JP3509170B2 - 電子楽器用鍵盤装置 - Google Patents

電子楽器用鍵盤装置

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JP3509170B2
JP3509170B2 JP05422294A JP5422294A JP3509170B2 JP 3509170 B2 JP3509170 B2 JP 3509170B2 JP 05422294 A JP05422294 A JP 05422294A JP 5422294 A JP5422294 A JP 5422294A JP 3509170 B2 JP3509170 B2 JP 3509170B2
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    • G10MUSICAL INSTRUMENTS; ACOUSTICS
    • G10HELECTROPHONIC MUSICAL INSTRUMENTS; INSTRUMENTS IN WHICH THE TONES ARE GENERATED BY ELECTROMECHANICAL MEANS OR ELECTRONIC GENERATORS, OR IN WHICH THE TONES ARE SYNTHESISED FROM A DATA STORE
    • G10H1/00Details of electrophonic musical instruments
    • G10H1/32Constructional details
    • G10H1/34Switch arrangements, e.g. keyboards or mechanical switches specially adapted for electrophonic musical instruments
    • G10H1/344Structural association with individual keys
    • G10H1/346Keys with an arrangement for simulating the feeling of a piano key, e.g. using counterweights, springs, cams

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  • Electrophonic Musical Instruments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は電子楽器の鍵盤装置に
係わり、より具体的には、鍵盤の各鍵毎または鍵のグル
ープ毎に、鍵操作時のタッチ感触等を異ならせる鍵盤の
タッチ感触キースケーリングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】アコースティックピアノには、鍵の運動
を弦に伝達するアクション機構があり、一般に低音部へ
行くほどタッチが重く、高音部へ行くほどタッチが軽く
なるように物理的メカニズムの必然性により構成されて
いる。このようにして低音域では指および手に力が入
り、高音域はソフトになるようにしている。
【0003】従来の鍵盤楽器、例えばアコースティック
ピアノにおけるタッチ感触のキースケーリングについて
説明すると、まず絃の長さに応じてハンマーヘッドの大
きさおよび硬さが異なり、低音のハンマーヘッドは柔ら
かく大きくフェルトが巻かれ、高音にいくほど硬く小さ
く巻かれている。またスプリングの強弱や鍵自体の重さ
の違いがあり、それらが鍵の重さ(タッチ感触)に影響
する。従来この鍵の重さにむらがないように重さをでき
るだけ平均化して調整するために、木質の部分に鉛を入
れていた。これにより、鍵の重さは高音部で50グラ
ム、中音部で55グラム、低音部で60グラム位として
重さの変化を感じさせないように低音部から高音部にい
くに従って順次軽くなるような反力のキースケーリング
がなされていた(「調律師からの贈物」斎藤義孝著、ム
ジカノーヴァ発行、音楽之友社発売)。
【0004】しかしながら、このようなフェルトの巻き
かたや鉛の重さによるキースケーリングは整調が難しく
安定した高精度のタッチ感触キースケーリングが困難で
あった。良好な演奏操作性を得るためのタッチ感触のキ
ースケーリングには、スケーリングの各種パラメータを
選定して容易に確実に鍵盤の押圧タッチを変化させるス
ケーリング構成が必要不可欠なものとなる。これらの要
素を解析するにあたっては、鍵の静的タッチ感触および
動的タッチ感触を総合した論理的な力学的考察が必要で
ある。
【0005】そこで、図8の模式図に関し、粘性係数k
vの流体とバネ定数ksの弾性体を含む系に運動の第2
法則を適用した一般式では、指の力(F)と鍵の変位
(x)の関係を式1のように表すことができる。
【0006】(式1) F=m(d2x/dt2)+kV(dx/dt)+k
S(x) ここで、 F:鍵(M)を押す指の力 x:鍵(M)の変移量 m:鍵(M)の質量 d2x/dt2:鍵(M)の変位加速度 kV:ダッシュポット(D)における粘性係数 dx/dt:鍵(M)の変位速度 kS:スプリング(S)のばね定数 である。この式1は、ばね(S)と係合し、ダッシュポ
