JP3766552B2 - データ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニット - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真フイルムにデータを写し込むためのデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニットに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
レンズ付きフイルムユニットは、簡単な撮影機構を内蔵したユニット本体に未露光の写真フイルムとこれを収納するカートリッジとからなる写真フイルムカートリッジが予め装填されており、廉価で使用も簡単であることから広く普及している。レンズ付きフイルムユニットは、使用後にはユニット本体ごと現像所に回収され、現像所でユニット本体から撮影済の写真フイルムカートリッジを取り出して、現像処理及びプリント処理を行うが、写真フイルムが取り出された使用済のユニット本体そのものはユーザに返却されることはない。
【０００３】
上記ユニット本体は、本体基部，撮影レンズやシャッタ機構等が組み付けられた露光ユニット，後カバー，前カバー等の部品から構成されており、ストロボ内蔵型のものでは、これらの他にストロボ放電管，充電回路，電池等が取り付けられたストロボユニットを備えている。ユニット本体は、メーカーに回収された後に各部品毎に分解されリユース，リサイクルされる。
【０００４】
例えば、露光ユニットやストロボユニットについては、機能検査を行って異常がなければそのままリユースされる。また、前カバーや後カバーは、そのままリユースせずに破砕，溶融して再び原材料としてリサイクルされる。後カバー等は、写真フイルムに直接に接触する部品であるため、わずかでも損傷があると写真フイルムにストリーク傷やスクラッチ傷が入ってしまい、写真画像に修復できない影響を及ぼすからである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近ではレンズ付きフイルムユニットを製造したメーカー以外の第３者が、使用済のユニット本体を回収し、そのまま新たな写真フイルムカートリッジを再装填して販売している。このようにして、各部の適正な品質検査を行わず、メーカー以外の者が機能保証のないままにユニット本体を不正規に再利用して販売すると、新たに装填した写真フイルムに損傷を与える等の写真品質の劣化を招く可能性や、撮影機構の劣化による動作不良で、適正な撮影を行えなくなる可能性がある。そして、一般ユーザーに対してレンズ付きフイルムユニットの信頼性を低下させる等の悪影響が生じる。
【０００６】
また、データ写し込み装置をユニット本体に内蔵させて、撮影日等のデータを写真フイルムに写し込むようにした試みがなされており、このようなレンズ付きフイルムユニットが本出願人から提案されている（例えば、特願平９−１４１２４９号）。
【０００７】
例えば撮影日を写し込むデータ写し込み装置は、現在の年月日を計時する時計回路，この時計回路で計時されている年月日を表示する液晶ディスプレイ，電源としての電池等から構成されている。このようなデータ写し込み装置は、比較的に高価なものであるが、これを内蔵した使用済のユニット本体を回収し、データ写し込み装置をリユースするようにすれば、実質的な製造コストを下げることが可能であり、レンズ付きフイルムユニットの価格を低く抑えることができる。
【０００８】
しかしながら、上記のように、第３者にユニット本体が回収されたり、ユニット本体からデータ写し込み装置が取り出されてしまうと、データ写し込み装置を内蔵したレンズ付きフイルムユニットの製造コストが高くなってしまい、レンズ付きフイルムユニットを安価に販売できなくなる。また、ユニット本体及びデータ写し込み装置に対して適正な品質検査を行わずに、新たなフイルムカートリッジを装填して販売すれば、データが写し込まれない等の不都合が発生する可能性もあり、一般ユーザーに対してレンズ付きフイルムユニットの信頼性を低下させてしまう。
【０００９】
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、簡単かつ安価な構成で、データ写し込み装置とこれを内蔵したユニット本体の不正規な再使用ができないようにするとともに、正規の再使用を可能にしたデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニットを提供することを目的とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、写真フイルムの撮影終了から写真フイルムカートリッジの取り出しまでの間に、または写真フイルムカートリッジの再装填またはデータ写し込み装置の取り外しのために所定の構成部品をユニット本体から分離することに連動して、電池からデータ写し込み装置への通電を停止する通電停止手段を備えるとともに、データ写し込み装置が、電池からの通電が開始されたことを検知する通電検知手段と、この通電検知手段によって通電の開始が検知されることに応答して表示手段の表示を無効化した状態に維持する表示制御手段とを備え、通電停止手段によってデータ写し込み装置への通電が停止されてから通電を再開した際に、前記表示手段の表示が無効化された状態に維持されるようにしたものである。また、外部からの所定の信号を表示制御手段に入力することにより、表示手段の表示を有効化した状態にするようにすることで、データ写し込み装置を正規にリユースできるようにしたものである。
