JP3767849B2 - ピッキングフォークリフト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転台が昇降可能なピッキングフォークリフトに係り、運転者の運転台への乗降を容易にする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6を参照すると、従来のピッキングフォークリフトは、走行機構を有する車両本体1に立設された左右一対のマスト2に運転台3が昇降可能に設けられ、この運転台3にはフォーク24を有する三方向スタッキング用の荷役装置4が取り付けられている。
【0003】
運転台3は、マスト2の近接側に設けられた左右の支柱7、これらの支柱7間に位置する壁面部8、および各支柱7の上下端から荷役装置4側に向けて張り出された床部9と天井部10とを有し、壁面部8には車両本体1のアクセルレバー11やステアリングハンドル12が設けられている。また、床部9の荷役装置4側の端部中央には、荷役装置4を操作するための荷役操作部15が立設され、この荷役操作部15にはフォーク24を左右にシフト、旋回、昇降させるための油圧レバーが設けられている。
【0004】
更に、運転台3の左右の各支柱7には、運転者の転落防止用の保護ガード16の各一端が回転軸をもって取り付けられており、各保護ガード16は床部9に略平伏状態から支柱7に略平行な起立状態までの間を回転できるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、運転者が運転台に乗降する際には、手をかける部分があれば便利であり、このためにフォークリフトに手すりを設けることが考えられるが、乗降の便利のためだけに手すりの部材を設けることは部品点数の増加及び製造工程の増加から見て不経済であるばかりでなく、取付場所によっては、乗車後の運転や、フォーク24ですくったパレット上と運転台との間の往来の邪魔にも成りかねず、安易に取り付けることが難しかった。
【0006】
従って本発明は、上記の問題点を解決し、運転者が運転台に容易に乗降できるピッキングフォークリフトを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために、次のようにしている。すなわち、マストに沿って昇降可能な運転台と荷役操作装置とを有し、前記運転台の前記マストに近接して設けられた支柱と、前記運転台の前記荷役装置側の端部中央に立設された運転操作部とを備えたピッキングフォークリフトにおいて、前記支柱が車体幅方向で内側に寄って位置しており、また前記支柱に一端が取り付けられ該一端を回転軸として運転台上の運転者を囲む平伏状態から運転者の運転台への乗降を許容する起立状態までの間で傾動できる保護ガードが設けられており、更に該保護ガードを車体幅方向外側に膨出させることにより手差込用隙間が形成されていることを特徴としている。これにより、保護ガードのはね上げ状態において手差込用隙間が確保されるため、保護ガードを手すり代わりに使用することができ、運転台への乗降が楽になる。また、手すりのみの機能しか持たない部材を設ける場合に比べると、本発明は、乗降の際には当然はね上がり状態にある保護ガードを利用して、このはね上がり状態の保護ガードに手すりとしての機能を持たせることで、1つの部材で手すり及び保護ガードの2つの機能が得られ、部品点数及び製造工数から見ても経済的である。
【0008】
また、前記手差込用隙間は、前記保護ガードの一部を支柱から離間する方向に膨出させて形成されていることにより、運転者から見て保護ガードが近くなって手で握り易くなり、更に乗降性が増すものである。
【0009】
また、マストに沿って昇降可能な運転台の支柱に一端が取り付けられ、該一端を回転軸として回転する保護ガードにおいて、前記運転台後部がマスト間に突出した形状と成され、前記マストが前記運転台の突出部分を少なくとも3方向から支持する複数のマストから成り、前記運転台の支柱が車体幅方向で内側に寄って位置し、該支柱から前記保護ガードが車体幅方向外側に膨出させることにより手差込用隙間を形成して設けられていることを特徴としている。つまり、運転台をマスト側に突出させてマストで支持する運転台構造とすることにより、運転台の強度を維持することができ、従来強度を維持するために車体幅いっぱいに立てられていた支柱を内側に寄せることができる。これにより、本来ならば手差込用隙間の形成分だけ車体幅方向に出っ張り、車体幅を増やしてしまう可能性のある保護ガードを車体幅内に収めつつ手差込用隙間を形成することができる。
