JP3770284B2 - 鍵盤装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は電子楽器等で使用するハンマー等の質量体付鍵盤装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子ピアノ等の電子鍵盤楽器において、特開昭63ー125996号公報に見られるように、押鍵時に自然楽器のピアノと同様の重量感やタッチ感触を得るために、鍵と連動するハンマーを設け、ハンマーの質量に応じた慣性力を押鍵時に鍵から指への反力として作用させている。
【0003】
このような質量体であるハンマーは、各鍵ごとに回転支点を中心に回動可能にフレームに取付けられ、押鍵動作に応じて鍵側との当接係合部により押圧されて回転する。この押鍵時に、鍵は鍵ガイドにより押鍵ストロークの上下方向にガイドされ、鍵のヨーイング(鍵並び方向(左右方向)の揺れ)やローリング(鍵の前後方向の軸回りの回転または捩れ)を防止している。この場合、質量体(ハンマー)自体をガイドする手段は特に備えてなく、質量体の回転駆動時の鍵並び方向(左右方向)の位置決めやヨーイングの防止は、バネを用いて質量体の回転中心(回転軸)を支持部材側に強く押し付けることにより行っていた。
【0004】
また、質量体の揺動範囲を規制するために、押鍵時および離鍵時にそれぞれ質量体が当接する第1および第2のストッパを備えている。従来、これらの第1および第2のストッパは、質量体の端部に当接する位置、即ち、質量体の回転中心部と重心とを結ぶ線を座標軸としたとき、回転中心位置と重心位置の範囲の重心の外側に設けられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の鍵盤装置においては、質量体(ハンマー)自体をガイドする手段を特に備えてなく、このため、質量体を押えるための強いバネを必要とし、組立て作業が繁雑になり部品点数も増加してコストが高くなっていた。
【0006】
また、質量体の回転中心を強く押し付けるため、摩擦力が大きくなり本来のハンマー質量の慣性力による重量感がバネの押し付け摩擦により影響され、安定したタッチ感触が得られず、また摩耗が大きいため、これによる押鍵感触や演奏性の変化が大きくなっていた。
【0007】
また、押鍵時および離鍵時にハンマーが第1および第2のストッパに当接するときに、ハンマーの回転軸部分あるいは揺動摺動支持部に対しハンマー重心の回転モーメントが上下反対方向に作用するため、メカノイズが発生するとともに、フレーム側の軸受け部分のガタが使用に伴って大きくなり、ますますノイズの発生を助長していた。
【0008】
また、従来の質量体と鍵とを軸を介して結合する構造においては、楽器の転倒を想定した試験を行うと、質量体の受ける衝撃力が直接鍵支持部に伝達し、鍵支持部が破損する等の不具合があった。
【0009】
また、従来、鍵と質量体との当接部を確実に当接させるためには、鍵と質量体の位置決めを高精度で行わなければならず、このための作業が繁雑であった。
【0010】
この発明は上記従来技術の欠点に鑑みなされたものであって、バネを用いることなく簡単な構成で質量体をガイドし、安定した動作で良好な演奏性を保持する鍵盤装置の提供を目的とする。
【0011】
さらに本発明は、上記目的を達成するとともに、構成の付加や実施態様の変更等により、以下の各目的を実現することが可能な鍵盤装置を提供する。
【0012】
この発明の別の目的は、質量体の回動支持部に対する押鍵時および離鍵時の回転モーメントの作用方向を一定にして、メカノイズの発生および軸受け部分のガタの拡大の防止を図った鍵盤装置を提供することである。
【0013】
この発明のさらに別の目的は、楽器転倒時に質量体の受ける衝撃力が直接鍵支持部に伝わることを防止して破損を回避することができる鍵盤装置を提供することである。
【0014】
さらに本発明では、鍵の演奏操作部のどこを押しても鍵の薄板状被支持部が破壊されないようにした鍵盤装置の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明では、演奏操作に対し回動支点部を中心に回動する鍵1と、回動可能に支持され、前記鍵の押下によって、鍵の当接部18にて駆動され、自在に揺動する質量体17と、前記鍵を揺動可能に支持するとともに前記質量体を回動可能に支持する支持部材5,6と、を有する鍵盤装置において、前記質量体をその回転中心部16aから離れた位置で、鍵並び方向に対し位置決めしつつ回動可能ならしめるガイド部材13を有し、前記鍵から垂下突設された垂直部10の鍵ガイド用突起12を備え、前記鍵は、下側が開放されたコ字状断面であり、その両側壁から下に向けて前記突起12が一体に形成され、各鍵の突起12内に挟まれる位置に前記ガイド部材13が設けられ、前記突起12が前記ガイド部材13に沿って摺動し、これにより鍵の上下方向の回転動作がガイドされ、押鍵時に前記突起12の下面が前記当接部18を押し下げると前記質量体17が回転し、これにより、前記鍵に設けられた鍵ガイド用の突起12で質量体17を駆動することを特徴とする鍵盤装置を提供する。
【0016】
また、請求項2に係る発明では、演奏操作される鍵1と、
揺動自在に支持され、前記鍵により、鍵当接部18を介して駆動され揺動する質量体17と、
前記鍵をその被支持部(3)を介して揺動可能に支持し、前記質量体を(支持部材の)摺接部で摺動可能に支持する支持部材5,6と、
を有する鍵盤装置であって、
前記質量体を鍵並び方向および鍵前後方向に対し位置決めしつつ、揺動可能ならしめるガイド部材13を有することを特徴とする鍵盤装置を提供する。
【0017】
また、請求項3に係る発明では、請求項1又は2の発明において、演奏操作される鍵と、前記鍵によって駆動され揺動する質量体と、前記鍵および質量体を揺動可能に支持する支持部材と、前記鍵を鍵並び方向に対して位置決めしつつ、揺動可能ならしめるように構成されたガイド部材13と、を有する鍵盤装置であって、前記鍵および質量体をガイドするガイド部材13が共通部材であって、鍵側の部材がこのガイド部材13に沿って摺動するとともに質量体側の部材がこのガイド部材13に沿って摺動し、これにより、このガイド部材13が、鍵をガイドするとともに、質量体17も同時にガイドする共通のガイド部材13となることを特徴としている。
【0018】
また、請求項4に係る発明では、請求項1又は2の発明において、押鍵操作により回動される鍵と、この鍵の回動に連動して揺動する質量体と、前記鍵の回動支点部を鍵回動支持部にて回動自在に支持し、前記質量体の揺動部を質量体揺動支持部にて揺動自在に支持する支持部材とを有する鍵盤装置において、鍵の押離鍵方向の鍵ガイド手段と質量体揺動方向の質量体ガイド手段とを鍵長手方向に対し実質的に同位置でかつ同部材にて、一体的に前記支持部材に対して設けた共通のガイド手段とし、鍵側の部材がこのガイド手段に沿って摺動するとともに質量体17側の部材がこのガイド手段に沿って摺動し、これにより、このガイド手段が、鍵をガイドするとともに、質量体も同時にガイドする共通のガイド手段となることを特徴としている。
