JP3767335B2 - 自動車のドアヒンジ取付治具及びドア建付方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車組立ラインにおいてドアを車体に建て付けるドア建付方法及びドアヒンジを車体に取り付けるドアヒンジ取付治具に関し、特に車体精度のバラツキが不可避的に生じてもドアの建付精度を高めることができるドア建付方法及びドアヒンジ取付治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のドア建付治具に関しては、たとえば特開平8−39364号公報に開示されたものが知られている。
【0003】
このドア建付治具は、車体のサイドシルと平行に位置決めされる横フレームと、この横フレームの前方に結合された縦フレームとからなり、縦フレームにドアヒンジを車幅方向、高さ方向及び前後方向に位置決め保持する上下一対のヒンジセット部と、上下方向及び前後方向の調整が可能であり、フロントピラーの基準孔に係合する第1基準ロケート部と、治具固定用クランプとを備え、横フレームの後方には上下方向及び前後方向の調整が可能であり、センターピラーの基準孔に係合する第2基準ロケート部とを備えている。
【0004】
このドア建付治具によれば、ドア建付治具の所定の位置にドアヒンジを装着した後、ドア建付治具を車体に位置決めして車体側にドアヒンジを固着する。その後、ドア建付治具を取り外した後、ドアをドアヒンジのドア側ヒンジ部に取り付ける。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のドア建付治具では、ドアヒンジをドア建付治具に固着した状態で車体側にドアヒンジを装着することとしていたため、車体のヒンジピラー面の傾きに(XZ面、XY面)バラツキがある場合、アッパドアヒンジまたはロアドアヒンジいずれか一方のヒンジをボルトで車体に締め付けた時に、もう一方のヒンジとピラーヒンジ面に隙間が生じ、もう一方のドアヒンジを締め付けると治具が撓み、ドア取付側のヒンジ間のピッチの誤差が増大するという問題があった。
【0006】
また、従来のドア建付治具では、フロントドアとリアドアを車体に取り付ける場合においてもフロントドア及びリアドアをそれぞれ別個に建て付けていたため、フロントドアとフロントピラー間及びリアドアとセンターピラー間の調整のほか、フロントドアとリアドア間の調整も必要となり、工程が複雑となっていた。
【0007】
さらに、従来のドア建付治具では、ドア建付治具を車体に拘束するために縦フレームのほぼ中央に一箇所クランプを設け、ピラーを介して車体に位置決めする方法を採っていたため、クランプ部の深さ(X方向)寸法にバラツキがある場合、クランプ力にバラツキが生じ、弱すぎると拘束できなくなり、強すぎるとドア建付治具が撓み、ドアヒンジの取付位置精度が悪くなるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、ドアの建付精度を向上させるドア建付方法及びドアヒンジ取付治具を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、請求項1記載の発明によれば、車体の前後方向に位置決めされる横フレームと車体の上下方向に位置決めされる縦フレームとを有する治具本体と、
前記縦フレームに設けられ、アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジのそれぞれを装着する上下一対のヒンジセット部と、
前記治具本体に設けられ、車体に対して当該治具本体を位置決めする第1基準ロケート部及び第2基準ロケート部と、を有するドアヒンジ取付治具において、前記ヒンジセット部は、前記アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジのドア側ヒンジ部を位置決めする上下各2本の位置決めピンを有し、アッパドアヒンジの上側位置決めピン及びロアドアヒンジの下側位置決めピンは前記ドア側ヒンジ部の取付孔に対し填め合わされ、アッパドアヒンジの下側位置決めピン及びロアドアヒンジの上側位置決めピンは前記ドア側ヒンジ部の取付孔に隙間をもって挿入されることを特徴とするドアヒンジ取付治具が提供される。
【0010】
この請求項1記載のドアヒンジ取付治具では、ドアヒンジのドア側ヒンジ部をドアヒンジ取付治具に装着するとき、アッパドアヒンジの上側位置決めピン及びロアドアヒンジの下側位置決めピンはドア側ヒンジ部の取付孔に対し填め合わせ、また、アッパドアヒンジの下側位置決めピン及びロアドアヒンジの上側位置決めピンはドア側ヒンジ部の取付孔に隙間をもって挿入する。
【0011】
そして、第1及び第2基準ロケート部を車体に設けられた基準孔に係合することにより、ドア建付治具本体を車体に対し位置決めした後、ドアヒンジの車体側ヒンジ部とヒンジピラー面を固定し、この車体側ヒンジ部を車体に固定する。これによりドアヒンジが車体に固定されるので、ドアヒンジ取付治具を取り外し、他の治具を装着するなどしてドアをドアヒンジのドア側ヒンジ部に固定する。以上で、ドアが車体に建て付けられる。
【0012】
ドアヒンジ取付治具を用いてドアヒンジを車体に取り付ける場合、車体のヒンジピラー面は、車体の構成要素や組み立て時の工程数が多く、誤差が累積されるため、その傾きにバラツキが不可避的に生じる。このため、車体側ヒンジ部をピラーに固定する際に、ドア側ヒンジ部はXZ面及びZY面上での回転を生じる。
【0013】
しかしながら、本発明のドアヒンジ取付治具においては、前述のように位置決めピンの一方が取付孔に対し隙間をもって挿入されているため、XZ面での回転はドアヒンジ自体が回転することによりドアヒンジ取付治具に撓みを吸収できる。また、XY面上の回転はドアヒンジ自体が開閉することによりドアヒンジ取付治具に撓みを生じさせることはない。
【0014】
これにより、ドアヒンジ取付治具にドアヒンジを固定していた場合に生じる縦フレームの撓みによるアッパドアヒンジおよびロアドアヒンジ間のピッチの建付精度を改善することができる。
【0015】
(2)上記目的を達成するために、請求項2記載の発明によれば、車体の前後方向に位置決めされる横フレームと車体の上下方向に位置決めされる2つの縦フレームとを有する治具本体と、
前記縦フレームのそれぞれに設けられ、アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジのそれぞれを装着する上下一対のヒンジセット部と、
前記治具本体に設けられ、車体に対して当該治具本体を位置決めする第1基準ロケート部及び第2基準ロケート部と、を有するドアヒンジ取付治具において、前記ヒンジセット部は、前記アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジのドア側ヒンジ部を位置決めする上下各2本の位置決めピンを有し、アッパドアヒンジの上側位置決めピン及びロアドアヒンジの下側位置決めピンは前記ドア側ヒンジ部の取付孔に対し填め合わされ、アッパドアヒンジの下側位置決めピン及びロアドアヒンジの上側位置決めピンは前記ドア側ヒンジ部の取付孔に隙間をもって挿入されることを特徴とするドアヒンジ取付治具が提供される。
【0016】
本発明においては、請求項1記載の発明と同様に、ドア取付側のドアヒンジ間のピッチの建付精度を改善できるとともに、フロントドアとリアドアの両方を車体に取り付ける場合における、フロントドアとフロントピラー間、リアドアとセンターピラー間およびフロントドアとリアドア間の調整を簡略化することができる。
【0017】
すなわち、従来のドアヒンジ取付治具では、フロントドアとリアドア両方を車体に取り付ける場合においても、フロントドア及びリアドアをそれぞれ別個に建て付けていたため、フロントドアとフロントピラー間及びリアドアとセンターピラー間の調整のほか、フロントドアとリアドア間の調整も必要となり、工程が複雑となっていた。
【0018】
しかしながら、本発明によれば、前方の縦フレームにフロントドア用ヒンジ部を、後方の縦フレームにリアドア用ヒンジ部をそれぞれ装着することにより、ドアヒンジ取付治具内でフロントドアとリアドアのドアヒンジ間の相対位置が決定され、これによりリアドアに対するフロントドア、または、フロントドアに対するリアドアの調整が不要となる。その結果、工程の簡略化を図ることができる。
【0019】
(3)上記発明におけるドアヒンジ取付治具を車体に固定する方法については、特に限定されてないが、請求項3記載の発明のように、車体に固定するためのクランプを有し、前記クランプは、前記治具本体を車体に位置決めした状態で、前記ドアヒンジの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面のほぼ裏側のピラー面を押圧するよう設置さていることが好ましい。
【0020】
本発明によれば、前記ドアヒンジの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面のほぼ裏側のピラー面を押圧するため、縦フレームを上下2箇所のクランプにより車体に固定することとなるが、従来のドアヒンジ取付治具では2箇所で固定すると、前記不可避的に発生するヒンジピラー面の傾きにより治具本体の撓みを増長し、アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジ間のピッチの誤差を増大させることとなった。
【0021】
しかしながら、本発明の場合、ヒンジピラー面が傾いていても、ドアヒンジ自体が回転、または、開閉することによりヒンジピラー面の傾きに倣うため、ドアヒンジ取付治具に撓みを生じさせることなく、2箇所で十分な締付力をもって固定することができる。
【0022】
(4)請求項3記載の発明では特に限定されないが、請求項4記載の発明のように、前記クランプは、クランプ方向にクランプ軸を可動状態で付勢する弾性体を有することが好ましい。
【0023】
ドアヒンジ取付治具はクランプにより車体に固定されるが、クランプにより押圧されるピラー面とドアヒンジの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面との間の寸法にはバラツキがあるため、前記クランプによる締付力は一定しない。