ット(D)の流体中を外力(F)を受けて移動する質量
(m)を有する物体(M)の運動方程式で、右辺第1項
は慣性項、第2項は粘性項そして第3項は弾性項であ
る。
【0007】式1の右辺を考察すると、パラメータ
(m,kV,kS)を所定の鍵または音域に従って段階的
に変化させればよいことがわかる。即ちこのパラメータ
を構成する要素を具体的な鍵盤装置に対応させると、 (1)mとして (a)鍵に装着する錘の質量 (2)kVとして (b)鍵ガイド摺動部のグリスの粘性抵抗力 (c)鍵支点摺動部のグリスの粘性抵抗力 (d)鍵ガイドおよび鍵支点に対する押圧力による摩擦
抵抗力 (3)kSとして (e)鍵のスイッチ接点の板ばねまたはゴム膜等による
復帰力 (f)鍵の復帰用ばねのばね定数 (4)さらにxに関与する幾何学的構成要素として (g)錘の装着位置、ばね係止部の位置、スイッチの位
置、鍵ガイドの位置、支点の位置等があり、さらにこれ
らを組み合わせた効果を利用することが可能である。
【0008】アコースティックピアノでは、特に低音用
のハンマーに基音成分に近い倍音を得て、音の伸びを良
くすると共に十分な音量や豊かな音色を得るために、機
構全体の重量をある程度大きくして打弦エネルギーを増
大する必要からタッチ感触キースケーリングをハンマー
質量の調整によって行うようにしたものがある。通常の
アコースティックピアノのタッチ感触キースケーリング
は、鍵盤と絃との間に設けられた複雑なアクション機構
の中で、前記慣性項、粘性項および弾性項を含む式1の
全ての項をおおむね満足するような運動をさせていると
いえる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般の
電子鍵盤楽器においてアコースティックピアノと同じよ
うにキースケーリングすることは前述のように整調が複
雑で難しく適用は困難である。
【0010】これを言換えてさらに説明すると、アコー
スティックピアノの分野では実開昭54ー94221で
も知られるように、ハンマの質量調整のキースケーリン
グの技術はある。一般に、ハンマ低音部の質量を大にす
る代り、鍵の方でその分の調整おもり処理をするという
キースケーリングをしている。また、ピアノは複雑なア
クション機構が鍵とからみ合いながら結果として上記式
の第1項から第3項までのすべてを満たす運動をしてい
ることは否めない。即ち、ピアノの鍵盤を、指とアクシ
ョンを含めた鍵盤をブラックボックス化してみた場合、
上記式を満たす運動を少しはしているといえよう。ここ
で注目したいのは第2項であり、現象として押離鍵の反
力のヒステリシスが挙げられる。これはとりもなおさず
この第2項と類似の現象がアクション系で少なからず行
われていることを示す。ピアノのアクションは複雑高価
のため、安価で簡易な、それでいて良好なタッチ感触機
構が望まれている。
【0011】従来のキースケーリングがアコースティッ
クピアノのタッチ感触と異なる点は、鍵が押されて復帰
する変位動作のヒステリシスに関係しており、これを支
配する要素が例えば図8のダッシュポット(D)に係わ
る式1の粘性係数(kV)に依存している。
【0012】しかしながら、自然楽器のピアノのヒステ
リシスを取り込んだアクション機構は、複雑で高価であ
るため、積極的に粘性抵抗力を主体としてキースケーリ
ングを行った電子楽器用鍵盤装置は従来実現されていな
い。
【0013】本発明は、前記式1の右辺第2項に係わる
粘性抵抗力を積極的に適用して、全鍵にわたる各鍵毎、
あるいは3〜4鍵毎、半オクターブ毎あるいは1オクタ
ーブ毎等にタッチ感触のキースケーリングを簡易で安価
に構成でき、しかも良好なタッチ感触を得て、これによ
り静的タッチ感とともに動的タッチ感を簡単な構成でア
コースティックピアノに近づけ演奏操作性や演奏感覚を
向上させた電子楽器用鍵盤装置の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、第1の発明では、鍵支持部材と、押離鍵操作により
前記鍵支持部材に対し変位移動する多数の鍵と、該鍵を
非押鍵位置方向に付勢する復鍵手段と、押離鍵操作時に
鍵支持部材またはこれと固定関係に保持された部材と鍵
との間の摺接面で粘性摩擦を発生する粘性摩擦発生手段
と、前記押離鍵操作時に指が受ける前記粘性摩擦発生手
段による粘性摩擦力を鍵または所定の鍵域ごとに異なら
せて前記多数の鍵からなる鍵盤のタッチ感触をキースケ
ーリングする鍵盤タッチ感触キースケーリング手段と、
を具備したことを特徴とする電子楽器用鍵盤装置を提供
する。
【0015】また前記目的を達成するため、第2の発明
においては、鍵支持部材と、押離鍵操作により前記鍵支
持部材に対し変位移動する多数の鍵と、該鍵を非押鍵位
置方向に付勢する復鍵手段と、該鍵の押鍵動作に連動す
る各鍵ごとに設けた質量体と、押離鍵操作時に鍵支持部
材またはこれと固定関係に保持された部材と前記鍵また
は前記質量体との間の摺接面で粘性摩擦を発生する粘性
摩擦発生手段と、前記押離鍵操作時に指が受ける前記粘
性摩擦発生手段による粘性摩擦力を鍵または所定の鍵域
ごとに異ならせて前記多数の鍵からなる鍵盤のタッチ感
触をキースケーリングする鍵盤タッチ感触キースケーリ
ング手段と、を具備したことを特徴とする電子楽器用鍵
盤装置を提供する。なお、前記質量体は例えばハンマー
