JP3775289B2 - 鍵盤楽器の鍵盤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鍵盤楽器の鍵盤に関し、特に重さ調整用の重りの材料として鉛以外の材料を使用した鍵盤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般のアップライトピアノ、グランドピアノ、電子ピアノなどの鍵盤楽器において、鍵盤の重さは演奏者にとってタッチ感に微妙な差異を感じさせ、心理的に演奏内容に大きな影響を与えるため、鍵の重さ、すなわち鍵タッチの重さを全ての鍵盤に対してまたは各音域毎に一様に揃えることが必要とされる。この鍵タッチの重さは原則的には各演奏者の好みに合わせて調整されるものであるが、実際には楽器の製作時において予め定めた標準の重さに設定している。
【0003】
鍵タッチの調整方法としては、グランドピアノの鍵盤の場合、図10および図11に示すように鍵盤1の回動支点Oより前端部寄りの予め定められた位置に両側面を貫通する直径10mm程度の重り埋設孔2を鍵盤1の長手方向に適宜間隔をおいて所要個数形成し、この重り埋設孔2に円柱状に形成した重り3をはめ込んでいる。
【0004】
重り3の材料としては通常鉛が用いられる。鉛を用いる理由は、比重が相対的に大きく、柔軟性を有するから、加圧手段(ビット)4によって押圧してその両端の外周部を外側に塑性変形させて重り埋設孔2の内壁に食い込ませることにより、重り埋設孔2からの脱落を防止することができるためである。なお、5は弦を打撃するためのアクション機構で、押鍵操作時に鍵盤1の上面後端部に突設したキャプスタンスクリュー6によって突き上げられると、ハンマー7が当該鍵盤1に対応する弦を打撃するように構成されている。8は鍵盤1の前端部上面および前面を覆うカバーで、通常白鍵、黒鍵ともに合成樹脂によって形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
重り3の材料として用いられる鉛は、安価で比重(11.34)が工業用金属中で最も大きく、また柔軟性を有するためあらゆる形状にたやすく加工でき、重り埋設孔2への圧入固定が容易であることから、鍵盤1のバランサとして欠かせない材料とされている。しかしながら、鉛は重金属であり、人体や自然環境に有害な物質であるため、環境保全の観点から使用しないことが望ましい。
【0006】
このため、最近では以下に列記するように鉛以外の代替材料からなる重りを用いた鍵盤が種々提案されている。
【0007】
特開2001−142454号公報に記載された鍵盤は、鉛以外の材料と弾性材料を所定の配合割合で互いに混合した所定の比重を有する弾性複合材料で重りを形成している。
【0008】
特開2001−147685号公報に記載された鍵盤は、鉛以外の複数種類の材料を所定の比重を有するように所定の配合割合で混合した複合材料によって形成した円柱状の重り本体を弾性材料によって形成した筒体に着脱自在にはめ込み、これら2部材で重りを構成している。
【0009】
特開2001−154661号公報に記載された鍵盤は、鉛以外の金属およびプラスチックを所定の配合割合で混合した複合材料によって重りを成形し、その外周面に多数の小さな突子を設けている。
【0010】
特開2001−175248号公報に記載された鍵盤は、鉛、水銀および軽金属を除く金属と流動性を有する材料を混合して鍵盤の重り埋設孔に流し込み、流動性を有する材料を固化させることで重りを形成している。金属材料としては、銅、黄銅、鉄、タングステン等を用い、流動性を有する材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、低融点合金、有機系接着剤、低融点合金等を用いている。
【0011】
特開2001−195056号公報に開示された鍵盤は、熱収縮性プラスチックによって形成したスリーブ状の筒体と、鉛以外の金属によって円柱状に形成され前記筒体内に収納された重り本体の2部材で重りを構成している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の鍵盤はいずれも以下に述べるような問題点があり、未だ改良の余地があった。すなわち、特開2001−142454号公報に記載された鍵盤は、重りを鉛以外の材料と弾性材料とからなる弾性複合材料によって円柱状に形成して鍵盤の埋設孔に圧入しているため、ある程度の固定力を確保することができるが、製造誤差によって重り埋設孔の穴径と重りの外径の寸法公差が大きいと、重りが回転したりがたついて安定した状態での固定が得られず、雑音の原因となったり重り埋設孔から脱落するといったおそれがある。また、湿度変化によって重り埋設孔の穴径が大きくなると、重りががたついたり、脱落したり、逆に鍵盤が割れたりするおそれがある。さらに、弾性材料の充填率によって重りの弾性が変化するため、重りの鍵盤に対する保持力が左右されるため安定した品質が得られない。