【0024】
本発明によれば、上述のような寸法のバラツキがあった場合においても、クランプ軸自体が寸法のバラツキに対してクランプ方向に弾性的に変化するため、前記寸法のバラツキによる締付力の変動を低減することができる。
【0025】
(5)上記発明においては特に限定されないが、請求項5記載の発明では、前記第1基準ロケート部および第2基準ロケート部の一方は、フロントピラーに設けられた基準孔に係合され、他方はセンターピラーに設けられた基準孔に係合される。
【0026】
一般的にドアの建付は、リヤフェンダを基準にリヤドア、フロントドア、フロントフェンダという順で位置合わせを行うので、後方から取付けるという工順になる。
【0027】
しかし、車体側面が前方部とリヤフェンダ部に分割されている場合においては、両者を結合した際、各々の部材のバラツキのほか、接合によるバラツキも発生する。
【0028】
このような場合においても、車体側面及びルーフによって構成されるドア取付開口部に対する隙が、YZ平面で上下左右ほぼ均等になるように取り付けるためには、フロントドアもリヤドアも車体側面全体に対して位置出しすることが望ましい。
【0029】
この点、本発明においては、前記第1基準ロケート部および第2基準ロケート部の一方はフロントピラーに設けられた基準孔に係合され、他方はセンタピラーに設けられた基準孔に係合されるため、フロントピラーまたはリアピラーいずれをも基準として位置出しすることができる。
【0030】
(6)上記発明においては特に限定されていないが、請求項6記載の発明では、前記第1基準ロケート部および第2基準ロケート部の一方はフロントピラーに設けられた基準孔に係合され、他方はリアフェンダに設けられた基準孔に係合される。
【0031】
前述のように、フロントドアおよびリアドアは通常リアフェンダを基準として後方より位置決めされる。本発明によれば、フロントドアとリアドアを同時に取り付けるときの一方の基準孔としてリアフェンダ上の基準孔を用いるため、通常2回に分けて行われるリアフェンダに対するリアドア、リアドアに対するフロントドアの調整が1回で行うことができ、工程の簡素化を図ることができる。
【0032】
また、基準孔の径には通常一定の余裕代(遊び)が設けられているが、基準孔をリアフェンダとフロントピラーに設けることにより、センタピラーに基準孔を設けた場合に比べて、基準孔間の間隔を広く取ることができ、前記基準孔の径の遊びにより生じるYZ面上のバラツキを低減できる。
【0033】
(7)上記目的を達成するために、請求項7記載の発明によれば、アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジの車体側ヒンジ部をそれぞれ車体に取り付けた後、ドアを前記それぞれのドアヒンジのドア側ヒンジ部に取り付けるドア建付方法において、
前記アッパドアヒンジのドア側ヒンジ部の上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジのドア側ヒンジ部の下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定しながら、前記アッパドアヒンジのドア側ヒンジ部の下側の取付孔及び前記ロアドアヒンジのドア側ヒンジ部の上側の取付孔を前記車体に対する建付調整用孔として建て付けることを特徴とするドア建付方法が提供される。
【0034】
この請求項7記載のドア建付方法では、アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジの車体側ヒンジ部をそれぞれ車体に取り付けた後、ドアを前記それぞれのドアヒンジのドア側ヒンジ部に取り付ける。
【0035】
この場合、車体は、構成要素や組み立て時の工程数が多く誤差が累積されるため、その傾きにバラツキが不可避的に生じる。このため、車体側ヒンジ部を車体に固着する際に、ドア側ヒンジ部はXZ面上及びZY面上での回転を生じる。
【0036】
本件ドア建付方法においては、前述のように取付孔の一方が前記車体に対する建付調整孔とされているため、XZ面での回転はドアヒンジ自体が回転することにより、また、XY面上の回転はドアヒンジ自体が開閉することによりドア建付精度を改善することができる。
【0037】
(8)上記目的を達成するために、請求項8記載の発明によれば、フロントドアおよびリヤドアそれぞれのアッパドアヒンジおよびロアドアヒンジの車体側ヒンジ部をそれぞれ車体に固定した後に、前記フロントドアおよび前記リヤドアを前記それぞれのドアヒンジのドア側ヒンジ部に取り付けるドア建付方法において、前記アッパドアヒンジのドア側ヒンジ部の上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジのドア側ヒンジ部の下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定しながら、前記アッパドアヒンジのドア側ヒンジ部の下側の取付孔及び前記ロアドアヒンジのドア側ヒンジ部の上側の取付孔を前記車体に対する建付調整用孔として建て付けることを特徴とするドア建付方法が提供される。
【0038】
本発明においては、前記請求項7記載の発明と同様に、ドア建付精度を改善できるとともに、前記アッパドアヒンジの下側の取付孔及び前記ロアドアヒンジの上側の取付孔を前記車体に対する建付調整用孔として用いることにより、フロントドアとフロントピラー間、リアドアとセンターピラー間およびフロントドアとリアドア間の調整を容易に行うことができる。これにより、工程の簡略化を図ることができる。
【0039】
(9)上記発明においては、前記アッパドアヒンジの上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジの下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定する方法については、特に限定されないが、請求項9記載の発明のように、前記ドアヒンジの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面のほぼ裏側のピラー面を押圧して固定することが好ましい。
【0040】
本発明によれば、前記ドアヒンジの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面のほぼ裏側のピラー面を押圧するため、十分な押圧力をもって固定することができる。
【0041】
(10)請求項9記載の発明では特に限定されないが、請求項10記載の発明のように、前記押圧力は前記押圧方向に対して可動状態で弾性付勢することが好ましい。
【0042】
前記アッパドアヒンジの上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジの下側の取付孔は押圧されることにより車体に固定されるが、押圧されるピラー面とドアヒンジの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面との間の寸法にはバラツキがあるため、押圧力は一定しない。
【0043】
しかしながら、本発明によれば、上述のような寸法のバラツキがあった場合においても、前記押圧力がが寸法のバラツキに対して前記押圧方向に弾性的に変化するため前記寸法のバラツキによる押圧力の変動を低減することができる。
【0044】
(11)上記発明においては特に限定されないが、請求項11記載の発明では、前記アッパドアヒンジの上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジの下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定する際に、フロントピラーおよびセンターピラーを車体の基準とする。
【0045】
一般的にドアの建付は、リヤフェンダを基準にリヤドア、フロントドア、フロントフェンダという順で位置合わせを行うので、後方から取付けるという工順になる。
【0046】
しかし、車体側面が前方部とリヤフェンダ部に分割されている場合においては、両者を結合した際、各々の部材のバラツキのほか、接合によるバラツキも発生する。
【0047】
このような場合においても、車体側面及びルーフによって構成されるドア取付開口部に対する隙が、YZ平面で上下左右ほぼ均等になるように取り付けるためには、フロントドアもリヤドアも車体側面全体に対して位置出しすることが望ましい。
【0048】
この点、本発明は、前記アッパドアヒンジの上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジの下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定する際に、フロントピラーおよびセンターピラーを車体の基準とするため、フロントピラーまたはリアピラーいずれをも基準として位置出しすることができる。
【0049】
(12)上記発明においては特に限定されないが、請求項12記載の発明では、前記アッパドアヒンジの上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジの下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定する際に、フロントピラーおよびリヤフェンダを車体の基準とする。
【0050】
前述のようにフロントドアおよびリアドアは通常リアフェンダを基準として後方より位置決めされる。本発明によれば、一方の基準孔としてリアフェンダ上の基準孔を用いるため、リアフェンダに対するリアドア、リアドアに対するフロントドアの調整を簡素化することができる。
【0051】
【発明の効果】
(1)請求項1記載のドアヒンジ取付治具によれば、位置決めピンの一方が取付孔に対し隙間をもって挿入されているため、XZ面での回転はドアヒンジ自体が回転することによりドアヒンジ取付治具に撓みを生じさせず、また、XY面上の回転はドアヒンジ自体が開閉することによりドアヒンジ取付治具に撓みを生じさせることはない。