【0019】
また、請求項5に係る発明では、前記鍵および質量体をガイドする共通部材の近傍の当接部で鍵と質量体が当接することにより、この質量体が当接部18を介して駆動されることを特徴とする請求項3または4に記載の鍵盤装置を提供する。
【0020】
また、請求項6に係る発明では、演奏操作される鍵と、揺動自在に支持され、前記鍵により、鍵当接部を介して駆動され揺動する質量体と、前記鍵をその被支持部100を介して揺動可能に支持し、前記質量体を鍵並び方向に位置決めし、揺動可能に支持する支持部材5,6,13と、を有する鍵盤装置であって、前記鍵若しくは質量体のいずれか一方は、他方に対し摺動可能に嵌挿され、ヨーイング禁止手段101(図8)によりヨーイングが抑えられ、前記鍵から垂下突設された垂直部10の鍵ガイド用突起12を備え、前記鍵は、下側が開放されたコ字状断面であり、その両側壁から下に向けて前記突起12が一体に形成され、各鍵の突起内に挟まれる位置に前記ガイド部材13が設けられ、前記突起が前記ガイド部材13に沿って摺動し、これにより鍵の上下方向の回転動作がガイドされ、押鍵時に前記突起12の下面が前記当接部18を押し下げると前記質量体17が回転し、これにより、前記鍵に設けられた鍵ガイド用の突起12で質量体17を駆動することを特徴とする鍵盤装置を提供する。
【0021】
また、請求項7に係る発明では、演奏操作される鍵と、揺動自在に支持され、前記鍵により、鍵当接部を介して駆動され揺動する質量体と、前記鍵と前記質量体とを揺動可能に支持する支持部材5,6と、押鍵動作による前記質量体の揺動を規制する第1のストッパ25と、離鍵時にその揺動を規制する第2のストッパ26と、を備えた鍵盤装置において、質量体の回転中心を含む鉛直面eに関して、鍵当接部の反対側に質量体の重心29があり、質量体が第1ストッパに当接したとき、回転中心と重心を結んだ線に垂直で回転中心を含む面aと、回転中心支持部と重心を結んだ線に垂直で重心を含む面bとの間に第1のストッパ25を設け、質量体が第2のストッパ26に当接したとき、回転中心と重心を結んだ線に垂直で回転中心を含む面aと、回転中心支持部と重心を結んだ線に垂直で重心を含む面bとの間の外側で、重心の側に第2のストッパ26を設け、前記鍵から垂下突設された垂直部10をもつ鍵ガイド用突起12を備え、前記鍵は、下側が開放されたコ字状断面であり、下に向けて前記突起12が一体に形成され、各鍵の突起12内に挟まれる位置に前記ガイド部材13が設けられ、前記突起12が前記ガイド部材13に沿って摺動し、これにより鍵の上下方向の回転動作がガイドされ、押鍵時に前記突起12が前記当接部18を押し下げると前記質量体17が回転し、これにより、前記鍵に設けられた鍵ガイド用の突起12で質量体17を駆動することを特徴とする鍵盤装置を提供する。
【0022】
また、請求項8に係る発明では、演奏操作される鍵と、前記鍵により、鍵当接部を介して駆動され揺動する質量体と、前記鍵をその被支持部100を介して揺動可能に支持し、前記質量体を(支持部材の)摺接部で摺動可能に支持する支持部材と、押鍵動作による前記質量体の揺動を規制する第1のストッパ25と、離鍵時にその揺動を規制する第2のストッパ26と、を備えた鍵盤装置であって、質量体の前記摺接部18を含み、鍵並び方向を向いた鉛直面に関して、鍵当接部18の反対側に質量体の重心があり、質量体が第1のストッパに当接したとき、摺接部と重心を結んだ線に垂直で摺接部を含む面cと、摺接部と重心を結んだ線に垂直で重心を含む面dとの間に第1のストッパを設け、質量体が第2のストッパに当接したとき、摺接部と重心を結んだ線に垂直で摺接部を含む面cと、摺接部と重心を結んだ線に垂直で重心を含む面dとの間の外側で、重心の側に第2のストッパを設けるようにしたことを特徴とする鍵盤装置を提供する。
【0023】
また、請求項9に係る発明では、演奏操作される鍵と、前記鍵により、鍵当接部18を介して駆動され回動する質量体と、前記鍵と質量体とを回動可能に支持する支持部材と、押鍵動作による前記質量体の回動を規制する第1のストッパ25と、離鍵時に前記鍵の回動を規制する第2のストッパ26と、を備えた鍵盤装置において、質量体の回転中心を含む鉛直面に関して、鍵当接部の反対側に質量体の重心29があり、質量体が第1のストッパに当接したとき、回転中心支持部と重心を結んだ線に垂直で回転中心を含む面aと、回転中心支持部と重心を結んだ線に垂直で重心を含む面bとの間に第1のストッパ25を設け、前記鍵から垂下突設された垂直部10をもつ鍵ガイド用突起12を備え、前記鍵は、下側が開放されたコ字状断面であり、下に向けて前記突起12が一体に形成され、各鍵の突起12内に挟まれる位置に前記ガイド部材13が設けられ、前記突起12が前記ガイド部材13に沿って摺動し、これにより鍵の上下方向の回転動作がガイドされ、押鍵時に前記突起12が前記当接部18を押し下げると前記質量体17が回転し、これにより、前記鍵に設けられた鍵ガイド用の突起12で質量体17を駆動することを特徴とする鍵盤装置を提供する。
【0024】
また、請求項10に係る発明では、演奏操作される鍵と、
前記鍵により、鍵当接部を介して駆動され揺動する質量体と、
前記鍵をその被支持部100を介して揺動可能に支持し、前記質量体を(支持部材の)摺接部で摺動可能に支持する支持部材と、
押鍵動作による前記質量体の揺動を規制する第1のストッパと、離鍵時に前記鍵の揺動を規制する第2のストッパと、
を備えた鍵盤装置であって、
質量体の前記摺接部18を含み、鍵並び方向を向いた鉛直面に関して、鍵当接部の反対側に質量体の重心29があり、
質量体が第1のストッパに当接したとき、摺接部と重心を結んだ線に垂直で摺接部を含む面cと、摺接部と重心を結んだ線に垂直で重心を含む面dとの間に第1のストッパ25を設けたことを特徴とする鍵盤装置を提供する。
【0025】
また、請求項11に係る発明では、演奏操作される鍵と、前記鍵から垂下突設された垂直部材10とその先端部から水平方向に延びる水平部11とをもつ鍵ガイド用の突起12と、前記鍵により、鍵当接部18を介して駆動され摺動する質量体と、前記鍵および質量体を揺動可能に支持する支持部材と、を有する鍵盤装置であって、前記鍵は、下側が開放されたコ字状断面であり、その両側壁から下に向けて前記突起12が一体に形成され、各鍵の突起内に挟まれる位置にガイド部材13が設けられ、前記突起が前記ガイド部材13に沿って摺動し、これにより鍵の上下方向の回転動作がガイドされ、押鍵時に前記突起12の下面が前記当接部18を押し下げると前記質量体17が回転し、これにより、前記鍵に設けられた鍵ガイド用の突起で質量体を駆動することを特徴とする鍵盤装置を提供する。
【0026】
また、請求項12に係る発明では、後端110と基部3を薄板状部材2で接続され、基部を支持部材に結合され、薄板状部材が変形することで揺動自在に支持された鍵と、
押鍵可能な鍵先端位置および押鍵可能な鍵後部位置の間の下方に位置する鍵当接部18と、
前記鍵により、前記鍵当接部18を介して駆動され揺動する質量体と、
を有する鍵盤装置であって、
