JP3780891B2 - X線透視撮影装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば非破壊検査等に用いられるX線透視撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業用のX線透視撮影装置においては、一般に、X線源に対向してイメージインテンシファイアおよびCCDカメラ等からなるX線カメラをはじめとするX線画像検出手段を配置し、こられの間には、試料(透視対象物)を搭載してX線光軸方向を含む互いに直交する3軸方向に移動可能な試料ステージが配置された構造を採る。また、この試料ステージもしくはX線画像検出手段をX線光軸に沿った軸の回りに回転させる回転機構を備えた構造を採る。また、試料ステージ上の試料のX線透視方向を変化させるべく、X線画像検出手段をX線光軸に対して傾動できるようにした、いわゆるX線画像検出手段傾動機構を備えたものもある。
【0003】
以上の試料ステージを各軸方向に移動させたり回転させ、あるいはX線カメラを傾動させるには、従来、操作盤に設けられたそれぞれの動作に対応する押しボタンスイッチや、ジョイスティックを操作することによって、各動作に対応して設けられているモータのうちの該当のものに駆動信号が供給されて、オペレータが所望する動作が行われるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上の従来のX線透視撮影装置においては、試料ステージやX線カメラの各動作軸に対応した独立の操作を、それぞれの軸の動作に対応して操作盤に配置された押しボタンスイッチ等の操作手段、具体的には、試料ステージを3軸方向両側の向きに移動させるための6つの操作手段と、試料ステージもしくはX線画像検出手段を正逆両側に回転させるための2つの操作手段、およびX線画像検出手段を正負両側に傾動させるための2つの操作手段の合計10個の操作手段を個別に操作することによって行う必要があり、オペレータは試料のX線透視像を表示する表示器の表示画面を見ながら、各軸の押しボタンやジョイスティック等の操作手段を操作して、所望の位置や角度での試料のX線透視像を得なければならず、その作業は困難で、熟練者でも比較的長時間を要するという問題があった。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、従来のこの種の装置に比して、試料ステージの位置決めや回動、およびX線カメラの傾動をより簡単に行うことができ、もって試料の非破壊検査等の作業効率を向上させることのできるX線透視撮影装置の提供を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のX線透視撮影装置は、X線源と、そのX線源に対向配置されたX線画像検出手段との間に、試料を載せるための試料ステージが配置されているとともに、その試料ステージをX線光軸方向を含む互いに直交する3軸方向に独立的に移動させるステージ移動機構と、上記試料ステージもしくはX線画像検出手段をX線光軸に沿った軸を中心として回転させる回転機構と、上記X線画像検出手段をX線光軸に対して傾動させるX線画像検出手段傾動機構と、そのX線画像検出手段の出力を用いて試料のX線透視像を表示する表示器を備えたX線透視撮影装置において、上記表示器の表示画面上に、X線透視像の表示エリアに近接もしくは重畳して、上記ステージ移動機構の各軸、回転機構およびX線画像検出手段傾動機構をそれぞれ駆動するための各操作部を一括表示する操作部表示エリアが設定され、その操作部表示エリアの各操作部を、ポインティングデバイスを用いて操作することにより該当の機構に対して駆動信号が与えられるように構成されているとともに、上記操作部表示エリアに近接もしくは重畳して、当該操作部表示エリアの各操作部を操作することによる試料のX線透視像の動きと同じ向きの動きをする擬似的な試料のアニメーション表示が設けられていることによって特徴づけられる。
【0007】
本発明は、試料テーブルの各軸方向への移動、試料テーブルまたはX線画像検出手段の回転、およびX線画像検出手段の傾動のための操作部を、表示器の表示画面上に、試料のX線透視像と併せて一括集中させて表示するとともに、その操作部の操作による試料のX線透視像の動きを擬似的にアニメーション表示することにより、目的を達成しようとするものである。
【0008】
すなわち、試料のX線透視像に近接もしくは重畳させて各操作部を表示器の画面上に表示することにより、オペレータは、操作部と、その操作により移動ないしは回動・傾動させるべき対象物の像との双方を同一の視野内に入れた状態で操作することができ、操作による結果を視覚的に把握しながら操作することが可能となり、操作性を大幅に向上させることができ、加えて、操作部の操作による試料のX線透視像の動きと同じ向きの動きをする擬似的な試料のアニメーション像の表示によって、操作の方向や向きを誤る可能性を大幅に少なくすることができ、操作性がより一層向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態の全体構成図で、機械的構成を表す模式図と電気的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。
【0010】
X線源1はそのX線光軸Lを鉛直上方に向けて配置されており、このX線源1に対向してX線カメラ2が設けられている。また、これらのX線源1とX線カメラ2の間には、被検体、つまり透視対象である試料Wを載せるための試料ステージ3が配置されている。
