JP3778027B2 - 記録材及び電飾用記録材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は記録材に関し、より詳しくは電飾用として使用可能な記録材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピューターの性能向上およびコンピューターの普及とともに、ハードコピー技術が急速に発達した。ハードコピーの記録方式としては、昇華転写記録方式、電子写真方式、インクジェット方式等の方式が知られている。
インクジェット方式によるプリンターは、ノズルから被記録紙に向けてインク液滴を高速で噴射する方式である。カラー化、小型化がしやすいこと、印字騒音が低いことから、オフィス、ホーム、パーソナルコンピューター等の端末として、近年急速に普及しつつある。更に、銀塩写真に迫る印画品質の向上、大型化の容易さから、大型看板等の産業分野への応用が期待されている。その中でも後方から光を当てて鑑賞する電飾においての使用が注目されている。
【0003】
インクジェット方式による印刷は、ハードの性能だけではなく記録材の性質により大きく作用され、様々な記録材が開発されている。
しかし、電飾で使用可能な記録材はなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、現在市販されている記録材及び無数の試作品を作成して種々の調査を重ね、電飾でも使用可能になる為に必要な性質が如何なるものか検討してきた。
【0005】
その結果、以下の性質が必要であると判明した。
(1)適度な隠蔽性と一定以上の光散乱性
後方の光を散乱させて、光源の形をぼやかす必要があるからである。
(2)透過及び反射で共に高い発色濃度
光の照射時、及び非照射時共に高い発色濃度を表現する必要があるからである。
【0006】
これらの性質の中で、(1)の性質は不透明な基材上にインク吸収層を設けたもの、或いは透明な基材上に半透明なインク吸収層を設けたもの等が考えられるが、(2)の性質、特に光照射時に高い発色濃度を持たせることは困難であった。つまり、上記の性質を全て満足するものは従来無かった。従って、本発明は上記の性質を全て有する記録材、特に電飾用記録材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の発明によって達成される。
(1)光透過性の基材の片面に、インク吸収層とインク通過層の少なくとも2層からなるインク受容層を当該インク吸収層が基材上に隣接するように設けた記録材において、インク通過層は粒子と結合材から主に構成され、かつシリコン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤をインク通過層の固形分に対し、1〜20重量%含有し、屈折率1.47以上1.60以下の粒子(以下、粒子Aともいう)をインク通過層に3g/m2以上15g/m2以下含有することを特徴とする記録材。
(2)粒子Aがインク通過層にのみ存在していることを特徴とする上記(1)記載の記録材。
(3)インク通過層に含有されている粒子が有機粒子であることを特徴とする上記(1)記載の記録材。
(4)粒子Aがベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物であることを特徴とする上記(3)記載の記録材。
(5)インク通過層に含有されている粒子の平均粒子径が0.5〜10μmであることを特徴とする上記(1)記載の記録材。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の記録材のインク受容層に顔料インクを用いて印刷を施し、当該インク受容層側を光照射側、基材側を鑑賞側とすることを特徴とする電飾用記録物。
(7)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の記録材のインク受容層に染料インクを用いて印刷を施し、当該インク受容層側を光照射側、基材側を鑑賞側とすることを特徴とする電飾用記録物。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において、記録材とはインク等により受像可能な染色用の受像体をいう。本発明においては、インク受容層中に含有させる粒子の屈折率は1.47以上1.60以下であり、好ましくは1.48以上1.60以下、より好ましくは1.55以上1.59以下である。
【0009】
この範囲の屈折率の粒子を含有することにより適度な隠蔽性と光散乱性を所有することができる。屈折率が1.60を超える粒子を用いた場合には隠蔽力と光散乱力がバランスせずに隠蔽力が強くなりすぎる。逆に屈折率が1.47よりも小さい粒子を用いると隠蔽力が弱すぎる。従って屈折率は1.47以上1.60以下であることが必要である。
【0010】
本発明において、屈折率は下記の通りにして行われる。
一般に行われる浸液法で、屈折率の既知の液体中に粒子を入れ、ベッケ線が消えたときの液体の屈折率より求める。
【0011】
粒子Aのインク受容層中における含有量は、3g/m2 以上15g/m2 以下であり、好ましくは5g/m2 以上14g/m2 以下、より好ましくは6g/m2 以上12g/m2 以下である。単位面積あたりの量も多すぎると隠蔽力が強すぎ、少なすぎると光散乱効果が弱まる為、3g/m2 以上15g/m2 以下の範囲で含有することが必要であり、この範囲に成るようにインク受容層の厚み粒子の含有率を調整する必要がある。
