JP3678408B2 - ピッキングフォークリフト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はピッキングフォークリフトに係り、特には、そのフォーク周辺の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
荷役車両として一般的なフォークリフトのうちにはピッキングフォークリフトといわれるものがあり、ピッキングフォークリフトはラック倉庫内などに並列設置されているラック棚同士間に設けられた通路を走行しながらパレット作業及びピッキング作業を行うのに適した構成を有するとして知られている。すなわち、このピッキングフォークリフトはフォークと共に昇降動作する運転台に乗り込んだオペレータがラック棚における上段位置でもピッキング作業を実行し得る構成とされたものであり、所要の高さ位置まで上昇動作したフォーク上にオペレータが乗り移ったうえでのピッキング作業も実行可能となっている。
【0003】
従来の形態に係るピッキングフォークリフト51は、図8で簡略化した全体構造を示すように、動力装置や油圧装置などを内蔵したうえで前後方向に沿って走行動作する車両本体52と、この車両本体52に立設された左右一対のマスト53と、車両本体52の前側位置に配置されたうえでマスト53の立設方向に沿って昇降動作させられる運転台54とを備えたものとなっている。なお、図8中の符号55はリフト用の油圧シリンダ、符号56はリフトチェーンをそれぞれ示しており、これらの油圧シリンダ55及びリフトチェーン56によって運転台54は昇降動作させられる。
【0004】
そして、運転台54の床面部57と天井部58との間にはシフト機構部59が架設されており、車両本体52の前方側へと突出した状態で架設されたシフト機構部59の内部には架設方向と一致するように挿通した回転シャフト60が配設されている。また、この回転シャフト60の上下端それぞれにはピニオンギヤ61が取着される一方、運転台54を構成する床面部57及び天井部58それぞれの前端面上にはラックギヤ62が取着されており、ラックギヤ62の各々と互いにかみ合ったピニオンギヤ61のそれぞれが回転シャフト60を介して同期的に回転動作させられるのに伴ってシフト機構部59は運転台54の前端面上を左右方向に沿って移動動作することになっている。なお、図8中の符号63は油圧モータであり、回転シャフト60は油圧モータ63でもって回転動作させられる。
【0005】
さらに、シフト機構部59の上下端部それぞれは車両本体52の前方側へと向かって突出させられており、これらの突出しあった上下端部の相互間にはローテイト機構部64が架設されている。つまり、ここでのローテイト機構部64は、シフト機構部59の上下端部でもって回動自在に支持され、かつ、並列配置された一対のサブマスト65を具備したものであり、これらのサブマスト65はシフト機構部59から突出した下端部の内部に配設された油圧モータ(図示省略)によって水平方向における略180゜の角度範囲で回転動作させられることになっている。なお、サブマスト65が回転動作させられるのは、後述するフォーク66を前向きもしくは左右いずれかの向きに位置決めするためである。
【0006】
さらにまた、ローテイト機構部64を構成しているサブマスト65は、車両本体52の前方位置に配置されたフォーク66を昇降動作させるサブリフト機構部67をも構成しており、フィンガバー68でもって並列支持されたフォーク66は、サブマスト65同士間に配設されたサブリフト用の油圧シリンダ69及びサブリフトチェーン70を用いて昇降動作させられる。すなわち、従来の形態に係るピッキングフォークリフト51ではローテイト機構部64に対してサブリフト機構部67が一体的に組み付けられており、そのため、荷物が載置されるフォーク66はサブマスト65によって案内されながらサブリフト機構部67でもって昇降動作させられ、また、ローテイト機構部64によってサブリフト機構部67と共に回転動作させられることになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来構成とされたピッキングフォークリフト51では、次のような不都合が生じることになっていた。すなわち、このピッキングフォークリフト51では、フォーク66を回転動作させるローテイト機構部64に対してフォーク66を昇降動作させるサブリフト機構部67が組み付けられており、互いに一体化されたローテイト機構部64及びサブリフト機構部67をシフト機構部59によって位置決め支持する機構を採用しているため、これらの構成関係が複雑となって点検作業や調整作業に手間を要してしまう。
【0008】
また、ローテイト機構部64及びサブリフト機構部67からなる重量物をシフト機構部59の上下端部でもって支持する構造であり、運転台54から離間した前方位置に重量物が存在している構造であるため、シフト機構部59の強度及び剛性を高めて重心位置バランスを確保する必要がある都合上、シフト機構部59の大型化が避けられず、運転台54を介して車両本体52に作用する転倒モーメントが大きくなる結果として車両本体52の安定性が低下することになってしまう。さらには、シフト機構部59の大型化に起因してオペレータの前方視界性が不良となるばかりか、大型化したシフト機構部59によってフォーク66への乗り移り位置が制限されることも起こっていた。
【0009】
