JP3767804B2 - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents
塩化ビニル系重合体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3767804B2 JP3767804B2 JP2001335827A JP2001335827A JP3767804B2 JP 3767804 B2 JP3767804 B2 JP 3767804B2 JP 2001335827 A JP2001335827 A JP 2001335827A JP 2001335827 A JP2001335827 A JP 2001335827A JP 3767804 B2 JP3767804 B2 JP 3767804B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- vinyl chloride
- polymerization
- monomer
- charging
- water
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Polymerisation Methods In General (AREA)
- Polymerization Catalysts (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、懸濁重合による塩化ビニル系重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、塩化ビニル系重合体の製造方法としては、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物を、水性媒体中で懸濁剤の存在下に懸濁重合する方法が知られている。この懸濁重合法では、重合初期過程に微細な液滴が多数生成する結果得られた塩化ビニル系重合体中に微細な重合体粒子(直径45μm以下)多く含まれている。これら微細な粒子は、得られた重合体スラリーを脱水処理する際、水との分離が難しく、排水中に多く流れ出し、その後の排水処理に支障をきたしたり、乾燥工程において排気中に多く混入して大気中に放出され、環境に悪影響を与えたりするだけでなく、製品の歩留りを低下させている。
これら微細な粒子の割合は、特に、生産性向上の目的で重合温度58℃以下の条件で使用する10時間半減期温度が42℃以下である油溶性高活性開始剤を使用した場合に増加し易い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、重合温度58℃以下の条件で10時間半減期温度が42℃以下の油溶性高活性開始剤を使用する条件下において、重合時間を効率よく短縮でき良好な生産性を実現できるとともに、微細な粒子を著しく低減することができる塩化ビニル系重合体の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明らは鋭意研究の結果、かかる課題を解決する手段として、
塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物、油溶性重合開始剤、懸濁剤及び水を重合容器に仕込み、仕込み後重合温度に昇温する工程を含む、前記塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物の懸濁重合による塩化ビニル系重合体の製造方法であって、
【0005】
前記油溶性重合開始剤として、(A)10時間半減期温度42℃以下の油溶性高活性開始剤と、(B)t−ブチルパーオキシネオデカノエート(TBPND)及びジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート(EHPDC)からなる群から選ばれる重合開始剤を用いること、
まず、水の仕込みを開始し、水の仕込み開始と同時に又はその開始後水の仕込み中に塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物の仕込みを開始すること、
水及び/又は塩化ビニル単量体もしくは塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物の仕込み中に懸濁剤、前記油溶性重合開始剤、及び下記式(1):
【0006】
【化2】
[式中、複数のRは独立に水素原子、水酸基又は炭素数1〜5個のアルキル基である。]
で表されるハイドロキノン化合物からなる重合禁止剤の仕込を開始すること、
上記原材料の仕込完了後8分以内にこれら原材料の仕込混合物の昇温を開始し、58℃以下で重合を行うこと、
を特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法を提供するに到った。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
[油溶性重合開始剤]
油溶性重合開始剤(以下、「開始剤」という)としては、(A)10時間半減期温度42℃以下の開始剤(開始剤(A)という)と、(B)t−ブチルパーオキシネオデカノエート(TBPND)及びジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート(EHPDC)からなる群から選ばれる開始剤(開始剤(B)という)を使用する。TBPNDとEHPDCは一種単独で使用することも二種併用することもできる。