【0013】
特開2001−147685号公報に記載された鍵盤は、筒体と重り本体との寸法公差が大きいと、同じく重り本体ががたついて雑音の原因となったり筒体から脱落するおそれがある。
【0014】
特開2001−154661号公報に記載された鍵盤は、重りの外周に多数の小さな突子を突設しているため、鍵盤との結合強度をある程度確保することができるが、突子の形状が重りの軸線方向において対称な半球状をしているため、重り埋設孔の内壁との引っ掛かりが悪く、挿入、反挿入方向のいずれにも抜け易いという問題がある。
【0015】
特開2001−175248号公報等に開示された鍵盤は、流動性を有する材料を鉛以外の金属とともに鍵盤の重り埋設孔に流し込んで固化させているため、流動性材料の量が多いと重り埋設孔から漏出して鍵盤の美観を損ない、少なすぎると金属の固着強度が弱く、がたついたり脱落するおそれがあり、流動性材料の使用量をコントロールすることが難しい。
【0016】
特開2001−195056号公報に記載された鍵盤は、上記した特開2001−142454号公報と同様に重り埋設孔の穴径と筒体の外径の寸法公差が大きいと、重りが回転したりがたついて雑音の原因となったり重り埋設孔から脱落するおそれがある。
【0017】
本発明は上記した従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、鉛以外の材料からなる重りを鍵盤に対して容易にかつ確実に取付けることができ、重りが回転したり、がたついたり、脱落することがないようにした鍵盤楽器の鍵盤を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために第1の発明は、鍵盤の側面所定箇所に重り埋設孔を形成し、この重り埋設孔に重りをはめ込み固定した鍵盤楽器の鍵盤において、前記重り埋設孔が前記鍵盤の内部側が小径孔部を構成し、両端開口部が大径孔部を構成する貫通孔からなり、前記重りが前記鍵盤の幅方向に分割して形成された2つの重り部材で構成され、それぞれの一端側が前記重り埋設孔の大径孔部にはめ込まれる大径部分を構成し、他端側が前記小径孔部にはめ込まれる小径部分を構成し、これらの重り部材を前記鍵盤の両側から前記重り埋設孔にそれぞれはめ込み、結合手段によって一体的に結合したものである。
【0019】
この発明においては、2つの重り部材が重り埋設孔にそれぞれはめ込まれ、結合手段によって一体的に結合されることにより、回転、がたつき、脱落等が防止される。各重り部材は大径孔部に嵌合する大径部を有することで重り埋設孔への挿入量が規定される。
重りの材料としては、比較的比重の大きい金属、例えば鉄(比重7.86)、黄銅(比重8.3)、タングステン(比重19.3)、銅(比重8.96)、燒結金属、またはこれら金属のうちの少なくともいずれか1つの粉末またはこれらを所定の割合で混合した複合材料等が用いられる。
【0020】
第2の発明は、鍵盤の側面所定箇所に重り埋設孔を形成し、この重り埋設孔に重りをはめ込み固定した鍵盤楽器の鍵盤において、前記重り埋設孔が両端開口部より鍵盤の内部に向かって小径化する断面鼓状の貫通孔で、前記重り部材が前記鼓状の重り埋設孔にそれぞれ嵌合し得るように前記鍵盤の幅方向に分割して形成された截頭円錐形からなる2つの重り部材で構成され、これらの重り部材を前記鍵盤の両側から前記重り埋設孔にそれぞれ嵌合し、結合手段によって一体的に結合したものである。
【0021】
この発明においては、重り埋設孔が断面鼓状の孔で、截頭円錐形の重り部材の挿入量を規定し、それ以上の挿入を阻止する。2つの重り部材は重り埋設孔にそれぞれはめ込まれ、結合手段によって一体的に結合されることにより、回転、がたつき、脱落等が防止される。
【0022】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、結合手段としてねじまたはボルトを用いたものである。
【0023】
この発明においては、2つの重り部材がねじまたはボルトによって一体的に結合され、回転、がたつき、脱落等が防止される。