【0052】
これにより、ドアヒンジ取付治具にドアヒンジを固着させていた場合に生じる縦フレームの撓みによるアッパドアヒンジおよびロアドアヒンジ間のピッチの建付精度を改善することができる。
【0053】
(2)請求項2記載のドアヒンジ取付治具によれば、前方の縦フレームにフロントドア用ヒンジ部を、後方の縦フレームにリアドア用ヒンジ部を装着することにより、ドアヒンジ取付治具内でフロントドアとリアドアのドアヒンジ間の相対位置が決定されるためリアドアに対するフロントドア、または、フロントドアに対するリアドアの調整が不要となる。これにより、工程の簡略化を図ることができる。
【0054】
(3)請求項3記載の発明によれば、ヒンジピラー面が傾いていても、ドアヒンジ自体が回転、または、開閉することによりヒンジピラー面の傾きに倣うため、ドアヒンジ取付治具に撓みを生じさせることなく、2箇所で十分な締付力をもって固定することができる。
【0055】
(4)請求項4記載の発明によれば、上述のような寸法のバラツキがあった場合においても、クランプ軸自体が寸法のバラツキに対してクランプ方向に弾性的に変化するため前記寸法のバラツキによる締付力の変動を低減することができる。
【0056】
(5)請求項5記載の発明によれば、第1基準ロケート部および第2基準ロケート部の一方はフロントピラーに設けられた基準孔に係合され、他方はリヤフェンダに設けられた基準孔に係合されるため、フロントピラーまたはリアピラーいずれをも基準として位置出しすることができる。
【0057】
(6)請求項6記載の発明によれば、フロントドアとリアドアを同時に取り付けるときの一方の基準孔としてリアフェンダ上の基準孔を用いるため、通常2回に分けて行われるリアフェンダに対するリアドア、リアドアに対するフロントドアの調整が1回で行うことができ工程の簡素化を図ることができる。
【0058】
また、基準孔の径には通常一定の遊びが設けられているが、基準孔をリアフェンダとフロントピラーに設けているため、センタピラーに基準孔を設けた場合に比べて、基準孔間の間隔を広く取ることができ、前記基準孔の径の遊びにより生じるYZ面上のバラツキを低減できる。
【0059】
(7)請求項7記載の発明によれば、取付孔の一方が前記車体に対する建付調整孔とされているため、XZ面での回転はドアヒンジ自体が回転することにより、また、XY面上の回転はドアヒンジ自体が開閉することによりドア建付精度を改善することができる。
【0060】
(8)請求項8記載の発明によれば、請求項7記載の発明と同様にドア建付精度を改善できるとともに、前記アッパドアヒンジの下側の取付孔及び前記ロアドアヒンジの上側の取付孔を前記車体に対する建付調整用孔として用いることにより、フロントドアとフロントピラー間、リアドアとセンターピラー間およびフロントドアとリアドア間の調整を容易に行うことができる。これにより、工程の簡略化を図ることができる。
【0061】
(9)請求項9記載の発明によれば、前記ドアヒンジの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面のほぼ裏側のピラー面を押圧するため、十分な押圧力をもって固定することができる。
【0062】
(10)請求項10記載の発明によれば、押圧されるピラー面とドアヒンジの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面との間の寸法のバラツキがあった場合においても、前記押圧力がが寸法のバラツキに対して前記押圧方向に弾性的に変化するため前記寸法のバラツキによる押圧力の変動を低減することができる。
【0063】
(11)請求項11記載の発明によれば、前記アッパドアヒンジの上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジの下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定する際に、フロントピラーおよびセンターピラーを車体の基準とするため、フロントピラーまたはリアピラーいずれをも基準として位置出しすることができる。
【0064】
(12)請求項12記載の発明によれば、一方の基準孔としてリアフェンダ上の基準孔を用いるため、リアフェンダに対するリアドア、リアドアに対するフロントドアの調整を簡素化することができる。
【0065】
【発明の実施の形態】
以下、本件発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0066】
第1実施形態
図1(A)(B)は第1実施形態のドアヒンジ取付治具の正面図および平面図、図2は本発明の第1実施形態であるフロントピラーおよびセンターピラーに基準孔を設けてドアヒンジ取付治具を車体に装着した状態の側面図、図3(A)(B)はドアヒンジ取付治具を用いてアッパドアヒンジをピラーに装着した状態の平面図および側面図、図4は本発明のクランプを用いてドアヒンジ取付治具をピラーに固定した状態の平面図、図5は本発明のクランプ方向にクランプ軸を可動状態で付勢する弾性体を有するクランプの詳細図である。
【0067】
本例では、ドアヒンジHU,HLを介して車体Bにドア(不図示)を建て付けるにあたり、以下に説明する治具を用いてドアヒンジHU,HLを車体Bに取り付け、このドアヒンジが取り付けられた車体Bにドアを建て付ける方法が採用されている。これは以下の理由による。
【0068】
すなわち、車体側はボディサイドアウタ、ヒンジブレース、ダッシュロア等々、構成部品が多く、また組立工程数も多いので、誤差が累積され、ドアヒンジが取り付けられるピラー面の傾きを抑制することは現実的には無理である。したがって、ピラー面が傾いたままドアヒンジを取り付けると、ピラー面とドアヒンジとの間に隙間が存在する状態で締め付けられることになり、ドアもしくはドアヒンジが弾性変形を起こし、内部応力が残留した状態で塗装工程および部品組付工程へ送られる。ここで、何らかの理由によりドアを取り外してしまうと残留内部応力が開放され、再建付が困難となる。
【0069】
そこで、本実施形態では、先にドアヒンジを車体に取り付け、次にドアを建て付ける工程が採用されている。そして、ドアヒンジを車体に取り付ける際は、車体に対して部品数も工程数も少なく、したがって組み付け精度が比較的確保し易いドアのヒンジ面を基準として取り付けることで、上述した車体側の精度不良を吸収することができ、後工程でドアを取り外しても再建付する際に精度良くドアを建て付けることができる。
【0070】
本実施形態のドアヒンジ取付治具100は、図1に示すように、車体Bの前後方向に位置決めされる横フレーム1と、車体の上下方向に位置決めされる縦フレーム2とを有し、縦フレーム2には、上下一対のヒンジセット部3a,3bが、また、治具本体前部には第1基準ロケート部4が、治具本体後部には第2基準ロケート部5が、それぞれ取り付けられている。さらに、本実施形態においては、治具本体1を車体Bに固定するためのクランプ7が治具本体の前部に上下2個、後部に1個、それぞれ設けられている。
【0071】
図2に示すように、ドアヒンジ取付治具100は、フロントピラーP1に設けられた基準孔PP1に第1ロケート部4を、センターピラーP2に設けられた基準孔PP2に第2基準ロケート部5を係合することにより車体Bに対して位置決めされる。
【0072】
このようにして位置決めされたドアヒンジ取付治具100を、クランプ7によりフロントピラーP1およびセンタピラーP2に押圧して固定した後、アッパドアヒンジHUおよびロアドアヒンジHLのドア側ヒンジ部HU1,HL1をヒンジセット部3a,3bに装着し、これらアッパドアヒンジHUおよびロアドアヒンジHLの車体側ヒンジ部HU2,HL2をボルトにより車体Bに締め付ける。そしてドアヒンジ取付治具100を車体Bから取り外し、図外のドアをドア側ヒンジ部HU1,HL1にボルト締めすることで、ドアの建付を完了する。
【0073】
図3は、本実施形態のドアヒンジ取付治具100を用いてアッパドアヒンジHUをフロントピラーP1に装着した状態を示している。アッパドアヒンジHUは、ボルトによりピラーP1に締め付けられるが、この際不可避的に発生する誤差によりヒンジピラー面Mは傾きを有することがある。このため、固定されるアッパドアヒンジHU自体もXZ面上およびXY面上での回転を生じる。
【0074】
本実施形態においては、アッパドアヒンジHUのドア側ヒンジ部HU1の上側位置決めピン6aは、ドア側ヒンジ部HU1の取付孔に対して填め合わされており、アッパドアヒンジHUの下側位置決めピン6bはドア側ヒンジ部HU1の取付孔に対して隙間をもって挿入されている。このため、図3(B)に示されるように、XZ面上での回転に対してはアッパドアヒンジHUは、上側位置決めピン6aを中心とした方向Rに回転可能であり、これにより前記XZ面上での誤差を吸収することができる。
【0075】
また、XY面上での誤差に対しては、図3(A)に示されるようにアッパドアヒンジ自体の開閉を調整することにより対応することが可能である。
【0076】
以上、アッパドアヒンジHUを例として説明したが、ロアドアヒンジHLにおいても、ドア側ヒンジ部HL1の下側位置決めピン6をドア側ヒンジ部HL1の取付孔に対して填め合わせ、上側位置決めピン6はドア側ヒンジ部HL1の取付孔に対して隙間をもって挿入することにより、上記効果と同様の効果を奏する。
【0077】
これにより、縦フレーム2はヒンジピラー面Mに不可避的に発生する傾きによる撓みを生じさせることがなく、撓みによるアッパドアヒンジHUおよびロアドアヒンジHL間のピッチL(図1参照)の誤差も解消することができる。
【0078】
ちなみに、図4はクランプ7を用いてドアヒンジ取付治具100をピラーPに固定した状態を示す。本実施形態においては、クランプ7は、治具本体を車体Bに位置決めした状態で、ドアヒンジHLの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面のほぼ裏側のピラー面Nを押圧するよう設置さている。
【0079】
