JP3777437B2 - 炭化水素の部分酸化方法および部分酸化用触媒 - Google Patents

炭化水素の部分酸化方法および部分酸化用触媒 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素と酸素との存在下で炭化水素を部分酸化することにより、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを得ることができ、不飽和炭化水素からエポキシドを得ることができる炭化水素の部分酸化方法、および、上記部分酸化方法に好適に供される部分酸化用触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
酸素を用いて炭化水素を含酸素化合物に変換する方法は、極めて有益な技術である。ところが、有用な化合物であるアルコールおよびケトンを飽和炭化水素から直接得ること、並びに、エポキシドを不飽和炭化水素から直接得ることは、一部の例外を除いて、一般的に困難であるとされている。
【0003】
例えば、エポキシドとしてのプロピレンオキシドを製造する方法としては、一般に、クロロヒドリン法、或いは、ハルコン法や過酢酸法(過酸化法)等の直接酸化法等が知られている。ところが、これら製造方法は、反応工程が二工程(二段階)になると共に、副生成物が生成するという問題点を有している。このため、より簡単かつ効率的な製造方法が求められており、不飽和炭化水素であるプロピレンを直接、酸素酸化(部分酸化)してプロピレンオキシドを製造する方法、および、該製造方法に供される触媒が種々提案されている。
【0004】
例えば、特開平7−97378号公報には、硝酸銀等の硝酸金属塩を担持した結晶性シリケート(ケイ酸塩)を触媒として用いて、気相でオレフィン(不飽和炭化水素)から酸化オレフィン(エポキシド)を製造する方法が開示されている。また、特開平4−352771号公報には、第VIII族の金属と結晶性チタノシリケートとからなる触媒を用いて、液相でプロピレンからプロピレンオキシドを製造する方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、これら製造方法に供される触媒は、活性や選択率等の触媒の性能が劣っているので、上記従来の方法は、エポキシドの実用的な製造方法とは言い難い。
【0006】
そこで、本願発明者等は、水素と酸素との存在下で炭化水素を部分酸化することにより、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを得ることができ、不飽和炭化水素からエポキシドを得ることができる炭化水素の部分酸化方法、および、上記部分酸化方法に好適に供される触媒について鋭意検討した。その結果、金および酸化チタンを含有する触媒が、炭化水素の部分酸化方法に供することができることを見い出した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本願発明者等が見い出した上記の触媒は、選択率が高いものの、活性が低いことが判明した。このため、例えば、該触媒をエポキシドの製造方法に供した場合には、不飽和炭化水素のエポキシドへの転化率が3%以下と低く、燃焼する水素の量が多かった。
【0008】
上記の金−チタニア触媒を用いる反応では、反応温度の上昇(特に100℃以上での)により、水素の消費量は増大するが、エポキシド等の部分酸化生成物の生成活性を増大させることが困難で、エポキシド等の部分酸化物の生成量は、頭打ち、あるいは低下するという傾向があった。即ち、上記触媒は、反応温度等の反応条件の最適化により達成される触媒性能の最高レベルが低く、実用化するには、更なる改良を要するという課題を有している。
【0009】
従って、本発明は、高選択率かつ高転化率で実用化できる炭化水素の部分酸化方法および部分酸化用触媒を提供することを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、炭化水素の部分酸化方法および部分酸化用触媒についてさらに鋭意検討した。その結果、金、酸化チタン、および、比表面積が50m2 /g以上の担体を含有する炭化水素の部分酸化用触媒が、水素と酸素との存在下で炭化水素を部分酸化する反応に対する活性や選択性に優れていることを確認した。
【0011】
即ち、該部分酸化用触媒と、水素と酸素との存在下で、炭化水素を部分酸化することにより、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを高選択率かつ高転化率で得ることができ、不飽和炭化水素からエポキシドを高選択率かつ高転化率で得ることができることを見い出すと共に、燃焼する水素の量を低減させることができることを見い出して、本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち、本発明の部分酸化用触媒は、高比表面積の担体を用いるので、前記従来の金−チタニア触媒と異なり、エポキシド等の部分酸化生成物を生成する活性が、100℃以上の反応温度であっても反応温度の上昇に応じて向上する。そのため、上記部分酸化用触媒では、反応温度等の反応条件の最適化により達成される触媒性能(活性)の最高レベルを向上させて、実用的に供されるレベルに到達させることができる。
【0013】
請求項1記載の発明の炭化水素の部分酸化用触媒は、上記の課題を解決するために、金、酸化チタン、および、比表面積が50m2 /g以上の担体を含有することを特徴としている。
【0014】
請求項2記載の発明の炭化水素の部分酸化用触媒は、上記の課題を解決するために、請求項1記載の炭化水素の部分酸化用触媒において、担体が酸化ケイ素および/または酸化アルミニウムであることを特徴としている。
【0015】
請求項3記載の発明の炭化水素の部分酸化用触媒は、上記の課題を解決するために、請求項1または2記載の炭化水素の部分酸化用触媒において、金の含有量が0.005〜5重量%であることを特徴としている。