【0008】
開始剤(A)としては、10時間半減期温度42℃以下の開始剤であれば特に制限はなく、例えば、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシネオデカノエート(36℃)、1、1−ジメチル−3−ヒドロキシブチルパーオキシネオデカノエート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート(36℃)、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(36℃)、 クミルパーオキシネオデカノエート(36℃)、 1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(40℃)、1−シクロヘキシル−1−メチルヘキシルパーオキシネオデカノエート(41℃)、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(40℃)、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(41℃)などを挙げる事が出来る。上記において、括弧内に示した温度はそれぞれの開始剤の10時間半減期温度を示す。
【0009】
なお、開始剤(A)の10時間半減期温度は、以下のようにして求められる。開始剤濃度が0.1モル/Lのベンゼン溶液を調製する。この溶液を窒素置換を行ったガラス管中に密封して所定温度に調節した恒温槽に浸し、開始剤を熱分解させる。時間に対する開始剤の濃度変化を測定する。
上記の反応条件では、開始剤の分解反応は近似的に一次反応として取り扱うことができるので、以下の式(2)、(3)が成り立つ。
dx/dt=k(a−x) (2)
ln[a/(a−x)]=kt (3)
(式(2)、(3)中、xは分解した開始剤の濃度、aは開始剤の初期濃度、kは分解速度定数、tは時間を示す)
【0010】
半減期は分解により開始剤濃度が初期濃度の半分に減ずるまでに要する時間であるから、これをt1/2で示し、式(3)のxにa/2を代入して、以下の関係式を得る。
kt1/2=1n2 (4)
【0011】
上記で測定した開始剤の濃度変化から時間tとln[a/(a−x)]との関係をプロットする。得られた直線の傾きをkとして、式(4)からその温度における半減期t1/2が求められる。従って、10時間半減期温度とは、ある開始剤のt1/2が10時間となる温度として求められる。
【0012】
重合開始剤(B)としては、
t−ブチルパーオキシネオデカノエート(TBPN)及びジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート(EHPDC)からなる群から選ばれる開始剤が用いるが、t−ブチルパーオキシネオデカノエートとジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートとを併用して用いるのが好ましい。t−ブチルパーオキシネオデカノエートとジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートとを併用してもちいる場合、重合比で、
【数1】
の割合で併用することが好ましい。
【0013】
開始剤(A)の使用量は、上記単量体100重量部あたり、0.001〜1重量部が好ましく、0.005〜0.5重量部がより好ましい。開始剤(A)と開始剤(B)との合計使用量は、上記単量体100重量部当り、通常、0.001〜5重量部、好ましくは0.03〜0.50重量部である。この開始剤は、重合容器内に水及び/又は単量体の仕込中に重合容器内に投入すればよい。また、水や単量体に仕込む場合には、水中に開始剤を分散させた水性エマルジョンを重合容器内に投入してもよく、また、単量体に開始剤を均一に混合したものを重合容器内に投入してもよい。また、この開始剤は、重合禁止剤を重合器内に投入した後に単量体の仕込み中に投入するのが好ましい。
[重合禁止剤]
重合禁止剤(以下、禁止剤という。)としては、式(1):
【0014】
【化3】
[式中、複数のRは独立に水素原子、水酸基又は炭素数1〜5個のアルキル基である。]
で表されるハイドロキノン化合物からなる重合禁止剤が使用される。このハイドロキノン化合物には、具体的には、式(5)〜(7):
【0015】
【化4】
[式(5)〜(7)において、Rは前記の通りである。]
で表される化合物が挙げられる。さらに、具体的には、ハイドロキノン、2−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ(t−ブチル)ハイドロキノン、4−t−ブチルカテコール、t−ブチルカテコールなどが例示され、中でも好ましいものは、2−t−ブチルハイドロキノン、及び2、5−ジ(t−ブチル)ハイドロキノンである。
また、禁止剤は水及び/又は単量体の仕込中に重合器に仕込まれる。懸濁剤を重合器内に仕込んだ後に禁止剤を重合器内に仕込むのが好ましい。
【0016】
[プロセス]
本発明の方法では、上述の原材料が重合器に仕込まれた後8分以内に重合のために原材料仕込混合物の昇温が開始されるが、仕込み後直ぐに昇温を行わず、仕込み後2〜5分の範囲で昇温を開始ずるのが好ましい。仕込後2分未満に昇温が始まると、得られる重合体中の粒径45μm以下の重合体粒子(以下、微粒子ともいう)の割合が多くなり、5分を超えて経過後に昇温が始まると該微粒子の割合は減少するものの、重合体粒子形成が不安定で粗粒化したり、重合バッチサイクルが長くなり、生産性低下の原因となる。
