JP3781001B2 - 新規な光開始剤系及びそれを用いた光重合性組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は新規な光開始剤系及びそれを用いた光重合組成物並びにそれを用いた光重合性エレメントに関する。
【0002】
【従来の技術】
光重合性組成物は、一般にUV光源を用いて、凸版用、レリーフ像用、フォトレジスト用等に広く利用されているが、その感度はより高い系が望まれている。600nm〜900nmの赤色、近赤外領域に感度を持つ感材があれば、小型で直接変調可能な半導体レーザーを用いることが出来、応用上有用性が高い。この分野では感度を増大させるための光開始剤系について多くの研究がなされているが、長波長光において十分な感度を有するものは知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、近赤外光に対して高い感度を有する新規な光開始剤系及びそれを用いた光重合性組成物並びにそれを用いた光重合性エレメントを提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記式〔I〕で表されるナフタロシアニン化合物
【化2】
(式中MはH2、金属又は半金属を示し、Yは置換基又は配位子を示し、MがH2の場合はn=0であり、Mが金属又は半金属の場合には、n=0、1又は2であり、n=2の場合、2個のYは同一でも相違してもよく、A1、A2、A3及びA4で表される環は置換基が結合してもよいナフタレン環を示し、置換基は同一でも相違してもよい)を含有してなる光開始剤に関する。
【0005】
また、本発明は上記のナフタロシアニン化合物と下記式〔II〕で表されるs−トリアジン化合物
【化3】
(式中R1、R2及びR3は置換基を示し、その少なくとも1つはトリハロメチル基とされ、R1、R2及びR3は同一でも相違してもよい)を含有してなる光開始剤系、上記のナフタロシアニン化合物と下記式〔III〕で表されるN−アリール−α−アミノ酸
【化4】
(式中R4、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立に水素原子、炭素数が1〜12のアルキル基又はハロゲン原子であり、R9は水素原子、炭素数が1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、炭素数が1〜12のヒドロキシアルキル基、炭素数が2〜12のアルコキシアルキル基、炭素数が1〜12のアミノアルキル基又はアリール基であり、R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数が1〜8のアルキル基である。)を含有してなる光開始剤系並びに上記のナフタロシアニン化合物と有機過酸化物を含有してなる光開始剤系に関する。
【0006】
また、本発明は、これらの光開始剤又は光開始剤系と常圧において少なくとも100℃の沸点を有する付加重合性化合物を含有してなる光重合性組成物並びにこれらの光開始剤又は光開始剤系、常圧において少なくとも100℃の沸点を有する付加重合性化合物及び高分子有機重合体を含有し、高分子有機重合体を高分子有機重合体と付加重合性化合物の合計重量を基準として20〜80重量%とした光重合性組成物に関する。
【0007】
式〔I〕において金属としては、アルミニウム、インジウム、銅、ニッケル等があげられ、半金属としてはホウ素、ケイ素、ヒ素、テルル等があげられる。置換基又は配位子のYはトリアルキルシリルオキシ基、フェノキシ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、フェニル基等があげられる。ナフタレン環に結合してもよい置換基としては、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、フェニル基、カルボキシル基、アセチル基、シアノ基等があげられる。式〔II〕におけるR1、R2及びR3には、特に制限はない。
【0008】
式〔I〕で表されるナフタロシアニン化合物としては
(1) 〔(n−C3H7)3SiO〕2SiNc
(但し、Ncはナフタロシアニン骨格を表す。以下同様。)
ビス(トリ−n−プロピルシロキシ)ナフタロシアノ−シリコン
(2) 〔(n−C6H13)3SiO〕2SiNc
ビス(トリヘキシルシリルオキシ)ナフタロシアノ−シリコン
(3) 〔(C2H5)3SiO〕2GeNc
ビス(トリエチルシリルオキシ)ナフタロシアノーゲルマニウム
(4) 〔(n−C4H9)3SiO〕2SnNc
ビス(トリ−n−ブチルシリルオキシ)ナフタロシアノースズ
(5) C6H5OA1Nc〔Si(CH3)3〕4
テトラキス(トリメチルシリル)ナフタロシアノ−フェノキシアルミニウム
(6) 〔(n−C3H7)3SiO〕2TiNc〔Si(CH3)3〕4
ビス(トリ−n−プロピルシリルオキシ)−テトラキス(トリメチルシリル)ナフタロシアノ−チタン
(7) C1A1Nc
ナフタロシアノ−クロロアルミニウム
(8) H2Nc
ナフタロシアノ−ハイドロゲン
(9) 〔HO〕2SiNc
ナフタロシアノ−ジヒドロキシシリコン
(10) CoNc
コバルトナフタロシアニン
(11) OA1Nc
ナフタロシアノ−オキシアルミニウム
(12) C6H5InNc〔tert−C4H9〕4
テトラ−tert−ブチル−ナフタロシアノ−フェニルインジウム
(13) CuNc〔(CN3)3Si〕4
テトラ(トリメチルシリル)ナフタロシアノ−カッパー
(14) NiNc〔CH3)3Si〕4
テトラ(トリメチルシリル)ナフタロシアノ−ニッケル
(15) CoNc〔(CH3)3Si〕4