本実施形態によれば、ドアヒンジHUの車体側ヒンジ部HU2が取り付けられたピラー面Mのほぼ裏側のピラー面Nを押圧するため、縦フレーム2を上下2箇所のクランプ7により車体Bに固定しているが、従前のドアヒンジ取付治具では2箇所で固定すると、前記不可避的に発生するヒンジピラー面Mの傾きにより治具本体の撓みを増長し、アッパおよびロアヒンジHU,HL間のピッチLの誤差を増大させることとなった。
【0080】
しかしながら本実施形態の場合、ヒンジピラー面Mが傾いていても、ドアヒンジHU自体が回転、または、開閉することによりヒンジピラー面Mの傾きに倣うため、ドアヒンジ取付治具100に撓みを生じさせることなく、2箇所で十分な締付力をもって固定することができる。
【0081】
図5は、クランプ7の他の実施形態を示す図であり、クランプ軸方向Kにクランプ軸8を可動状態で付勢する弾性体9を有するクランプ7を示している。
【0082】
本実施形態においては、クランプ軸8はクランプ7に対して固定されておらず、弾性体9を設けることによりクランプ軸8はクランプ方向Kに動くことができる。ドアヒンジ取付治具100はクランプ7により車体Bに固定されるが、クランプ7により押圧されるピラー面Nとドアヒンジの車体側ヒンジ部HU2が取り付けられたピラー面Mとの間のクランプ部寸法Cにはバラツキがあるため、クランプ7による締付力は一定しない。
【0083】
しかしながら、本実施形態によれば、クランプ軸8自体がクランプ部寸法Cのバラツキに対してクランプ軸方向Kに弾性的に変化するため、クランプ部寸法Cのバラツキによる締付力の変動を低減することができる。
【0084】
第2実施形態
図6(A)(B)は第2実施形態のドアヒンジ取付治具の正面図および平面図、図7は本発明の第2実施形態であるフロントピラーおよびリアフェンダに基準孔を設けて本件ドアヒンジ取付治具を車体に装着した状態の側面図である。
【0085】
図6に示すように、本実施形態のドアヒンジ取付治具100は、車体Bの前後方向に位置決めされる横フレーム1と車体の上下方向に位置決めされる2つの縦フレーム2a,2bを有し、縦フレーム2a,2bには、それぞれ上下一対のヒンジセット部3a,3bが、また、治具本体前部には第1基準ロケート部4が、治具本体後部には第2基準ロケート部5が、それぞれ取り付けられている。さらに、本実施形態においては、治具本体を車体Bに固定するためのクランプ7が、治具本体の前部および中央部に上下2個、後部に1個設けられている。
【0086】
図7に示すように、ドアヒンジ取付治具100は、フロントピラーP1に設けられた基準孔PP1に第1ロケート部4を、リアフェンダFに設けられた基準孔PPFに第2基準ロケート部5を、それぞれ係合させることにより車体Bに対して位置決めされる。
【0087】
このようにして位置決めされたドアヒンジ取付治具100を、クランプ7によりフロントピラーP1、センタピラーP2およびリアフェンダFに押圧しこてした後、フロントドアおよびリアドアそれぞれのアッパドアヒンジHUおよびロアドアヒンジHLのドア側ヒンジ部HU1,HL1をヒンジセット部3a,3bに装着し、フロントドアおよびリアドアそれぞれのアッパドアヒンジHUおよびロアドアヒンジHLの車体側ヒンジ部HU2,HL2をボルトにより車体Bに締め付ける。そして、ドアヒンジ取付治具100を車体Bから取り外し、フロントドアおよびリアドアをドア側ヒンジ部HU1,HL1にボルト締めすることで、ドアの建付を完了する。
【0088】
本実施形態においては、フロントドアとリアドアを同時に建付るため、建付工程を簡素化できる。すなわち、本実施形態では、ドアヒンジ取付治具100内においてフロントドアとリアドアのドアヒンジHU,HLの相対位置を決定した後、第2基準ロケート部5をリヤフェンダFに設けられた基準孔PPFに係合させ、リヤフェンダFを基準に車体Bに対するリヤドア、フロントドアの位置合わせを行う。このため、通常2回に分けて行われるリアフェンダFに対するリアドア、リアドアに対するフロントドアの調整をドアヒンジ取付治具100内で1回で行うことができる。
【0089】
また、基準孔の径には通常一定の遊びが設けられているが、基準孔をリアフェンダFとフロントピラーP1に設けているため、センタピラーP2に基準孔を設けた場合に比べて、基準孔間の間隔を広く取ることができ、基準孔の径の遊びより生じるYZ面上のバラツキを低減できる。
【0090】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、アッパドアヒンジHUの上側位置決めピン6及びロアドアヒンジHLの下側位置決めピン6はドア側ヒンジ部の取付孔に対し填め合わされ、アッパドアヒンジHUの下側位置決めピン6及びロアドアヒンジHLの上側位置決めピン6は前記ドア側ヒンジ部の取付孔に隙間をもって挿入されるため、ドアヒンジ取付治具100は、ピラーヒンジ面Mの傾きによる撓みを生じることなく、撓みによるアッパドアヒンジHUおよびロアドアヒンジHL間のピッチL(図6参照)の誤差も解消することができる。
【0091】
さらに、図3および4に示すようなクランプ7を用いて、第1実施形態と同様の効果を発現することができる。
【0092】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のドアヒンジ取付治具の第1実施形態を示す(A)正面図および(B)平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るドアヒンジ取付治具を車体に装着した状態を示す側面図である。
【図3】本発明のドアヒンジ取付治具を用いてアッパドアヒンジをピラーに装着した状態を示す(A)平面図および(B)側面図である。
【図4】本発明に係るクランプを用いてドアヒンジ取付治具をピラーに固定した状態を示す平面図である。
【図5】本発明に係るクランプの他の実施形態を示す平面図である。
【図6】本発明のドアヒンジ取付治具の第2実施形態を示す(A)正面図および(B)平面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るドアヒンジ取付治具を車体に装着した状態を示す側面図である。
【符号の説明】
B…車体
P…ピラー
P1…フロントピラー
P2…センタピラー
F…リアフェンダ
HU…アッパドアヒンジ
HL…ロアドアヒンジ
HU1,HL1…ドア側ヒンジ部
HU2,HL2…車体側ヒンジ部
M…ヒンジピラー面
N…クランプにより押圧されるピラー面
R…位置決めピンを中心とする回転方向
K…クランプ軸方向
L…アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジ間のピッチ
C…クランプ部寸法
1…横フレーム
2…縦フレーム
3a…上部ヒンジセット部
3b…下部ヒンジセット部
4…第1基準ロケート部
5…第2基準ロケート部
6a…上部位置決めピン
6b…下部位置決めピン
7a…前部クランプ
7b…中央部クランプ
7c…後部クランプ
8…クランプ軸
9…弾性体
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車組立ラインにおいてドアを車体に建て付けるドア建付方法及びドアヒンジを車体に取り付けるドアヒンジ取付治具に関し、特に車体精度のバラツキが不可避的に生じてもドアの建付精度を高めることができるドア建付方法及びドアヒンジ取付治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のドア建付治具に関しては、たとえば特開平8−39364号公報に開示されたものが知られている。
【0003】
このドア建付治具は、車体のサイドシルと平行に位置決めされる横フレームと、この横フレームの前方に結合された縦フレームとからなり、縦フレームにドアヒンジを車幅方向、高さ方向及び前後方向に位置決め保持する上下一対のヒンジセット部と、上下方向及び前後方向の調整が可能であり、フロントピラーの基準孔に係合する第1基準ロケート部と、治具固定用クランプとを備え、横フレームの後方には上下方向及び前後方向の調整が可能であり、センターピラーの基準孔に係合する第2基準ロケート部とを備えている。
【0004】
このドア建付治具によれば、ドア建付治具の所定の位置にドアヒンジを装着した後、ドア建付治具を車体に位置決めして車体側にドアヒンジを固着する。その後、ドア建付治具を取り外した後、ドアをドアヒンジのドア側ヒンジ部に取り付ける。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のドア建付治具では、ドアヒンジをドア建付治具に固着した状態で車体側にドアヒンジを装着することとしていたため、車体のヒンジピラー面の傾きに(XZ面、XY面)バラツキがある場合、アッパドアヒンジまたはロアドアヒンジいずれか一方のヒンジをボルトで車体に締め付けた時に、もう一方のヒンジとピラーヒンジ面に隙間が生じ、もう一方のドアヒンジを締め付けると治具が撓み、ドア取付側のヒンジ間のピッチの誤差が増大するという問題があった。
【0006】
また、従来のドア建付治具では、フロントドアとリアドアを車体に取り付ける場合においてもフロントドア及びリアドアをそれぞれ別個に建て付けていたため、フロントドアとフロントピラー間及びリアドアとセンターピラー間の調整のほか、フロントドアとリアドア間の調整も必要となり、工程が複雑となっていた。
【0007】
さらに、従来のドア建付治具では、ドア建付治具を車体に拘束するために縦フレームのほぼ中央に一箇所クランプを設け、ピラーを介して車体に位置決めする方法を採っていたため、クランプ部の深さ(X方向)寸法にバラツキがある場合、クランプ力にバラツキが生じ、弱すぎると拘束できなくなり、強すぎるとドア建付治具が撓み、ドアヒンジの取付位置精度が悪くなるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、ドアの建付精度を向上させるドア建付方法及びドアヒンジ取付治具を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、請求項1記載の発明によれば、車体の前後方向に位置決めされる横フレームと車体の上下方向に位置決めされる縦フレームとを有する治具本体と、