【0024】
第4の発明は、上記第1の発明において、結合手段が、一方の重り部材に一体に突設され外周に係合突起を有する嵌合部と、他方の重り部材に形成され前記一方の重り部材の前記嵌合部が嵌合する嵌合孔部と、この嵌合孔部の内周面に形成され前記係合突起が係合する係合溝とで構成されるものである。
【0025】
この発明においては、嵌合部が嵌合孔部に嵌合し、係合突起が係合溝に係合することで、2つの重り部材が分離可能に結合され、がたつき、脱落等が防止される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明をピアノの鍵盤に適用した第1の実施の形態を示す分解斜視図、図2は図1のII−II線断面図である。なお、従来技術の欄で示した構成部材等と同一のものについては同一符号をもって示し、その説明を適宜省略する。これらの図において、1はエゾ松等の木材によって製作された鍵盤で、前端部寄りの所定箇所には両側面を開口する2つの重り埋設孔2が形成されており、これらの重り埋設孔2に鍵タッチ調整用の重り11を嵌合し結合手段12によって固定している。
【0027】
前記重り埋設孔2は、両端開口部に大径孔部を有する貫通孔で構成されている。さらに詳述すると、重り埋設孔2は、ストレートな小径孔部2Aと、この小径孔部2Aの両端にそれぞれ設けられた2つの大径孔部2B,2Cとで構成されている。2つの大径孔部2B,2Cの穴径および深さは略等しい。
【0028】
前記重り11は、前記重り埋設孔2と略同形状ではあるが、前記鍵盤1の幅方向に分割された鍔付の筒体からなる2つの重り部材11A,11Bで構成されている。このため、一方の重り部材11Aは、前記小径孔部2Aに嵌合する筒部11A-1と、前記大径孔部2Bに嵌合する大径部11A-2とで構成されている。同じく、他方の重り部材11Bも、前記小径孔部2Aに嵌合する筒部11B-1と、前記大径孔部2Cに嵌合する大径部11B-2とで構成されている。2つの重り部材11A,11Bの長さは、前記鍵盤1の半値幅より小さく設定されている。大径部11A-2,11B-2の厚さは、前記大径孔部2B,2Cの深さと略等しいかまたは若干小さく設定されている。したがって、2つの重り部材11A,11Bを鍵盤1の両側から重り埋設孔2にそれぞれはめ込むと、各大径部11A-2,11B-2が大径孔部2B,2Cの底面にそれぞれ密接してそれ以上の挿入を規制され、この状態において大径部11A-2,11B-2の表面が鍵盤1の各側面1a,1bと略同一面を形成し、2つの重り部材11A,11Bの間に適宜な隙間Gが設定される。小径孔部2Aと筒部11A-1,筒部11B-1との寸法公差および大径孔部2B,2Cと大径部11A-2,11B-2との寸法公差は、鍵盤1の割れを防止するために大きく設定されることが望ましく、はめあいが遊合、滑合のいずれであってもよい。
【0029】
前記各重り部材11A,11Bの中心孔14,15は同一の穴径で、前記結合手段12が遊挿されるねじ取付孔をそれぞれ形成している。一方の重り部材11Aのねじ取付孔14の大径部11A-2側開口部には、円錐形の座ぐり孔16が形成されている。他方の重り部材11Bのねじ取付孔15の大径部11B-2側開口部には、六角形のナット用孔17が形成されている。したがって、2つの重り部材11A,11Bは、座ぐり孔16とナット用孔17の形状が異なるだけで、左右対称な形状に形成されている。
【0030】
このような2つの重り部材11A,11Bの材質としては、鉛や水銀以外で比重が大きく有害でなく比較的比重の大きい金属、例えば鉄、黄銅、タングステン、燒結金属、またはこれら金属のうちの少なくともいずれか1つの粉末と合成樹脂とを所定の割合で混合した複合材料等が用いられる。特に、タングステンの場合は、比重が19.3で鉛より重いため、合成樹脂との混合割合によっては鉛と同等の比重とすることができる。また、複合材料の場合は常温における硬度が鍵盤1の硬度より十分に高く設定されていることが望ましい。合成樹脂としては、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、またはABS樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられる。金属と合成樹脂の混合割合は、一般的には、重り11の密度を大きくするために金属材料の量を多くすることが望ましい。また、鉄で重り11を形成する際には、表面に防錆処理を施すことが望ましい。