【0011】
X線カメラ2は、例えばイメージインテンシファイアとCCDカメラを組み合わせた公知のものであり、このX線カメラ2はモータ4aを駆動源とする傾動機構4によって、X線源1を中心として傾動させることができ、X線光軸Lに対する傾動角度θを任意に変化させることができるようになっている。この傾動機構4によるX線カメラ2の傾動は、鉛直のX線光軸Lの方向をz軸、そのz軸に直交する水平面上で互いに直交する方向をx,y軸にとったとき、この例においてはz−x平面上において行われるようになっている。
【0012】
試料ステージ3は回転テーブル5の上に載せられているとともに、その回転テーブル5はx−y−zテーブル7の上に載せられている。回転テーブル5は、モータ6aを駆動源とする回転機構6によってz軸に沿った回転軸を中心として回転し、また、x−y−zテーブル7は、ステージ移動機構8の3つのモータ8x,8y,8zを駆動することによって、それぞれx,yおよびz軸方向に独立的に移動する。従って、試料ステージ3は、x,y,z軸方向に移動させることができるとともに、鉛直のz軸の回りに回転させることができる。
【0013】
前記した傾動機構4のモータ4aと、回転機構6のモータ6a、およびステージ移動機構8の各モータ8x,8y,8zは、それぞれに対応して設けられているドライバ(図示せず)を介して制御装置10から供給される駆動信号によって制御される。
【0014】
制御装置10はコンピュータとその周辺機器を主体とするものであって、表示器11と、この表示器11の画面上の任意の位置をポインティングすることのできるマウス12が接続されている。
【0015】
また、前記したX線カメラ2の各画素出力は、画像取込回路13を介して制御装置10に取り込まれ、制御装置10では、この各画素出力を用いて、試料WのX線透視像を表示器11に表示する。
【0016】
表示器11は、試料WのX線透視像を表示すると同時に、以下に示すように、試料ステージ3の回転機構6およびステージ移動機構8並びにX線カメラ2の傾動機構4を操作するための操作部を表示するように設定されている。
【0017】
すなわち、図2(A)に表示器11による表示例を示すように、表示器11の表示画面上には、X線カメラ2の出力に基づくX線透視像を表示する透視像表示エリアApと、各機構を動作させるための操作部を表示するための操作部表示エリアAmが互いに隣接して設けられている。
【0018】
操作部表示エリアAmは、図2(B)にその拡大図を示すように、X線カメラ2の傾動機構4を操作するための傾動操作部41a,41bと、試料ステージ2を回転させるための回転機構6を操作するための試料回転操作部61a,61bと、試料ステージ2を3軸方向に移動させるステージ移動機構8のx軸およびy軸を操作するためのステージx−y移動操作部81が表示されているとともに、中央部には各操作部と一部重畳した状態で疑似被検体Qがアニメーション表示されている。
【0019】
各操作部41a,41b、61a,61b、および81は、マウス12を右クリックしてポインティングすることによって機能させることができる。すなわち、傾動操作部41aを右クリックすることによって、X線カメラ2の傾動角度θを増大させるべく制御装置10からモータ4aに駆動信号が供給され、傾動操作部41bを右クリックすることによって同じく傾動角度θを減少させるべくモータ4aに駆動信号が供給される。また、試料回転操作部61aを右クリックすることによって、試料ステージ3が平面視で半時計回りに回動するようにモータ6aに駆動信号が供給され、試料回転操作部61bを右クリックすることによって同じく時計回りに試料ステージ3が回動するようにモータ6aに対して駆動信号が供給される。更に、ステージx−y移動操作部81の各矢印のうち、矢印81aおよび81bを右クリックすることによって、試料ステージ3がそれぞれ平面視でy軸に沿って矢印で示される向きに移動するようにモータ8yに対して駆動信号が供給され、矢印81cおよび81dを右クリックすることによって、試料ステージ3がそれぞれ平面視でx軸方向矢印で示される向きに移動するようにモータ8xに対して駆動信号が供給される。
【0020】
更に、この操作部表示エリアAmの上半分または下半分を、それぞれ左クリックでポインティングすることによって、ステージ移動機構8をz軸に沿って上昇させ、または下降させるようにモータ8zに対して駆動信号を供給し、これによって試料Wの撮影倍率が変化する。なお、図1において図示を省略しているが、この種のX線透視撮影装置においては、X線カメラ2をz軸方向に移動させる機構を備えており、操作部表示エリアAmの上半分もしくは下半分をそれぞれ左クリックすることによって試料ステージ3を上昇または下降させたとき、試料ステージ3の上昇限または下降限に達した後は、自動的にX線カメラ2の上昇または下降運動に切り換えるように構成することが望ましい。
【0021】
そして、以上の各操作に対応して、操作部表示エリアAmの疑似被検体Qが模擬的に移動ないしは回転し、あるいは試料ステージ3をz軸方向に移動させることによって、疑似被検体Qはズームアウトないしはズームインと同様に小さくなったり大きくなる。
【0022】
以上の本発明の実施の形態によると、試料Wの所望の位置を所望の倍率で所望の角度から透視するように試料ステージ3並びにX線カメラ2の位置や姿勢の設定を行うに当たっては、オペレータは、表示器11の透視像表示エリアApの試料WのX線透視像と、そのエリアApに隣接する操作部表示エリアAmの双方を視野内に入れた状態で、マウス12を用いて操作部表示エリアAmの各操作部を操作することができる。
