JP3772653B2 - 全方向移動型台車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はユニバーサルホイールやボールホイールのような全方向駆動車輪を備えている全方向移動型台車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
全方向駆動車輪を備えた全方向移動型台車は各種のものが提案されており、たとえば実公昭63−39164号公報にはユニバーサルホイール(オールサイドローラ)と称される全方向駆動車輪を備えたものが示されており、特開昭63−149270号公報や特開平02−249769号公報などにも全方向移動型台車が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、複数の全方向駆動車輪を備えた全方向移動型台車においては、全ての全方向駆動車輪の駆動制御を行うことによって目的とする方向への目的とする速度あるいは推進力による移動を行わせるのであるが、全方向駆動車輪を少なくとも4個備えたものにおいては、凹凸があったり水や油で部分的に濡れている路面を走行する時、あるいは傾斜路に斜め方向から進入する場合など、1輪が浮く、あるいは車輪と路面のグリップ力が不足してスリップする等の原因により車輪が空転してしまうことがあり、この場合、残りの全方向駆動車輪の駆動では、本来の移動を台車に行わせることができない。
【0004】
殊に各全方向移動型車輪の駆動をトルク制御で行っている場合、4輪の出力のバランスで駆動していることから、1輪でも空転するとバランスが崩れて操作者が意図していない危険な動きをしてしまう可能性が高い。
【0005】
各全方向移動型車輪の駆動を速度制御で行っている場合は、もともと4輪が冗長であるために1輪が浮いたりグリップ不足によるスリップで空転してしまって他の3輪による速度制御となってもトルク制御の場合ほど意図する動きからずれることはないが、4輪で駆動することを前提にした制御であることから、3輪の駆動ではパワーが不足し、目標速度に到達するまでに遅れを生じる。このために、接地している3輪が目標速度と比較的大きな偏差をもって動作しているのに対して、空転している車輪はほぼ目標値通りの回転速度で回転していることになり、空転している車輪が再度接地してグリップを回復するまで回転速度が低下するに際して、速度差がありすぎて地面に接触した状態で空回りすることになって床にこすった痕(スリップ痕)をつけてしまったり、車輪の摩耗を早めたりすることになる。
【0006】
しかし、上記従来例などでは、グリップ不足によるスリップあるいは路面状況等が原因で1輪でも空転が生じてしまった場合を想定した制御については何も言及されていない。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、その目的とするところはいずれかの全方向駆動車輪が空転しても台車を正常にコントロールして移動させることができるとともに床面にスリップ痕をつけてしまったりすることがない全方向移動型台車を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明に係る全方向移動型台車は、駆動力を個別に付与することができる少なくとも4個の全方向駆動車輪と、駆動方向指示部からの指示に基づいて演算された駆動力を上記駆動車輪の駆動源に発生させる制御手段とを備えて、これら全方向駆動車輪の駆動制御にて平面上での前後左右及び斜め移動並びに回転が可能となっている全方向移動型台車において、各全方向駆動車輪の空転を検出する空転検出手段を備えており、上記制御手段はいずれか1輪の全方向駆動車輪が空転状態と判断された時、空転している全方向駆動車輪を除く他の全方向駆動車輪の速度検出値から平面内動作速度を演算するものであるとともに、制御手段は、空転状態と判断された全方向駆動車輪に対し、他の全方向駆動車輪の速度検出値から演算した平面内動作速度に基づいて出力を演算するものであることに特徴を有している。スリップ等で空転している全方向駆動車輪があっても、正常な速度・位置の検出を行うことができる。
【0009】
この場合の制御手段は、空転状態と判断された全方向駆動車輪に対し、他の全方向駆動車輪の速度検出値から演算した平面内動作速度に基づいて出力を演算するものであることが好ましい。
【0010】
いずれにしても、駆動方向指示部は台車の操作部に加えられた操作力に応じた出力を出すものであってもよい。
【0011】