【0016】
請求項4記載の発明の炭化水素の部分酸化用触媒は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の炭化水素の部分酸化用触媒において、酸化チタンの含有量が0.1重量%〜20重量%であることを特徴としている。
【0017】
また、請求項5記載の発明の炭化水素の部分酸化方法は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の炭化水素の部分酸化用触媒と、水素と酸素との存在下で、炭化水素を部分酸化することを特徴としている。
【0018】
請求項6記載の発明の炭化水素の部分酸化方法は、上記の課題を解決するために、請求項5記載の炭化水素の部分酸化方法において、炭化水素が不飽和炭化水素であることを特徴としている。
【0019】
請求項7記載の発明の炭化水素の部分酸化方法は、上記の課題を解決するために、請求項6記載の炭化水素の部分酸化方法において、不飽和炭化水素がプロピレンであることを特徴としている。
【0020】
請求項8記載の発明の炭化水素の部分酸化方法は、上記の課題を解決するために、請求項5ないし7のいずれか1項に記載の炭化水素の部分酸化方法において、反応温度が100℃〜250℃の範囲内であることを特徴としている。
【0021】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明にかかる炭化水素の部分酸化用触媒(以下、単に触媒と記す)は、金、酸化チタン(チタニア)、および、比表面積が50m2 /g以上の担体を含有している。
【0022】
上記の金は、ナノメートル(nm)サイズの粒子径を有する粒子、即ち、いわゆる超微粒子が好適である。触媒における金の担持量(含有量)は、0.001重量%以上が好ましく、0.005〜5重量%の範囲内がより好ましく、0.01重量%〜1.0重量%の範囲内がさらに好ましく、0.05重量%〜0.2重量%の範囲内が最も好ましい。金の担持量が0.001重量%よりも少ないと、触媒の活性が低下するので好ましくない。一方、金の担持量を5重量%よりも多くしても、金を上記の範囲内で担持させた場合と比較して、触媒の活性の更なる向上は殆ど望めず、金が無駄になるので好ましくない。
【0023】
上記酸化チタンの結晶構造は、特に限定されるものではないが、非晶質またはアナターゼ型であることが望ましい。また、酸化チタンは、他の酸化物との複合体として存在していてもよい。触媒における酸化チタンの担持量(含有量)は、0.1重量%〜20重量%の範囲内が好ましく、0.5重量%〜10重量%の範囲内がより好ましい。従って、金の含有量が0.005重量%〜5重量%であり、かつ、酸化チタンの含有量が0.1重量%〜20重量%であることが特に好ましい。酸化チタンの担持量が0.1重量%よりも少ないと、触媒の活性が低下するので好ましくない。一方、酸化チタンの担持量を20重量%よりも多くしても、酸化チタンを上記の範囲内で担持させた場合と比較して、触媒の活性の更なる向上は殆ど望めない。
【0024】
金および酸化チタンを比表面積が50m2 /g以上の担体に固定化(担持)することにより、触媒の活性が向上する。上記の担体としては、具体的には、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、およびこれらの複合体;ゼオライト等の結晶性メタロシリケート;等が挙げられる。これらのうち、酸化ケイ素および/または酸化アルミニウムがより好ましく、酸化ケイ素が特に好ましい。また、担体の結晶構造、形状、大きさ等は、特に限定されるものではないが、その比表面積は、50m2 /g以上であることが好ましく、100m2 /g以上であることがより好ましい。比表面積を50m2 /g以上にすることにより、触媒の性能がより一層向上する。つまり、逐次酸化等の副反応がより一層抑制され、効率的に炭化水素を部分酸化することができると共に、燃焼される水素の量をより一層低減することができる。尚、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとを併用する場合における両者の割合は、特に限定されるものではない。また、本発明において、「酸化ケイ素および酸化アルミニウムを含有する」とは、ゼオライト(アルミノシリケート)やシリカアルミナを含有する場合も含むこととする。
【0025】
また、触媒は、その活性を損なわない程度において、比表面積が50m2 /g未満の担体をさらに含んでいてもよい。つまり、本発明にかかる触媒は、比表面積が50m2 /g以上の担体(以下、単に担体と称する)上に、金および酸化チタンを担持してなっている。尚、錯体等のチタン化合物を担体に担持した後、焼成することにより、該担体上に酸化チタンを担持することもできる。
【0026】
触媒の調製方法、つまり、金および酸化チタンを担体に固定化する固定化方法としては、例えば、析出沈澱法、共沈法、含浸法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、担体に、金および/または金化合物の粉末、並びに、酸化チタンの粉末を吹き付ける等の操作を行うことにより、金および酸化チタンを担体に付着させて固定化することもできる。上記の固定化方法により、金および酸化チタンは、比較的均一な分布でもって、担体上に強固に固定化される。尚、金と酸化チタンとを担体に別個に担持させる場合には、酸化チタンを担持させた後、金を担持させる方法が好適である。また、酸化チタンに金を担持させた後、該酸化チタン担持金を担体に担持させることもできる。さらに、酸化チタンは、酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の担体に、いわゆるコーティング、或いは、いわゆる島状構造をなすように分散することにより、担持させることもできる。
【0027】