本発明はこれらの不都合に鑑みて創案されたものであって、構成関係を簡素化しながら車両本体の安定性を確保することが可能であると共に、前方視界性及びフォークへの乗り移り性を良好とすることが容易なピッキングフォークリフトの提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るピッキングフォークリフトは、前後方向に沿って走行動作する車両本体と、この車両本体に立設されたマストと、車両本体の前側位置に配置されたうえでマストの立設方向に沿って昇降動作させられる運転台と、この運転台の床面部と天井部との間に架設されたうえで床面部及び天井部の前端面上を左右方向に沿って移動動作するシフト機構部と、車両本体の前方位置に配置されたフォークを回転動作させて前向きもしくは左右いずれかの向きに位置させるローテイト機構部と、このローテイト機構部をシフト機構部の架設方向に沿って昇降動作させるサブリフト機構部とを備えており、このサブリフト機構部はシフト機構部上に配設されてローテイト機構部を昇降動作させるものである一方、シフト機構部はローテイト機構部の昇降動作を案内するものであり、ローテイト機構部は、サブリフト機構部とは別に構成され、フォークを支持する回転シャフトと該回転シャフトを回転駆動するモータとを備えていることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は本実施の形態に係るピッキングフォークリフトの全体構造を簡略化して示す斜視図、図2はシフト機構部及びサブリフト機構部の構成を示す側面図、図3は図2中のA−A切断線に沿って示す平面図、図4はローテイト機構部の構成を示す側面図、図5ないし図7の各々はフォーク及び運転台の動作状態を示す説明図であり、これらの図における符号1はピッキングフォークリフトを示している。すなわち、本実施の形態に係るピッキングフォークリフト1は、従来同様、ラック棚同士間に設けられた通路を走行しながらパレット作業及びピッキング作業を行う際に使用されるものであり、フォークと共に昇降動作する運転台に乗り込んだオペレータがフォーク上に乗り移ったうえでのピッキング作業を実行することも可能な構成とされたものである。
【0013】
ピッキングフォークリフト1は、図1で全体構造を示すように、動力装置や油圧装置などを内蔵したうえで前後方向に沿って走行動作する車両本体2と、この車両本体2に立設された左右一対のマスト3と、車両本体2の前側位置に配置されたうえでマスト3の立設方向に沿って昇降動作させられる運転台4とを備えたものであり、オペレータが乗り込んだ運転台4はマスト3の背面に沿って立設されたリフト用の油圧シリンダ(図示省略)とリフトチェーン5とを用いたうえで昇降動作させられる構成となっている。なお、図1中の符号6は操作盤であり、この操作盤6は運転台4の床面部7上に立設されている。
【0014】
そして、この際における運転台4の床面部7と天井部8との間にはシフトキャリッジともいわれるシフト機構部9が上下方向に沿った状態で架設されており、車両本体2の前方側へと突出して架設されたシフト機構部9の内部にはその架設方向と一致する向きで内部を挿通する状態として位置決めされた回転シャフト10が配設されている。また、この回転シャフト10の上下端それぞれにはピニオンギヤ11が取着される一方、運転台4を構成している床面部7及び天井部8それぞれの前端面上にはラックギヤ12が取着されており、ラックギヤ12の各々と互いにかみ合ったピニオンギヤ11のそれぞれが回転シャフト10を介しながら油圧モータ13でもって同期的に回転動作させられる結果、シフト機構部9は運転台4の前端面上を左右方向に沿って移動動作することとなる。
【0015】
すなわち、ここでのシフト機構部9は、図2及び図3でも示すように、運転台4の床面部7及び天井部8間に架設された左右一対のサブマスト14を具備し、これらのサブマスト14間を上下方向に沿って貫通する回転シャフト10の上下端に取着されたピニオンギヤ11のそれぞれがラックギヤ12の各々とかみ合う構成とされたものであり、サブマスト14の上下端部それぞれに取着されたガイドローラ15の各々は、ラックギヤ12と同一方向に沿うようにして運転台4の床面部7及び天井部8それぞれの外表面上に形成されたガイド溝でもって案内される。そして、この際、サブマスト14のそれぞれはその下端部に配設されたサポートローラ16を介したうえで運転台4の床面部7によって受け止め支持されており、このような構成である結果としてシフト機構部9はスムーズに移動動作し得ることになっている。なお、図2中の符号17はモータギヤ、符号18は中間ギヤであり、この中間ギヤ18はピニオンギヤ11とモータギヤ17との間に介装されている。
【0016】
さらに、このシフト機構部9の下端位置に対しては、ローテイト機構部19、つまり、車両本体2の前方位置に配置されたフォーク20を回転動作させることによって前向きもしくは左右いずれかの向きに位置させるためのローテイト機構部19が昇降可能な状態で配置されている。すなわち、このローテイト機構部19は、図4でも示すように、中間ギヤ21を介したうえで油圧モータ22によって回転動作させられるローテイトギヤ23と、ローテイトギヤ23を挿通して下向きに配置された回転シャフト24と、回転シャフト24の側面上に取着されたフィンガバー25とを具備しており、フィンガバー25は左右一対のフォーク20を支持している。なお、図4中の符号26はガイドローラ、符号27はチェーン支持具であり、上下方向に沿う一列状となったガイドローラ26の各々とチェーン支持具27とはローテイト機構部19の一端側、つまり、フォーク20を支持しているのと反対の一端側に位置決めしたうえで配置されている。
【0017】