空転検出手段には、速度制御に際しての全方向駆動車輪の速度応答が極めて早いことで空転を検出するもの、速度制御に際しての全方向駆動車輪の駆動源への出力電流が急低下したことで空転を検出するもの、速度制御に際しての全方向駆動車輪の目標速度と実速度との差から空転を検出するもの、トルク制御に際しての全方向駆動車輪の速度の急上昇から空転を検出するものなどを好適に用いることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施の形態の一例に基づいて詳述すると、図2に示す台車1は、その底面四隅に全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dを配したもので、この全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dにはボールホイールやユニバーサルホイール等、任意の形式のものを用いることができるが、ここでは図3に示すユニバーサルホイール型のものを用いている。このユニバーサルホイール型全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dは、中央車軸20を備えたフレーム21の外周部に中央車軸20の軸方向及び径方向と直交する軸の回りに回転自在な複数個のバレル22を配したもので、各バレル22の支持軸を含む断面の外形が中央車軸20を中心とする円弧を形成していることから、該全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dは、中央車軸20を中心とする回転と、各バレル22の夫々の軸回りの回転とによって、全方向移動が可能となっている。なお、複数個のバレル22は2列で設けているとともに、両列においてバレル22の中央車軸20の軸回りにおける位置を半ピッチずらすことで、いずれかのバレル22が常に接地している状態を得られるようにしている。
【0013】
そして、各全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dは、夫々の中央車軸20にモータ25が連結されて該モータ25によって中央車軸20の回りの駆動力を受けることができるものとなっている。また、一端側左右に配した2つの全方向駆動車輪2a,2d及び他端側左右に配した2つの全方向駆動車輪2b,2cは、夫々中央車軸20,20の軸方向延長線が台車1の中央寄りの部分で交差するように前後方向から左右に振った状態で台車1に取り付けられている。図2(b)中の黒塗り矢印イは各全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dの駆動回転方向を、斜線矢印ロは各全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dの自由回転方向を示している。また、これら全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dにはその回転速度を検出する速度検出手段(図示せず)を設けてある。
【0014】
そして、台車1の端面には台車1に対する駆動方向や駆動速度等の指示を与えるための操作ハンドル4を配してあり、図4及び図5に示すように、該操作ハンドル4を通じて与えた駆動指令値に基づき、制御回路CPUは各全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dに加えるべき駆動力を演算し、その駆動力指令値を制御手段(駆動回路)を通じて駆動源(モータ25)に与えて全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dを駆動する。
【0015】
この全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dの駆動をトルク制御で行っている場合について、図6に基づいて説明すると、各全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dの出力f1,f2,f3,f4で発生する台車1の重心Gでの駆動力(Fx、Fy、M)を求めると、
Fx=−f1・sinθ−f2・sinθ+f3・sinθ+f4・sinθ
Fy=f1・cosθ−f2・cosθ−f3・cosθ+f4・cosθ
Mx=Wsinθ・(f1+f2+f3+f4)
My=L1cosθ・(f1+f4)+L2・cosθ(f2+f3)
ただし、Mx、Myは全駆動車輪2a,2b,2c,2dで発生する力のx,y分力により発生するモーメントの夫々の合計であり、
M=Mx+My
=(Wsinθ+L1・cosθ)(f1+f4)+(Wsinθ・+L2・cosθ)(f2+f
3)
また、前後のバランスを考慮して
f1−f4=f2−f3となるようにする。これらをまとめれば、
【0016】
【数1】
となり、該式から所望の台車駆動力(Fx、Fy、M)を発揮させる場合の各全方向駆動車輪のトルク(f1,f2,f3,f4)は
【0017】
【数2】