鍵後端と薄板状部材の接続部近傍の上下に、薄板状部材の過大な変形を抑えるように、所定のクリアランスをもったストッパ62,63が形成されていることを特徴とする鍵盤装置を提供する。
【0027】
また、請求項13に係る発明では、前記ストッパは、前記鍵の基部を挟んで支持部材に固結されていることを特徴とする請求項12に記載の鍵盤装置を提供する。
【0028】
【作用】
請求項1に係る発明では、質量体は鍵に駆動されて回動する。このとき回動支点部分以外の位置に設けたガイド部材により、質量体は、鍵並び方向(鍵盤の長手方向、即ち左右(横)方向)に位置決めされるとともにガイド部分を上下方向にガイドされる。これにより、従来のようにバネを用いて回転支持部を強く押し付ける必要がなくなり、部品点数の削減および組立て作業時間の短縮が図られコストが低減する。また、回転中心部の摩擦力による動作の不安定性がなくなり、回転部の摩擦低減のためのグリスの量等に係わらず安定したタッチ感、重量感が得られる。
【0029】
請求項2に係る発明では、質量体は、鍵に駆動されて摺接部で平面上を摺動しつつ揺動する。このとき、質量体は、ガイド部材により、鍵並び方向および前後方向に位置決めされつつ、揺動する。これにより、質量体は前後左右に動く範囲が規制され、例えば楽器が転倒したときに、質量体が受ける衝撃力はガイド部材に受止められ、過大な力が鍵支持部側に伝わらず楽器の破損が防止される。
【0030】
請求項3に係る発明においては、鍵および質量体に対し共通な部材により鍵および質量体がガイドされる。これにより、構成部品点数の削減が図られ、構成が簡素化するとともに組立ても容易にできるようになり、コストの低減が図られる。さらに、グリス塗布や保守メンテナンス時の作業の煩わしさが軽減する。
【0031】
請求項4に係る発明においては、鍵ガイド手段と質量体ガイド手段とを鍵の長手方向に対し同じ位置で同じ部材により一体的に設けているため、実質上共通の部材により鍵および質量体がガイドされる。これにより、前記請求項3の発明と同様に、構成部品点数の削減が図られ、構成が簡素化するとともに組立ても容易にできるようになり、コストの低減が図られる。さらに、グリス塗布や保守メンテナンス時の作業の煩わしさが軽減する。
【0032】
請求項5に係る発明においては、上記共通部材の近傍で鍵と質量体が当接して質量体が鍵により押圧駆動される。共通部材は鍵および質量体をガイドする。この近傍に鍵および質量体の当接部があるため、それぞれの位置ずれが極めて少なくなり確実な当接が実現する。
【0033】
請求項6に係る発明においては、質量体は、鍵の一部を摺動可能に挟んで、鍵と連動する。この質量体は、質量体を鍵並び方向に位置決めし且つ摺動可能に支持する部材によりヨーイングが防止される。これにより、鍵ガイドを設けることなく、鍵の位置決めおよび押鍵動作のガイドが実施される。このため、支持部材構造が簡単になりコストの低減が図られる。なお、この請求項6におけるヨーイング禁止手段は例えば鍵のヒンジ部を鍵配列方向に長く形成して安定して支持することにより、鍵の配列方向の変位(ヨーイング)を抑制するものである。
【0034】
請求項7に係る発明においては、押鍵動作時に、質量体が第1のストッパに当接したとき、質量体の重心の回転モーメントは、回転中心支点に対し下向きに作用し、離鍵動作時に、第2のストッパに当接したときにも、質量体の重心の回転モーメントは、回転中心支点に対し下向きに作用する。従って、質量体の回転中心は支持側に対し常に一定の下向き方向の力を受けることになり、上下の両方向に強度をもたせる必要がなくなり、構造の簡素化が図られるとともに、メカノイズが低減するとともに、質量体が押鍵終了時当接するストッパに当接後、バウンドすることによる鍵へのリバウンド現象がほとんど起こらない。従って、衝撃的が押鍵においても、”鍵震感”は発生しない。さらに上下方向の交互の作用力による回転中心軸部分の軸受け孔のガタが大きくなることが防止され、メカノイズの増加を防止する。
【0035】
請求項8に係る発明においては、押鍵動作時に、質量体が第1のストッパに当接したとき、質量体の重心の回転モーメントは、揺動摺接部に対し下向きに作用し、離鍵動作時に、第2のストッパに当接したときにも、質量体の重心の回転モーメントは、揺動摺接部に対し下向きに作用する。これにより、上記請求項6の発明と同様に、構造の簡素化およびメカノイズの低減が図られるとともに、上記鍵震の発生を抑制する。
【0036】
請求項9に係る発明においては、押鍵動作時に、質量体が第1のストッパに当接したとき、質量体の重心の回転モーメントは、回転中心支持部に対し、常に下向きに作用する。これにより、構造の簡素化およびメカノイズの低減が図られるとともに鍵震の発生を抑制する。
【0037】
請求項10に係る発明においては、押鍵動作時に、質量体が第1のストッパに当接したとき、質量体の重心の回転モーメントは、質量体の揺動摺接部に対し、常に下向きに作用する。これにより、構造の簡素化およびメカノイズの低減が図られるとともに鍵震の発生を抑制する。
【0038】
請求項11に係る発明においては、垂直平板部材により、質量体が押圧駆動される。このような垂直部材の曲げ強度は非常に大きいため、質量体を駆動したとき、鍵側の部材が変形することがなくなり、鍵の強度を高めることができる。
【0039】
請求項12に係る発明においては、鍵のヒンジを構成する薄板状部材の接続部近傍の上下にストッパが形成され、薄板状部材の過大な変形を防止する。押鍵可能な例えば白鍵先端位置を強く打鍵したとき、鍵は質量体との当接部を中心に左回りに回転しようとする。このため薄板状部材は、上方に変形するが、上方のストッパで変位が規制されるため、過大な変形が抑えられ、破壊が避けられる。
【0040】
また、押鍵可能な鍵後端位置を強く打鍵したとき、鍵は質量体との当接部を中心に右回りに回転しようとする。このため、薄板状部材は下方に変形するが、下方のストッパで変位が規制されるため、過大な変形が抑えられ、破壊が避けられる。
【0041】
請求項13に係る発明においては、ストッパが鍵の基部を介して、即ち鍵の基部を支持部材上に挟んで、支持部材に固定されるため、支持部材の固定位置からストッパとして機能する位置までの距離が短くなり、且つ鍵の基部に直接固定されているため、組立て時のストッパ部分のクリアランスが高精度に保たれ、組立て作業工数が低減しコストダウンが図られる。
【0042】
【実施例】
図1は、本発明の実施例の構成図である。鍵(白鍵)1は、その後端部で薄板状部材2を介して基部3に結合されている。このような鍵1は黒鍵も含めて例えば1オクターブ分が鍵ユニット4として構成される。この場合、鍵ユニット4は、図の例では、1オクターブを3つの鍵ブロックに分割し、各ブロックの後端部の基部3を3段に重ねて組立てられる。このような鍵ユニット4は、図示しないネジ等の適当な手段でその基部3が鍵フレーム5に固定される。これにより、各鍵1は、鍵フレーム5に対し薄板状部材2をヒンジ部として揺動可能に支持される。即ち、鍵1の後端部に被支持部100が形成され、この被支持部100を介して鍵1が揺動可能に支持される。
【0043】