テトラ(トリメチルシリル)ナフタロシアノ−コバルト
(16) GeNc〔(C2H5)3Si〕4
テトラ(トリエチルシリル)ナフタロシアノ−ゲルマニウム
PdNc〔(CH3)3Si〕4
テトラ(トリメチルシリル)ナフタロシアノ−パラジウム
(18) PbNc〔(CH3)3Si〕4
テトラ(トリメチルシリル)ナフタロシアノ−鉛
(19) OVNc〔(CH3)2PhSi〕4
テトラ(ジメチルフェニルシリル)ナフタロシアノ−バナジル
(20) 〔(CH3)3SiO〕2SiNc〔Si(CH3)2C6H5〕4
ビス(トリメチルシリルオキシ)−テトラキス(ジメチルフェニルシリル)ナフタロシアノ−シリコン
(21) (C2H5O)2SiNc〔Si(C6H5)3〕4
ビスエトキシ−テトラキス(トリフェニルシリル)ナフタロシアノ−シリコン
(22) 〔(C6H5)3SiO〕2SiNc〔Si(C2H5)3〕4
ビス(トリフェニルシリルオキシ)−テトラキス(トリエチルシリル)ナフタロシアノ−シリコン
(23) 〔(C2H5)SiO〕2GeNc〔Si(CH3)2−n−C14H29〕4ビス(トリエチルシリルオキシ)−テトラキス(ジメチルテトラデシルシリル)ナフタロシアノ−ゲルマニウム
などがあげられる。
【0009】
式〔II〕で表されるs−トリアジン化合物としては2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(ジクロロメチル)−6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−プロピオニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンゾイル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−(p−シアノフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ニトロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クメニル)−4,6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(p−メトロキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−アミノフェニル)−4,6−ビス(トリクロロリメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(p−メトキシフェニル)−6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2,4−ビス(m−クロロフェニル)−6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−アミノスチリル)−4,6−ビス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4′−メトキシ−1′−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(6′−クロロ−1′−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(6′−ニトロ−1′−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4′−シアノ−1′−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどがあげられる。
【0010】
式〔III〕で表されるN−アリール−α−アミノ酸としては、p−クロロ−N−エチルフェニルグリシン、N−メチルフェニルグリシン、p−クロロ−N−メチルフェニルグリシン、p−ブロム−N−メチルフェニルグリシン、p−シアノ−N−フェニルグリシン、p−クロロ−N−フェニルグリシン、p−クロロ−N−プロピルフェニルグリシン、p−シアノ−N−メチルフェニルグリシンなどがあげられる。
【0011】
有機過酸化物としては、ターシャリーブチルオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロロオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α−ビスa(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、3,3′,4,4′,−テトラ−(−t−ブチロパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−クミルパーオキサイドなどがあげられる。使い易さの点で、10時間半減期温度が100℃以上の有機過酸化物を用いることが好ましい。
【0012】
光重合性組成物に含まれる付加重合性化合物は常圧において少なくとも100℃の沸点を有するものが用いられる。常圧において沸点が100℃より低いようなものでは系内に含有する溶剤を乾燥等によって除去する際又は活性光線を照射する際該付加重合性化合物が揮散して特性上及び作業性上好ましくないからである。また、該付加重合性化合物は光開始剤等と均一な組成物にするために用いられる有機溶剤に可溶なものが好ましい。
【0013】
