JP3785249B2 - 自動洗車機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動洗車機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から使用されている自動車洗車機は、一般に車体に対して相対移動するフレームに車体の上方から車体に接近して車体上面に対して洗浄等の処理を行う上面処理装置と、車体の両側から各車体の側面に洗浄などの処理を行う側面処理装置とを備えている。
【0003】
上面処理装置は、各種のセンサ等による検出データに基いてフレームの移動中におけるトップノズル等と車体上面との間隔を常にほぼ一定に保持して洗浄するようにしてある。側面処理装置には、サイドノズル等が車体側面に沿って昇降しながら車体側面を洗浄するようになっている。
【0004】
ところで、最近の自動洗車機では、ブラシ洗浄を行わずに洗浄水の噴射による洗浄とブロアノズルによる乾燥だけの洗浄を行うようにしたものが増えつつある。このような自動洗車機の側面処理装置を構成するサイドノズルは、それ自体または側面処理装置自体の昇降運動とフレームの相対移動との組み合わせによりジグザグ運動をしながら洗浄水を吹き付けて車体側面の全体を洗浄している。
【0005】
図6にサイドノズルの吹付け幅Wsと移動ピッチP及びサイドノズルの昇降量hとの関係を示してある。通常の高さの車体のときの洗浄は、フレームの相対移動中に側面処理装置が車体の側面に沿ってh1の昇降量で昇降しながらピッチPとサイドノズルの吹き付け幅WsとがP≦Wsの関係を保っている。吹き付け幅Wsの移動軌跡に隙間がないように、すなわち、洗い残しがなくなるように車体の各側面を洗浄可能としている(図6(a)参照)。
【0006】
上述したように、サイドノズルによる車体側面の洗浄は、P≦Wsの関係を必要とするのであるが、車体には各車種によって大きさや形状に種々のものがある。そのため、サイドノズルはそれぞれ車体の形状等に対応した昇降量と移動ピッチとによってジグザグ運動を行い、洗い残しがなくなるように相対的に移動することが要求されている。
【0007】
このことは、例えば図6(b)に示すように、フレームの移動速度が一定であるとすると、車高の高い車体を洗浄する場合には、サイドノズルの昇降速度が車高の低い車体のときと同じであれば、昇降量がh2となるための昇降周期が長くなっている。これに対応してサイドノズルの移動ピッチが大きくなってしまうためハッチングで示してあるような洗い残し部分が出てしまうことになる。すなわち、車高の高い車体についてはそれに対応してサイドノズルの昇降量を大きくなるように調整するとともに、昇降速度を早くして同図(c)に示すように、P≦Wsの関係を維持しないと洗い残し部分が生じてしまうことになる。また、フレームの移動速度を調整してサイドノズルの昇降速度が一定になるように設定する形式のものでは、車高の高い車体の洗浄には移動速度を遅くしてP≦Wsの関係を維持させることにより洗い残しがなくなるようにしている。
【0008】
いずれにしても、車高に応じてサイドノズルの移動量を制御するとともにサイドノズルの昇降速度、もしくはフレームの移動速度を制御することによりサイドノズルのジグザグ運動のピッチを一定にして洗い残しを生じないような配慮が要求されている。
【0009】
このような配慮についての具体的提案としては、特許第2575588号の自動洗車法がある。この提案においては門型フレームを移動させながらこれに設けてある車体検出手段によって車体の外面形状を検出し、この検出情報を時系列で記憶しておき、この記憶データに基づいて上部ノズルで車体上面を洗浄するとともに、側部ノズルを昇降させて車体の側面に洗浄液を吹付けるようにするものである。このときの側部ノズルの昇降速度は、洗車部位の上下方向の長さが長いときには速くし、短いときには遅くするようにして洗い残しをなくすようにしてある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記提案では、側部ノズルの昇降量と昇降速度との関係から側部ノズルの移動速度を規制しようとするもので、スプレー式洗浄において洗い残しを生じさせないようにするためには当然の原理をうたっているものである。したがって、これを前提として具体的手段について吟味することとする。上記したように、車体形状を時系列に検出してこれを記憶し、この記憶データに基づいて側部ノズルの速さを制御するもので洗い残しを生じない洗車法として評価できる。