【0031】
前記結合手段12としては皿ねじが用いられ、一方の重り部材11Aのねじ取付孔14より他方の重り部材11Bのねじ取付孔15に挿入されて先端部にナット18が螺合されることにより、2つの重り部材11A,11Bを一体的に結合し、各大径部11A-2,11B-2を大径孔部2B,2Cにそれぞれ押し付ける。したがって、重り部材11A,11Bは、重り埋設孔2に遊嵌状態ではめ込まれたとしても重り埋設孔2内に確実に固定され、がたついたり、回転したり、脱落することがない。また、2つの重り部材11A,11Bは外観が左右対称な形状で、大径部11A-2,11B-2と大径孔部2B,2Cとの嵌合によって挿入量が等しくなるように規定されているので、鍵盤1の重心が幅方向にずれたりすることもない。
【0032】
また、重り部材11A,11Bを重り埋設孔2に圧入する必要がないので、重り11の取付け取外し作業も容易である。
【0033】
さらに、重り11として人体や自然環境に有害な鉛を一切使用していないので、環境汚染の問題を解消することができる。
【0034】
ここで、本実施の形態においては、結合手段12として皿ねじを用いたが、これに限らずボルトを用いてもよい。ボルトを用いた場合は、一方の重り部材11Aの座ぐり孔16をボルト頭部が挿入される六角孔とすることができるため、2つの重り部材11A,11Bを同一形状とすることができる利点がある。
【0035】
図3は本発明の第2の実施の形態を示す断面図である。
この実施の形態は、ナット18を用いる代わりに他方の重り部材11Bの中心孔をねじ孔20とし、このねじ孔20に皿ねじ12をねじ込むことで2つの重り部材11A,11Bを一体的に結合したものである。その他の構造は上記した第1の実施の形態を同じである。
【0036】
このような構造においては、ナット18を他方の重り部材11Bに組込む必要がないので、部品点数を少なくすることができ、重り11の取付作業が容易である。
【0037】
図4は本発明の第3の実施の形態を示す断面図である。
この実施の形態は、重り埋設孔2の両端開口部に座ぐり孔22a,22bを設けてこれらを大径孔部とし、各重り部材11A,11Bの挿入側とは反対側端部に前記座ぐり孔22a,22bと略同形状からなるテーパ状の大径部11A-2,11B-2を一体に設けたものである。その他の構造は上記した第1の実施の形態を同じである。
【0038】
このような構造においても皿ねじ12をナット18にねじ込んで2つの重り部材11A,11Bを一体的に結合すると、大径部11A-2,11B-2が座ぐり孔22a,22bに押し付けられるので、上記した第1、第2の実施の形態と同様に、重り部材11A,11Bの挿入量を規定するとともに、これらの重り部材を重り埋設孔2に確実に固定することができ、がたつき、回転、脱落等を防止することができる。
【0039】
図5は本発明の第4の実施の形態を示す重り部材の斜視図である。
この実施の形態は、一方の重り部材11Aと皿ねじ12をインサート成形によって一体に成形することにより、皿ねじ12を重り部材11Aに埋設し、そのねじ部を筒部11A-1の端面から外部に突出させ、大径部11A-2の表面中央に六角形の回転操作用穴24を形成したものである。この回転操作用穴24に六角形のレンチを差し込んで一方の重り部材11Aを回転させると皿ねじ12を図2に示したナット18、図3に示した他方の重り部材11Bのねじ孔20または後述する図6に示すナット18にねじ込むことができる。回転操作用穴24としては、六角形レンチ用に限らずドライバの使用を可能にするためにプラス穴またはマイナス穴であってもよい。
【0040】
図6は本発明の第5の実施の形態を示す重り部材の断面図である。
この実施の形態は、他方の重り部材11Bとナット18をインサート成形によって一体に成形することにより、ナット18を重り部材11Bに埋設し、大径部11B-2の表面中央に六角形の回転操作用穴25を形成したものである。回転操作用穴25としては、ドライバの使用を可能にするためにプラス穴またはマイナス穴であってもよい。
【0041】
図5に示した一方の重り部材11Aと図6に示した他方の重り部材11Bを皿ねじ12によって結合するとき、回転操作用穴24または25に六角形のレンチを差し込んでいずれか一方の重り部材または両方を同時に逆方向に回転させると皿ねじ12がナット18に螺合し、2つの重り部材11A,11Bを一体的に結合することができる。
【0042】
