JPH0948803A - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

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JPH0948803A
JPH0948803A JP21672295A JP21672295A JPH0948803A JP H0948803 A JPH0948803 A JP H0948803A JP 21672295 A JP21672295 A JP 21672295A JP 21672295 A JP21672295 A JP 21672295A JP H0948803 A JPH0948803 A JP H0948803A
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JP
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vinyl chloride
heat
polymer
monomer
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JP21672295A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Takahashi
康弘 高橋
Tadashi Amano
正 天野
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合反応熱を効率よく除去して重合体の生産
性を向上することができ、しかも、加工製品にフィッシ
ュアイの発生が極めて少ない塩化ビニル系重合体を得る
ことができる製造方法の提供。 【解決手段】 懸濁剤の全使用量の0〜30重量%を含
む水性媒体中で塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体
を含む単量体混合物の重合を開始し、前記の重合開始時
から重合転化率が5〜50%に達する時にわたって、残
りの懸濁剤を重合容器内容物に添加し、かつ還流コンデ
ンサーによる重合反応熱の除去を重合転化率が5%未満
であるときから開始することを特徴とする塩化ビニル系
重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塩化ビニル系重合体
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、塩化ビニル系重合体の生産性の向
上を図るために、大型の重合器を用いて重合を行った
り、単量体の仕込み比[脱イオン水/単量体の重量比]
を上げたり、或いはバッチ当りの重合時間を短縮すると
いう方法が採られている。そして、このような方法で
は、重合時に発生する反応熱を効率よく除去するため
に、ジャケットと還流コンデンサーを併設した重合器を
使用するのが一般的である。ところで、還流コンデンサ
ーを稼働すると、稼働開始前後で重合器内の気液平衡が
変化し、生成する重合体が粗粒化し或いはブロック化す
る傾向がある。また、重合体が粗粒化し或いはブロック
化すると、重合体の加工製品にフィッシュアイが発生し
易くなるという問題が生じる。従って、このような問題
が生じないように、還流コンデンサーの稼働を開始する
時期は、重合体が初期の粒子を形成した後、即ち、重合
転化率が5%に達した時以降に制限されている。従っ
て、重合体転化率5%未満では除熱はジャケットに依存
することになる。しかし、生産性の向上を図るために、
前記の大型の重合器を用いる方法等を採る場合には、重
合転化率が5%に達するまでの間に発生する初期の重合
反応熱をジャケットだけでは十分に除去できないという
問題がある。そして、初期の重合反応熱の除去が不十分
であると、得られる重合体の平均重合度が目的とする値
より小さくなったり、重合体の粒度分布がブロードにな
るという問題がある。また、このような初期の重合反応
熱を除去する方法として、例えば、重合器内に冷却機能
をもつバッフル、コイル、リング等を設置し、或いは冷
凍機を重合器に併設して、これらにより除熱する方法が
考えられる。しかし、重合器内にバッフル等を設置する
方法は、特に重合体スラリーの粘度が上昇する重合末期
において、重合器内容物を均一に安定して混合するのが
困難なるという問題がある。その結果、重合器の総括伝
熱係数が低下するため、重合初期に比べて単位時間当り
の除熱量が低下するという不都合が生じる。また、重合
器内でよどみが発生するため、重合器内に重合体スケー
ルが付着し易くなる。そして、該スケールは、得られる
重合体の加工製品にフィッシュアイを発生させる原因と
いう問題がある。また、冷凍機を併設する方法は、重合
器の構造が複雑になるとともに、コストがかかるという
問題がある。
【0003】そこで、重合反応の初期の段階から還流コ
ンデンサーを稼働して初期の重合反応熱を除去し、かつ
重合体の粗粒化やブロック化を防止することを目的とし
て、次のような塩化ビニル重合体の製造方法が提案され
ている。この方法は、水性媒体、塩化ビニル単量体及び
懸濁剤を重合器内に仕込み、重合器内容物を重合温度に
昇温した後に重合開始剤を仕込み、同時に還流コンデン
サーを稼働するものである(特開平6−136009号
