JP3784364B2 - プローブカードのクリーニング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路装置の検査に用いるプローブカードのクリーニング方法に関し、特に半導体ウエハ上に形成された複数の半導体集積回路装置をウエハ状態で一括して検査可能なプローブカードのクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路装置(以下、半導体装置と称する)の小型化及び低価格化の要求から、近年の半導体装置には、半導体ウエハから切り出したままの状態で配線基板に実装する、いわゆるベアチップ方式のパッケージ技術が用いられている。このようなベアチップ方式の半導体装置に対して品質保証を行うためには、チップに切り出す前の状態、すなわち、ウエハ状態で一括してバーンイン試験を含む検査を行うことが要求されている。
【0003】
そこで、従来、半導体装置の検査には、半導体装置の外部電極と対応するプローブ端子(検査用電極)を有するプローブカードが用いられており、半導体ウエハ上に形成された複数の半導体装置の各外部電極にプローブ端子を接触させることにより、プローブ端子を介して半導体装置に電源電圧又は信号用の電圧を印加することにより半導体装置の動作を検査する。
【0004】
ところが、半導体ウエハ上に形成された複数の半導体装置を一括して検査する場合、検査対象となる外部電極は数千個以上となるため、プローブ端子の高さ方向のばらつき等により、プローブカード上のすべてのプローブ端子が各外部電極と均一に接触することが極めて困難である。
【0005】
特に、バーンイン試験を行う際には、加熱条件下で温度変化により、半導体ウエハとプローブカードとにおいて、それぞれを構成する材料の熱膨張係数の違いから外部電極とプローブ端子との位置関係がずれてしまうため、高温条件での電気的な接続を確保することが困難となる。
【0006】
近年、プローブ端子を弾性材料からなる配線基板(フレキシブル配線基板)上に形成することにより、半導体ウエハ上に形成された複数の半導体装置をウエハ状態で一括して検査可能なプローブカードが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
以下に、前述のプローブカードを用いた従来の半導体装置の検査方法について説明する。
【0008】
従来のプローブカードを用いた半導体装置の検査方法は、まず、複数の半導体装置が形成された半導体ウエハをウエハトレイに保持し、複数の半導体装置の各外部電極にプローブカードの各プローブ端子が対応するようにモニタ等で位置合わせを行いながら半導体ウエハの上側にプローブカードを配置する。
【0009】
次に、プローブカードを半導体ウエハに押圧することにより、プローブカードのプローブ端子と半導体装置の外部電極とが電気的に接続される。なお、半導体装置の各外部電極の表面には外部電極を構成する金属材料が酸化されてなる自然酸化膜が形成されているため、プローブカードは、各プローブ端子が自然酸化膜を突き破る程度の力で均一に押圧する。
【0010】
その後、プローブカードから各半導体装置に電源電圧や信号電圧を印加して半導体装置を検査する。また、フレキシブル配線基板を用いることにより、外部電極とプローブ端子とが確実に接続された状態でバーンイン試験を行うこともできる。
【0011】
また、最近では、バンプの先端面に凹凸部を形成することにより、バンプの凹凸部が外部電極表面の自然酸化膜を貫通してプローブカードのプローブ端子と半導体装置の外部電極との間の電気的接続を確実に得ることが可能なプローブカードが開発されている(例えば、特許文献2参照)。
【0012】
【特許文献1】
特開平7−231019号公報(第1図)
【特許文献2】
特開平8−306749号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のプローブカードを半導体装置の検査に使用すると、バンプの先端に半導体装置の電極パッドから該電極パッドを構成する金属材料の金属片や有機物等が不純物として付着してしまう。特に、外部電極に酸化されやすい金属材料であるアルミニウムが用いられる場合には、酸化したアルミニウムの断片が不純物としてプローブ端子の先端部に付着することになる。
【0014】
図7は、従来のプローブカードの使用に伴うプローブ端子の接触抵抗の変化をいくつかのプローブ端子について示している。図7において、横軸はプローブカードの使用回数を表し、縦軸はプローブ端子の接触抵抗を表している。また、点線で示す抵抗値は、半導体装置を信頼性良く検査するために許容される接触抵抗の上限値を示している。
【0015】
図7に示すように、使用回数が増大するのに伴って、プローブ端子の接触抵抗が許容される上限値を超えて増大すると共に、プローブ端子間において接触抵抗のばらつきが大きくなるため、プローブカードの信頼性が低下する。