【0017】
昇温前の温度は、重合温度にもよるが、50℃以下が好ましく、特に20〜50℃、さらに好ましくは30〜45℃である。
重合温度は58℃以下であり、好ましくは30〜58℃の範囲である。
昇温開始から重合温度に到る昇温時間は通常10〜40分であり、好ましくは20〜35分である。
【0018】
[その他の原材料]
本発明の製造方法に用いられる、前述の開始剤及び禁止剤以外の原材料は、塩化ビニル単量体又はこれを主体とするビニル系単量体混合物の懸濁重合法に通常使用されるものであれば、特に制限なく使用される。
【0019】
・単量体:
塩化ビニル単量体のほか、塩化ビニル単量体を主体とするこれと共重合可能なビニル系単量体(コモノマー)との混合物(塩化ビニルが50重量%以上)であってもよく、このコモノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステルもしくはメタアクリル酸エステル;エチレン、プロピレン等のオレフィン;ラウリルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;無水マレイン酸;アクリロニトリル;スチレン;塩化ビニリデン;その他塩化ビニルと共重合可能な単量体等が挙げられ、これらは単独又は2種以上の組み合わせで用いられる。
【0020】
本発明の方法においては、水の仕込みと同時に、又は水の仕込み開始後水の仕込み中に塩化ビニル単量体又は、塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物の仕込みが開始される。仮に、水の仕込み終了後に塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物の仕込みを開始すると、得られる重合体中の粒径45μm以下の重合体粒子の割合が多くなる。塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物の仕込みは水の仕込み中であって、かつ懸濁剤を仕込んだ後に開始することが好ましい。
【0021】
・懸濁剤:
懸濁剤としては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリアクリル酸;酢酸ビニルと無水マレイン酸との共重合体;ポリビニルピロリドン;ゼラチン等の天然又は合成の高分子化合物等が挙げられ、これらは1種単独でも或いは2種以上を組み合わせても用いることができる。
【0022】
特に好適な懸濁剤の組み合わせは、(a)平均重合度が150〜600で、ケン化度が20〜60モル%の油溶性部分ケン化ポリビニルアルコールと、(b)水溶性ポリマーとの組み合わせである。
上記水溶性ポリマー(d)としては、例えば、平均重合度が800〜3000で、ケン化度が70〜90モル%の水溶性部分ケン化ポリビニルアルコール;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリアクリル酸;酢酸ビニルと無水マレイン酸との共重合体;ポリビニルピロリドン;ゼラチン等が挙げられる。中でも好ましいものは、平均重合度が800〜3000で、ケン化度が70〜90モル%の水溶性部分ケン化ポリビニルアルコール及びヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0023】
懸濁剤の使用量は、上記単量体100重量部当り、通常、0.01〜5.0重量部、好ましくは0.01〜1.0重量部である。
【0024】
また、上記油溶性部分ケン化ポリビニルアルコール(a)と、水溶性ポリマー(b)とを組み合わせて用いる場合には、成分(a)の使用量は、単量体100重量部当り、通常、0.005〜1.0重量部、好ましくは0.005〜0.07重量部、さらに好ましくは0.01〜0.04重量部である。成分(b)の使用量は、単量体100重量部当り、通常、0.005〜4.0重量部、好ましくは0.005〜0.4重量部、さらに好ましくは0.01〜0.1重量部である。また、成分(a)の使用量/成分(b)の使用量の重量比は、通常、1/10〜4/1であり、好ましくは1/2〜2/1である。
懸濁剤の仕込みは、水または単量体の仕込み開始と同時に、又は単量体の仕込み開始後仕込み中に重合器内に開始される。また、懸濁剤の仕込みは水の仕込み中であって、単量体が仕込まれる前に行うことが好ましい。
【0025】
・水:
本発明に用いる水としては、例えば脱イオン水が挙げられる。該水の使用量は、上記単量体100重量部当り、通常、20〜500重量部、好ましくは90〜150重量部である。
【0026】
本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法においては、さらに必要に応じて、塩化ビニル系重合体の製造に適宜使用されるリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト等の固体分散剤;ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン性乳化剤;ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のアニオン性乳化剤;重合度調整剤;連鎖移動剤;pH調整剤;ゲル化改良剤;帯電防止剤;架橋剤;安定剤;充てん剤;酸化防止剤;緩衝剤;スケール防止剤等を使用することもできる。