前記縦フレームに設けられ、アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジのそれぞれを装着する上下一対のヒンジセット部と、
前記治具本体に設けられ、車体に対して当該治具本体を位置決めする第1基準ロケート部及び第2基準ロケート部と、を有するドアヒンジ取付治具において、前記ヒンジセット部は、前記アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジのドア側ヒンジ部を位置決めする上下各2本の位置決めピンを有し、アッパドアヒンジの上側位置決めピン及びロアドアヒンジの下側位置決めピンは前記ドア側ヒンジ部の取付孔に対し填め合わされ、アッパドアヒンジの下側位置決めピン及びロアドアヒンジの上側位置決めピンは前記ドア側ヒンジ部の取付孔に隙間をもって挿入されることを特徴とするドアヒンジ取付治具が提供される。
【0010】
この請求項1記載のドアヒンジ取付治具では、ドアヒンジのドア側ヒンジ部をドアヒンジ取付治具に装着するとき、アッパドアヒンジの上側位置決めピン及びロアドアヒンジの下側位置決めピンはドア側ヒンジ部の取付孔に対し填め合わせ、また、アッパドアヒンジの下側位置決めピン及びロアドアヒンジの上側位置決めピンはドア側ヒンジ部の取付孔に隙間をもって挿入する。
【0011】
そして、第1及び第2基準ロケート部を車体に設けられた基準孔に係合することにより、ドア建付治具本体を車体に対し位置決めした後、ドアヒンジの車体側ヒンジ部とヒンジピラー面を固定し、この車体側ヒンジ部を車体に固定する。これによりドアヒンジが車体に固定されるので、ドアヒンジ取付治具を取り外し、他の治具を装着するなどしてドアをドアヒンジのドア側ヒンジ部に固定する。以上で、ドアが車体に建て付けられる。
【0012】
ドアヒンジ取付治具を用いてドアヒンジを車体に取り付ける場合、車体のヒンジピラー面は、車体の構成要素や組み立て時の工程数が多く、誤差が累積されるため、その傾きにバラツキが不可避的に生じる。このため、車体側ヒンジ部をピラーに固定する際に、ドア側ヒンジ部はXZ面及びZY面上での回転を生じる。
【0013】
しかしながら、本発明のドアヒンジ取付治具においては、前述のように位置決めピンの一方が取付孔に対し隙間をもって挿入されているため、XZ面での回転はドアヒンジ自体が回転することによりドアヒンジ取付治具に撓みを吸収できる。また、XY面上の回転はドアヒンジ自体が開閉することによりドアヒンジ取付治具に撓みを生じさせることはない。
【0014】
これにより、ドアヒンジ取付治具にドアヒンジを固定していた場合に生じる縦フレームの撓みによるアッパドアヒンジおよびロアドアヒンジ間のピッチの建付精度を改善することができる。
【0015】
(2)上記目的を達成するために、請求項2記載の発明によれば、車体の前後方向に位置決めされる横フレームと車体の上下方向に位置決めされる2つの縦フレームとを有する治具本体と、
前記縦フレームのそれぞれに設けられ、アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジのそれぞれを装着する上下一対のヒンジセット部と、
前記治具本体に設けられ、車体に対して当該治具本体を位置決めする第1基準ロケート部及び第2基準ロケート部と、を有するドアヒンジ取付治具において、前記ヒンジセット部は、前記アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジのドア側ヒンジ部を位置決めする上下各2本の位置決めピンを有し、アッパドアヒンジの上側位置決めピン及びロアドアヒンジの下側位置決めピンは前記ドア側ヒンジ部の取付孔に対し填め合わされ、アッパドアヒンジの下側位置決めピン及びロアドアヒンジの上側位置決めピンは前記ドア側ヒンジ部の取付孔に隙間をもって挿入されることを特徴とするドアヒンジ取付治具が提供される。
【0016】
本発明においては、請求項1記載の発明と同様に、ドア取付側のドアヒンジ間のピッチの建付精度を改善できるとともに、フロントドアとリアドアの両方を車体に取り付ける場合における、フロントドアとフロントピラー間、リアドアとセンターピラー間およびフロントドアとリアドア間の調整を簡略化することができる。
【0017】
すなわち、従来のドアヒンジ取付治具では、フロントドアとリアドア両方を車体に取り付ける場合においても、フロントドア及びリアドアをそれぞれ別個に建て付けていたため、フロントドアとフロントピラー間及びリアドアとセンターピラー間の調整のほか、フロントドアとリアドア間の調整も必要となり、工程が複雑となっていた。
【0018】
しかしながら、本発明によれば、前方の縦フレームにフロントドア用ヒンジ部を、後方の縦フレームにリアドア用ヒンジ部をそれぞれ装着することにより、ドアヒンジ取付治具内でフロントドアとリアドアのドアヒンジ間の相対位置が決定され、これによりリアドアに対するフロントドア、または、フロントドアに対するリアドアの調整が不要となる。その結果、工程の簡略化を図ることができる。
【0019】
(3)上記発明におけるドアヒンジ取付治具を車体に固定する方法については、特に限定されてないが、請求項3記載の発明のように、車体に固定するためのクランプを有し、前記クランプは、前記治具本体を車体に位置決めした状態で、前記ドアヒンジの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面のほぼ裏側のピラー面を押圧するよう設置さていることが好ましい。
【0020】
本発明によれば、前記ドアヒンジの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面のほぼ裏側のピラー面を押圧するため、縦フレームを上下2箇所のクランプにより車体に固定することとなるが、従来のドアヒンジ取付治具では2箇所で固定すると、前記不可避的に発生するヒンジピラー面の傾きにより治具本体の撓みを増長し、アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジ間のピッチの誤差を増大させることとなった。
【0021】
しかしながら、本発明の場合、ヒンジピラー面が傾いていても、ドアヒンジ自体が回転、または、開閉することによりヒンジピラー面の傾きに倣うため、ドアヒンジ取付治具に撓みを生じさせることなく、2箇所で十分な締付力をもって固定することができる。
【0022】
(4)請求項3記載の発明では特に限定されないが、請求項4記載の発明のように、前記クランプは、クランプ方向にクランプ軸を可動状態で付勢する弾性体を有することが好ましい。
【0023】
ドアヒンジ取付治具はクランプにより車体に固定されるが、クランプにより押圧されるピラー面とドアヒンジの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面との間の寸法にはバラツキがあるため、前記クランプによる締付力は一定しない。
【0024】
本発明によれば、上述のような寸法のバラツキがあった場合においても、クランプ軸自体が寸法のバラツキに対してクランプ方向に弾性的に変化するため、前記寸法のバラツキによる締付力の変動を低減することができる。
【0025】
(5)上記発明においては特に限定されないが、請求項5記載の発明では、前記第1基準ロケート部および第2基準ロケート部の一方は、フロントピラーに設けられた基準孔に係合され、他方はセンターピラーに設けられた基準孔に係合される。
【0026】
一般的にドアの建付は、リヤフェンダを基準にリヤドア、フロントドア、フロントフェンダという順で位置合わせを行うので、後方から取付けるという工順になる。
【0027】
しかし、車体側面が前方部とリヤフェンダ部に分割されている場合においては、両者を結合した際、各々の部材のバラツキのほか、接合によるバラツキも発生する。
【0028】
このような場合においても、車体側面及びルーフによって構成されるドア取付開口部に対する隙が、YZ平面で上下左右ほぼ均等になるように取り付けるためには、フロントドアもリヤドアも車体側面全体に対して位置出しすることが望ましい。
【0029】
この点、本発明においては、前記第1基準ロケート部および第2基準ロケート部の一方はフロントピラーに設けられた基準孔に係合され、他方はセンタピラーに設けられた基準孔に係合されるため、フロントピラーまたはリアピラーいずれをも基準として位置出しすることができる。
【0030】
(6)上記発明においては特に限定されていないが、請求項6記載の発明では、前記第1基準ロケート部および第2基準ロケート部の一方はフロントピラーに設けられた基準孔に係合され、他方はリアフェンダに設けられた基準孔に係合される。
【0031】
前述のように、フロントドアおよびリアドアは通常リアフェンダを基準として後方より位置決めされる。本発明によれば、フロントドアとリアドアを同時に取り付けるときの一方の基準孔としてリアフェンダ上の基準孔を用いるため、通常2回に分けて行われるリアフェンダに対するリアドア、リアドアに対するフロントドアの調整が1回で行うことができ、工程の簡素化を図ることができる。
【0032】
また、基準孔の径には通常一定の余裕代(遊び)が設けられているが、基準孔をリアフェンダとフロントピラーに設けることにより、センタピラーに基準孔を設けた場合に比べて、基準孔間の間隔を広く取ることができ、前記基準孔の径の遊びにより生じるYZ面上のバラツキを低減できる。
【0033】
(7)上記目的を達成するために、請求項7記載の発明によれば、アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジの車体側ヒンジ部をそれぞれ車体に取り付けた後、ドアを前記それぞれのドアヒンジのドア側ヒンジ部に取り付けるドア建付方法において、