有機溶剤は、芳香族系、ハロゲン系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、飽和炭化水素系、脂環式炭化水素系、エステル系溶剤等を用いることが出来る。芳香族系溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリメチルベンゼン、1−クロロナフタレン、キノリン等があり、ハロゲン系溶剤としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン等があり、エーテル系溶剤としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等があり、ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロペンタノン、アセトンアルコール等があり、アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等があり、飽和炭化水素系溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等があり、脂環式炭化水素系溶剤としては、シクロオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等があり、エステル系溶剤としては酢酸エチル、酢酸プロピル等が用いられる。
【0014】
常圧において少なくとも100℃の沸点を有する付加重合性化合物としては多価アルコールとα,β−不飽和カルボン酸とを縮合して得られるもの、例えばジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(ジアクリレート又はジメタアクリレートの意味、以下同じ)、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト−ルヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリト−ルヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン等、グリシジル基含有化合物にα、β−不飽和カルボン酸を付加して得られるもの、例えばトリメチロールプロパントリグリシジルエ−テルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、新中村化学(株)製、商品名BPE−500(2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンの混合物)等、不飽和アミド例えばメチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド等、ビニルエステル例えばジビニルフタレート、ジビニルテレフタレート、ジビニルベンゼン−1,3−ジスルホネート等が用いられる。この付加重合性化合物は、2種以上を用いてもよい。
【0015】
本発明においては、常圧において少なくとも100℃の沸点を有する付加重合性化合物100重量部(高分子量有機重合体を用いる場合には、この付加重合性化合物と高分子量有機重合体との総量100重量部)に対して、上記の式〔I〕で表されるナフタロシアニン化合物を0.001から2.0重量部、上記の式〔II〕で表されるs−トリアジン化合物、式〔III〕で表されるN−アリール−α−アミノ酸又は有機過酸化物を0.01から10重量部の範囲で用いることが好ましい。
【0016】
本発明になる光重合性組成物は、必要に応じて1種以上の高分子有機重合体を含有しても良い。高分子有機重合体は熱可塑性であり、分子量は10,000〜700,000を有するものが好ましい。例えば次のものが用いられる。
(A) コポリエステル
多価アルコール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ナオペンチルグリコール等と多価カルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、セパシン酸、アジピン酸等とから製造したコポリエステル
(B) ビニルポリマ
メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸又はアクリル酸のアルキルエステル例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、ビニルクロライド、ビニルブチラール等のビニル単量体のホモポリマ又はコポリマ
(C) ポリホルムアルデヒド
(D) ポリウレタン
(E) ポリカーボネート
(F) ナイロン又はポリアミド
(G) セルロースエステル例えばメチルセルロース、エチルセルロース
【0017】
光重合性組成物に高分子有機重合体を加えることによって基体への接着性、耐薬品性、フィルム性等の特性を改良することができる。この高分子有機重合体は、光硬化性の点から該高分子有機重合体と前記の付加重合性化合物の合計重量を基準として20〜80重量%の範囲とすることが好ましい。
【0018】
本発明になる光重合性組成物は、必要に応じて染料、顔料等の着色物質を含有してもよい。本発明になる光重合性組成物は保存時の安定性を高めるためにラジカル重合禁止剤又はラジカル重合抑制剤を含有してもよい。このようなものとしてはp−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、フェノチアジン、アリールフォスファイト等がある。本発明になる光重合性組成物は光重合性組成物に用いることが知られている他の添加物、例えば可塑剤、接着促進剤等の添加物を含有してもよい。
【0019】