【００１１】
【発明の実施の形態】
本発明を実施したデータ写し込み装置を内蔵したレンズ付きフイルムユニットの外観を図２に示す。なお、図２では、レンズ付きフイルムユニットのユニット本体だけを描いてあるが、実際にはユニット本体には外装体が巻き付けられており、この外装体を巻き付けたままで撮影を行うことができる。
【００１２】
ユニット本体２の前面には、撮影レンズ３，ファインダ４の対物側窓４ａ，ストロボ発光部５，ストロボ用の充電をオン，オフするための操作レバー６，集光板７が設けられている。また、ユニット本体２の上面には、シャッタボタン８，残り撮影可能コマ数を表示するカウンタ窓９，ストロボ充電の完了を表示する表示用ライトガイド１０が突出される開口１０ａが設けられている。さらに、ユニット本体２の背面側には、１コマの撮影ごとに回転操作される巻上げノブ１１が露呈され、対物側窓４ａに対面する位置にファインダ４の接眼側窓４ｂ（図３参照）が設けられている。
【００１３】
ユニット本体２の分解斜視図を図３に示す。ユニット本体２は、本体基部１３，露光ユニット１４，ストロボユニット１５，前カバー１６，後カバー１７，Advanced Photo SystemのＩＸ２４０型式の写真フイルムカートリッジ１８、及びデータ写し込み装置としてのデートモジュール２０等から構成されている。
【００１４】
本体基部１３には、写真フイルムカートリッジ１８のカートリッジ１８ａを収納するためのカートリッジ収納室１３ａと、カートリッジ１８ａから引き出されてロール状にされた未露光の写真フイルム１８ｂを収納するためのフイルムロール室１３ｂとが一体に形成されている。カートリッジ収納室１３ａの上部には、巻上げノブ１１が回動自在に配されるとともに、遮光蓋閉鎖機構２１が設けられている。
【００１５】
巻上げノブ１１は、その下部に一体に設けられた軸がカートリッジ収納室１３ａに収納されたカートリッジ１８ａのスプール１８ｃの一端に係合されている。巻上げノブ１１を図中反時計方向に回動することにより、撮影済の写真フイルム１８ｂがカートリッジ１８ａ内に巻き上げられる。カートリッジ１８ａには、写真フイルム１８ｂが出入りするフイルム送出口を開閉する遮光蓋が設けられており、この遮光蓋の端部に設けられた係合穴２２がカートリッジ１８ａの端部に露呈されている。遮光蓋閉鎖機構２１は、巻上げノブ１１の回転数をカウントすることにより、カートリッジ１８ａ内に巻き上げられた写真フイルム１８ｂの長さを測定し、写真フイルム１８ｂの先端までがカートリッジ１８ａ内に収納されるだけ写真フイルム１８ｂが巻き上げられた時点で、係合穴２２に係合した蓋閉じ部材を回動することによって遮光蓋でフイルム送出口を光密に閉じる。
【００１６】
カートリッジ収納室１３ａとフイルムロール室１３ｂとの間には、写真フイルム１８ｂ上に形成される露光画面の画面サイズを画定するアパーチャ１３ｃが形成され、このアパーチャ１３ｃの周囲には、前方に突出した遮光筒１３ｄが設けられている。
【００１７】
露光ユニット１４は、シャッタ機構，フイルム巻き止め機構，残り撮影可能コマ数を表示するためのカウンタ機構，ファインダ４等を暗箱２３に組み付けてユニット化したものである。暗箱２３の前面には、シャッタカバー２４が取り付けられ、このシャッタカバー２４の前面に取り付けられたレンズホルダ２５によって撮影レンズ３が保持されている。この露光ユニット１４は、暗箱２３が遮光筒１３ｄに取り付けられることにより本体基部１３に組み付けられ、暗箱２３と遮光筒１３ｄとによって撮影レンズ３とアパーチャ１３ｃとの間が遮光される。また、露光ユニット１４には、操作レバー６のスライドに連動して上下する表示用ライトガイド１０が設けられている。デートモジュール２０は、受け板３３を介して露光ユニット１４に取り付けられることによってシャッタカバー２４の前面に配される。
【００１８】
ストロボユニット１５は、ストロボ回路基板２６にストロボ発光部５，メインコンデンサ２７，シンクロスイッチ２８，ストロボ用の電池２９等を組み付けてユニット化したものである。操作レバー６が上方に向けてスライドされると、ストロボ回路基板２６上に設けられた充電スイッチがＯＮとなってメインコンデンサ２７への充電が行われる。シンクロスイッチ２８は、上下に配された一対の接片からなり、シャッタ機構が作動されたときにシャッタ羽根３１に一体に形成された押圧片３１ａ（図６参照）で上側の接片が押圧されて下側の接片に接触することによりＯＮとなる。このシンクロスイッチ２８のＯＮによりストロボ発光部５からストロボ光が放出される。
【００１９】
前カバー１６には、シャッタボタン８，対物窓４ａが形成されている他、撮影レンズ３，ストロボ発光部５，操作レバー６を露呈するための開口１６ａ〜１６ｃが形成されている。また、開口１６ａの近傍に形成された開口１６ｄには集光板７がはめ込まれて固定される。この前カバー１６は、露光ユニット１４，ストロボユニット１５，デートモジュール２０が組み付けられた本体基部１３の前面側にこれらを覆うようにしてに組み付けられる。
【００２０】