【0012】
更に、測定値には現れないが、実際に鑑賞する際には、本発明の範囲にて粒子を用いると鮮やかで発色濃度の高い画像として観察される。これは、図1のモデル図の様に屈折率は1.47以上1.60以下の粒子をインク受容層に含有させると、散乱光によりインク付着部が実際よりも大きく見える効果がある。それに対して、図2のモデル図の様に屈折率は1.47未満粒子をインク受容層に含有させると、光散乱が小さい為にこの効果が見られない。
【0013】
粒子Aの形状はいかなるものでも使用でき、その大きさは、0.1〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmである(粒径は COULTER MULTISIZER により求めた平均粒径)。
【0014】
粒子Aとしては、例えば、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、ベンゾグアナミン粒子、ポリスチレン系粒子、ポリアクリル系粒子等が挙げられるが、隠蔽性、光分散性の機能を良好にする為に、上記の粒子Aに該当するものが主であることが好ましい。
【0015】
本発明において、基材は光透過性であれば特に限定されるものではないが、通常光線透過率が80%以上、好ましくは82%以上、より好ましくは85%以上である。例えば、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、アクリル等のプラスティックフィルム、ガラスおよびこれらの任意の2種類以上のものを貼り合わせたものが挙げられる。この光線透過率は、ASTM D−1003に準じて測定される。
【0016】
基材の厚みは、通常25〜250μm、好ましくは50〜188μm、より好ましくは75〜125μmである。
【0017】
本発明においては、このような基材上にインク受容層を設けることにより、記録材が得られる。インク受容層は、この分野で使用されるインクにて印刷可能で、且つ印刷後インクを保持するためのものであり、かかる機能を有するものであれば特に制限はない。
【0018】
インク受容層は、インク吸収層とインク通過層の少なくとも2層で構成される。インク吸収層とは、インクを速やかに吸収し、印刷後はインクを保持する層である。
【0019】
インク吸収層としては、インク吸収能力を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えばインク吸収性を有する樹脂よりなるもの、毛管現象を有する構成よりなるものが例示される。
【0020】
インク吸収性を有する樹脂としては、かかる能力を有するものであれば特に制限はなく、例えば、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、スチレン−アクリル重合体、エチレン−酢酸ビニル重合体、デンプン、ポリビニルブチラール、ゼラチン、カゼイン、アイオノマー、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエンゴム等の樹脂及びそれらの変性樹脂のうち1種以上が所望により使用できる。好ましくは、ポリビニルアルコールである。この場合には公知の耐水性向上の処理が必要に応じて使用できる。
【0021】
多孔質にして毛管現象によるインク吸収性を持たせる場合には、粒子と結合材から構成させる。インク吸収層用の粒子(以下、粒子Bともいう)としては、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、ベンゾグアナミン粒子、架橋ポリスチレン、架橋アクリル粒子、水酸化アルミニウム等が挙げられる。そのなかでもシリカが好ましい。粒子Bとしては、粒子Aに該当するものを使用してもよいが、光散乱性はインク通過層に付与した方が好ましい為、粒子Aに該当する粒子Bの配合量が少ないほうが好ましい。
【0022】
インク吸収層の結合材は、特に限定されないが、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、スチレン−アクリル重合体、エチレン−酢酸ビニル重合体、デンプン、ポリビニルブチラール、ゼラチン、カゼイン、アイオノマー、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエンゴム等の樹脂及びそれらの変性樹脂のうち1種以上が使用できる。粒子Bと結合材の重量比はインク吸収能力と膜強度の関係から、3/1〜1/30、特に2/1〜1/20であることが好ましい。
【0023】
更に、湿気等の水分による染料の滲み、移動を防止する為にインク吸収性の樹脂はカチオン基、アニオン基を有するものが好ましい。当該基を有さない場合には、イオン性を有する樹脂、化合物を混合することが好ましい。これによりインク吸収能力の向上を図れ、更にインク中の染料をインク吸収層中に定着することができる。
【0024】