本発明になる光重合性組成物は印刷工業、エレクトロニクス、塗料、医療、情報記録、インキなど光反応に関する幅広い分野に利用出来る。使用される活性光線源は主に600〜900nmの波長の活性光線を発生するものが用いられる。このような光源としては水銀灯、キセノン灯、色素レーザー、ラマンレーザー、半導体レーザー、クリプトンレーザー等がある。本発明になる光重合性組成物はポリエチレンテフタレートフィルム等支持体上に塗布乾燥されて基板上にラミネート(積層)され活性光線に露光されて印刷刷版を製造したり、エッチング又はメッキにより回路を形成するためのホトレジストとしても使用できる。支持体としてはポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等の有機重合体フィルムが用いられ、基板としては、銅板、アルミニューム板、鉄板等の金属板及び銅はくを表面に張った積層板(ガラスエポキシ基材、紙フェノール基材等)等が用いられる。
【0020】
【作用】
本発明になる新規な光開始剤系が可視光及び近赤外光に対し高い感度を与える理由は上記の式〔I〕で表されるナフタロシアニン化合物が光を吸収し、この光エネルギーを何らかの形で上記の式〔II〕で表されるs−トリアジン化合物が受け取り、分解して活性ラジカルを発生するためと考えられるが詳しい機構は未だ明らかではない。
【0021】
【実施例】
本発明の実施例を説明する。ここで、部、%はそれぞれ重量部、重量%を意味する。
上記に示す光重合性組成物の成分を撹拌溶解し、23μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)社製、商品名「ルミラー」)上にバーコーターを用いて塗布し80℃の熱風対流式乾燥機で約10分乾燥して光重合性エレメントを得た。乾燥した光重合性組成物層の厚さは20μmであった。次にゴムロールで加圧・加熱して積層するラミネーターを用いて清浄な表面を有する0.5mm厚のアルミニウム板上に光重合性組成物層と銅面が接するようにゴムロール温度を80℃として光重合性エレメントを積層した。積層したサンプルのポリエチレンテレフタレートフィルム側から、ビーム径120μm、波長780nm、光出力1.9mWの半導体レーザーによる静止露光を行った。その後ポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し30℃で、1%Na2CO3水溶液に浸漬することによって未硬化部分を溶出させて、残膜の直径が0.3mmになるのに必要な照射時間を調べ、これを感度とした。表に感度の比較を示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】
本発明により、近赤外光に高い感度を示す光開始剤、光開始剤系を用いた光重合性組成物が得られる。
【産業上の利用分野】
本発明は新規な光開始剤系及びそれを用いた光重合組成物並びにそれを用いた光重合性エレメントに関する。
【0002】
【従来の技術】
光重合性組成物は、一般にUV光源を用いて、凸版用、レリーフ像用、フォトレジスト用等に広く利用されているが、その感度はより高い系が望まれている。600nm〜900nmの赤色、近赤外領域に感度を持つ感材があれば、小型で直接変調可能な半導体レーザーを用いることが出来、応用上有用性が高い。この分野では感度を増大させるための光開始剤系について多くの研究がなされているが、長波長光において十分な感度を有するものは知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、近赤外光に対して高い感度を有する新規な光開始剤系及びそれを用いた光重合性組成物並びにそれを用いた光重合性エレメントを提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記式〔I〕で表されるナフタロシアニン化合物
【化2】
(式中MはH2、金属又は半金属を示し、Yは置換基又は配位子を示し、MがH2の場合はn=0であり、Mが金属又は半金属の場合には、n=0、1又は2であり、n=2の場合、2個のYは同一でも相違してもよく、A1、A2、A3及びA4で表される環は置換基が結合してもよいナフタレン環を示し、置換基は同一でも相違してもよい)を含有してなる光開始剤に関する。
【0005】
また、本発明は上記のナフタロシアニン化合物と下記式〔II〕で表されるs−トリアジン化合物
【化3】
(式中R1、R2及びR3は置換基を示し、その少なくとも1つはトリハロメチル基とされ、R1、R2及びR3は同一でも相違してもよい)を含有してなる光開始剤系、上記のナフタロシアニン化合物と下記式〔III〕で表されるN−アリール−α−アミノ酸
【化4】
(式中R4、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立に水素原子、炭素数が1〜12のアルキル基又はハロゲン原子であり、R9は水素原子、炭素数が1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、炭素数が1〜12のヒドロキシアルキル基、炭素数が2〜12のアルコキシアルキル基、炭素数が1〜12のアミノアルキル基又はアリール基であり、R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数が1〜8のアルキル基である。)を含有してなる光開始剤系並びに上記のナフタロシアニン化合物と有機過酸化物を含有してなる光開始剤系に関する。
【0006】
また、本発明は、これらの光開始剤又は光開始剤系と常圧において少なくとも100℃の沸点を有する付加重合性化合物を含有してなる光重合性組成物並びにこれらの光開始剤又は光開始剤系、常圧において少なくとも100℃の沸点を有する付加重合性化合物及び高分子有機重合体を含有し、高分子有機重合体を高分子有機重合体と付加重合性化合物の合計重量を基準として20〜80重量%とした光重合性組成物に関する。
