JP2010197087A - 摩擦力測定装置及び摩擦力測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】摩擦力の測定誤差を解消して高精度の測定ができる摩擦力測定装置及び摩擦力測定方法を提供する。
【解決手段】摩擦力測定装置としての端子金具評価装置1は、第1の試験片81と第2の試験片とを互いに接触して支持するとともに、第2の試験片82を第1の試験片81に所定の力で押しつけながら、それぞれ試験片81、82を相対的に移動させ、圧電素子43が出力した電圧に基づいて、第1の試験片81と第2の試験片82との間に生じる摩擦力を検出する。そして、第2の試験片82を第1の試験片81に押しつけ始める前、及び、第2の試験片82を第1の試験片81の押しつけ終わった後、に測定した圧電素子43の電圧に基づいて、上述の摩擦力を補正する。
【選択図】図12

Description

本発明は、コネクタに用いられる一対の端子金具間における摩擦力を測定する摩擦力測定装置及び摩擦力測定方法に関するものである。
移動体としての自動車には多くの電子機器が搭載されており、そのため、自動車内には、各電子機器に電力及び信号等を伝送するためのワイヤハーネスが配策されている。このようなワイヤハーネスは、複数の電線とコネクタとを備えている。
電線は、導電性の芯線と、この芯線を被覆する絶縁性の合成樹脂からなる被覆部とを備えたいわゆる被覆導線である。コネクタは、絶縁性のコネクタハウジングと、このコネクタハウジングに収容される端子金具とを備えている。端子金具は電線の端部などに取り付けられる。端子金具には、所謂雄型の端子金具(以下、「雄端子」という)と、所謂雌型の端子金具(以下、「雌端子」という)とがある。
雄端子は、棒状又は帯状の電気接触部を備えている。雌端子は、雄端子の電気接触部が挿入される筒状の電気接触部、及び、この雌端子の電気接触部の内面に雄端子の電気接触部を押しつけるばね片、を備えている。これら雄端子と雌端子とはワイヤハーネスを構成し、このワイヤハーネスが自動車に配策される際に、雄端子の電気接触部が雌端子の電気接触部に挿入され、この雄端子の電気接触部が雌端子のばね片によって雌端子の電気接触部の内面に押しつけられ、互いに電気的に接続される。
自動車に配策されたワイヤハーネスには、自動車の動作時に生じる微小な振動が加わる。すると、上述した雄端子の電気接触部及び雌端子の電気接触部が挿入方向に沿って互いに微小な距離を近づいたり離れたりする。このため、互いの電気接触部がこすれ合い、それらの接触部分が摩耗(即ち、フレッチング腐食)してしまい、電気抵抗が高まって電力や信号等の伝送が妨げられるという問題があった。
また、近年の自動車に搭載される電子機器の高機能化に伴い、ワイヤハーネスによって伝送される信号等も増加する傾向にあり、そのため、ワイヤハーネスを構成するコネクタの多極化(即ち、コネクタが備える端子金具数の増加)が進んでいる。そして、コネクタの多極化が進むと、コネクタの嵌合時により多くの雄端子を雌端子に挿入しなければならず、そのため、雄端子と雌端子との間に生じる摩擦力が増加してコネクタの嵌合に強い力が必要となり、組立性が悪化するという問題があった。そのため、上述した電気的接続を確保しつつ挿入時の摩擦力を弱めた低挿入力コネクタが求められていた。
そこで、本発明者らは、コネクタの設計及び開発段階において上述した問題の程度等を確認するため、該コネクタが備える端子金具における上述の摩耗の状況及び端子金具間の摩擦力を測定するフレッチング腐食試験装置を特許文献1に提案している。
特許文献1のフレッチング腐食試験装置701は、図16に示すように、ベース712と、ベース712に取り付けられたステッピングモータ713と、ステッピングモータ713によって移動される微動テーブル714と、ベース712に対して移動可能な支持テーブル716と、微動テーブル714と支持テーブル716とを接続する荷重センサ715と、ベース712に取り付けられた第1の固定具717と、支持テーブル716に取り付けられた第2の固定具718と、測定部719と、制御装置720と、を備えている。
第1の固定具717には、上述した雌端子(符号703で示す)が取り付けられ、つまり、雌端子703はベース712に固定される。第2の固定具718には、上述した雄端子(符号702で示す)が取り付けられ、つまり、雄端子702は支持テーブル716に固定される。このとき、雄端子702の電気接触部が雌端子703の電気接触部に挿入されて、互いに接触するように位置づけられている。荷重センサ715は、圧電素子を備えており、この圧電素子に電気的に接続されたリード線747がアンプ723及びI/F724を介して、制御装置720に接続されている。
制御装置720は、微動テーブル714が、例えば50μm程度の微小な距離を繰り返し往復(即ち、微小振動)するように、ステッピングモータ713を駆動制御する。すると、微動テーブル714が、荷重センサ715を介して支持テーブル716を微小振動させ、そして、ベース712に固定された雌端子703に対して、支持テーブル716に固定された雄端子702が、その挿入方向に沿って近づいたり離れたりし、即ち、微小振動される。
この状態において、測定部719によって雄端子702及び雌端子703間の電気抵抗を測定することにより、端子金具におけるフレッチング腐食状態を評価することができた。また、荷重センサ715を介して支持テーブル716を微小振動させたときに、雄端子702及び雌端子703の間に摩擦力が生じ、そして、この摩擦力に応じた荷重が、荷重センサ715が備える圧電素子に印加される。すると、この圧電素子は印加された荷重(即ち、摩擦力)に応じた電圧を出力し、この電圧に基づいて雄端子702と雌端子703との間に生じる摩擦力を測定することができた。
また、荷重センサ715が備える圧電素子の特性として、荷重が印加された時間に比例して、現在印加されている荷重とは無関係の電圧(以下、「残存電圧」という)を出力してしまう現象(以下、「電圧ドリフト」という)があることが一般的に知られている。この現象が生じた場合、荷重の印加が無くなっても圧電素子が残存電圧を出力し続けることがあるが、上述したフレッチング腐食試験装置701においては、端子金具が1往復の微小振動をしたあとその振動(移動)方向が切り替わる時点、即ち、荷重センサ715の圧電素子に対する荷重の印加が無くなる時点で、アンプ723に対しリセット信号を与えることにより、荷重センサ715の圧電素子がアンプ723に対して出力する電圧(つまり、残存電圧)を零にしているので、荷重センサ715の圧電素子の残存電圧による摩擦力測定値の誤差を解消して、高精度の摩擦力測定を可能としていた。
特開2003−240693号公報