【0011】
しかしながら、車体形状を時系列に記憶するために洗車前にフレームが車体の全長範囲を移動させる必要があり、これに要する時間及びエネルギーの無駄が生じることは否めない。また車高を検出するための車検出手段を車高の変化範囲に細かい間隔で設けなければならないので設備費が高くなることは避けられない問題がある。
【0012】
そこで本発明の目的は、洗い残しがなく、洗車能率の高い自動洗車機を安価に提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の自動洗車機は以下の手段を採用してある。
【0014】
その第1は、車体に対して相対移動するフレームに側面処理装置と車体との間の距離を検出するセンサを設けてある。このセンサによる検出データに基いて洗浄水の吹付け幅を求め、サイドノズルの昇降運動のピッチを算出するためのデータとして用いることにより、常に適正なピッチでサイドノズルを移動可能としてある。
【0015】
その第2は、車高を検出するためのセンサをフレームの天井部に設け、単独で車高を検出可能とすることにより構成を簡単化して製造コストの低減を図ってある。側面処理装置の昇降量は、車高を検出するセンサの検出データに基いて算出可能として構成を単純化してある。
【0016】
側面処理装置の昇降速度を定速にする形式のものにあっては、上記した洗浄水の吹付け幅と車高の両検出データに基いてフレームの移動速度を制御することにより洗い残しがなく、かつ無駄な動作のない洗浄を可能にしてある。
【0017】
この手段はフレームの移動が定速の形式のものである場合には、側面処理装置の昇降速度を制御することにより同様の効果を得ることが可能である。
【0018】
また、側面処理装置の昇降速度は、車高を検出するセンサに代えて上面処理装置に設けてある位置センサの検出データの出力信号を受けて算出されるデータによって制御するようにすることも可能である。
【0019】
その第3は、車幅の異なる車体に対する洗浄については、洗浄水の吹付け幅の差が大きくなることから洗車の仕上がり及び洗車効率上、側面処理装置と車体側面との距離を一定範囲にすることが望ましいことから、両者間の距離を調整する間隔調整手段を備えたものとしてある。これは車幅が異なる車体が入って来るとセンサによってサイドノズルと車体側面との間隔を測定し、このデータに基いて適性な間隔となるように側面処理装置を進退可能とするものである。これを備えたものとすることにより、サイドノズルから常にほぼ一定の噴射圧で洗浄可能となるとともに効率的な洗浄を可能にしてある。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態の例について図面を参照して説明する。
図1,2は本発明の自走式の自動洗車機の構成例を示すもので、門型のフレーム1の天井部1aに上面処理装置2が設けてあり、両側部1b,1bには側面処理装置3,3が設けてある。
【0021】
上面処理装置2には、洗浄水用のトップノズル4を備えたものと乾燥用のブロアノズル4aとを備えたものとがある。各上面処理装置2はモータ、伝動軸、スプロケット及びチェーン等からなる昇降手段(いずれも図示略)によって昇降可能としてある。
【0022】
上面処理装置2の両側部には、センサプレート5,5が垂設してあり、これらの各センサプレートには、車体上面の存否を検出する光センサ6,6が設けてある。光センサ6は左右のセンサプレート5の対向位置にそれぞれ複数対が高さを異にするように設けてある。各1対の光センサの一方は例えば発光ダイオード等の発光素子であり、他方はフォトダイオード等の受光素子を採用してある。これらの光センサが物体を検出すると、図示しない制御回路により上面処理装置を常に車体の上面と一定の距離に位置するように制御することにより、上面処理装置2の位置を制御可能としてある。
【0023】