【0016】
特に、プローブ端子の先端面に凹凸部を形成する場合には、外部電極からの不純物が凹凸部に付着し易いため、プローブ端子の接触抵抗が増大し易くなる。
【0017】
このような接触抵抗の増大に対し、従来は、プローブカードを清浄な布で拭くき取ること等により不純物を除去するが、除去の効果が不十分であるばかりでなく、またプローブの形状が変化して均一なコンタクトを得られなくなるおそれもある。
【0018】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、半導体集積回路装置の検査に用いるプローブカードにおいて、そのプローブ端子の先端部に付着した不純物を確実に除去してプローブカードの信頼性の低下を抑制できるようにすることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明は、不純物除去部を有するクリーニング用基板にプローブカードのプローブ端子を押圧する構成とする。
【0020】
具体的に、本発明に係るプローブカードのクリーニング方法は、半導体集積回路装置をウエハ一括で検査するための複数のプローブ端子を備えたプローブカードのクリーニング方法を対象とし、上面に不純物除去部を有するクリーニング用基板の上側に、複数のプローブ端子が不純物除去部と対向するようにプローブカードを配置する第1の工程と、複数のプローブ端子を不純物除去部に押圧する第2の工程とを備えている。
【0021】
本発明のプローブカードのクリーニング方法によると、複数のプローブ端子を不純物除去部に押圧する工程を備えているため、各プローブ端子の先端部分に付着した不純物をプローブ端子から不純物除去部側に除去することが可能となるので、各プローブ端子の接触抵抗が低減され且つプローブ端子間の接触抵抗のばらつきが小さくなり、プローブカードの信頼性の低下を抑制できる。また、複数のプローブ端子を不純物除去部に押圧する工程は、半導体集積回路装置の検査方法と同一の工程により行うことができるため、プローブカードを低コストにクリーニングすることができる。
【0022】
本発明のプローブカードのクリーニング方法において、第2の工程は、プローブカードとクリーニング用基板との間に密閉空間を形成する工程を含み、密閉空間とその外側の空間との圧力差によりプローブカードをクリーニング用基板に押圧することが好ましい。このようにすると、複数のプローブ端子を均一な力で不純物除去部に押圧することができるため、各プローブ端子を確実にクリーニングすることができる。
【0023】
本発明のプローブカードのクリーニング方法において、第2の工程は、密閉空間を減圧する工程を含むことが好ましい。このようにすると、密閉空間が減圧されて密閉空間とその外側の空間との間に圧力差が生じるため、生じた圧力差により複数のプローブ端子を均一な力で不純物除去部に押圧することができる。
【0024】
本発明のプローブカードのクリーニング方法において、第2の工程は、密閉空間の外側の空間を加圧する工程を含むことが好ましい。このようにすると、密閉空間の外側の空間が加圧されて密閉空間とその外側の空間との間に圧力差が生じるため、生じた圧力差により複数のプローブ端子を均一な力で不純物除去部に押圧することができる。
【0025】
本発明のプローブカードのクリーニング方法において、第1の工程は、クリーニング用基板を保持する基板保持領域の周囲にシール部材が設けられた保持具を用い、第2の工程において、密閉空間は、シール部材がプローブカードにおけるプローブ端子の形成面と密着することにより、保持具の上面とプローブ端子の形成面とシール部材の内側の面とにより形成することが好ましい。このようにすると、シール部材により密閉空間が囲まれるため、密閉空間とその外側の空間との間に空気漏れが生じることがないので、密閉空間とその外側の空間との間に所望の圧力差を生じさせることができる。
【0026】
本発明のプローブカードのクリーニング方法において、保持具は、該保持具の上面における基板保持領域とシール部材との間から保持具の内部を通って密閉空間の外側と接続される孔部を有し、第2の工程は、孔部を通して密閉空間を減圧することが好ましい。このようにすると、空気漏れを生じることなく密閉空間が減圧されるので、密閉空間とその外側の空間との間に所望の圧力差を生じさせることができる。
【0027】
本発明のプローブカードのクリーニング方法において、第1の工程は、保持具を圧力槽に保持する工程を含み、第2の工程は、圧力槽の内部を加圧することにより、密閉空間の外側の空間を加圧することが好ましい。このようにすると、空気漏れを生じることなく密閉空間の外側の空間が加圧されるので、密閉空間とその外側の空間との間に所望の圧力差を生じさせることができる。