【0007】
式〔I〕において金属としては、アルミニウム、インジウム、銅、ニッケル等があげられ、半金属としてはホウ素、ケイ素、ヒ素、テルル等があげられる。置換基又は配位子のYはトリアルキルシリルオキシ基、フェノキシ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、フェニル基等があげられる。ナフタレン環に結合してもよい置換基としては、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、フェニル基、カルボキシル基、アセチル基、シアノ基等があげられる。式〔II〕におけるR1、R2及びR3には、特に制限はない。
【0008】
式〔I〕で表されるナフタロシアニン化合物としては
(1) 〔(n−C3H7)3SiO〕2SiNc
(但し、Ncはナフタロシアニン骨格を表す。以下同様。)
ビス(トリ−n−プロピルシロキシ)ナフタロシアノ−シリコン
(2) 〔(n−C6H13)3SiO〕2SiNc
ビス(トリヘキシルシリルオキシ)ナフタロシアノ−シリコン
(3) 〔(C2H5)3SiO〕2GeNc
ビス(トリエチルシリルオキシ)ナフタロシアノーゲルマニウム
(4) 〔(n−C4H9)3SiO〕2SnNc
ビス(トリ−n−ブチルシリルオキシ)ナフタロシアノースズ
(5) C6H5OA1Nc〔Si(CH3)3〕4
テトラキス(トリメチルシリル)ナフタロシアノ−フェノキシアルミニウム
(6) 〔(n−C3H7)3SiO〕2TiNc〔Si(CH3)3〕4
ビス(トリ−n−プロピルシリルオキシ)−テトラキス(トリメチルシリル)ナフタロシアノ−チタン
(7) C1A1Nc
ナフタロシアノ−クロロアルミニウム
(8) H2Nc
ナフタロシアノ−ハイドロゲン
(9) 〔HO〕2SiNc
ナフタロシアノ−ジヒドロキシシリコン
(10) CoNc
コバルトナフタロシアニン
(11) OA1Nc
ナフタロシアノ−オキシアルミニウム
(12) C6H5InNc〔tert−C4H9〕4
テトラ−tert−ブチル−ナフタロシアノ−フェニルインジウム
(13) CuNc〔(CN3)3Si〕4
テトラ(トリメチルシリル)ナフタロシアノ−カッパー
(14) NiNc〔CH3)3Si〕4
テトラ(トリメチルシリル)ナフタロシアノ−ニッケル
(15) CoNc〔(CH3)3Si〕4
テトラ(トリメチルシリル)ナフタロシアノ−コバルト
(16) GeNc〔(C2H5)3Si〕4
テトラ(トリエチルシリル)ナフタロシアノ−ゲルマニウム
PdNc〔(CH3)3Si〕4
テトラ(トリメチルシリル)ナフタロシアノ−パラジウム
(18) PbNc〔(CH3)3Si〕4
テトラ(トリメチルシリル)ナフタロシアノ−鉛
(19) OVNc〔(CH3)2PhSi〕4
テトラ(ジメチルフェニルシリル)ナフタロシアノ−バナジル
(20) 〔(CH3)3SiO〕2SiNc〔Si(CH3)2C6H5〕4
ビス(トリメチルシリルオキシ)−テトラキス(ジメチルフェニルシリル)ナフタロシアノ−シリコン
(21) (C2H5O)2SiNc〔Si(C6H5)3〕4
ビスエトキシ−テトラキス(トリフェニルシリル)ナフタロシアノ−シリコン
(22) 〔(C6H5)3SiO〕2SiNc〔Si(C2H5)3〕4
ビス(トリフェニルシリルオキシ)−テトラキス(トリエチルシリル)ナフタロシアノ−シリコン
(23) 〔(C2H5)SiO〕2GeNc〔Si(CH3)2−n−C14H29〕4ビス(トリエチルシリルオキシ)−テトラキス(ジメチルテトラデシルシリル)ナフタロシアノ−ゲルマニウム
などがあげられる。
【0009】
式〔II〕で表されるs−トリアジン化合物としては2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(ジクロロメチル)−6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−プロピオニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンゾイル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−(p−シアノフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ニトロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クメニル)−4,6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(p−メトロキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−アミノフェニル)−4,6−ビス(トリクロロリメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(p−メトキシフェニル)−6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2,4−ビス(m−クロロフェニル)−6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−アミノスチリル)−4,6−ビス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4′−メトキシ−1′−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(6′−クロロ−1′−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(6′−ニトロ−1′−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4′−シアノ−1′−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどがあげられる。
