JP5034391B2 - 電子楽器の鍵盤装置 - Google Patents
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Description
鍵盤には、通常、鍵本体部の演奏者側に鍵ガイドと呼ばれる鍵の位置規制構造があり、鍵盤を構成する複数の鍵が、鍵のローリング方向、すなわち、鍵の長手方向(鍵の奥行き方向)を軸線とした左右回転方向に回転したり、先端部が鍵の幅方向(鍵盤の音階並び方向)にずれたりしないようにしている。
そのため、鍵は、回動支点部を中心に、水平面内で鍵の左右方向に回転できる自由度を持つ必要がある。
例えば、上述した特許文献1においては、フレームの基部に設けた突状体の右側壁面に膨出部を、左側壁面に円柱面を設けるとともに、鍵の回動支点部の右側壁面に凹曲面を設け、この凹曲面に先の膨出部を嵌め込む構成としている。
一方、演奏者が、押鍵中に鍵に対し幅方向に力を加えてアフタータッチ制御をするタイプの鍵盤においては、積極的に、鍵が回動支点部を中心に水平面内で左右方向に回転できるようにしておく必要がある。
また、鍵の押離鍵方向の回動時に、フレーム側の突状体と鍵の回動支点部とが接触しながら摺動するために、鍵の回動動作を妨げる力が比較的大きく、かつ、接触部分が摩耗しやすいという問題がある。
図14は、自然楽器のピアノにおける回動支点部を用いた場合の、電子楽器の鍵盤の説明図である。
図14(a)は鍵の平面図、図14(b)は鍵の右側面図、図14(c)は鍵の背面部である。
図中、202は鍵本体部、202aはその先端部(演奏者側)、202bはその後端部である。鍵本体部202には上下方向に貫通する貫通孔202cが設けられている。
フレーム201には円筒状の突状体(ピン)203が立設されている。203aはその基部であって、鍵の長手方向は滑らかな傾斜面を有し、鍵の左右方向は平坦である。
貫通孔202cの側壁面は、鍵の長手方向に垂直に近いが垂直ではない勾配を持ち、鍵の幅方向には垂直になっている。その結果、図14(a)に示すように、貫通孔202cの上開口部は、鍵の長手方向に延びた長円形であり、下開口部は、突状体203の外径より僅かに大きいほぼ円形状である。貫通孔202cの開口部の幅は、突状体203の直径より僅かに大きく、突状体203との間に僅かな隙間を有している。
突状体203を貫通孔202cに貫通させることにより、鍵本体部202はフレーム201に支持される。鍵本体部202は、基部203aの上端を鍵回動支点として押離鍵方向に回動可能であり、また、鍵の水平面内左右方向に回転可能であるが、鍵のローリング方向には回転しない。
ここで、このローリング動作の抑制力は、2点間の距離、すなわち、鍵本体部202の高さに比例するため、鍵本体部202の高さを小さくできない。そのため、小型軽量化したい要求のある電子楽器の鍵盤装置としては、このままでは採用しにくい。
また、鍵回動支点204付近が押さえられていないため、激しい押鍵操作によっては鍵本体部202が突状体203から抜け出るおそれがある。
そこで、ピアノ鍵盤では、鍵後方部分をさらに延設し、延設した部分にアクション部材を配設することで抜け防止をしている。
回動支点部が薄肉片であることから、鍵の押離鍵方向の回動動作を妨げるモーメントが小さい。薄肉片を鍵の幅方向に沿う線上の少なくとも2点において上下方向から押圧することにより、鍵のローリング動作が抑制される。鍵は鍵支点部において水平方向に回転して位置決めされる自由度を持つから、鍵が水平面内で曲がっていても、鍵ガイド又は隣接鍵と擦れて滑らかに回動できなくなることを防止できる。
薄肉片の貫通孔に円柱状の突状体が貫通していることにより、鍵は、貫通孔とピンとの僅かな隙間の範囲内でしか、鍵の長手方向に移動できないから、回動中心線の位置が所定の範囲に定まるとともに、鍵の薄肉片が鍵支持部から脱落してしまうことを防止できる。
従って、鍵は貫通孔の円弧形状部と円柱状の突状体の接触部とが対向しながら水平面内を回転できる。その結果、2個の貫通孔と2個の円柱状の突状体とにより位置規制がなされていても、鍵が水平面内で曲がっていて鍵ガイド又は隣接鍵と擦れて滑らかに回動できなくなることを防止できる。