である。
【0016】好ましい実施例においては、前記キースケ
ーリング手段にて粘性摩擦によるキースケーリングに加
えて前記鍵の質量を鍵または所定の鍵域ごとに異ならせ
て鍵盤のタッチ感触をキースケーリングするように構成
したことを特徴とする。
【0017】別の好ましい実施例においては、前記キー
スケーリング手段にて粘性摩擦によるキースケーリング
に加えて前記復鍵手段の反力を鍵または所定の鍵域ごと
に異ならせて鍵盤のタッチ感触をキースケーリングする
ように構成したことを特徴とする。
【0018】
【作用】請求項1に係る発明によれば、鍵支持部材(ま
たはこれに固定された部材)と鍵との間の例えばグリス
等の粘性力を発生する粘性材料を塗布した摺接面で、こ
の粘性材料による粘性摩擦を鍵毎(または鍵グループ
毎)に異ならせてタッチ感触のキースケーリングが施さ
れる。これにより、アクション機構が備らないにもかか
わらず、アクション機構を有するアコースティックピア
ノと同じようなタッチ感触のキースケーリングが実現さ
れる。しかも本発明構成はアコースティックピアノのア
クション機構のように複雑ではなく、簡単な構成で故障
等が少なくまたピアノのように面倒な調整も不要であ
る。
【0019】請求項2に係る発明によれば、鍵と連動す
る質量体(例えばハンマー)と鍵との間の例えばグリス
等の粘性力を発生する粘性材料を塗布した摺接面で、こ
の粘性材料による粘性摩擦を鍵毎(または鍵グループ
毎)に異ならせてタッチ感触のキースケーリングが施さ
れる。これにより、前述の第1の発明と同様にアクショ
ン機構が備らないにもかかわらず、アクション機構を有
するアコースティックピアノと同じようなタッチ感触の
キースケーリングが実現される。しかも本発明構成にお
いても、前述と同様アコースティックピアノのアクショ
ン機構のように複雑さはなく、簡単な構成であって故障
等は少なくまたピアノのように面倒な調整も不要であ
る。
【0020】請求項3に係る発明によれば、鍵毎(また
は鍵グループ毎)にその質量を異ならせてタッチ感触の
キースケーリングが行われる。これにより簡単な構成で
さらにアコースティックピアノのタッチ感触に近づける
ことができる。
【0021】請求項4に係る発明によれば、鍵毎(また
は鍵グループ毎)にその鍵復帰手段の反力を異ならせて
タッチ感触のキースケーリングが行われる。これによ
り、上記請求項3の発明と同様に簡単な構成でさらにア
コースティックピアノのタッチ感触に近づけることがで
きる。
【0022】以下タッチ感触に対する粘性の作用につい
て簡単に考察する。図9は、グリス等の粘性材料を鍵の
摺動部に介在させた場合の粘性による押鍵反力のヒステ
リシスのグラフである。(a)(b)はそれぞれグリス
の粘性を異ならせたグラフであり、(a)は粘性係数が
小さい場合を示し、(b)は粘性係数が大きい場合を示
す。また、(c)(d)は粘性力に加えてバネ材等の反
力による鍵の動き始めに要する力(バイアスα)を考慮
したグラフであり、(c)は高音側の軽いタッチのグラ
フであり、(d)は低音側の重いタッチのグラフであ
る。
【0023】本発明に係わる電子楽器用鍵盤装置におい
ては、鍵が変位中に、鍵と鍵支持部材および/またはこ
れと固定関係に保持された部材との摺接面間で発生する
粘性抵抗力によりキースケーリング作用を行うようにし
たので、図9に示すように高音域(または粘性係数の小
さい粘性材料を用いた場合)と低音域(または粘性係数
の大きい粘性材料を用いた場合)とでは異なるヒステリ
シスを生じることとなり、簡単な構成で押鍵時のタッチ
感触を多様に変化させアコースティックピアノに近づけ
ることができる。しかも押鍵操作による演奏は、図9に
示すようなヒステリシス曲線の立ち上がり位置、曲線の
勾配および曲線で囲まれた面積等に影響されるため、ヒ
ステリシス曲線の形状は鍵盤の演奏タッチ感触を多様に
特徴付けることを可能にする。
【0024】またこのキースケーリング作用は、摺接面
間の幾何学的形状寸法に依存するものであって、摺接面
間に介在させるグリス等の粘性体の粘性係数の相違にも
大きく影響を受ける。またこれに加えて、鍵の質量によ
るキースケーリングおよび/またはバネ等の復鍵部材の
反力によるキースケーリングと組み合わせることによっ
てさらにこのキースケーリング作用を効果的に機能させ
ることができる。
【0025】
【実施例】以下図面に示した実施例に基づいて、本発明
を詳細に説明する。図1は本発明の第1実施例に係わる
鍵盤装置の斜視図である。図1(A)において、図中手
前(左側)に高音部、右側に低音部を配するようにして
図示されている。図中1は白鍵、2は黒鍵であって所定
の順序で鍵支持部材3に並列配置されている。なお本発
明に関しては白鍵1および黒鍵2とは大きさが異なるも
のの実質上同じ構成であるため、特に断らない限り以下
の説明は白鍵1についてのみ行う。
【0026】金属材料からなる鍵支持部材3の前端部側
(演奏者側)は屈曲され唇状縁部9が形成される。この
上およびその背面側の鍵支持部材3の下面に、フェルト
材からなる下限ストッパ10および上限ストッパ11が
貼布される。これらの下限ストッパ10および上限スト
ッパ11に対応して鍵1側に設けたスライドガイド片1
5の端部に屈曲係止片がL字形に形成され、この下端1