前記アッパドアヒンジのドア側ヒンジ部の上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジのドア側ヒンジ部の下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定しながら、前記アッパドアヒンジのドア側ヒンジ部の下側の取付孔及び前記ロアドアヒンジのドア側ヒンジ部の上側の取付孔を前記車体に対する建付調整用孔として建て付けることを特徴とするドア建付方法が提供される。
【0034】
この請求項7記載のドア建付方法では、アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジの車体側ヒンジ部をそれぞれ車体に取り付けた後、ドアを前記それぞれのドアヒンジのドア側ヒンジ部に取り付ける。
【0035】
この場合、車体は、構成要素や組み立て時の工程数が多く誤差が累積されるため、その傾きにバラツキが不可避的に生じる。このため、車体側ヒンジ部を車体に固着する際に、ドア側ヒンジ部はXZ面上及びZY面上での回転を生じる。
【0036】
本件ドア建付方法においては、前述のように取付孔の一方が前記車体に対する建付調整孔とされているため、XZ面での回転はドアヒンジ自体が回転することにより、また、XY面上の回転はドアヒンジ自体が開閉することによりドア建付精度を改善することができる。
【0037】
(8)上記目的を達成するために、請求項8記載の発明によれば、フロントドアおよびリヤドアそれぞれのアッパドアヒンジおよびロアドアヒンジの車体側ヒンジ部をそれぞれ車体に固定した後に、前記フロントドアおよび前記リヤドアを前記それぞれのドアヒンジのドア側ヒンジ部に取り付けるドア建付方法において、前記アッパドアヒンジのドア側ヒンジ部の上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジのドア側ヒンジ部の下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定しながら、前記アッパドアヒンジのドア側ヒンジ部の下側の取付孔及び前記ロアドアヒンジのドア側ヒンジ部の上側の取付孔を前記車体に対する建付調整用孔として建て付けることを特徴とするドア建付方法が提供される。
【0038】
本発明においては、前記請求項7記載の発明と同様に、ドア建付精度を改善できるとともに、前記アッパドアヒンジの下側の取付孔及び前記ロアドアヒンジの上側の取付孔を前記車体に対する建付調整用孔として用いることにより、フロントドアとフロントピラー間、リアドアとセンターピラー間およびフロントドアとリアドア間の調整を容易に行うことができる。これにより、工程の簡略化を図ることができる。
【0039】
(9)上記発明においては、前記アッパドアヒンジの上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジの下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定する方法については、特に限定されないが、請求項9記載の発明のように、前記ドアヒンジの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面のほぼ裏側のピラー面を押圧して固定することが好ましい。
【0040】
本発明によれば、前記ドアヒンジの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面のほぼ裏側のピラー面を押圧するため、十分な押圧力をもって固定することができる。
【0041】
(10)請求項9記載の発明では特に限定されないが、請求項10記載の発明のように、前記押圧力は前記押圧方向に対して可動状態で弾性付勢することが好ましい。
【0042】
前記アッパドアヒンジの上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジの下側の取付孔は押圧されることにより車体に固定されるが、押圧されるピラー面とドアヒンジの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面との間の寸法にはバラツキがあるため、押圧力は一定しない。
【0043】
しかしながら、本発明によれば、上述のような寸法のバラツキがあった場合においても、前記押圧力がが寸法のバラツキに対して前記押圧方向に弾性的に変化するため前記寸法のバラツキによる押圧力の変動を低減することができる。
【0044】
(11)上記発明においては特に限定されないが、請求項11記載の発明では、前記アッパドアヒンジの上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジの下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定する際に、フロントピラーおよびセンターピラーを車体の基準とする。
【0045】
一般的にドアの建付は、リヤフェンダを基準にリヤドア、フロントドア、フロントフェンダという順で位置合わせを行うので、後方から取付けるという工順になる。
【0046】
しかし、車体側面が前方部とリヤフェンダ部に分割されている場合においては、両者を結合した際、各々の部材のバラツキのほか、接合によるバラツキも発生する。
【0047】
このような場合においても、車体側面及びルーフによって構成されるドア取付開口部に対する隙が、YZ平面で上下左右ほぼ均等になるように取り付けるためには、フロントドアもリヤドアも車体側面全体に対して位置出しすることが望ましい。
【0048】
この点、本発明は、前記アッパドアヒンジの上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジの下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定する際に、フロントピラーおよびセンターピラーを車体の基準とするため、フロントピラーまたはリアピラーいずれをも基準として位置出しすることができる。
【0049】
(12)上記発明においては特に限定されないが、請求項12記載の発明では、前記アッパドアヒンジの上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジの下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定する際に、フロントピラーおよびリヤフェンダを車体の基準とする。
【0050】
前述のようにフロントドアおよびリアドアは通常リアフェンダを基準として後方より位置決めされる。本発明によれば、一方の基準孔としてリアフェンダ上の基準孔を用いるため、リアフェンダに対するリアドア、リアドアに対するフロントドアの調整を簡素化することができる。
【0051】
【発明の効果】
(1)請求項1記載のドアヒンジ取付治具によれば、位置決めピンの一方が取付孔に対し隙間をもって挿入されているため、XZ面での回転はドアヒンジ自体が回転することによりドアヒンジ取付治具に撓みを生じさせず、また、XY面上の回転はドアヒンジ自体が開閉することによりドアヒンジ取付治具に撓みを生じさせることはない。
【0052】
これにより、ドアヒンジ取付治具にドアヒンジを固着させていた場合に生じる縦フレームの撓みによるアッパドアヒンジおよびロアドアヒンジ間のピッチの建付精度を改善することができる。
【0053】
(2)請求項2記載のドアヒンジ取付治具によれば、前方の縦フレームにフロントドア用ヒンジ部を、後方の縦フレームにリアドア用ヒンジ部を装着することにより、ドアヒンジ取付治具内でフロントドアとリアドアのドアヒンジ間の相対位置が決定されるためリアドアに対するフロントドア、または、フロントドアに対するリアドアの調整が不要となる。これにより、工程の簡略化を図ることができる。
【0054】
(3)請求項3記載の発明によれば、ヒンジピラー面が傾いていても、ドアヒンジ自体が回転、または、開閉することによりヒンジピラー面の傾きに倣うため、ドアヒンジ取付治具に撓みを生じさせることなく、2箇所で十分な締付力をもって固定することができる。
【0055】
(4)請求項4記載の発明によれば、上述のような寸法のバラツキがあった場合においても、クランプ軸自体が寸法のバラツキに対してクランプ方向に弾性的に変化するため前記寸法のバラツキによる締付力の変動を低減することができる。
【0056】
(5)請求項5記載の発明によれば、第1基準ロケート部および第2基準ロケート部の一方はフロントピラーに設けられた基準孔に係合され、他方はリヤフェンダに設けられた基準孔に係合されるため、フロントピラーまたはリアピラーいずれをも基準として位置出しすることができる。
【0057】
(6)請求項6記載の発明によれば、フロントドアとリアドアを同時に取り付けるときの一方の基準孔としてリアフェンダ上の基準孔を用いるため、通常2回に分けて行われるリアフェンダに対するリアドア、リアドアに対するフロントドアの調整が1回で行うことができ工程の簡素化を図ることができる。
【0058】
また、基準孔の径には通常一定の遊びが設けられているが、基準孔をリアフェンダとフロントピラーに設けているため、センタピラーに基準孔を設けた場合に比べて、基準孔間の間隔を広く取ることができ、前記基準孔の径の遊びにより生じるYZ面上のバラツキを低減できる。
【0059】
(7)請求項7記載の発明によれば、取付孔の一方が前記車体に対する建付調整孔とされているため、XZ面での回転はドアヒンジ自体が回転することにより、また、XY面上の回転はドアヒンジ自体が開閉することによりドア建付精度を改善することができる。
【0060】
(8)請求項8記載の発明によれば、請求項7記載の発明と同様にドア建付精度を改善できるとともに、前記アッパドアヒンジの下側の取付孔及び前記ロアドアヒンジの上側の取付孔を前記車体に対する建付調整用孔として用いることにより、フロントドアとフロントピラー間、リアドアとセンターピラー間およびフロントドアとリアドア間の調整を容易に行うことができる。これにより、工程の簡略化を図ることができる。
【0061】
(9)請求項9記載の発明によれば、前記ドアヒンジの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面のほぼ裏側のピラー面を押圧するため、十分な押圧力をもって固定することができる。