また、各貫通孔の円弧形状部と各円柱状の突状体の接触部とに隙間がなくてもよいから、鍵の押離鍵方向の回動動作中に、回動中心線の位置ずれが生じにくくなる。
円柱状の突状体が貫通孔を貫通する箇所の側壁面及び貫通孔の側壁面との間の間隙が下開口部において小さいことにより、鍵の回動中心線は、薄肉片の厚み中心よりも、間隙が小さくなっている下面側に定まる。
回動中心線が薄肉片の厚み中心にあると、押鍵時に鍵の長手方向に往復する摺動動作が発生し、鍵の位置が定まらないだけでなく、薄肉片と押圧部材との間の摺動摩擦により、鍵支点部の耐久性が低下する。
円柱状の突状体が貫通孔の上開口部又は下開口部の周縁に当接しているときは摺動しながら回動するが、この開口部の鍵の長手方向の縁部が丸められているので、円柱状の突状体の摩耗が少なくなり円柱状の突状体が削られにくくなる。
従って、貫通孔を打ち抜き加工で作成することができ、その際、打ち抜き加工では、開口部の周縁が丸められるダレ面が自然に形成されるから、後加工をする必要がない。
弾性体が衝撃振動を吸収することから、鍵回動支点部での機械雑音の発生を防げる。鍵支持部の全体が弾性部材であってもよいし、非弾性体の支持体と弾性体とを組み合わせた複合構成でもよい。
請求項7に記載の発明においては、請求項1に記載の電子楽器の鍵盤装置において、前記鍵支持部は、前記薄肉片を、前記鍵の幅方向線上の両端領域において、前記鍵の上下方向から押圧するものである。
薄肉片を押圧する鍵の上下方向からの押圧力は、鍵の幅方向中央部において加えるよりも、鍵の幅方向両端領域において加えた方が、鍵ローリングを抑制するモーメントの腕長が長くなるから効果が大きい。
しかし、鍵の押離鍵方向の回動動作に対する摩擦抵抗は、押圧する力の総量である。したがって、薄肉片を押圧する鍵の上下方向からの押圧力を、鍵の幅方向中央部において加えても、鍵の幅方向両端領域において加えても、押圧する力の総量が同じであれば、鍵の押離鍵方向の回動動作に対する摩擦抵抗は変わらないから、薄肉片を押圧する鍵の上下方向からの押圧力の悪影響度は同一である。
図1(a)は1つの鍵及びフレームの右側面図であり、図1(b)は背面図である。
本発明に関連する部分のみを模式的に示すものであって、押鍵操作に応じて鍵本体部2の下部により押圧される鍵スイッチ、背景技術で説明した鍵ガイド、及び、鍵の押し上げ押し下げ位置を規制する上下限ストッパ片等の記載を省略している。
電子楽器の鍵盤装置は複数の白鍵、黒鍵を有しているが、以後、1つの白鍵について説明する。
図示の非押鍵状態において、先端部2aが後端部2bよりも上がるように、鍵本体部2は、図示しないばね等により付勢されている。
3は鍵支持部であって、図示の例では、逆L字状の支持本体部3aと、その下面に固定された半円柱状の押圧部材3b、フレーム1の上面に固定された半円柱状の押圧部材3cからなり、支持本体部3aは、ねじ4によりフレーム1の後端壁に固定されている。押圧部材3b,3cは、中味が詰まったものでも、中空あるいは底面のないキャップ状のものでもよい。
押圧部材3b,3cは、必ずしも半円柱状である必要はなく、薄肉片2cに対し、線状に当接する曲面を持っていればよく、例えば、鍵の長手方向に切断したときの断面が半楕円形状で鍵の左右方向に切断したときの断面が矩形状であってもよい。
鍵支持部3の押圧部材3b,3cは、図示の例では、薄肉片2cとほぼ同じ幅を有し、薄肉片2cを鍵の幅方向に沿う線上の全幅にわたり、鍵の上下方向から押圧することにより、上述した鍵の幅方向に沿う線を回動中心線5として、鍵の先端部2aが押離鍵方向に回動可能となるように支持する。
一方、薄肉片2cが押圧部材3b,3cにより押圧されていても、鍵は水平面内を左右方向に回転する自由度を有する。
薄肉片2cは、押圧部材3bとの接点p1(拘束箇所となる)において、押圧部材3bから、鍵上下位置定着に必要な支持力Fを受け、押圧部材3cとの接点p2(拘束箇所となる)において、押圧部材3cから支持力Fを受ける。鍵が押離方向に回動するとき、回動中心線(図中、鍵回動軸)5は、接点p1と接点p2とを結ぶ直線の中点にあると推定される。