5aが下限ストッパ10に当接し、上端15bが上限ス
トッパ11に当接するように配設される。
【0027】押鍵操作により鍵1が押圧され下降してス
ライドガイド片15の下端15aが下限ストッパに当接
すると押鍵操作が停止し、この位置が押鍵ストロークの
下限位置となる。また押鍵力を解放すると復鍵部材とし
て適用した復鍵ばね13の作用により、鍵1が上昇し、
スライドガイド片15の屈曲部の上端15bが上限スト
ッパ11に当接して押鍵復帰動作が停止し、この位置が
押鍵ストロークの上限位置となる。
【0028】図1(B)に示される16,…,16はキ
ーガイドであって、鍵支持部材3の唇状縁部9へ移行す
る屈曲縁3aにおいて、鍵1,…,1が配設される位置
に鍵1のスライドガイド片15の内壁面間距離より狭い
幅の条片21を型抜きして支持部材3と同一面に延在さ
せ、屈曲縁3aより僅か前方に突出した位置より唇状縁
部9とは逆に上方向に折り曲げた直立片に合成樹脂を外
挿(アウトサート成形)したものである。21aは、2
1の型抜きによって形成された切り抜き孔である。
【0029】鍵1に設けたスライドガイド片15の内壁
面は、キーガイド16の両側に摺接して、押鍵操作中の
鍵1はこのキーガイド16によって案内され、横振れや
ねじれが防止される。キーガイド16の両側上下の摺接
面18,19にはグリス状の粘性体を介在させて粘性抵
抗力を発生させる。一方、摺接面18,19の間には摺
接逃げの凹部20を設け、粘性抵抗力の調整用およびグ
リス溜りとして兼用する。摺接面18,19上に鍵長手
方向に沿って設けられた条溝17はグリス溜りであり、
いずれも摺接面18,19上のグリスを常に逃さないよ
うに機能する。このようなグリス溜りは図中では条溝1
7として図示されているが、適当な形状の穴状の窪みを
穿設してもよい。
【0030】鍵1の後端部4にはほぼ三角形のリブが形
成され、このリブの最後端となる三角形の頂点からはピ
ボット軸(図示しない)が突出させてある。一方、鍵支
持部材3の後縁部3bを上方に折り曲げて直立する壁面
とし、これに装着した軸受けブロック4aには図示しな
いピボット軸受け(例えば三角錐または円錐状の凹所)
が設けてあり、前述の鍵1の後端に設けたピポット軸の
先端を内挿して後述の板ばねにて揺動自在に枢支する。
また鍵1の後端部4に設けた三角形のリブの下端は、鍵
支持部材3面に設けられたプレス打ち抜き孔3cを挿通
して延在している。そして鍵支持部材3の裏面に貼着さ
れている合成樹脂シート5の端面に上記リブの下端が対
向するよう配設され、鍵を手前に引張ったときにも離脱
しないよう上記リブの下端が上記端面に当接する。
【0031】図2は復鍵ばね13の装着部の構成を示
す。図1および図2に示された復鍵ばね13は、細長い
板ばねであり、鍵支持部材3に密着させる下端部分に下
方に突出させて設けた一体の複数のピン14を鍵支持部
材3に穿設した小孔3dに挿入して仮止めした後、アウ
トサート成形により合成樹脂ブロック12で被覆するこ
とによって根元を固定する。さらに復鍵ばね13は、合
成樹脂ブロッ12から外の部分が上方凸に反り返るよう
に湾曲させてあり、先端が鍵1の内面側に係止される。
また図2は、合成樹脂ブロック12で被覆する複数の復
鍵ばね13の根元の相対位置を相異なる複数の鍵もしく
は複数の鍵群単位で前後にずらして配設することによっ
て前記式1の第3項である弾性項による鍵並びのタッチ
感触キースケーリングを行い得ることを示している。
【0032】図中復鍵ばね13は、直線的に図示されて
いるが、これは鍵1を装着することによって上方凸に湾
曲され、その弾性反発力によって鍵1を復帰方向に付勢
すると共に、その分力で鍵後端部4に設けたピポット軸
を軸受けブロック4aのピボット軸受け内に圧接させ、
揺動自在でしかも安定に鍵1を支持する。この弾性結合
は、鍵1の後端部上面にあけられた開孔1Aからばね1
3をドライバ等でこじて外し、この開孔からシート5の
端部を押しながら鍵を手前に引抜くことにより三角リブ
とシート5との係合を離脱させ鍵を鍵支持部材から容易
に分解することができる。
【0033】図1(A)に示すように、鍵支持部材3の
ほぼ中央部下部にはスイッチ回路あるいは制御回路等を
形成したメインプリント基板6が固定されている。この
メインプリント基板6上に、各鍵に対応させてキースイ
ッチ8が搭載されている。各キースイッチ8は、鍵支持
部材3に形成した孔7を挿通して鍵支持部材3の上面に
突出させてある。これらのキースイッチ8は、ゴム等の
弾性体を使用して構成した2メイク式のスイッチであ
り、アクチュエータ(図示しない)により駆動される。
【0034】鍵1が押圧操作されると、スライドガイド
片15がキーガイド16の両側面の上下の摺接面18,
19に接触しながら摺動し、上限ストッパ11および下
限ストッパ10の間で往復動作する。F# の符号が付さ
れている一段高いキーガイドはF#用黒鍵2のキーガイ
ドを示す。その他のG、F、E、Cは白鍵用キーガイド
である。
【0035】キーガイド16に設けた凹部20の上下の
長さbを変化させ、摺接面18,19の上下の長さ
1,a2を変化させているので、前後方向の厚さcが一
定であれば、全摺接面積Aはa=a1+a2に比例する。
そこで第1実施例では、図1に示されるように、摺接面
19の上下の長さa2 のみを変えることによって摺接面