しかしながら、組立時などにおけるコネクタの実使用状態においては、雄端子702と雌端子703と(即ち、端子金具)は互いに接触した状態で数mm移動されるので、上述の微小振動における摩擦力の測定では、コネクタの実使用に近い状態での摩擦力を測定することができなかった。また、上述のフレッチング腐食試験装置701を用いて、端子金具を、数mmの距離を1往復移動させて実使用に近い状態を再現して端子金具間の摩擦力を測定すると、端子金具の移動距離が大きいので、その分、圧電素子に荷重が印加される時間も長くなり、そのため、端子金具の移動途中において電圧ドリフトによって生じた残存電圧が徐々に蓄積されて無視できない程度に大きくなってしまうことがあった。そして、この電圧ドリフトによって生じた残存電圧が、摩擦力の測定値に対して誤差として現れて、測定精度が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記課題に係る問題を解決することを目的としている。即ち、摩擦力の測定誤差を解消して高精度の測定ができる摩擦力測定装置及び摩擦力測定方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、第1の試験片を保持する第1の固定部と、前記第1の試験片と接触する第2の試験片を保持する第2の固定部と、前記第1の試験片と前記第2の試験片との間に生じた摩擦力に応じて電圧を出力する圧電素子と、前記第2の試験片を前記第1の試験片に向かって所定の力で押しつけるように前記第2の固定部に荷重を印加する荷重印加手段と、前記荷重印加手段によって前記第2の固定部に前記荷重を印加しているときに前記第1の固定部を前記第2の固定部に対して相対的に移動する駆動手段と、前記駆動手段によって前記第1の固定部を前記第2の固定部に対して相対的に移動しているときに前記圧電素子が出力する前記電圧に基づいて前記第1の試験片と前記第2の試験片との間に生じる摩擦力を検出する摩擦力検出手段と、を有する摩擦力測定装置において、前記荷重印加手段によって前記荷重の印加を開始する前及び前記荷重の印加を終了した後それぞれの時点において前記圧電素子が出力する前記電圧を測定し、この測定した前記電圧に基づいて前記摩擦力検出手段によって検出された前記摩擦力を補正する摩擦力補正手段を有していることを特徴とする摩擦力測定装置である。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記摩擦力補正手段が、前記荷重印加手段によって前記荷重の印加を開始する前における前記圧電素子が出力する前記電圧を測定する荷重印加開始前電圧測定手段と、前記荷重印加手段によって前記荷重の印加を終了した後における前記圧電素子が出力する前記電圧を測定する荷重印加終了後電圧測定手段と、前記荷重印加開始前電圧測定手段によって測定された前記電圧及び前記荷重印加終了後電圧測定手段によって測定された前記電圧に基づいて、前記摩擦力検出手段によって検出された前記摩擦力を補正するための回帰式を算出する回帰式算出手段と、前記回帰式算出手段によって算出された前記回帰式を用いて前記摩擦力検出手段によって検出された前記摩擦力を補正する補正摩擦力算出手段と、を有していることを特徴とするものである。
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記摩擦力補正手段によって補正された前記摩擦力及び前記第2の試験片を前記第1の試験片に向かって押しつける前記所定の力に基づいて、前記第1の試験片と前記第2の試験片との間の摩擦係数を算出する摩擦係数算出手段を有していることを特徴とするものである。
請求項4に記載された発明は、第1の試験片を保持する第1の固定部と、前記第1の試験片と接触する第2の試験片を保持する第2の固定部と、前記第1の試験片と前記第2の試験片との間に生じた摩擦力に応じて電圧を出力する圧電素子と、前記第2の試験片を前記第1の試験片に向かって所定の力で押しつけるように前記第2の固定部に荷重を印加する荷重印加手段と、前記荷重印加手段によって前記第2の固定部に前記荷重を印加しているときに前記第1の固定部を前記第2の固定部に対して相対的に移動する駆動手段と、を有する摩擦力測定装置において用いられる摩擦力測定方法であって、前記駆動手段によって前記第1の固定部を前記第2の固定部に対して相対的に移動しているときに前記圧電素子が出力する前記電圧に基づいて前記第1の試験片と前記第2の試験片との間に生じる摩擦力を検出する摩擦力検出工程と、前記荷重印加手段によって前記荷重の印加を開始する前及び前記荷重の印加を終了した後それぞれの時点において前記圧電素子が出力する前記電圧を測定し、この測定した前記電圧に基づいて前記摩擦力検出工程で検出された前記摩擦力を補正する摩擦力補正工程を有していることを特徴とする摩擦力測定方法である。
請求項1、4に記載された発明によれば、荷重印加手段によって荷重の印加を開始する前及び荷重の印加を終了した後それぞれの時点において圧電素子が出力する電圧を測定する。即ち、荷重印加手段によって第2の固定部に荷重を印加することにより第2の試験片が第1の試験片に押しつけられると、それら間に摩擦力が生じてこの摩擦力に応じて圧電素子が電圧を出力するが、この荷重印加手段による荷重の印加によって摩擦力が生じる前後、即ち、第2の試験片が第1の試験片に押しつけられておらずそれらの間に摩擦力が生じていないときに圧電素子が出力する電圧(つまり、残存電圧)を測定する。そして、この測定した電圧に基づいて、検出された摩擦力を補正する。
請求項2に記載された発明によれば、荷重印加手段によって荷重の印加を開始する前及び所定の荷重の印加を終了した後それぞれの時点、即ち、第1の試験片と第2の試験片との間に摩擦力が生じていないときに圧電素子が出力する電圧を測定する。そして、これら測定した電圧に基づいて、検出された摩擦力の補正に用いる回帰式を算出し、この回帰式を用いて検出された摩擦力を補正した補正摩擦力を算出する。
請求項3に記載された発明によれば、補正された摩擦力及び第2の試験片を第1の試験片に押しつける所定の力に基づいて、第1の試験片と第2の試験片との間の摩擦係数を算出する。
請求項1、4に記載された発明によれば、第1の試験片と第2の試験片との間に摩擦力が生じていないときに圧電素子が出力する電圧(即ち、残存電圧)を測定し、この測定した電圧に基づいて検出された摩擦力を補正するので、圧電素子に荷重(即ち、摩擦力)が印加される前及び印加された後における残存電圧の変化に基づいて補正することができ、そのため、この圧電素子の残存電圧による摩擦力の測定誤差を解消して高精度の測定ができる。
請求項2に記載された発明によれば、第1の試験片と第2の試験片との間に摩擦力が生じていないときに測定した圧電素子が出力する電圧(即ち、残存電圧)に基づいて、検出された摩擦力の補正に用いる回帰式を算出し、この回帰式を用いて検出された摩擦力を補正するので、統計的に算出した回帰式に基づいて検出された摩擦力を補正することができ、そのため、圧電素子の残存電圧による摩擦力の測定誤差を容易且つ正確に解消することができ、より高精度の測定ができる。
請求項3に記載された発明によれば、補正された摩擦力及び第2の試験片を第1の試験片に押しつける所定の力に基づいて、第1の試験片と第2の試験片との間の摩擦係数を算出するので、例えば、形状等の異なる複数種の試験片(即ち、端子金具)間での相対的な比較が可能となり、端子金具の良否判定をより容易に行うことができる。
本発明の一実施形態にかかる端子金具評価装置の概略の構成を示す説明図である。 図1に示された端子金具評価装置で摩擦力の測定が行われる試験片を示す斜視図である。 図2に示された試験片が摩擦力の測定の際に互いに接触した状態を示す断面図である。 図1に示された端子金具評価装置の第1の固定具及び第2の固定具などを示す説明図である。 図4に示された第1の固定具及び第2の固定具などを示す説明図である。 図4に示された第1の固定具及び第2の固定具などを示す平面図である。 図4に示された第1の固定具を背面側から見た斜視図である。 図1に示された端子金具評価装置の荷重センサの断面図である。 図2に示された試験片により摩擦力が再現される雄端子を示す斜視図である。 図2に示された試験片により摩擦力が再現される雌端子を示す斜視図である。 図9に示された雄端子と図10に示された雌端子とを接続し且つこれらの端子がハウジング内に収容された状態を示す断面図である。 図1の端子金具評価装置が備える制御装置のCPUが行う本発明に係る機能を示す構成図である。 図1の端子金具評価装置が備える制御装置のCPUが行う本発明に係る摩擦力測定処理の一例を示すフローチャートである。 図1の端子金具評価装置を用いて測定した摩擦力、算出した回帰式、及び、算出した補正摩擦力のグラフである。 図14の時刻T2から時刻T3までを拡大したグラフである。 従来のフレッチング腐食試験装置の概略の構成を示す説明図である。