金を担体に固定化する固定化方法としては、具体的には、例えば、担体に酸化チタンを担持させた後、上記担体を金化合物を含む水溶液に浸漬し、該担体上に金沈澱物を析出させる方法を採用することができる。上記の金化合物は、水溶性であればよく、特に限定されるものではない。水溶液の温度は、特に限定されるものではないが、30℃〜80℃程度が好適である。また、この場合、必要に応じて、水溶液のpHを6〜10の範囲内に調節してもよく、さらに、触媒における金の担持量を多くするためや、金超微粒子の粒子径を小さくするために、上記水溶液に界面活性剤や、カルボン酸および/またはその塩を添加してもよい。該界面活性剤としては、具体的には、例えば、炭素数が8以上の長鎖アルキル(アリール)スルホン酸およびその塩、長鎖アルキル(アリール)カルボン酸およびその塩等が挙げられる。また、該カルボン酸およびその塩としては、具体的には、例えば、クエン酸およびそのナトリウム塩やマグネシウム塩等が挙げられる。
【0028】
以上のように、本発明にかかる炭化水素の部分酸化用触媒は、金、酸化チタン、および、比表面積が50m2 /g以上の担体を含有している。これにより、水素と酸素との存在下で炭化水素を部分酸化する反応に対する活性や選択性に優れた部分酸化用触媒を提供することができる。
【0029】
本発明にかかる炭化水素を部分酸化する反応は、気相で行うことが望ましいが、液相で行うこともできる。以下の説明においては、上記の反応を気相で行う場合を例に挙げることとする。
【0030】
上記の部分酸化方法において、原料として用いられる炭化水素としては、飽和炭化水素、および不飽和炭化水素が挙げられる。飽和炭化水素の部分酸化における炭素−水素結合の反応性の順序は、「三級炭素>二級炭素>一級炭素」であり、一級炭素−水素結合は、殆ど酸化されない。そして、二級炭素−水素結合が酸化されることにより、ケトンが主に生成され、三級炭素−水素結合が酸化されることにより、アルコールが主に生成される。また、不飽和炭化水素の二重結合が酸化されることにより、エポキシドが生成される。
【0031】
飽和炭化水素は、特に限定されるものではないが、炭素数3〜12の化合物が好ましい。該飽和炭化水素としては、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、シクロブタン、n−ペンタン、2−メチルブタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、シクロヘキサン、2−エチルヘキサン、n−オクタン等が挙げられる。
【0032】
不飽和炭化水素は、オレフィン二重結合を有する化合物であればよく、特に限定されるものではないが、炭素数2〜12の化合物がより好ましい。該不飽和炭化水素としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、シクロペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、シクロヘキセン、1−メチル−1−シクロペンテン、3−メチル−1−シクロペンテン、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン等が挙げられる。
【0033】
触媒の使用量は、例えば、金および酸化チタンの担持量や、炭化水素の種類、反応条件等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、反応時の炭化水素の空間速度(SV)が、100hr-1・ml/g・cat.〜10,000hr-1・ml/g・cat.(触媒1g当たりの空間速度)の範囲内となる量が好適である。
【0034】
水素(分子状水素)は、還元剤として作用する。水素の使用量は、特に限定されるものではないが、水素と炭化水素との体積比(水素/炭化水素)が1/10〜100/1の範囲内となる量が好適である。そして、水素の割合が多いほど、反応速度が大きくなるので、上記の体積比は、100/1に近い方がより好ましい。尚、水素が存在しない場合には、炭化水素は、完全酸化されて二酸化炭素および水となる。従って、この場合には、アルコールやケトン、エポキシドを得ることができない。
【0035】
本発明における炭化水素を部分酸化する反応は、炭化水素、酸素(分子状酸素)、および水素を含む原料ガスと、触媒とを接触させることにより進行する。従って、反応方法としては、例えば、反応装置に触媒を充填し、該反応装置内に上記の原料ガスを流通させる方法が好適である。これにより、アルコールおよび/またはケトン、或いは、エポキシド(以下、目的物と称する)を含む生成ガスを得ることができる。尚、反応方式は、特に限定されるものではないが、上記の反応がいわゆる気相不均一触媒反応であるので、連続方式が好適である。また、原料ガスは、必要に応じて、窒素やヘリウム、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガスによって希釈されていてもよい。
【0036】
反応温度は、炭化水素の種類等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、該炭化水素や目的物が気体として存在し得る温度、例えば、0℃〜300℃の範囲内が好適であり、100℃〜250℃の範囲内が最適である。反応温度が極端に高い場合には、炭化水素や目的物の燃焼反応、即ち、二酸化炭素および水の生成が起こり易くなると共に、燃焼される水素の量が増加する。従って、目的物を効率的に製造することができなくなる。しかしながら、反応温度を比較的高く維持することにより、部分酸化反応も効率的に進行するため、本発明においては、反応温度を100℃以上とすることが好ましい。本発明においては、反応温度を100℃以上の高温にしても、炭化水素や目的物の燃焼反応を抑制することができる。
【0037】