後カバー１７は、カートリッジ１８ａと写真フイルム１８をカートリッジ収納室１３ａとフイルムロール室１３ｂにそれぞれ収納した本体基部１３の背面側を覆い、本体基部１３との間でフイルムロール室１３ｂからアパーチャ１３ｃの背後を通ってカートリッジ収納室１３ａに至るまでのフイルム通路を形成する。このフイルム通路を通って写真フイルム１８ｂがフイルムロール室１３ｂからカートリッジ収納室１３ａのカートリッジ１８ａに搬送される。
【００２１】
また、後カバー１７には、その底部に底蓋１７ａ，１７ｂが形成されており、これらの底蓋１７ａ，１７ｂによってカートリッジ収納室１３ａとフイルムロール室１３ｂの底部が光密に閉じられる。カートリッジ収納室１３ａの底蓋１７ａは、開閉自在にされており、撮影済の写真フイルム１８ａを全て収納したカートリッジ１８ａを取り出す際の取り出し蓋を兼ねている。
【００２２】
図１及び図４に示すように、デートモジュール２０は、写真フイルム１８ｂに写し込むデータ、この例では撮影日を表示する表示手段としてのＬＣＤ（液晶ディスプレイ）３６を含む表示回路，通電検知手段，表示制御手段からなるモジュール回路，モジュール回路の各部品が実装されたモジュール基板３７、このモジュール基板３７を収納したモジュールケース３８、モジュール回路の電源としてのモジュール電池３９、及び導電性を有した金属製のマイナス側接片４０及びプラス側接片４１等から構成されている。モジュール電池３９としては、小型かつ薄型のボタン型のものが用いられている。
【００２３】
モジュールケース３８には、電池ホルダ部４２が一体に形成されており、この電池ホルダ部４２の中央には、モジュール基板３７に一端が接続されたマイナス側接片４０の他端が露呈されている。モジュール電池３９は、そのマイナス電極面３９ａをマイナス側接片４０の他端に接触するようにして電池ホルダ部４２に配される。
【００２４】
プラス側接片４１は、これに形成された孔４１ａを介して前カバー１６の内面に形成されたピン４３の先端に固着されている。このプラス側接片４１は、前カバー１６を露光ユニット１４，データモジュール２０等が組み付けられた本体基部１３の前面に組み付けることにより、その一端４１ｂがモジュールケース３８の前面に形成された開口３８ａから入り込んでモジュール基板３７上の接点（ランド）３７ａと接触し、また他端４１ｃが電池ホルダ部４２に配されたモジュール電池３９のプラス電極面３９ｂと接触する。これにより、各接片４０，４１を介してモジュール電池３９とモジュール回路とが電気的に接続され、モジュール回路が通電される。すなわち、前カバー１６が組み付けられた状態でピン４３によりプラス側接片４１が接続位置に保持される。
【００２５】
プラス側接片４１は、弾性を有したものが用いられており、上記のようにして前カバー１６を組み付けた際には、モジュールケース３８に向かって弾性変形されることで、その弾性力によって一端４１ｂが接点３７ａに他端４１ｃがモジュール用電池３９のプラス電極面３９ｂにそれぞれ押しつけられように接触される。これにより、モジュール電池３９を電池ホルダ部４２に保持し、また各接片４０，４１とモジュール電池３９との電気的な接続、及びプラス側接片４１と接点３７ａとの電気的な接続が確実なものとされる。
【００２６】
このレンズ付きフイルムユニットでは、使用済のユニット本体２に新たな写真フイルムカートリッジ１８を再装填しようとしたり、デートモジュール２０を取り出す場合には、前カバー１６をユニット本体２から分離することが必要である。そして、この前カバー１６にプラス側接片４１を取り付けておくことによって、前カバー１６を分離した際には、プラス側接片４１が接点３７ａ及びモジュール電池３９のプラス電極面３９ｂから離されてデートモジュール２０への通電が停止されるようになっている。すなわち、前カバー１６に一体に形成されたピン４３が通電停止手段であり、前カバー１６が分離されることによりプラス側接片４１が接続位置から切断位置に変移される。
【００２７】
モジュール回路は、モジュール用電池３９からの通電を受けて作動する。ＬＣＤ３６には、写真フイルム１８ｂに写し込むべき現在の「年，月，日」（撮影日）が表示される。ＬＣＤ３６としては、不透明な背景に透明な「年，月，日」、例えば「 '９8 ０５ ２８」等の文字を表示する透過型のものが用いられている。このＬＣＤ３６は、モジュールケース３８の前面側及び背面側に形成された開口から露呈され、前カバー１６に組み付けられた集光板７の照明部７ａに前面側の開口を介して対面される。
【００２８】
集光板７の断面を図５（ａ）に示す。集光板７は、透明なプラスチック樹脂を成形したものであり、照明部７ａは、集光板７の表面７ｂ側に断面が「Ｖ」字の溝形状に、また背面７ｃ側に僅かに突出するように形成されている。ユニット本体２の前面側に露呈された表面７ｂに入射した外光は、集光板７の内部で反射を繰返して照明部７ａに達し、この照明部７ａによって背面方向に射出される。これにより、集光板７の広い表面７ｂで集光した外光を照明部７ａから射出し、ＬＣＤ３６を明るくて照明している。この照明部７ａからの光のうちでＬＣＤ３６を透過した透過光がモジュールケース３８の背面側の開口からデート光として射出される。なお、図５（ｂ）に示すように、集光板７の照明部７ａの背面７ｃ側の部分を突出させなくてもよい。
【００２９】