以下、本発明の一実施形態を示す摩擦力測定装置を備えた端子金具評価装置を図1〜図15を参照して説明する。
図1などに示す本発明の一実施形態に係る端子金具評価装置1は、図9に示す第1の端子金具としての雄型の端子金具(以下、「雄端子」という)2と、図10に示す第2の端子金具としての雌型の端子金具(以下、「雌端子」という)3とを互いに接続して、これら端子金具2、3を微摺動摩耗(フレッチング腐食)させたときを再現する装置(即ち、フレッチング腐食試験装置)である。
さらに端子金具評価装置1は、端子金具2、3を互いに接触させた状態で数mmの距離を相対的に移動させて、雄端子2を雌端子3に挿入するために必要な力を再現して測定する装置(即ち、雄端子2と雌端子3との間に生じる摩擦力を測定する摩擦力測定装置)でもある。
端子金具評価装置1は、端子金具2、3の設計及び開発段階において、前述した電気的な抵抗などの微摺動摩耗状況及び端子金具2、3の間に生じる摩擦力を把握して、把握した微摺動摩耗状況及び摩擦力を、端子金具2、3の設計の資として役立てるために用いられる。
雄端子2は、導電性の板金を折り曲げられて得られる。雄端子2は、図9に示すように、第1の電気接触部としてのタブ4と、電線接続部5、連結部6と、を一体に備えている。タブ4は、帯状(平板状)形成されている。タブ4は、雌端子3の後述する筒部8内に挿入されて、該雌端子3と電気的に接続する。
電線接続部5は、電線を加締める加締め片7を複数備えている。電線接続部5は、加締め片7が電線を加締めることにより、該電線の芯線と電気的に接続する。連結部6は、筒状に形成されており、タブ4と電線接続部5とを電気的に接続している。雄端子2は、タブ4と連結部6と電線接続部5とがタブ4の長手方向に沿って順に連結している。
前述した構成の雄端子2は、図11に示すように、第1のコネクタハウジングとしての雌型のコネクタハウジング(以下、「雌ハウジング」という)101内に収容される。
雌端子3は、導電性の板金を折り曲げられて得られる。雌端子3は、図10に示すように、第2の電気接触部としての筒部8と、ばね片9と、電線接続部10と、を一体に備えている。筒部8は、筒状に形成されている。ばね片9は、帯状に形成されており、筒部8内に折り曲げられた格好で収容されている。ばね片9は、弾性変形可能である。ばね片9は、筒部8内に進入した雄端子2のタブ4を筒部8の内面に向かって押しつけ、タブ4と筒部8の内面とが接触して、筒部8は、雄端子2と電気的に接続する。
電線接続部10は、電線103(図11に示す)を加締める加締め片11を複数備えている。電線接続部10は、加締め片11が電線103を加締めることにより、該電線103の芯線と電気的に接続する。雌端子3は、筒部8と電線接続部10とがばね片9の長手方向に沿って互いに連結している。
前述した構成の雌端子3は、図11に示すように、第2のコネクタハウジングとしての雄型のコネクタハウジング(以下、「雄ハウジング」という)102内に収容される。雄ハウジング102は、雌ハウジング101と嵌合する。この嵌合時に、雄端子2と雌端子3とが、接触した状態で互いに移動(即ち、摺動)される。このとき、雄端子2と雌端子3との間に摩擦力が発生する。
図11に示すように、これらのハウジング101、102が互いに嵌合するとき、タブ4と筒部8の内壁及びばね片9とが互いに接触した状態で摺動しながらタブ4が筒部8内に進入し且つばね片9がタブ4を筒部8の内面に向かって押しつけて、雄端子2と雌端子3とが互いに接続する。
このとき、タブ4の長手方向と筒部8の長手方向とが平行となり、タブ4と筒部8との間の接触圧力を正規圧力に保つ。なお、接触圧力とは、タブ4と筒部8との相互間の圧力である。正規圧力とは、雄端子2と、雌端子3との設計時に定められる正常な(正規の)タブ4と筒部8との間の接触圧力である。
このため、タブ4と筒部8との間の接触圧力が正規圧力となる状態に雄端子2と雌端子3とが嵌合した状態を正規嵌合状態と呼ぶ。この正規嵌合状態では、雄端子2と雌端子3とには、タブ4とばね片9以外からは外力が作用していない。また、図11に示すように、筒部8内にタブ4を挿入した状態では、ばね片9とタブ4とが接触する接点Cが形成されている。
端子金具評価装置1は、図11に示すように互いに接続された端子金具2、3間に生じる微摺動摩耗(フレッチング腐食)及び摩擦力を再現するために、図2及び図3に示す第1の試験片81と第2の試験片82とを互いに接触させて、これらを相対的に移動させて、これらの試験片81、82の微摺動摩耗状況及び摩擦力を再現・把握する装置である。
第1の試験片81は、前述した雄端子2を模しており、雄端子2と同様の板金から成り平板状に形成されている。第2の試験片82は、前述した雌端子3を模しており、雌端子3と同様の板金からなる。
第2の試験片82は、樋状の樋部83と、該樋部83の両縁から外方向に延びた一対のフランジ部84と、を一体に備えている。樋部83の底部83aには、突起85が設けられている。第2の試験片82は、図3に示すように、突起85が第1の試験片81と接触する。突起85は、雌端子3のばね片9のタブ4に接触する箇所を模している。また、図3に示すように、第2の試験片82の突起85と第1の試験片81とが接触した接点C1は、前述した端子金具2、3間の接点Cを模している。
本実施形態の端子金具評価装置1は、第1の試験片81と第2の試験片82の突起85とを接触させ且つ第1の試験片81の表面を後述する矢印Sに沿わせた状態で、これら試験片81、82を矢印Sに沿って相対的にわずかな距離(例えば、50μm程度)移動させる。そして、端子金具評価装置1によって、これらの試験片81、82間をフレッチング腐食させて、これらの試験片81、82間の電気的な抵抗を測定することにより、前記試験片81、82、即ち、端子金具2、3の微摺動摩耗状況を把握して、端子金具2、3の設計の良否を判定する。
また、端子金具評価装置1は、フレッチング腐食させていない未使用またはそれに近い状態の試験片81、82において、第1の試験片81と第2の試験片82の突起85とを接触させ且つ第1の試験片81の表面を後述する矢印Sに沿わせた状態で、これら試験片81、82を矢印Sに沿って相対的に数mm程度(例えば、5mm)移動させる。そして、端子金具評価装置1によって、これらの試験片81、82間に生じた摩擦力を測定することにより、端子金具2、3の挿入時の摩擦力を把握して、端子金具2、3の設計の良否(低挿入力)を判定する。
端子金具評価装置1は、図1に示すように、装置本体としてのベース12と、温度槽13と、支持テーブル16と、第1の固定部としての第1の固定具87と、第2の固定部としての第2の固定具90と、荷重センサ15と、荷重印加手段としての荷重印加部30と、駆動手段としての駆動部14と、連結部材62と、測定部19と、電源49と、レーザ変位計58と、制御装置20と、を備えている。
ベース12は、工場などのフロア上などに設置されるベース本体21と、収容テーブル22と、を備えている。収容テーブル22は、温度槽13内に収容されるとともにベース本体21上に設置される。収容テーブル22は、ベース本体21に固定される。
温度槽13は、内部が密閉された箱状に形成されている。温度槽13は、支持テーブル16と、第1の固定具87及び第2の固定具90と、収容テーブル22と、荷重センサ15などを収容する。温度槽13は、内部の空間の温度が所定の温度に保たれるようになっている。