積Aを変化させキースケーリングを行っている。しかし
ながら、摺接面積Aを変化させるについては、a1
2,bの組み合わせの中でそのいずれを変化させても
よいことはいうまでもない。凹部20が摺接に関与しな
いようにグリス状粘性体はなるべく摺接面18,19の
みに施されるようにする。これはグリス状粘性体で凹部
20が完全に充填されると粘性抵抗力が全鍵にわたって
均一化されやすいため、摺接面積Aを変化させた効果が
うすれるからである。
【0036】図3は、本発明に係わる電子楽器用鍵盤装
置の第2実施例のキーガイド16の部分を拡大図示した
斜視図である。本実施例は、キーガイド16の前後方向
の厚さcを変化させてキースケーリングを行うものであ
る。即ち、高音側キーガイドの厚さc1 は狭くして押鍵
操作に対する抵抗力を軽くし、低音側のキーガイドの厚
さc2 は広くとって押鍵操作が重く感じられるように構
成している。このようなキースケーリングでは、当然摺
接面積Aにも影響されるが、鍵の移動方向に対向してキ
ーガイド16の幅に変化がもたせてあるので、押鍵操作
の初動抵抗力に変化を与えることができる。なお図3で
は、説明を分りやすくするため、かなり誇張してc1
2のように描いてある。
【0037】このように前述の第1実施例はキーガイド
16の長手寸法を変化させることにより、また第2実施
例はキーガイド16の前後方向の幅を変えることによ
り、図1および図3に図示したように、キーガイド16
の摺接面の幾何学的寸法a1,a2,b,cを各鍵毎に個
別に変化させてキースケーリングを行ったものである。
第3実施例は特に図示しないが、幅cでブロック単位
(例えば半オクターブ、1オクターブ、2オクターブ
等)毎にキースケーリング(同一ブロック内では摺接面
積は同一とする)を施したものである。この場合、隣接
するブロック間におけるタッチ感触には段階的に極端な
変化が現れないように留意することが望ましい。
【0038】第4実施例(図示しない)は、音域ブロッ
クを伴奏鍵域とメロディ鍵域とに2分割したもので、こ
のブロック同士間で、タッチ感触が不連続に変化するよ
うにしたものである。各ブロック内では前記摺接面積を
同一にしてタッチ感触を同一にしてもよいし、ブロック
内を滑らかに均等化された漸進ステップのタッチ感触が
得られるようにしてもよい。
【0039】図4は、鍵を回動自在に支持する支点部材
24における粘性抵抗力でタッチ感触のキースケーリン
グを行った第5実施例を示すものであり、鍵22を長軸
方向の断面で図示したものである。以下、第5実施例を
図4に従って説明する。25は金属材料からなる鍵支持
部材で、前端部側(演奏者側)は下方に屈曲させて樋状
のポケット25aを設け、鍵22に固設されたタッチ感
触付加用錘32の移動空間とする。この錘32は、図示
したように大きさの異なる錘32a,32b,32c,
32d,32eからなり各鍵に応じて適宜選択すること
により前記式1の第1項のタッチ感触のキースケーリン
グに寄与している。
【0040】鍵支持部材25の前縁部には水平に突出さ
せた棚部25bを設けて、この棚部前縁より鍵22,
…,22が配設される位置に鍵22のスライドガイド片
37の内壁面間距離より狭い幅の条片33が型抜きされ
て上方向に折り曲げられ、直立させてある。
【0041】直立条片33には合成樹脂が外挿(アウト
サート成形)されてキーガイド34を形成している。こ
のキーガイド34は図1(B)、図3と同様なタッチ感
触のキースケーリングを施してもよい。また、後述の支
点部のタッチ感触のキースケーリングと組合せて式1第
2項のタッチ感触キースケーリングを行ってもよい。棚
部25bの上面およびその下面に、フェルト材からなる
下限ストッパ35および上限ストッパ36が貼布され
る。これらの下限ストッパ35および上限ストッパ36
に対応して鍵22側に設けたスライドガイド片37の下
端部に屈曲係止片がL字形に形成され、この上縁38が
上限ストッパ36に当接し、鍵22の下縁39が下限ス
トッパ35に当接するように配設される。図4は、鍵2
2の下縁39が下限ストッパ35に当接している状態を
図示したものである。
【0042】押鍵操作により鍵22が上限ストッパ36
と下限ストッパ35との間をストロークすることに関し
ては第1実施例と同様であるので説明を省略する。押鍵
力が解放されると復鍵ばね28の作用によって鍵22は
上昇し、スライドガイド片37の屈曲部の上縁38が上
限ストッパ36に当接して押鍵復帰動作が停止し、この
位置が押鍵ストロークの上限位置となる。
【0043】キーガイド34は、図1(B)に示される
第1実施例のキーガイド16と同様な機能を有するよう
な形状寸法で形成する点、キーガイド34両側の摺接面
にグリス状粘性体を介在させて粘性抵抗力を発生させる
点、摺接面の間には摺接逃げの凹部を設けて粘性抵抗力
の調整用およびグリス溜りとして兼用させる点、摺接面
上にグリス溜りとして条溝または適当な形状の穴状の窪
みを穿設する点では、第1実施例と同様の構成をとるこ
とも可能である。しかしながらこの第5実施例は支点部
材24における粘性抵抗力を主体としたタッチ感触のキ
ースケーリングを行うことを目的として構成したもので
あるから、これらの点に関して制限を受けることはな
い。従って、これらの点に関しては全鍵共通の構造にす