【0010】
式〔III〕で表されるN−アリール−α−アミノ酸としては、p−クロロ−N−エチルフェニルグリシン、N−メチルフェニルグリシン、p−クロロ−N−メチルフェニルグリシン、p−ブロム−N−メチルフェニルグリシン、p−シアノ−N−フェニルグリシン、p−クロロ−N−フェニルグリシン、p−クロロ−N−プロピルフェニルグリシン、p−シアノ−N−メチルフェニルグリシンなどがあげられる。
【0011】
有機過酸化物としては、ターシャリーブチルオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロロオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α−ビスa(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、3,3′,4,4′,−テトラ−(−t−ブチロパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−クミルパーオキサイドなどがあげられる。使い易さの点で、10時間半減期温度が100℃以上の有機過酸化物を用いることが好ましい。
【0012】
光重合性組成物に含まれる付加重合性化合物は常圧において少なくとも100℃の沸点を有するものが用いられる。常圧において沸点が100℃より低いようなものでは系内に含有する溶剤を乾燥等によって除去する際又は活性光線を照射する際該付加重合性化合物が揮散して特性上及び作業性上好ましくないからである。また、該付加重合性化合物は光開始剤等と均一な組成物にするために用いられる有機溶剤に可溶なものが好ましい。
【0013】
有機溶剤は、芳香族系、ハロゲン系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、飽和炭化水素系、脂環式炭化水素系、エステル系溶剤等を用いることが出来る。芳香族系溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリメチルベンゼン、1−クロロナフタレン、キノリン等があり、ハロゲン系溶剤としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン等があり、エーテル系溶剤としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等があり、ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロペンタノン、アセトンアルコール等があり、アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等があり、飽和炭化水素系溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等があり、脂環式炭化水素系溶剤としては、シクロオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等があり、エステル系溶剤としては酢酸エチル、酢酸プロピル等が用いられる。
【0014】
常圧において少なくとも100℃の沸点を有する付加重合性化合物としては多価アルコールとα,β−不飽和カルボン酸とを縮合して得られるもの、例えばジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(ジアクリレート又はジメタアクリレートの意味、以下同じ)、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト−ルヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリト−ルヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン等、グリシジル基含有化合物にα、β−不飽和カルボン酸を付加して得られるもの、例えばトリメチロールプロパントリグリシジルエ−テルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、新中村化学(株)製、商品名BPE−500(2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンの混合物)等、不飽和アミド例えばメチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド等、ビニルエステル例えばジビニルフタレート、ジビニルテレフタレート、ジビニルベンゼン−1,3−ジスルホネート等が用いられる。この付加重合性化合物は、2種以上を用いてもよい。
【0015】
本発明においては、常圧において少なくとも100℃の沸点を有する付加重合性化合物100重量部(高分子量有機重合体を用いる場合には、この付加重合性化合物と高分子量有機重合体との総量100重量部)に対して、上記の式〔I〕で表されるナフタロシアニン化合物を0.001から2.0重量部、上記の式〔II〕で表されるs−トリアジン化合物、式〔III〕で表されるN−アリール−α−アミノ酸又は有機過酸化物を0.01から10重量部の範囲で用いることが好ましい。
