に雄端子3を挿入する。さらに、第1の固定具17の溝
35内に雌端子2を挿入する。このとき、雄端子3のタ
ブ4の厚み方向が一対の挟み片28が互いに接離する方
向に沿いかつ雌端子2のばね片9の厚み方向が一対の押
さえ板36が互いに接離する方向に沿っている。
【0061】その後、図10(c)に示すように、押さ
え板36を第2の位置に位置づけて、ボルト40を若干
ねじ孔38の奥に向かってねじ込んで、第1の固定具1
7の押さえ板36で雌端子2を仮止めする。図8及び図
10(d)に示すように、取付用ボルト29をねじ孔3
2の奥に向かってねじ込んで、挟み片28間に雄端子3
を挟む。こうして、挟み片28と雄端子3とを互いに固
定する。
【0062】すると、前記雄端子3のタブ4と雌端子2
のばね片9の弾性復元力によって、前述した正規嵌合状
態を保つように、挟み片28が支持テーブル16に対し
て移動する。または、前述した正規嵌合状態となるよう
に、挟み片28を図8及び図10(d)中の矢印Yに沿
って移動する。このため、タブ4と筒部8との間の接触
圧力は正規圧力に保たれる。したがって、第1及び第2
の固定具17,18は、タブ4と筒部8との接触圧力を
正規圧力に保った状態で端子2,3をベース12などに
固定する。その後、図9及び図10(e)に示すよう
に、ボルト34をねじ孔33の奥に向かってねじ込ん
で、挟み片28を支持テーブル16に固定する。さら
に、図3に示すように、ボルト40をねじ孔38の奥に
向かってねじ込んで、雌端子2を溝35の底面35aに
向かって押した状態で、押さえ板36をベース12に固
定する。このように、第1及び第2の固定具17,18
は、タブ4と筒部8との間の接触圧力が正規圧力となる
位置に、挟み片28の支持テーブル16に対する相対的
な位置を調整した後(位置づけた後)、固定部31によ
り挟み片28を支持テーブル16に固定して、端子2,
3をベース12などに固定する。
【0063】こうして、固定具17,18に端子2,3
を固定した後、制御装置20に予め記憶されているパタ
ーンにしたがって、ステッピングモータ13を駆動し
て、前記端子2,3を例えば50μmの距離接離させ
る。このときに生じる摩擦力を荷重センサ15などを介
して測定する。また、端子2,3が接離した後、これら
の端子2,3間の電気的な抵抗を、測定部19などを用
いて測定する。こうして、所定回数、端子2,3を互い
に接離させ、摩擦力を測定するとともに端子2,3間の
電気的な抵抗を測定する。
【0064】本実施形態によれば、荷重センサ15の圧
電素子43が歪んで、一対の電極44間に出力電圧を生
じることにより、試験片としての端子2,3間の摩擦力
を測定している。圧電素子43は、歪みゲージを有する
荷重センサの脆弱部に比べて、剛性が高い。
【0065】このため、試験片としての端子2,3の相
対的な移動距離に比較して、試験片としての端子2,3
間の摩擦力によって生じる前記圧電素子43の歪み量を
非常に小さくできる。したがって、試験片としての端子
2,3間に生じる摩擦力をより正確に測定できる。した
がって、端子2,3を微摺動させた時の摩擦力を正確に
測定できるので、フレッチング腐食試験装置1で得られ
た結果を端子2,3の設計・開発に反映できる。
【0066】ステッピングモータ13が端子2,3を互
いに接離させる1回毎に、制御装置20はアンプ23に
オフセット調整させるリセット信号を出力する。リセッ
ト信号は、端子2,3を互いに接離させていない時に、
圧電素子43に摩擦力(荷重)が作用していない状態
で、一対の電極44間に生じる微弱な出力電圧を零にす
る信号である。
【0067】このため、圧電素子43に摩擦力(荷重)
が作用していない状態で一対の電極44間に微弱な出力
電圧が生じても、図12中に実線で示すように、アンプ
23をオフセット調整(零点調整)させて、一対の電極
44間に微弱な出力電圧が生じていない状態に保つこと
ができる。したがって、試験片としての端子2,3間の
摩擦力をより正確に測定できる。
【0068】なお、図12中には、端子2,3を互いに
接離させた際の一対の電極44間に生じる出力電圧をア
ンプ23で増幅して得られる電圧の変化を模式的に示し
ている。図12中点Aから点Bを介して点Cに向かって
端子2,3を互いに近づけ(又は離し)、点Cから点D
を介して点Eに向かって端子2,3を互いに離し(又は
近づけ)ていることを示している。なお、点Aから点B
までと点Cから点Dまでの間に電圧値の変化が大きいの
は、端子2,3を相対的に移動させ始めた直後に、圧電
素子43が歪むことを示している。こうして、点Aから
点Eまでの間で、1回端子2,3を互いに接離させた時
の電圧の変化を示している。そして、前記点Eは、次に