支持テーブル16は、図4に示すように、収容テーブル22の上面22aに沿って配置される水平部17と、水平部17から上方に向けて立設した垂直部18と、を備え、温度槽13内に収容されている。支持テーブル16は、矢印Sに沿って移動自在に収容テーブル22に支持されている。また、支持テーブル16の垂直部18には、第1の固定具87が設けられている。
第1の固定具87は、図4などに示すように、周知の軸受86などにより支持テーブル16の垂直部18に矢印Sに沿って移動自在に支持されている。第1の固定具87は、図5に示すように、本体部88と、複数の押さえ部材89とを備えている。本体部88は、軸受86などにより支持テーブル16の垂直部18に矢印Sに沿って移動自在に支持されている。本体部88は、第1の試験片81をその表面が鉛直方向に沿う状態で支持する。
押さえ部材89は、ねじなどにより本体部88に取り付けられており、このねじのねじ込み量を調整することで本体部88からの距離が変更可能となっている。押さえ部材89は、ねじをねじ込むことにより、第1の試験片81を本体部88に押し付けて固定する。即ち、第1の固定具87は、第1の試験片81を取り付け、そして、収容テーブル22に対して矢印Sに沿って移動自在である。
第2の固定具90は、図4に示すように、収容テーブル22に取り付けられている。第2の固定具90は、図1及び図4に示すように、回動支持部91と、揺動アーム92と、試験片支持部93(図5に示す)と、荷重方向転換部材31と、を備えている。
回動支持部91は、収容テーブル22に取り付けられた取付部94と、枢軸95とを備えている。枢軸95の長手方向は、鉛直方向に沿っている。枢軸95は、その軸芯を中心として回転自在に取付部94に支持されている。
揺動アーム92は、一端部が回動支持部91の枢軸95に固定されている。試験片支持部93は、揺動アーム92の他端部に取り付けられている。試験片支持部93は、突起85が第1の固定具87に相対する状態で第2の試験片82を挟み込んで固定する。即ち、第2の固定具90は、第2の試験片82を取り付け、そして、収容テーブル22に固定されている。
荷重方向転換部材31は、直方体状の本体部31aと、該本体部31aの1つの面に突設された荷重受け部31bと、を備え、揺動アーム92の他端部で且つ試験片支持部93との間に揺動アーム92を挟んで相対する位置に設けられている。荷重受け部31bは、揺動アーム92の先端(即ち、他端部側の端部)に向けられている。荷重方向転換部材31は、荷重受け部31bが受けた荷重の方向を直角に転換する。
図4において、荷重方向転換部材31が、その荷重受け部31bに矢印Sに沿って押しつける荷重、つまり、図4の右側から左側に向かう荷重を印加されると、その荷重方向を直角に転換して、揺動アーム92に図4の手前から奥に向かう荷重(方向転換後の荷重)を印加する。即ち、第2の固定具90を第1の固定具87に方向転換後の荷重(即ち、請求項中の所定の力に相当)で押しつける。この方向転換後の荷重の大きさは、荷重受け部31bに印加された荷重と同一となる。
なお、荷重方向転換部材31による荷重方向の転換時に生じる荷重の損失などにより、方向転換後の荷重の大きさが、荷重受け部31bに印加された荷重と異なる場合には、方向転換後の荷重が所望の値となるように、この損失を考慮した荷重を荷重受け部31bに印加する必要がある。この方向転換後の荷重は、端子金具2、3において、ばね片9がタブ4を筒部8の内面に押しつける圧力を模している。
第1の固定具87は、収容テーブル22に対して矢印Sに沿って移動自在であり、第2の固定具90は、収容テーブル22に固定されている。つまり、第1の固定具87は、第2の固定具90に対して矢印Sに沿って移動自在に設けられているので、第1の試験片81と第2の試験片82とを互いに接触した状態で相対的に移動することができ、そのため、端子金具の挿入等を模することができる。
荷重センサ15は、図6などに示すように、第1の固定具87の本体部88と、支持テーブル16の垂直部18との間に設けられている。荷重センサ15は、図8に示すように、円筒状のケース41と、該ケース41内に収容されるサブアッセンブリ42と、一対の受圧板46と、を備えている。
サブアッセンブリ42は、圧電素子43と、一対の電極44と、一対の絶縁板45と、を備えている。圧電素子43は、円板状に形成されている。圧電素子43は、例えば、チタン酸鉛(PT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)や水晶などの高剛性且つ圧電性を有する材料からなる。
一対の電極44は、それぞれ円板状に形成されており、それぞれが圧電素子43の両表面に重ねられている。即ち、一対の電極44は、圧電素子43と接触し且つこの圧電素子43を互いの間に挟み込んでいる。一対の電極44には、圧電素子43が生じる電圧が伝導される。一対の電極44には、それぞれ、リード線47などが接続している。リード線47は、後述するアンプ23に接続している。
一対の絶縁板45は、それぞれ円板状に形成されており、それぞれが一対の電極44のそれぞれに重ねられている。即ち、一対の絶縁板45は、電極44と接触し且つ互いの間に電極44を挟み込んでいる。
受圧板46は、円板部50と、円柱部51とを一体に備えており、円板部50と円柱部51とは互いに同軸的に配されている。円板部50は、絶縁板45に重ねられ且つサブアッセンブリ42とともにケース41内に収容されている。円柱部51は、ケース41外に突出している。一対の受圧板46は、互いの間に絶縁板45を挟み込んでいる。一対の受圧板46は、それぞれの円柱部51の中心軸P4(図8中に一点鎖線で示す)が同軸になるように設けられている。そして、荷重センサ15は、この中心軸P4が矢印S方向に平行になるように、第1の固定具87と支持テーブル16との間に設けられている。
荷重センサ15の一方の受圧板46は第1の固定具87の本体部88に取り付けられており、他方の受圧板46は支持テーブル16の垂直部18に取り付けられている。荷重センサ15の圧電素子43は、第1の固定具87が矢印Sに沿って移動した際に印加される荷重(即ち、第1の試験片81と第2の試験片82との間に生じる摩擦力)に応じて一対の電極44間に電圧を生じさせる。そして、この一対の電極44間に生じた電圧がリード線47などを介して制御装置20に入力される。制御装置20は、この入力された電圧に基づいて、矢印Sに沿う第1の試験片81と第2の試験片82との間の摩擦力などを算出する。
荷重印加部30は、図1に示すように、アーム32と、アーム駆動部33と、を備えている。アーム32は、断面円径の棒状に形成されており、その先端に平面視矩形状の当接板34が、その平面をアーム32の軸方向P5と直交するように設けられている。当接板34は、上述した荷重方向転換部材31の荷重受け部31bに当接される。
アーム駆動部33は、例えば、エアシリンダやステッピングモータ等の駆動手段を備えており、アーム32をその軸方向P5に沿って移動可能に支持している。アーム駆動部33は、I/F24を介して制御装置20に接続されており、制御装置20からの信号に応じて、アーム32を軸方向P5に沿ってアーム駆動部33から突没するように駆動する。アーム駆動部33は、アーム32を駆動することにより、アーム32などを介して、第2の固定具90が第1の固定具87に所定の力で押しつけられるように、荷重方向転換部材31の荷重受け部31bに所定の荷重を印加する。また、アーム駆動部33は、アーム32の軸方向P5を矢印Sに沿うように、ベース本体21に取り付けられている。