また、反応圧力は、反応温度等の反応条件に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、炭化水素や目的物が気体として存在し得る圧力が望ましく、0.05MPa〜5MPaの範囲内が好適である。反応時間は、反応温度や反応圧力等の反応条件に応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0038】
本発明にかかる触媒においては、金、酸化チタン、および担体の相乗効果により、即ち、これら成分が特異的かつ相乗的に効果を発揮することにより、簡単かつ効率的に炭化水素を部分酸化することができる。このように、気相で直接酸化、つまり、気相酸化反応することにより、反応工程が一工程(一段階)となり、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを高選択率かつ高転化率で得ることができ、不飽和炭化水素からエポキシドを高選択率かつ高転化率で得ることができると共に、燃焼される水素の量を低減することができる。
【0039】
尚、炭化水素を部分酸化する反応を液相で行う場合には、反応温度は、該炭化水素や目的物が液体として存在し得る温度、例えば、0℃〜100℃の範囲内が好適である。また、反応圧力は、炭化水素や目的物が液体として存在し得る圧力とすればよい。或いは、反応に対して不活性な溶媒を用いて、上記の反応を液相で行うこともできる。溶媒を用いる反応方法としては、例えば、触媒を溶媒に懸濁させてなる懸濁液に前記の原料ガスをバブリングさせる方法が好適である。該溶媒としては、例えば、ベンゼン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0040】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0041】
〔実施例1〕
酸化チタン(II)アセチルアセトナート1.96gを含むメチルアルコール溶液500mlに、担体としての酸化ケイ素(商品名・キャリアクトQ−10,富士シリシア化学株式会社製;比表面積326m2 /g、10メッシュ〜20メッシュ、粒子径840μm〜1,700μm)60gを浸漬した後、エバポレータを用いてメチルアルコールを留去した。得られた固形物を120℃で12時間乾燥させた後、空気中で600℃、3時間、焼成することにより、酸化ケイ素担持酸化チタンを得た。該担体における酸化チタンの担持量は、1重量%であった。
【0042】
次に、テトラクロロ金(III) 酸0.344gを水に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH8.8に調節することにより、テトラクロロ金(III) 酸水溶液500mlを調製した。この水溶液に、70℃で、上記の酸化ケイ素担持酸化チタン10gを添加し、1時間攪拌して該酸化ケイ素担持酸化チタンを懸濁させると共に、その表面に金沈澱物を固定化した。
【0043】
その後、懸濁液を濾過し、濾残を水洗して乾燥させた。次いで、該濾残を、空気中で400℃、3時間、焼成することにより、部分酸化用触媒としての酸化ケイ素担持酸化チタン担持金を得た。
【0044】
一方、濾液および水洗液中の金の含有量、つまり、担持されなかった金の量を、誘導結合高周波プラズマ分光分析(ICP)によって測定した。そして、仕込んだテトラクロロ金(III) 酸中の金の量から、測定によって求められた金の量を差し引くことにより、酸化ケイ素担持酸化チタンに担持された金の担持量を算出した。その結果、酸化ケイ素担持酸化チタン担持金における金の担持量は、0.37重量%であった。
【0045】
次に、炭化水素(不飽和炭化水素)としてのプロピレンの部分酸化反応に対する上記酸化ケイ素担持酸化チタン担持金の性能を調べた。即ち、得られた酸化ケイ素担持酸化チタン担持金1.0gを、内径8mmのステンレス製反応セル(反応装置)に充填した。一方、プロピレン、水素、酸素、およびアルゴンを、体積比(プロピレン/水素/酸素/アルゴン)が10/10/10/70となるように混合することにより、原料ガスを調製した。そして、酸化ケイ素担持酸化チタン担持金層の温度を150℃に加熱した後、該反応セル内に、上記の原料ガスを、3気圧に加圧し、流速5,000ml/hr(標準状態)で流通させ、プロピレンを150℃で反応させた。
【0046】
反応開始30分後に、反応セル出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて、その組成を分析した。その結果、プロピレンの転化率は、6.8%であり、エポキシドであるプロピレンオキシドへの選択率は、91.0%であり、水素の転化率は、36.4%であった。上記の結果から、プロピレンオキシドの空時収率は、80.2g/hr/kg・cat.(触媒1kg当たりの空時収率)であった。
【0047】
〔実施例2〕
チタン(IV)テトラブトキシド5.12gと2,4−ペンタンジオン4.51gとを含むメチルアルコール溶液500mlに、担体としての酸化ケイ素(商品名・キャリアクトQ−15,富士シリシア化学株式会社製;比表面積196m2 /g、10メッシュ〜20メッシュ、粒子径840μm〜1,700μm)60gを浸漬した後、エバポレータを用いてメチルアルコールを留去した。得られた固形物を120℃で12時間乾燥させた後、空気中で600℃、3時間、焼成することにより、酸化ケイ素担持酸化チタンを得た。該担体における酸化チタンの担持量は、2重量%であった。
【0048】
次に、テトラクロロ金(III) 酸0.172gを水に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH8.5に調節することにより、テトラクロロ金(III) 酸水溶液500mlを調製した。この水溶液に、70℃で、上記の酸化ケイ素担持酸化チタン10gを添加し、1時間攪拌して該酸化ケイ素担持酸化チタンを懸濁させると共に、その表面に金沈澱物を固定化した。
【0049】
その後、懸濁液を濾過し、濾残を水洗して乾燥させた。次いで、該濾残を、空気中で300℃、3時間、焼成することにより、部分酸化用触媒としての酸化ケイ素担持酸化チタン担持金を得た。