端子2,3を接離させる時の点Aとなる。
【0069】また、図12中の一点鎖線は、前記オフセ
ット信号をアンプ23に入力しない場合を示している。
なお、点A′と点B′と点C′と点D′と点E′とは、
前述した点Aと点Bと点Cと点Dと点Eそれぞれに相当
する。オフセット信号を入力しないと、圧電素子43に
荷重が作用していない状態で一対の電極44間に生じた
微弱な出力電圧がアンプ23によって増幅され、端子
2,3間の摩擦力を示す電圧値VD,VD′が徐々に大
きくなるとともに、各点A′と点B′と点C′と点D′
と点E′の電圧値が徐々に大きくなる。そして、一点鎖
線で示すようにリセット信号をアンプ23に入力しない
と、端子2,3間の摩擦力を正確に測定できないことを
示している。
【0070】さらに、本発明の発明者らは、前述した実
施形態のように圧電素子43を有する荷重センサ15
と、歪みゲージを有する荷重センサとを用いて、端子
2,3間の摩擦力を実際に測定した、この測定結果を図
13ないし図16に示す。図13ないし図16中におい
て実線は、圧電素子43を有する荷重センサ15を用い
た本発明品を示し、一点鎖線は歪みゲージを有する荷重
センサを用いた比較例を示している。
【0071】また、図13に示す例では、1回目に端子
2,3を互いに接離させた時の摩擦力の変化を示してい
る。図14に示す例では100回目に端子2,3を互い
に接離させた時の摩擦力の変化を示している。図15に
示す例では、1000回目に端子2,3を互いに接離さ
せた時の摩擦力の変化を示している。図16に示す例で
は10000回目に端子2,3を互いに接離させた時の
摩擦力の変化を示している。なお、図13ないし図16
において、点Aと点Bと点Baと点Cと点Caと点Dと
点Daと点Eは、前述した図12中の点Aと点Bと点C
と点Dと点Eそれぞれに対応する。
【0072】図13及び図14に示された結果によれ
ば、歪みゲージを有する荷重センサを用いると、脆弱部
の変形によって、点Bが点Baにずれ、点Cが点Ca
(図14に示す)にずれ、点Dが点Daにずれている。
このため、点Aと点Baとの間と点Cと点Daとの間
で、歪みゲージを有する荷重センサの脆弱部が弾性変形
することが明らかとなった。
【0073】また、図14では、ステッピングモータ1
3を駆動して微動テーブル14を50μm移動させたに
も関わらず、歪みゲージを有する荷重センサを用いる
と、端子2,3間の相対的な移動距離が40μmになる
ことが明らかとなった。このため、歪みゲージを有する
荷重センサでは、端子2,3間の摩擦力により脆弱部が
弾性変形することが明らかとなった。
【0074】また、図15及び図16に示された結果に
よれば、歪みゲージを有する荷重センサを用いると、脆
弱部の変形によって、点Baと点Daなどが不明瞭とな
る。歪みゲージを有する荷重センサを用いると、端子
2,3間の相対的な移動距離が、ステッピングモータ1
3が微動テーブル14を移動した距離(50μm)より
も短くなることが明らかとなった。さらに、本発明品で
は、端子2,3間の相対的な移動距離が微動テーブル1
4を移動した距離(50μm)と略等しい。このため、
本発明品は、正確に微摺動試験を行えることが明らかと
なった。
【0075】また、歪みゲージを有する荷重センサを用
いると、脆弱部の変形によって、端子2,3の摩擦力が
圧電素子43を有する荷重センサを用いた場合より小さ
くなることが明らかとなった。こうして、圧電素子43
を有する荷重センサ15を用いることにより、歪みゲー
ジを有する荷重センサを用いた場合より、端子2,3間
の摩擦力を正確に測定できることが明らかとなった。
【0076】また、タブ4と筒部8との接触圧力を正規
圧力に保った状態で、第2の固定具18が雄端子3を支
持テーブル16に固定する。そして、微摺動試験を行
う。このため、試験開始前に、タブ4と筒部8との接触
荷重が低下することを防止できる。
【0077】雌端子2のばね片9の幅方向に沿って、雌
端子2を押さえ板36と溝35の底面35aとの間に挟
んで固定する。このため、雌端子2を固定する際の挟む
力によって、ばね片9が変形することを防止できる。こ
のため、試験開始前及び試験中のタブ4と筒部8との接
触荷重が低下することを防止できる。このため、実際に
コネクタハウジング内に収容された状態で雄端子3と雌
端子2の微摺動試験を行うことができる。したがって、
微摺動試験を正確に行うことができる。
【0078】また、第2の固定具18の長孔30が挟み
片28の支持テーブル16に対する相対的な位置を変更
可能としている。また、長孔30内をボルト34が通る
位置を調整するなどして、タブ4と筒部8との接触圧力