インク吸収層にはコート時のレベリング向上、コート液の脱泡、滲み低減等を目的に界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤はカチオン系、アニオン系、ノニオン系および非イオン性などいずれのものでも構わない。しかし、好ましくはシリコン系またはフッ素系界面活性剤が使用される。シリコン系界面活性剤としてはジメチルシリコン、アミノシラン、アクリルシラン、ビニルベンジルシラン、ビニルベンジシルアミノシラン、グリシドシラン、メルカプトシラン、ジメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリアルコキシシロキサン、ハイドロジエン変性シロキサン、ビニル変性シロキサン、ビトロキシ変性シロキサン、アミノ変性シロキサン、カルボキシル変性シロキサン、ハロゲン化変性シロキサン、エポキシ変性シロキサン、メタクリロキシ変性シロキサン、メルカプト変性シロキサン、フッ素変性シロキサン、アルキル基変性シロキサン、フェニル変性シロキサン、アルキレンオキシド変性シロキサンなどが挙げられる。フッ素系界面活性剤としては、4フッ化エチレン、パーフルオロアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルスルホン酸アミド、パーフルオロアルキルスルホン酸ナトリウム、パーフルオロアルキルカリウム塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩、パーフルオロアルキルりん酸エステル、パーフルオロアルキルアルキル化合物、パーフルオロアルキルアルキルベタイン、パーフルオロアルキルハロゲン化物などが挙げられる。これらの界面活性剤はインク吸収層のインク吸収性能が極度に低下しない程度に添加するのが好ましい。
【0025】
インク吸収層には各種の添加剤をインク吸収能力及び他の物性を損なわない程度に加えても構わない。かかる添加剤としては、例えば、蛍光染料、可塑剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0026】
インク吸収層を設ける方法は特に限定されず、例えばグラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式、バーコート方式などの通常用いられている方法が適用できる。コート量は特に限定されないが5g/m2 から50g/m2 であることが好ましい。
【0027】
基材とインク吸収層の密着性が不足する場合には、アンカーコート層を設けることが好ましい。アンカーコート層としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂など及びそれらの混合等が適用可能である。また、塗布層を設ける方法としては、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式など通常用いられている方法が適用できる。
【0028】
インク通過層とは、付与されたインクを速やかに吸収し、下層のインク吸収層までインクを通過させる機能を持つ層である。
インク通過層は、インクを速やかにインク吸収層に導く性質を有する必要がある。その為には、粒子(以下、粒子Cともいう)と結合材から主に構成させ、多孔質にすることが好ましい。
【0029】
粒子としては、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、ベンゾグアナミン粒子、架橋ポリスチレン、架橋アクリル粒子、水酸化アルミニウムなどの粒子等が挙げられるが、インクの通過性、隠蔽性、光分散性等の機能を良好にする為に最適な粒子を選択する必要がある。インク通過性の機能に関しては、粒子の表面にインク中の水分、染料を吸着しないものが良く、表面に水酸基等の親水性基の少ない有機系の粒子が好ましい。更に、隠蔽性と光分散性を持たせる為には屈折率が1.47から1.60が好ましい。この範囲の粒子を主成分として用いることにより適度な隠蔽性と優れた光分散性を両立することができる。従って、粒子Cとしては、粒子Aに該当するものを使用することが好ましく、粒子Cとしてその全てを粒子Aに相当するものを使用してもよい。粒子Cの配合量は粒子Bが粒子Aに相当する場合、それに応じて減少させる必要がある。つまり、本発明では粒子Aに相当する粒子Bと粒子Cとの和を3g/m2 〜15g/m2 とする必要がある。
【0030】
粒子Cを結合する樹脂としては、水に難溶性の樹脂であることが好ましい。例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、各種共重合体が挙げられるが、水分の吸着量の少ないアクリル系樹脂、アクリル・スチレン共重合体が好ましい。
【0031】
構成としては粒子と粒子を結合するバインダーから主に構成することが好ましい。粒子Cとバインダーの重量比率は1/1〜30/1の間であることが好ましい。更に好ましくは3/1〜20/1である。粒子量が少ないと粒子間の隙間が埋まり、インクが通過しにくくなる。逆に粒子量が多すぎると層の強度が低下してしまう。粒子径もインクの通過性に寄与する為、大きすぎるとインクの滲みの原因になり、小さすぎると膜がもろくなるという問題がある為、0.5〜5μmの粒径(COULTER MULTISIZERによって測定された平均粒径)のものが好ましい。
【0032】
インク通過層にはインク通過量を調節する為に、界面活性剤、ワックス等を添加することが好ましい。界面活性剤には、特に水分の表面張力を低下させ得るシリコン系界面活性剤を用いる。界面活性剤は、通過層中に存在してインクの付着量を低下させるのみならず、インク中に溶けて、インクの表面張力を低下することができる。この作用によりインクの表面張力によるインク吸収性の影響を低下できる。また、このインク通過性の向上によりインクの滲みの低下としても作用する。