【0027】
重合条件についても、従来と同様でよく、例えば、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体、開始剤、懸濁剤及び水等を重合容器内へ仕込んだ後、重合容器の内容物を攪拌しながら昇温し、30〜58℃で重合反応を行えばよい。
【0028】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に示すが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕
内容積2.1m3 のステンレス製重合器(ジャケット及び攪拌機付)の内圧を6.67kPa(絶対圧)になるまで排気した後、脱イオン水900kgを20分間かけて仕込んだ。脱イオン水の仕込開始後1分後に平均重合度が2000で、ケン化度が78モル%の部分ケン化ポリビニルアルコールの5重量%水溶液6500g、及び平均重合度が300で、ケン化度が48モル%の部分ケン化ポリビニルアルコールの20重量%水/メタノール溶液(水/メタノールの重量比=1:1)975gの仕込みを開始し、2分間かけて仕込んだ。さらに、脱イオン水の仕込開始後6分後に、重合禁止剤として6.5gの2−t−ブチルハイドロキノンTBHQをメタノールに溶解したものの仕込を開始し、2分かけて仕込んだ。脱イオン水仕込み開始10分後に重合器内容物を60rpmで攪拌し始め、この攪拌を行いながら同時に塩化ビニル単量体650kgの仕込を開始し、20分間かけて仕込んだ。この単量体の仕込途中に、単量体仕込開始から9分後に開始剤としてクミルパーオキシネオデカノエート(CPND、10時間半減期温度36.6℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(TBPND、10時間半減期温度46.5℃)、及び2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート(EHPDC、10時間半減期温度43.5℃)をそれぞれ65g、84.5g、及び292.5gを5分間かけて仕込んだ。
【0029】
塩化ビニル単量体仕込終了と同時に攪拌回転数を210rpmに高め、攪拌を続けた(仕込条件1、図1参照)。攪拌開始後4分間経過した時点で重合器のジャケットに熱水を注入して昇温を開始し25分かけて重合温度57℃に昇温した。この重合温度57℃で、重合反応を進行させ、重合容器内の内圧が0.6MPa(ゲージ圧)に降下した時点で重合反応を停止し、未反応単量体を回収し、塩化ビニル重合体をスラリー状で重合容器外に抜き出した。このスラリーの一部を微粉測定した。次に残りのスラリー状重合体を脱水機を用いて脱水してから乾燥し、粉末の塩化ビニル重合体を得、粒度分布、可塑剤吸収性、かさ比重を評価した。それらの結果を表1に併せて示す。
【0030】
(微粉測定)
JIS Z8801に準じた#330(目開き45μm)の篩に、得られた重合体スラリー170mLを入れ、約15Lの脱イオン水を使って湿式篩にかけ、篩上と篩下に分けた。篩下は開口径3μmのメンブランフィルターでろ過し、乾燥した。篩上はそのまま乾燥させた。その後それぞれの重量を測定し、得られた全重合体乾燥品中の45μm以下微粉粒子の割合(重量比)を算出した。
【0031】
(粒度分布)
JIS Z-8801に準じた#60、#80、#100、#150及び#200の各篩を用いて、乾燥した重合体試料を篩分けし、各篩を通過した試料の割合(重量%)を求めた。
【0032】
(可塑剤吸収性)
内径25mm、深さ85mmのアルミニウム合金製容器の底にグラスファイバーを詰め、該容器に重合体試料10gを投入し、この試料が入ったアルミニウム合金製容器にジオクチルフタレート(DOP)15mLを加えた。そして、30分間放置して試料にDOPを充分浸透させた後、1500Gの加速度下で試料から過剰量のDOPを遠心分離した。試料に吸収されたDOPの量をDOP吸収前の試料の重量に対する重量%として求めた。
(かさ比重)
JIS K-6721に準拠して測定した。
【0033】
〔実施例2〕
実施例1の仕込条件を図1の仕込条件3に代えた以外は、すべて実施例1と同じ様に重合した。即ち、原材料の仕込は次のように行った。
内容積2.1m3 のステンレス製重合器(ジャケット及び攪拌機付)の内圧を6.67kPa(絶対圧)になるまで排気した後、脱イオン水900kgを20分間かけて仕込んだ。脱イオン水の仕込開始後1分後に平均重合度が2000で、ケン化度が78モル%の部分ケン化ポリビニルアルコールの5重量%水溶液6500g、及び平均重合度が300で、ケン化度が48モル%の部分ケン化ポリビニルアルコールの20重量%水/メタノール溶液(水/メタノールの重量比=1:1)975gの仕込みを開始し、2分間かけて仕込んだ。次に、脱イオン水仕込開始10分後から、重合器内容物を60rpmで攪拌し始めるとともに、この攪拌を行いながら同時に塩化ビニル単量体650kgの仕込を開始し、20分間かけて仕込んだ。単量体の仕込開始後11分後に6.5gの2−t−ブチルハイドロキノンTBHQをメタノールに溶解したものを2分間で仕込み、その仕込終了後に、開始剤としてクミルパーオキシネオデカノエート(CPND、10時間半減期温度36.6℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(TBPND、10時間半減期温度46.5℃)、及び2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート(EHPDC、10時間半減期温度43.5℃)をそれぞれ65g、84.5g、及び292.5gを5分間で仕込んだ。