【0062】
(10)請求項10記載の発明によれば、押圧されるピラー面とドアヒンジの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面との間の寸法のバラツキがあった場合においても、前記押圧力がが寸法のバラツキに対して前記押圧方向に弾性的に変化するため前記寸法のバラツキによる押圧力の変動を低減することができる。
【0063】
(11)請求項11記載の発明によれば、前記アッパドアヒンジの上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジの下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定する際に、フロントピラーおよびセンターピラーを車体の基準とするため、フロントピラーまたはリアピラーいずれをも基準として位置出しすることができる。
【0064】
(12)請求項12記載の発明によれば、一方の基準孔としてリアフェンダ上の基準孔を用いるため、リアフェンダに対するリアドア、リアドアに対するフロントドアの調整を簡素化することができる。
【0065】
【発明の実施の形態】
以下、本件発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0066】
第1実施形態
図1(A)(B)は第1実施形態のドアヒンジ取付治具の正面図および平面図、図2は本発明の第1実施形態であるフロントピラーおよびセンターピラーに基準孔を設けてドアヒンジ取付治具を車体に装着した状態の側面図、図3(A)(B)はドアヒンジ取付治具を用いてアッパドアヒンジをピラーに装着した状態の平面図および側面図、図4は本発明のクランプを用いてドアヒンジ取付治具をピラーに固定した状態の平面図、図5は本発明のクランプ方向にクランプ軸を可動状態で付勢する弾性体を有するクランプの詳細図である。
【0067】
本例では、ドアヒンジHU,HLを介して車体Bにドア(不図示)を建て付けるにあたり、以下に説明する治具を用いてドアヒンジHU,HLを車体Bに取り付け、このドアヒンジが取り付けられた車体Bにドアを建て付ける方法が採用されている。これは以下の理由による。
【0068】
すなわち、車体側はボディサイドアウタ、ヒンジブレース、ダッシュロア等々、構成部品が多く、また組立工程数も多いので、誤差が累積され、ドアヒンジが取り付けられるピラー面の傾きを抑制することは現実的には無理である。したがって、ピラー面が傾いたままドアヒンジを取り付けると、ピラー面とドアヒンジとの間に隙間が存在する状態で締め付けられることになり、ドアもしくはドアヒンジが弾性変形を起こし、内部応力が残留した状態で塗装工程および部品組付工程へ送られる。ここで、何らかの理由によりドアを取り外してしまうと残留内部応力が開放され、再建付が困難となる。
【0069】
そこで、本実施形態では、先にドアヒンジを車体に取り付け、次にドアを建て付ける工程が採用されている。そして、ドアヒンジを車体に取り付ける際は、車体に対して部品数も工程数も少なく、したがって組み付け精度が比較的確保し易いドアのヒンジ面を基準として取り付けることで、上述した車体側の精度不良を吸収することができ、後工程でドアを取り外しても再建付する際に精度良くドアを建て付けることができる。
【0070】
本実施形態のドアヒンジ取付治具100は、図1に示すように、車体Bの前後方向に位置決めされる横フレーム1と、車体の上下方向に位置決めされる縦フレーム2とを有し、縦フレーム2には、上下一対のヒンジセット部3a,3bが、また、治具本体前部には第1基準ロケート部4が、治具本体後部には第2基準ロケート部5が、それぞれ取り付けられている。さらに、本実施形態においては、治具本体1を車体Bに固定するためのクランプ7が治具本体の前部に上下2個、後部に1個、それぞれ設けられている。
【0071】
図2に示すように、ドアヒンジ取付治具100は、フロントピラーP1に設けられた基準孔PP1に第1ロケート部4を、センターピラーP2に設けられた基準孔PP2に第2基準ロケート部5を係合することにより車体Bに対して位置決めされる。
【0072】
このようにして位置決めされたドアヒンジ取付治具100を、クランプ7によりフロントピラーP1およびセンタピラーP2に押圧して固定した後、アッパドアヒンジHUおよびロアドアヒンジHLのドア側ヒンジ部HU1,HL1をヒンジセット部3a,3bに装着し、これらアッパドアヒンジHUおよびロアドアヒンジHLの車体側ヒンジ部HU2,HL2をボルトにより車体Bに締め付ける。そしてドアヒンジ取付治具100を車体Bから取り外し、図外のドアをドア側ヒンジ部HU1,HL1にボルト締めすることで、ドアの建付を完了する。
【0073】
図3は、本実施形態のドアヒンジ取付治具100を用いてアッパドアヒンジHUをフロントピラーP1に装着した状態を示している。アッパドアヒンジHUは、ボルトによりピラーP1に締め付けられるが、この際不可避的に発生する誤差によりヒンジピラー面Mは傾きを有することがある。このため、固定されるアッパドアヒンジHU自体もXZ面上およびXY面上での回転を生じる。
【0074】
本実施形態においては、アッパドアヒンジHUのドア側ヒンジ部HU1の上側位置決めピン6aは、ドア側ヒンジ部HU1の取付孔に対して填め合わされており、アッパドアヒンジHUの下側位置決めピン6bはドア側ヒンジ部HU1の取付孔に対して隙間をもって挿入されている。このため、図3(B)に示されるように、XZ面上での回転に対してはアッパドアヒンジHUは、上側位置決めピン6aを中心とした方向Rに回転可能であり、これにより前記XZ面上での誤差を吸収することができる。
【0075】
また、XY面上での誤差に対しては、図3(A)に示されるようにアッパドアヒンジ自体の開閉を調整することにより対応することが可能である。
【0076】
以上、アッパドアヒンジHUを例として説明したが、ロアドアヒンジHLにおいても、ドア側ヒンジ部HL1の下側位置決めピン6をドア側ヒンジ部HL1の取付孔に対して填め合わせ、上側位置決めピン6はドア側ヒンジ部HL1の取付孔に対して隙間をもって挿入することにより、上記効果と同様の効果を奏する。
【0077】
これにより、縦フレーム2はヒンジピラー面Mに不可避的に発生する傾きによる撓みを生じさせることがなく、撓みによるアッパドアヒンジHUおよびロアドアヒンジHL間のピッチL(図1参照)の誤差も解消することができる。
【0078】
ちなみに、図4はクランプ7を用いてドアヒンジ取付治具100をピラーPに固定した状態を示す。本実施形態においては、クランプ7は、治具本体を車体Bに位置決めした状態で、ドアヒンジHLの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面のほぼ裏側のピラー面Nを押圧するよう設置さている。
【0079】
本実施形態によれば、ドアヒンジHUの車体側ヒンジ部HU2が取り付けられたピラー面Mのほぼ裏側のピラー面Nを押圧するため、縦フレーム2を上下2箇所のクランプ7により車体Bに固定しているが、従前のドアヒンジ取付治具では2箇所で固定すると、前記不可避的に発生するヒンジピラー面Mの傾きにより治具本体の撓みを増長し、アッパおよびロアヒンジHU,HL間のピッチLの誤差を増大させることとなった。
【0080】
しかしながら本実施形態の場合、ヒンジピラー面Mが傾いていても、ドアヒンジHU自体が回転、または、開閉することによりヒンジピラー面Mの傾きに倣うため、ドアヒンジ取付治具100に撓みを生じさせることなく、2箇所で十分な締付力をもって固定することができる。
【0081】
図5は、クランプ7の他の実施形態を示す図であり、クランプ軸方向Kにクランプ軸8を可動状態で付勢する弾性体9を有するクランプ7を示している。
【0082】
本実施形態においては、クランプ軸8はクランプ7に対して固定されておらず、弾性体9を設けることによりクランプ軸8はクランプ方向Kに動くことができる。ドアヒンジ取付治具100はクランプ7により車体Bに固定されるが、クランプ7により押圧されるピラー面Nとドアヒンジの車体側ヒンジ部HU2が取り付けられたピラー面Mとの間のクランプ部寸法Cにはバラツキがあるため、クランプ7による締付力は一定しない。
【0083】
しかしながら、本実施形態によれば、クランプ軸8自体がクランプ部寸法Cのバラツキに対してクランプ軸方向Kに弾性的に変化するため、クランプ部寸法Cのバラツキによる締付力の変動を低減することができる。
【0084】
第2実施形態
図6(A)(B)は第2実施形態のドアヒンジ取付治具の正面図および平面図、図7は本発明の第2実施形態であるフロントピラーおよびリアフェンダに基準孔を設けて本件ドアヒンジ取付治具を車体に装着した状態の側面図である。
【0085】
図6に示すように、本実施形態のドアヒンジ取付治具100は、車体Bの前後方向に位置決めされる横フレーム1と車体の上下方向に位置決めされる2つの縦フレーム2a,2bを有し、縦フレーム2a,2bには、それぞれ上下一対のヒンジセット部3a,3bが、また、治具本体前部には第1基準ロケート部4が、治具本体後部には第2基準ロケート部5が、それぞれ取り付けられている。さらに、本実施形態においては、治具本体を車体Bに固定するためのクランプ7が、治具本体の前部および中央部に上下2個、後部に1個設けられている。
【0086】
図7に示すように、ドアヒンジ取付治具100は、フロントピラーP1に設けられた基準孔PP1に第1ロケート部4を、リアフェンダFに設けられた基準孔PPFに第2基準ロケート部5を、それぞれ係合させることにより車体Bに対して位置決めされる。
【0087】
このようにして位置決めされたドアヒンジ取付治具100を、クランプ7によりフロントピラーP1、センタピラーP2およびリアフェンダFに押圧しこてした後、フロントドアおよびリアドアそれぞれのアッパドアヒンジHUおよびロアドアヒンジHLのドア側ヒンジ部HU1,HL1をヒンジセット部3a,3bに装着し、フロントドアおよびリアドアそれぞれのアッパドアヒンジHUおよびロアドアヒンジHLの車体側ヒンジ部HU2,HL2をボルトにより車体Bに締め付ける。そして、ドアヒンジ取付治具100を車体Bから取り外し、フロントドアおよびリアドアをドア側ヒンジ部HU1,HL1にボルト締めすることで、ドアの建付を完了する。