【0010】
また、前記手差込用隙間は、前記支柱の一部を保護ガードと対面する方向と逆側に凹ませて形成されていることを特徴とする。これにより、上記のようなマスト間に突出した特殊な運転台構造とすることなく、車体幅から出っ張らない保護ガードで手差込用隙間を形成することができる。
【0011】
また、前記手差込用隙間は、前記保護ガードの一部を支柱から離間する方向に膨出させて形成されていることを特徴とする。これにより、手をかけるために必要最小限の出っ張りで済み、フォークリフト運転時に保護ガードの他の物体との接触を防止し易い。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態に係るピッキングフォークリフトの全体構成を示す斜視図、図2は図1のピッキングフォークリフトの運転台の側面図、図3は同運転台の正面図、図4は概略平面図である。
【0013】
この実施の形態のピッキングフォークリフトは、走行機構を有する車両本体1に立設された左右一対のマスト2に運転台3が昇降可能に設けられ、この運転台3には、三方向スタッキング式の荷役装置4が取り付けられている。
【0014】
上記マスト2は、インナマスト2b及びアウタマスト2aから成る。左右の2つのマスト2は互いに対向して配設され、これら左右の両マスト2の中間位置に3つ目のマスト2が配設されている。また、運転台3の後方は上記左右2つのマスト2間に突出し、横断面コ字状を有する。そして、上記運転台3の突出部は三方に壁面を形成する補強壁部37と成され、この補強壁部37の3つの外側面にローラ39が取り付けられ、このローラ39を介して運転台3がマスト2に沿って昇降するものである。また、38は各マスト2の補強用に各マスト2間に設けられたビーム、36は車両本体1に設けられたガイド用の車輪である。
【0015】
このように、3つのマスト2により、運転台3を昇降自在に支持することにより、運転台3の揺れに対する負荷を各マスト2によって分散支持することができ、2つのマストの場合と比べて、マスト2のひねり剛性を強化することができる。更に、上記運転台3は、断面コ字状の補強壁部37を有することにより、全体に強度をもたせることができ、従来車体幅いっぱいの位置に立っていた2つの支柱7を内側に寄せた位置にもってくることができる。
【0016】
上記運転台3は、上記各支柱7の上下端から荷役装置4側に向けて張り出された床部9および天井部10を有し、床部9の荷役装置4側の端部中央には、車両本体1の走行や荷役装置4を操作するための運転操作部12が立設されている。また、運転台3のマスト2側には左右一対のリフトブラケット13が固定され、このリフトブラケット13にリフトローラ14が取り付けられており、このリフトローラ14によって運転台3がマスト2に沿って昇降されるようになっている。
【0017】
さらに、運転台3の各々の支柱7の中間部には、運転者の転落防止用の保護ガード15と、この保護ガード15が起立状態を保つための磁石付きのストッパ16とがそれぞれ取り付けられている。
【0018】
上記の各保護ガード15は、その端部に取り付けられたボス部17がピン18を介して支柱7にヒンジ結合されており、これによって、各保護ガード15が各支柱7にピン18を中心にして運転者を囲む平伏状態から運転者の運転台3への乗降を許容する起立状態までの間で傾動できるようになっている。
【0019】
しかも、この保護ガード15は、たとえば鉄パイプをコの字状に屈曲成形してその直線状をした中間部が支柱7の壁面から所定寸法だけ離間するように膨出されており、これにより、保護ガード15がストッパ16に当接した起立状で支柱7との間に手差込用隙間20が確保されている。
【0020】
このように、この実施の形態のピッキングフォークリフトにおいては、保護ガード15の起立状態において支柱7との間に手差込用隙間20が確保されるため、運転者が運転台3に乗降する際に、この手差込用隙間20に手を差し込むことで、保護ガード15を手摺り代わりに使用することができ、したがって、運転台3への乗降を楽に行うことができる。この実施例では、上記運転台3の支柱7が車体幅方向内側に位置することにより、上記保護ガード15が手差込用隙間20を形成するためにコの字状に屈曲形成した場合であっても、車体幅から保護ガード15が出っ張ることがない。
【0021】
