JP3776467B2 - 排気系ネットワーク - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は真空排気システムに関し、特に荒引き用ポンプを共用して複数の真空チャンバー等、複数の部分を真空排気する排気系ネットワークに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、真空中で試料の観察や加工等を行う必要性が増大している。例えば、電子顕微鏡で試料を観察する場合、試料を真空中にセットし、電子線を照射して観察を行う。また、半導体の製造工程では、被加工品となる半導体ウェーハを大気中から真空中に導入し、真空中にて加工を行う工程がある。このような工程は、1つに留まらず複数の工程があり、製造装置も工程ごとに異なったものが必要となる。
【0003】
真空を扱う装置では、真空を作るため真空ポンプを備えている。真空ポンプは必要な真空度、及び、排気の容量等により種類を使いわける。観察や加工のいずれの場合も、真空中で処理する場合、試料やワークを大気から真空へ導入し、処理終了後にまた大気へ戻す。このため、試料を導入する試料室等は、頻繁に大気と真空の状態を繰り返す場合がある。
【0004】
従来技術において、複数の部分(真空チャンバー等)を高真空に排気する場合、各真空排気部分にそれぞれ1組の荒引きポンプとターボモレキュラポンプ/オイルディフュージョンポンプ等の高真空ポンプ(場合によっては、更に別のポンプを追加する場合もある)を設けていた。
1つの荒引きポンプで、複数の部分の排気を行う場合もあるが、この場合はバルブの切り替えによって順番に行っていた。このバルブの切り替え操作は、リレー等のシークェンス回路やコンピュータ等による排気系の集中制御によって制御されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
1つの真空チャンバーにそれぞれ1組の荒引きポンプと高真空ポンプを設置する場合、真空チャンバーの数が増えると、それに比例してポンプの数も増加する。最近では、オイルミストによる高真空ポンプや真空チャンバーの汚染を避けるため、荒引きポンプとしてロータリーポンプに代えてスクロールタイプ、クロータイプ、ターボ型等、オイルフリーのドライポンプが用いられるようになっており、ドライポンプはロータリーポンプに比べ高価なため、多数のドライポンプを使用することはコストの点で問題があった。
【0006】
1つの荒引きポンプで複数の部分の排気を行う場合、バルブの切り替えを行わなければならない。このバルブ切り替え操作をマニュアルで行う場合には、誤操作のないよう注意が必要である。例えば、オイルディフュージョンポンプやターボモレキュラポンプの後方排気側のバルブを開くとき、排気管の真空度が充分高い必要がある。仮にこのバルブを開けた時、ターボモレキュラポンプの後方の排気管が大気であったとすると、ターボモレキュラポンプ内のロータが跳上り、ベアリングを始めとする内部部品を破損させてしまうことになる。また、オイルディフュージョンポンプの場合も、オイルアップという修復困難な事故を引き起こす。バルブの切り替え操作をリレー等のシークェンス回路やコンピュータ等による排気系の集中制御で行うにしても、シーケンス回路設計やCPUプログラム作成にはシステム中の全ての真空チャンバーの状態及び他の弁の状態についての特別な配慮が必要である。
【0007】
本発明の目的は、荒引きポンプの能力を充分に発揮できるようにポンプ配管の接続を行い、荒引きポンプの数を減らして、装置導入時および運転時のコストを低減した排気系ネットワークを提供することにある。
本発明の他の目的は、装置設計や装置運転に特別な配慮を必要としない排気系ネットワークを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