鍵本体部2が押離方向に回動(角度θ)して、鍵本体部2’となるとき、薄肉片2cが回転して薄肉片2c’となる。接点p1,p2にあったものは、摺動して、接点p1’,p2’に移動する。その結果、回動に抗する摩擦力が発生する。摩擦係数をμ、接点p1,p2の間隔(厚み)をdとすると、回動中心線5の周りのモーメントはμFd、摺動距離はdθとなる。
ここで、2cが薄肉片であることから間隔dは非常に小さいから、回動を拘束するモーメントを小さくすることができる。
なお、押圧部材3b,3cにより押圧する薄肉片2cの幅は、押圧する力の大きさや、摩擦抵抗等により、適宜調整されるべきものであるから、薄肉片2cの幅は、鍵本体部2の幅と同じか又は小さくする場合もある。
この変形例においては、図1に示した鍵支持部3に代えて、加圧による弾性反発力を発生させる弾性部材を有する鍵支持部11を用い、弾性部材としてコイル状ばね11dを用い、弾性部材の弾性反発力によって、鍵支持部3は鍵の上下方向から薄肉片2cを押圧する。
図1に示した鍵支持部3においても、鍵支持部3又は薄肉片2cが多少の弾性を有しているが、この変形例では、積極的に弾性部材を採用したものである。弾性部材が衝撃振動を吸収することから、鍵回動支点部での機械雑音の発生を防げる。
なお、コイル状ばね11dのような弾性部材を用いた場合、押圧部材11bが鍵の長手方向に移動可能であるから、薄肉片2cの回転に伴って、押圧部材11bも鍵の長手方向に移動する場合がある。従って、薄肉片2cは押圧部材11b対して必ずしも摺動するとは限らない。
押圧部材11b,11cは弾性変形の少ない硬質のものであってよい。押圧部材11b,11cは、中味が詰まったものでも、中空のキャップ状のものでよい。圧縮ばね11dは、押圧部材11c側に設けてもよい。圧縮ばね11dは、図示のコイル状に限らず、板バネでもよい。
圧縮ばね11dに代えて、又はこれと組み合わせて、押圧部材11b,11cの少なくとも一方を異なる種類の弾性部材、例えば、発泡ポリウレタンとしてもよい。
そこで、鍵の幅方向及び鍵の長手方向に位置規制する構成を加える。
図4(a)は鍵の回動軸部を設けたものである。
図中、21は回動軸部であり、薄肉片2cの回動中心線5の延長上に設けた。
22a,22bは回動軸挟持部であって、図示しないフレーム1に立設され、薄肉片2cの鍵幅方向の端部の右側に隣接している。一方、回動軸挟持部22c,22dは薄肉片2cの鍵幅方向の端部の左側に隣接する。鍵回動軸部21は、これらの間に挿入されることにより、鍵の幅方向及び鍵の長手方向に位置規制される。
図中、32は鍵本体部、32aは先端部、32bは後端部、32cは薄肉片、32dはリブである。図示の薄肉片32cも、鍵本体部32の幅よりも左右に延設されて拡張された幅を有している。32eは薄肉片32cに設けた貫通孔である。その配置は、鍵の後端部32bにおける幅方向中央であって、回動中心線35と交差する点に中心を定める。
図示の例では、突状体34の水平断面を円形とし、貫通孔32eは、突状体34の水平断面より僅かに大径の円形である。
図示しないフレームが金型を用いた樹脂成形で作成される場合、突状体34をフレームと一体のものとして成形することもできる。
突状体34を貫通孔32eに挿通することにより、薄肉片32c(鍵支点部)の厚み中心を鍵の回動中心線35として、押離鍵方向に回動可能であり、また、薄肉片32cは水平面内の左右方向に回転が可能である。
図4(b)に示した第2の具体例に適用したものを説明する。
図5(a)は鍵の全体を示す斜視図、図5(b)は鍵本体部の後方の右側面図、図5(c)は背面図である。
この実施の形態では、押圧部材33a,33bに代えて、半球状の押圧部材36a,36bを用いて、鍵の幅方向に沿う線上の両端領域において、薄肉片32cの上面を2点で押圧している。
この2点の間隔w3の1/2が、鍵の上下位置の定着に必要な支持力Fの腕の長さとなり、ローリング回転を抑制する回転モーメントとなる。
