JP3772009B2 - アダマンタノンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性樹脂や染料の原料として有用なアダマンタノンの製造方法に関する。詳しくは、アダマンタンを硫酸を用いて酸化し、アダマンタノンを効率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アダマンタンを硫酸により酸化してアダマンタノンを製造する方法(以下、単に「硫酸法」ともいう。)は公知であり、1973年発行のオーガニック シンセシス第53巻第8ページ{H. W. Geluk and V. G. Keizer, Org. Synth.,53,8(1973)}には、該方法によりアダマンタノンを収率47〜48%で得たことが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記硫酸法は、硫酸という安価で工業的に入手が容易な反応試剤を用いているばかりでなく、特殊な反応設備を特に必要としないという点で、工業的なアダマンタノンの製造方法として極めて魅力的な製造方法であるといえる。しかしながら、前記したように、その収率は高々50%程度であり、工業的な製造方法として採用するには反応効率の点で大きな問題があった。
【0004】
即ち、本発明の課題は、硫酸法の持つ前記特長を損なうことなく、アダマンタノンの製造収率を大幅に向上させることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の技術課題に鑑み、硫酸法における反応条件について種々検討を行った。先ず、反応温度について検討を行ったところ、単に反応温度を変えるだけでは、その最高収率はやはり高々50%であり上記課題を解決することは出来なかった。ところで、本発明者等は上記反応温度の検討に於いて、反応温度を高くした場合には、樹脂状物が大量に生成することを確認した。そこで、本発明者等は、該樹脂状物の生成がアダマンタノンの生成反応に影響を及ぼすものと考え、該樹脂状物の生成を抑制しながらアダマンタノンの生成反応が十分に進行する条件について検討を行った。その結果、反応系を特定の温度条件下で特定時間保持した後に昇温して反応を行うと、最終的な反応温度が高いにも拘わらず前記樹脂状物が生成ぜずにアダマンタノンの収率が飛躍的に向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明はアダマンタンを硫酸により酸化してアダマンタノンを製造するアダマンタノンの製造方法において、反応系を40〜60℃の温度範囲に30分以上保持した後、60〜90℃まで昇温して反応させることを特徴とするアダマンタノンの製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法は、特定の温度条件下で反応を行う以外は、前記の硫酸法と変わる点は特にない。即ち、使用する原料等の反応試剤、反応装置等は従来の硫酸法で使用されている公知のものが使用でき、温度条件以外の反応条件等にも格別な特徴はない。
【0008】
例えば、原料であるアダマンタンとしては、工業グレードおよび試薬グレードとして市販されているものが何等制限無く使用できる。
【0009】
また、硫酸としては、一般的に酸化反応に用いられる99〜95重量%の濃度の硫酸が使用できる。なお、前記硫酸法では水が副生するため、使用する硫酸の濃度が95%未満では反応速度が遅くなる傾向がある。また、99%以上の濃度の硫酸を使用した場合には、タール分が生成しやすくなる傾向がある。
【0010】
反応を行う際のアダマンタンと硫酸の量比は、特に限定されないが、一般にアダマンタンを懸濁させ得るのに必要な量、例えばアダマンタン100gに対して300ml以上の硫酸を用いるのが好適である。この様な量比が好適であるのは、一般にアダマンタノンを硫酸に懸濁させて反応を行った方が反応が進行しやすいと言う理由による。なお、大過剰に硫酸を用いても使用量に見合った効果が得られるわけではなく、後処理に手間がかかるため、アダマンタン100gに対する硫酸の使用量は300ml〜2L程度であるのが好ましい。
【0011】
また、反応を穏やかに進行させたり、反応中にアダマンタンが昇華するのを防ぐ等の目的で、必要に応じて溶媒を使用する事も可能である。しかし、その場合には硫酸に対して安定な溶媒を選択することが必要である。このような溶媒としては、例えば、2塩化エチレン等のハロゲン化アルキルやニトロベンゼン、クロロベンゼン等の不活性基置換ベンゼン等が挙げられる。また、反応系内の水分量を一定にするため、系内にモレキュラーシーブ、硫酸マグネシウムや硫酸ソーダ等の脱水剤を添加したり、反応中に生成する水を留去しながら反応を行うことも可能である。
【0012】
前記硫酸法における反応では二酸化硫黄を生じるため、反応は一般に常圧で行うのが好ましいが、水分や溶媒の留去のために減圧下で反応する事も可能である。また、反応装置としては、十分な撹拌が出来て加熱が可能な装置であり、硫酸に耐える材質を使用しているものであれば、何ら制限なく用いられる。例えば、通常のガラスライニング釜が好適に用いられる。
【0013】
本発明は前記硫酸法に於いて、反応系を40〜60℃の温度範囲に30分以上保持した(以下、該条件下で起こる反応を単に「1段目反応」ともいう。)後、60〜90℃まで昇温して反応(以下、該昇温過程及び昇温後に起こる反応を単に「2段目反応」ともいう。)させる点に最大の特徴を有する。比較的低温で一定時間以上1段目反応を行うことにより、その後昇温して60〜90℃の高温下で2段目反応させても、前記樹脂状物の生成が抑制されて目的の反応が優先的に進行するようになる。
【0014】