高真空用ポンプは、その性質上真空チャンバーに近接して設置する必要があるが、荒引きポンプは、数メートル程度なら配管等を用いて離して設置することが可能である。また、荒引きポンプは大気状態から真空引きを始めるときに最も大きな負荷がかかる。しかし、高真空ポンプの後方排気をしている場合は、一般にその負荷は小さく、短い時間であれば、高真空用ポンプの後方排気は、停止しても実質的に差し支えないことが多い。
【0009】
実際、試料室等を大気から真空引きする場合、高真空ポンプの後方排気をしている荒引きポンプを切り替えて使っている場合が多い。そしてこの間、高真空ポンプの後方排気は停止した状態となっている。すなわち荒引きポンプは、その最大排気能力を発揮するのは一部の時間だけであり、その他の時間は能力をもて余している、という場合が多い。
【0010】
本発明においては、1台の荒引きポンプに複数の高真空用ポンプまたは真空チャンバーを接続することによって前記目的を達成する。その際、各高真空用ポンプまたは真空チャンバーと荒引きポンプの間の排気管に逆止弁を設け、この逆止弁は、その前後の真空度によって自律的に動作するものとした。すなわち、排気管内逆止弁に対し荒引きポンプ側の真空度が真空チャンバー側の真空度より高いときだけ、逆止弁が開くようにした。さらに、逆止弁の真空チャンバー側に予備タンクを設け、逆止弁が働いて真空排気が停止しても真空チャンバー側の真空度が即座に低下しないようにした。
【0011】
本発明の一観点によれば、複数の真空チャンバーと、前記複数の真空チャンバーのそれぞれに接続された複数の排気管と、前記複数の真空チャンバーにそれぞれ接続された高真空ポンプと、各高真空ポンプの後方に接続された高真空ポンプ後方排気管と、前記複数の排気管及び前記複数の高真空ポンプ後方排気管に同時に接続された荒引きポンプと、前記高真空ポンプ及び前記排気管と、前記真空チャンバーとの間に開閉可能なバルブを備え、前記各排気管は真空チャンバー側の圧力が荒引きポンプ側の圧力より高い時に開き、逆に低い時には閉じるように動作する逆止弁を有し、前記各高真空ポンプ後方排気管は高真空ポンプ側の圧力が荒引きポンプ側の圧力より高い時に開き、逆に低い時には閉じるように動作する逆止弁を有することを特徴とする排気系ネットワークが提供される。
【0012】
前記排気管には前記真空チャンバーと前記逆止弁の間の位置において予備タンクが接続されているのが好ましい。
【0013】
前記排気管と前記予備タンクの間には、予備タンク内の圧力をP3、排気管内の圧力をP4、その差圧を△P=P4−P3とし、P0を設定値とするとき、△P≦P0のとき開く第1の自律制御弁が接続されているのが好ましい。
【0014】
前記高真空ポンプ後方排気管には前記高真空ポンプと前記逆止弁の間の位置において予備タンクが接続されているのが好ましい。
【0015】
本発明の他の観点によれば、複数の真空チャンバーと、前記複数の真空チャンバーにそれぞれ接続された複数の排気管と、前記複数の排気管に同時に接続された真空ポンプとを備え、前記各排気管は真空チャンバー側の圧力が真空ポンプ側の圧力より高い時に開き、逆に低い時には閉じるように動作する逆止弁を有し、複数の荒引き用ポンプが所定数の真空チャンバー毎に並列に設けられ、隣接する荒引きポンプ間には、その両側の圧力がほぼ等しいときに開き、その両側の圧力に予め定められた所定値以上の差が有ると閉じる第2の自律制御弁が設けられていることを特徴とする排気系ネットワークが提供される。
【0016】
【作用】
例えば、1台の荒引きポンプに複数の高真空用ポンプ、及び、真空チャンバーを接続してある装置において、真空チャンバーのうちの1つを大気圧の状態から真空引きする場合を考える。各部分は以下のように動作する。
まず、この真空チャンバーの排気管の真空度だけが大気圧近くまで低下する。大気圧は、荒引きポンプの吸気部分にまで達するが、他の真空チャンバーや高真空ポンプの後方の排気管にある逆止弁は、逆止弁の荒引きポンプ側の方が圧力が高くなるので、弁を閉じる。従って、その部分の排気が停止する。
【0017】
逆止弁は、その前後の真空度によって自律的に動作する。すなわち、逆止弁に対して荒引きポンプ側の真空度が真空チャンバー側の真空度より高いときだけ、逆止弁が開く。