駆動部14は、図1に示すように、順次連結された、第1の駆動手段としてのステッピングモータ53と、連結手段としての連結片54と、第2の駆動手段としての圧電振動子75と、出力軸63と、を備えている。
ステッピングモータ53は、モータ本体57と、ねじ軸55とを備えている。ステッピングモータ53は、後述するI/F24などを介して、制御装置20に接続している。ねじ軸55は、その軸芯P3(図1中に一点鎖線で示す)を中心として、回転自在にモータ本体57に支持されている。モータ本体57は、ねじ軸55の軸芯P3が矢印S方向に平行になるようにベース本体21に固定されている。ねじ軸55の先端には連結片54が設けられている。
連結片54は、ステッピングモータ53と圧電振動子75とを連結する連結手段であり、略直方体状に形成されており、ベース本体21に、矢印S方向に沿ってスライド自在に支持されている。連結片54の1つの面には、ねじ孔56が設けられており、このねじ孔56には、ステッピングモータ53のねじ軸55がねじ込まれている。連結片54は、ステッピングモータ53が駆動(即ち、ねじ軸55が軸芯P3を中心として回動)すると、矢印S方向(即ち、軸芯P3)に沿ってスライドする。連結片54の上述した1つの面に相対する他の1つの面には、圧電振動子75が取り付けられている。
圧電振動子75は、本体部76と、一対の出力部77とを備えている。本体部76は、円板形状の圧電素子(不図示)と、該圧電素子の両表面に重ねられた円板形状の一対の電極(不図示)と、一対の電極それぞれに重ねられた一対の絶縁板(不図示)と、が収容されている。出力部77は、上記絶縁板に重ねられて本体部76に収容される円板部と、円板部と同軸的に且つ本体部76から突出して設けられた円柱部と、を備えている。上記一対の電極には、それぞれリード線78を介して電源49が接続されている。
一対の出力部77は、それぞれの円柱部の中心軸P1(図1中に一点鎖線で示す)が同軸になるように設けられている。また、圧電振動子75は、一対の出力部77の中心軸P1と、ステッピングモータ53のねじ軸55の軸芯P3とが互いに同軸となる状態で、即ち、中心軸P1と軸芯P3とが矢印S方向に沿って同一線上に位置するように、配設されている。
圧電振動子75は、電源49などによって圧電振動子75の一対の電極間に電圧が印加されると、圧電振動子75の圧電素子が、その形状を歪めるとともに、上述の絶縁板などを介して出力部77を中心軸P1に沿って所定の周波数で振動する。そして、圧電振動子75の圧電素子は、出力部77の円柱部を、本体部76から前記中心軸P1に沿って、例えば、50μm程度の微小な距離だけ突没させる。圧電振動子75の一方の出力部77は、連結片54の他の1つの面に取り付けられている。他方の出力部77には、出力軸63(図8などに示す)が取り付けられている。他方の出力部77は、出力軸63及び連結部材62などを介して支持テーブル16に連結している。
駆動部14は、ステッピングモータ53がベース本体21に取り付けられることにより、ベース12に取り付けられている。つまり、駆動部14は、支持テーブル16をベース12に連結している。そして、駆動部14は、上述した圧電振動子75とステッピングモータ53とのうち一方を駆動して、支持テーブル16を矢印S(中心軸P1,P3と平行な方向)に沿って移動させることにより、第1の固定具87を第2の固定具90に対して矢印Sに沿って移動させる。
具体的には、主にフレッチング腐食試験を実施するときに圧電振動子75が駆動される。圧電振動子75においては、その圧電素子が一対の出力部77を本体部76から前記中心軸P1に沿って突没させることで、圧電振動子75は、第1の周波数で支持テーブル16を中心軸P1に沿って振動させ、第1の固定具87を第2の固定具90に対して第1の周波数で振動(移動)させる。これにより、第1の固定具87に取り付けられた第1の試験片81と、第2の固定具90に取り付けられた第2の試験片82と、が第1の周波数で互いに微小な距離を移動(摺動)する。
また、フレッチング腐食試験及び摩擦力を測定するときにステッピングモータ53が駆動される。ステッピングモータ53においては、その軸芯P3を中心としてねじ軸55を回動することで、第1の周波数と異なりかつ該第1の周波数より低い第2の周波数で、支持テーブル16を軸芯P3(即ち、矢印S)に沿って移動させ、第1の固定具87を第2の固定具90に対して第2の周波数で振動(移動)させる。これにより、第1の固定具87に取り付けられた第1の試験片81と、第2の固定具90に取り付けられた第2の試験片82と、が第2の周波数で互いに移動(摺動)する。特に、試験片81、82間に生じる摩擦力を測定するときは、数mm程度の距離を1往復乃至数往復させる。
連結部材62は、図7に示すように、金属などからなり平面形状が矩形状に形成されている。連結部材62は、両端部に設けられた第1の連結部66と第2の連結部67と、これらの連結部66,67間即ち中央部に設けられた脆弱部68とを一体に備えている。
第1の連結部66は、図7に示すように、図示しないボルト及びナットなどによって、出力軸63即ち駆動部14と固定される。第2の連結部67は、図7に示すように、図示しないボルトなどによって、支持テーブル16の水平部17と固定される。つまり、連結部材62は、駆動部14と支持テーブル16とを連結する。駆動部14と支持テーブル16とを連結すると、連結部材62の長手方向は前述した矢印Sと平行になる。
脆弱部68には、複数の切欠72が形成されている。切欠72は、連結部材62の側縁から中央部に向かって、連結部材62を構成する母材を切り欠いている。こうして、切欠72は、連結部材62の側縁から凹に形成されている。このように切欠72が形成されることで、脆弱部68は、弾性変形し易くなっている。即ち、脆弱部68は、弾性変形可能となっている。
前述した構成の連結部材62の長手方向即ち矢印S方向の弾性係数は、図11に示すハウジング101,102内に収容された端子金具2,3が互いに接続した状態で、これらの端子金具2,3とハウジング101,102を合わせた弾性係数と同等となっている。即ち、連結部材62の矢印S方向の弾性係数は、図11に示す状態の端子金具2,3とハウジング101,102全体の弾性係数と同等である。
なお、本明細書の弾性係数が同等であるとは、連結部材62の弾性係数と、端子金具2,3とハウジング101,102全体の弾性係数とが等しいことと、これらの弾性係数が略等しいことを示している。弾性係数が略等しいとは、これらの弾性係数の差が前述した第1の固定具87と第2の固定具90との相対的な変位に比べて、前述した弾性係数の差により生じる弾性変形量の差がフレッチング腐食試験及び摩擦力測定を行う上で問題にならない程小さいことを示している。
測定部19は、図1に示すように、電源ユニット25と、電圧計26とを備えている。電源ユニット25は、プラスの端子とマイナスの端子とを備えている。電源ユニット25のプラスの端子は、第2の固定具90を介して第2の試験片82と電気的に接続する。電源ユニット25のマイナスの端子は、第1の固定具87を介して第1の試験片81と電気的に接続する。電源ユニット25は、制御装置20からの命令に基づいて、前記第1の固定具87と第2の固定具90とを介して、試験片81、82間に所定の電流値で印加(通電)する。
電圧計26は、プラスの端子とマイナスの端子とを備えている。電圧計26のプラスの端子は、第2の固定具90を介して第2の試験片82と電気的に接続する。電圧計26のマイナスの端子は、第1の固定具87を介して第1の試験片81と電気的に接続する。電圧計26は、制御装置20からの命令に基づいて、前記第1の固定具87と第2の固定具90とを介して、試験片81、82間の電圧を測定する。前述した構成の測定部19は、制御装置20からの命令に基づいて、前記電源ユニット25が試験片81、82間に印加するとともに、電圧計26が試験片81、82間の電圧を測定する。