【0028】
本発明のプローブカードのクリーニング方法において、不純物除去部は内部に研磨用粒子を含む弾性体からなることが好ましい。このようにすると、プローブ端子の先端部が不純物除去部に押圧されることにより、プローブ端子の先端部に付着した不純物を削り取ることができる。
【0029】
本発明のプローブカードのクリーニング方法において、不純物除去部は、表面が凹凸形状に形成されていることが好ましい。このようにすると、プローブ端子を不純物除去部に押圧する際に、不純物除去部の凸部分がプローブ端子に食い込むように押し当てられるため、不純物を確実に削り取ることができる。
【0030】
本発明のプローブカードのクリーニング方法において、不純物除去部の表面は粘着力を有する材料により構成されていることが好ましい。このようにすると、プローブ端子の先端部が不純物除去部に押圧されることにより、プローブ端子の先端部に付着した不純物が粘着力により不純物除去部に保持されるため、プローブ端子から不純物を除去することができる。
【0031】
本発明のプローブカードのクリーニング方法において、不純物除去部は不純物除去剤を含有していることが好ましい。このようにすると、プローブ端子の先端部が不純物除去部に押圧されることにより、不純物除去材がプローブ端子の先端部に付着した不純物を分解又は溶解するため、プローブ端子から不純物を除去することができる。
【0032】
本発明のプローブカードのクリーニング方法において、第2の工程よりも後に、複数のプローブ端子の不純物除去部に対する押圧を停止し、その後複数のプローブ端子を不純物除去部に再度押圧する工程をさらに備えていることが好ましい。このようにすると、一度の押圧により除去されなかった不純物をも確実に除去することができる。
【0033】
本発明のプローブカードのクリーニング方法の第2の工程において、クリーニング用基板の周囲の温度は50℃以上且つ150℃以下であることが好ましい。このようにすると、クリーニング用基板の不純物除去能力が向上する。
【0034】
本発明のプローブカードのクリーニング方法において、第2の工程は、プローブカードを超音波で振動する工程を含むことが好ましい。このようにすると、プローブ端子に付着した不純物が剥離し易くなるため、クリーニング用基板による不純物の除去効率が向上する。
【0035】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るプローブカードのクリーニング方法について図面を参照しながら説明する。
【0036】
図1(a)は、第1の実施形態のプローブカードのクリーニング方法に用いるクリーニング装置の断面構成を示している。
【0037】
図1(a)に示すように、第1の実施形態に係るクリーニング装置は、不純物除去部11aを有するクリーニング用基板11と、該クリーニング用基板11を保持する保持具12とによって構成されている。保持具12の上面にはクリーニング用基板11を保持する領域として基板保持領域12aが設けられていると共に、該基板保持領域12aと保持具12の側面とを接続する孔部として保持用減圧路13が設けられている。保持用減圧路13は、保持用減圧配管14を介して、例えば真空ポンプ又は減圧用原動等の減圧手段(図示はしていない)と接続されている。
【0038】
また、基板保持領域12aの周囲には、ゴム等の弾性体からなる環状のシールリング15が設けられている。また、基板保持領域12aとシールリング15との間には、保持具12の上面と側面とを接続する孔部として密閉用減圧路16が設けられている。密閉用減圧路16は、密閉用減圧配管17を介して、例えば真空ポンプ又は減圧用原動等の減圧手段(図示はしていない)と接続されている。
【0039】
図1(b)は、図1(a)に示すクリーニング用基板11を拡大して示している。図1(b)に示すように、クリーニング用基板11は、基板11bの上に、不純物除去部11aとして、例えば、研磨用粒子としてアルミナ粒子11cを含み、且つ弾性又は粘弾性を有するシリコン樹脂11dが形成されている。シリコン樹脂11dの表面は凹凸状に形成されており、凹凸部分の高さ寸法は最大で約2μmである。
【0040】
クリーニング用基板11は、不純物除去部11aを上側にして保持具12の基板保持領域12aに保持され、プローブカードのプローブ端子を不純物除去部11aに押し当てることによりプローブ端子に付着した不純物を除去する。
【0041】
以下、前述のクリーニング装置を用いたクリーニング方法について図面を参照しながら説明する。
【0042】
図2(a)〜図2(c)は、第1の実施形態に係るプローブカードのクリーニング方法の工程順の断面構成を示している。
【0043】