公報)。しかし、この方法では、重合温度に昇温した後
に重合開始剤を仕込むため、重合開始剤を仕込んだ直後
の重合開始剤の分散が不十分な状態で、該重合開始剤が
急激に分解する。その結果、重合器内容物中で局部的に
単量体が重合するため、得られる重合体粒子が不均一に
なり、重合体の加工製品にフィッシュアイが発生すると
いう問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、重合
反応熱を効率よく除去して重合体の生産性を向上するこ
とができ、しかも、加工製品にフィッシュアイの発生が
極めて少ない塩化ビニル系重合体を得ることができる製
造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、還流コンデン
サーを備えた重合器内で、塩化ビニル単量体又は塩化ビ
ニル単量体を含む単量体混合物を水性媒体中で懸濁剤の
存在下に懸濁重合を行う塩化ビニル系重合体の製造方法
において、
【0006】懸濁剤の全使用量の0〜30重量%を含む
水性媒体中で塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を
含む単量体混合物の重合を開始し、前記の重合開始時か
ら重合転化率が5〜50%に達する時にわたって、残り
の懸濁剤を重合器内容物に添加し、かつ還流コンデンサ
ーによる重合反応熱の除去を重合転化率が5%未満であ
るときから開始することを特徴とする塩化ビニル系重合
体の製造方法である。
【0007】以下、本発明について更に詳しく説明す
る。本発明の製造方法は、先ず、懸濁剤の全使用量の0
〜30重量%、好ましくは、10〜30重量%を含む水
性媒体中で前記塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体
を含む単量体混合物(以下、単量体という)の重合を開
始する。
【0008】懸濁剤の全使用量は、単量体100重量部
当り、0.03〜2重量部が好ましく、さらに好ましく
は0.04〜0.09重量部である。この使用量が少な
過ぎると重合体が粗粒化したり、重合器内壁等にスケー
ルが付着する場合があり、多過ぎると得られる重合体の
嵩比重が低下し、ゲル化性が悪くなる場合がある。
【0009】本発明の製造方法は、次に、前記の重合開
始時から重合転化率が5〜50%、好ましくは5〜30
%に達する時までの間、残りの懸濁剤を重合器内容物に
添加する。操作の簡便性を考慮すると連続的に懸濁剤を
添加するのが好ましい。このように懸濁剤を添加するこ
とにより、重合反応の初期の段階、具体的には重合転化
率が5%未満であるときから還流コンデンサーによる重
合反応熱の除去を開始しても、初期粒子形成時に重合体
粒子の合粒と分散がバランスよく行われる。従って、合
粒状態が不良なものが生じたり、また重合体が粗粒化し
たり、ブロック化することもなく良好な品質の重合体を
得ることができる。なお、残りの懸濁剤を重合開始時か
ら重合転化率50%に達する時までにわたって添加を行
わず、例えば、重合開始からしばらく経過した後に添加
しはじめたり、途中で添加を中止すると、得られる重合
体の嵩比重が低下したり、粒度分布がブロードになり、
さらには重合器の内壁等にスケールが付着し易くなる。
また、重合転化率が50%に達した後もなお懸濁剤の添
加を継続しても、その添加量にみあう効果が期待でき
ず、さらには得られた重合体のゲル化性が悪くなる。
【0010】本発明において、重合開始時とは、実質的
に前記単量体が重合しはじめる時であり、具体的には、
前記単量体及び重合開始剤を含む重合器内容物を重合開
始剤の分解温度に昇温した時である。
【0011】残りの懸濁剤の添加は、重合開始時から重
合転化率5〜50%までの間にわたって行われる。その
添加は連続的でも断続的でもよいが、この時間にわたっ
て実質的に添加が中止することなく継続する必要があ
る。ここで「懸濁剤を連続的に添加する」とは、途切れ
ることなく懸濁剤を重合器内容物に添加することをい
う。また、「懸濁剤を断続的に添加する」とは、添加が
途切れる時間が5分間以内の状態で途切れ途切れに添加
が行われることをいう。
【0012】本発明に用いる懸濁剤としては、塩化ビニ
ル単量体を水性媒体中で重合する際に、通常用いられる
ものであれば特に制限はなく、例えば、メチルセルロー
ス、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース等の水溶性セルロースエーテル;アクリ
ル酸重合体;ゼラチン等の水溶性ポリマー;水溶性又は
油溶性の部分ケン化ポリビニルアルコール;ソルビタン
モノラウレート、ソルビタントリオレート、ソルビタン
モノステアレート、グリセリントリステアレート、エチ
レンオキシドプロピレンオキシドブロックコポリマー等
の油溶性乳化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノラ
ウレート、ポリオキシエチレングリセリンオレート、ラ
ウリル硫酸ナトリウム等の水溶性乳化剤;炭酸カルシウ
ム;リン酸カルシウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウムなどが挙げられ、これらは1種単独で又は2種
以上の組合せで用いられる。