このとき、逆止弁に対して、真空チャンバー側の排気管や高真空ポンプ後方の排気管の真空度が一瞬低下する恐れがある。このようなことがないよう、逆止弁の閉動作は迅速に行われる必要がある。迅速に行うための具体策の1つとして、真空センサを一連の排気管の最も真空度が悪くなりやすい部分近傍に設け、真空度低下の信号をより早くキャッチする等が考えられる。
【0018】
大気圧の真空チャンバーは、1台の荒引きポンプで専用に真空排気されるので、排気スピードは、このチャンバーに専用の荒引きポンプを1つ設けた場合と等しくなる。
他の排気管は排気が止まっているが、それぞれの高真空ポンプの後方の排気管が予備タンクに接続されているので、真空度の低下は予備タンクに接続されていない場合よりも長引かせることができる。こうして、荒引きポンプ共用の影響は、予備タンクの導入によって最小限にできる。
【0019】
また、真空荒引きしている排気管については、予備タンクに逆止弁を付ければ接続が断たれているので、荒引きポンプは、大気圧の真空チャンバーのみを真空排気するようになる。排気管の真空度がある程度上昇すると、今まで閉鎖されていた予備タンクの逆止弁が開き、排気管の真空度が急速に上昇し得る。荒引きポンプ側の真空度が高くなると、今まで閉じていた逆止弁が開き、排気が停止していた他の排気管の排気が始まる。
【0020】
このようにバルブ等の制御は逆止弁及び自律制御弁の導入によって自動的に行われるため、各装置は自分の装置(真空チャンバー)のみを監視していれば良く、装置の操作及び制御システムの設計が非常に単純で容易になる。
【0021】
【実施例】
図1に、本発明による排気系ネットワークの一実施例を示す。真空処理室111,121には、バルブ113,123を介してターボモレキュラポンプ112,122が取り付けられている。また、バルブ114,124を介して荒引き用の真空排気管115,125が取り付けられている。
【0022】
ターボモレキュラポンプ112,122の後方排気管116,126及び荒引き用排気管115,125は、本発明による逆止弁117,127,117’,127’を介して荒引きポンプ108に接続されている。この逆止弁117,127,117’,127’は、荒引きポンプ108側の圧力が少しでも高くなるとすぐに閉じるよう設定されている。すなわち、真空処理室111,121側の圧力をP1 とし、荒引きポンプ108側の圧力をP2 とし、その差圧をΔP=P1 −P2 とするとき、図2(a)に示すように、ΔP≧0のとき開く。
【0023】
各逆止弁117,127のターボモレキュラポンプ112,122側の排気管116,126には、予備タンク110,120が設けられている。
また、真空処理室111,121側の荒引き用排気管115,125には、自律制御弁119’,129’を介して予備タンク110’,120’が設けられている。この自律制御弁119’,129’は、荒引き用の真空排気管115,125内の圧力と予備タンク110’,120’内の圧力差が数百Pa程度以下になったとき、及び荒引き用の真空排気管115,125内の圧力が予備タンク110’,120’内の圧力より下がったときに開くように設定されている。すなわち、予備タンク119’,120’内の圧力をP3 、荒引き用真空排気管115,125内の圧力をP4 、その差圧をΔP=P4 −P3 とするとき、図2(b)に示すように、ΔP≦P0 (P0 は設定値)のとき開く。
【0024】
バルブ114,124が閉まっているとき、荒引き用の真空排気管115,125内は、荒引きポンプ108によって排気され、数十Pa以下になる。充分時間が経ったあとには、予備タンク110’,120’内の真空度も同様になる。
逆止弁及び自律制御弁は、それぞれの真空度の状態が各条件に合ったときに自律的に開閉動作する。したがってその動作はランダム的になる。また、バルブの制御は、全体の協調を取りながら行う必要がない。
【0025】