さらにまた、シフト機構部9とローテイト機構部19との間には、図2及び図3でも示しているように、このローテイト機構部19をシフト機構部9の架設方向と一致した上下方向に沿って昇降動作させるためのサブリフト機構部28が配置されており、この際におけるサブリフト機構部28はシフト機構部9上に位置決めしたうえで配設されている。そして、このサブリフト機構部28は、サブリフト用の油圧シリンダ29及び一対のサブリフトチェーン30を用いて構成されたものであり、油圧シリンダ29の下端部はシフト機構部9の前面側から延出されたサポート板31上に位置決めして取着されている。
【0018】
すなわち、このサブリフト機構部28は、油圧シリンダ29のシリンダロッドの先端位置に取着されたホイール32に対してサブリフトチェーン30の各々が架け渡された構成を有しており、サブリフトチェーン30それぞれの一端部はシフト機構部9の所定位置に配置されたチェーン支持具33でもって固定支持される一方、その他端部はローテイト機構部19のチェーン支持具27によって固定支持されている。そして、この際には、図3でも示しているように、ローテイト機構部19の一端側に配置されたガイドローラ26のそれぞれがシフト機構部9のサブマスト14と嵌合させられており、これらのサブマスト14によってはローテイト機構部19の昇降動作が案内されることになっている。
【0019】
そこで、サブリフト機構部28を構成している油圧シリンダ29の進退動作に伴っては、ローテイト機構部19がシフト機構部9の架設方向に沿って昇降動作することとなり、このピッキングフォークリフト1では、図5及び図6で示すように、ローテイト機構部19でもってフォーク20を回転動作させて前向きとしたり、左向きとしたりすることが行われる。また、図7で示すように、所定の高さ位置まで上昇動作した運転台4からオペレータがフォーク20に載置されたパレット上へと乗り移ったうえでのピッキング作業が実行されることになる。
【0020】
すなわち、本実施の形態に係るピッキングフォークリフト1ではシフト機構部9に対してサブリフト機構部28が一体的に組み付けられており、荷物が載置されるフォーク20が配設されたローテイト機構部19はサブリフト機構部28でもって昇降動作させられると共に、単独で回転動作することになる。なお、図1中の符号34は開閉操作されるガイドバーであり、このガイドバー34を開操作して運転台4に乗り込んだオペレータの転落などはガイドバー34を閉操作しておくことによって防止されることになっている。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るピッキングフォークリフトでは、シフト機構部に対してサブリフト機構部を組み付けており、別の構成とされたローテイト機構部をサブリフト機構部によって昇降動作させるようにしているので、これらの構成関係が簡素化されていることとなり、点検作業や調整作業が容易になるという利点が確保される。また、サブリフト機構部が一体化されたシフト機構部でもってローテイト機構部を支持しており、重量物を運転台に近接配置することが可能となる結果、シフト機構部の大型化を防止しながら車両本体の安定性を増大させることが可能になる。
【0022】
さらには、シフト機構部の小型化が可能となる結果、オペレータの前方視界性が良好となるばかりか、フォークへの乗り移り位置が制限されなくなってフォークへの乗り移り性が良好になるという効果も得られる。さらにまた、本発明に係る構成を採用している際には、従来は困難であったローテイト機構部側の荷物のビッキング作業も可能になるという利点が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るピッキングフォークリフトの全体構造を簡略化して示す斜視図である。
【図2】シフト機構部及びサブリフト機構部の構成を示す側面図である。
【図3】図2中のA−A切断線に沿って示す平面図である。
【図4】ローテイト機構部の構成を示す側面図である。
【図5】フォークの動作状態を示す説明図である。
【図6】フォークの動作状態を示す説明図である。
【図7】運転台の動作状態を示す説明図である。
【図8】従来の形態に係るピッキングフォークリフトの全体構造を簡略化して示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ピッキングフォークリフト
4 運転台
7 床面部
8 天井部
9 シフト機構部
19 ローテイト機構部
20 フォーク
28 サブリフト機構部

Claims (1)

  1. 前後方向に沿って走行動作する車両本体と、この車両本体に立設されたマストと、車両本体の前側位置に配置されたうえでマストの立設方向に沿って昇降動作させられる運転台と、この運転台の床面部と天井部との間に架設されたうえで床面部及び天井部の前端面上を左右方向に沿って移動動作するシフト機構部と、車両本体の前方位置に配置されたフォークを回転動作させて前向きもしくは左右いずれかの向きに位置させるローテイト機構部と、このローテイト機構部をシフト機構部の架設方向に沿って昇降動作させるサブリフト機構部とを備えており、このサブリフト機構部はシフト機構部上に配設されてローテイト機構部を昇降動作させるものである一方、シフト機構部はローテイト機構部の昇降動作を案内するものであり、ローテイト機構部は、サブリフト機構部とは別に構成され、フォークを支持する回転シャフトと該回転シャフトを回転駆動するモータとを備えていることを特徴とするピッキングフォークリフト。
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