電源49は、圧電振動子75が備える一対の電極間に電圧を印加する装置であり、電源49には、リード線78が接続している。電源49は、インターフェース(図1中にI/Fと示し、以下I/Fと呼ぶ)24を介して、制御装置20に接続している。電源49は、制御装置20からの命令に基づいて、リード線78を介して上記一対の電極間に該命令に応じた電圧を印加する。
レーザ変位計58は、反射部材60と、発光受光部61とを備えている。反射部材60は、発光受光部61により照射されたレーザを反射するための部材であり、支持テーブル16に、上方に向かって立設して取り付けられている。
発光受光部61は、装置本体としてのベース12のベース本体21にステッピングモータ53のモータ本体57を介して取り付けられている。発光受光部61は、反射部材60に向かってレーザを照射するとともに、この反射部材60が反射したレーザを受光する。
発光受光部61は、レーザを照射及び受光して、第1の固定具87の変位量(移動量)即ち第1の試験片81の変位量(移動量)を測定する。発光受光部61は、アンプ23とI/F24を介して制御装置20に接続している。発光受光部61即ちレーザ変位計58は、支持テーブル16の振動に基づく前述した第1の固定具87の変位量(移動量)即ち第1の試験片81の変位量(移動量)を、アンプ23を介して制御装置20に向かって出力する。
アンプ23は、I/F24を介して、制御装置20に接続している。レーザ変位計58から出力された支持テーブル16即ち第1の固定具87の変位に関する情報は、アンプ23で増幅されて制御装置20に入力される。また、第1の試験片81と第2の試験片82との間に生じた摩擦力に応じて荷重センサ15から出力された電圧についても、アンプ23で増幅されて制御装置20に入力される。
制御装置20は、周知のRAM、ROM、CPUなどを備えたコンピュータであって、荷重印加部30と駆動部14と電源49とアンプ23と測定部19と荷重センサ59などと接続して、端子金具評価装置1全体の制御をつかさどる。制御装置20は、双方向バス27などを介して前記電源ユニット25と電圧計26とに接続している。制御装置20は、双方向バス27などを介してI/F24と接続している。I/F24には、荷重印加部30のアーム駆動部33と、駆動部14のステッピングモータ53と、電源49と、アンプ23などが接続している。
制御装置20のROMには、図12に示すように、制御装置20のCPUを請求項中の摩擦力検出手段20a、摩擦力補正手段20b(即ち、荷重印加開始前電圧測定手段20b1、荷重印加終了後電圧測定手段20b2、回帰式算出手段20b3、及び、補正摩擦力算出手段20b4)、並びに、摩擦係数算出手段20cとして機能させるための摩擦力測定プログラムが格納されている。そして、制御装置20のCPUは、この摩擦力測定プログラムを実行することにより、請求項中の摩擦力検出手段20a、摩擦力補正手段20b(即ち、荷重印加開始前電圧測定手段20b1、荷重印加終了後電圧測定手段20b2、回帰式算出手段20b3、及び、補正摩擦力算出手段20b4)、並びに、摩擦係数算出手段20cとして機能する。
また、制御装置20のROMには、荷重センサ15の圧電素子43が生じる電圧から、試験片81、82間に生じた摩擦力を求めるための変換情報(例えば、電圧−摩擦力変換テーブル、又は、変換関数など)が格納されている。
次に、制御装置20のCPUにおいて実行される本発明に係る摩擦力測定処理の一例を、図13のフローチャートを参照して説明する。
端子金具評価装置1において、第1の固定具87に第1の試験片81を取り付け、第2の固定具90に第2の試験片82を取り付け、そして、第1の試験片81の表面と、第2の試験片82の突起85とが接触するように、揺動アーム92を図4に示す矢印Mに沿って所定の位置にセットする。そして、制御装置20を起動し、初期化等の所定の処理を実行した後、ステップS110に処理が進む。
ステップS110では、荷重センサ15の圧電素子43が生じる電圧の測定を開始する。この電圧の測定は所定の周期(例えば、0.01秒毎)で行われ、後述のステップS180でこの電圧の測定を終了するまで継続して行われる。また、測定した電圧を、ROMに格納されている変換情報を用いて摩擦力F[N]に変換し、この摩擦力Fと電圧を測定した時刻Tとを関連づけて、RAM上に設けられた所定の格納領域に格納する。この電圧の測定を開始した時刻をT0とする。そして、ステップS120に進む。
ステップS120では、時刻T0以降に、電圧(即ち、摩擦力F)の測定が所定の回数(例えば、100回)行われたか否かを判定する。電圧の測定が所定の回数行われるまでこの測定を繰り返し(S120でN)、電圧の測定が所定の回数行われたあとステップS130に進む(S120でY)。
ステップS130では、荷重印加部30によって第2の固定具90への荷重の印加を開始する。このとき印加する荷重は、端子金具3のばね片9が端子金具2のタブ4を筒部8の内面に押しつける力と同等の荷重L[N](例えば、5N)となるように調整されている。この荷重の印加を開始した時刻をT1とする。印加した荷重Lが安定したのち、ステップS140に進む。
ステップS140では、ステッピングモータ53を駆動して、支持テーブル16即ち第1の固定具87を図1の矢印Sに沿って所定の移動を開始する。所定の移動とは、第1の固定具87が、例えば、毎秒0.4mmで距離5mmを1往復(計10mm)移動することなど、端子金具2、3の挿入等を模した移動などである。勿論、端子金具の形状等に応じて、移動速度、移動距離及び往復回数を変更しても良い。この移動を開始した時刻をT2とする。そして、ステップS140に進む。
ステップS150では、レーザ変位計58を用いて支持テーブル16即ち第1の固定具87の移動を監視し、第1の固定具87が所定の移動をしたか否かを判定する。第1の固定具87が移動途中であればその監視を継続し(S150でN)、第1の固定具87が所定の移動を完了したのであれば、ステップS160に進む(S150でY)。
ステップS160では、ステッピングモータ53の駆動を停止して、第1の固定具87の所定の移動を終了する。この移動を終了した時刻をT3とする。そして、ステップS170に進む。
ステップS170では、荷重印加部による第2の固定具90への荷重Lの印加を終了する。そして、第2の固定具90への荷重の印加が無くなったのち、ステップS180に進む。この第2の固定具90への荷重の印加が無くなった時刻をT4とする。
ステップS180では、時刻T4以降に、電圧(即ち、摩擦力F)の測定が所定の回数(例えば、100回)行われたか否かを判定する。電圧の測定が所定の回数行われるまでこの測定を繰り返し(S180でN)、電圧の測定が所定の回数行われたあとステップS190に進む(S180でY)。
ステップS190では、ステップS110で開始した荷重センサ15の圧電素子43が生じる電圧(即ち、摩擦力F)の測定を終了する。この電圧の測定を終了した時刻をT5とする。そして、ステップS200に進む。
ステップS200では、時刻T0〜時刻T1の間に測定された摩擦力F、及び、時刻T4〜時刻T5の間に測定された摩擦力F、に基づいて、時刻T0〜時刻T5の間に測定された摩擦力Fを補正するための回帰式Qを算出する。この回帰式Qは、時刻T0〜時刻T5の間の各時刻において発生する電圧ドリフトによる摩擦力Fの誤差Feを示すものである。よって、時刻T0〜時刻T5において測定した摩擦力Fから、この回帰式Qで求められる摩擦力Fの誤差Feを差し引くことで、誤差を含まない摩擦力(即ち、補正摩擦力Fc)を求めることができる。