次に、各部分の動作を詳細に説明する。例として、ターボモレキュラポンプ112,122によって真空処理室111,121の真空排気を行っている時、真空処理室111の真空を破って大気圧下にワークの出し入れを行い、次いで再び真空処理室111を大気圧から高真空の状態まで排気する場合を考える。
真空処理室111,121の容量は125リットル、予備室110,110’,120,120’の容量は100リットルである。荒引きポンプ108にはポンプ容量500リットル/minのスクロール式のドライポンプを1台使用し、高真空ポンプ112,122としては、容量300リットル/minのターボモレキュラポンプを使用した。自律制御弁119’,129’に対する図2(b)のP0 は50Paに設定した。このP0 の値は、装置のパラメータによっては数Paから数百Paの間で適当な値を設定する必要がある。
【0026】
図3は各部の圧力変化を表す図であり、aは真空処理室111内の圧力を、bは予備室110’内の圧力を、cは真空処理室121内の圧力をそれぞれ示す。また、破線a’及びc’は、それぞれ予備室110’及び120が無い場合の真空処理室111及び真空処理室121内の圧力を示す。
初期状態においては、真空処理室111及び121の弁114,124を閉じ、弁113,123を開いてターボモレキュラポンプ112及び122による真空排気が行われている。逆止弁117,127は開いて、ターボモレキュラポンプ112,122の後方排気管116,126を真空排気している。また、逆止弁117,117’も開いて、荒引き配管115,125を排気している。自律制御弁119’,129’は開き、予備タンク110’,120’が真空排気されている。予備タンク110,120も真空排気されている。この時、各真空処理室111,121内の圧力は1×10-4Paであった。
【0027】
この状態で、真空処理室111の高真空ポンプ用バルブ113を閉じ、真空処理室111の扉を破線で示すように開いてワークの出し入れを行う。この時、逆止弁117,117’及び自律制御弁119’は開いたままである。また、他の真空処理室121の排気系には何の影響もない。その後、真空処理室111の扉を閉じて真空排気を行う。
【0028】
まず、図3の時刻t1 に、荒引き側のバルブ114を開く。すると、荒引き用の真空排気管115の真空度が一気に大気圧近くまで低下する。これと同時に自律制御弁119’が閉じ、予備タンク110’内はその真空度が保たれる。
さらに大気圧は、逆止弁117’を介して荒引きポンプ108の吸気部分にまで達する。他の真空処理室121や高真空ポンプ112,122の後方の排気管125,116,126に対応する逆止弁127’,117,127は、荒引き用排気管107の方の圧力が高くなるため、図2(a)の動作図に従って閉じる。従って、これらの逆止弁127’,127,117を介しての排気は停止する。
【0029】
排気管116は排気が止まっているが、弁113が閉じていてターボモレキュラポンプ112からの排気もないので高真空状態が維持される。他の真空処理室121は、排気管126の排気が止まっているため、図6にcで示すように若干真空度が低下する。しかし、排気管126は予備タンク120に接続されているので、予備タンク120が無い場合c’と比較して明らかなように、真空度の低下速度を遅くすることができる。
【0030】
大気圧になった真空排気室111は、逆止弁117’を介して1台の荒引きポンプ108で専用に真空排気されるので、排気スピードは、このチャンバーに専用の荒引きポンプを1つ設けた場合と等しくなり、荒引き配管115を介して急速に真空排気される。また、排気管115に接続されている予備タンク110’は、自律制御弁119’が閉じて接続が断たれているので、荒引きポンプ108は真空処理室111のみを真空排気すれば良い。
【0031】
この排気管115の真空度が上昇し、約50Paになると、自律制御弁119’が開き、予備タンク110’と導通状態になる(t2 )。この時、予備タンク110’の真空度は、排気管115の真空度や真空処理室111の真空度よりも高いので、排気管115や真空処理室111の真空排気を補助する形となる。従って、真空処理室111内の圧力aは、破線で示した予備タンク110’が無い場合の圧力低下曲線a’に比較して急速に真空度が向上が図られる。