【0013】本発明に用いる懸濁剤として特に好適なも
のは、(A) 平均重合度600〜3000、ケン化度65
〜85モル%の水溶性部分ケン化ポリビニルアルコール
及び(B) メトキシ置換度が26〜30重量%、ヒドロキ
シプロポキシ置換度が4〜15重量%、かつ2重量%水
溶液の20℃における粘度が5〜4000cPであるヒド
ロキシプロピルメチルセルロースからなる群より選ばれ
た少なくとも1種の懸濁剤である。
【0014】前記(A) の水溶性部分ケン化ポリビニルア
ルコールと、(B) のヒドロキシプロピルメチルセルロー
スを併用する場合の両者の比は、重量比(A) /(B) が9
/1〜3/7、特に9/1〜5/5の範囲が好ましい。
なお、(A) の水溶性部分ケン化ポリビニルアルルコール
の使用量が少ないと得られる重合体の粒度調整が困難に
なる場合がある。
【0015】本発明の製造方法は、還流コンデンサーに
よる重合反応熱の除去を重合反応の初期の段階、具体的
には、重合転化率が5%未満である段階で開始する。
【0016】本発明において「還流コンデンサーによる
重合反応熱の除去の開始時」とは、該コンデンサーに冷
却水の通水を開始した時をいう。
【0017】還流コンデンサーにより除去する重合反応
熱量は、全重合反応熱量(重合開始から重合停止までに
発生する反応熱量)の60%以上、特には70%とする
のが好ましい。還流コンデンサーによる重合反応熱の除
去において、該コンデンサーは、ジャケットに比較して
有効伝熱面積が大きく、冷却水の負荷が軽減できるので
除熱効率がよい。特に、より大型の重合器を用いるほど
その除熱効率が優れる。従って、本発明の製造方法にお
いては、重合器として容量が40m3 以上のものを用い
るのが好ましく、さらに好ましくは80m3 以上のもの
である。また、重合反応熱の除去を行うに際し、重合工
程中、重合反応熱の発生量が比較的少ない時期は、還流
コンデンサーのみを稼働し、ジャケットには重合器内容
物を重合温度に維持できる程度の熱水を通せばよく、好
ましくは前記熱水温度と重合温度とを等しくする。そし
て、重合工程中、重合反応熱の発生量が多くなったとき
に、即ち、還流コンデンサーによる除熱だけでは、重合
器内容物を重合温度に維持できない場合にジャケットに
冷却水を通して重合反応熱を除去すればよい。
【0018】本発明の製造方法では、このように重合反
応の初期の段階、具体的には、重合転化率が5%未満の
ときから還流コンデンサーによる重合反応熱の除去を開
始できるので、反応速度を速め或いは単量体の仕込み比
を上げた場合の初期反応熱を十分に除去できる。なお、
還流コンデンサーによる重合反応熱の除去を重合転化率
が5%に達した後に開始する場合には、得られる重合体
の嵩比重が低下したり、粒度分布がブロードになり、さ
らには重合器の内壁等にスケールが付着し易くなる。
【0019】本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法
は、懸濁剤を前記の所定時期及び方法で重合器内容物に
添加し、かつ前記の所定の時期に還流コンデンサーによ
る重合反応熱の除去を開始すること以外は、通常行われ
ている塩化ビニル系重合体の製造方法と同様の条件で行
うことができ、単量体、重合開始剤及び水性媒体等の重
合器への仕込みは、従来と同様にして行えばよい。
【0020】本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法に
用いる単量体は、前記の通り、塩化ビニル単量体のほ
か、塩化ビニル単量体を主体とするこれと共重合可能な
ビニル系単量体(コモノマー)との混合物(塩化ビニル
が50重量%以上)であってもよい。前記のコモノマーと
しては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、
1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オク
テン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−
ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン等のα−
オレフィン;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル等の(メタ)アクリル酸又はそのエステ
ル;マレイン酸又はそのエステル;無水マレイン酸;酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ラ
ウリルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等の
ビニルエーテル;アクリロニトリル;スチレン;塩化ビ
ニリデン;その他塩化ビニルと共重合可能な単量体など
が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上の組合せ
で用いられる。
【0021】重合開始剤は、従来、塩化ビニル系重合体
の製造に使用されている油溶性重開始剤又は水溶性重合
開始剤でよい。前記油溶性重合開始剤としては、例え
ば、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチ
ルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバ
レート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−
ヘキシルネオヘキサノエート、2,4,4−トリメチル
ペンチル−2−パーオキシ−2−ネオデカノエート等の
パーエステル化合物;ジイソプロピルパーオキシジカー
ボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボ
ネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネ
ート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネー
ト等のパーカーボネート化合物;デカノイルパーオキシ
ド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシ
ド、クメンハイドロパーオキシド、シクロヘキサノンパ
ーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシ
ド、p−メンタンハイドロパーオキシド、3,5,5−
トリメチルヘキサノイルパーオキシド、イソブチリルパ
ーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パ
ーオキシフェノキシアセテート、アセチルシクロヘキシ
ルスルホニルパーオキシド等のパーオキシド化合物;
α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、α,α′−ア
ゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、α,α′
−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニ
トリル)等のアゾ化合物などが挙げられる。
【0022】前記水溶性重合開始剤としては、例えば、
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過
酸化水素、キュメンハイドロパーオキシド等が挙げられ
る。
【0023】これらの重合開始剤は1種単独で又は2種
以上の組合せで用いられる。重合開始剤の使用量は、前
記単量体100重量部当り、0.001〜3重量部、特
には0.01〜0.5重量部が好ましい。
【0024】重合開始剤は、例えば、下記の脱イオン水
又は単量体の重合器への仕込みと同時に、或いは仕込み
終了後に添加すればよい。同時に添加する場合には、予
め単量体と均一に混合したものを重合器に投入しても、
或いは脱イオン水に分散させ或いは溶解して重合器に投
入してもよい。また、仕込み終了後に添加する場合に
は、重合開始剤を脱イオン水に分散させて或いは溶解し
て重合器に投入してもよい。重合開始剤の投入後、重合
器内混合物の温度を昇温させて重合が開始する重合開始
後、重合器内容物を所定の一定の温度に維持させて重合
反応が行われる。
【0025】水性媒体としては、例えば脱イオン水を挙
げることができる。水性媒体の使用量は、最初の重合器
への仕込み量として前記単量体100重量部当り、80
〜150重量部が好ましく、さらに好ましくは90〜1
20重量部である。この仕込み量が多過ぎると重合体の
生産性が低くなる場合があり、小さ過ぎると重合体が粗
粒化し或いはブロック化して加工製品にフィッシュアイ
が多く発生する場合がある。なお、重合途中には必要に
応じ脱イオン水を追加使用してもよい。
【0026】本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法に
おいては、さらに必要に応じて、塩化ビニル系重合体の
製造に適宜使用される重合度調整剤、連鎖移動剤、pH調
整剤、ゲル化改良剤、帯電防止剤、架橋剤、安定剤、充
てん剤、酸化防止剤、緩衝剤、スケール防止剤等を添加
することもできる。また少量の界面活性剤を添加するこ
ともできる。
【0027】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に示すが、本発明は下記の実施例に制限されるもので
はない。
【0028】〔実施例1〕重合器として、還流コンデン
サー、攪拌機及びジャケットを備えた内容積80m3
ステンレス製重合器を用いた。また、該ジャケットに流
す冷却水は、冷却水を導く冷却水配管に付設した冷凍機
で温度を調節した。このような重合器内に、脱イオン水
38t、下記(A)の部分ケン化ポリビニルアルコール
3.1kg及び下記(B)のヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース2.1kgを溶解した水溶液87kg(懸濁剤(A)
(B):5.2kg含有)を投入した。
【0029】(A)の部分ケン化ポリビニルアルコール 重合度が2550であり、ケン化度が80モル%の水溶
性部分ケン化ポリビニルアルコール
【0030】(B)のヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース メトキシ置換度が29.2重量%であり、ヒドロキシプ