【0034】
塩化ビニル単量体の仕込終了と同時に攪拌回転数を210rpmに高め、攪拌を続けた(仕込条件3)。攪拌開始後4分間経過した時点で重合器のジャケットに熱水を注入して昇温を開始するなどの以降の操作は実施例1と同様に行い、得られた重合体の評価も同様に行った。
【0035】
〔比較例1〕
実施例1で重合禁止剤を添加しなかった以外は、すべて実施例1と同様に重合し評価した。
【0036】
〔比較例2〕
実施例1の仕込条件1を図1の仕込条件2に代えて塩化ビニル単量体仕込終了後と同時に重合器のジャケットに熱水を注入して昇温を開始した以外はすべて実施例1と同様に重合し評価した。
なお、仕込条件2は、仕込条件1において脱イオン水仕込み終了後に塩化ビニル単量体の仕込み開始をした条件である。
【0037】
〔比較例3〕
比較例2で重合禁止剤を添加しなかった以外は、すべて比較例2と同様に重合し評価した。
【0038】
〔比較例4〕
比較例3で重合開始剤としてTBPNDの仕込み量を230ppm(対単量体重量)とし、CPNDを仕込まなかった以外は、すべて比較例3と同様に重合し評価した。
【0039】
〔比較例5〕
実施例2において重合禁止剤としてTBHQを用いる代わりにt−ブチルヒドロキシアニソール(BHA)を用いた他は、すべて実施例2と同様に重合し評価した。
【0040】
〔比較例6〕
比較例2において、塩化ビニル単量体仕込終了後から10分後に、重合器のジャケットに熱水を注入して昇温を開始した以外は、すべて実施例2と同様に重合を開始した。重合開始後、ジャケットによる除熱コントロールが困難となり重合途中で重合を中止した。
【0041】
〔比較例7〕
実施例2において、塩化ビニル単量体仕込終了後から10分後に重合器のジャケットに熱水を注入して昇温を開始した以外は、すべて実施例2と同様に重合を開始した。重合開始後ジャケットによる除熱コントロールが困難となり重合途中で重合を中止した。
実施例及び比較例の結果をまとめて表1及び表2に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
(注)
CPND:クミルパーオキシネオデカノエート(10時間半減期温度 36℃)
TBPND:t−ブチルパーオキシネオガノエート(10時間半減期温度 46℃)
EHPDC:ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度 44℃)
TBHQ:2−t−ブチルハイドロキノン
BHA:t−ブチルヒドロキアニソール
【0045】
【発明の効果】
本発明により、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物、開始剤、懸濁剤及び水を重合容器に仕込み、前記塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物を懸濁重合する工程を含む塩化ビニル系重合体の製造方法において、得られる重合体中に含まれる直径45μm以下の粉体粒子の割合が3000ppm(重量)以下、必要に応じて1000ppm以下、さらには500ppm以下である塩化ビニル系重合体を生産性良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で使用した仕込条件1、2及び3を示す。
Claims (1)
- 塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物、油溶性重合開始剤、懸濁剤及び水を重合容器に仕込み、仕込み後重合温度に昇温する工程を含む、前記塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物の懸濁重合による塩化ビニル系重合体の製造方法であって、
前記油溶性重合開始剤として、(A)10時間半減期温度42℃以下の油溶性高活性開始剤と、(B)t−ブチルパーオキシネオデカノエート(TBPND)及びジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート(EHPDC)からなる群から選ばれる重合開始剤を用いること、
まず、水の仕込みを開始し、水の仕込み開始と同時に又はその開始後水の仕込み中に塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物の仕込みを開始すること、
水及び/又は塩化ビニル単量体もしくは塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物の仕込み中に懸濁剤、前記油溶性重合開始剤、及び下記式(1):
で表されるハイドロキノン化合物からなる重合禁止剤の仕込を開始すること、
上記原材料の仕込完了後8分以内にこれら原材料の仕込混合物の昇温を開始し、58℃以下で重合を行うこと、
を特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001335827A JP3767804B2 (ja) | 2001-10-31 | 2001-10-31 | 塩化ビニル系重合体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001335827A JP3767804B2 (ja) | 2001-10-31 | 2001-10-31 | 塩化ビニル系重合体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003137909A JP2003137909A (ja) | 2003-05-14 |