まず、図2(a)に示すように、基板保持領域12aに不純物除去部11aを上にしてクリーニング用基板11を配置し、保持用減圧配管14から減圧することにより、クリーニング用基板11を基板保持領域12aに保持する。続いて、クリーニング用基板11の上側に、クリーニングの対象となる複数のバンプ100aが設けられたプローブカード100を、不純物除去部11aとバンプ100aとが対向するように配置する。
【0044】
プローブカード100は、半導体ウエハ上に形成された複数の半導体集積回路装置を一括に検査するために用いられ、配線基板上に形成されたバンプ100aがプローブ端子となる。バンプ100aは、例えばニッケル等の金属材料により構成され、その高さは約25μmである。
【0045】
ここで、プローブカード100を用いて複数の半導体集積回路装置を一括に検査する際、バンプ100aを半導体集積回路装置の各外部電極に押圧することにより、外部電極の表面に生じた酸化膜を押し破ってバンプ100aを外部電極と電気的に接続する。このため、プローブカード100の使用に伴い、バンプ100aの先端部には、半導体集積回路装置の外部電極を構成するアルミニウムからなる金属片が不純物101として付着している。
【0046】
次に、図2(b)に示すように、プローブカード100のバンプ100aが形成された側の面をシールリング15と密着させることにより、バンプ100aの形成面と保持具12の上面とシールリング15の内側の面とによって囲まれた空間として密閉空間18を形成する。続いて密閉用減圧配管17から密閉用減圧路16を通して密閉空間18を減圧することにより、密閉空間18とその外側の空間との間に圧力差を生じさせる。この圧力差により、プローブカード100はクリーニング用基板11側に押し付けられ、複数のバンプ100aが不純物除去部11aにそれぞれ均一な押圧力で押圧される。
【0047】
ここで、不純物除去部11aは弾性又は粘弾性を有するシリコン樹脂11dからなるため、不純物除去部11aがバンプ100aの表面に沿って変形しながら押圧される。これにより、不純物除去部11aはアルミナ粒子11cを含んでいるため、バンプ100aの表面に付着した不純物101が削り取られる。また、不純物除去部11aは凹凸形状に形成されているため、不純物除去部11aの凸部分がバンプ100aに食い込むように押し当てられるので、バンプ100aの先端部が凹凸形状に形成されている場合であっても、不純物101を確実に削り取ることができる。
【0048】
次に、図2(c)に示すように、密閉用減圧配管17からの減圧を停止することにより、密閉空間18を大気圧に戻して密閉空間18とその外側の空間との間の圧力差を開放し、プローブカード100とクリーニング用基板11とを分離する。この際、不純物101は、不純物除去部11aに削り取られてバンプ100aの表面から分離された状態であるため、バンプ100aからクリーニング用基板11側に不純物101を分離して除去され、プローブカード100のクリーニングが終了する。
【0049】
第1の実施形態の特徴は、プローブカード100のバンプ100aをクリーニング用基板11の不純物除去部11aに押圧して不純物を除去することにある。第1の実施形態では、シールリング15を有する保持具12を用いることにより、圧力差を利用してバンプ100aを不純物除去部11aに押圧しているが、保持具12に換えて、プローブカード100が使用される半導体集積回路装置の検査装置を用いてバンプ100aを不純物除去部11aに押圧することもできる。
【0050】
具体的に、半導体ウエハ上に形成された複数の半導体集積回路装置をプローブカード100を用いて一括に検査する場合、従来の検査方法では、ウエハトレイの上に半導体ウエハを保持し、複数の半導体集積回路装置の各外部電極と対応するバンプ100aを有するプローブカード100を半導体ウエハの上に配置した後、各バンプが半導体集積回路装置の外部電極の上に位置するようにアライメント制御を行ってプローブ端子を外部電極に押圧する。
【0051】
第1の実施形態のプローブカードのクリーニング方法では、保持具12として、前述の検査方法において半導体ウエハを保持するウエハトレイを用い、半導体ウエハの代わりにクリーニング用基板11を保持することにより、バンプ100aを外部電極に押圧する工程と同一の工程を用いてバンプ100aを不純物除去部11aに押圧することができる。
【0052】
以下、第1の実施形態のプローブカードのクリーニング方法を用いることによるバンプ100aの接触抵抗の変化について説明する。
【0053】
図3は、プローブカード100の複数のバンプ100aにおいて、それぞれの接触抵抗の変化をいくつかのバンプ100aについて示している。図3において、横軸はプローブカード100の使用回数を表し、縦軸はプローブカード100のバンプ100aの接触抵抗の測定結果を表している。また、前述のクリーニング方法を用いてプローブカード100をクリーニングした後の測定結果を矢印で示している。
【0054】
図3に示すように、使用回数が増大するのに伴って、個々のバンプ100aの接触抵抗が増大すると共に各バンプ100a間での接触抵抗のばらつきが大きくなるが、クリーニングを実施することにより、個々のバンプ100aの接触抵抗が小さくされていると共にプローブカード100におけるバンプ100a同士の間の接触抵抗のばらつきが小さくされている。これにより、個々のバンプ100aの接触抵抗がプローブカード100の信頼性を確保するために許容される接触抵抗の上限値(図3において点線に示す値)を超える値となることがなく、またバンプ100a同士の間において検査の誤差が小さくなるため、プローブカード100の信頼性の低下を抑制することができる。
【0055】
なお、クリーニングを実施する間隔は、図3ではバンプ100aの接触抵抗がある程度増大した時点でクリーニングを実施しているが、例えば50回の使用後ごとにクリーニングする等、定期的にクリーニングを実施することにより、プローブカード100の信頼性の低下を確実に抑制することができる。
【0056】
なお、第1の実施形態において、バンプ100aをクリーニング用基板11の不純物除去部11aに押圧する工程は、2回以上行うことが好ましい。
【0057】
具体的に、図2(b)に示す密閉空間18の減圧によりバンプ100aを不純物除去部11aに押圧する工程の後に、密閉用減圧路16からの減圧を一時的に解除する工程と再び密閉用減圧路16を通して密閉空間18を減圧する工程とを少なくとも1回以上繰り返して行う。これにより、一度の押圧により除去されなかった不純物101をも確実に除去することができる。
【0058】
ここで、減圧を一時的に解除するとプローブカード100又はクリーニング用基板11がわずかに移動するため、一度目の押圧と二度目の押圧とでは、不純物除去部11aにおけるバンプ100aが押圧される部分が異なるので、繰り返して押圧しても不純物除去部11aの不純物の除去能力が低下しない。
【0059】
また、第1の実施形態において、バンプ100aをクリーニング用基板11の不純物除去部11aに押圧する工程は、クリーニング用基板11の周囲の温度が50℃以上で且つ150℃以下の範囲となるように加熱しながら押圧することが好ましい。
【0060】
このようにすると、不純物除去部11aにおいて、シリコン樹脂が軟化するため不純物101を削り取り易くなるのに加えて、バンプ100aもまた軟化するため凹凸部分によりバンプが削り取られ易くなるので、クリーニング用基板11の不純物除去能力が向上する。なお、クリーニング用基板11の周囲の温度が50℃以下であるとシリコン樹脂11d及びバンプ100aの軟化が生じにくく、150℃以上であるとシリコン樹脂11dが劣化するおそれがある。
【0061】
ここで、クリーニング用基板11及びプローブカード100の加熱は、例えばバーンイン試験を含む検査工程と同様にして行うことが可能である。具体的に、バーンイン試験に用いる半導体集積回路装置の検査装置は、ウエハを保持する手段と半導体ウエハを加熱する手段とを備え、ウエハを保持しながらウエハに対して加熱可能に構成されているため、ウエハを保持する手段にクリーニング用基板11を保持することにより、クリーニング用基板11にバンプを押圧した状態で加熱することが可能である。
【0062】
また、第1の実施形態において、バンプ100aをクリーニング用基板11の不純物除去部11aに押圧する工程は、クリーニング用基板11及びプローブカード100に超音波振動を与えながら押圧することが好ましい。このようにすると、不純物101がバンプ100aから剥離し易くなる。また、超音波振動を与えた状態で押圧を繰り返すことにより、プローブカード100とクリーニング用基板11との位置が確実に移動するので、2回以上押圧することによる不純物の除去効率が高くなる。
【0063】
また、第1の実施形態において、保持具12は図1に示す構成に限られず、プローブカード100の各バンプ100aを均一に押し付けることが可能な構成であればよい。
【0064】
例えば、保持用減圧路13から減圧してクリーニング用基板11を保持する必要はなく、基板保持領域12aに載置することにより保持してもよい。また、保持用減圧配管14及び密閉用減圧配管17のそれぞれにバルブを設け、1つの真空ポンプにこれらの減圧配管を接続してもよい。このようにすると、バルブを用いることにより、クリーニング用基板11を保持する工程及びバンプ100aを不純物除去部11aに押圧する工程においてそれぞれの減圧を独立にできる。また、密閉用減圧配管17に圧力可変バルブを用いることにより、バンプ100aが不純物除去部11aに押圧される圧力を調整できる。
【0065】
また、第1の実施形態において、クリーニングの対象となるプローブカード100の構成は、図2(a)に示す配線基板上に直接にバンプ100aが形成された構成に限られず、例えば、ポリイミド樹脂等の弾性体からなるフレキシブル配線基板と剛性材料からなる配線基板とを用いてもよい。さらに、フレキシブル配線基板と配線基板と間に異方導電性ゴムシートを設けることにより、押圧時にバンプ100aの高さ方向のばらつきが吸収されるようにしてもよい。
【0066】
(第1の実施形態の第1変形例)
以下、第1の実施形態の第1変形例について説明する。
【0067】
第1の実施形態の第1変形例では、図1(b)に示すクリーニング用基板11の不純物除去部11aを、アルミナ粒子11cが拡散されたシリコン樹脂11dに換えて、基板11bの上に粘着性樹脂を塗布して用いる。
【0068】
第1変形例のクリーニング用基板11によると、図2(a)〜図2(c)に示す工程と同様にして、保持具12の上にクリーニング用基板11を保持し、不純物除去部11aの上にバンプ100aを押圧することにより、粘着性樹脂の粘着力により不純物101が不純物除去部11aに接着される。その後、クリーニング用基板11とプローブカード100とを分離することにより、バンプ100aからクリーニング用基板11側に不純物101を分離して除去することができる。
【0069】
なお、第1変形例において、不純物除去部11aにバンプ100aを押圧する工程は、クリーニング用基板11の周囲の温度が50℃以上で且つ150℃以下の条件で行うことがこのましい。このようにすると、粘着性樹脂の粘着力が向上するため、クリーニング用基板11の不純物除去能力が向上する。
【0070】
また、バンプ100aをクリーニング用基板11の不純物除去部11aに押圧する工程において、クリーニング用基板11及びプローブカード100に超音波振動を与えながら押圧することが好ましい。このようにすると、不純物101がバンプ100aから剥離し易くなるため、クリーニング用基板11の不純物除去効率が高くなる。
【0071】
(第1の実施形態の第2変形例)
以下、第1の実施形態の第2変形例について説明する。
【0072】
第1の実施形態の第2変形例では、図1(b)に示すクリーニング用基板11の不純物除去部11aを、アルミナ粒子11cが拡散されたシリコン樹脂11dに換えて、表面に液体を保持する担体として多孔質膜を基板11bの上に形成し、アルカリ溶液からなる不純物除去剤を多孔質膜に塗布して用いる。
【0073】
第2変形例のクリーニング用基板11によると、バンプ100aの先端に付着した不純物101がアルミニウムからなる場合には、アルミニウムはアルカリ溶液により容易に分解されるため、図2(b)に示すバンプ100aを不純物除去部11aに押圧する工程において、不純物除去剤と接した不純物101が分解されてバンプ100aの表面から除去することができる。この際、バンプ100aはアルカリに不溶な金属であるニッケルからなるため、不純物除去剤により劣化されることがない。
【0074】
なお、第2変形例のクリーニング用基板11において、不純物除去部11aに不純物除去剤を保持する担体として多孔質膜を用いているが、これに限られず、表面が凹凸形状に形成されていれば不純物除去剤を保持することができる。例えば、凹凸形状のシリコン樹脂11dを担体としてアルカリ溶液を塗布してもよい。
【0075】
また、第2変形例のクリーニング用基板11において、不純物除去剤はアルカリ溶液に限られず、不純物101を分解又は溶解することが可能で且つバンプ100aを劣化しない薬液であればよい。例えば、プローブカードの先端に付着した不純物101が有機物からなる場合には、不純物除去剤に有機溶媒を用いることにより、バンプ100aを劣化することなく不純物101を溶解して除去することができる。
【0076】
なお、第2変形例において、不純物除去部11aにバンプ100aを押圧する工程は、クリーニング用基板11の周囲の温度が50℃以上で且つ150℃以下の条件で行うことがこのましい。このようにすると、不純物除去物質と不純物101との反応性が向上するため、クリーニング用基板11の不純物除去能力が向上する。
【0077】
また、バンプ100aをクリーニング用基板11の不純物除去部11aに押圧する工程において、クリーニング用基板11及びプローブカード100に超音波振動を与えながら押圧することが好ましい。このようにすると、不純物101がバンプ100aから剥離し易くなるため、クリーニング用基板11の不純物除去効率が高くなる。
【0078】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係るプローブカードのクリーニング方法について図面を参照しながら説明する。
【0079】
第2の実施形態のプローブカードのクリーニング方法において、第1の実施形態との差異は、密閉空間18の外側の空間を加圧することにより、密閉空間18とその外側の空間との間に圧力差を生じることある。以下に、第2の実施形態のプローブカードのクリーニング方法における第1の実施形態との差異を説明する。
【0080】
図4は、第2の実施形態のプローブカードのクリーニング装置を示す斜視図である。なお、図4において、図1と同一の部材については同一の符号を用いることにより説明を省略する。
【0081】
図4に示すように、第2の実施形態のプローブカードのクリーニング方法は、内部を密閉することが可能な圧力槽21と、該圧力槽21の内部を加圧するための加圧用配管22とを用い、圧力槽21の内部に保持具12に保持されたプローブカード100を載置する。保持用減圧配管14及び密閉用減圧配管17は圧力槽21の壁面まで延ばされており、圧力槽21の外部からそれぞれ減圧操作が可能である。
【0082】
なお、図示はしていないが、加圧用配管22は加圧装置又は加圧用原動等の加圧手段と接続されており、外部から圧力槽の内部を加圧することが可能である。
【0083】
図5(a)、図5(b)及び図6は、第2の実施形態のプローブカードのクリーニング方法の工程順の断面構成を示している。
【0084】
まず、図5(a)に示すように、保持具12を圧力槽21の内部に保持し、保持具12の基板保持領域12aに不純物除去部11aを上にしてクリーニング用基板11を配置した後、保持用減圧配管14を通して減圧することにより、クリーニング用基板11の下側に生じた減圧力がクリーニング用基板11を保持具12の基板保持領域12aに保持する。
【0085】
続いて、クリーニング用基板11の上側に、不純物除去部11aとバンプ100aとが対向するように、バンプ100aを下側にしてプローブカード100を配置する。
【0086】
次に、図5(b)に示すように、プローブカード100のバンプ100a形成側の面をシールリング15と接触させることにより、プローブカード100と保持具12との間の空間におけるシールリング15に囲まれた空間に密閉空間18を形成する。続いて、加圧用配管22を通して圧力槽21の内部を加圧する。このとき、密閉空間18は大気圧の状態であるため、密閉空間18とその外側の空間との間に圧力差が生じてプローブカード100がクリーニング用基板11側に押し付けられ、複数のバンプ100aが不純物除去部11aにそれぞれ均一な力で押圧される。
【0087】
次に、図6に示すように、加圧用配管22からの加圧を停止することにより、密閉空間18の外側の空間を大気圧に戻してプローブカード100とクリーニング用基板11とを分離する。これにより、不純物101は、バンプ100aの表面から不純物除去部11a側に除去され、プローブカード100のクリーニングが終了する。
【0088】
なお、第2の実施形態において、バンプ100aを不純物除去部11aに押圧する工程において、密閉用減圧配管17を通して減圧することにより、密閉空間18とその外側の空間との間の圧力差をさらに大きくしてもよい。
【0089】
また、第2の実施形態において、プローブカード100とクリーニング用基板11とを分離する工程は、加圧用配管22からの加圧を停止する方法に限られず、密閉用減圧配管17から加圧する方法や、保持具12を加熱して密閉空間18の内部の空気を膨張させる方法を用いることもできる。
【0090】
【発明の効果】
本発明のプローブカードのクリーニング方法によると、プローブ端子の先端部分に付着した不純物をクリーニング用基板側に分離して除去することが可能であるため、プローブカードの使用に伴うプローブ端子の接触抵抗の増大を抑制することができると共に、複数のプローブ端子間における接触抵抗のばらつきを小さくすることができるので、プローブカードの信頼性の低下を抑制することができる。また、半導体集積回路装置を検査する工程と共通の装置を用いてクリーニングを実施できるため、プローブカードを低コストにクリーニングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係るプローブカードのクリーニング方法に用いるクリーニング装置を示す構成断面図であり、(b)は(a)におけるクリーニング用基板の拡大図である。
【図2】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係るプローブカードのクリーニング方法を示す工程順の構成断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るプローブカードのクリーニング方法によるバンプの接触抵抗の変化を示すグラフである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るプローブカードのクリーニング方法に用いるクリーニング装置を示す斜視図である。
【図5】(a)及び(b)は本発明の第2の実施形態に係るプローブカードのクリーニング方法を示す工程順の構成断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るプローブカードのクリーニング方法を示す工程順の構成断面図である。
【図7】従来のプローブカードにおけるプローブ端子の接触抵抗の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
11 クリーニング用基板
11a 不純物除去部
11b 基板
11c アルミナ粒子(研磨用粒子)
11d シリコン樹脂(弾性体)
12 保持具
12a 基板保持領域
13 保持用減圧路
14 保持用減圧配管
15 シールリング(シール部材)
16 密閉用減圧路(孔部)
17 密閉用減圧配管
18 密閉空間
21 圧力槽
22 加圧用配管
100 プローブカード
100a バンプ(プローブ端子)
101 不純物
Claims (12)
- 半導体集積回路装置をウエハ一括で検査するための複数のプローブ端子を備えたプローブカードのクリーニング方法であって、
上面に不純物除去部を有するクリーニング用基板の上側に、前記複数のプローブ端子が前記不純物除去部と対向するように前記プローブカードを配置する第1の工程と、
前記複数のプローブ端子を前記不純物除去部に押圧する第2の工程とを備え、
前記第2の工程は、前記プローブカードと前記クリーニング用基板との間に密閉空間を形成する工程と前記密閉空間の外側の空間を加圧する工程とを含み、
前記密閉空間とその外側の空間との圧力差により前記プローブカードを前記クリーニング用基板に押圧することを特徴とするプローブカードのクリーニング方法。 - 前記第2の工程は、前記密閉空間を減圧する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のプローブカードのクリーニング方法。
- 前記第1の工程は、前記クリーニング用基板を保持する基板保持領域の周囲にシール部材が設けられた保持具を用い、
前記第2の工程において、前記密閉空間は、前記シール部材が前記プローブカードにおけるプローブ端子の形成面と密着することにより前記保持具の上面と前記プローブ端子の形成面と前記シール部材の内側の面とにより形成することを特徴とする請求項1に記載のプローブカードのクリーニング方法。 - 前記保持具は、該保持具の上面における前記基板保持領域と前記シール部材との間から保持具の内部を通って前記密閉空間の外側と接続される孔部を有し、
前記第2の工程は、前記孔部を通して前記密閉空間を減圧することを特徴とする請求項3に記載のプローブカードのクリーニング方法。 - 前記第1の工程は、前記保持具を圧力槽に保持する工程を含み、
前記第2の工程は、前記圧力槽の内部を加圧することにより、前記密閉空間の外側の空間を加圧することを特徴とする請求項3に記載のプローブカードのクリーニング方法。 - 前記不純物除去部は内部に研磨用粒子を含む弾性体からなることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載のプローブカードのクリーニング方法。
- 前記不純物除去部は、表面が凹凸形状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載のプローブカードのクリーニング方法。
- 前記不純物除去部の表面は粘着力を有する材料により構成されていることを特徴とする請求項1〜5に記載のプローブカードのクリーニング方法。
- 前記不純物除去部は不純物除去剤を含有していることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載のプローブカードのクリーニング方法。
- 前記第2の工程よりも後に、前記複数のプローブ端子の前記不純物除去部に対する押圧を停止し、
その後前記複数のプローブ端子を前記不純物除去部に再度押圧する工程をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載のプローブカードのクリーニング方法。 - 前記第2の工程において、前記不純物除去部にシリコン樹脂を用いたときに、前記クリーニング用基板の周囲の温度は50℃以上且つ150℃以下であることを特徴とする請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載のプローブカードのクリーニング方法。
- 前記第2の工程は、前記プローブカードを超音波で振動する工程を含むことを特徴とする請求項1〜11のうちのいずれか1項に記載のプローブカードのクリーニング方法。
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