ることも可能であり、共通化することによって例えば金
型のコスト節減等を図ることが可能になる。
【0044】第5実施例の復鍵ばね28も第1実施例同
様に細長い板ばねで形成されている。この復鍵ばね28
は、一端を鍵支持部材25に設けたプレス加工の係止片
30によって係止し、他端を鍵22の内面側係止部29
に当接している。 このばね28により復鍵力を与える
とともに鍵22およびこれに嵌装されている支点部材2
4を鍵支持部材25後方側に押圧する。 復鍵ばね28
は上方凸に湾曲された湾曲形状から直線形状に復帰しよ
うとする弾性力により、鍵22を上方に付勢する。
【0045】一方、復鍵ばね28の水平分力が鍵22を
支点部材24を介して角孔43(図5)の後縁に向けて
内側より圧着する。支点部材24には鍵支持部材25の
板厚に適合する切り込み24aが設けられているので、
この切り込み24aに角孔43の後縁部を嵌入させるこ
とにより、支点部材24は鍵支持部材25に安定に装着
することができる。
【0046】26は鍵支持部材25に螺鋲止めされてい
る合成樹脂シートであり、その端部が鍵側の後端に対向
し、第1実施例における合成樹脂シート5同様に、鍵2
2が手前に引張られたときに離脱しないように機能す
る。保守点検あるいは鍵やその他部品を交換する場合に
は、この合成樹脂シート26の右端部を孔22aを通し
て上から押圧して撓ませながら鍵22を手前に引くこと
により分解することができる。
【0047】第1実施例同様、鍵支持部材25のほぼ中
央部下側にスイッチ回路あるいは制御回路等を形成した
メインプリント基板(図示しない)が固定されている。
このメインプリント基板上に、各鍵に対応させて図示し
ないキースイッチが搭載される。このキースイッチを押
圧するためのアクチュエータ27が各鍵22と一体に形
成され、鍵支持部材25を挿通している。
【0048】図5および図6は、第5実施例における支
点部材24および鍵22の後端部に設けられた支点部材
24との摺動嵌合部45を斜視図で示したものである。
図5において、40は支点部材24の中央部に設けられ
た一部に切り欠きを有する円盤状フランジ部で両側面に
円柱状の段付きボス41,42を左右対称に備えてい
る。中央のフランジ40の軸方向の長さ(厚み)は鍵2
2の後端部に設けられた摺動嵌合部45の溝面47間に
嵌入する寸法に形成されている。一方、ボス42の軸方
向の長さ(厚み)は、鍵支持部材25にプレス加工の打
ち抜きによる角孔43の横幅と嵌合するように形成され
ている。またボス41の断面はほぼ半円形であり、ボス
42の断面はほぼ1/4円である。
【0049】一方、図6には、構成を分かりやすく図示
するため、鍵22後端部の摺動嵌合部45が天地を逆に
して斜視図で示されている。摺動嵌合部(鍵後端部)4
5は内径摺接面46が支点部材24のボス41,42の
共通外周面と嵌合するように形成される。この摺接面4
6は、装着した支点部材24が抜け落ちないように、1
80度以上の円弧(半円以上)の円周面により構成され
ている。即ち、この摺接面46の円弧の開口部はその開
口角度が180度以下の半円より狭い角度の開口であ
る。このように狭い開口部を通して支点部材24を装着
するために、支点部材24にはほぼ45度の1/4円の
切欠き部が形成される。組み立て時にはこの切欠き部を
鍵後端部に対して適当な角度の位置に回転させて支点部
材24を摺接面46内に挿入させその後支点部材が抜け
落ちない角度の位置まで回転させて戻す。これにより、
支点部材24は鍵後端部45に対し回動自在に結合され
かつ脱落が防止される。
【0050】このように鍵22に嵌装された支点部材2
4のボス42を鍵支持部材25に設けた角孔43に挿入
して、ボス41,42の結合面に沿って、ボス42の開
放側の割面に設けられた鍵支持部材25の板厚に適合す
る切り込み24aを角孔43の内側から後縁部に向けて
嵌挿して組み立てる。組み立て後は、鍵22のストロー
クの回動範囲内においては、摺動嵌合部45の摺接面4
6の開口部とボス41,42の切り欠き部分が整合する
ことがないように形成されているため、通常の演奏状態
において互いの結合が解かれることはない。
【0051】このように構成された鍵盤装置において
は、鍵22の溝面47と中央のフランジ40の側面とが
相互に摺接する。第5実施例はこのフランジ40の側面
の大きさを変えることによってタッチ感触のキースケー
リングを行うものである。即ち、図5に示されるよう
に、支点部材24の高音部側フランジ40の側面は狭く
(即ち、高さを低く)し、低音部側に移行するに従っ
て、フランジ40の側面の広さを大きく(即ち、高さを
高く)形成するようにして、各鍵毎、3〜4鍵毎、半オ
クターブ毎、1オクターブ毎、あるいは2オクターブ毎
のタッチ感触キースケーリングを行うようの構成したも
のである。44は溝面47とフランジ40の側面とに穿
設されたグリス溜り用の孔である。このグリス溜り用の
孔はさらに摺接面46にも適宜設けておいてもよい。
【0052】上記実施例によれば、支点部材24の形状
を変えることによりタッチ感触のキースケーリングが行
われる。この場合、この支点部材24に係合する鍵側の
後端部は図6に示すように、支点部材24の大きさ(形
状)にかかわらず全鍵共通である。従って、製造組み立
て時の繁雑さはなく、また金型等も共通化されコストの