で求めることができる。ここで、L,αは
L=Wsinθ+L1・cosθ
α=(Wsinθ+L2・cosθ)/(Wsinθ+L1・cosθ)
である。
【0018】
しかし、これでは4輪が共に接地して駆動力を発揮することを前提としていることから、1輪が浮いたりスリップしたりして空転してしまうと意図する方向に動かないことになる。
【0019】
このために、図1に示すように、各全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dの速度v1,v2,v3,v4を検出することができる速度検出手段を設けるとともに、その検出値から空転しているかどうかを判別する空転検出手段を設けて、空転している全方向駆動車輪があれば、その全方向駆動車輪を除く他の3つの全方向駆動車輪で意図する動きを台車1に行わせるための駆動力演算を行う。
【0020】
すなわち、空転している全方向駆動車輪があれば、その車輪を除く他の全方向駆動車輪のトルクから台車駆動力(Fx、Fy、M)を求め、また、所望の台車駆動力(Fx、Fy、M)を得るためのその他の全方向駆動車輪のトルクを求めるのである。
今、全方向駆動車輪2aが空転している場合、f1=0と考えられるので、前記の各式にf1=0を代入すれば、
Fx=−f2・sinθ+f3・sinθ+f4・sinθ
Fy=−f2・cosθ−f3・cosθ+f4・cosθ
M=(Wsinθ+L2cosθ)(f2+f3)+(Wsinθ+L1cosθ)f4
となり、これらをまとめると
【0021】
【数3】
となって、所望の台車駆動力(Fx,Fy,M)から各全方向駆動車輪2b,2c,2dの必要トルクf2,f3,f4は次式で導出できる。
【0022】
【数4】
同様に、全方向駆動車輪2b,2c,2dが空転した場合にも、他の3つの全方向駆動車輪で台車1の必要駆動力を発生させることができ、接地している3つの全方向駆動車輪のトルクは同様にして導出できる。
【0023】
全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dが空転しているかどうかの判断については、トルク制御を行っている場合、スリップ等で空転した車輪はその瞬間に接地によるグリップ力の回転抵抗がなくなって急激に回転速度が大きくなることから、この点で空転した車輪を判断することができる。図7はこの空転判断の一例を示すもので、各全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dの検出速度vk(k=1,,,n)の微分値Dvk(k=1,,,n)を計算し、その絶対値が所定値Dvtrより大きくなったかどうかで空転状態にあることを判断して、残る他の全方向駆動車輪の駆動制御で台車1を所望の台車駆動力(Fx、Fy、M)で駆動している。
【0024】
なお、トルク制御を行っている場合の空転と判断された車輪に対しては、図8にも示すように、出力電流I1,I2,I3,I4を0とするとよい。省エネルギーとなる上に、次に接地した時にグリップが回復しやすい。また、空転車輪への電流出力を0とした場合、駆動系におけるギヤやモータイナーシャの影響でその車輪の回転速度は遅くなっていく。そしてその車輪が接地すれば、車輪回転速度が上昇することから、空転と判断して電流出力を0とした車輪の回転速度が上昇すれば、空転状態が終了したと判断して通常の制御に戻すのが好ましい。図9はこの復帰についてのフローを示している。
【0025】
さらに、トルク制御を行っている場合において、前述のように急激に回転速度が大きくなって空転状態になったと判断した車輪がすぐに再接地した時には、回転速度が低下することから、この点をもとに空転状態が終了したとして通常制御に戻すのが好ましい。空転車輪の回転速度の制御ができないような一瞬の間に再接地した場合にも、即座に通常制御に戻すことができて、スムーズな動きを得ることができる。
【0026】
台車1を速度制御で駆動している場合については、図10に示すように、台車1の制御中心Aの速度が[Vax,Vay,Vaψ]の時、各全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dの回転速度v1,v2,v3,v4は次式(0)で求めることができる。
【0027】
【数5】
これは
(L1・cosθ+W・sinθ)=L1v
(L2・cosθ+W・sinθ)=L2v
とおくと、次式
【0028】
【数6】
で表すことができる。つまり、所望の台車速度[Vax,Vay,Vaψ]に対して各全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dの駆動回転速度v1,v2,v3,v4を求めることができ、台車1の速度制御を行うことができる。
【0029】
しかし、1輪が空転してしまうと、正確な平面内動作速度が計算しにくくなるとともに、空転している車輪が再接地した時、床にダメージを与えてしまうことになる。
【0030】
このために、空転している全方向駆動車輪があれば、その全方向駆動車輪を除く他の3つの全方向駆動車輪から台車1の速度(平面内動作速度)を求める。
【0031】
たとえば、全方向駆動車輪2aが空転していると判断された場合、全方向駆動車輪2aの速度v1を除く他の全方向駆動車輪2b,2c,2dの速度v2,v3,v4と台車1の所望速度[Vax,Vay,Vaψ]との関係
【0032】
【数7】
つまりは
【0033】
【数8】
から
【0034】
【数9】
を求める。
【0035】
ここで、
L1v−L2v=cosθ・(L1−L2)
L1v+L2v=(cosθ・(L1+L2)+2sinθ・W)=LL
とおくと、上記式の右辺は
【0036】
【数10】
となり、よって
【0037】
【数11】
となる。
【0038】
同様に、全方向駆動車輪2b,2c,2dのいずれかが空転していると判断されれば、夫々
【0039】
【数12】
で台車1の速度[Vax,Vay,Vaψ]を求める。
【0040】
空転している全方向駆動車輪に対する速度指令値Voptとしては、他の全方向駆動車輪の回転速度から求めた台車1の速度[Vax,Vay,Vaψ]から、前記(0)式を用いて求めるとよい。接地していたならば与えられていたであろう速度で駆動するわけであり、空転状態から接地状態に戻った時にバランスを崩したりすることなく、走行を続けることができる。
【0041】
速度制御を行っている場合の全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dの空転判断については、空転状態ではグリップによる回転抵抗がないために速度応答が極めて早くなることから、図11にも示すように速度制御の積分項Kik(K=1,,,n)が略0(|Ki
k|<ε)となることでその車輪が空転していると判断したり、あるいは速度制御に際して、図12に示すように、いずれかの全方向駆動車輪の駆動用モータへの出力電流DIk(k=1,,,n)が急低下(DIk<DItr)すれば、その車輪が空転していると判断することができる。
【0042】
また、空転している車輪は接地によるグリップ力の回転抵抗がなく、速度制御する場合に指令速度に到達する時間が短くなり、実際の回転速度と指令速度との差が略0になるのが最も早いことから、図13にも示すように、検出された回転速度vk(k=1,,,n)と指令速度vck(k=1,,,n)との差が略0(|vk−vck|<ε)になる車輪を空転していると判断するようにしてもよい。
【0043】
ところで、以上の各例では全ての全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dのうちのいずれかが空転した場合に、通常の制御から空転車輪があることを前提とした制御に移行しているが、速度検出値が最も大きい車輪を除く他の車輪での駆動制御を常時行うようにしてもよい。すなわち、速度検出値が最も大きい車輪は空転しているとみなしてしまうものであり、実際に空転しているかどうかを問わずに図14に示すように他の3輪での駆動制御を常時行うのである。この場合、空転している車輪の有無に応じた制御方法の切り換えが不要となり、常時同じ計算方法で駆動制御を行うことができる。
【0044】
さらに、上記のような空転対策を行った駆動制御は、操作ハンドル4に加えられた操作力を検出して該操作力に基づいて駆動車輪2a,2b,2c,2dの駆動制御を行う図15〜図17に示すパワーアシスト型の全方向移動型台車の場合にも適用することができる。
【0045】
図18は上記パワーアシスト型において適用することができる操作力検出部の例を示しており、台車1の端面に板ばね41,41を介して取り付けたベース40に操作ハンドル4の両端を夫々板ばね42,42を介して連結している。操作ハンドル4はベース40に対して板ばね42を撓ませることで前後に可動となっており、板ばね41,41を撓ませることで左右に可動となっている。
【0046】
また、ベース40に非接触式距離センサー45を対向させて、操作ハンドル4に左右方向の力を加えた時のベース40の移動量dcを検知し、さらに各板ばね42に非接触式距離センサー46,46を対向させて各板ばね42、42の撓み量dl、drを検知し、これら非接触式距離センサー45,46,46の出力から、操作ハンドル4に加えられた前後方向の力(推進力)Fhxと左右方向の力(横移動力)FhyとモーメントMhを検出することができるようにしてある。操作力Fhx、Fhy、Mhは、それぞれ
Fhx=k1×(dr+dl)
Fhy=k2×dc
Mh=k3×(dr−dl)+k4×dc
(k1,k2,k3,k4は定数)で求めることができる。
【0047】
そして、このように求められる操作力(Fhx,Fhy,Mh)から台車1の平面内動作速度(Vax,Vay,Vaψ)(図6参照)を図20(a)に示すようにほぼ比例の関係で決定してやることにより、操作者が加えた操作力に応じた駆動力を発生させることができる。操作力(Fhx,Fhy,Mh)から駆動源が台車1に与える駆動力(Fx,Fy,M)(図7参照)を決定してもよい。なお、過剰反応を避けるために、図2020(b)あるいは図21(b)に示すように、いわゆる不感帯を設定するのが好ましい。
【0048】
図22に他の例を示す。これは駆動方向指示部からの指示(操作力として与えられたものを含む)に基づいて演算された駆動力を全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dに加えるにあたり、前後左右や旋回についての所定の方向の位置に基づいて演算された補助駆動力との合成力を全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dに発生させるようにしたものであって、操作ハンドル4に加えられた外力からいったん台車1の速度V1(ベクトル)を算出して、ここから各駆動車輪2a,2b,2c,2dの速度を演算し、さらに各駆動車輪2a,2b,2c,2d毎に速度のフィードバックをかけたPID制御により、各駆動車輪2a,2b,2c,2dのトルク制御を行っていると同時に、予め設定した方向(たとえば横(y)方向)の動きを抑制するために、全方向駆動車輪2a,2b,2c,2dの速度から台車1の速度(ベクトル)を算出し、この値の積分で台車1の位置を算出して所定の位置目標(たとえばy位置目標=0)との偏差を求め、この偏差のPID制御出力である速度V2と上記台車速度指令V1との和から上記各駆動車輪2a,2b,2c,2d毎の速度指令指令値を求めるものとしている。
【0049】
この場合、全方向駆動が可能な駆動車輪を備えたものであるにもかかわらず、所定の方向の動きを抑制することができるものであり、小回りが効きつつも、ふらつきやずれなどを抑えた高い操安性を有するものを得ることができる。なお、位置目標については、走行状況に応じて自動的に切り替わるようにしておくのが好ましい。補助駆動力が台車1の前後走行方向と直交する横方向についてのみ位置制御するための出力であれば、直進安定性を高めることができ、補助駆動力が台車1の前後走行方向及び旋回方向について位置制御するための出力であると、横移動を簡単且つ確実に行わせることができるものとなり、さらに補助駆動力が台車1の前後走行方向及びこれと直交する横方向について位置制御するための出力であれば、その場旋回(超信地旋回)が簡単となるからであり、従って、補助駆動力による位置制御方向を台車1を動かすための操作入力に応じて切り換えることで、どのような方向に動かす時にも不要な方向の動きを抑制することができるものとなり、高い操安性を得ることができる。
【0050】
もちろん、この場合においても、空転している全方向駆動車輪があれば、この全方向駆動車輪を除く他の全方向駆動車輪をもとに台車位置演算を行うとともに、駆動力も空転している全方向駆動車輪を除く他の全方向駆動車輪に対して演算することで、空転している全方向駆動車輪が存在することによる影響を排除する。この時、位置目標との偏差などは、前述のように空転している車輪を除いた他の車輪から求めた速度をもとに演算するために、空転している車輪の有無にかかわらず、不要な方向の動きを抑制することができる。
【0051】
ところで、上記台車1は、病院などでの配膳に使用する配膳車に好適に適用することができる。温冷機能を備えた最近の多機能型配膳車は600〜700kgにも達する質量がある上に、運行場所が身体的弱者が多い病院という場所であるために、その運行上、安全性の高いものが求められるが、浮いたりスリップしたりすることによる空転がいずれかの全方向駆動車輪に生じた時にも走行安定性が損なわれることがないことから、この要求を満足させることができる。
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、駆動力を個別に付与することができる少なくとも4個の全方向駆動車輪と、駆動方向指示部からの指示に基づいて演算された駆動力を上記駆動車輪の駆動源に発生させる制御手段とを備えて、これら全方向駆動車輪の駆動制御にて目的とする方向への目的とする移動を行わせる全方向移動型台車において、各全方向駆動車輪の空転を検出する空転検出手段を備えており、上記制御手段はいずれか1輪の全方向駆動車輪が空転状態と判断された時、空転している全方向駆動車輪を除く他の全方向駆動車輪の速度検出値から平面内動作速度を演算するものであるために、1輪が空転していても、台車の正常な速度・位置の検出を行うことができるものである。