フレーム1の天井部には距離センサを用いて車高を測定するための超音波センサ7が設けてある。超音波センサ7はフレーム1の天井部から車体Vの上面に超音波を発して車体上面とセンサとの距離を検出することにより車体上面の高さ(車高)を測定可能としてある。
【0024】
上面処理装置2は光センサ6と超音波センサ7の2種のセンサのいずれかの検出データに基いて昇降運動を制御可能とするものである。なお、車高測定における精度及び信頼性向上のためには上記の両センサを併用することが望ましい。
【0025】
側面処理装置3は、フレーム1の両側部1b,1bに設けられたサイドノズル8,8及びこれらのサイドノズルを昇降させるサイドノズル昇降手段9とによって構成してある。サイドノズル昇降手段9は、モータ10及び伝動軸、スプロケット、チェーンなどから構成されている。
【0026】
サイドノズル8は、取付け部材8aを介してサイドノズル昇降手段を構成するチェーンに取り付けてあり、モータ10の回転によりチェーンが回転移動することにより昇降可能としてある。なお、各サイドノズル8,8には、図示していない洗浄水供給手段から洗浄水を供給する供給ホース8bが接続してある。
【0027】
また、フレーム1の両側部1b,1bには、それぞれ車体Vの側面とサイドノズル8との距離を測定する距離センサを構成する超音波センサ11,11が設けてある。超音波センサ11とサイドノズル8及び車体Vとの関係は図3に示すようになっている。
【0028】
この図で、超音波センサ11の先端とサイドノズル8の先端との横方向の距離をXN 、サイドノズル8の先端と車体Vの側面との距離をXs とすると、センサと車体の側面との距離XV は、
XV =XN +XS
となる。
【0029】
ここでXN =一定であり、XS =XV −XN であるから、サイドノズルの洗浄水の噴射の広がり角度をθとすると、吹付け幅Ws は、
Ws /2Xs =tan(θ/2)
となる。
【0030】
Xs はXV を測定すれば直ちに算出されるので車体側面に対する洗浄水の吹付け幅Ws は、
Ws =2Xs ×tan(θ/2)
により計算される。
【0031】
例えば、フレームの移動速度が一定(Vf =一定)であるときには、Vf =P/ΔtよりスプレーのピッチPは、P=Vf Δtとなる。ここで△tはサイドノズルの昇降の1往復に要する時間(周期)である。ここでP≦Ws となっていると洗い残しが生じないがP>Ws であれば、洗い残しが生じることになる(図6参照)。
【0032】
洗い残しがなく、しかも能率的にサイドノズルを移動させるために、本発明は次のような処理をするようにサイドノズルの移動ピッチを制御するようにしてある。すなわち、P>Ws のときのPをP1 とし、吹付け幅Ws と等価のピッチをP0 とすれば、洗い残しをなくすためにはPをP0 とするようにピッチを制御すればよい。
【0033】
したがって制御前は、
P1 =Vf ・Δt1
であったものが、制御後は、
P0 =Vf ・Δt0
となることからサイドノズルの昇降周期Δt1 をΔt0 にすればよい。すなわちサイドノズルの昇降速度をΔt0 の周期に対応したものにすればよい。これは現在のサイドノズルの速度VN を制御し、Δt1 をΔt0 に一致するまで減速することによって行う。
【0034】
ここで車体Vのうちフロントガラス等のように、車高が徐々に変化する領域においては、サイドノズルのストロークを徐々に変化させることが必要である。特に上り勾配の領域では、ノズルのストロークの増加により1ストローク当りの所要時間Δtも増加し、結果としてピッチPも増加しようとする状態にある。このような場合、ノズルの1ストロークごとに上述のデータの比較を行い、P=WS となるように、次のストロークのノズルの速度を制御すれば洗い残しがなく、無駄のないスプレー洗浄ができることになる。
【0035】
次に他の実施の形態例について説明する。
図4に示すように、側面処理装置43に間隔調整手段Mを設け、側面処理装置を進退可能とすることにより車幅の異なる車体に対し、サイドノズル48と車体Vとの間隔を適正なものとするようにしてある。
【0036】
図4(a)は、車幅の広い車体V1に対してサイドノズル44と車体とが適正な間隙Dとなっていることを示している。この間隔のときの噴射幅Wsを基準として、一定の昇降ピッチとなるようにサイドノズルの昇降速度が算出され、所定の噴射強さ及び吹付け幅で、しかも洗い残しがないように設定されている(図3参照)。