【0088】
本実施形態においては、フロントドアとリアドアを同時に建付るため、建付工程を簡素化できる。すなわち、本実施形態では、ドアヒンジ取付治具100内においてフロントドアとリアドアのドアヒンジHU,HLの相対位置を決定した後、第2基準ロケート部5をリヤフェンダFに設けられた基準孔PPFに係合させ、リヤフェンダFを基準に車体Bに対するリヤドア、フロントドアの位置合わせを行う。このため、通常2回に分けて行われるリアフェンダFに対するリアドア、リアドアに対するフロントドアの調整をドアヒンジ取付治具100内で1回で行うことができる。
【0089】
また、基準孔の径には通常一定の遊びが設けられているが、基準孔をリアフェンダFとフロントピラーP1に設けているため、センタピラーP2に基準孔を設けた場合に比べて、基準孔間の間隔を広く取ることができ、基準孔の径の遊びより生じるYZ面上のバラツキを低減できる。
【0090】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、アッパドアヒンジHUの上側位置決めピン6及びロアドアヒンジHLの下側位置決めピン6はドア側ヒンジ部の取付孔に対し填め合わされ、アッパドアヒンジHUの下側位置決めピン6及びロアドアヒンジHLの上側位置決めピン6は前記ドア側ヒンジ部の取付孔に隙間をもって挿入されるため、ドアヒンジ取付治具100は、ピラーヒンジ面Mの傾きによる撓みを生じることなく、撓みによるアッパドアヒンジHUおよびロアドアヒンジHL間のピッチL(図6参照)の誤差も解消することができる。
【0091】
さらに、図3および4に示すようなクランプ7を用いて、第1実施形態と同様の効果を発現することができる。
【0092】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のドアヒンジ取付治具の第1実施形態を示す(A)正面図および(B)平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るドアヒンジ取付治具を車体に装着した状態を示す側面図である。
【図3】本発明のドアヒンジ取付治具を用いてアッパドアヒンジをピラーに装着した状態を示す(A)平面図および(B)側面図である。
【図4】本発明に係るクランプを用いてドアヒンジ取付治具をピラーに固定した状態を示す平面図である。
【図5】本発明に係るクランプの他の実施形態を示す平面図である。
【図6】本発明のドアヒンジ取付治具の第2実施形態を示す(A)正面図および(B)平面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るドアヒンジ取付治具を車体に装着した状態を示す側面図である。
【符号の説明】
B…車体
P…ピラー
P1…フロントピラー
P2…センタピラー
F…リアフェンダ
HU…アッパドアヒンジ
HL…ロアドアヒンジ
HU1,HL1…ドア側ヒンジ部
HU2,HL2…車体側ヒンジ部
M…ヒンジピラー面
N…クランプにより押圧されるピラー面
R…位置決めピンを中心とする回転方向
K…クランプ軸方向
L…アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジ間のピッチ
C…クランプ部寸法
1…横フレーム
2…縦フレーム
3a…上部ヒンジセット部
3b…下部ヒンジセット部
4…第1基準ロケート部
5…第2基準ロケート部
6a…上部位置決めピン
6b…下部位置決めピン
7a…前部クランプ
7b…中央部クランプ
7c…後部クランプ
8…クランプ軸
9…弾性体
Claims (12)
- 車体の前後方向に位置決めされる横フレームと車体の上下方向に位置決めされる縦フレームとを有する治具本体と、
前記縦フレームに設けられ、アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジのそれぞれを装着する上下一対のヒンジセット部と、
前記治具本体に設けられ、車体に対して当該治具本体を位置決めする第1基準ロケート部及び第2基準ロケート部と、を有するドアヒンジ取付治具において、
前記ヒンジセット部は、前記アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジのドア側ヒンジ部を位置決めする上下各2本の位置決めピンを有し、アッパドアヒンジの上側位置決めピン及びロアドアヒンジの下側位置決めピンは前記ドア側ヒンジ部の取付孔に対し填め合わされ、アッパドアヒンジの下側位置決めピン及びロアドアヒンジの上側位置決めピンは前記ドア側ヒンジ部の取付孔に隙間をもって挿入されることを特徴とするドアヒンジ取付治具。 - 車体の前後方向に位置決めされる横フレームと車体の上下方向に位置決めされる2つの縦フレームとを有する治具本体と、
前記縦フレームのそれぞれに設けられ、アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジのそれぞれを装着する上下一対のヒンジセット部と、
前記治具本体に設けられ、車体に対して当該治具本体を位置決めする第1基準ロケート部及び第2基準ロケート部と、を有するドアヒンジ取付治具において、
前記ヒンジセット部は、前記アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジのドア側ヒンジ部を位置決めする上下各2本の位置決めピンを有し、アッパドアヒンジの上側位置決めピン及びロアドアヒンジの下側位置決めピンは前記ドア側ヒンジ部の取付孔に対し填め合わされ、アッパドアヒンジの下側位置決めピン及びロアドアヒンジの上側位置決めピンは前記ドア側ヒンジ部の取付孔に隙間をもって挿入されることを特徴とするドアヒンジ取付治具。 - 前記治具本体を車体に固定するクランプを有し、前記クランプは、前記治具本体を車体に位置決めした状態で、前記ドアヒンジの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面のほぼ裏側のピラー面を押圧する請求項1または2記載のドアヒンジ取付治具。
- 前記クランプは、クランプ方向にクランプ軸を可動状態で付勢する弾性体を有する請求項3記載のドアヒンジ取付治具。
- 前記第1基準ロケート部および第2基準ロケート部の一方はフロントピラーに設けられた基準孔に係合され、他方はセンターピラーに設けられた基準孔に係合される請求項1、3,4記載のドアヒンジ取付治具。
- 前記第1基準ロケート部および第2基準ロケート部の一方はフロントピラーに設けられた基準孔に係合され、他方はリヤフェンダに設けられた基準孔に係合される請求項2〜4記載のドアヒンジ取付治具。
- アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジの車体側ヒンジ部をそれぞれ車体に取り付けた後、ドアを前記それぞれのドアヒンジのドア側ヒンジ部に取り付けるドア建付方法において、
前記アッパドアヒンジおよびロアドアヒンジの車体側ヒンジ部をそれぞれ車体に取り付けるに際し、
前記アッパドアヒンジのドア側ヒンジ部の上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジのドア側ヒンジ部の下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定しながら、前記アッパドアヒンジのドア側ヒンジ部の下側の取付孔及び前記ロアドアヒンジのドア側ヒンジ部の上側の取付孔を前記車体に対する建付調整用孔とすることを特徴とするドア建付方法。 - フロントドアおよびリヤドアそれぞれのアッパドアヒンジおよびロアドアヒンジの車体側ヒンジ部をそれぞれ車体に取り付けた後、前記フロントドアおよび前記リヤドアを前記それぞれのドアヒンジのドア側ヒンジ部に取り付けるドア建付方法において、
フロントドアおよびリヤドアそれぞれのアッパドアヒンジおよびロアドアヒンジの車体側ヒンジ部をそれぞれ車体に取り付けるに際し、
前記アッパドアヒンジのドア側ヒンジ部の上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジのドア側ヒンジ部の下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定しながら、前記アッパドアヒンジのドア側ヒンジ部の下側の取付孔及び前記ロアドアヒンジのドア側ヒンジ部の上側の取付孔を前記車体に対する建付調整用孔として建て付けることを特徴とするドア建付方法。 - 前記アッパドアヒンジのドア側ヒンジ部の上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジのドア側ヒンジ部の下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定する際に、前記ドアヒンジの車体側ヒンジ部が取り付けられたピラー面のほぼ裏側のピラー面を押圧して固定する請求項7または8記載のドア建付方法。
- 前記押圧方向に対して可動状態で弾性付勢する請求項9記載のドア建付方法。
- 前記アッパドアヒンジのドア側ヒンジ部の上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジのドア側ヒンジ部の下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定する際に、フロントピラーおよびセンターピラーを車体の基準とする請求項7、9,10記載のドア建付方法。
- 前記アッパドアヒンジのドア側ヒンジ部の上側の取付孔及び前記ロアドアヒンジのドア側ヒンジ部の下側の取付孔の位置を前記車体に対して固定する際に、フロントピラーおよびリヤフェンダを車体の基準とする請求項8〜10記載のドア建付方法。
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