鍵フレーム5の下面側には、ネジ7および27によりハンマーフレーム6が固定される。さらに、この鍵フレーム5の中央部下面側には、ラバー押え8を介してラバーシート9が装着される。このラバーシート9は、鍵ユニット4を鍵フレーム5に装着する時に、鍵の基部3を中心に回動させながら、各鍵の突起12の水平部11を鍵フレーム5の隙間(図示しない)を通して下方に移動するときには弾性変形して鍵を通過させ、鍵装着後は、ラバーシート9は鍵フレーム5に押えられて上側には弾性変形せず、これにより鍵の水平部が上方に抜け出ることを防止するものである。
【0044】
鍵1は、下側が開放されたコ字状断面であり、その両側壁から下に向けて、垂直部10とその先端部から横に延びる水平部11とからなる突起12が一体に形成されている。各鍵1の突起12内に挟まれる位置の鍵フレーム5上に、ガイド部材13が設けられる。このガイド部材13は、鍵1をガイドするとともに、後述のハンマー(質量体)も同時にガイドする共通のガイド部材である。鍵1は、その突起12の垂直部10がガイド部材13の上側部分に摺接してスライドし、鍵並び方向(横方向)に位置決めされ、ヨーイング(横揺れ)やローリング(捩れ回転)が防止されるとともに、このガイド部材13により上下方向の押鍵ストロークがガイドされる。
【0045】
鍵1の後端部側の鍵フレーム5上には、保護シート15が設けられ、鍵が強い押鍵力で押圧されたときに、鍵の下方ストッパの機能を果すとともに鍵の破損を防止する。
【0046】
ハンマーフレーム6には、ハンマー(質量体)17が、その回転支持部16を回転軸として支持受け部31上に回転可能に装着される。ハンマー17は、その先端部30の上側部分が、(鍵1の突起12と同様に)ガイド部材13を両側から挟むように構成され、このガイド部材13に沿って摺動する。これにより、ハンマー17は、鍵並び方向に位置決めされ、ヨーイングやローリングが防止されるとともに、このガイド部材13により上下方向の回転動作がガイドされる。
【0047】
このハンマー17は、その先端部30の上側部分の当接部18が、鍵側の突起12の水平部11の下面と当接し、鍵1の押鍵動作に応じて押圧駆動され、回転支持部16を中心に回転しつつガイド部材13に沿って上下にスライドする。
【0048】
ハンマー17の先端部30の下側には、2つのアクチュエータ19,20が設けられる。これらのアクチュエータ19,20は、それぞれ回転動作に応じて、ハンマーフレーム6に設けた孔(図示しない)を通して、順番に導電ゴムスイッチ21,22を駆動して、2メイク式のタッチレスポンススイッチを構成するものである。この導電ゴムスイッチ21,22は、プリント基板23上に搭載されネジ24を介してハンマーフレーム6に固定される。
【0049】
鍵フレーム5の前端部下面側には、押鍵時にハンマー17の動きを規制する第1のストッパ25が設けられる。押鍵時に、鍵1の突起12の水平部11の下面がハンマー17の当接部18を押し下げると、ハンマー17は、回転支点部16を中心に時計方向に回転し、そのほぼ中央部上面が第1のストッパ25に当接してハンマーストロークの上限位置が規制される。
【0050】
一方、ハンマーフレーム6の前端部上面側には、離鍵時にハンマー17の動きを規制する第2のストッパ26が設けられる。離鍵時に、ハンマー17がその自重により、回転支点部16を中心に反時計方向に回転すると、その下限位置で、ハンマー17の端部が第2のストッパ26に当接して回転が停止する。
【0051】
ハンマー17の前端部には重り28が設けられる。この重り28は、例えば金属板からなり、その1面側に小突起を有し、この小突起が嵌入する小孔をハンマー17側に設け、重り28をその小突起を小孔に差し込むことにより、ハンマー17の両側から重り28を装着することができる。あるいは、重り28をハンマー17の両側面に貼り付けてもよい。このように重り28を取付けることにより、ハンマー17の重心29は、図示したように、ハンマー17の前端部側に偏った位置に定まる。
【0052】
図中、aは、質量体(ハンマー)17が第1ストッパ25に当接したとき、回転中心支持部31と重心29を結んだ線に垂直で回転中心16aを含む面を示し、bは、回転中心支持部31と重心29を結んだ線に垂直で重心29を含む面を示す。また、cは、ハンマー17が第1ストッパ25に当接したとき、摺接部18と重心29を結んだ線に垂直で摺接部18を含む面を示し、dは、摺接部18と重心29を結んだ線に垂直で重心29を含む面を示す。また、eは、ハンマー17の回転中心16aを含む鉛直面を示す。
【0053】
上記ハンマー17の重心29の位置と第1および第2のストッパ25,26の位置関係を図2に示す。(A)は上記本発明の構成であり、(B)は従来の構成を示す。
【0054】
本発明と比較して本発明を明瞭にするため、まず従来の構成を説明する。従来は(B)図に示すように、ハンマー70は、その回転支持部71がハンマーフレーム72の支持受け部74に回転可能に装着される。鍵側からの押鍵駆動力Fは当接部73に作用してハンマー70を回転支持部71回りに回転動作させる。ハンマー70の重心80は、回転支持部71に関し、当接部73の反対側のハンマー70上にある。また、ハンマー70が第1のストッパ81に当接したとき、回転支持部71の回転中心と重心80とを結ぶ線に垂直で回転中心を含む面と、回転中心と重心とを結ぶ線に垂直で重心を含む面との間の範囲外であって重心側の外側に第1のストッパ81が存在する。また、第2のストッパ82については、回転中心と重心とを結ぶ線に垂直で回転中心を含む面と、回転中心と重心とを結ぶ線に垂直で重心を含む面との間の範囲外であって重心側の外側に第2のストッパ82が存在する。
【0055】
このような従来構成において、押鍵時、押鍵力Fを当接部73に作用させると、ハンマー70は、回転支持部71を中心に時計廻りに回転し、その端部が第1のストッパ81に当接する。この当接衝撃力により反時計廻り方向のモーメントM3が発生する。このモーメントM3により、回転支持部71には反時計廻り方向のモーメントM3’が作用する。
【0056】
一方、離鍵時には、ハンマー70はその自重により、回転支持部71廻りに反時計廻り方向に回転してその端部が第2のストッパ82に当接する。この当接衝撃力により時計廻り方向のモーメントM4が発生する。このモーメントM4により、回転支持部71には時計廻り方向のモーメントM4’が作用する。
【0057】
このように、従来構成においては、押鍵時と離鍵時とで相互に反対方向のモーメントが回転支持部に作用するため、メカノイズが発生するとともに軸受け側の孔のガタが次第に大きくなり、押鍵動作に対応した安定した慣性反力が得られなくなる。また、各方向に対し強度をもたせるため、ハンマーフレームの構造の簡素化ができずレイアウト上の制約ともなっていた。
【0058】
