JP4858897B2 - ジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物の製造方法 - Google Patents

ジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンを含有するジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン(以下、2,4′−体ともいう)は、様々なフェノール系化合物の中でも、感熱紙用顕色剤として極めて有用であり、最近注目されている。
【0003】
この2,4′−体を得る方法としては、2,4′−体および4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン(以下、4,4′−体ともいう)からなるジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物から2,4′−体を分離精製する方法が知られている。
【0004】
一方、4,4′−体をフェノール溶媒中で酸触媒存在下に加熱することにより、異性化反応が起こり、4,4′−体/2,4′−体の組成(重量比)が約75/25のジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物が得られる(異性化平衡)ことが知られている(日本化学会誌,1985,(1),p70〜74)。しかしながら、この異性化反応は、190℃以上の加熱条件でも異性化平衡に達するのに20時間以上を要し、工業的に実施することは困難であった。
【0005】
本発明は、4,4′−体の異性化反応に際し、短時間で異性化平衡に達することができ、より多くの2,4′−体を含有するジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、4,4′−体を、特定量のフェノールと硫酸の存在下に加熱することにより、短時間で異性化平衡に達することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記に示すとおりのジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物の製造方法を提供するものである。
項1. 4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンを、該4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンに対して1重量倍以下のフェノールおよび20モル%以下の硫酸の存在下に、160℃以上に加熱することを特徴とする2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン含有ジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物の製造方法。
項2. 4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンを85重量%以上含有するジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物を、該異性体混合物に対して1重量倍以下のフェノールおよび20モル%以下の硫酸の存在下に、160℃以上に加熱することを特徴とする2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン含有ジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明における原料の4,4′−体は、純度99%以上のものを用いることができる。
【0009】
また、原料として4,4′−体を85重量%以上含有するジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物を用いることもできる。この異性体混合物中には、他の異性体として2,4′−体が含まれているのが好ましい。
【0010】
原料の4,4′−体、または4,4′−体を85重量%以上含有するジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物を加熱して異性化反応を行う際には、フェノールと硫酸を存在させる。
【0011】
フェノールの使用量は、原料の4,4′−体、または4,4′−体含有ジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物に対して1重量倍以下であり、0.1〜0.8重量倍が好ましい。
【0012】
硫酸の使用量は、原料の4,4′−体、または4,4′−体含有ジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物に対して20モル%以下であり、1〜10モル%が好ましい。
【0013】
溶媒は、使用してもしなくてもよい。溶媒を使用する場合には、例えばスルホラン等の耐熱性かつ耐酸性の溶媒を使用するのが好ましい。
【0014】
異性化反応を行う際の反応温度は、160℃以上であり、170〜210℃が好ましい。必要ならば、加圧状態で反応を行ってもよい。
【0015】
反応時間は、特に限定されず、異性化平衡に達するまで反応を行ってもよいが、好ましくは0.1〜15時間であり、より好ましくは0.5〜10時間である。
【0016】
本発明の目的物である2,4′−体含有ジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物は、実質的に4,4′−体と2,4′−体からなり、2,4′−体の含有量が15〜30重量%のものが好ましく、20〜30重量%のものがより好ましく、22〜30重量%のものが特に好ましい。
【0017】
本発明によって得られた2,4′−体含有ジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物から、公知の分離精製法により、2,4′−体を得ることができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、4,4′−体の異性化反応に際し、短時間で異性化平衡に達することができ、より多くの2,4′−体を含有するジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物を製造することができる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例により、本発明の方法をさらに具体的、詳細に説明する。
【0020】
実施例1
ビスフェノールS(4,4′−体含量99.8重量%、2,4′−体含量0.1重量%)100g(0.4モル)に対し、フェノール50gおよび98%硫酸1.6g(0.016モル、4モル%(対ビスフェノールS))を加えて、195℃で加熱撹拌した。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)分析の結果、2時間後の組成(重量比)は4,4′−体/2,4′−体=85/15であり、6時間後の組成(重量比)は4,4′−体/2,4′−体=76/24であった。
【0021】
実施例2
実施例1と同じビスフェノールS100gに対し、フェノール50gおよび98%硫酸4g(0.04モル、10モル%(対ビスフェノールS))を加えて、180℃で加熱撹拌した。HPLC分析の結果、2時間後の組成(重量比)は4,4′−体/2,4′−体=86/14であり、6時間後の組成(重量比)は4,4′−体/2,4′−体=76/24であった。
【0022】
実施例3
実施例1と同じビスフェノールS100gに対し、フェノール50gおよび98%硫酸4g(0.04モル、10モル%(対ビスフェノールS))を加えて、210℃で加熱撹拌した。HPLC分析の結果、1時間後の組成(重量比)は4,4′−体/2,4′−体=75/25であり、2時間後の組成(重量比)は4,4′−体/2,4′−体=73/27であった。
【0023】
実施例4
ビスフェノールS(4,4′−体含量86重量%、2,4′−体含量14重量%)100g(0.4モル)に対し、フェノール50gおよび98%硫酸1.6g(0.016モル、4モル%(対ビスフェノールS))を加えて、195℃で加熱撹拌した。HPLC分析の結果、2時間後の組成(重量比)は4,4′−体/2,4′−体=79/21であり、6時間後の組成(重量比)は4,4′−体/2,4′−体=75/25であった。
【0024】
比較例1
実施例1と同じビスフェノールS15g(0.06モル)に対し、フェノール36gおよび98%硫酸3g(0.03モル、50モル%(対ビスフェノールS))を加えて、195℃で加熱撹拌した。HPLC分析の結果、2時間後の組成(重量比)は4,4′−体/2,4′−体=88/12であり、6時間後の組成(重量比)は4,4′−体/2,4′−体=82/18であった。20時間後の組成(重量比)で4,4′−体/2,4′−体=78/22であった。

Claims (2)

  1. 4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンを、該4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンに対して1重量倍以下のフェノールおよび20モル%以下の硫酸の存在下に、160℃以上に加熱することを特徴とする、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンおよび4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンからなるジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物の製造方法。
  2. 4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンを85重量%以上含有する、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンおよび4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンからなるジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物を、該異性体混合物に対して1重量倍以下のフェノールおよび20モル%以下の硫酸の存在下に、160℃以上に加熱することを特徴とする、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンおよび4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンからなるジヒドロキシジフェニルスルホン異性体混合物の製造方法。
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