JP3774710B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、縁石等を乗り越す際に発生するタイヤサイド部のカーカスカットを効果的に防止できるタイヤ構造を有する空気入りタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、空気入りタイヤは、運動性能向上を目的として偏平率化が進んでいる。しかし、空気入りタイヤの低偏平化が進むにつれ、縁石等を乗り越す際にタイヤのカーカスカットが発生し易くなることが指摘されるようになってきている。
【0003】
つまり、図3に示すように偏平率の低い空気入りタイヤ10Xが縁石20を乗越す時に、タイヤ10Xのサイド部のうち、特にショルダー部からサイド部が著しくたわみ、このたわんだ部分が、リムフランジ5と縁石20に挟まれて、タイヤ内部のカーカスまでが押し切られるカーカスカットが発生する。
【0004】
そして、この縁石等を乗り越す際のカーカスカットに対して、従来技術のタイヤでは、有効に対処することができず、パンクを完全に防ぐことは難しいという状況にある。
【0005】
例えば、農業機械用タイヤではあるが、リム組みされたタイヤが荷重変形することによって相互に接触するリムのフランジ部の頂点付近のビード部内面およびトレッド部内面の少なくともどちらか一方に円周方向に沿って補強リブを配置して、タイヤが荷重変形した場合にタイヤのビード部およびトレッド部の近傍のゴムおよびコードが摩滅したり、破損したりすることがなくタイヤの耐久性が向上するタイヤが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
しかし、この技術は零内圧または極低内圧で使用され、通常カーカスプライ、ブレーカープライ等の補強コードによって補強されず、ゴムだけで形成されている農業機械用タイヤに対するものであり、また、補強リブがタイヤのビード部およびトレッド部に配置されているため、空気入りタイヤのショルダー部からサイド部におけるカーカスカットに対する有効な防止策とはならない。
【0007】
【特許文献1】
特開昭54−8302号公報(第1−3頁、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、このカーカスカット防止対策として、タイヤショルダー部からサイド部の肉厚を厚くすることや、補強層を追設する方法が考えられるが、タイヤの走行性能の低下、重量アップとの兼ね合いの点から限界があるため、有効な手段にはならないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、低偏平率タイヤであっても、縁石や段差等の乗越し時において発生し易いカーカスカットを防止できるパンク防止性能の高い空気入りタイヤを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤショルダー部からサイド部までのタイヤ内面領域にのみ、ゴムで形成された複数列のジャバラ状のリブを周方向に連続して設け、該リブの幅を4mm〜8mm、高さを4mm〜8mm、中心間距離を8mm〜20mmの範囲にし、偏平率を60%以下にしたことを特徴とする。
【0011】
この複数列のジャバラ状のリブはカーカスカット防止用のリブであり、周方向に連続して設置され、タイヤが縁石等に乗り上げた際等に、タイヤショルダー部及びサイド部が著しくたわんで縁石とリムフランジの間に挟まれた時に、この複数列のリブがクッションの役割を果たし、また、このリブが介在することにより、縁石とリムフランジ挟まれる部分の距離を大きくして極度の屈折を防止し、カーカスカットの発生を防止する。
【0014】
また、前記リブの中心間距離は8mm〜20mmで、かつ、高さを4mm〜8mmとする。この構成により、カーカスカット防止効果と質量増加のバランスが良くなる。
【0015】
つまり、ジャバラ状リブの本数が少なく、この中心間距離が広すぎたり、若しくは、リブの高さが低すぎると、カーカスカットを防止することができず、中心間距離が狭すぎたり、若しくは、リブの高さが高すぎると、質量の増加が大きくなり過ぎてしまう。
【0016】
また、この縁石や段差乗り上げによるタイヤサイド部のカーカスカットの防止は、特に、偏平率60%以下の低偏平タイヤである場合に、特に効果を奏することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態の空気入りタイヤについて、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明の空気入りタイヤ10の一例を示す断面図であり、図中の1はトレッド部、2はジャバラ状のリブ、3はショルダー部、4はサイド部である。