低減が図られる。
【0053】このような構成の支点部材24の摺接面
は、摺動嵌合部45の内径摺接面46と支点部材24の
ボス41,42の外周面との間にも存在する。第6実施
例はこの部分の摺接面積を変化させてタッチ感触のキー
スケーリングを行うものである。即ち、支点部材24の
ボス41および/または42の軸方向の長さ(横幅)を
変化させて粘性抵抗力を変えることによりタッチ感触の
キースケーリングを行うものである。この場合、図示し
ないが、これまでの実施例同様にボス41,42の外周
面および/または内径摺接面46の表面に条溝状あるい
はめくら孔状のグリス溜りが設けられる。
【0054】図7は、本発明の第7実施例に係る鍵盤装
置の最高音キー(鍵)の鍵長手方向に沿った側断面図で
ある。この鍵盤装置は各鍵に対応してハンマーを備えた
ものである。鍵122は支持部材123に対し支点部材
124を介して回動可能に装着される。ハンマー125
は鍵122の下面内側空間に嵌挿するようにして設けら
れ、支持部材に固着された支点部材126にその回動支
点が嵌合され、鍵122の駆動部122aで両側方に突
設した被駆動部125aを押圧して鍵操作に連動するよ
うに設けられている。なお、127は鍵およびハンマー
を復帰させる復帰部材である。ハンマーの支点構造を除
き、より詳細な構成はUSP4,901,614に示さ
れている。
【0055】この実施例においては、ハンマーの支点部
材126の摺接面の摺接面積を図示のように高音鍵側で
小さく、低音鍵側で大きくするようにして、面積変化を
つけ前述と同様例えば図5と同様に形状的にキースケー
リングを行い、なおかつ支点部材とハンマーの支点部と
の摺接面間にグリス等を塗布することによりタッチ感触
のキースケーリングを行うようにしたものである。例え
ば図において高音鍵の支点部材126aが実線で示さ
れ、低音鍵の支点部材126bを点線で示すことによ
り、その中間の鍵の支点部材は、その中間の大きさ(面
積)にキースケーリングするとしてその図を省略する。
また、ここでは径を変えたが軸方向の長さ(幅)を変え
てその接触面積を変え、タッチ感触のキースケーリング
を実行するようにしてもよい。
【0056】第8実施例は、図4に示されるように、鍵
22の前部にタッチ感触付加用錘32を設けたものであ
る。前述(図4)のように、錘32a〜32eを変える
ことによりタツチ感触キースケーリングを行う。このよ
うに、鍵22そのものの質量を変更することによって、
前記式1の右辺第1項に関する質量mをパラメータとし
たタッチ感触キースケーリングを行うことができる。こ
のような質量変化によるタッチ感触キースケーリングを
併用することにより、簡単な構成でさらに自然楽器のピ
アノのタッチ感触に近づけることができる。
【0057】第9実施例は、図2で示すように、式1の
右辺第3項のばね定数kS を含む項もパラメータとして
タッチ感触キースケーリングの調整に係わる構成とした
ものである。即ち、例えば、合成樹脂ブロック12(図
1、図2)の外挿(アウトサート)による復鍵ばね13
の根元固定位置を鍵毎のタッチ特性に対応させて異なら
せ、相対的な前後位置関係を設けることによって、各復
鍵ばね13の湾曲変位量に差を生じさせ、各鍵毎に所定
のタッチ特性を得るように構成されている。また、第5
実施例(図4)における復鍵ばね28の一端を係止する
鍵支持部材25に設けたプレス加工の係止片30の前後
相対位置を変化させることにより復鍵ばね28の湾曲変
位量を制御してキースケーリングしてもよい。さらに、
バネ反力をスケーリングするために、復鍵ばね28の後
端部側の係止部29の上下位置を変化させるように肉厚
係止部31a(図4)の上下方向の厚さを鍵ごとあるい
は鍵域ごとに変えてキースケーリングするように構成し
てもよい。
【0058】これらの実施例においては、復鍵ばねの弾
性力(FS)を FS=kS(α+x)として、復鍵ばね1
3,28にバイアスαを与え、ばねの初期変形によって
粘性抵抗力によるタッチ感触キースケーリング作用に加
えさらにばね弾性のタッチ感触キースケーリング作用が
施されることになる。このようなバイアスαは、前述の
ように、鍵22の上部壁(肉厚部)31aあるいは後部
壁31bの肉厚を変えて、復鍵ばね28の端部を係止す
る内面側係止部29の位置を移すことによって、板ばね
の長さとの相対的な関係に従って復鍵ばね28の湾曲変
位量を多彩に調節することができ、これによりタッチ感
触キースケーリングのためのバイアスαを変化させるこ
とができる。
【0059】上記第9実施例におけるバネによるタッチ
感触キースケーリングでは、バイアスαを変化させてい
るが、板ばねそのものの材質、板厚、幅および長さを変
えることによってkS をパラメータとして反力を変化さ
せるようにしてもよい。このように、粘性力変化による
タッチ感触キースケーリングに加えてバネ反力の変化に
よるタッチ感触キースケーリングを併用することによ
り、簡単な構成でさらに自然楽器のピアノのタッチ感触
に近づけることができる。
【0060】このように、本発明では、これらパラメー
タは種々に組み合わせることができるので、総体的に調
整可能な各種パラメータを含むタッチ感触キースケーリ
ングが達成できる。従って、本発明によれば、演奏目
的、生産性、生産コスト等の要求に合わせて、タッチ感