【0023】
また、試料Wの位置や角度を変更する際、試料WのX線透視像と定性的には同じ動きをする疑似被検体Qを見ながら操作することができるので、操作ミスなどが生じにくく、ゲーム感覚で操作することができる。
【0024】
なお、以上の実施の形態においては、操作部表示エリアAmの各操作部のポインティングをマウス12を用いて行うよう例を示したが、そのポインティングは他のポインティングデバイスを用いて行うようにし得ることは勿論であり、また、表示器11の操作部表示エリアAmをタッチパネルとして、オペレータの指で直接ポインティングすることもできる。
【0025】
ここで、以上の実施の形態においては、表示器11の画面上に、透視像表示エリアApに近接して操作部表示エリアAmを配置した例を示したが、透視像表示エリアApと操作部表示エリアAmを重畳させて設けてもよい。これらを重畳させて表示する場合、図2に示すように各操作部に対応する矢印を表示したのでは、X線透視像とその矢印が重畳表示される可能性があるため、矢印等を表示せず、画面上に各操作部に対応する領域を設定しておき、その領域をクリックする等によって該当の操作が行われたとして該当のモータに駆動信号が供給されるように構成することが好ましい。
【0026】
更に、本発明は、傾動機構2の傾動時に試料WのX線透視像が表示器11の透視像表示エリアApからずれることを防止するために、その傾動に追随して試料ステージ3を移動させる、公知のトラッキング機構を併用することを妨げるものではない。
【0027】
更にまた、以上の実施の形態においては、試料ステージ3をX線光軸に沿った軸を中心として回転させる例を示したが、試料ステージ3を回転させずに、X線カメラ2をX線光軸に沿った軸を中心として回動させるタイプの装置にも等しく適用し得ることは勿論である。
【0028】
また、以上の実施の形態においては、イメージインテンシファイアとCCDカメラを組み合わせたX線カメラ2によってX線画像を検出する例を示したが、X線画像検出手段としては、他の公知の手段、例えばフラットパネルなどを用いたX線画像検出手段を用い得ることは言うまでもない。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、試料ステージの各軸方向への移動、試料ステージまたはX線画像検出手段の回転、およびX線画像検出手段の傾動のための各操作部を、試料のX線透視像を表示する表示器の表示画面上に表示し、その表示された操作部をポインティングデバイスにより操作することによって、該当の移動機構や回転機構、あるいは傾動機構に対して駆動信号が供給されるので、操作部と試料のX線透視像を同一の視野に入れながらの操作が可能となり、従来のように表示器から離れた位置の操作盤上に設けられた押しボタンやジョイスティックを用いて操作する場合に比して、その操作性を大幅に向上させることができ、ひいては試料の位置決め等に要する時間を短縮化することができる。
【0030】
しかも、各操作部の操作による試料のX線透視像の動きと同じ向きの動きをする擬似的な試料のアニメーション表示を各操作部に近接もしくは重畳させて表示するので、操作ミスを可及的に少なくすることができ、ゲーム感覚で試料の位置決め等を行うことができ、操作性をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の全体構成図で、機械的構成を表す模式図と電気的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。
【図2】 図1の実施の形態の表示器11による表示例の説明図で、(A)は全体の表示画面を示す図であり、(B)はその操作部表示エリアAmの拡大図である。
【符号の説明】
1 X線源
2 X線カメラ
3 試料ステージ
4 傾動機構
4a モータ
5 回転テーブル
6 回転機構
6a モータ
7 x−y−zテーブル
8 ステージ移動機構
8x,8y,8z モータ
10 制御装置
11 表示器
12 マウス
13 画像取込回路
41a,41b 傾動操作部
61a,61b 回転操作部
81 x−y移動操作部
Am 操作部表示エリア
Ap 透視像表示エリア
Q 疑似被検体
W 試料
Claims (1)
- X線源と、そのX線源に対向配置されたX線画像検出手段との間に、試料を載せるための試料ステージが配置されているとともに、その試料ステージをX線光軸方向を含む互いに直交する3軸方向に独立的に移動させるステージ移動機構と、上記試料ステージもしくはX線画像検出手段をX線光軸に沿った軸を中心として回転させる回転機構と、上記X線画像検出手段をX線光軸に対して傾動させるX線画像検出手段傾動機構と、そのX線画像検出手段の出力を用いて試料のX線透視像を表示する表示器を備えたX線透視撮影装置において、
上記表示器の表示画面上に、X線透視像の表示エリアに近接もしくは重畳して、上記ステージ移動機構の各軸、回転機構およびX線画像検出手段傾動機構をそれぞれ駆動するための各操作部を一括表示する操作部表示エリアが設定され、その操作部表示エリアの各操作部を、ポインティングデバイスを用いて操作することにより該当の機構に対して駆動信号が与えられるように構成されているとともに、上記操作部表示エリアに近接もしくは重畳して、当該操作部表示エリアの各操作部を操作することによる試料のX線透視像の動きと同じ向きの動きをする擬似的な試料のアニメーション表示が設けられていることを特徴とするX線透視撮影装置。
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