上記の荷役装置4は、運転台3の床部9と天井部10の各々の一側面に設けられたラック部21に沿ってシフトキャリッジ22が左右に移動可能に設けられ、このシフトキャリッジ22にローテイトヘッド23が昇降可能に設けられ、このローテイトヘッド23にフォーク24がフィンガーバー25を介して回転可能に取り付けられており、これによってフォーク24が車両本体1の進行方向および左右両側の三方向に切り換えられてパレット作業を行えるようになっている。また、マスト2に沿って運転台3を所要高さまで上昇させた後、運転者が保護ガード15を引き上げてからフォーク24に支持された図示しないパレット上に乗り移ることでピッキング作業を行うことができる。
【0022】
なお、図中、26はピッキング作業時の補助手摺り、27はシフトキャリッジ22駆動用のオイルモータ、28と29はそれぞれローテイトヘッド23の昇降用のサブリフトシリンダとサブリフトチェーン、30はフォーク24の回転駆動用のオイルモータである。
【0023】
ところで、上記の実施の形態では、保護ガード15をコの字状に屈曲成形してその直線状をした中間部を支柱7の壁面から所定寸法だけ離間させることで支柱7との間に手差込用隙間20が確保されるようにしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば、図5(a)に示すように、保護ガード15の中間部を局部的に支柱7の壁面から離間する方向に膨出させて膨出部15aを形成することで手差込用隙間20を確保したり、あるいは、図5(b)に示すように、支柱7に凹部7aを設けることで手差込用隙間20を確保することも可能である。また、上記実施の形態では保護ガード15をコの字状に屈曲形成する例を述べたが、湾曲状その他の屈曲形状でも良い。また、保護ガード15の中間部を局所的に膨出した膨出部15aは図5(a)で示したコの字状の他、湾曲状その他の形状でも良い。
【0024】
また、上記の実施の形態では、昇降可能な運転台3に三方向スタッキング式の荷役装置4が取り付けられた構成のピッキングフォークリフトについて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、昇降可能な運転台にフォークを単に固定した構造のフォークリフトについても本発明を適用することができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明に係るピッキングフォークリフトによれば、次の効果が得られる。請求項1に記載の発明によれば、保護ガードのはね上げ状態において手差込用隙間が確保されるため、保護ガードを手すり代わりに使用することができ、運転台への乗降が楽になる。また、手すりのみの機能しか持たない部材を設ける場合に比べると、本発明は、乗降の際には当然はね上がり状態にある保護ガードを利用して、このはね上がり状態の保護ガードに手すりとしての機能を持たせることで、1つの部材で手すり及び保護ガードの2つの機能が得られ、部品点数及び製造工数から見ても経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るピッキングフォークリフトの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1のピッキングフォークリフトの運転台の側面図である。
【図3】図1のピッキングフォークリフトの運転台の正面図である。
【図4】図1のピッキングフォークリフトの保護ガードを降ろした状態を示す概略平面図である。
【図5】本発明の変形例の要部を示す正面図である。
【図6】従来のピッキングフォークリフトの全体構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 車両本体
2 マスト
3 運転台
7 支柱
15 保護ガード
20 手差込用隙間
Claims (1)
- マストに沿って昇降可能な運転台と荷役操作装置とを有し、前記運転台の前記マストに近接して設けられた支柱と、前記運転台の前記荷役装置側の端部中央に立設された運転操作部とを備えたピッキングフォークリフトにおいて、前記支柱が車体幅方向で内側に寄って位置しており、また前記支柱に一端が取り付けられ該一端を回転軸として運転台上の運転者を囲む平伏状態から運転者の運転台への乗降を許容する起立状態までの間で傾動できる保護ガードが設けられており、更に該保護ガードを車体幅方向外側に膨出させることにより手差込用隙間が形成されていることを特徴とするピッキングフォークリフト。
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