が正規圧力となる位置に挟み片28を位置づけて、ボル
ト34をねじ孔33にねじ込んで、挟み片28を支持テ
ーブル16に固定する。このため、タブ4と筒部8との
接触圧力が正規圧力となる位置に端子2,3を確実に固
定できる。
【0079】このため、試験開始前に、タブ4と筒部8
との接触荷重が低下することを防止でき、実際にコネク
タハウジング内に収容された状態で雄端子3と雌端子2
の微摺動試験を行うことができる。したがって、微摺動
試験をより正確に行うことができる。
【0080】さらに、固定部17,18の位置を調整す
る機能をベース12、微動テーブル14及び支持テーブ
ル16に設けていない。このため、微摺動試験中にベー
ス12、微動テーブル14及び支持テーブル16などが
変形することを防止できる。したがって、より一層正確
に微摺動試験を行うことができる。
【0081】また、第2の固定具18に雄端子3を取り
付けて、該雄端子3を雌端子2に対して相対的に移動さ
せている。しかしながら、本発明では、第1の固定具1
7に雄端子3を取り付け第1の固定部17に雌端子2を
取り付けても良いことは勿論である。
【0082】また、前述した実施形態では、端子2,3
を互いに接離させて、これらの端子2,3をフレッチン
グ腐食させている。しかしながら本発明では、端子2,
3ではなく単なる金属片を固定具17,18に取り付け
て、フレッチング腐食させても良い。更に、前述した実
施形態では、雄端子3のタブ4が帯状に形成されてい
る。しかしながら本発明では、タブ4を棒状に形成して
も良いことは勿論である。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の本
発明によれば、検出手段の圧電素子が歪んで、一対の電
極間に出力電圧を生じることにより、試験片間の摩擦力
を測定する。圧電素子は、歪みゲージを有する荷重セン
サの脆弱部に比べて、剛性が高い。このため、試験片の
相対的な移動距離に比較して、試験片間に生じる摩擦力
によって生じる圧電素子の歪み量を非常に小さく押さえ
ることができる。
【0084】請求項2に記載の本発明によれば、試験片
として雌型の端子金具と雄型の端子金具を用いている。
また、圧電素子で端子金具間の摩擦力を測定している。
このため、端子金具間に生じる摩擦力を正確に測定でき
る。したがって、設計開発段階の端子金具を微摺動させ
た時の摩擦力を正確に測定できるので、本請求項のフレ
ッチング腐食試験装置で得られた結果を該端子金具の設
計・開発に反映できる。
【0085】請求項3に記載の本発明によれば、駆動手
段が第2の固定部を第1の固定部に接離させる1回毎
に、アンプにオフセット調整させるリセット信号を出力
する。このため、圧電素子に摩擦力(荷重)が作用して
いない状態で一対の電極間に微弱な出力電圧が生じて
も、アンプをオフセット調整(零点調整)させて、一対
の電極間に微弱な出力電圧が生じていない状態に保つこ
とができる。したがって、試験片または端子金具間の摩
擦力をより正確に測定できる。
【0086】請求項4に記載の本発明によれば、リセッ
ト信号が圧電素子に摩擦力(荷重)が作用していない状
態で一対の電極間に生じる微弱な出力電圧を零にする号
である。このため、圧電素子に摩擦力(荷重)が作用し
ていない状態で一対の電極間に微弱な出力電圧が生じて
も、アンプを確実にオフセット調整(零点調整)でき
る。したがって、試験片または端子金具間の摩擦力をよ
り正確に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるフレッチング腐食
試験装置の概略の構成を示す説明図である。
【図2】図1に示されたフレッチング腐食試験装置の第
1の固定具と第2の固定具とを示す斜視図である。
【図3】図2中のIII−III線に沿う第1の固定具
の断面図である。
【図4】図3に示された第1の固定具の押さえ板を第2
の位置に位置づけた状態を示す断面図である。
【図5】図2中のa−b―c−d線に沿う第2の固定具
の断面図である。
【図6】図5に示された第2の固定具の取付用ボルトと
ボルトをゆるめた状態を示す断面図である。
【図7】図6に示す状態から挟み片間に雄端子を挿入し
た状態を示す断面図である。
【図8】図7に示す状態から取付用ボルトをねじ込んで
挟み片間に雄端子を挟んだ状態を示す断面図である。
【図9】図8に示す状態からボルトをねじ込んで挟み片
を支持テーブルに固定した状態を示す断面図である。
【図10】図1に示されたフレッチング腐食試験装置の
第1の固定具と第2の固定具とに雌端子と雄端子を取り
付ける過程を示す説明図である。
【図11】図1に示されたフレッチング腐食試験装置の
荷重センサの断面図である。