図１に示されるように、モジュールケース３８の前面にはコネクタ４５が露呈されている。デートモジュール２０は、そのモジュール回路に通電しただけではＬＣＤ３６の表示が無効化された状態に維持されて「年月日」の表示が行われない。ＬＣＤ３６の表示を有効化して「年月日」が表示されるようにするためには、コネクタ４５から所定のプリセット信号として予め決められたプリセットコードを電気的に入力する。また、コネクタ４５は、モジュール回路に初期日付データを入力するためにも用いられる。例えば、コネクタ４５は、前カバー１６の開口１６ｄに対峙する位置に設けられており、レンズ付きフイルムユニットの製造時では、前カバー１６を本体基部１３に組み付けた後で集光板７を前カバー１６に組み付ける前に、開口１６ｄを介して外部コンピュータからの端子をコネクタ４５に接続してプリセットコードと初期日付データを入力することができるようにされている。
【００３０】
図６に露光ユニット１４を示すように、暗箱２３の前面とシャッタカバー２４との間には、軸４６によって回動自在に支持されたシャッタ羽根３１が配されている。シャッタ羽根３１は、バネ４７によって撮影用シャッタ開口２３ａを閉じた閉じ位置に付勢されている。この撮影用シャッタ開口２３ａは、暗箱２３の前面中央、すなわち撮影レンズ３の光軸３ａ上に設けられている。シャッタ羽根３１は、その上端部３１ｂがシャッタレリーズに連動して図中右方向に移動される蹴飛ばしレバー４８によって蹴飛ばされ、軸４６を中心にして時計方向に回動され、この後にバネ４７によって反時計方向に回動される。このシャッタ羽根３１の１往復の揺動により、撮影用シャッタ開口２３ａが開閉される。撮影用シャッタ開口２３ａが開かれている間に、撮影レンズ３を透過した被写体光は、暗箱２３内に入射し、アパーチャ１３ｃの背後にセットされた写真フイルム１８ｂを露光する。
【００３１】
デートモジュール２０のＬＣＤ３６が対面するシャッタカバー２４の部分には開口２４ａが形成され、この開口２４ａと対峙する暗箱２３の前面の部分にはデート用シャッタ開口２３ｂが形成されている。また、シャッタ羽根３１にはデート用シャッタ開口２３ｂを開閉するデート用シャッタ部材４９が一体に形成されている。デート用シャッタ部材４９は、シャッタ羽根３１の揺動に連動してデート用シャッタ開口２３ｂを開閉する。デート用シャッタ開口２３ｂが開かれている間に、ＬＣＤ３６からのデート光が暗箱内２３内に入射する。暗箱２３内には、投影レンズ５０が固定部材５０ａによって固定されている。デート光は、この投影レンズ５０を介して写真フイルム１８ｂに達する。これにより、ＬＣＤ３６に表示されている「年月日」が写真フイルム１８ｂ上に結像されて露光画面内に光学的に写し込まれる。
【００３２】
モジュール回路の電気的な構成を図７に示す。モジュール回路は、前述のように表示回路と通電検知手段と表示制御手段とからなり、いずれもモジュール電池３９を電源としている。表示回路は、発振回路５１，時計回路５２，ＬＣＤドライバ５３，ＬＣＤ３６から構成されている。発振回路５１は、これに接続された水晶発振子５１ａを用いて周期一定のクロックを発生し、これを時計回路５２に送る。
【００３３】
時計回路５２は、数年分のカレンダー情報を記憶しており、発振回路５１からのクロックに基づいて時間（時分秒）、年月日を計時し、現在の年月日を表した年月日データを出力する。レンズ付きフイルムユニットの製造時には、コネクタ４５を介して外部コンピュータ５４からの初期日付データが入力され、この初期日付データが時計回路５２に送られてセットされる。初期日付データは、これの入力時点での時間及び年月日を表しており、時計回路５２は、セットされた初期日付データに表される時間及び年月日から計時を行う。これにより、時計回路５２が現在の時間と年月日を計時する。
【００３４】
年月日データは、ＬＣＤドライバ５３に送られる。このＬＣＤドライバ５３は、年月日データに基づいてＬＣＤ３６を駆動し、年月日データに表される「年月日」をＬＣＤ３６に表示するが、表示制御手段からの表示制御信号が「Ｈレベル」となっている場合にだけＬＣＤ３６の表示を有効化して「年月日」が表示されるようにし、表示制御信号が「Ｌレベル」となっている場合には表示を無効化してＬＣＤ３６に「年月日」が表示されないようにする。
【００３５】
なお、ＬＣＤ３６の表示を無効化する手法としては、表示制御信号が「Ｌレベル」となっているときに、ＬＣＤ３６に年月日を表示させるための駆動信号を停止する、ＬＣＤドライバ５２からＬＣＤ３６への電力供給を停止する、ＬＣＤドライバ５２自体が作動しないようにする等があるが、その他の手法を用いてもよい。また、表示を無効化する手法として、ＬＣＤ３６の表示をデタラメなものとするようにしてもよい。
【００３６】
通電検知手段は、充放電回路５６と波形整形回路５７で構成されており、モジュール電池３９が電気的に接続されてモジュール回路に通電が開始されたことを検知する。充放電回路５６は、直列に接続された抵抗５６ａ，コンデンサ５６ｂと、抵抗５６ａに並列に接続されたダイオード５６ｃとからなり、抵抗５６ａとコンデンサ５６ｂの接続点の電位、すなわちコンデンサ５６ｂの充電電圧を波形整形回路５７に出力する。モジュール電池３９がモジュール回路に電気的に接続されて通電が開始されると、コンデンサ５６ｂが抵抗５６ａを介してモジュール電池３９によって充電されることにより、抵抗５６ａの抵抗値とコンデンサ５６ｂの静電容量とによって決まる時定数に応じて徐々に充電電圧が高くなり、所定の時間後にモジュール電池３９の電圧と同じ大きさとなる。ダイオード５６ｃは、そのアノードがコンデンサ５６ｂ側となるように接続されており、モジュール回路とモジュール電池３９との電気的な接続が解除されると、コンデンサ５６ｂを放電させて充放電回路５６を初期化する。