【0016】
本発明になる光重合性組成物は、必要に応じて1種以上の高分子有機重合体を含有しても良い。高分子有機重合体は熱可塑性であり、分子量は10,000〜700,000を有するものが好ましい。例えば次のものが用いられる。
(A) コポリエステル
多価アルコール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ナオペンチルグリコール等と多価カルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、セパシン酸、アジピン酸等とから製造したコポリエステル
(B) ビニルポリマ
メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸又はアクリル酸のアルキルエステル例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、ビニルクロライド、ビニルブチラール等のビニル単量体のホモポリマ又はコポリマ
(C) ポリホルムアルデヒド
(D) ポリウレタン
(E) ポリカーボネート
(F) ナイロン又はポリアミド
(G) セルロースエステル例えばメチルセルロース、エチルセルロース
【0017】
光重合性組成物に高分子有機重合体を加えることによって基体への接着性、耐薬品性、フィルム性等の特性を改良することができる。この高分子有機重合体は、光硬化性の点から該高分子有機重合体と前記の付加重合性化合物の合計重量を基準として20〜80重量%の範囲とすることが好ましい。
【0018】
本発明になる光重合性組成物は、必要に応じて染料、顔料等の着色物質を含有してもよい。本発明になる光重合性組成物は保存時の安定性を高めるためにラジカル重合禁止剤又はラジカル重合抑制剤を含有してもよい。このようなものとしてはp−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、フェノチアジン、アリールフォスファイト等がある。本発明になる光重合性組成物は光重合性組成物に用いることが知られている他の添加物、例えば可塑剤、接着促進剤等の添加物を含有してもよい。
【0019】
本発明になる光重合性組成物は印刷工業、エレクトロニクス、塗料、医療、情報記録、インキなど光反応に関する幅広い分野に利用出来る。使用される活性光線源は主に600〜900nmの波長の活性光線を発生するものが用いられる。このような光源としては水銀灯、キセノン灯、色素レーザー、ラマンレーザー、半導体レーザー、クリプトンレーザー等がある。本発明になる光重合性組成物はポリエチレンテフタレートフィルム等支持体上に塗布乾燥されて基板上にラミネート(積層)され活性光線に露光されて印刷刷版を製造したり、エッチング又はメッキにより回路を形成するためのホトレジストとしても使用できる。支持体としてはポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等の有機重合体フィルムが用いられ、基板としては、銅板、アルミニューム板、鉄板等の金属板及び銅はくを表面に張った積層板(ガラスエポキシ基材、紙フェノール基材等)等が用いられる。
【0020】
【作用】
本発明になる新規な光開始剤系が可視光及び近赤外光に対し高い感度を与える理由は上記の式〔I〕で表されるナフタロシアニン化合物が光を吸収し、この光エネルギーを何らかの形で上記の式〔II〕で表されるs−トリアジン化合物が受け取り、分解して活性ラジカルを発生するためと考えられるが詳しい機構は未だ明らかではない。
【0021】
【実施例】
本発明の実施例を説明する。ここで、部、%はそれぞれ重量部、重量%を意味する。
上記に示す光重合性組成物の成分を撹拌溶解し、23μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)社製、商品名「ルミラー」)上にバーコーターを用いて塗布し80℃の熱風対流式乾燥機で約10分乾燥して光重合性エレメントを得た。乾燥した光重合性組成物層の厚さは20μmであった。次にゴムロールで加圧・加熱して積層するラミネーターを用いて清浄な表面を有する0.5mm厚のアルミニウム板上に光重合性組成物層と銅面が接するようにゴムロール温度を80℃として光重合性エレメントを積層した。積層したサンプルのポリエチレンテレフタレートフィルム側から、ビーム径120μm、波長780nm、光出力1.9mWの半導体レーザーによる静止露光を行った。その後ポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し30℃で、1%Na2CO3水溶液に浸漬することによって未硬化部分を溶出させて、残膜の直径が0.3mmになるのに必要な照射時間を調べ、これを感度とした。表に感度の比較を示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】
本発明により、近赤外光に高い感度を示す光開始剤、光開始剤系を用いた光重合性組成物が得られる。
Claims (4)
- 請求項1記載の光開始剤系及び常圧において少なくとも100℃の沸点を有する付加重合性化合物を含有してなる光重合性組成物。
- 請求項1記載の光開始剤系及び常圧において少なくとも100℃の沸点を有する付加重合性化合物並びに高分子有機重合体を含有し、高分子有機重合体を高分子有機重合体と付加重合性化合物の合計重量を基準として20〜80重量%とした光重合性組成物。
- 請求項2又は3記載の光重合性組成物を支持体上に塗布乾燥してなる光重合性エレメント
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