ロポキシ置換度が8.9重量%であり、かつ2重量%水
溶液の20℃における粘度が49.5cPであるヒドロキ
シプロピルメチルセルロース
【0031】次に、重合器内の圧力が50mmHgにな
るまで排気した後、重合器に塩化ビニル単量体29tを
投入した。次いで、重合器内容物を攪拌しながら更にt
−ブチルパーオキシネオデカノエート13.1kg及びク
ミルパーキシネオデカノエート7.3kgを重合器内に圧
入すると同時にジャケットで重合器内容物を昇温し重合
を開始した。そして、この重合開始と同時に(A)の部
分ケン化ポリビニルアルコールの5重量%水溶液の添加
を開始し、重合転化率が30%に達する時まで連続的に
重合器内容物に添加した。なお、重合開始時以後には、
前記の(A)の部分ケン化ポリビニルアルコール水溶液
は毎分2324gの割合で添加し、重合開始時から重合
転化率が30%に達する時までの総量は前記水溶液の重
量換算で244kg(懸濁剤(A) :12.2kg含有)であ
った。
【0032】一方、還流コンデンサーによる重合反応熱
の除去の開始時は、該コンデンサーに冷却水の通水を開
始した時とし、本実施例では重合器内容物の温度が56
℃に達する直前に通水した。本実施例の重合反応熱の除
去の開始時における重合転化率は2%であった。還流コ
ンデンサーによる重合反応熱の除去は重合転化率2%か
ら重合反応終了まで行った。一方、ジャケットにおいて
は、還流コンデンサーにより重合反応熱の除去を開始し
た時(重合転化率が2%になった時)から重合転化率が
30%になるまでの間については、温度を56℃に維持
した熱水をジャケットに通水し続けた。そして、重合転
化率が30%に到達した時からで重合反応終了までの間
については、ジャケットに56℃(重合設定温度)より
低い温度の冷却水を通水して、重合反応熱の除去を行っ
た。
【0033】このように該重合器内容物の温度を56℃
に維持して重合を行い、重合器内の内圧が6.0kg/cm
2 (ゲージ圧)に達した時点で重合反応を停止した(こ
の時の重合転化率:85%)。なお、還流コンデンサー
により除去した重合反応熱量は、全重合反応熱量の70
%であった。また、還流コンデンサーにより重合反応熱
を除去している間、還流コンデンサーに通水した冷却水
の最低温度は15℃であった。一方、ジャケットにより
除去した重合反応熱は、全重合反応熱量の30%であっ
た。また、ジャケットにより重合反応熱を除去している
間、ジャケットに通水した冷却水の最低温度は34℃で
あり、冷却水の温度を調節する為に冷凍機には冷却負荷
はかからなかった。そして、未反応単量体を回収し、塩
化ビニル重合体をスラリー状で重合器外に抜き出し、脱
水してから乾燥し、粉末の塩化ビニル重合体を得た。
【0034】〔実施例2〕実施例1において、重合開始
時から重合転化率が30%に達する時まで連続的に重合
器内容物に添加した(A)の部分ケン化ポリビニルアル
コールの5重量%水溶液に代えて、(B)のヒドロキシ
プロピルメチルセルロースの5重量%水溶液を用いた以
外は、実施例1と同様にして塩化ビニル重合体を得た。
なお、重合開始時以後に前記の(B)のヒドロキシプロ
ピルメチルセルロース水溶液は毎分2324gの割合で
添加した。また、重合開始時から重合転化率が30%に
達する時までの総量は前記水溶液の重量換算で244kg
(懸濁剤(B) :12.2kg含有)であった。
【0035】〔実施例3〕実施例1において、重合開始
時から重合転化率が30%に達する時まで連続的に
(A)の部分ケン化ポリビニルアルコールの5重量%水
溶液を単独で添加するところ、これに代え、(A)の部
分ケン化ポリビニルアルコール及び(B)のヒドロキシ
プロピルメチルセルロースの混合水溶液[重量比(A) /
(B) =6/4、濃度:(A) 及び(B) の合計量換算で5重
量%]を用いた以外は、実施例1と同様にして塩化ビニ
ル重合体を得た。なお、重合開始時以後に前記混合水溶
液は毎分2324gの割合で添加し、重合開始時から重
合転化率が30%に達する時までの総量は前記混合水溶
液の重量換算で244kg(懸濁剤(A) (B) :12.2kg
含有)であった。
【0036】〔比較例1〕実施例1において、還流コン
デンサーによる重合反応熱の除去を、重合転化率が2%
に達した時から開始するところ、重合転化率が5%に達
した時の経過直後に重合反応熱の除去を開始し、そして
重合終了まで重合反応熱の除熱を行った。一方、ジャケ
ットにおいては、実施例1において重合転化率2〜30
%の間にジャケットに56℃の熱水を通水したところ
を、重合転化率2〜5%の間についてはジャケットに5
6℃(重合設定温度)より低い温度の冷却水を通水し
て、重合反応熱の除去を行った。そして、重合転化率が
5%に達した時の経過直後から重合転化率30%に達す
るまでの間についてはジャケットに56℃の熱水を通
し、重合転化率が30%に到達した時からで重合反応終
了までの間については、ジャケットに56℃(重合設定
温度)より低い温度の冷却水を通水して、重合反応熱の
除去を行った以外は実施例1と同様にして塩化ビニル重
合体を得た。なお、還流コンデンサーにより除去した重
合反応熱量は全重合反応熱量の60%であった。一方、
ジャケットにより除去した重合反応熱量は全重合反応熱
量の40%であって重合転化率2〜5%の間におけるジ