一方、図2に示したように、鍵の押鍵方向に回動させるときには摺動が伴い、μFなる一定の摩擦力がある。従って、押圧位置を、薄肉片32cの幅方向の両端に近づけて集中的に加えると最も効率がよい(図示の両端領域)。
下側の押圧部材33c,33dについても、半球状の押圧部材に代えてもよい。そうすると、上下方向とも2点支持になる。
図4(b)においては、突状体34を円柱状とし、貫通孔32eも円形開口部とすることにより、押鍵方向の回動及び水平面内の自由な回転を可能としていた。しかし、突状体及び貫通孔として、他の形状を採用することも可能である。
図中、42は鍵本体部、42aは先端部、42bは後端部、42cは薄肉片、42dはリブである。図示の薄肉片42cも、鍵本体部42の幅よりも左右に延設されて拡張された幅を有している。43は薄肉片42cに設けた貫通孔である。
フレームに突状体44が立設され、貫通孔43を貫通している。貫通孔43及び突状体44の配置は、鍵の後端部42bにおける幅方向中央であって、回動中心線45と交差する点に中心を定め、この点を水平面内回転中心46とする。
薄肉片42cを上下方向から押圧する部材は、図示破線で示すように、図4(b)に示した、線状接触する押圧部材33a〜33dであってもよいし、また、図5に示した点接触する押圧部材36a,36bであってもよい。
図6(b)に示すように、貫通孔43は、全体として突状体44よりも大きな矩形であり、鍵の長手方向及び鍵の幅方向に平行な側壁面を有している。両者の間に隙間ができるが、図では、隙間を点状のパターンで表現している。
各接触部43a〜43dと、これらに対向する突状体44の各側壁面との間に微少な間隙を設けることにより、薄肉片42cは、回動中心線45を中心とした鍵の押離鍵方向の回動と、水平面内回転中心46を中心とする水平面内左右方向回転が可能となっている。間隙は微少でよいため、鍵の大体の位置規制はなされている。
図7(a)において、薄肉片42cに設けられた貫通孔43は、図6に示した貫通孔43と同形状であり、接触部43a〜43dを有する。図には添字a〜dのみを記入している。
これに対し、突状体51は、貫通孔43を貫通する断面において、水平面内回転中心46を中心点とする2段の円弧形状を有し、各接触部43a〜43dに対向する円弧状側壁面を有する。
接触部43a,43cに対向する円弧状側壁面は小径、接触部43b,43dに対向する円弧形状部は大径であるが、水平面内回転中心46を中心とした同心円弧である。
間隙を狭くできるから、回動中心線45の鍵長手方向の位置が正確に決まる。
貫通孔52は、水平面内回転中心46を中心とする同心の円弧状側壁面52a〜52dを有している。図には添字a〜dのみを記入している。突状体53は、貫通孔52を貫通する箇所の断面において、水平面内回転中心46を中心点とする、先端を丸くした十字形状の接触部53a〜53dを有している。接触部3a〜53dは、それぞれ、円弧形状部52a〜52dに対向している。
2等辺三角形の頂角55aを水平面内回転中心46とし、かつ、回動中心線45が通るようにしている。
突状体57は、貫通孔56を貫通する箇所の断面において、一側面を、水平面内回転中心46を中心とする円弧状側壁面とし、反対側面を先鋭な凹部としている。
接触部56aに対向して円弧状側壁面がある。接触部56bに凹部が対向し、この接触点を水平面内回転中心46とし、かつ、回動中心線45が通るようにしている。
貫通孔58,59の円弧は、水平面内回転中心46を中心としたものである。
矩形状の貫通孔62,63を設けるとともに、2個の円弧状の突状体64,65を設け、貫通孔62,63には、それぞれ、水平面内回転中心46から鍵の幅方向に、接触部62a,62b(添字a,bのみを記入している)が突出し、突状体64,65の凹部に対向している。突状体64,65の円弧は、水平面内回転中心46を中心とする。
図8は、図4(b)に示した構造を、鍵の長手方向に沿って切断したときの垂直断面図である。
図8(a)は鍵本体部が水平位置にある状態、図8(b)は鍵本体部の離鍵状態、図8(c)は鍵本体部の押鍵状態における断面図である。
図8(b)に示すように、離鍵状態においては、鍵の先端部32a(図示の範囲外)が鍵の後端部32bよりも上がっている。
