JP3773569B2 - 直流電力ケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインパルス(Imp)印加時、極性反転時および直流逆極性Imp重畳時の絶縁破壊特性に優れた直流電力ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
電力送電用のゴム・プラスチック絶縁電力ケーブルに用いられる絶縁体層は、一般にポリオレフィンに架橋剤、酸化防止剤などを所定量配合した樹脂組成物を導体上に押出成形し、これを圧力10kg/cm2 程度、温度200〜300℃の条件で架橋処理してポリオレフィンを架橋させることにより形成されている。ここでポリオレフィンの架橋剤としては、通常ジクミルペルオキシド(以下、DCPと略す)などの有機過酸化物が用いられる。このDCPは架橋処理の過程で熱分解してアセトフェノンなどの分解残渣を生成する。このような架橋分解残渣は架橋絶縁体層の体積固有抵抗を低下させ、高温における直流破壊性能を低下させるとともに、絶縁体層外周の半導電層などにおいて電荷が蓄積しやすくなって空間電荷の形成を助長し極性反転時や直流逆極性Imp重畳時に著しく耐圧を低下させる。
【0003】
これらの問題を解消するためには絶縁体層の体積固有抵抗を高めることが検討されており、そのための樹脂として、カルボニル基、ニトリル基およびニトロ基を含有する極性基含有単量体の少なくとも一種と二塩基酸無水物を共重合成分として有するエチレン系共重合体を用いることが提案されている(特開平5−298925、特開平5−298926、特開平5−298927、特開平5−298928)。上記のような極性基を導入したエチレン系共重合体は、DCPで架橋した後であっても、絶縁抵抗を高く保つことができ、高い直流破壊特性を保つことができる。さらに、これらの極性基は電荷をトラップするため、直流印加時の空間電荷形成を抑制し極性反転耐圧も高い値を保つことができる。
【0004】
しかし、上述した極性基を有する単量体を共重合したエチレン系共重合体の架橋体を絶縁体に使用した電力ケーブルは、極性基の影響でインパルス耐圧値が低下してしまうという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、直流破壊特性だけでなく、Imp印加時、極性反転時および直流逆極性Imp重畳時の全ての絶縁破壊特性に優れた直流電力ケーブルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の直流電力ケーブルは、導体の外側にポリオレフィン系絶縁体層を設けた直流電力ケーブルにおいて、前記絶縁体層が、ポリエチレンにカルボニル基を含有する極性基含有単量体とマレイン酸無水物とをグラフト重合したエチレン系共重合体からなる樹脂成分に、有機過酸化物およびビス[2−メチル−4−{3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ}−5−t−ブチルフェニル]スルフィド(ただし、アルキル基の炭素数は12または14である)を必須成分として配合した樹脂組成物の架橋体からなることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、エチレン系共重合体としては、特開平5−298925〜298928に開示されているところの、エチレンと上記の特定の極性基含有単量体の少なくとも一種および二塩基酸無水物との多元エチレン系ランダム共重合体;エチレンと二塩基酸無水物との共重合体に上記の特定の極性基含有単量体の少なくとも一種をグラフト重合体エチレン共重合体;エチレンと上記の特定の極性基含有単量体の少なくとも一種との共重合体に二塩基酸無水物をグラフト重合したエチレン系共重合体;ポリエチレンに除基の特定の極性基含有単量体と二塩基酸無水物とをグラフト重合体エチレン共重合体のいずれかを用いることができる。
【0008】
極性基含有単量体としては、例えばアクリル酸エチル、酢酸ビニル、メチルビニルケトン、アクリロニトリル、2−ニトロスチレンなどを挙げることができ、なかでもアクリル酸エチルようにカルボニル基を有するものは体積固有抵抗を上昇させる効果が大きいため好適である。また、二塩基酸無水物としてはマレイン酸無水物が好適である。
【0009】
有機過酸化物架橋剤としては、ジクミルペルオキシド、t−クミルペルオキシドなどが挙げられる。有機過酸化物架橋剤の配合量は、エチレン系共重合体もしくはこのエチレン系共重合体と他のポリオレフィン系樹脂との混合物からなる樹脂成分100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、0.1〜5重量部であることがさらに好ましい。これは、0.1重量部未満では架橋度が低くなるため耐熱性が低下し、逆に10重量部を超えるとケーブル製造時に焼けが発生してケーブルの電気特性を低下させるためである。
【0010】
本発明において、チオカルボン酸エステル系の酸化防止剤としては、チオビスフェノールのビスアルキルチオカルボン酸エステルが好適である。なお、チオカルボン酸の硫黄原子に結合するアルキル基の炭素数は、ポリオレフィンとの相溶性の観点から、8以上であることが好ましい。この酸化防止剤の代表として、下記化学式に示すビス[2−メチル−4−{3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ}−5−t−ブチルフェニル]スルフィド(ただし、アルキル基の炭素数は12または14である)が挙げられる。この酸化防止剤は、旭電化社から商品名アデガスタブAO−23として市販されているものを入手できる。本発明において用いられる酸化防止剤は、絶縁体層のImp耐圧を向上させる作用を有する。酸化防止剤の配合量は、エチレン系共重合体もしくはこのエチレン系共重合体と他のポリオレフィン系樹脂との混合物からなる樹脂成分100重量部に対して、0.1〜1重量部であることが好ましく、0.1〜0.7重量部であることがさらに好ましい。この配合量の範囲内であれば、熱老化特性も十分であり、絶縁体の体積固有抵抗も低下せず、ケーブルの電気特性も良好に維持される。