【図12】図11に示された荷重センサの電極間の出力
電圧をアンプで増幅して得られる電圧の変化を示す説明
図である。
【図13】図1に示されたフレッチング腐食試験装置で
端子を1回目に接離させた際に得られる摩擦力の変化な
どを示す説明図である。
【図14】図1に示されたフレッチング腐食試験装置で
端子を100回目に接離させた際に得られる摩擦力の変
化などを示す説明図である。
【図15】図1に示されたフレッチング腐食試験装置で
端子を1000回目に接離させた際に得られる摩擦力の
変化などを示す説明図である。
【図16】図1に示されたフレッチング腐食試験装置で
端子を10000回目に接離させた際に得られる摩擦力
の変化などを示す説明図である。
【図17】図1に示されたフレッチング腐食試験装置で
微摺動試験が行われる雄端子を示す斜視図である。
【図18】図1に示されたフレッチング腐食試験装置で
微摺動試験が行われる雌端子を示す斜視図である。
【図19】図17に示された雄端子と図18に示された
雌端子とを接続した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 フレッチング腐食試験装置 2 雌端子(雌型の端子金具、第1の試験片) 3 雄端子(雄型の端子金具、第2の試験片) 4 タブ(第2の電気接触部) 8 筒部(第1の電気接触部) 13 ステッピングモータ(駆動手段) 15 荷重センサ(検出手段) 17 第1の固定具(第1の固定部) 18 第2の固定具(第2の固定部) 20 制御装置(制御手段) 23 アンプ 43 圧電素子 44 電極

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の試験片と第2の試験片とを互いに
    接触させかつこれらの試験片を互いに接触させたまま相
    対的に移動させるフレッチング腐食試験装置において、 前記第1の試験片を固定する第1の固定部と、 前記第2の試験片を固定する第2の固定部と、 前記第2の固定部を前記第1の固定部に対して相対的に
    移動させる駆動手段と、 前記第2の固定部と前記駆動手段とを互いに連結しかつ
    前記第2の固定部が前記第1の固定部に対して相対的に
    移動した際に前記第1の試験片と第2の試験片との間に
    生じる摩擦力を検出する検出手段と、を備え、 前記検出手段は、前記摩擦力により歪む圧電素子と、前
    記圧電素子と接触しかつ該圧電素子を挟み込む一対の電
    極と、を備え、前記摩擦力により前記圧電素子が歪んで
    前記一対の電極間に前記摩擦力に応じた出力電圧を発生
    することにより、前記摩擦力を検出することを特徴とす
    るフレッチング腐食試験装置。
  2. 【請求項2】 前記第1の試験片は、筒状の第1の電気
    接触部を有する雌型の端子金具であり、 前記第2の試験片は、帯状の第2の電気接触部を有する
    雄型の端子金具であり、 前記第1の電気接触部内に前記第2の電気接触部を挿入
    した状態で、前記第1及び第2の固定部それぞれが前記
    雌型及び雄型の端子金具を固定するとともに、前記駆動
    手段は、前記第2の電気接触部の長手方向に沿って前記
    雄型の端子金具を前記雌型の端子金具に対して相対的に
    移動させることを特徴とする請求項1記載のフレッチン
    グ腐食試験装置。
  3. 【請求項3】 前記検出手段の一対の電極間に生じた出
    力電圧を増幅するアンプと、 前記アンプから増幅した出力電圧が入力するとともに、
    前記増幅した出力電圧に基づいて前記摩擦力を算出する
    制御手段と、を備え、 前記駆動手段は、前記第2の固定部を前記第1の固定部
    に近づけたり該第2の固定部を第1の固定部から離し
    て、前記第2の固定部を前記第1の固定部に対して相対
    的に移動させ、 前記制御手段は、前記駆動手段が前記第2の固定部を第
    1の固定部に近づけたり離すことを1回行う毎に、前記
    アンプに向かってオフセット調整させるリセット信号を
    出力することを特徴とする請求項1または請求項2記載
    のフレッチング腐食試験装置。
  4. 【請求項4】 前記リセット信号は、前記駆動手段が前
    記第2の固定部を第1の固定部に近づけて離した後又は
    離して近づけた後に、これらの固定部を相対的に停止し
    た状態で前記圧電素子からアンプに入力する出力電圧を
    零にする信号であることを特徴とする請求項3記載のフ
    レッチング腐食試験装置。
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