【0033】
シリコン系界面活性剤としてはジメチルシリコン、アミノシラン、アクリルシラン、ビニルベンジルシラン、ビニルベンジルアミノシラン、グリシドシラン、メルカプトシラン、ジメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリアルコキシシロキサン、ハイドロジエン変性シロキサン、ビニル変性シロキサン、ヒドロキシ変性シロキサン、アミノ変性シロキサン、カルボキシル変性シロキサン、ハロゲン化変性シロキサン、エポキシ変性シロキサン、メタクリロキシ変性シロキサン、メルカプト変性シロキサン、フッ素変性シロキサン、アルキル基変性シロキサン、フェニル変性シロキサン、アルキレンオキシド変性シロキサンなどが挙げられる。フッ素系界面活性剤としては、4フッ化エチレン、パーフルオロアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルスルホン酸アミド、パーフルオロアルキルスルホン酸ナトリウム、パーフルオロアルキルカリウム塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩、パーフルオロアルキルりん酸エステル、パーフルオロアルキル化合物、パーフルオロアルキルアルキルベタイン、パーフルオロアルキルハロゲン化物などが挙げられる。含有量は界面活性剤の種類により異なるがインク通過層の固形分に対して1重量%以上20重量%以下含有する。1重量%未満であるとその効果が十分にでない。20重量%を越える場合にはインク通過層の強度が低下する問題がある。
【0034】
インク通過層を設ける方法は特に限定されるものではなく、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式、バーコート方式など通常用いられている方法が適用できる。コート量は屈折率が1.47以上1.60以下の粒子が3g/m2 以上15g/m2 以下になるように制御する必要がある。
【0035】
基材のインク受像層を設けていない面は、光線透過率を極度に低下させなければ各種の加工をすることができる。紫外線吸収剤、帯電防止剤を含有する層、傷防止の為のハードコート層、光沢低下のための層等が挙げられる。
【0036】
インク受容層の厚みは、通常1〜100μm、好ましくは2〜50μm、より好ましくは5〜30μmである。インク受容層がインク吸収層とインク通過層とを有する場合、インク吸収層の厚みは通常1〜100μm、好ましくは2〜30μm、より好ましくは5〜20μmであり、インク通過層の厚みは通常1〜100μm、好ましくは2〜30μm、より好ましくは3〜20μmである。
【0037】
本発明の記録材の使用方法としては、噴射されたインクをインク受容層で吸収して発色させ、インク受容層側から光を照射し、基材側から鑑賞することにより使用される。
【0038】
本発明の記録材に対して使用されるインクは如何なるものでよく、インクの表面張力、粘度の影響なしに発色が良好である。インク中の溶媒としては、水が主成分であることが好ましい。
【0039】
更に使用するインクは、直接染料、酸性染料あるいは食品用色素等の水溶性染料を溶解したインク(染料インク)、及び顔料を分散せしめたインク(顔料インク)を使用できる。
かくして得られた記録材は、銀塩写真のような光沢度の高い、高品質、高品位の記録ができ、かつ、インク受像層側から光を照射しうる電飾で使用可能なものである。
【0040】
【実施例】
次に本発明の実施例および比較例を示す。
まず、本発明に用いる測定・評価方法を以下に示す。
1)記録方法
染料タイプのインクジェットプリンター((株)enCAD製 NOVAJET PRO)と純正インク(即ち、GA−ブラック、GA−シアン、GA−マゼンダ、GA−イエロー)を使用して印刷した。
顔料タイプのインクジェットプリンター(武藤工業株式会社製 RJ−1300)と純正インク(即ち、BJW−IN−BK,BJW−IN−CY,BJW−IN−MA,BJW−IN−YE)を使用して印刷した。
【0041】
2)発色濃度
上記の顔料タイプのプリンターを使用して黒べたの画像を記録し、マクベス濃度計TR−927を用いて黒インク記録部を基材側から反射濃度と透過濃度を測定した。
【0042】
3)全光線透過率
JIS−K6714に準じ、ポイック積分球式H.T.Rメーター(日本精密光学製)を用い、フィルムの全光線透過率を測定した。この値が小さい程隠蔽性が高い。
【0043】
4)記録画像の品質
数種類の写真調の画像を上記の2種類のプリンターを用いて記録し、記録画像の品質を目視により○△×の3段階で評価した。
○:滲み等が無く細部まで表現されており、鮮明な銀塩写真に類似した鮮明な画像
×:滲みにより細部が表現されておらず、鮮明では無い写真調の画像
△:○と×の中間
【0044】
5)電飾としての使用の可否
印刷面側から10cmの所に15Wの蛍光灯を5cmの間隔を開けて平行に置き両目視力1.0の観察者が50cm離れた距離から透明基材側を見た時に、均一な光源にみえた場合には○、2つの光源に見えた場合には×とした。
【0045】
実施例1
透明ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製、光線透過率:89%)に以下のインク吸収層、インク通過層を形成してインクジェット用記録媒体を得た。