【0011】
【化1】
本発明において、絶縁体層を構成する樹脂組成物には、その特性を損なわない範囲内で、充填剤など通常用いられる種々の特性改良剤を配合してもよい。
【0012】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
以下のようにして導体上に内部半導電層、絶縁体層、外部半導電層、金属遮蔽層およびシース層を順次被覆した直流電力ケーブルを製造した。
【0013】
まず、断面積100mm2 の導体上に、厚さ0.7mmの内部半導電層、表1に示す樹脂組成物を用いた厚さ3.5mmに絶縁体層、厚さ0.7mmの外部半導電層を3層同時に押出被覆した。次に、このようにして作製したそれぞれのケーブルコアを、圧力10kg/cm2 、温度270℃の条件で加圧加熱してポリエチレンの架橋反応を行った。さらに、常法に従って金属遮蔽層およびシース層を順次設け、実施例1、2および比較例1〜3の直流電力ケーブルを得た。
【0014】
ここで、表1における樹脂組成物の樹脂成分について説明する。
極性基グラフトポリエチレン:アクリル酸エチル(カルボニル基を含む)0.1wt%および無水マレイン酸0.01wt%をグラフトした低密度ポリエチレン(LDPE)、密度0.920g/cm3 、MFR1.0g/10min。
【0015】
低密度ポリエチレン:密度0.920g/cm3 、MFR1.0g/10min。
得られた直流電力ケーブルについて、導体温度が90℃になるように通電しながら下記の方法で絶縁破壊試験を行った。これらの試験結果を表1に併記する。
【0016】
負極性Imp破壊耐圧:長さ8mの電力ケーブルを用意し、負極性インパルスをスタート電圧を200kVとして20kV/3回の割合でステップアップ昇圧して印加し、破壊電圧を測定した。
【0017】
直流破壊耐圧:長さ8mの電力ケーブルを用意し、直流電圧をスタート電圧を60kVとして10kV/10分の割合でステップアップ昇圧して印加し、破壊電圧を測定した。
【0018】
直流逆極性Imp重畳破壊耐圧:長さ8mの電力ケーブルを用意し、Imp電圧をスタート電圧を50kVとして20kV/3回の割合でステップアップ昇圧するとともに、逆極性の直流電圧35kV/mmを重畳して印加し、破壊電圧を測定した。
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、直流破壊特性ならびにImp印加時、極性反転時および直流逆極性Imp重畳時の全ての絶縁破壊特性に優れた直流電力ケーブルを提供できる。
Claims (2)
- 導体の外側にポリオレフィン系絶縁体層を設けた直流電力ケーブルにおいて、前記絶縁体層が、ポリエチレンにカルボニル基を含有する極性基含有単量体とマレイン酸無水物とをグラフト重合したエチレン系共重合体からなる樹脂成分に、有機過酸化物およびビス[2−メチル−4−{3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ}−5−t−ブチルフェニル]スルフィド(ただし、アルキル基の炭素数は12または14である)を必須成分として配合した樹脂組成物の架橋体からなることを特徴とする直流電力ケーブル。
- 樹脂成分中のマレイン酸無水物単位が0.001〜0.05重量%、かつカルボニル基を含有する極性基含有単量体単位とマレイン酸無水物単位との合計量が0.002〜0.2重量%であることを特徴とする請求項1に記載の直流電力ケーブル。
Priority Applications (1)
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JP29561595A JP3773569B2 (ja) | 1995-11-14 | 1995-11-14 | 直流電力ケーブル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP29561595A JP3773569B2 (ja) | 1995-11-14 | 1995-11-14 | 直流電力ケーブル |
Publications (2)
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JPH09139120A JPH09139120A (ja) | 1997-05-27 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP29561595A Expired - Fee Related JP3773569B2 (ja) | 1995-11-14 | 1995-11-14 | 直流電力ケーブル |
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-
1995
- 1995-11-14 JP JP29561595A patent/JP3773569B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH09139120A (ja) | 1997-05-27 |
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