触に関しさまざまな構成のキースケーリングを実施する
ことができる。
【0061】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明に係わる電子
楽器用鍵盤装置は、タッチ感触キースケーリングに粘性
抵抗力を積極的に適用したので、自然楽器のピアノのよ
うに複雑なアクション機構を用いることなく、自然楽器
のピアノ相当のヒステリシスをもった良好なタッチ感触
を得ることができる。しかも、本発明に係わる電子楽器
用鍵盤装置の機構は、自然楽器のピアノのアクション機
構のような複雑さはなく簡潔な構成であるため故障率が
低く、また自然楽器のピアノに見られるような面倒な調
整なども不要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子楽器用鍵盤装置に係わる第1実
施例の一部を断面にして示した斜視図で、(A)は主要
部分の斜視図であり、(B)はキーガイド部分の拡大斜
視図である。
【図2】 本発明の電子楽器用鍵盤装置に係わる第1実
施例の復鍵ばねの固定部分を拡大して示した側面断面図
である。
【図3】 本発明の電子楽器用鍵盤装置に係わる第2実
施例におけるキーガイド部分の拡大斜視図である。
【図4】 本発明の電子楽器用鍵盤装置に係わる第5実
施例の断面図である。
【図5】 本発明の電子楽器用鍵盤装置に係わる第5実
施例における支点部材の構造を説明する斜視図である。
【図6】 本発明の電子楽器用鍵盤装置に係わる第5実
施例における鍵の摺動嵌合部を天地を逆にして示した斜
視図である。
【図7】 ハンマーと鍵との摺接面でタッチ感触キース
ケーリングを行う構成を説明するための鍵長手方向の断
面図である。
【図8】 本発明に係わる電子楽器用鍵盤装置の原理を
説明する模式図である。
【図9】 本発明に係わる電子楽器用鍵盤装置における
押鍵操作1サイクルのヒステリシスをグラフで示す説明
図である。
【符号の説明】
1,22; 鍵: 3,25; 鍵支持部材: 4;
後端部: 8; キースイッチ: 10,35; 下限
ストッパ: 11,36; 上限ストッパ:12; 合
成樹脂ブロック: 13,28; 復鍵ばね: 15,
37; スライドガイド片: 16,34; キーガイ
ド: 18,19; 摺接面: 20; 凹部: 2
4; 支点部材: 27; アクチュエータ: 29;
内面側係止部: 30; 係止片: 32; 調整
錘: 33; 直立条片: 40; フランジ部: 4
1,42; ボス: 44; グリス溜め: 45;
摺動嵌合部: 46; 内径摺接面: 47; 溝面:
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−143060(JP,A) 特開 平5−90586(JP,A) 実開 昭63−162394(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10H 1/34 G10B 3/12 G10C 3/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鍵支持部材と、 押離鍵操作により前記鍵支持部材に対し変位移動する多
    数の鍵と、 該鍵を非押鍵位置方向に付勢する復鍵手段と、 押離鍵操作時に鍵支持部材またはこれと固定関係に保持
    された部材と鍵との間の摺接面で粘性摩擦を発生する粘
    性摩擦発生手段と、 前記押離鍵操作時に指が受ける前記粘性摩擦発生手段に
    よる粘性摩擦力を鍵または所定の鍵域ごとに異ならせて
    前記多数の鍵からなる鍵盤のタッチ感触をキースケーリ
    ングする鍵盤タッチ感触キースケーリング手段と、 を具備したことを特徴とする電子楽器用鍵盤装置。
  2. 【請求項2】 鍵支持部材と、 押離鍵操作により前記鍵支持部材に対し変位移動する多
    数の鍵と、 該鍵を非押鍵位置方向に付勢する復鍵手段と、 該鍵の押鍵動作に連動する各鍵ごとに設けた質量体と、 押離鍵操作時に鍵支持部材またはこれと固定関係に保持
    された部材と前記鍵または前記質量体との間の摺接面で
    粘性摩擦を発生する粘性摩擦発生手段と、 前記押離鍵操作時に指が受ける前記粘性摩擦発生手段に
    よる粘性摩擦力を鍵または所定の鍵域ごとに異ならせて
    前記多数の鍵からなる鍵盤のタッチ感触をキースケーリ
    ングする鍵盤タッチ感触キースケーリング手段と、 を具備したことを特徴とする電子楽器用鍵盤装置。
  3. 【請求項3】 前記キースケーリング手段にて粘性摩擦
    によるキースケーリングに加えて前記鍵の質量を鍵また
    は所定の鍵域ごとに異ならせて鍵盤のタッチ感触をキー
    スケーリングするように構成したことを特徴とする請求
    項1または2に記載の電子楽器用鍵盤装置。
  4. 【請求項4】 前記キースケーリング手段にて粘性摩擦
    によるキースケーリングに加えて前記復鍵手段の反力を
    鍵または所定の鍵域ごとに異ならせて鍵盤のタッチ感触
    をキースケーリングするように構成したことを特徴とす
    る請求項1、2または3に記載の電子楽器用鍵盤装置。
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