【0050】
上記の酸化ケイ素担持酸化チタン担持金における金の担持量を、実施例1と同様にして算出した。その結果、金の担持量は、0.22重量%であった。
【0051】
次に、実施例1の反応および分析等と同様の反応および分析等を行うことにより、プロピレンの部分酸化反応に対する上記酸化ケイ素担持酸化チタン担持金の性能を調べた。その結果、プロピレンの転化率は、5.4%であり、プロピレンオキシドへの選択率は、93.2%であり、水素の転化率は、23.3%であった。上記の結果から、プロピレンオキシドの空時収率は、65.2g/hr/kg・cat.であった。
【0052】
〔比較例1〕
テトラクロロ金(III) 酸0.172gを水に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH8.8に調節することにより、テトラクロロ金(III) 酸水溶液2,000mlを調製した。この水溶液に、70℃で、酸化チタン(商品名・チタニアP−25,日本アエロジル株式会社製)20gを添加し、1時間攪拌して該酸化チタンを懸濁させると共に、その表面に金沈澱物を固定化した。
【0053】
その後、懸濁液を濾過し、濾残を水洗した。次いで、該濾残を、成錠機を用いて1mmφ×2mmの円柱状の成型物に成形した。得られた成型物を120℃で12時間乾燥させた後、空気中で400℃、3時間、焼成することにより、比較用の酸化チタン担持金を得た。つまり、酸化ケイ素または酸化アルミニウムを担体として用いないで、酸化チタン担持金を調製した。上記の比較用酸化チタン担持金における金の担持量を、実施例1と同様にして算出した。その結果、金の担持量は、0.49重量%であった。
【0054】
次に、実施例1の反応および分析等と同様の反応および分析等を行うことにより、プロピレンの部分酸化反応に対する上記比較用酸化チタン担持金の性能を調べた。上記の比較用触媒(比較用酸化チタン担持金)について、温度上昇により触媒性能が向上するかを調べるために、80℃、120℃、および150℃の3点の反応温度で、それぞれ実施例1と同様の操作により反応を行った。
【0055】
その結果、反応温度が80℃の場合には、プロピレンの転化率は1.2%、プロピレンオキシドへの選択率は89.5%であり、水素の転化率は12.7%であった。上記の結果から、プロピレンオキシドの空時収率は、13.9g/hr/kg・cat.であった。
【0056】
また、反応温度が120℃の場合には、プロピレンの転化率は1.8%、プロピレンオキシドへの選択率は53.1%であり、水素の転化率は29.3%であった。上記の結果から、プロピレンオキシドの空時収率は、12.4g/hr/kg・cat.であった。
【0057】
さらに、反応温度が150℃の場合には、プロピレンの転化率は2.4%、プロピレンオキシドへの選択率は38.6%であり、水素の転化率は44.1%であった。上記の結果から、プロピレンオキシドの空時収率は、12.0g/hr/kg・cat.であった。
【0058】
このように、比較用触媒は、100℃以上のような高い反応温度で使用すると、プロピレンおよび水素の転化率は向上するものの、プロピレンオキシドへの選択率が顕著に低下するため、プロピレンオキシドの収率が低下することが分かる。
【0059】
〔実施例3〕
実施例1におけるプロピレンの部分酸化反応において、原料ガスの体積比(プロピレン/水素/酸素/アルゴン)を5/10/10/75とし、原料ガスの圧力(反応圧力)を常圧とし、反応温度を180℃に変更した以外は、実施例1の反応および分析等と同様の反応および分析等を行った。その結果、プロピレンの転化率は、8.5%であり、プロピレンオキシドへの選択率は、78.1%であり、水素の転化率は、43.3%であった。上記の結果から、プロピレンオキシドの空時収率は、43.1g/hr/kg・cat.であった。
【0060】
〔実施例4〕
実施例2におけるプロピレンの部分酸化反応において、反応温度を150℃から180℃に変更した以外は、実施例2の反応および分析等と同様の反応および分析等を行った。その結果、プロピレンの転化率は、8.3%であり、プロピレンオキシドへの選択率は、71.1%であり、水素の転化率は、62.0%であった。上記の結果から、プロピレンオキシドの空時収率は、76.5g/hr/kg・cat.であった。
【0061】
〔実施例5〕
実施例2におけるプロピレンの部分酸化反応において、原料ガスの流速を5,000ml/hrから8,000ml/hr(常圧状態)に変更した以外は、実施例2の反応および分析等と同様の反応および分析等を行った。その結果、プロピレンの転化率は、3.4%であり、プロピレンオキシドへの選択率は、93.0%であり、水素の転化率は、15.5%であった。上記の結果から、プロピレンオキシドの空時収率は、66.3g/hr/kg・cat.であった。
【0062】
〔実施例6〕
まず、焼成温度を600℃から800℃に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、酸化チタン担持酸化ケイ素(酸化チタンの担持量1重量%)を得た。
【0063】
次に、塩化金酸0.34gを含む水溶液900mlを70℃に加熱し、水酸化カリウム水溶液を用いて該水溶液のpHを8.9に調節した。その後、この水溶液を攪拌しながら、上記の酸化チタン担持酸化ケイ素20gを投入し、70℃で1時間攪拌した。
【0064】
次いで、この固形物を含む水溶液から上澄みを除去し、得られた固形物を、1000mlの水で3回洗浄した後、濾別した。その後、濾別した固形物を、120℃で12時間乾燥させた後、空気中、400℃で3時間焼成することにより、チタニア−シリカに金超微粒子が担持された触媒である金−チタニア−シリカ触媒を得た。上記金−チタニア−シリカ触媒に含まれる金の含有量を、蛍光X線分析により分析したところ、0.052重量%であった。
【0065】