【0032】
排気管115や真空処理室111の真空度が上昇し、荒引きポンプ108の到達真空度に近くなると、指令によって荒引き用バルブ114を閉じる(t3 )。排気管115及び荒引きポンプ108側の真空度がさらに高くなると、今まで閉じていた逆止弁117,127,127’が開き、排気が停止していた排気管116,126,125の排気が始まる(t4 )。最後に、ターボモレキュラポンプ112に付いているバルブ113を開けて(t5 )、排気シーケンス(バルブ動作)が完了する。
【0033】
逆止弁117,127は開いており、予備タンク110,120の中の真空引きが行われ、次に逆止弁117,127が閉まるときに備える。
装置の操作は、荒引きライン115のバルブ114を開けて真空処理室111の真空荒引きを行い、真空処理室111の真空度を計測する真空ゲージ150をモニタして、十分真空度が上昇したらが荒引き用バルブ114を閉じて、高真空ポンプ用バルブ113を開けるだけでよい。
【0034】
このように、本実施例によると、荒引きポンプ108を他の真空処理室121等と共用していても、他の真空排気系と互いに連絡を取り合う等の協調動作は不要である。
予備タンク110,120の大きさは、荒引きポンプの共用頻度(逆止弁117,127の閉じている時間の長さ)によって決まる。逆止弁117,127が閉じている時間が長ければ、その容積を大きくする必要があり、十分短ければ無しでも差し支えない場合もありうる。
【0035】
排気の仕方は、真空処理室121を大気の状態から排気する場合も同様である。また、これらのほかに真空室があってもよく、その場合には荒引きポンプ108の排気管107に同様のシステムを増設すれば良い。更に荒引きポンプ118を増設することもできる。この場合は、圧力差が大きくなると閉止する第2のタイプの自律制御弁137を図のように排気管107に挿入するとよい。第2のタイプの自律制御弁137は、図2(c)に示すように、その両側の圧力がほぼ等しいときに開き、弁のどちら側の圧力が高い場合でも、約500Pa以上の差圧があると閉じるように設定してある。排気管107中にこのような自律制御弁137を設けるのは、荒引きポンプは大気圧からでもある程度の低圧までなら1台であっても比較的速い速度で排気が可能なこと、及び1個所の真空処理室の真空を破った影響が広範囲に及ぶのは望ましくないことを考慮してのことである。
【0036】
図4及び図5は、図2(a)に動作図を示した逆止弁の構成を説明する図である。弁201の前後にピラニーゲージ202,203がある。このピラニーゲージ202,203は、図4に示すように一つのホイートストンブリッジ回路を構成しており、アンプを介して差圧の出力信号301をバルブ201のアクチュエータ204に送っている。差圧の出力信号301とは、バルブ201の荒引きポンプ側がその反対側より高真空の場合のみバルブ201が開くような出力信号である。
【0037】
図2(b)に示す動作を行う自律制御弁、及び図2(c)に示す動作を行う自律制御弁は、2個の圧力計とその出力を処理してアクチュエータ制御信号を発生する制御回路により同様に構成することができる。圧力計の出力を処理してアクチュエータ制御信号を発生する制御回路は、圧力計の出力と設定値とを比較する比較回路やゲート回路を用いてハード的に構成することもできるし、マイクロコンピュータを用いてソフト的に構成することもできる。
【0038】
図6は、他の逆止弁の最も簡便な構造例としての機械的逆止弁の断面模式図である。ステンレス鋼製の弁板401は、チョウバン402で回動自在に支持されている。弁板401は、実線位置にあるときゴムパッキン403に密着して流路を閉じ、破線位置にあるとき流路を開く。真空処理室の方の真空度が荒引きポンプ側の真空度より高い場合は、その圧力に押されて弁板401が開き、真空処理室が排気される。その逆の場合は、弁板401が閉じる。
【0039】