【0037】
これに対し同図(b)は、車幅が狭い車体V2に対して側面処理装置43が進出してサイドノズル44と車体V2との間隔を車体の幅が広い時と同じDとすることにより同じ条件で洗車可能としてある。
【0038】
図5に間隔調整手段Mの構成例を示す。側面処理装置43は、フレーム41の天井部に水平に設置されたレール46によって車体に対して進退可能に吊り下げてある。側面処理装置43のフレーム41の天井部への吊り下げは、上端部に固着してある支持部材43aがレール46に沿って摺動可能に取り付けてある。フレームの天井部41aに設けてあるシリンダ47の出力端47aを支持部材43aと接続することにより摺動可能としてある。
【0039】
間隔調整手段Mによる上記した間隔調整は、距離センサとしての超音波センサ51により行われる。すなわち、距離センサ51から車体Vに向けて超音波を発振することにより側面処理装置43と車体Vとの距離を検出としてある。この検出データを制御回路に出力してこれによりシリンダ47によって必要量だけ移動可能としてある。
【0040】
なお、側面処理装置43内には、サイドノズル48の昇降手段等が内蔵されているが、ここでは図示を省略してある。また、上記例では、フレームの移動速度を一定のものとして説明してあるが、サイドノズル48の昇降速度を一定とし、スプレーピッチの変化に対応してフレームの移動速度を変化させる形式のものについても同様に適用可能である。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、車高を検出するセンサと車体と側面処理装置との距離を検出するセンサとの両出力データによって側面処理装置の昇降速度またはフレームの移動速度を制御し、常に適正なピッチで側面処理装置ないしはサイドノズルを昇降させて車体側面を洗浄するようにしてあるので、洗い残しがなくかつ洗浄動作に無駄のない、能率的な車体側面の洗浄が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の要部の構成例を示す正面図である。
【図2】 同、側面図である。
【図3】 距離センサとサイドノズル及び被洗車体の側面との距離と吹付け幅との関係を示す説明図である。
【図4】 間隔調整手段を備えた側面処理装置と車体との関係を示す正面図である。
【図5】 間隔調整手段の要部の構成を示す正面図である。
【図6】 サイドノズルの吹付け幅と移動ピッチ及び昇降量との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
V 車体
1,41 フレーム
2 上面処理装置
3,43 側面処理装置
7,11,51 センサ(超音波センサ)
8,48 サイドノズル
Claims (3)
- 被洗車体に対して相対移動するフレームに車体の上面処理装置と車体の側面処理装置とを備えており、上記フレームが上記車体に対して相対移動しながら上記両処理装置によって該車体に洗浄等の処理を行う自動洗車機において、
上記側面処理装置は上記車体と当該側面処理装置との距離を検出するセンサ及び当該車体の高さを検出するセンサを備えており、
上記側面処理装置を構成するサイドノズルは、上記車体の高さを検出するセンサの検出データによって昇降量を制御可能としてあり、
上記距離を検出するセンサの検出データに基いて算出された洗浄水の吹付け幅と、上記フレームの移動速度及び上記サイドノズルの昇降速度のうちいずれかの速度を基準として他方の速度を制御する構成にしてある
ことを特徴とする自動洗車機。 - 請求項1において、上記フレームの移動速度を一定にして、上記サイドノズルの昇降速度を加減することにより当該サイドノズルの上記フレームの進行方向に対する移動ピッチを一定とするように制御可能としてあることを特徴とする自動洗車機。
- 請求項1において、上記サイドノズルの昇降速度を一定にしてあり、上記フレームの進行方向に対する移動ピッチを適正にするように当該フレームの移動を制御可能としてあることを特徴とする自動洗車機。
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