次に、上記金−チタニア−シリカ触媒を用いて、不飽和炭化水素としてのプロピレンの部分酸化反応を行った。即ち、まず、上記金−チタニア−シリカ触媒4gを、内径8mmのステンレス製反応器に充填した。次に、3気圧に加圧し、触媒層の温度を165℃に加熱した状態で、水素、酸素、プロピレン、およびアルゴンからなる体積比(水素/酸素/プロピレン/アルゴン)20/10/10/60の混合ガスを該反応器に、流速16000ml/hrで流通させて反応を行った。
【0066】
反応開始15分後に、反応器出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて、その組成を分析した結果、対応するエポキシドであるプロピレンオキシドの収率9.6%、水素転化率13.6%、プロピレンオキシドの空時収率90.7g/hr/kg・cat.であった。
【0067】
〔実施例7〕
まず、酸化チタン(II)アセチルアセトナートの量を1.96gから5.88gに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、酸化チタンの担持量が3重量%である酸化ケイ素担持酸化チタンを得た。
【0068】
その後、上記の酸化ケイ素担持酸化チタンに、実施例6と同様の操作方法で金を担持して、金−チタニア−シリカ触媒を得た。上記金−チタニア−シリカ触媒に含まれる金の含有量を、蛍光X線分析により分析したところ、0.068重量%であった。
【0069】
次に、上記金−チタニア−シリカ触媒を用いて、不飽和炭化水素としてのプロピレンの部分酸化反応を行った。即ち、まず、上記金−チタニア−シリカ触媒2gを、内径8mmのステンレス製反応器に充填した。次に、3気圧に加圧し、触媒層の温度を165℃に加熱した状態で、水素、酸素、プロピレン、およびアルゴンからなる体積比(水素/酸素/プロピレン/アルゴン)40/10/10/40の混合ガスを、該反応器に流速8000ml/hrで流通させて反応を行った。
【0070】
反応開始15分後に、反応器出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて、その組成を分析した結果、対応するエポキシドであるプロピレンオキシドの収率が6.9%、水素の転化率が5.9%、プロピレンオキシドの空時収率が65.9g/hr/kg・cat.であった。
【0071】
〔実施例8〕
酸化チタン(II)アセチルアセトナート1.96gを含むメチルアルコール溶液500mlに、担体としてのシリカ(商品名・シリカIDゲル,富士ダビソン株式会社製;比表面積291m2 /g、20メッシュ〜42メッシュ)60gを浸漬した後、エバポレータを用いてメチルアルコールを留去した。得られた固形物を120℃で12時間乾燥させた後、空気中で600℃、3時間、焼成することにより、シリカ担持酸化チタンを得た。該担体における酸化チタンの担持量は、1重量%であった。
【0072】
次に、テトラクロロ金(III) 酸0.172gを水に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH8.7に調節することにより、テトラクロロ金(III) 酸水溶液500mlを調製した。この水溶液に、70℃で、上記のシリカ担持酸化チタン10gを添加し、1時間攪拌して該シリカ担持酸化チタンを懸濁させると共に、その表面に金沈澱物を固定化した。
【0073】
その後、懸濁液を濾過し、濾残を水洗して乾燥させた。次いで、該濾残を、空気中で400℃、3時間、焼成することにより、部分酸化用触媒としてのシリカ担持酸化チタン担持金を得た。
【0074】
次に、炭化水素(飽和炭化水素)としてのプロパンの部分酸化反応に対する上記シリカ担持酸化チタン担持金の性能を調べた。即ち、得られたシリカ担持酸化チタン担持金1.0gを、内径8mmのガラス製反応セル(反応装置)に充填した。一方、プロパン、水素、酸素、およびアルゴンを、体積比(プロパン/水素/酸素/アルゴン)が5/40/10/45となるように混合することにより、原料ガスを調製した。そして、シリカ担持酸化チタン担持金層の温度を120℃に加熱した後、該反応セル内に、上記の原料ガスを、常圧、流速2,000ml/hr(標準状態)で流通させ、プロパンを120℃で反応させた。
【0075】
反応開始30分後に、反応セル出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて、その組成を分析した。その結果、プロパンの転化率は、0.48%であり、ケトンであるアセトンへの選択率は、58.8%であった。上記の結果から、プロパンのアセトンへの空時収率は、1.5g/hr/kg・cat.であった。
【0076】
〔実施例9〕
実施例8における炭化水素の部分酸化反応において、プロパンの代わりに、炭化水素(飽和炭化水素)としてのイソブタンを用いた以外は、実施例8の反応および分析等と同様の反応および分析等を行った。その結果、イソブタンの転化率は、1.04%であり、アルコールであるt−ブチルアルコールへの選択率は、84.8%であり、ケトンであるアセトンへの選択率は、7.7%であった。上記の結果から、イソブタンのt−ブチルアルコールへの空時収率は、5.8g/hr/kg・cat.であった。
【0077】
〔比較例2〕
テトラクロロ金(III) 酸0.172gを水に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH8.0に調節することにより、テトラクロロ金(III) 酸水溶液2,000mlを調製した。この水溶液に、70℃で、酸化チタン(商品名・チタニアP−25,日本アエロジル株式会社製)10gを添加し、1時間攪拌して該酸化チタンを懸濁させると共に、その表面に金沈澱物を固定化した。
【0078】
その後、懸濁液を濾過し、濾残を水洗した。次いで、該濾残を、室温で12時間真空乾燥させた後、空気中で400℃、4時間、焼成することにより、比較用の酸化チタン担持金(70メッシュ〜120メッシュ)を得た。つまり、酸化ケイ素または酸化アルミニウムを担体として用いないで、酸化チタン担持金を調製した。