前記1段目反応の反応温度(即ち、保持温度)が40℃未満の時には、その後昇温したときに樹脂状物の生成が避けられず、該反応温度が60℃を越えるときには最初から樹脂状物が生成してしまい本発明の効果が得られない。また、40〜60℃での保持時間が30分未満の時には、やはり樹脂状物の生成が避けられない。1段目反応に於ける反応温度及び該温度での保持時間は上記範囲内であれば等に限定されないが、該反応温度が50〜60℃であり該温度での保持時間が2時間以上の時には、本発明の効果が特に高い。なお、1段目反応に於ける反応温度は必ずしも一定に保つ必要はなく、60℃を超えない温度であれば変動しても良い。ただし、このとき温度が40℃未満となるときにはその温度に於ける保持時間は上記1段目の反応に於ける保持時間には含めない。
【0015】
本発明の製造方法に於いては、反応系を40〜60℃で30分以上保持して前記1段目反応を行った後、60〜90℃まで昇温して2段目反応を行う。2段目反応の反応温度が60℃未満の時には樹脂状物は生成しないが目的物の生成収率は高くならない。また、2段目反応の反応温度が90℃を越えるときには1段目反応を行っても樹脂状物の生成が避けられず所期の目的が達成できない。該2段目反応の更に好ましい反応温度65〜80℃である。なお、1段目反応を60℃で行った場合には2段目反応は60℃を越える温度(好ましくは65℃以上)で行う必要がある。
【0016】
1段目反応終了後に昇温するときの昇温速度は特に限定されないが、本発明者等の検討によると、目的物の選択性を上げるためにはゆっくり昇温する方が好ましい。しかし、昇温速度を小さくすると反応時間は長くなるので、両者のバランスを考慮すると平均上記昇温速度は0.01〜1℃/分であるのが好適である。なお、ここで平均昇温速度とは最高温度に達するまでの平均昇温速度を意味する。例えば、段階的に昇温を行った場合には、該平均昇温速度は(最高温度−1段目反応終了時温度)/(1段目反応終了後から最高温度に達するまでに要した時間)で定義される。
【0017】
2段目反応に於ける反応時間は上記昇温速度等によって異なり一概に決定することは出来ないが、一般に反応が飽和(終了)してから反応系を長時間高温下にさらすことは好ましくない。このため、2段目反応を行うに際しては、小スケールで予備的な実験を行い、反応をガスクロマトグラフィーにより追跡して、反応が終了するまでの時間を把握しておくのが好ましい。一般には、昇温速度等を調節して反応時間が24時間以内になるように制御することが望ましい。
【0018】
前記2段目反応終了後、反応系からアダマンタノンは常法に従って分離することができる。即ち、2段目反応終了後、生成したアダマンタノンを含む混合物を冷水または氷にあけた後、分離してくる粗アダマンタノンを濾別または抽出操作によって単離することができる。さらに精製が必要な場合には再結晶、減圧蒸留、水蒸気蒸留や昇華精製などの方法で精製することができる。
【0019】
【実施例】
本発明を具体的に説明するため、以下に実施例および比較例を挙げて説明するが、今発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0020】
実施例1
アダマンタン10gを98%硫酸60mlに懸濁させ、60℃で4時間加熱攪拌し、1段目反応を行った。その後、70℃で6時間、80℃で1時間加熱攪拌し(平均昇温速度0.04℃/分)、2段目反応を行った。放冷後、200mlの氷に反応混合物をあけ、エーテル200mlで2回抽出した。エーテル層を飽和食塩水200mlで2回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エーテルを減圧下留去し、アダマンタノン9.7g(収率88%)で得た。
【0021】
実施例2〜6
表1に示す反応条件で実施例1と同様の方法で実施した。結果も表1に併記した。
【0022】
【表1】
【0023】
比較例1
反応温度を80℃、反応時間を4.5時間とした以外は実施例1と同様に行った。しかし、エーテルに不溶の樹脂状物が大量に生成し、アダマンタノンは僅かに2.0g(収率20%)しか得られなかった。
【0024】
比較例2
1段目反応を35℃で4時間行った他は実施例1と同様に実施した。この時のアダマンタノンの収率は45%であった。
【0025】
比較例3
1段目反応を50℃で20分間行った他は実施例1と同様に実施した。この時のアダマンタノンの生成は痕跡量であり、98%の未反応のアダマンタンが回収された。
【0026】
比較例4
1段目反応を40℃で30分間行った後、2段目反応を50℃で5時間行った他は実施例1と同様に実施した。この時のアダマンタノンの生成は痕跡量であり、98%の未反応のアダマンタンが回収された。
【0027】
比較例5
1段目反応50℃で30分間行った後、2段目反応を100℃で3時間行った他は実施例1と同様に実施した。この時は、エーテルに不溶の樹脂状物が大量に生成し、アダマンタノンの収率は僅かに13%であった。
【0028】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、従来の硫酸法の特長を保ったまま、アダマンタノンの単離収率を大幅に向上させることが出来る。
Claims (2)
- アダマンタンを硫酸により酸化してアダマンタノンを製造するアダマンタノンの製造方法において、反応系を40〜60℃の温度範囲に30分以上保持した後、60〜90℃まで昇温して反応させることを特徴とするアダマンタノンの製造方法。
- 反応系を40〜60℃の温度範囲に30分以上保持した後、60〜90℃まで昇温するに際して、最高温度に達するまでの平均昇温速度が0.01〜1℃/分である請求項1記載のアダマタノンの製造方法。
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