ャケットに通水された冷却水の最低温度は9℃であり、
冷却水の温度を調節するために冷凍機には冷却のための
負荷がかかった。
【0037】〔比較例2〕実施例1において、(A)の
部分ケン化ポリビニルアルコール3.1kg及び(B)の
ヒドロキシプロピルメチルセルロース2.1kgを溶解し
た水溶液87kgを投入する代わりに、(A)の部分ケン
化ポリビニルアルコール15.3kg及び(B)のヒドロ
キシプロピルメチルセルロース2.1kgを溶解した水溶
液331kg(懸濁剤(A)(B):17.4kg含有)を投入し
た。そして、(A)の部分ケン化ポリビニルアルコール
の5重量%水溶液を重合開始時から重合転化率30%に
達する時まで連続的に重合器内容物に添加しなかった以
外は実施例1と同様にして塩化ビニル重合体を得た。前
記の実施例及び比較例における懸濁剤の重合器内への投
入条件並びに還流コンデンサー及びジャケットによる冷
却条件等を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】前記の実施例及び比較例で得られた重合体
の嵩比重、粒度分布、可塑剤吸収量及びフィッシュアイ
の発生状況を下記の判定基準で評価し、また、スラリー
状重合体を重合器外へ抜き出した後、重合器内のスケー
ルの付着状況を目視により評価した。結果を表2に示
す。
【0040】嵩比重 JIS K-6721に準拠して測定した。
【0041】粒度分布 JIS Z-8801に準拠して#60、#80、#100、#1
50、#200の各篩を用いて篩分けし、通過量(篩下
重量%)を測定した。
【0042】可塑剤吸収量 内径25mm、深さ85mmのアルミニウム合金製容器の底にグ
ラスファイバーを詰め、これに得られた重合体10g を投
入した。次いで、この容器にジオクチルフタレート(以
下、DOP という)15ccを加え、30分放置してDOP を重合
体に充分浸透させた。その後、1,500Gの加速度で過剰の
DOP を遠心分離した後、重合体に吸収されたDOP の重量
を求め、重合体 100重量部当りのDOP 重量部で表した。
【0043】フィッシュアイ 重合体 100重量部、三塩基性硫酸鉛1重量部、ステアリ
ン酸鉛 1.5重量部、二酸化チタン 0.2重量部、カーボン
ブラック 0.1重量部及びDOP 50重量部の割合で調製した
混合物を 145℃のロールで3分間混練した。次いで、こ
の混合物を厚さ0.2mm のシートに加工し、該シート 100
cm2 当りの透明粒子を計数した。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、重合反応の
初期の段階から還流コンデンサーを稼働しても、得られ
る重合体が粗粒化或いはブロック化することもなく、重
合反応熱を効率よく除去することができる。また、重合
反応熱を効率よく除去することができるので重合体の生
産性を向上することができる。また、粒度分布、可塑剤
吸収性等の特性に優れ、加工製品にフィッシュアイの発
生が極めて少ない塩化ビニル系重合体を得ることができ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 還流コンデンサーを備えた重合器内で、
    塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を含む単量体混
    合物を水性媒体中で懸濁剤の存在下に懸濁重合を行う塩
    化ビニル系重合体の製造方法において、 懸濁剤の全使用量の0〜30重量%を含む水性媒体中で
    塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を含む単量体混
    合物の重合を開始し、前記の重合開始時から重合転化率
    が5〜50%に達する時にわたって、残りの懸濁剤を重
    合器内容物に添加し、かつ還流コンデンサーによる重合
    反応熱の除去を重合転化率が5%未満であるときから開
    始することを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記の懸濁剤が、(A) 平均重合度600
    〜3000、ケン化度65〜85モル%の水溶性部分ケ
    ン化ポリビニルアルコール、及び(B) メトキシ置換度が
    26〜30重量%、ヒドロキシプロポキシ置換度が4〜
    15重量%、かつ2重量%水溶液の20℃における粘度
    が5〜4000cPであるヒドロキシプロピルメチルセル
    ロースからなる群より選ばれた少なくとも1種である請
    求項1に記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記の還流コンデンサーにより除去する
    重合反応熱量が、全重合反応熱量の60%以上である請
    求項1に記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記の重合器の容量が40m3 以上であ
    る請求項1に記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
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