【0079】
次に、プロパンの部分酸化反応に対する上記比較用酸化チタン担持金の性能を調べた。即ち、得られた比較用酸化チタン担持金0.5gを、内径10mmのガラス製反応セルに充填した。一方、プロパン、水素、酸素、およびアルゴンを、体積比(プロパン/水素/酸素/アルゴン)が10/10/10/70となるように混合することにより、原料ガスを調製した。そして、比較用酸化チタン担持金層の温度を水浴を用いて80℃に加熱した後、該反応セル内に、上記の原料ガスを、常圧、流速2,000ml/hr(標準状態)で流通させ、プロパンを80℃で反応させた。
【0080】
反応開始30分後に、反応セル出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて、その組成を分析した。その結果、プロパンの転化率は、0.21%であり、ケトンであるアセトンへの選択率は、14.6%であった。上記の結果から、プロパンのアセトンへの空時収率は、0.3g/hr/kg・cat.であった。
【0081】
〔比較例3〕
比較例2における炭化水素の部分酸化反応において、プロパンの代わりに、イソブタンを用いた以外は、比較例2の反応および分析等と同様の反応および分析等を行った。その結果、イソブタンの転化率は、0.39%であり、アルコールであるt−ブチルアルコールへの選択率は、46.0%であり、ケトンであるアセトンへの選択率は、10.0%であった。上記の結果から、イソブタンのt−ブチルアルコールへの空時収率は、2.4g/hr/kg・cat.であった。
【0082】
〔実施例10〕
まず、塩化金酸0.34gを含む水溶液900mlを70℃に加熱し、水酸化カリウム水溶液を用いて該水溶液のpHを9.5に調節した。その後、この水溶液を攪拌しながら、実施例6と同様にして得た酸化チタン担持酸化ケイ素(酸化チタン担持量1重量%)20gを投入し、70℃で1時間攪拌した。
【0083】
その後、この固形物を含む水溶液から上澄みを除去し、得られた固形物を、1000mlの水で3回水洗した後、濾過した。その後、120℃で12時間乾燥させた後、空気中、400℃で3時間焼成することにより、チタニア−シリカに金超微粒子が担持された触媒である金−チタニア−シリカ触媒を得た。
【0084】
次に、上記金−チタニア−シリカ触媒を用いて、不飽和炭化水素としての1−ブテンの部分酸化反応を行った。即ち、まず、上記金−チタニア−シリカ触媒2gを、内径10mmのガラス製反応器に充填した。次に、常圧下、触媒層の温度を190℃に加熱した状態で、水素、酸素、1−ブテン、およびアルゴンからなる体積比(水素/酸素/1−ブテン/アルゴン)20/5/20/55の混合ガスを該反応器に、流速8000ml/hrで流通させて反応を行った。
【0085】
反応開始20分後に、反応器出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて、その組成を分析した結果、対応するエポキシドである1,2−エポキシブタンの収率が2.4%、水素の転化率が22.0%、1,2−エポキシブタンの空時収率が61.7g/hr/kg・cat.であった。
【0086】
〔実施例11〕
実施例10で調製した金−チタニア−シリカ触媒を用いて、不飽和炭化水素としてのcis−2−ブテンの部分酸化反応を行った。即ち、まず、上記金−チタニア−シリカ触媒2gを、内径10mmのガラス製反応器に充填した。次に、常圧下、触媒層の温度を180℃に加熱した状態で、水素、酸素、cis−2−ブテン、およびアルゴンからなる体積比(水素/酸素/cis−2−ブテン/アルゴン)20/5/20/55の混合ガスを該反応器に、流速8000ml/hrで流通させて反応を行った。
【0087】
反応開始20分後に、反応器出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて、その組成を分析した結果、対応するエポキシドである2,3−エポキシブタンの収率が3.6%、水素の転化率が31.8%、2,3−エポキシブタンの空時収率が92.6g/hr/kg・cat.であった。
【0088】
〔実施例12〕
実施例10で調製した金−チタニア−シリカ触媒を用いて、不飽和炭化水素としてのtrans−2−ブテンの部分酸化反応を行った。即ち、まず、上記金−チタニア−シリカ触媒2gを、内径10mmのガラス製反応器に充填した。次に、常圧下、触媒層の温度を190℃に加熱した状態で、水素、酸素、trans−2−ブテン、およびアルゴンからなる体積比(水素/酸素/trans−2−ブテン/アルゴン)20/5/20/55の混合ガスを該反応器に、流速8000ml/hrで流通させて反応を行った。
【0089】
反応開始20分後に、反応器出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて、その組成を分析した結果、対応するエポキシドである2,3−エポキシブタンの収率が5.1%、水素の転化率が25.0%、2,3−エポキシブタンの空時収率131.1g/hr/kg・cat.であった。
【0090】
〔実施例13〕
実施例10で調製した金−チタニア−シリカ触媒を用いて、不飽和炭化水素としてのシクロヘキセンの部分酸化反応を行った。即ち、まず、上記金−チタニア−シリカ触媒1gを、内径8mmのステンレス製反応器に充填した。次に、常圧下、触媒層の温度を190℃に加熱した状態で、水素、酸素、シクロヘキセン、およびアルゴンからなる体積比(水素/酸素/シクロヘキセン/アルゴン)18.7/18.7/8.6/54の混合ガスを該反応器に、流速8000ml/hrで流通させて反応を行った。
【0091】
反応開始20分後に、反応器出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて、その組成を分析した結果、対応するエポキシドであるシクロヘキセンオキシドの収率が1.7%、水素の転化率が14.1%、シクロヘキセンオキシドの空時収率が51.2g/hr/kg・cat.であった。