このとき、薄肉片32cと突状体34とは、貫通孔32eの上開口部の前方接点p3と貫通孔32eの下開口部の後方接点p6とにおいて当接し、鍵の長手方向の位置が定まる。
一方、図8(c)に示すように、押鍵状態においては、鍵の先端部32aが鍵の後端部32bよりも下がっている。
このとき、薄肉片32cと突状体34とは、貫通孔32eの上開口部の後方接点p4と貫通孔32eの下開口部の前方接点p5とにおいて当接し、鍵の長手方向の位置が定まる。
また、押鍵操作時に、図8(b)から図8(a)を経て図8(c)になる過程において、及び、この逆の過程において、図2を参照して説明したように、薄肉片32cと押圧部材33a〜33dとの間で、摺動があるため、これらの部材の耐久性が低下するという問題もある。
図9は、図8すなわち図4(b)に示した第2の具体例において、貫通孔及び突状体の構造に改良を加えた具体例を示す説明図である。
図9(a)において、81は薄肉片32cに設けた貫通孔81であって、鍵の長手方向において、その側壁面に、垂直に近いが垂直ではない勾配を持たせている。
従って、貫通孔81の鍵の長手方向の断面は、上開口部よりも下開口部において小さく、突状体34の側壁面との間隙は下開口部において微少である。
従って、鍵の回動中心線82は、図2に示したような、薄肉片32cの厚み中心ではなく、それよりも下面寄りの、押圧部材33c,33dとの当接点に近い点になる。図9(a)では、この当接点に回動中心線82を示している。
また、回動中心線82が薄肉片32cの下面に近くなるため、薄肉片32cと押圧部材33c,33dとの間における摺動距離が小さくなるので、これらの部材の耐久性が向上する。
一方、薄肉片32cと押圧部材33a,33bとの間では、摺動距離が長くなる。しかし、鍵の自重を考慮すれば、鍵の自重は薄肉片32cと上の押圧部材33a,33bとの間に加わらないから影響が少ない。
その結果、鍵の長手方向に対し、貫通孔32eと突状体83の側壁面同士の間隙は、貫通孔32eの上開口部よりも下開口部において小さく、下開口部においては、微少な間隙になっている。
鍵の長手方向において、貫通孔84の側壁面に垂直ではない勾配を持たせている。それとともに、突状体85は、突状体85が貫通孔84を貫通する箇所の側壁面が、鍵の長手方向において、垂直ではない勾配を持たせて傾斜するようにした。
その結果、貫通孔84と突状体85の間隙は、貫通孔84の上開口部よりも下開口部において微少となる。
上述した説明では、図4(b)に示した構成を前提に説明したが、図6,図7に示した変形例における貫通孔及び突状体の構成に関しても、鍵の長手方向の間隙に関して、同様に変形することができる。
また、突状体が、図8に示した突状体34のような円柱に近いものであるほど、突状体34等は、接点p3,p4として示した貫通孔の上開口部の縁部とも当接しながら摺動し、同様に、突状体34が削られてしまうという問題がある。
91は薄肉片32cに設けた貫通孔、92は突状体である。
貫通孔91は、その上開口部及び下開口部において、鍵の長手方向の縁部が丸められた形状にされている。この場合、縁部が丸められる前よりも突状体92の直径を微少に大きくして、貫通孔91の側壁部と突状体92の側壁部とが接しているようにする。
一方、図10(c)に示すように、鍵の先端部が後端部32bよりも下がっているとき、貫通孔91の上開口部の後方接点p4及び下開口部の前方接点p5の縁部に当接しながら摺動する際の摩耗が少なくなる。
図11(a)は、貫通孔93の上開口部についてのみ、鍵の長手方向の縁部を丸めたものである。その結果、貫通孔93の上開口部の前方接点p3及び後方接点p4の縁部に当接しながら摺動する際の摩耗が少なくなる。
図11(b)は、貫通孔94の下開口部についてのみ、鍵の長手方向の縁部を丸めたものである。その結果、貫通孔94の下開口部の前方接点p5及び後方接点p6の縁部に当接しながら摺動する際の摩耗が少なくなる。下開口部においては、鍵の自重が加わるため、その縁部を丸めることによる摩耗防止の効果が大きい。