なお、予備タンク110’,120’の排気管と、真空処理室の排気管115,125を接続併置し、共にその開口を荒引きポンプ側に向けると、真空処理室の排気管115,125の排気は予備タンク110’,120’の方に行きにくく、荒引きポンプ108は大気圧の真空処理室111を中心に真空排気する。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、1つの荒引きポンプで複数の真空チャンバーを真空引きできるので荒引きポンプの数を低減でき設備のコストダウン及び省スペース化が図れる。バルブ等の制御は逆止弁及び自律制御弁によって自動的に行われるので、各装置は自分の装置(真空チャンバー)のみを監視していれば良く、装置の操作及び制御設計が非常に単純で容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による排気系ネットワークの一例を示す図。
【図2】逆止弁及び自律制御弁の動作説明図。
【図3】各部の圧力変化を表す図。
【図4】逆止弁及び自律制御弁の構成図。
【図5】差圧検出回路の一例を示す図。
【図6】逆止弁の他の例を示す図。
【符号の説明】
107…荒引き用排気管
108,118…荒引き用ポンプ
110,110’,120,120’…予備タンク
111,121…真空処理室
112,122…ターボモレキュラポンプ(高真空ポンプ)
113,123…高真空ポンプ用バルブ
114,124…荒引き配管用バルブ
115,125…荒引き配管
116,126…高真空ポンプ後方排気管
117,127,117’,127’…自律型逆止弁
110,120…予備タンク
119’,129’…自律制御弁
137…自律制御弁
151,152…真空室用真空ゲージ
202,203…熱伝導式真空ゲージ
201…逆止弁
301…差圧信号出力
401…弁板

Claims (4)

  1. 複数の真空チャンバーと、前記複数の真空チャンバーのそれぞれに接続された排気管と、前記複数の真空チャンバーにそれぞれ接続された高真空ポンプと、各高真空ポンプの後方に接続された高真空ポンプ後方排気管と、前記排気管及び前記高真空ポンプ後方排気管に同時に接続された荒引きポンプと、前記高真空ポンプと前記真空チャンバーとの間及び前記排気管と前記真空チャンバーとの間に設けられた開閉可能なバルブと、を備え、
    記排気管は真空チャンバー側の圧力が荒引きポンプ側の圧力より高い時に開き、逆に低い時には閉じるように動作する第1の逆止弁を有し、前記各高真空ポンプ後方排気管は高真空ポンプ側の圧力が荒引きポンプ側の圧力より高い時に開き、逆に低い時には閉じるように動作する第2の逆止弁を有し、
    前記高真空ポンプ後方排気管には前記高真空ポンプと前記第2の逆止弁との間の位置において第1の予備タンクが接続されていることを特徴とする排気系ネットワーク。
  2. 前記排気管には前記真空チャンバーと前記逆止弁の間の位置において第2の予備タンクが接続されていることを特徴とする請求項1に記載の排気系ネットワーク。
  3. 前記排気管と前記第2の予備タンクの間には、該第2の予備タンク内の圧力をP前記排気管内の圧力をP、その差圧を△P=P−Pとし、Pを設定値とするとき、△P≦Pのとき開く第1の自律制御弁が接続されていることを特徴とする請求項2記載の排気系ネットワーク。
  4. 複数の真空チャンバーと、前記複数の真空チャンバーにそれぞれ接続された排気管と、複数の前記排気管に同時に接続された荒引きポンプとを備え、前記各排気管は真空チャンバー側の圧力が前記荒引きポンプ側の圧力より高い時に開き、逆に低い時には閉じるように動作する逆止弁を有し、複数の前記荒引きポンプが所定数の真空チャンバー毎に並列に設けられ、隣接する前記荒引きポンプ間には、その両側の圧力がほぼ等しいときに開き、その両側の圧力に予め定められた所定値以上の差が有ると閉じる第2の自律制御弁が設けられていることを特徴とする排気系ネットワーク。
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