【0092】
〔実施例14〕
まず、塩化金酸0.34gを含む水溶液900mlを70℃に加熱し、水酸化セシウム水溶液を用いて該水溶液のpHを9.5に調節した。その後、この水溶液を攪拌しながら、実施例1と同様にして得られた酸化チタン担持酸化ケイ素(酸化チタン担持量1重量%)20gを投入し、70℃で1時間攪拌した。
【0093】
その後、この固形物を含む水溶液から上澄みを除去し、得られた固形物を、1000mlの水で3回水洗した後、濾過した。その後、120℃で12時間乾燥させた後、空気中、400℃で3時間焼成することにより、チタニア−シリカに金超微粒子が担持された触媒である金−チタニア−シリカ触媒を得た。
【0094】
次に、上記金−チタニア−シリカ触媒を用いて、不飽和炭化水素としてのイソブチレンの部分酸化反応を行った。即ち、まず、上記金−チタニア−シリカ触媒2gを、内径10mmのガラス製反応器に充填した。次に、常圧下、触媒層の温度を180℃に加熱した状態で、水素、酸素、イソブチレン、およびアルゴンからなる体積比(水素/酸素/イソブチレン/アルゴン)20/5/20/55の混合ガスを該反応器に、流速8000ml/hrで流通させて反応を行った。
【0095】
反応開始20分後に、反応器出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて、その組成を分析した結果、対応するエポキシドである2−メチル−1,2−エポキシプロパンの収率が1.4%、水素の転化率が6.1%、2−メチル−1,2−エポキシプロパンの空時収率が36.0g/hr/kg・cat.であった。
【0096】
〔実施例15〕
実施例14で調製した金−チタニア−シリカ触媒を用いて、不飽和炭化水素としての1,3−ブタジエンの部分酸化反応を行った。即ち、まず、上記金−チタニア−シリカ触媒1gを、内径8mmのステンレス製反応器に充填した。次に、常圧下、触媒層の温度を215℃に加熱した状態で、水素、酸素、1,3−ブタジエン、およびアルゴンからなる体積比(水素/酸素/1,3−ブタジエン/アルゴン)17/17/17/49の混合ガスを該反応器に、流速9000ml/hrで流通させて反応を行った。
【0097】
反応開始20分後に、反応器出口の生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて、その組成を分析した結果、対応するエポキシドである1,2−エポキシブテンの収率が1.3%、水素の転化率が4.8%、1,2−エポキシブテンの空時収率が62.2g/hr/kg・cat.であった。
【0098】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の炭化水素の部分酸化用触媒は、以上のように、金、酸化チタン、および、比表面積が50m2 /g以上の担体を含有する構成である。これにより、活性や選択性に優れた炭化水素の部分酸化用触媒を提供することができる。
【0099】
本発明の請求項2記載の炭化水素の部分酸化用触媒は、以上のように、担体が酸化ケイ素および/または酸化アルミニウムである構成である。本発明の請求項3記載の炭化水素の部分酸化用触媒は、以上のように、金の含有量が0.005〜5重量%である構成である。本発明の請求項4記載の炭化水素の部分酸化用触媒は、以上のように、酸化チタンの含有量が0.1重量%〜20重量%である構成である。上記各構成によれば、効率的に部分酸化することができる部分酸化用触媒を提供することができる。
【0100】
また、本発明の請求項5記載の炭化水素の部分酸化方法は、以上のように、上記各構成の部分酸化用触媒と、水素と酸素との存在下で、炭化水素を部分酸化する方法である。上記の方法によれば、飽和炭化水素からアルコールおよび/またはケトンを高選択率かつ高転化率で得ることができ、不飽和炭化水素からエポキシドを高選択率かつ高転化率で得ることができる。
【0101】
本発明の請求項6記載の炭化水素の部分酸化方法は、不飽和炭化水素からエポキシドを効率的に製造することができる。本発明の請求項7記載の炭化水素の部分酸化方法により、プロピレンからプロピレンオキシドを効率的に製造することができる。
【0102】
本発明の請求項8記載の反応温度が100℃〜250℃の範囲内である炭化水素の部分酸化方法は、効率的に炭化水素を部分酸化することができる。

Claims (8)

  1. 金、酸化チタン、および、比表面積が50m2 /g以上の担体を含有することを特徴とする炭化水素の部分酸化用触媒。
  2. 担体が酸化ケイ素および/または酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1記載の炭化水素の部分酸化用触媒。
  3. 金の含有量が0.005〜5重量%であることを特徴とする請求項1または2記載の炭化水素の部分酸化用触媒。
  4. 酸化チタンの含有量が0.1重量%〜20重量%であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の炭化水素の部分酸化用触媒。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の部分酸化用触媒を用いて、水素と酸素との存在下で、炭化水素を部分酸化することを特徴とする炭化水素の部分酸化方法。
  6. 炭化水素が不飽和炭化水素であることを特徴とする請求項5記載の炭化水素の部分酸化方法。
  7. 不飽和炭化水素がプロピレンであることを特徴とする請求項6記載の炭化水素の部分酸化方法。
  8. 反応温度が100℃〜250℃の範囲内であることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載の炭化水素の部分酸化方法。
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