この薄肉片95は、薄肉片を備えない鍵本体部94の後端領域において、ネジ98等の固着部材により鍵本体部97の下面に固定される。
図5に示した第2の実施の形態は、第1の実施の形態における図4(b)と同様に貫通孔と突状体を備えたものであった。
しかし、本発明の第2の実施の形態においても、図4(a)に示した回動軸部を備えてもよい。また、図3と同様に鍵支持部が弾性部材を有していてもよい。
さらにまた、本発明の第2の実施の形態においても、貫通孔及び突状体の構造として、第1の実施の形態における、図6〜図11に示した具体例を採用してもよい。
しかし、鍵盤装置は、複数の白鍵、黒鍵が音階配列方向に並設されて初めて実現可能なものとなる。そのため、隣接する白鍵又は黒鍵について、いずれにも同様の回動支点部及び鍵支持部の構造を採用すると、上述した薄肉片(図1の2c等)の幅は鍵の後端部の幅よりも延設できないから、薄肉片の幅を鍵の後端部の鍵幅と等しくすることになる。
しかし、押圧部材による押圧位置は、中心から鍵の幅方向に離れるほどローリングを抑制できるから、薄肉片の幅を鍵の後端部の幅よりも拡張したい。
その際、薄肉片の位置を、鍵の長手方向にも、鍵毎に交互にずらせることにより、鍵支持部の配置が容易になる。
図13は、図12に示した鍵盤構造の斜視図である。
複数の鍵、例えば、白鍵(B鍵)本体部102,白鍵(C鍵)本体部103,黒鍵(C#鍵)本体部104,白鍵(D鍵)本体部105のみを鍵フレーム(フレーム)101に載置した例である。添字aは、鍵操作部(見えがかり部)側の先端部を示す。
図12において、白鍵(B鍵)本体部102を想像線で示している。この図では押圧部材の図示を省略している。
薄肉片102c〜105cの幅は、後端部102b〜105bにおける鍵幅よりも延設されて拡張されている。
薄肉片102c〜105cには、貫通孔102d〜105dが設けられ、これらに、鍵フレーム101側から突状体113が貫通している。
図示の例では、連結部102e,104eの幅は、後端部における鍵幅に等しく、その厚みは薄肉片102c,104cの厚みと等しい。その結果、連結部102e,104eと薄肉片102c,104cとがT字状になったものが後端部102b,104bに結合されている。
すなわち、C鍵,D鍵,E鍵,F#鍵,G#鍵,A#鍵の薄肉片は下側に、C#鍵,D#鍵,F鍵,G鍵,A鍵,B鍵の薄肉片は上側にと、交互に配置される。
後者の連結部102e,104e等は、前者の薄肉片103c,105cに重なる。しかし、連結部102e,104eに透孔部102f,104fを設けることにより、前者の薄肉片の左右端部が露出する。
例えば、連結部104eの透孔部104fからは、左に隣接する白鍵(C鍵)本体部103の薄肉片103cの右端部分及び右に隣接する白鍵(D鍵)本体部105の薄肉片105cの左端部分が露出する。
同様に、108は鍵フレーム101に設けられた黒鍵ガイド部であり、黒鍵104の左右側面部間に嵌入されて鍵の幅方向の位置を規制する。透孔109は鍵フレーム101に設けられ、黒鍵104の下部に設けられた前方延設部104gを下方向に通して、前方延設部104gの前方端に設けられた駆動部により図示しないアクション部材の非駆動部を回動させる。
112は圧縮コイルばねであって、押鍵操作された鍵を元の回動位置に復帰させるためのものである。この圧縮コイルばね112を用いることなく、アクション機構の復帰方向の力により鍵の回動位置が復帰するようにしてもよい。
123a〜123cは薄肉片105cを上下方向から押圧する押圧部材であり、123dは隠れている。このうち、上側の押圧部材123bは、連結部104eに設けられた透孔部104fに入り込んで薄肉片105cを押圧する。
124a〜124cは、薄肉片104cを押圧する押圧部材であり、124dは隠れている。
透孔部102fの内面がわかるように、押圧部材125b,127aは、上にずらせて記載している。
126a,126bは、薄肉片102cを押圧する押圧部材であり、126c,126dは隠れている。
127a,127dは、図示しない黒鍵(A#鍵)用の4個の押圧部材の内の2個である。