【0053】
しかも上記制御手段は、空転状態と判断された全方向駆動車輪に対し、他の全方向駆動車輪の速度検出値から演算した平面内動作速度に基づいて出力を演算するものであるから、空転した全方向駆動車輪が接地する時、バランスを崩したり床面を傷つけたりすることなく通常走行に戻ることができる。
【0054】
この場合の駆動方向指示部は台車の操作部に加えられた操作力に応じた出力を出すパワーアシスト型のものを好適に用いることができる。
【0056】
空転検出手段には、速度制御に際しての全方向駆動車輪の速度応答が極めて早いことで
空転を検出するもの、速度制御に際しての全方向駆動車輪の駆動源への出力電流が急低下したことで空転を検出するもの、速度制御に際しての全方向駆動車輪の目標速度と実速度との差から空転を検出するものなどが好ましい。空転の検出が容易である
また、空転検出手段には、トルク制御に際しての全方向駆動車輪の速度の急上昇から空転を検出するものを用いてもよく、この場合においても空転の検出が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の一例のフローチャートである。
【図2】 (a)は同上の斜視図、(b)は同上の底面図である。
【図3】 同上の全方向駆動車輪を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】 同上のブロック図である。
【図5】 同上の基本動作についてのフローチャートである。
【図6】 同上のトルク制御に関する説明図である。
【図7】 同上のトルク制御の場合の空転検知についての例のフローチャートである。
【図8】 同上の空転車輪に対する制御のフローチャートである。
【図9】 同上の空転車輪に対する制御のフローチャートである。
【図10】 同上の速度制御に関する説明図である。
【図11】 同上の空転検知についてのフローチャートである。
【図12】 同上の空転検知に付いての他例のフローチャートである。
【図13】 同上の空転検知についてのさらに他例のフローチャートである。
【図14】 他例のフローチャートである。
【図15】 パワーアシスト型の一例の斜視図である。
【図16】 同上のブロック図である。
【図17】 同上の基本動作についてのフローチャートである。
【図18】 同上の操作ハンドルの平面図である。
【図19】 (a)(b)(c)は操作ハンドルの動作説明図である。
【図20】 (a)(b)は速度制御に際しての操作力検出値と台車速度との関係を示す相関図である。
【図21】 (a)(b)はトルク制御に際しての操作力検出値と駆動源出力との関係を示す相関図である。
【図22】 別の例のブロック図である。
【符号の説明】
1 車体
2a,2b,2c,2d 駆動車輪
4 操作ハンドル
Claims (6)
- 駆動力を個別に付与することができる少なくとも4個の全方向駆動車輪と、駆動方向指示部からの指示に基づいて演算された駆動力を上記駆動車輪の駆動源に発生させる制御手段とを備えて、これら全方向駆動車輪の駆動制御にて平面上での前後左右及び斜め移動並びに回転が可能となっている全方向移動型台車において、各全方向駆動車輪の空転を検出する空転検出手段を備えており、上記制御手段はいずれか1輪の全方向駆動車輪が空転状態と判断された時、空転している全方向駆動車輪を除く他の全方向駆動車輪の速度検出値から平面内動作速度を演算するものであるとともに、制御手段は、空転状態と判断された全方向駆動車輪に対し、他の全方向駆動車輪の速度検出値から演算した平面内動作速度に基づいて出力を演算するものであることを特徴とする全方向移動型台車。
- 駆動方向指示部は台車の操作部に加えられた操作力に応じた出力を出すものであることを特徴とする請求項1記載の全方向移動型台車。
- 空転検出手段は、速度制御に際しての全方向駆動車輪の速度応答が極めて早いことで空転を検出するものであることを特徴とする請求項1または2記載の全方向移動型台車。
- 空転検出手段は、速度制御に際しての全方向駆動車輪の駆動源への出力電流が急低下したことで空転を検出するものであることを特徴とする請求項1または2記載の全方向移動型台車。
- 空転検出手段は、速度制御に際しての全方向駆動車輪の目標速度と実速度との差から空転を検出するものであることを特徴とする請求項1または2記載の全方向移動型台車。
- 空転検出手段は、トルク制御に際しての全方向駆動車輪の速度の急上昇から空転を検出するものであることを特徴とする請求項1または2記載の全方向移動型台車。
Priority Applications (1)
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