【0019】
この空気入りタイヤ10は、図1に示すように、タイヤ本体のタイヤショルダー部3からサイド部4までのタイヤ内面領域にのみ、複数本(図1では6本)のジャバラ状のリブ2を設けて構成される。このリブ2はゴムから形成され、このリブ2の断面は図1では中実の円形形状であるが、クッション効果を発揮する形状であれば、矩形やその他の形状で形成してもよい。
【0020】
また、このリブ2の中心間距離aは8mm〜20mmの範囲で、リブの高さhは4mm〜8mmの範囲で形成され、また、リブの幅bは4mm〜8mmの範囲で形成されている。
【0021】
このリブ2は、図2に示すように、空気入りタイヤ10が、縁石20に乗り上げる時に、クッションの役割を果たすので、タイヤサイド部のカーカスカットを防止することができる。
【0022】
この縁石乗り上げは一瞬であるので、このリブ2のクッション効果により、空気入りタイヤ10のサイド部のダメージを完全に防止できなくても、パンクには至らないようにすることができる。
【0023】
つまり、タイヤショルダー部3からサイド部4にかけて内面にリブ2を設けたことにより、縁石乗り越し等でサイド部が大きく変形してホイールのリムフランジ5でタイヤサイド部のカーカスを押し切ってしまうことを防止することができ、パンクレスタイヤとしての機能をより高めることが可能となる。
【0024】
本発明は空気入りタイヤ一般に適用できるが、特に、偏平率60%以下の低偏平タイヤに適用する場合に効果が顕著である。
【0025】
〔実施例〕
タイヤサイズが215/45ZR17、リムが17×7JJ(アルミ)、空気圧120kPaを共通条件とし、タイヤ構造を下記のように異ならせた従来例、比較例、実施例の3種の供試タイヤについて、進入速度を15km/hから2.5km/h毎に増加させて縁石に進入し、供試タイヤにカーカスカットが発生する速度を測定した。
【0026】
従来例タイヤは、タイヤ内面に特に何も配置しないタイヤであり、比較例タイヤは、図4に示すように、タイヤ内面に厚さ5mmで、幅50mmのゴム層7を設置したタイヤである。また、実施例タイヤは、図1に示すように、タイヤ内面のショルダー部3からサイド部4までの範囲に高さ5mm,中心間距離12mmの半円断面のリブ2を6本設けたタイヤである。
【0027】
この評価実験の結果を表1に示すが、従来例タイヤが速度22.5km/hでカーカスカットを発生したのに対して、比較例タイヤは32.5km/h、実施例タイヤは32.5km/hであり、従来例に比べて比較例と実施例がカーカスカットに対する防止効果が大きいことが分かった。
【0028】
また、各供試タイヤの重量(指数:数値が小さい方が重い)は逆数で評価し、従来例を100とする時の指数で示した。比較例タイヤが94であるのに対して、実施例タイヤが96となり、重量が軽い分だけ、比較例タイヤよりも運動性能に優れている。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、空気入りタイヤにおいて、タイヤ本体の内面側に、特に、タイヤショルダー部からサイド部の範囲に、ゴム層で形成された複数列のジャバラ状のリブを設けたので、縁石等を乗り越える際にリムフランジと縁石に挟まれて発生するカーカスカットをタイヤ外観を損なうことなく、効果的に防止することができる。
【0031】
しかも、ジャバラ状のリブであるため、質量の増加を抑制でき、軽量で運動性能に優れた空気入りタイヤを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の空気入りタイヤを示す断面図である。
【図2】図1の空気入りタイヤが、縁石を乗り越える状態を示す断面図である。
【図3】従来のタイヤが、縁石を乗り越える状態を示す断面図である。
【図4】比較例の空気入りタイヤを示す断面図である。
【符号の説明】
1 タイヤ本体
2 ジャバラ状のリブ
3 ショルダー部
4 サイド部
5 リムフランジ
10 空気入りタイヤ
20 縁石
Claims (2)
- タイヤショルダー部からサイド部までのタイヤ内面領域にのみ、ゴムで形成された複数列のジャバラ状のリブを周方向に連続して設け、該リブの幅を4mm〜8mm、高さを4mm〜8mm、中心間距離を8mm〜20mmの範囲にし、偏平率を60%以下にした空気入りタイヤ。
- 前記リブの断面形状が円形又は矩形である請求項1記載の空気入りタイヤ。
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