JP3767804B2 true JP3767804B2 (ja) | 2006-04-19 |
Family
ID=19150760
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001335827A Expired - Fee Related JP3767804B2 (ja) | 2001-10-31 | 2001-10-31 | 塩化ビニル系重合体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3767804B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005063824A1 (ja) * | 2003-12-26 | 2005-07-14 | Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. | 塩化ビニル系重合体の製造方法 |
JP6058347B2 (ja) * | 2012-10-15 | 2017-01-11 | 大洋塩ビ株式会社 | 成形加工性に優れる塩化ビニル系重合体の製造方法 |
WO2019244967A1 (ja) * | 2018-06-21 | 2019-12-26 | 株式会社クラレ | ビニル系重合体の製造方法 |
-
2001
- 2001-10-31 JP JP2001335827A patent/JP3767804B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003137909A (ja) | 2003-05-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3767804B2 (ja) | 塩化ビニル系重合体の製造方法 | |
US5037915A (en) | Ester of monoperoxy oxalic acid as polymerization initiators | |
US5357011A (en) | Process for producing vinyl chloride-based polymers | |
JP3390623B2 (ja) | 塩化ビニル系重合体の製造方法 | |
JPH1135607A (ja) | 塩化ビニル系樹脂の製造方法 | |
JP2823681B2 (ja) | 塩化ビニル系重合体の製造方法 | |
JP3231948B2 (ja) | 塩化ビニル系重合体の製造方法 | |
JPS62235303A (ja) | 塩化ビニル系懸濁重合方法における懸濁安定剤の仕込み方法 | |
JP3601156B2 (ja) | 塩化ビニル系重合体の製造方法 | |
JPH04325506A (ja) | 塩化ビニル系重合体の製造方法 | |
JPH05295008A (ja) | 塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法 | |
JP3437018B2 (ja) | 塩化ビニル系重合体の製造方法 | |
JPH02173106A (ja) | 塩化ビニル系重合体の製造方法 | |
JPH0411606A (ja) | 塩化ビニル系重合体の製造方法 | |
JP3066843B2 (ja) | 塩化ビニルの懸濁重合法 | |
JP3066839B2 (ja) | 塩化ビニルの懸濁重合法 | |
JPH10306105A (ja) | 塩化ビニル系重合体の製造方法 | |
JPH08127604A (ja) | 塩化ビニル系重合体の製造方法 | |
JPH0948803A (ja) | 塩化ビニル系重合体の製造方法 | |
JPS63156809A (ja) | 塩化ビニル系重合体の製造方法 | |
JPH04248813A (ja) | 塩化ビニルの懸濁重合法 | |
JPH11209409A (ja) | 塩化ビニル系重合体の製造方法 | |
JPH03269005A (ja) | 塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法 | |
EP0633273A1 (en) | Process for producing vinyl chloride polymers | |
JPH07179509A (ja) | 塩化ビニル系重合体の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060104 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060125 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060126 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090210 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120210 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |