JP3767665B2 - 演奏案内装置および演奏案内方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、電子ピアノ等の鍵盤楽器に用いて好適な演奏案内装置および演奏案内方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、発音すべき音高とその発音タイミングとを表す曲データ(演奏情報)に基づき、各鍵に対応して配設されるガイドランプの内、押鍵すべき鍵に対応するガイドランプを点灯させて演奏者に弾くべき鍵を案内したり、あるいは曲データ中に含まれるベロシティ等のパラメータを、LCDパネル等の表示手段に表示して演奏者に教示する演奏案内装置が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の演奏案内装置では、鍵盤から離れた別位置に、LCDパネル等の表示手段を設けて各種パラメータに応じた演奏形態を案内するようにしているが、とりわけ操作に不慣れなビギナーでは押鍵案内される鍵盤を注視しがちになる為、表示手段に表示される演奏形態を見ながら鍵操作することは到底望めない。
また、ある程度、演奏操作に慣れたユーザーであっても、各種パラメータに応じた演奏形態(含む音源状態)が表示手段に数値や記号で案内表示された場合には、演奏操作中にその案内表示を見ても感覚的に把握することができず、演奏操作に反映し難いという問題もある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、鍵盤から視線を外すことなく、各種パラメータに応じた演奏形態を感覚的に案内することができる演奏案内装置および演奏案内方法を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、発音すべき音高とその発音タイミングとを表す曲データを再生して、鍵盤の各鍵に対応して配設される発光手段の内、押鍵すべき鍵に対応する発光手段を点灯させて押鍵案内する案内手段を備える演奏案内装置において、前記鍵盤を複数の鍵域に分けて、前記案内手段で押鍵案内されている鍵が含まれる鍵域を検出する押鍵案内鍵域検出手段と、演奏形態を表すパラメータを前記曲データに対応させて記憶するパラメータ記憶手段と、このパラメータ記憶手段に記憶されているパラメータを前記曲データの再生に同期して読み出し、この読み出したパラメータを前記押鍵案内鍵域検出手段で検出された鍵域とは異なる鍵域にて表示させる演奏形態表示手段とを具備することを特徴とする。
【0005】
上記請求項1に従属する請求項2に記載の発明では、前記演奏形態表示手段は、前記押鍵案内鍵域検出手段で検出された鍵域から常に所定音程分離れた鍵域にて、前記読み出したパラメータを表示させることを特徴とする。
【0007】
請求項に記載の演奏案内方法では、発音すべき音高とその発音タイミングとを表す曲データを再生して、鍵盤の各鍵に対応して配設される発光手段の内、押鍵すべき鍵に対応する発光手段を点灯させて押鍵案内する演奏案内方法において、前記鍵盤を複数の鍵域に分けて、前記押鍵案内されている鍵が含まれる鍵域を検出し、演奏形態を表すパラメータを前記曲データに対応させて記憶しているパラメータ記憶手段から前記曲データの再生に同期してパラメータを読み出し、この読み出したパラメータを前記検出された鍵域とは異なる鍵域にて表示させることを特徴とする。
【0008】
本発明では、発音すべき音高とその発音タイミングとを表す曲データを再生して、鍵盤の各鍵に対応して配設される発光手段の内、押鍵すべき鍵に対応する発光手段を点灯させて押鍵案内する案内手段を備える演奏案内装置において、演奏形態を表すパラメータを前記曲データに対応させて記憶しておき、こパラメータを前記曲データの再生に同期して読み出し、この読み出したパラメータを前記案内手段にて押鍵案内されている鍵域とは異なる鍵域にて案内表示させるので、鍵盤上で押鍵案内と同時に演奏形態が案内される結果、鍵盤から視線を外すことなく、各種パラメータに応じた演奏形態を感覚的に案内することが可能になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態による電子楽器を実施例とし、これについて図面を参照して説明する。
A.実施例の構成
図1は、本発明の一実施例による電子楽器の構成を示すブロック図である。この図において、1は押離鍵操作(演奏操作)に応じたキーオン/キーオフ信号やキーコード等の演奏情報を発生する鍵盤である。2はCPU5の制御の下に演奏案内する押鍵ガイド部である。この押鍵ガイド部2は、半透明樹脂材等で形成された各鍵下部に対向配置される発光手段2a(図示略)と、これら各鍵毎に配設される発光手段2aを点灯駆動するドライバ2b(図示略)とから構成され、後述するCPU5から供給される点灯制御信号に従って、対応する発光手段2aについて点灯駆動して押鍵位置および各種パラメータに応じた演奏形態を同時案内する。
なお、発光手段2aは、単色発光するLED(発光素子)を複数色分設ける態様としても良いし、「赤色」、「青色」および「黄色」の3原色発光するLED(発光素子)を用い、各色の発光輝度を調整してこれら3原色以外の色を発色可能にするタイプでも構わない。
【0010】
3は各種スイッチを有し、操作されたスイッチに応じたスイッチイベントを発生するパネルスイッチ群である。ここで、図2を参照してパネルスイッチ群3に設けられる主要スイッチについて説明しておく。図2において、30aはファクトリープリセットされた練習曲の再生開始を指示するプレイスイッチ、30bはその再生停止を指示するストップスイッチ、30cは曲再生時に発光手段2aを点灯させるか否かを指定するガイドON/OFFスイッチである。31aは曲再生に同期してリアルタイムに演奏案内させるリアルタイムスイッチ、31bは押鍵タイミング以前に弾くべき鍵を案内させる事前ガイドスイッチである。
【0011】
32a〜32cはガイド範囲を「全鍵」、「一部」および「可変」のいずれかに指定するスイッチであり、これらが意図する点については追って詳述する。33a〜33dはガイド方法の形態として、「範囲」、「明度」、「色」および「点滅」のいずれかを指定するスイッチであり、これが意図する点についても追って述べる。SW1〜SW20はそれぞれガイド項目となる各種パラメータがアサインされるスイッチである。
【0012】
次に、再び図1を参照して実施例の構成について説明を進める。図1において、4はLCDパネル等から構成される表示部であり、後述するCPU5から供給される表示制御信号に応じて楽器各部の設定状態や動作モード等を表示する。
CPU5は、上述したプレイスイッチ30aのオン操作に応じて、ROM6に記憶される練習曲の演奏情報を再生し、これに基づき押鍵ガイド部2を制御してユーザーに弾くべき鍵をガイドする一方で、上述したスイッチSW1〜SW20のいずれかにて指定される「ガイド内容(パラメータ)」を、スイッチ32a〜32cのいずれかにて指定される「ガイド範囲」において、スイッチ33a〜33dのいずれかにて指定される「ガイド方法」に従って演奏形態を案内する。つまり、弾くべき鍵と、各種パラメータに応じた演奏形態(含む音源状態)とを鍵盤1上で同時に案内表示させるように制御するようになっており、その特徴的な処理動作については後述する。
【0013】
ROM6は、上記CPU5にロードされる各種制御プログラムの他、練習曲の演奏情報を記憶する。このROM6に記憶される演奏情報は、図3(イ)に図示するように、イベント順にアドレッシングされた時系列の曲データ(0)〜(n−1)と、曲の終わりを表わす終了データENDとから形成され、楽曲進行に応じて歩進されるポインタレジスタADの値(読み出しアドレス)に応じて読み出し再生される。
これら曲データ(0)〜(n−1)は、同図(ロ)に図示するように、5つのデータ「9n」、「NN」、「VEL」、「NB」および「NC」から形成される。「9n」は音源8の発音チャンネルnに対する発音指示を意味し、「NN」は発音すべき音高を表わすノートナンバ、「VEL」はベロシティ、「NB」は次イベントまでの拍数、「NC」は次イベントまでのクロック数をそれぞれ表わす。なお、「VEL」の値が「0」の時にノートオフを表わす。
【0014】
さて、図1において、7はRAMであり、CPU5のワークエリアとして各種レジスタ・フラグデータが一時記憶される他、図4に示すパラメータ群PRGを記憶するデータエリアをも具備している。
このパラメータ群PRGは、上述したROM6に記憶される曲データを音源8側で再生する際に参照するデータであり、曲データのイベント進行順に記憶させたパラメータPR(1)〜PR(n−1)および終了データENDから構成される。各パラメータPR(1)〜PR(n−1)は、「テンポ」、「アフタタッチ」、「リバーブ量」、「パン」および「ベンダ」等の演奏形態にかかわる複数種のパラメータから形成されている。
【0015】
これらパラメータPR(1)〜PR(n−1)を形成する複数種のパラメータ値の内、上述したスイッチSW1〜SW20の操作により指定された「ガイド内容(パラメータ)」が、スイッチ32a〜32cにより指定される「ガイド範囲」において、スイッチ33a〜33dにより指定される「ガイド方法」に従って案内される。
つまり、曲データが弾くべき鍵を案内するためのデータとして用いられるのに対し、パラメータ群PRGは演奏形態(含む音源状態)を案内するためのデータとして用いられるようになっている。
【0016】
8は周知の波形メモリ読み出し方式によって構成され、時分割動作する複数の発音チャンネルを備える音源である。この音源8は、各種音色の波形データを記憶しており、これらの内、CPU5が供給するパラメータに応じた波形データを読み出して楽音波形Wを発生する。
9はD/A変換回路であり、上記音源8の出力をアナログ波形信号に変換して次段のサウンドシステム10に供給する。サウンドシステム10は、例えば、前段から供給されるアナログ波形信号に対して不要ノイズを除去する等のフィルタリングを施した後、これを増幅してスピーカSPから発音する。
【0017】
B.実施例の動作
次に、図5〜図17を参照して実施例の動作について説明する。以下では、最初に全体動作として、図5を参照してメインルーチンの動作について説明し、その後にメインルーチンにおいてコールされる各処理ルーチンの動作について説明して行く。
【0018】
(1)メインルーチンの動作
まず、電源スイッチの投入により、CPU5はROM6から所定の制御プログラムを読み出して自身にロードすると、図5に示すメインルーチンを実行してステップSA1に処理を進め、ポインタレジスタADをゼロリセットする。次いで、ステップSA2では、プレイスイッチ30aがオン設定されている場合、ポインタレジスタADに応じてROM6から曲データを読み出し、読み出した曲データに応じて押鍵案内したり、その曲データに従った楽音を発音させる発音処理を実行する。
【0019】
次に、ステップSA3に進むと、上述したスイッチSW1〜SW20(図2参照)の操作に応じて指定される「ガイド内容」のパラメータ値を、対応するパラメータPR(AD)から読み出してガイド表示データPに変換するパラメータ選択処理を実行する。この後、ステップSA4に進み、スイッチ32a〜32cの操作に応じて指定される「ガイド範囲」を設定する表示範囲決定処理を実行した後、続くステップSA5において、スイッチ33a〜33dにより指定される「ガイド方法」によって、ガイド表示データPを指定された「ガイド範囲」で表示して演奏形態を案内する表示方法決定処理を行う。
【0020】
そして、ステップSA6にて効果付加などの、その他の処理を実行してから、ステップSA7にてポインタレジスタADを歩進させてステップSA2に処理を戻す。
以後、電源スイッチがオフされるか、あるいは曲データの読み出しが完了する迄、上述したステップSA2〜SA7を繰り返し、これにより曲データの再生に同期して、鍵盤上で弾くべき鍵と演奏形態とが同時に案内表示されることになる。
【0021】
(2)発音処理ルーチンの動作
次に、図6を参照して発音処理ルーチンの動作について説明する。上述したメインルーチン(図5参照)のステップSA2を介して本ルーチンが実行されると、CPU5は図6のステップSB1に処理を進め、まずプレイ状態あるいはストップ状態のいずれであるかを判断する。
ここで、ストップスイッチ30bの操作によりストップ状態に設定されていれば、前述した押鍵ガイド部2の発光手段2aを消灯させるよう指示した後、本ルーチンを完了させる。
一方、プレイスイッチ30aの操作によりプレイ状態に設定されていれば、ステップSB3に処理を進め、ポインタレジスタADに応じてROM6から曲データを読み出すと共に、RAM7のデータエリアからパラメータPR(AD)を読み出してバッファセットする。
【0022】
次に、ステップSB4では、ガイドON/OFFスイッチ30cがガイドON状態に設定されているか否かを判断する。そして、ガイドOFF状態であれば、ここでの判断結果は「NO」となり、後述するステップSB8に処理を進めるが、ガイドON状態であれば、判断結果が「YES」となり、次のステップSB5に処理を進める。ステップSB5に進むと、CPU5はバッファセットした曲データ中のベロシティVELが「0」か否か、つまり、ノートオフを表わすか否かを判断する。
そして、ベロシティVELが「0」であれば、判断結果が「YES」となり、ステップSB7に進み、曲データ中のノートナンバNNに対応する鍵に配設される発光手段2aを消灯するよう押鍵ガイド部2に指示し、一方、ベロシティVELが「0」でなければ、判断結果は「NO」となり、ステップSB6に進み、曲データ中のノートナンバNNに対応する鍵に配設される発光手段2aを点灯するよう押鍵ガイド部2に指示する。
【0023】
次いで、ステップSB8では、事前ガイドスイッチ31bがオン状態にあるか否かを判断する。ここで、オン状態にあれば、判断結果が「YES」となり、次のステップSB9に処理を進め、前イベントの待ち時間に2秒加えて遅延させ、事前ガイドを行う。
これに対し、事前ガイドスイッチ31bがオフ状態であれば、上述した事前ガイドを行うことなく、ステップSB10に処理を進め、バッファにセットされた曲データを、パラメータPR(AD)に従って楽音形成して発音させる音源処理を実行して本ルーチンを完了させる。
【0024】
(3)パラメータ選択処理ルーチンの動作
次に、図7および図8を参照してパラメータ選択処理ルーチンの動作について説明する。上述したメインルーチン(図5参照)のステップSA3を介して本ルーチンが実行されると、CPU5は図7に示すステップSC1〜SC20を介し、操作されたスイッチSW1〜SW20に応じた処理を実行する。
例えば、スイッチSW1が操作された場合には、ステップSC1の判断結果が「YES」となり、図8(イ)に示すSW1処理ルーチンを実行してステップSD1に処理を進め、スイッチSW1にアサインされるテンポTMPをパラメータPR(AD)から抽出し、続くステップSD2において、このテンポTMPを「127」で除算した値をガイド表示データとしてレジスタPにストアする。
【0025】
また、スイッチSW2が操作された場合には、ステップSC2の判断結果が「YES」となり、図8(ロ)に示すSW2処理ルーチンを実行してステップSD3に処理を進め、スイッチSW2にアサインされるアフタタッチAFTをパラメータPR(AD)から抽出し、続くステップSD4において、このアフタタッチAFTを「127」で除算した値をガイド表示データとしてレジスタPにストアする。
さらに、スイッチSW20が操作された場合には、ステップSC20の判断結果が「YES」となり、図8(ハ)に示すSW20処理ルーチンを実行してステップSD5に処理を進め、スイッチSW20にアサインされるパンPANをパラメータPR(AD)から抽出し、続くステップSD4において、このパンPANをそのままガイド表示データとしてレジスタPにストアする。
【0026】
(4)表示範囲決定処理ルーチンの動作
さて、以上のようにして、スイッチSW1〜SW20の操作に応じてパラメータ(ガイド内容)が選択されると、CPU5はその選択されたパラメータを表示する「ガイド範囲」を設定すべく、上述したメインルーチンのステップSA4を介して図9に図示する表示範囲決定処理ルーチンを実行し、スイッチ32a〜32cの操作に対応した「ガイド範囲」を設定する。以下、各スイッチ32a〜32cの操作に応じた設定動作について述べる。
【0027】
▲1▼スイッチ32aが操作された場合
この場合、図9に示すステップSE1の判断結果が「YES」となり、ステップSE2に処理を進め、全鍵を「ガイド範囲」とするよう、レジスタAREAに「0」をセットする。これにより、例えば、鍵盤1が5オクターブ鍵の場合、図11に示すように、全ての鍵がガイド範囲E1として用いられる。
【0028】
▲2▼スイッチ32bが操作された場合
この場合、図9に示すステップSE3の判断結果が「YES」となり、ステップSE4に処理を進め、最低オクターブ鍵域AREA1を「ガイド範囲」とするよう、レジスタAREAに「1」をセットする。これにより、図11に示すように、最低オクターブ鍵域AREA1がガイド範囲E2として用いられる。
【0029】
▲3▼スイッチ32cが操作された場合
この場合、図10に示すステップSE5の判断結果が「YES」となり、ステップSE6〜SE15を介して、押鍵案内されている鍵域に応じて「ガイド範囲」を可変設定する。以下、その態様について述べる。
【0030】
(イ)鍵域AREA1で押鍵案内されている時
鍵域AREA1で押鍵案内されていると、図10に示すステップSE6の判断結果が「YES」となり、ステップSE7に処理を進めてレジスタAREAに「3」をセットする。これにより、図11に示すように、鍵域AREA3がガイド範囲E3として用いられる。
【0031】
(ロ)鍵域AREA2で押鍵案内されている時
鍵域AREA2で押鍵案内されていると、ステップSE8の判断結果が「YES」となり、ステップSE9に処理を進めてレジスタAREAに「4」をセットする。これにより、図11に示すように、鍵域AREA4がガイド範囲E4として用いられる。
【0032】
(ハ)鍵域AREA3で押鍵案内されている時
鍵域AREA3で押鍵案内されていると、ステップSE10の判断結果が「YES」となり、ステップSE11に処理を進めてレジスタAREAに「1」をセットする。これにより、図11に示すように、鍵域AREA1がガイド範囲E5として用いられる。
【0033】
(ニ)鍵域AREA4で押鍵案内されている時
鍵域AREA4で押鍵案内されていると、ステップSE12の判断結果が「YES」となり、ステップSE13に処理を進めてレジスタAREAに「2」をセットする。これにより、図11に示すように、鍵域AREA2がガイド範囲E6として用いられる。
【0034】
(ホ)鍵域AREA5で押鍵案内されている時
鍵域AREA5で押鍵案内されていると、ステップSE14の判断結果が「YES」となり、ステップSE15に処理を進めてレジスタAREAに「3」をセットする。これにより、図11に示すように、鍵域AREA3がガイド範囲E7として用いられる。
【0035】
(5)表示方法決定処理ルーチンの動作
次に、図12〜図17を参照して表示方法決定処理ルーチンの動作について説明する。
上述した表示範囲決定処理ルーチンによってガイド範囲が定まると、CPU5はメインルーチンのステップSA5(図5参照)を介して本ルーチンを実行し、ステップSF1に処理を進める。ステップSF1では、前述したパラメータ選択処理ルーチンにおいて選択されたパラメータが「パン」もしくは「ベンダ」のいずれであるかを判断する。ここで、「パン」もしくは「ベンダ」のいずれかが選択されていると、判断結果は「YES」となり、次のステップSF2に処理を進める。
【0036】
ステップSF2では、上述した表示範囲決定処理ルーチンにて決定されたガイド範囲、すなわち、レジスタAREAの値に対応した鍵域において、レジスタPにストアされるガイド表示データの値に対応する鍵の発光手段2aを点灯するよう指示する。
具体的には、レジスタAREAの値に対応した1オクターブの鍵域において、例えばレジスタPにストアされるガイド表示データの値が「0〜15」であればC鍵盤を、「16〜31」であればC,D鍵盤を、「32〜47」であればD,E鍵盤を、「48〜79」であればF鍵盤を、「80〜95」であればG,A鍵盤を、「96〜107」であればA,B鍵盤を、「108〜127」であればB鍵盤をそれぞれ点灯させて、「パン」もしくは「ベンダ」の制御量を視覚的に把握できるように案内する。
【0037】
一方、選択されたパラメータが「パン」もしくは「ベンダ」のいずれでもない場合には、上記ステップSF1の判断結果が「NO」となり、ステップSF3以降に処理を進め、スイッチ33a〜33dの操作により指定される「ガイド方法」に基づいて、ガイド表示データPを指定された「ガイド範囲」で表示する。以下、スイッチ33a〜33dの操作により指定される「ガイド方法」別に動作説明する。
【0038】
▲1▼スイッチ33aが操作された場合
この場合、ステップSF3の判断結果が「YES」となり、ステップSF4に処理を進め、レジスタAREAの値に対応した1オクターブの鍵域において、レジスタPにストアされるガイド表示データの値に比例した鍵数分を点灯させる。例えば、鍵域AREA1がガイド範囲に設定され、レジスタPにストアされるガイド表示データの値が「0.71」であった場合、図14に図示するように、鍵域AREA1のC鍵からG鍵までが点灯される。こうした点灯範囲でパラメータをレベル表示することにより視覚的に演奏形態を案内し得ることになる。
【0039】
▲2▼スイッチ33bが操作された場合
この場合、ステップSF5の判断結果が「YES」となり、ステップSF6に処理を進め、レジスタAREAの値に対応した1オクターブの鍵域を、レジスタPにストアされるガイド表示データの値に比例した明るさ(輝度)で点灯させる。
例えば、鍵域AREA2がガイド範囲に設定され、レジスタPにストアされるガイド表示データの値が「0.5」であると、図15に図示するように、鍵域AREA2の全鍵が50%輝度で点灯駆動される。
【0040】
▲3▼スイッチ33cが操作された場合
この場合、図13に示すステップSF7の判断結果が「YES」となり、ステップSF8に処理を進め、レジスタAREAの値に対応した1オクターブの鍵域を、レジスタPにストアされるガイド表示データPの比率で「赤色」点灯する一方、(1−P)の比率で「青色」点灯する。
例えば、鍵域AREA1で押鍵案内されている時に、鍵域AREA3がガイド範囲に設定された場合には、図16に図示するように、レジスタPにストアされるガイド表示データの値に応じて鍵域AREA3の各鍵に配設される発光手段2aの発光色調が変化する。つまり、ガイド表示データの値が大きい程「赤色」に、値が小さい程「青色」に変化する。
【0041】
▲4▼スイッチ33dが操作された場合
この場合、ステップSF9の判断結果が「YES」となり、ステップSF10に処理を進め、レジスタAREAの値に対応した1オクターブの鍵域を、レジスタPにストアされるガイド表示データPに応じた点滅周期で点灯駆動する。
例えば、鍵域AREA2で押鍵案内されている時に、鍵域AREA4がガイド範囲に設定された場合には、図17に図示するように、レジスタPにストアされるガイド表示データの値に応じて鍵域AREA3の各鍵に配設される発光手段2aの点滅周期が変化する。つまり、ガイド表示データの値が大きい程、点滅周期が長くなりゆっくり点滅し、値が小さくなる程、点滅周期が短くなり速く点滅する。
【0042】
以上のように、本実施例によれば、発音すべき音高とその発音タイミングとを表す曲データを再生して、各鍵に対応して配設される発光手段2aの内、押鍵すべき鍵に対応する発光手段2aを点灯させて押鍵案内する演奏案内装置において、演奏形態を表わす複数種のパラメータを曲データのイベント進行順に対応して記憶させておき、これら複数種のパラメータの内から指定されたパラメータを曲データの再生に同期して読み出してガイド表示データPに変換し、このガイド表示データPに従い、ガイド用に設定された鍵域の各鍵に配設される発光手段2aを、指定された表示形態で点灯駆動することにより、鍵盤上で押鍵案内と同時に演奏形態が案内される結果、鍵盤から視線を外すことなく、各種パラメータに応じた演奏形態を感覚的に案内することが可能になっている。
【0043】
なお、上述した実施例では、説明の簡略化を図る為、複数種のパラメータの内から唯一選択されるパラメータに従って演奏形態を案内するようにしたが、これに限らず、同時に複数のパラメータを選択し、これらパラメータをそれぞれ異なる鍵域において異なる表示形態に従って同時案内することも当然可能である。
また、本実施例では、押鍵案内する鍵域と演奏形態を案内する鍵域とが重複しないよう1オクターブ分離間させているが、これに替えて、押鍵案内する表示形態と演奏形態を案内する表示形態とを異ならせて同一鍵域で両者を案内するようにしても良く、このようにすれば弾くべき鍵とパラメータ量とが同一鍵域で一目瞭然となり、視認性が一層向上する。
【0044】
【発明の効果】
請求項1及び2に記載の発明によれば、パラメータ記憶手段に記憶されているパラメータを曲データの再生に同期して読み出し、この読み出したパラメータを、曲データに基づき押鍵案内されている鍵域とは異なる鍵域にて表示させるので、鍵盤上で押鍵案内と同時に演奏形態が案内される結果、鍵盤から視線を外すことなく、各種パラメータに応じた演奏形態を感覚的に案内することができる。
請求項3に記載の発明によれば、パラメータは、押鍵案内されている鍵域から常に所定音程分離れた鍵域にて表示させるので、押鍵案内とパラメータとが一定の視界中にて混在することなく表示されて、より良好に演奏形態を案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】パネルスイッチ群3に設けられる主要スイッチを説明するための図である。
【図3】ROM6に記憶される曲データの構成を示す図である。
【図4】RAM7に記憶されるパラメータ群PRGの構成を示す図である。
【図5】メインルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図6】発音処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図7】パラメータ選択処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図8】パラメータ選択処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図9】表示範囲決定処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図10】表示範囲決定処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図11】表示範囲決定処理ルーチンの動作を説明するための図である。
【図12】表示方法決定処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図13】表示方法決定処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図14】表示方法決定処理ルーチンの動作を説明するための図である。
【図15】表示方法決定処理ルーチンの動作を説明するための図である。
【図16】表示方法決定処理ルーチンの動作を説明するための図である。
【図17】表示方法決定処理ルーチンの動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1 鍵盤
2 押鍵ガイド部(案内手段)
2a 発光手段(発光手段)
2b ドライバ
3 パネルスイッチ群(演奏形態案内手段)
4 表示部
5 CPU(演奏形態案内手段)
6 ROM
7 RAM(パラメータ記憶手段)
8 音源
9 D/A変換回路
10 サウンドシステム

Claims (3)

  1. 発音すべき音高とその発音タイミングとを表す曲データを再生して、鍵盤の各鍵に対応して配設される発光手段の内、押鍵すべき鍵に対応する発光手段を点灯させて押鍵案内する案内手段を備える演奏案内装置において、
    前記鍵盤を複数の鍵域に分けて、前記案内手段で押鍵案内されている鍵が含まれる鍵域を検出する押鍵案内鍵域検出手段と、
    演奏形態を表すパラメータを前記曲データに対応させて記憶するパラメータ記憶手段と、
    このパラメータ記憶手段に記憶されているパラメータを前記曲データの再生に同期して読み出し、この読み出したパラメータを前記押鍵案内鍵域検出手段で検出された鍵域とは異なる鍵域にて表示させる演奏形態表示手段と
    を具備することを特徴とする演奏案内装置。
  2. 前記演奏形態表示手段は、前記押鍵案内鍵域検出手段で検出された鍵域から常に所定音程分離れた鍵域にて、前記読み出したパラメータを表示させることを特徴とする請求項1記載の演奏案内装置。
  3. 発音すべき音高とその発音タイミングとを表す曲データを再生して、鍵盤の各鍵に対応して配設される発光手段の内、押鍵すべき鍵に対応する発光手段を点灯させて押鍵案内する演奏案内方法において、
    前記鍵盤を複数の鍵域に分けて、前記押鍵案内されている鍵が含まれる鍵域を検出し、演奏形態を表すパラメータを前記曲データに対応させて記憶しているパラメータ記憶手段から前記曲データの再生に同期してパラメータを読み出し、この読み出したパラメータを前記検出された鍵域とは異なる鍵域にて表示させることを特徴とする演奏案内方法
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