インク吸収層
下記の固形分比からなるコート液をバーコートし、120℃で5分乾燥して吸収層を形成した。このときの乾燥塗布量は10g/m2 であった。
ポリビニルアルコール(日本合成化学(株)製 GH−17)100重量部
メラミン樹脂(住友化学工業(株)製 スミマールM3) 15重量部
カチオン性化合物(日本化薬(株)製 カヤフィックスUR) 10重量部
インク通過層
インク吸収層上に下記の固形分比からなるコート液をバーコートし、120℃で1分間乾燥した。そのときの塗布量は10g/m2 であった。
このようにして得られた記録用媒体は白色不透明であった。この記録用媒体に対してインクジェット記録を実施した。全光線透過率は42%であった。
【0046】
実施例2
実施例1においてインク通過層の有機粒子をアクリル系樹脂(日本触媒(株)製 エボスターMA1002)(屈折率:1.49、インク通過層中の含有量:8.7g/m2 )にしたこと以外は実施例1と同様にして得た。全光線透過率は48%であった。
【0047】
実施例3
実施例1において以下のインク吸収層を用いたこと以外は、実施例1と同様にして記録材を得た。
インク吸収層
下記の固形分比からなるコート液をバーコートし、120℃で5分乾燥して吸収層を形成した。このときの乾燥塗布量は20g/m2 であった。
【0048】
実施例4
実施例1においてインク通過層の有機粒子の含有量を3.2g/m2 とした以外は実施例1と同様にして得た。全光線透過率は53%であった。
【0049】
実施例5
実施例1においてインク通過層の有機粒子の含有量を14.7g/m2 とした以外は実施例1と同様にして得た。全光線透過率は22%であった。
【0050】
比較例1
実施例1においてインク通過層の有機粒子をシリカ(富士シリシア(株)製サイリシア430)〔屈折率:1.46、インク通過層中の含有量:8.7g/m2 〕にしたこと以外は実施例1と同様にして得た。全光線透過率は48%であった。
【0051】
比較例2
実施例1のインク通過層の塗布量を3g/m2 とし、インク通過層中の粒子を2.6g/m2 としたこと以外は実施例1と同様にして記録材を得た。全光線透過率は58%であった。
【0052】
比較例3
実施例1のインク通過層の塗布量を20g/m2 とし、インク通過層中の粒子を17.4g/m2 としたこと以外は実施例1と同様にして記録材を得た。全光線透過率は17%であった。
【0053】
【試験例】
実施例および比較例のものについて試験した結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
実施例1〜5は使用した粒子が1.47以上1.60以下であり、インク通過層中の粒子の含有量も3g/m2 以上15g/m2 以下であるため、電飾として使用可能な記録材となった。しかし、比較例1は屈折率が本発明の範囲で無いため、光の分散効果が低く電飾として使用不可である。比較例2は粒子の量が少ないため、光の分散効果が低く電飾として使用不可である。比較例3は粒子量が多いため、光線透過率が低い。その為、電飾とした際に透過する光量が少なくインパクトの無い記録物になる。その結果、電飾としての使用は不適である。
【0056】
【発明の効果】
本発明は、記録が高品位で、銀塩写真のような印画品質を表現し、かつ電飾として使用できる記録材を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の範囲にて粒子を用いた場合に観察されるインク。
【図2】本発明の範囲外の粒子(屈折率1.47未満の粒子)を用いた場合に観察されるインク。
Claims (7)
- 光透過性の基材の片面に、インク吸収層とインク通過層の少なくとも2層からなるインク受容層を当該インク吸収層が基材上に隣接するように設けた記録材において、インク通過層は粒子と結合材から主に構成され、かつシリコン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤をインク通過層の固形分に対し、1〜20重量%含有し、屈折率1.47以上1.60以下の粒子をインク通過層に3g/m2以上15g/m2以下含有することを特徴とする記録材。
- 前記屈折率1.47以上1.60以下の粒子がインク通過層にのみ存在していることを特徴とする請求項1記載の記録材。
- インク通過層に含有されている粒子が有機粒子であることを特徴とする請求項1記載の記録材。
- 前記有機粒子がベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物であることを特徴とする請求項3記載の記録材。
- インク通過層に含有されている粒子の平均粒子径が0.5〜10μmであることを特徴とする請求項1記載の記録材。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の記録材のインク受容層に顔料インクを用いて印刷を施し、当該インク受容層側を光照射側、基材側を鑑賞側とすることを特徴とする電飾用記録物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の記録材のインク受容層に染料インクを用いて印刷を施し、当該インク受容層側を光照射側、基材側を鑑賞側とすることを特徴とする電飾用記録物。
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