このように皿ねじ12を一方の重り部材11Aに埋設し、ナット18を他方の重り部材11Bに埋設しておくと、皿ねじ12とナット18の紛失を防止することができる。
【0043】
図7は本発明の第6の実施の形態を示す重りの一部を断面して示す図である。
この実施の形態は、重り30を鍵盤の幅方向に分割して形成された2つの重り部材30A,30Bで構成し、これらの重り部材30A,30Bの互いに対向する端面に両重り部材30A,30Bを分離可能に結合する結合手段31を設けたものである。2つの重り部材30A,30Bは、それぞれ円板状の小径部30A-1,30B-1と、大径部30A-2,30B-2とで構成されている。
【0044】
前記結合手段31は、一方の重り部材30Aの小径部30A-1の先端面中央に一体に突設した円柱状の嵌合部32と、他方の重り部材30Bの小径部30B-1の先端面中央に設けられ前記嵌合部32が嵌合する嵌合孔部33とで構成されている。前記嵌合部32は、外周に半円形の環状突起34が一体に突設されている。一方、嵌合穴部33の内周面には、前記係合突起34が係合する環状の係合溝35が形成されている。
【0045】
また、他方の重り部材30Bの小径部30B-1には、前記嵌合部32の嵌合穴部33に対する嵌合を容易にするために複数個のスリ割り36が周方向に一定の間隔をおいて形成されている。さらに、大径部30B-2の中央には、前記嵌合穴部33に連通する小孔37が形成されている。この小孔37は、鍵盤の重り埋設孔に組み込まれている重り30を取り出すときに用いられるもので、適宜なピン38を小孔37に差し込んで一方の重り部材30Aの小径部30A-1を押圧して係合突起34を係合溝35から離脱させ、嵌合部32を嵌合孔部33から抜き出すことで鍵盤の重り埋設孔からの重り30の取外しを可能にしている。
【0046】
図8は本発明の第7の実施の形態を示す断面図である。
この実施の形態においては、鍵盤1の重り埋設孔40を、両端開口部より鍵盤1の内部に向かってテーパ状に小径化する左右対称な断面鼓状の孔としている。このため、重り埋設孔40は中央が最も小径で、両端開口部が最大の穴径を有している。
【0047】
重り部材42は、前記鼓状の重り埋設孔40に鍵盤1の両側からそれぞれ嵌合し得るように前記鍵盤1の幅方向に分割して形成された截頭円錐形からなる2つの重り部材42A,42Bで構成されている。また、2つの重り部材42A,42Bは左右対称で、テーパ面43の傾斜角度が前記重り埋設孔40の左右のテーパ面44の傾斜角度と等しく、長さが鍵盤1の半値幅より小さく設定されている。また、重り部材42A,42Bの最大外径は、重り埋設孔40の最大穴径と略等しく設定されている。したがって、各重り部材42A,42Bを鍵盤1の両側から重り埋設孔40にそれぞれ挿入すると、テーパ面43がテーパ面44に密接することで挿入量が規定され、各重り部材42A,42Bの外側面が鍵盤1の各側面1a,1bと略同一面を形成する。そして、これらの重り部材42A,42Bは、図1に示した皿ねじ12またはボルトによって一体的に結合されることで、重り埋設孔40に固定される。
【0048】
このような構造においては、テーパ面43,44どうしが互いに密接することで、重り部材42A,42Bの挿入量を規制するとともに、重り部材42A,42Bのがたつき、回転、脱落等を確実に防止することができる。
【0049】
図9は上記した第7の実施の形態の変形例を示す断面図である。
この実施の形態においては、鍵盤1の重り埋設孔45を、両端開口部より鍵盤1の内部に向かってテーパ状に小径化する左右非対称な断面鼓状の孔としている。このため、最小穴径と最大穴径が同じで、長さが異なる2つのテーパ孔部45A,45Bからなり、そのテーパ面47,48の傾斜角度も異なっている。
【0050】
重り部材50は、前記各テーパ孔部45A,45Bに鍵盤1の両側からそれぞれ嵌合し得るように前記鍵盤1の幅方向に分割して形成された左右非対称な截頭円錐形からなる2つの重り部材50A,50Bで構成されている。これらの重り部材50A,50は、最小穴径と最大穴径が同じで、長さが異なっている。これらの重り部材50A,50Bは各テーパ孔部45A,45Bにそれぞれ挿入されると、テーパ面53,54がテーパ面47,48に密接することで挿入量が規定され、各重り部材50A,50Bの外側面が鍵盤1の各側面1a,1bと略同一面を形成する。そして、これらの重り部材50A,50Bは、図1に示した皿ねじ12またはボルトによって一体的に結合され、皿ねじまたはボルトによって一体的に結合されることで重り埋設孔45に固定される。