これに対し本発明構造によれば、以下のような作用効果が得られる。(A)図に示すように、ハンマー17は、その回転支持部16がハンマーフレーム6の支持受け部31に回転可能に装着される。鍵側からの押鍵駆動力Fは当接部18に作用してハンマー17を回転支持部16回りに回転動作させる。ハンマー17の重心29は、回転支持部16の回転軸を含む鉛直面に関し、当接部18の反対側に重心29がある。即ち、図の例では、回転支持部16に関し、当接部18の反対側のハンマー17上に重心がある。また、ハンマー17が第1のストッパ25に当接したとき、回転支持部16の回転中心と重心29とを結ぶ線に垂直で回転中心を含む面と、回転中心と重心とを結ぶ線に垂直で重心を含む面との間に第1のストッパ25が存在する。また、第2のストッパ26については、回転中心と重心とを結ぶ線に垂直で回転中心を含む面と、回転中心と重心とを結ぶ線に垂直で重心を含む面との間の範囲外であって重心側の外側に第2のストッパ26が存在する。
【0059】
このような本発明の構成において、押鍵時、押鍵力Fを当接部18に作用させると、ハンマー17は、回転支持部16を中心に時計廻りに回転し、その重心と回転中心との間の部分が第1のストッパ25に当接する。この当接衝撃力により時計廻り方向のモーメントM1が発生する。このモーメントM1により、回転支持部16には時計廻り方向のモーメントM1’が作用する。
【0060】
一方、離鍵時には、ハンマー17はその自重により、回転支持部16廻りに反時計廻り方向に回転してその端部が第2のストッパ26に当接する。この当接衝撃力により時計廻り方向のモーメントM2が発生する。このモーメントM2により、回転支持部16には時計廻り方向のモーメントM2’が作用する。
【0061】
このように、本発明においては、押鍵時および離鍵時ともにハンマーの回転支持部に対し同じ下向きのモーメントが作用するため、常にフレームの支持受け底面側に力が加わることになって作用力の方向の変動がなく、このため従来のようにメカノイズが発生しない。また、一定方向に対する強度を確保すればよいため、構造が簡単にできスペースやレイアウト上の制約が軽減される。
【0062】
図3は、図1の鍵盤装置の押鍵時の状態を示す。押鍵時、鍵1はその後端部のヒンジ部2を介して矢印Aのように回動する。このとき、鍵側の突起12の水平部11がハンマー17の当接部18を押圧して押し下げるため、ハンマー17は回転支持部16を中心に矢印Bのように回転し、第1のストッパ25に当接する。この押鍵ストロークの途中で、ハンマー側のアクチュエータ19,20が順番に導電ゴムスイッチ21,22を押圧して2段階でメイク信号を発生し、これにより押鍵された鍵のキーオン信号および/または押鍵速度信号が得られ、楽音制御に用いられる。
【0063】
図4は、本発明の別の実施例の構成図である。この実施例では、鍵1のヨーイングを抑制するために、後端の薄板状部材からなるヒンジ部54の一部を厚くしたりあるいは幅を広げることにより、横方向の剛性を高めて押鍵時の横揺れを防止している。このため、鍵ガイド(図1のガイド部材13)を省略してある。このように、鍵1は、鍵ガイドを用いることなく、鍵並び方向に位置決めされた状態で(ヨーイングを起こさないで)、押鍵動作が達成される。図4の実施例は、このような鍵をガイドとしてハンマー17を回転駆動することにより、ハンマー17のヨーイングを起こすことなくハンマーの回転動作を達成するように構成したものである。即ち、コ字状断面の鍵1の両側壁から下向きにガイド板53を垂設し、このガイド板53間にハンマー側のガイド片52を両ガイド板に摺接するように挿入したものである。
【0064】
押鍵時には、鍵側のガイド板52の下面が、ハンマーの当接部18を押圧して押し下げる。これにより、ハンマー側のガイド片52が鍵側のガイド板53間で摺動してガイドされつつ、ハンマー17が回転支持部16を中心に回転する。
【0065】
鍵1およびハンマー17は、ともに共通の支持フレーム50上に装着され支持される。ハンマー17の回転支持部16は、支持フレーム50の凹所として形成された支持受け部31内に装着される。この場合、回転支持部16は、鍵並び方向(図面に垂直な方向)には位置決めされていない。鍵並び方向の位置決めは、ハンマーのガイド片52と鍵のガイド板53との係合により行われる。支持受け部31の上側には、弾性片51が形成され、これがハンマーの回転支持部16の抜け止め手段を構成している。
【0066】
その他の構成および作用効果は前記図1の実施例と同様である。
【0067】
図5は、本発明のさらに別の実施例の構成図である。この実施例においては、共通の支持フレーム50上に、鍵1が、前記実施例と同様に、揺動可能に支持されるとともに、ハンマー17が、摺動支持部材67上でスライド可能に支持される。ハンマー17は、その摺接部69が摺動支持部材67上面に形成された摺動溝68内をスライドするように装着される。この場合、摺動支持部材67の上面は、溝状に形成する代りに平面状の摺動面として形成してもよい。ハンマー17は、押鍵動作に連動して、摺動支持部材67上で摺接部を中心に揺動しつつ、この摺接部が摺動支持部材67上を摺動する。
【0068】
支持フレーム50には、鍵1およびハンマー17をガイドするためのガイド部材55が設けられる。ハンマー17は貫通孔66を有し、ガイド部材55がこの貫通孔66を挿通して装着される。この貫通孔66の内面でガイド部材55の前後両側に凸壁64,65が形成される。これらの凸壁64,65の頂部とガイド部材55との間には所定のクリアランスCが設けられる。ガイド部材55の左右方向(鍵並び方向)の側面は、ハンマーの貫通孔66の内面にほぼ摺接する。このような構成により、ハンマー17は、鍵並び方向に位置決めされるとともに、鍵前後方向にも位置決めされ、かつクリアランスCの範囲で摺接部69廻りに揺動可能となる。
【0069】
コ字状断面の鍵1の両側壁から下向きにガイド板56が垂設される。このガイド板の下端部にほぼ水平に突出する突起57が形成される。ガイド部材55の上端部は、この鍵1のガイド板56間に摺接して挿入され、押鍵動作時に鍵1をガイドし、鍵1のヨーイングやローリングを防止する。従って、この例では、ガイド部材55は、ハンマー17と鍵1の両方に対する共通のガイド手段となる。
【0070】
なお、鍵ガイド手段として、図5のように、鍵側にガイド板56を設けこれをガイド部材55の上端部に摺接係合させる構成に代えて、図4に示したように、鍵1のヒンジ部54の横方向の剛性を高めてヨーイングを抑制し、これと鍵ガイド手段としてもよい。この場合には、ガイド部材55は、ハンマーガイド手段のみを構成することになる。
【0071】
図8にこのような横方向の剛性を高めてヨーイングを抑制した鍵の構成例を示す。図示したように、鍵1の基端部(つけ根部分)に幅広部101を形成し、この幅広部101を介して鍵1を鍵支持フレーム102に連結することにより、鍵1の横方向(鍵並び方向)の剛性が高まり、左右方向の揺れ(ヨーイング)が抑制される。
【0072】
支持フレーム50の中央部でハンマー17に対向する位置にプリント基板23が固定される。このプリント基板には、2メイク式のラバースイッチ58が各鍵に対応して設けられる。このラバースイッチ58は、前記各実施例の導電ゴムスイッチ21,22に対応するものであり、押鍵時にハンマー17の中央部上面に押圧されて弾性変形し、2段階にスイッチをメイクし、キーオン信号および/または押鍵速度信号を得る。
【0073】
プリント基板23に隣接して、支持フレーム50には、押鍵時にハンマー17の揺動を規制するための第1のストッパ70が設けられる。さらに、支持フレーム50には、前記鍵1の突起57に係合する位置に、離鍵動作時に鍵の揺動を規制する第2のストッパ71が設けられる。鍵1の離鍵動作に連動してハンマー17が揺動するため、この第2のストッパ71は、実質上ハンマー17の離鍵時の動きを規制するストッパを構成する。
【0074】
ハンマー17の先端部17aは、鍵1の幅と同程度の幅に形成され、押鍵時に、鍵1のガイド板56の下面により、当接部18が押圧駆動されハンマー17が揺動する。
【0075】
図6は、本発明のさらに別の実施例の構成図である。この実施例では、ハンマー17は、図5と同様に、貫通孔66とこれを挿通するガイド部材74により、鍵並び方向および前後方向に位置決めされつつ、揺動可能に装着される。また、鍵1は、図4と同様に、鍵側のガイド板73とこの間に嵌挿されるハンマー側のガイド片72との摺接係合により、押鍵動作および離鍵動作がガイドされる。
【0076】
押鍵時のハンマー17の回転動作を規制するための第1のストッパ70は、図5の例と同様に、支持フレーム50の中央部下面側に設けられる。この実施例では、摺動支持部材67上面の端部に第2のストッパ90が形成され、この第2のストッパ90に当接する当接部91が、ハンマー17の端部に形成される。これにより、離鍵時に、ハンマー17の回転動作が規制される。
【0077】
鍵ユニット4の基部3は、押え部材60により支持フレーム50上に挟まれてネジ61により、支持フレーム50に固定される。押え部材60は、鍵後端部の薄板状部材からなるヒンジ部2の連結部92に対面する位置に、上方ストッパ62を有する。また、この鍵1の連結部92の下方の支持フレーム50上には、下方ストッパ63が設けられる。これらの上方ストッパ62および下方ストッパ63は、それぞれ鍵やフレーム等に過大な力が加わって薄板状部材が過度に変形することを防止するためのものである。例えば、押鍵可能な白鍵先端位置を強く打鍵したとき、鍵はハンマーとの当接部を中心に左廻りに回転するモーメントを受ける。このため、薄板状部材は上方に変形するが、上方ストッパ62により変位が規制されるため、過大な変形が抑えられ、破壊が防止される。
【0078】
また、押鍵可能な鍵後端位置を強く打鍵したとき、鍵はハンマーとの当接部を中心に右廻りに回転するモーメントを受ける。このため、薄板状部材は下方に変形するが、下方ストッパ63により変位が規制されるため、過大な変形が抑えられ、破壊が防止される。
【0079】
上記図6の実施例においては、上方ストッパ62を構成する押え部材60が、鍵の基部3を直接押えた状態で支持フレーム50に固定されるため、例えば基部3の後方で支持フレーム上に固定する構造に比べ、固定位置からストッパ位置までの距離が短くなり、ストッパとしての強度が高まる。また、ストッパの位置やストッパ側と鍵側の当接面間のクリアランスの精度が確保されるため、確実なストッパ作用が達成され信頼性が向上する。さらに、組立て工数やネジ等の部品点数が削減されるとともに構成もシンプルになり、組立て作業性の向上やコストの低減およびスペースの効率的利用による小型化が図られる。
【0080】
図7は、本発明のさらに別の実施例の構成図である。この実施例においては、鍵1のL字状突起12に対し、ハンマー側のガイド片82を嵌挿して、図4の例と同様に、鍵1の押鍵動作に連動してハンマーを駆動するように構成したものである。この場合、鍵1の薄板状部材からなるヒンジ部2の幅を広くすること等により、横方向の剛性を高めることにより、ヨーイングを防止する。また、鍵フレーム5の後端部にストッパ支持部材88を固定し、このストッパ支持部材88の端部に上方ストッパ62を設けている。この上方ストッパ62は、図6の例と同様に、鍵のヒンジ部2の連結部92の上面に対向して設けられ、また連結部92の下面側の鍵フレーム5上には下方ストッパ63が設けられる。その他の構成および作用効果は基本的に図1の実施例と同様である。
【0081】
図9は、本発明のさらに別の実施例の要部構成図である。この例は、鍵とハンマーとの摺接部分の変形例を示す。即ち、図4に示す摺接部18はハンマー側のガイド片52を鍵側のガイド板53間に挟んだ構成であるが、このような構成に代えて、図9に示すように、鍵1のガイド板53’から1枚のガイド片52’を下に突出させて設け、ハンマー側にこのガイド片52’を挟む一対のガイド板30’を設けて摺接部18’を構成したものである。その他の構成および作用効果は前記各実施例と同様である。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明では、質量体(ハンマー)は鍵に駆動されて回動する。このとき回動支点部分以外の位置に設けたガイド部材により、質量体は、鍵並び方向(鍵盤の長手方向、即ち左右(横)方向)に位置決めされるとともに上下方向にガイドされる。これにより、従来のようにバネを用いて回転支持部を強く押し付ける必要がなくなり、部品点数の削減および組立て作業時間の短縮が図られコストが低減する。また、回転中心部の摩擦力による動作の不安定性がなくなり、回転部の摩擦低減のためのグリスの量等に係わらず安定したタッチ感、重量感が得られる。
【0083】
請求項2に係る発明では、質量体は、鍵に駆動されて摺接部で平面上を摺動しつつ揺動する。このとき、質量体は、ガイド部材により、鍵並び方向および前後方向に位置決めされつつ、揺動する。これにより、質量体は前後左右に動く範囲が規制され、例えば楽器が転倒したときに、質量体が受ける衝撃力はガイド部材に受止められ、過大な力が鍵支持部側に伝わらず楽器の破損が防止される。
【0084】
請求項3に係る発明においては、鍵および質量体に対し共通な部材により鍵および質量体がガイドされる。これにより、構成部品点数の削減が図られ、構成が簡素化するとともに組立ても容易にできるようになり、コストの低減が図られる。さらに、グリス塗布や保守メンテナンス時の作業の煩わしさが軽減する。
【0085】
請求項4に係る発明においては、鍵ガイド手段と質量体ガイド手段とを鍵の長手方向に対し同じ位置で同じ部材により一体的に設けているため、実質上共通の部材により鍵および質量体がガイドされる。これにより、前記請求項3の発明と同様に、構成部品点数の削減が図られ、構成が簡素化するとともに組立ても容易にできるようになり、コストの低減が図られる。さらに、グリス塗布や保守メンテナンス時の作業の煩わしさが軽減する。また、図1、3、7の実施例においてグリスを塗布した場合、押鍵時のグリス移動は、上から下へかつ自由端から支点方向へ移動するのに対し、離鍵時は、質量体の当該部分にて押し戻されるようになるので、いつまでも潤滑効果がある。その他の実施例でも、鍵と質量体が相互に作用し合って永続的な潤滑効果が図られる。
【0086】
請求項5に係る発明においては、上記共通部材の近傍で鍵と質量体が当接して質量体が鍵により押圧駆動される。共通部材は鍵および質量体をガイドする。この近傍に鍵および質量体の当接部があるため、それぞれの位置ずれが極めて少なくなり確実な当接が実現する。
【0087】
請求項6に係る発明においては、質量体は、鍵の一部を摺動可能に挟んで、鍵と連動する。この質量体は、質量体を鍵並び方向に位置決めし且つ摺動可能に支持する部材によりヨーイングが防止される。これにより、鍵ガイドを設けることなく、鍵の位置決めおよび押鍵動作のガイドが実施される。このため、支持部材構造が簡単になりコストの低減が図られる。
【0088】
請求項7に係る発明においては、押鍵動作時に、質量体が第1のストッパに当接したとき、質量体の重心の回転モーメントは、回転中心支点に対し下向きに作用し、離鍵動作時に、第2のストッパに当接したときにも、質量体の重心の回転モーメントは、回転中心支点に対し下向きに作用する。従って、質量体の回転中心は支持側に対し常に一定の下向き方向の力を受けることになり、上下の両方向に強度をもたせる必要がなくなり、構造の簡素化が図られるとともに、メカノイズが低減する。さらに上下方向の交互の作用力による回転中心軸部分の軸受け孔のガタが大きくなることが防止され、メカノイズの増加を防止する。また、このような構成においては、押鍵ストローク下端において質量体がストッパに当接してリバウンドし鍵が震動する現象を抑制し、演奏違和感をなくし、押鍵感覚を向上させ快適な演奏操作を楽しむことができる。
【0089】
請求項8に係る発明においては、押鍵動作時に、質量体が第1のストッパに当接したとき、質量体の重心の回転モーメントは、揺動摺接部に対し下向きに作用し、離鍵動作時に、第2のストッパに当接したときにも、質量体の重心の回転モーメントは、揺動摺接部に対し下向きに作用する。これにより、上記請求項6の発明と同様に、構造の簡素化およびメカノイズおよび鍵震動の低減が図られる。請求項9に係る発明においては、押鍵動作時に、質量体が第1のストッパに当接したとき、質量体の重心の回転モーメントは、回転中心支持部に対し、常に下向きに作用する。これにより、上記請求項6および7の発明と同様に、構造の簡素化およびメカノイズの低減さらに鍵震動の抑制が図られる。
【0090】
請求項10に係る発明においては、押鍵動作時に、質量体が第1のストッパに当接したとき、質量体の重心の回転モーメントは、質量体の揺動摺接部に対し、常に下向きに作用する。これにより、構造の簡素化およびメカノイズの低減、さらに鍵震動の抑制が図られる。
【0091】
請求項11に係る発明においては、垂直平板部材により、質量体が押圧駆動される。このような垂直部材の曲げ強度は非常に大きいため、質量体を駆動したとき、鍵側の部材が変形することがなくなり、鍵の強度を高めることができる。
【0092】
請求項12に係る発明においては、鍵のヒンジを構成する薄板状部材の接続部近傍の上下にストッパが形成され、薄板状部材の過大な変形を防止する。押鍵可能な例えば白鍵先端位置を強く打鍵したとき、鍵は質量体との当接部を中心に左回りに回転しようとする。このため薄板状部材は、上方に変形するが、上方のストッパで変位が規制されるため、過大な変形が抑えられ、破壊が避けられる。
【0093】
また、押鍵可能な鍵後端位置を強く打鍵したとき、鍵は質量体との当接部を中心に右回りに回転しようとする。このため、薄板状部材は下方に変形するが、下方のストッパで変位が規制されるため、過大な変形が抑えられ、破壊が避けられる。
【0094】
請求項13に係る発明においては、ストッパが鍵の基部を介して、即ち鍵の基部を支持部材上に挟んで、支持部材に固定されるため、支持部材の固定位置からストッパとして機能する位置までの距離が短くなり、且つ鍵の基部に直接固定されているため、組立て時のストッパ部分のクリアランスが高精度に保たれ、組立て作業工数が低減しコストダウンが図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る鍵盤装置の断面構成図である。
【図2】 ハンマーに作用するモーメントの説明図である。
【図3】 本発明の別の実施例に係る鍵盤装置の断面構成図である。
【図4】 本発明のさらに別の実施例の断面構成図である。
【図5】 本発明のさらに別の実施例の断面構成図である。
【図6】 本発明のさらに別の実施例の断面構成図である。
【図7】 本発明のさらに別の実施例の断面構成図である。
【図8】 鍵のヨーイング防止手段の例を示す斜視図である。
【図9】 図4の摺接部の変形例を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
1:鍵、2:ヒンジ部、3:基部、4:鍵ユニット、5:鍵フレーム、6:ハンマーフレーム、12:突起、13:ガイド部材、16:回転支持部、17:ハンマー、18:当接部、25:第1ストッパ、26:第2ストッパ。
Claims (13)
- 演奏操作に対し回動支点部を中心に回動する鍵と、
回動可能に支持され、前記鍵の押下によって、鍵の当接部にて駆動され、自在に揺動する質量体と、
前記鍵を揺動可能に支持するとともに前記質量体を回動可能に支持する支持部材と、
を有する鍵盤装置において、
前記質量体をその回転中心部から離れた位置で、鍵並び方向に対し位置決めしつつ回動可能ならしめるガイド部材を有し、前記鍵から垂下突設された垂直部の鍵ガイド用突起を備え、前記鍵は、下側が開放されたコ字状断面であり、その両側壁から下に向けて前記突起が一体に形成され、各鍵の突起内に挟まれる位置に前記ガイド部材が設けられ、前記突起が前記ガイド部材に沿って摺動し、これにより鍵の上下方向の回転動作がガイドされ、押鍵時に前記突起の下面が前記当接部を押し下げると前記質量体が回転し、これにより、前記鍵に設けられた鍵ガイド用の突起で質量体を駆動することを特徴とする鍵盤装置。 - 演奏操作される鍵と、
揺動自在に支持され、前記鍵により、鍵当接部を介して駆動され揺動する質量体と、
前記鍵をその被支持部を介して揺動可能に支持し、前記質量体を(支持部材の)摺接部で摺動可能に支持する支持部材と、
を有する鍵盤装置であって、
前記質量体を鍵並び方向および鍵前後方向に対し位置決めしつつ、揺動可能ならしめるガイド部材を有することを特徴とする鍵盤装置。 - 演奏操作される鍵と、
前記鍵によって駆動され揺動する質量体と、
前記鍵および質量体を揺動可能に支持する支持部材と、
前記鍵を鍵並び方向に対して位置決めしつつ、揺動可能ならしめるように構成されたガイド部材と、
を有する鍵盤装置であって、
前記鍵および質量体をガイドするガイド部材が共通部材であって、鍵側の部材がこのガイド部材に沿って摺動するとともに質量体側の部材がこのガイド部材に沿って摺動し、これにより、このガイド部材が、鍵をガイドするとともに、質量体も同時にガイドする共通のガイド部材となることを特徴とする請求項1又は2に記載の鍵盤装置。 - 押鍵操作により回動される鍵と、この鍵の回動に連動して揺動する質量体と、前記鍵の回動支点部を鍵回動支持部にて回動自在に支持し、前記質量体の揺動部を質量体揺動支持部にて揺動自在に支持する支持部材とを有する鍵盤装置において、