圧電素子の電圧ドリフトによる電圧(残存電圧)は、荷重が印加された時間に比例するので、回帰式Qは一次関数となる。そして、時刻T0〜時刻T1の間に測定された摩擦力F、及び、時刻T4〜時刻T5の間に測定された摩擦力F(即ち、第2の固定具90に荷重Lの印加を開始する前の摩擦力F、及び、荷重Lの印加を終了した後の摩擦力F)を基に、周知の最小二乗法を用いて回帰式Qを求める。そして、ステップS210に進む。
ステップS210では、時刻T0〜時刻T5の間に測定した摩擦力Fから、ステップS200で算出した回帰式Qによって算出される各時刻Tにおける摩擦力Fの誤差Feを差し引いて、電圧ドリフトによる誤差を含まない補正摩擦力Fcを算出する。そして、ステップS220に進む。
ステップS220では、第1の固定具87を移動中(時刻T2〜時刻T3の間)の補正摩擦力Fcから、所定の抽出条件で抽出した補正摩擦力Fcの平均値Faを算出し、この算出した平均値Faを上述した荷重Lで除して動摩擦係数μ(即ち、請求項中の摩擦係数に相当)を算出する。この所定の抽出条件で抽出した補正摩擦力Fcとは、例えば、時刻T2と時刻T3との中間の時刻(即ち、第1の固定具87の移動方向が切り替わる時刻)をTmとしたとき、時刻T2を1秒経過した時点から時刻Tmの1秒前までの期間、及び、時刻Tmを1秒経過した時点から時刻T3の1秒前までの期間、における補正摩擦力Fcなどである。所定の抽出条件は、端子金具の形状や装置構成などに応じて任意である。そして、本フローチャートの処理を終了する。
なお、上述したステップS110によって開始される摩擦力Fの測定であって、第1の固定具87の移動中(時刻T2から時刻T3まで)に行われる摩擦力Fの測定が、請求項中の摩擦力検出手段に相当し、上述したステップS120、S180、S200、S210が請求項中の摩擦力補正手段に相当し(即ち、ステップS120での判定中(時刻T0から時刻T1まで)に行われる摩擦力Fの測定が、荷重印加開始前電圧測定手段に相当し、ステップS180での判定中(時刻T4から時刻T5まで)に行われる摩擦力Fの測定が、荷重印加終了後電圧測定手段に相当し、ステップS200が、回帰式算出手段に相当し、ステップS210が、補正摩擦力算出手段に相当)、ステップS220が、請求項中の摩擦係数算出手段に相当する。
また、上述したステップS110によって開始される摩擦力Fの測定であって、第1の固定具87の移動中(時刻T2から時刻T3まで)に行われる摩擦力Fの測定が、請求項中の摩擦力検出工程に相当し、上述したステップS120、S180、S200、S210が請求項中の摩擦力補正工程に相当し(即ち、ステップS120での判定中(時刻T0から時刻T1まで)に行われる摩擦力Fの測定が、荷重印加開始前電圧測定工程に相当し、ステップS180での判定中(時刻T4から時刻T5まで)に行われる摩擦力Fの測定が、荷重印加終了後電圧測定工程に相当し、ステップS200が、回帰式算出工程に相当し、ステップS210が、補正摩擦力算出工程に相当)、ステップS220が、摩擦係数算出工程に相当する。
また、制御装置20は、そのROMに予め記憶された他のプログラムに基づいて、圧電振動子75とステッピングモータ53のうち一方を駆動して、フレッチング腐食試験処理を行う。なお、このフレッチング腐食試験処理については、本発明とは直接関係がないため詳細説明は省略する。
また、制御装置20は、前記双方向バス27などを介して周知のプリンタ装置やモニタなどと接続しても良い。この場合、前述した測定結果(試験片81,82間の電気的な抵抗値)などを、前記プリンタ装置やモニタなどの表示装置から出力させる。
次に、端子金具評価装置1における摩擦力測定動作の一例について説明する。
前述した構成の端子金具評価装置1を用いて、試験片81、82の摩擦力の測定を行う際には、第1の固定具87に第1の試験片81を取り付け、第2の固定具90に第2の試験片82を取り付け、そして、第1の試験片81と第2の試験片82(即ち、突起85)とを接触させる。第2の固定具90に第2の試験片82を取り付ける際には、揺動アーム92を図4中の矢印Mに沿って回転させて行う。
固定具87,90、支持テーブル16及び収容テーブル22を温度槽13内に収容して、収容テーブル22をベース本体21に固定する。支持テーブル16と出力軸63とに連結部材62を取り付ける。荷重印加部30のアーム32の先端に設けられた当接板34を、荷重方向転換部材31の荷重受け部31bに当接させる。そして、温度槽13内の温度を予め定められた温度に保つ。
そして、第1の試験片81と第2の試験片82との間の摩擦力Fの測定を開始し(時刻T0)、所定回数(例えば、100回)の測定が行われたあと、第2の固定具90に所定の荷重L(例えば、5N)を印加して、第2の試験片82を印加して第1の試験片81に所定の力(荷重Lと同等、例えば、5N)で押しつける(時刻T1)。そして、第2の試験片82を第1の試験片81に押しつけた状態で、第1の試験片81と第2の試験片82とを相対的に移動する(時刻T2〜時刻T3)。移動完了後、第2の固定具90への荷重の印加を終了して、印加されている荷重が無くなった時点(時刻T4)から、所定回数(例えば、100回)の摩擦力Fの測定が行われた後(時刻T5)測定を終了する。
そして、第1の試験片81と第2の試験片82とを押しつけていない状態で測定した摩擦力F(即ち、時刻T0〜時刻T1に測定された摩擦力F、及び、時刻T4〜時刻T5に測定された摩擦力F)を基に、回帰式Qを求める。そして、測定された摩擦力Fから回帰式Qによって算出される各時刻における摩擦力Fの誤差Feを差し引いて、補正摩擦力Fcを算出する。そして、所定の条件に基づいて抽出した補正摩擦力Fcの平均値Faを算出し、この補正摩擦力の平均値Faを上記所定の力(荷重Lと同等)で除して、動摩擦係数μを算出する。
そして、この算出した動摩擦係数μと、制御装置20に予め設けられた基準値などの判定条件と、を比較してその良否判定を行い、判定結果とともに動摩擦係数μを表示装置に表示する。
以上説明したように、本実施形態によれば、荷重印加部30によって第2の固定具90に荷重Lの印加を開始する前(時刻T0〜時刻T1)及び荷重Lの印加を終了した後(時刻T4〜時刻T5)において荷重センサ15の圧電素子43が出力する電圧(即ち、摩擦力)を測定する。即ち、荷重印加部30によって第2の固定具90に荷重Lを印加することにより第2の試験片82が第1の試験片81に所定の力で押しつけられると、それら間に摩擦力Fが生じてこの摩擦力Fに応じて圧電素子43が電圧を出力するが、この荷重印加部30による摩擦力Fが生じる前後、即ち、第2の試験片82が第1の試験片81に押しつけられておらずそれらの間に摩擦力Fが生じていないときに圧電素子43が出力する電圧(つまり、残存電圧)を測定する。そして、この測定した電圧(即ち、摩擦力)に基づいて、検出された摩擦力Fを補正する。
また、荷重印加部30によって第2の固定具90に荷重Lの印加を開始する前及び荷重Lの印加を終了した後、即ち、第1の試験片と第2の試験片との間に摩擦力Fが生じていないときに圧電素子43が出力する電圧を測定する。そして、これら測定した電圧に基づいて、検出された摩擦力Fの補正に用いる回帰式Qを算出し、この回帰式Qを用いて検出された摩擦力Fを補正した補正摩擦力Fcを算出する。
また、補正摩擦力Fc及び第2の固定具90に印加した荷重Lに基づいて、第1の試験片81と第2の試験片82との間の動摩擦係数μを算出する。