そのため、上段にある薄肉片104cに対する下側の押圧部材、例えば、押圧部材124cについては、下段にある薄肉片105cに対する下側の押圧部材123c、例えば、押圧部材123dよりも、上下方向に長くして鍵フレーム101上に取り付けられている。
下側の押圧部材であって隣接しているもの、例えば、押圧部材121d,123cは、鍵フレーム101に固定されたものであるから、一体化された押圧部材としてもよい。
2,32,42,97…鍵本体部、
2c,32c,42c,95…薄肉片、
32e,43,52,54,56,58,61,62,63,81,84,91,93,94,96…貫通孔、
43a〜43d,53a〜53d,55a〜55c,56a,56b,60a,60b,61a,61b,62a,62b…接触部、
3,11…鍵支持部、
3b,3c,11b,11c,33a〜33d,36a,36b…押圧部材、
34,44,51,53,55,57,60,61,64,65,83,85,92…突状体、
5,35,45,82…回動中心線、
11d…コイル状ばね(弾性部材)、
46…水平面内回転中心
Claims (7)
- 鍵が回動支点部を介しフレームに支持される電子楽器の鍵盤装置であって、
前記フレームには、鍵支持部が設けられるとともに円柱状の突状体が立設され、
前記回動支点部は、前記鍵の上下方向に薄く前記鍵の幅方向及び長手方向に延設することにより、前記鍵の本体部の幅よりも左右に拡張された拡張領域を有する薄肉片であり、
前記薄肉片は、前記鍵の上下方向に貫通し前記円柱状の突状体が貫通している貫通孔を有し、前記鍵の押離鍵方向に回動可能であるとともに、水平面内の左右方向に回転が可能なものであり、
前記鍵支持部は、前記薄肉片を、前記鍵の幅方向線上であって、少なくとも、前記貫通孔の両横の前記拡張領域において、前記鍵の上下方向から押圧することにより、前記フレームに対し、前記鍵の幅方向線を回動中心線として前記鍵が押離鍵方向に回動可能となるように支持する、
ことを特徴とする電子楽器の鍵盤装置。 - 前記円柱状の突状体は、2個の円柱状の突状体であり、
前記貫通孔は、前記2個の円柱状の突状体がそれぞれ貫通する2個の貫通孔であり、
前記各貫通孔は、少なくとも一部に、前記薄肉片の水平面内回転中心を中心点とする円弧形状部を有し、
前記各円柱状の突状体が前記各貫通孔を貫通する箇所は、前記円弧形状部に対向する接触部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子楽器の鍵盤装置。 - 前記貫通孔の側壁面には、垂直ではない勾配が設けられ、
前記円柱状の突状体が前記貫通孔を貫通する箇所の側壁面と前記貫通孔の側壁面との間隙は、前記貫通孔の上開口部よりも前記貫通孔の下開口部において小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子楽器の鍵盤装置。 - 前記貫通孔は、上開口部又は下開口部の少なくとも一方において、鍵の長手方向の縁部が丸められた形状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子楽器の鍵盤装置。 - 前記薄肉片は板金部材であり、
前記板金部材に前記貫通孔を打ち抜いた際のダレ面が前記貫通孔の下開口部の側になるように、前記鍵本体部の下面に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載の電子楽器の鍵盤装置。 - 前記鍵支持部は加圧による弾性反発力を発生させる弾性部材を有し、
該弾性部材の弾性反発力によって前記鍵の上下方向から前記薄肉片が押圧される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子楽器の鍵盤装置。 - 前記鍵支持部は、前記薄肉片を、前記鍵の幅方向線上の両端領域において、前記鍵の上下方向から押圧する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子楽器の鍵盤装置。
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