鍵の押離鍵方向の鍵ガイド手段と質量体揺動方向の質量体ガイド手段とを鍵長手方向に対し実質的に同位置でかつ同部材にて、一体的に前記支持部材に対して設けた共通のガイド手段とし、鍵側の部材がこのガイド手段に沿って摺動するとともに質量体側の部材がこのガイド手段に沿って摺動し、これにより、このガイド手段が、鍵をガイドするとともに、質量体も同時にガイドする共通のガイド手段となることを特徴とする請求項1又は2に記載の鍵盤装置。 - 前記鍵および質量体をガイドする共通部材の近傍の当接部で鍵と質量体が当接することにより、この質量体が当接部を介して駆動されることを特徴とする請求項3または4に記載の鍵盤装置。
- 演奏操作される鍵と、
揺動自在に支持され、前記鍵により、鍵当接部を介して駆動され揺動する質量体と、
前記鍵をその被支持部を介して揺動可能に支持し、前記質量体を鍵並び方向に位置決めし、揺動可能に支持する支持部材と、
を有する鍵盤装置であって、
前記鍵若しくは質量体のいずれか一方は、他方に対し摺動可能に嵌挿され、ヨーイング禁止手段によりヨーイングが抑えられ、前記鍵から垂下突設された垂直部の鍵ガイド用突起を備え、前記鍵は、下側が開放されたコ字状断面であり、その両側壁から下に向けて前記突起が一体に形成され、各鍵の突起内に挟まれる位置に前記ガイド部材が設けられ、前記突起が前記ガイド部材に沿って摺動し、これにより鍵の上下方向の回転動作がガイドされ、押鍵時に前記突起の下面が前記当接部を押し下げると前記質量体が回転し、これにより、前記鍵に設けられた鍵ガイド用の突起で質量体を駆動することを特徴とする鍵盤装置。 - 演奏操作される鍵と、
揺動自在に支持され、前記鍵により、鍵当接部を介して駆動され揺動する質量体と、
前記鍵と前記質量体とを揺動可能に支持する支持部材と、
押鍵動作による前記質量体の揺動を規制する第1のストッパと、離鍵時にその揺動を規制する第2のストッパと、を備えた鍵盤装置において、
質量体の回転中心を含む鉛直面に関して、鍵当接部の反対側に質量体の重心があり、
質量体が第1ストッパに当接したとき、回転中心と重心を結んだ線に垂直で回転中心を含む面と、回転中心支持部と重心を結んだ線に垂直で重心を含む面との間に第1のストッパを設け、
質量体が第2のストッパに当接したとき、回転中心と重心を結んだ線に垂直で回転中心を含む面と、回転中心支持部と重心を結んだ線に垂直で重心を含む面との間の外側で、重心の側に第2のストッパを設け、前記鍵から垂下突設された垂直部をもつ鍵ガイド用突起を備え、前記鍵は、下側が開放されたコ字状断面であり、下に向けて前記突起が一体に形成され、各鍵の突起内に挟まれる位置に前記ガイド部材が設けられ、前記突起が前記ガイド部材に沿って摺動し、これにより鍵の上下方向の回転動作がガイドされ、押鍵時に前記突起が前記当接部を押し下げると前記質量体が回転し、これにより、前記鍵に設けられた鍵ガイド用の突起で質量体を駆動することを特徴とする鍵盤装置。 - 演奏操作される鍵と、
前記鍵により、鍵当接部を介して駆動され揺動する質量体と、
前記鍵をその被支持部を介して揺動可能に支持し、前記質量体を(支持部材の)摺接部で摺動可能に支持する支持部材と、
押鍵動作による前記質量体の揺動を規制する第1のストッパと、離鍵時にその揺動を規制する第2のストッパと、
を備えた鍵盤装置であって、
質量体の前記摺接部を含み、鍵並び方向を向いた鉛直面に関して、鍵当接部の反対側に質量体の重心があり、
質量体が第1のストッパに当接したとき、摺接部と重心を結んだ線に垂直で摺接部を含む面と、摺接部と重心を結んだ線に垂直で重心を含む面との間に第1のストッパを設け、
質量体が第2のストッパに当接したとき、摺接部と重心を結んだ線に垂直で摺接部を含む面と、摺接部と重心を結んだ線に垂直で重心を含む面との間の外側で、重心の側に第2のストッパを設けるようにしたことを特徴とする鍵盤装置。 - 演奏操作される鍵と、
前記鍵により、鍵当接部を介して駆動され回動する質量体と、
前記鍵と質量体とを回動可能に支持する支持部材と、押鍵動作による前記質量体の回動を規制する第1のストッパと、離鍵時に前記鍵の回動を規制する第2のストッパと、を備えた鍵盤装置において、
質量体の回転中心を含む鉛直面に関して、鍵当接部の反対側に質量体の重心があり、
質量体が第1のストッパに当接したとき、回転中心支持部と重心を結んだ線に垂直で回転中心を含む面と、回転中心支持部と重心を結んだ線に垂直で重心を含む面との間に第1のストッパを設け、前記鍵から垂下突設された垂直部をもつ鍵ガイド用突起を備え、前記鍵は、下側が開放されたコ字状断面であり、下に向けて前記突起が一体に形成され、各鍵の突起内に挟まれる位置に前記ガイド部材が設けられ、前記突起が前記ガイド部材に沿って摺動し、これにより鍵の上下方向の回転動作がガイドされ、押鍵時に前記突起が前記当接部を押し下げると前記質量体が回転し、これにより、前記鍵に設けられた鍵ガイド用の突起で質量体を駆動することを特徴とする鍵盤装置。 - 演奏操作される鍵と、
前記鍵により、鍵当接部を介して駆動され揺動する質量体と、
前記鍵をその被支持部を介して揺動可能に支持し、前記質量体を(支持部材の)摺接部で摺動可能に支持する支持部材と、
押鍵動作による前記質量体の揺動を規制する第1のストッパと、離鍵時に前記鍵の揺動を規制する第2のストッパと、
を備えた鍵盤装置であって、
質量体の前記摺接部を含み、鍵並び方向を向いた鉛直面に関して、鍵当接部の反対側に質量体の重心があり、
質量体が第1のストッパに当接したとき、摺接部と重心を結んだ線に垂直で摺接部を含む面と、摺接部と重心を結んだ線に垂直で重心を含む面との間に第1のストッパを設けたことを特徴とする鍵盤装置。 - 演奏操作される鍵と、
前記鍵から垂下突設された垂直部材とその先端部から水平方向に延びる水平部とをもつ鍵ガイド用の突起と、
前記鍵により、鍵当接部を介して駆動され摺動する質量体と、
前記鍵および質量体を揺動可能に支持する支持部材と、
を有する鍵盤装置であって、
前記鍵は、下側が開放されたコ字状断面であり、その両側壁から下に向けて前記突起が一体に形成され、各鍵の突起内に挟まれる位置にガイド部材が設けられ、前記突起が前記ガイド部材に沿って摺動し、これにより鍵の上下方向の回転動作がガイドされ、押鍵時に前記突起の下面が前記当接部を押し下げると前記質量体が回転し、これにより、前記鍵に設けられた鍵ガイド用の突起で質量体を駆動することを特徴とする鍵盤装置。 - 後端と基部を薄板状部材で接続され、基部を支持部材に結合され、薄板状部材が変形することで揺動自在に支持された鍵と、
押鍵可能な鍵先端位置および押鍵可能な鍵後部位置の間の下方に位置する鍵当接部と、
前記鍵により、前記鍵当接部を介して駆動され揺動する質量体と、
を有する鍵盤装置であって、
鍵後端と薄板状部材の接続部近傍の上下に、薄板状部材の過大な変形を抑えるように、所定のクリアランスをもったストッパが形成されていることを特徴とする鍵盤装置。 - 前記ストッパは、前記鍵の基部を挟んで支持部材に固結されていることを特徴とする請求項12に記載の鍵盤装置。
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