以上より、本発明によれば、第1の試験片81と第2の試験片82との間に摩擦力Fが生じていないときに荷重センサ15の圧電素子43が出力する電圧(即ち、残存電圧)を測定し、この測定した電圧に基づいて検出された摩擦力Fを補正するので、圧電素子43に荷重(即ち、摩擦力F)が印加される前及び印加された後における残存電圧の変化に基づいて補正することができ、そのため、この圧電素子の残存電圧による摩擦力の測定誤差を解消して高精度の測定ができる。
また、第1の試験片81と第2の試験片82との間に摩擦力Fが生じていないときに測定した圧電素子43が出力する電圧(即ち、残存電圧)に基づいて、検出された摩擦力Fの補正に用いる回帰式Qを算出し、この回帰式Qを用いて検出された摩擦力Fを補正した補正摩擦力Fcを算出するので、統計的に算出した回帰式Qに基づいて検出された摩擦力Fを補正することができ、そのため、圧電素子43の残存電圧による摩擦力Fの測定誤差を容易且つ正確に解消することができ、より高精度の測定ができる。
また、補正摩擦力Fc及び第2の固定具90に印加した荷重Lに基づいて第1の試験片81と第2の試験片82との間の動摩擦係数μを算出するので、例えば、形状等の異なる複数種の試験片(即ち、端子金具)間での相対的な比較が可能となり、端子金具の良否判定をより容易に行うことができる。
本発明者らは、上述した端子金具評価装置1を用いて、第1の試験片81と第2の試験片82との間に生じる摩擦力の測定を行った。図14は、上述した端子金具評価装置1において測定(検出)した摩擦力F、算出した回帰式Q、及び、回帰式Qを用いて算出した補正摩擦力Fcを示すグラフである。図15は、図14の時刻T2〜時刻T3における上記摩擦力F、及び、上記補正摩擦力Fcを示すグラフである。
図14、図15に示されたグラフより、補正前の摩擦力Fは、時刻T0〜時刻T1及び時刻T4〜時刻T5の値から、第1の試験片81と第2の試験片82との間に摩擦力(即ち、荷重)が生じていないにもかかわらず、摩擦力を検出していることが判る。即ち、この摩擦力は圧電素子の残存電圧による誤差である。そして、補正前の摩擦力Fから、回帰式Qを用いて算出した各時刻における摩擦力Fの誤差Feを差し引いて、荷重Lの印加前後の摩擦力Fが0になるように摩擦力Fをオフセット(補正)することにより、残存電圧による誤差Feを含まない補正摩擦力Fcを求めることができた。したがって、本発明により、測定した摩擦力に含まれる残存電圧による誤差を解消して、高精度の摩擦力測定ができることが判った。
なお、本実施形態において、上述した圧電振動子75と荷重センサ15とは、エネルギー変換の方向(即ち、力(荷重)から電圧、又は、電圧から力)が異なるだけで、その基本構成は同一である。そのため、荷重センサ15と同一のものを、圧電振動子75として用いても良い。その場合、荷重センサ15の受圧板46が、圧電振動子75の出力部77として機能する。
また、本実施形態においては、動摩擦係数μを算出して端子金具の良否判定を行うものであったが、これに限らず、動摩擦係数μを算出せずに、端子金具間の摩擦力を用いて良否判定を行っても良い。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
1 端子金具評価装置(摩擦力測定装置)
14 駆動部(駆動手段)
15 荷重センサ
20 制御装置
20a 摩擦力検出手段(制御装置のCPU)
20b 摩擦力補正手段(制御装置のCPU)
20b1 荷重印加開始前電圧測定手段(制御装置のCPU)
20b2 荷重印加終了後電圧測定手段(制御装置のCPU)
20b3 回帰式算出手段(制御装置のCPU)
20b4 補正摩擦力算出手段(制御装置のCPU)
20c 摩擦係数算出手段(制御装置のCPU)
30 荷重印加部(荷重印加手段)
43 圧電素子
81 第1の試験片
82 第2の試験片
87 第1の固定具(第1の固定部)
90 第2の固定具(第2の固定部)
F 摩擦力
Fc 補正摩擦力
Q 回帰式

Claims (4)

  1. 第1の試験片を保持する第1の固定部と、前記第1の試験片と接触する第2の試験片を保持する第2の固定部と、前記第1の試験片と前記第2の試験片との間に生じた摩擦力に応じて電圧を出力する圧電素子と、前記第2の試験片を前記第1の試験片に向かって所定の力で押しつけるように前記第2の固定部に荷重を印加する荷重印加手段と、前記荷重印加手段によって前記第2の固定部に前記荷重を印加しているときに前記第1の固定部を前記第2の固定部に対して相対的に移動する駆動手段と、前記駆動手段によって前記第1の固定部を前記第2の固定部に対して相対的に移動しているときに前記圧電素子が出力する前記電圧に基づいて前記第1の試験片と前記第2の試験片との間に生じる摩擦力を検出する摩擦力検出手段と、を有する摩擦力測定装置において、
    前記荷重印加手段によって前記荷重の印加を開始する前及び前記荷重の印加を終了した後それぞれの時点において前記圧電素子が出力する前記電圧を測定し、この測定した前記電圧に基づいて前記摩擦力検出手段によって検出された前記摩擦力を補正する摩擦力補正手段を有していることを特徴とする摩擦力測定装置。
  2. 前記摩擦力補正手段が、
    前記荷重印加手段によって前記荷重の印加を開始する前における前記圧電素子が出力する前記電圧を測定する荷重印加開始前電圧測定手段と、
    前記荷重印加手段によって前記荷重の印加を終了した後における前記圧電素子が出力する前記電圧を測定する荷重印加終了後電圧測定手段と、
    前記荷重印加開始前電圧測定手段によって測定された前記電圧及び前記荷重印加終了後電圧測定手段によって測定された前記電圧に基づいて、前記摩擦力検出手段によって検出された前記摩擦力を補正するための回帰式を算出する回帰式算出手段と、
    前記回帰式算出手段によって算出された前記回帰式を用いて前記摩擦力検出手段によって検出された前記摩擦力を補正する補正摩擦力算出手段と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の摩擦力測定装置。
  3. 前記摩擦力補正手段によって補正された前記摩擦力及び前記第2の試験片を前記第1の試験片に向かって押しつける前記所定の力に基づいて、前記第1の試験片と前記第2の試験片との間の摩擦係数を算出する摩擦係数算出手段を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の摩擦力測定装置。
  4. 第1の試験片を保持する第1の固定部と、前記第1の試験片と接触する第2の試験片を保持する第2の固定部と、前記第1の試験片と前記第2の試験片との間に生じた摩擦力に応じて電圧を出力する圧電素子と、前記第2の試験片を前記第1の試験片に向かって所定の力で押しつけるように前記第2の固定部に荷重を印加する荷重印加手段と、前記荷重印加手段によって前記第2の固定部に前記荷重を印加しているときに前記第1の固定部を前記第2の固定部に対して相対的に移動する駆動手段と、を有する摩擦力測定装置において用いられる摩擦力測定方法であって、
    前記駆動手段によって前記第1の固定部を前記第2の固定部に対して相対的に移動しているときに前記圧電素子が出力する前記電圧に基づいて前記第1の試験片と前記第2の試験片との間に生じる摩擦力を検出する摩擦力検出工程と、
    前記荷重印加手段によって前記荷重の印加を開始する前及び前記荷重の印加を終了した後それぞれの時点において前記圧電素子が出力する前記電圧を測定し、この測定した前記電圧に基づいて前記摩擦力検出工程で検出された前記摩擦力を補正する摩擦力補正工程を有していることを特徴とする摩擦力測定方法。
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