【0051】
このような構造においても、図8に示した第7の実施の形態と同様な効果が得られることは明らかであろう。
【0052】
なお、上記した実施の形態では、いずれもピアノの鍵盤に適用した例を示したが、本発明はこれに何等特定されるものではなく、電気ピアノ、電子ピアノ等の鍵盤楽器の鍵盤にも適用することが可能である。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る鍵盤楽器の鍵盤は、重りを2つの重り部材で構成し、これらの重り部材を結合手段によって一体的に結合しているので、重り埋設孔に圧入する代わりに遊挿することができ、圧入に比べて重りの取付作業が容易でしかも確実に固定することができ、がたつき、回転、脱落等を防止することができる。また、鉛以外の材料からなる重りを用いると、環境問題を引き起こすおそれがない。
また、結合手段として市販のねじまたはボルトを使用することができるため、安価に入手することができる。
また、結合手段として一方の重り部材に設けた嵌合部と他方の重り部材に設けた嵌合凹部とで構成すると、別部材からなる結合手段を必要とせず、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明をピアノの鍵盤に適用した第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】 図1のII−II線断面図である。
【図3】 本発明の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図4】 本発明の第3の実施の形態を示す断面図である。
【図5】 本発明の第4の実施の形態を示す斜視図である。
【図6】 本発明の第5の実施の形態を示す断面図である。
【図7】 本発明の第6の実施の形態の一部を破断して示す図である。
【図8】 本発明の第7の実施の形態を示す断面図である。
【図9】 本発明の第8の実施の形態を示す断面図である。
【図10】 従来の重りを備えたピアノの鍵盤を示す側面図である。
【図11】 鍵盤の断面図である。
【符号の説明】
1…鍵盤、2…重り埋設孔、2A…小径部、2B,2C…大径孔部、3…重り、11…重り、11A…一方の重り部材、11B…他方の重り部材、11A-1,11B-1…小径部、11A-2,11B-2…大径部、12…結合手段(皿ねじ)、32…嵌合部、31…重り、30A…一方の重り部材、30B…他方の重り部材、33…嵌合孔部、34…係合突起、35…係合溝、40…重り埋設孔、42…重り、42A…一方の重り部材、42B…他方の重り部材、45…重り埋設孔、50…重り、50A…一方の重り部材、50B…他方の重り部材。
Claims (4)
- 鍵盤の側面所定箇所に重り埋設孔を形成し、この重り埋設孔に重りをはめ込み固定した鍵盤楽器の鍵盤において、
前記重り埋設孔が前記鍵盤の内部側が小径孔部を構成し、両端開口部が大径孔部を構成する貫通孔からなり、
前記重りが前記鍵盤の幅方向に分割して形成された2つの重り部材で構成され、それぞれの一端側が前記重り埋設孔の大径孔部にはめ込まれる大径部分を構成し、他端側が前記小径孔部にはめ込まれる小径部分を構成し、これらの重り部材を前記鍵盤の両側から前記重り埋設孔にそれぞれはめ込み、結合手段によって一体的に結合した鍵盤楽器の鍵盤。 - 鍵盤の側面所定箇所に重り埋設孔を形成し、この重り埋設孔に重りをはめ込み固定した鍵盤楽器の鍵盤において、
前記重り埋設孔が両端開口部より鍵盤の内部に向かって小径化する断面鼓状の貫通孔で、
前記重り部材が、前記鼓状の重り埋設孔に鍵盤の両側からそれぞれ嵌合し得るように前記鍵盤の幅方向に分割して形成された截頭円錐形からなる2つの重り部材で構成され、これらの重り部材を前記鍵盤の両側から前記重り埋設孔にそれぞれ嵌合し、結合手段によって一体的に結合した鍵盤楽器の鍵盤。 - 請求項1または2記載の鍵盤楽器の鍵盤において、
結合手段がねじまたはボルトである鍵盤楽器の鍵盤。 - 請求項1記載の鍵盤楽器の鍵盤において、
結合手段が、一方の重り部材に一体に突設され外周に係合突起を有する嵌合部と、他方の重り部材に形成され前記一方の重り部材の前記嵌合部が嵌合する嵌合孔部と、この嵌合孔部の内周面に形成され前記係合突起が係合する係合溝とで構成される鍵盤楽器の鍵盤。
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