【００３７】
波形整形回路５７は、２個のインバータ５７ａ，５７ｂを直列に接続したものであり、各インバータ５７ａ，５７ｂとしては、出力信号を「Ｈレベル」から「Ｌレベル」に変化させるためのスレッシュホールドレベルが「Ｌレベル」から「Ｈレベル」に変化させるスレッシュホールドレベルよりも高いシュミットトリガ入力のものが用いられている。コンデンサ５６ｂの充電電圧は、前段のインバータ５６ａに入力されて、後段のインバータ７１ｂからパルス状に変化する通電検知信号として出力される。
【００３８】
このようにして、コンデンサ５６ｂの充電電圧を波形整形回路５７に通すことによって、通電開始後から所定の時間が経過した時点で信号レベルが「Ｌレベル」から「Ｈレベル」に変化する通電検知信号が作成される。これにより、波形成形回路５７の後段のＤ−ＦＦ（フリップフロップ）回路５８が安定して動作するようになってから、通電の開始を示す通電検知信号の変化をＤ−ＦＦ回路５８に与えるようにしている。また、インバータ５７ａ，５７ｂとしてシュミットトリガ入力のものを用いることにより、通電検知信号が外部からの電気的なノイズ、例えばストロボユニット１５で発生される電気的なノイズ等の影響で変化しないようにしている。
【００３９】
表示制御手段は、Ｄ−ＦＦ回路５８，コード確認回路５９，トランジスタ６０から構成されている。Ｄ−ＦＦ回路５８は、クロック端子（ＣＬＫ）に入力される信号が「Ｌレベル」から「Ｈレベル」に変化したときに、Ｄ端子に入力されている信号レベル（「Ｈレベル」または「Ｌレベル」）を取り込んで、この取り込んだ信号レベルをＱ端子から出力する周知のものが用いられており、通電検知信号の「Ｌレベル」から「Ｈレベル」の変化に応答し、表示制御信号を継続的に「Ｌレベル」にするように接続されている。
【００４０】
具体的には、Ｄ−ＦＦ回路５８のクロック端子には、波形整形回路５７からの通電検知信号が入力され、Ｄ端子はプルダウンされて「Ｌレベル」の信号が常時入力される。また、入力信号が「Ｌレベル」とされることによって、Ｑ端子の出力を強制的に「Ｈレベル」とするためのプリセット端子（ＰＲＥ）はプルアップ抵抗を介してプルアップされることによって「Ｈレベル」が入力されているが、コード確認回路５９の制御で「Ｌレベル」を入力することができるようにされている。Ｑ端子には、ＬＣＤドライバ５３が接続されており、このＱ端子からの出力が表示制御信号となっている。なお、入力信号が「Ｌレベル」とされたときに、Ｑ端子の出力を強制的に「Ｌレベル」とするためのクリア端子（ＣＬＲ）は、強制的にＱ端子の出力を「Ｌレベル」とする必要がないのでプルアップされて常時「Ｈレベル」が入力されている。
【００４１】
このようにしてＤ−ＦＦ回路５８を接続することにより、モジュール電池３９による通電が開始されると、「Ｌレベル」から「Ｈレベル」に変化する通電検知信号がＤ−ＦＦ回路５８のクロック端子に入力されるため、このＤ−ＦＦ回路５８は、Ｄ端子の「Ｌレベル」を取り込んでＱ端子から「Ｌレベル」の表示制御信号を継続的にＬＣＤドライバ５３に送る。したがって、モジュール電池３９による通電を開始しただけでは、ＬＣＤドライバ５３によってＬＣＤ３６の表示が無効化された状態が維持される。
【００４２】
トランジスタ６０は、そのコレクタ端子がＤ−ＦＦ回路５８のプリセット端子に接続され、エミッタ端子がグランドされている。また、トランジスタ６０は、そのベース端子がコード確認回路５９に接続されることによって、コード確認回路５９によってコレクタ・エミッタ間が導通状態とされたＯＮと、コレクタ・エミッタ間が非導通状態とされたＯＦＦとに制御される。コード確認回路５９は、所定のプリセットコードを記憶している。このコード確認回路５９は、コネクタ４５を介してプリセットコードが入力され、入力されたプリセットコードが記憶しているものと一致しているの場合にだけ、一定の時間だけトランジスタ６０をＯＮとする。
【００４３】
これにより、コード確認回路５９に所定のプリセットコードが入力されると、プリセット端子に「Ｌレベル」の信号が入力され、Ｑ端子の出力、すなわち表示制御信号が継続的に「Ｈレベル」とされ、ＬＣＤ３６の表示が有効化される。プリセットコードは、外部に漏れることがないようにレンズ付きフイルムユニットのメーカー内で管理されている。これにより、モジュール回路への通電停止後にメーカー以外の第３者がリユース時にモジュール回路への通電を再開しても、ＬＣＤ３６の表示が有効化できないようにし、ユニット本体２及びデートモジュール２０の不正規な再使用を防止し、また再使用できないようにすることでユニット本体２及びデートモジュール２０の回収率を向上させる。また、メーカーでは所定のプリセットコードを入力すればデートモジュール２０をリユースすることができる。
【００４４】
なお、デートモジュール２０毎に製造番号等の番号を付しておき、この番号に基づいてプリセットコードを暗号化する等して、デートモジュール２０毎にプリセットコードが異なるようにすれば、不正規な再使用をより確実に防止することができる。また、ＬＣＤドライバ５３，表示制御手段等を１チップの集積回路としておけば、ＬＣＤ３６の表示を有効化するためのハード的な改造も困難なものとすることができる。
【００４５】
次に上記構成の作用について説明する。レンズ付きフイルムユニットの製造時では、露光ユニット１４，ストロボユニット１５等が組み付けられた本体基部１３に写真フイルムカートリッジ１８が装填される。このときに、カートリッジ１８ａはカートリッジ収納室１３ａに、カートリッジ１８ａから引き出された写真フイルム１８ｂはロール状にされてフイルムロール室１３ｂに収納される。
【００４６】
写真フイルムカートリッジ１８の装填後、本体基部１３の背面に後カバー１７が組み付けられ、カートリッジ収納室１３ａ，フイルムロール室１３ｂの底部がそれぞれ底蓋１７ａ，１７ｂで閉じられる。この本体基部１３は、撮影レンズ１１を上方に向けた姿勢でデートモジュール組み付け工程に送られて、プラス側接片４１を除いたデートモジュール２０が受け板３３とともに組み付けられる。そして、このデートモジュール２０の電池ホルダ部４２に、モジュール電池３９が載せられる。
【００４７】
このようにしてデートモジュール２０が組み付けられた本体基部１３は、前カバー組み付け工程に送られる。前カバー１６は、予めデートモジュール２０のプラス側接片４１がピン４３に固着された状態にされている。そして、プラス側接片４１の一端４１ｂがモジュールケース３８の開口３８ａよりモジュールケース３８内に進入するようにして、前カバー１６が本体基部１３の前面に組み付けられる。これにより、プラス側接片４１の一端４１ｂがモジュール基板３７の接点３７ａに、また他端４１ｃがモジュール電池３９のプラス電極面３９ｂにそれぞれ押し付けられるようにして接触される。したがって、この時点で、マイナス側接片４０及びプラス側接片４１を介してモジュール電池３９からモジュール回路に通電が開始される。
【００４８】
図８に示すように、モジュール電池３９による通電が開始されると、充放電回路５６から出力されるコンデンサ５６ｂの充電電圧が徐々に高くなる。これにより、波形整形回路５７は、通電開始直後では通電検知信号を「Ｌレベル」としているが、コンデンサ５６ｂの充電電圧が所定スレッシュホールドレベルに達した時点で通電検知信号を「Ｈレベル」とする。そして、このようにして通電開始から所定の時間が経過した後に「Ｌレベル」から「Ｈレベル」に変化する通電検知信号がＤ−ＦＦ回路５８のクロック端子に入力される。
【００４９】
Ｄ−ＦＦ回路５８は、モジュール電池３９による通電を受けて作動を開始した時点では、その時の供給電圧の変化やＤ−ＦＦ回路５８の特性によって、Ｑ端子からの出力、すなわち表示制御信号が「Ｌレベル」，「Ｈレベル」のいずれになるかはわからない。しかし、前述のようにして「Ｌレベル」から「Ｈレベル」に変化する通電検知信号がクロック端子に入力されると、Ｄ端子の「Ｌレベル」がＤ−ＦＦ回路５８に取り込まれ、これがＱ端子からの表示制御信号の信号レベルとなる。すなわち、表示制御信号のが「Ｌレベル」となる。
【００５０】
したがって、モジュール電池３９による通電が開始されると、時計回路５２が作動を開始して年月日データがＬＣＤドライバ５３に送られるが、表示制御信号が「Ｌレベル」とされるため、ＬＣＤドライバ５３によってＬＣＤ３６の表示が無効化されるため、ＬＣＤ３６には年月日が表示されない。
【００５１】
前カバー１６が組み付けられた本体基部１３は、さらに次の工程に送られて、前カバー１６の開口１６ｄを介してコネクタ４５に外部コンピュータ５４からの端子が接続される。外部コンピュータ５４は、コネクタ４５を介してモジュール回路に接続されると、所定のプリセットコードをコード確認回路５９に入力し、またその時点での時間，年月日を表す初期日付データを時計回路５２に入力する。
【００５２】
コード確認回路５９は、プリセットコードが入力されると、これを記憶しているプリセットコードと比較する。もちろん、この場合にコード確認回路５９に記憶したものと同じプリセットコードが入力されるから、コード確認回路５９は、プリセットコードの一致によってトランジスタ６０をＯＮとして、Ｄ−ＦＦ回路５８のプリセット端子に一定の時間だけ「Ｌレベル」の信号を入力する。これにより、Ｄ−ＦＦ回路５８は、Ｑ端子からの表示制御信号を「Ｈレベル」とするから、ＬＣＤドライバ５３は、それまで無効化して無表示であったＬＣＤ３６の表示を有効化され、これが継続される。
【００５３】
また、初期日付データは、時計回路５２にセットされる。これにより、時計回路５２は、初期日付データに表される時間，年月日から計時を開始するようになって、現在の年月日を表す年月日データをＬＣＤドライバ５３に出力するようになる。結果、ＬＣＤ３６には、時計回路５２で計時されている現在の年月日が透明な文字で表示された状態になる。
【００５４】
プリセットコード及び初期日付データの入力が完了すると、前カバー１６の開口１６ｄに集光板７がはめ込まれ固定されて、ユニット本体２が完成する。完成したユニット本体２は、各種の機能検査を受け、機能検査に合格したユニット本体２に外装が施されてレンズ付きフイルムユニットが完成する。完成したレンズ付きフイルムユニットは、出荷・販売されてユーザのもとで撮影に供される。
【００５５】
撮影時に撮影者は、巻上げノブ１１を回転操作して写真フイルム１８ｂを１コマ分巻上げてから、シャッタボタン８を押圧してシャッタレリーズ操作する。シャッタボタン８が押圧されると、シャッタ羽根３１が揺動して、撮影用シャッタ開口２３ａが開閉され、この間に撮影レンズ３を透過した被写体光で写真フイルム１８ｂが露光される。また、シャッタ羽根３１に連動して、デート用シャッタ部材４９がデート用シャッタ開口２３ｂを開閉する。ＬＣＤ３６は、集光板７で集光された光で照明されており、表示している年月日の部分からデート光が射出されている。これにより、デート用シャッタ開口２３ｂが開かれている間に、デート光が暗箱内２３内に入射し、投影レンズ５０を介して写真フイルム１８ｂに達し、現在の年月日が写真フイルム１８ｂ上で露光画面内に撮影日として光学的に写し込まれる。
【００５６】
撮影後、巻上げノブ１１を回転操作して１コマ分の写真フイルムを巻き上げると、次の撮影の待機状態となる。以下、シャッタボタン８の押圧操作と巻上げノブ１１の回転操作を行いながら順次に撮影を行う。全撮影コマの撮影終了後には、巻上げノブ１１が連続的に回転できるようになるから、撮影者は、巻上げノブ１１を連続的に回転操作して、全ての写真フイルム１８ｂをカートリッジ１８ａ内に収納する。そして、全ての写真フイルム１８ｂがカートリッジ１８ａに収納されると、遮光蓋閉鎖機構２１が作動して、カートリッジ１８ａのフイルム送出口が遮光蓋で閉じられる。ユーザは、レンズ付きフイルムユニットを現像所等に持ち込んで現像とプリントを依頼する。
【００５７】
現像所等では、ユニット本体２の底蓋１７ａを開放してカートリッジ収納室１３ａから撮影済の写真フイルムカートリッジ１８を取り出す。この後、写真フイルム１８ｂに現像処理を施し、現像済の写真フイルム１８ｂの各撮影コマからプリント写真を作成する。各撮影コマの露光画面内には、デートモジュール２０のＬＣＤ３６に表示されていた撮影日が写し込まれているから、作成されたプリント写真には撮影日が被写体画像とともにプリントされる。写真フイルム１８ｂは、カートリッジ１８ａに収納された状態で、プリント写真とともにユーザに返却される。
【００５８】
一方、写真フイルムカートリッジ１８が取り出された使用済のユニット本体２は、レンズ付きフイルムユニットのメーカーに回収される。メーカーでは、回収したユニット本体２を分解する。この分解に際して、前カバー１６を分離すると、前カバー１６に取り付けられているプラス側接片４１がデートモジュール２０から分離される。これにより、プラス側接片４１の一端４１ｂがモジュール基板３７の接点３７ａより、また他端４１ｃがモジュール電池３９のプラス電極面３９ｂよりそれぞれ離されるから、モジュール電池３９からモジュール回路への通電が断たれる。そして、通電が断たれると、コンデンサ５６ｂがダイオード５６ｃを介して放電するため充放電回路５６が初期化される。
【００５９】
分解して得られる各部品は、その機能、劣化度合いに応じてリサイクル，リユースされる。露光ユニット１４，ストロボユニット１５等は、機能検査を実施して機能に問題がなければ撮影レンズ３やストロボ発光部５を洗浄した後にレンズ付きフイルムユニットの製造工程に送られ、新たなレンズ付きフイルムユニットの部品としてリユースされる。また、前カバー１６や後カバー１７などは、細かく破砕されて樹脂ペレットにされ、レンズ付きフイルムユニットの各部品の原料としてリサイクルされる。
【００６０】
デートモジュール２０は、露光ユニット１４，ストロボユニット１５と同様に、機能検査を実施してその機能に問題がないものは、レンズ付きフイルムユニットの製造工程に送られ、新たなレンズ付きフイルムユニットに組み付けられる。そして、この組み付けは、上記と同じ手順で行われる。新たなモジュール電池３９と、前カバー１６の組み付けると、前カバー１６に固定されたプラス側接片４１でモジュール電池３９のプラス電極面３９ａとモジュール回路とが接続され、このモジュール回路に通電が再開される。モジュール回路への通電が再開されると、分解時にダイオード５６ｃで放電されたコンデンサ５６ｂが再び充電されるから、このときにも「Ｌレベル」から「Ｈレベル」に変化する通電検知信号が発生して表示制御信号が「Ｌレベル」とされるが、所定のプリセットコードの入力を行うことで、表示制御信号が「Ｈレベル」とされてＬＣＤ３６の表示が有効化され、初期日付データの入力で現在の日付がＬＣＤ３６に表示された状態とされる。このようにメーカーではＬＣＤ３６の表示を有効化できる。
【００６１】
ところで、使用済のユニット本体２がメーカに回収されずに、写真フイルムの詰め替え業者等に回収された場合で、新たな写真フイルムカートリッジ１８をユニット本体２に再装填する場合には、カートリッジ収納室１３ａの上部に設けられた遮光蓋閉鎖機構２１をカートリッジ１８ｂの遮光蓋を開いた状態に保持する位置に戻したり、露光ユニット１４に組み付けられたカウンタ機構や巻き止め機構を初期位置に戻す操作が必要となるため、前カバー１６をユニット本体２から分離する必要がある。また、デートモジュール２０を取り出す場合であっても、前カバー１６を分離する必要がある。
【００６２】
写真フイルムカートリッジ１８の再装填，デートモジュール２０の取り出しを行うために、前カバー１６をユニット本体２から分離すると、メーカーでの分解時と同様に、前カバー１６に取り付けられているプラス側接片４１がデータモジュール２０から離されて、モジュール回路への通電が停止される。
【００６３】
例えば、写真フイルムカートリッジ１８の再装填の完了後に、前カバー１６を本体基部１３に取り付け、プラス側接片４１でモジュール電池３９のプラス電極面３９ｂとモジュール基板３７上の接点３７ａとを接続すれば、モジュール回路への通電が開始（再開）される。しかし、先に前カバー１６を分離した際にダイオード５６ｃでコンデンサ５６ｂが放電されているため、上記同様にして、通電が開始されると通電検知信号が「Ｌレベル」から「Ｈレベル」に変化する。このため、表示制御信号が「Ｌレベル」となって、ＬＣＤ３６の表示が無効化され、ＬＣＤ３６は年月日が表示されない状態となる。
【００６４】
そして、メーカー以外の者は、プリセットコードを知らないから、表示制御信号は「Ｌレベル」とされたままであり、「Ｈレベル」とすることができない。したがって、ＬＣＤ３６の表示が無効化された状態に維持され、レンズ付きフイルムユニットのメーカー以外のものがユニット本体２をリユースすることができない。同様に、デートモジュール２０を分離してリユースすることもできない。結果、ユニット本体２及びデートモジュール２０をリユースすることができなくなるため、メーカー以外へのユニット本体２の回収が行われなくなって、メーカーへの回収率が向上する。
【００６５】
上記実施形態では、Ｄ−ＦＦ回路を用いてハード的に表示制御信号を「Ｌレベル」としたが、ソフト的な処理で「Ｌレベル」とすることもできる。図９及び図１０に示す例は、コントローラがプログラムに基づいて通電検知信号の変化で表示制御信号を「Ｌレベル」とするようにしたものである。なお、以下に説明する他は、上記実施形態と同様であり、実質的に同じ構成部材には、上記実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【００６６】
図９において、表示制御手段としてのコントローラ６４には、制御に必要なプログラムとプリセットコードとが書き込まれたＲＯＭ６４ａと、ワークメモリとして利用されるＲＡＭ６４ｂとが接続されている。このコントローラ６４は、ＲＯＭ６４ａのプログラムにしたがって時計回路５２に初期日付データをセットするとともに、ＬＣＤドライバ５３への表示制御信号の信号レベルを制御する。
【００６７】
コントローラ６４は、図１０に示されるように、「Ｌレベル」から「Ｈレベル」に変化する通電検知信号が波形整形回路５７から入力されると、表示制御信号を「Ｌレベル」とし、コネクタ４５を介して入力されるプリセットコードがＲＯＭ６４ａのものと一致すると表示制御信号を「Ｈレベル」とする。また、コントローラ６４は、プリセットコードの入力で表示制御信号を「Ｈレベル」とした後に、初期日付データが入力されると、この初期日付データを時計回路５２にセットする。
【００６８】
これにより、使用済のユニット本体２が分解されて、いったんモジュール回路への通電が停止された後に通電を再開しても、上記実施形態と同様に所定のプリセットコードを入力しない限り、表示制御信号が「Ｌレベル」とされた状態がコントローラ６４で維持されるからＬＣＤ３６の表示が無効化された状態に維持される。
【００６９】
図１１は、コントローラが作動を開始した直後に実行するプログラムによって表示制御信号を「Ｌレベル」とすることで、充放電回路と波形整形回路を省略できるようにした例を示すものである。なお、この例におけるモジュール回路の構成は、充放電回路と波形整形回路がない他は、図９の例と同じであるから、その図示を省略する。この例の場合には、モジュール電池３９からの通電で作動を開始すると、コントローラ６４は、図１１の処理を行う。コントローラ６４は、最初に表示制御信号を「Ｌレベル」とし、この後に所定のプリセットコードの入力を待った状態になる。そして、プリセットコードが入力されて、これがＲＯＭ６４ａに記憶しているものと一致すれば表示制御信号を「Ｈレベル」とするが、一致しなければ「Ｌレベル」に維持する。このようにして、コントローラ６４を作動するようにすれば、コントローラ６４が作動することが通電開始を検知することとなって、コントローラ６４自体が通電検知手段となるため、充放電回路と波形整形回路とを必要としない。
【００７０】
上記各実施形態では、前カバーにデートモジュールのプラス側接片を取り付けてユニット本体から前カバーを分離するとモジュール回路への通電が停止されるようにしているが、その他の手法を用いて通電を停止するようにしてもよい。以下、上記実施形態と異なる手法で通電を停止する例について説明する。なお、以下に説明する以外の部分は、上記実施形態と同様であり、上記実施形態の構成部材と実質的に同じもには同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【００７１】
図１２に示す例では、モジュール電池３９のプラス電極面３９ｂとモジュール回路との電気的な接続を行うプラス側接片６６は、それに形成された孔６６ａを介してモジュールケース３８の前面側に設けられたピン３８ｂに固着され、その一端６６ｂがモジュールケース３８内でモジュール基板３７の接点３７ａに常時接続された状態に保持されている。一方、プラス側接片６６の孔６６ａよりも他端６６ｃ側の部分は、適当な角度で電池ホルダ部４２から離れる方向、すなわち前カバー１６の方向に起立されている。前カバー１６の内面には、通電停止手段としての凸部６７がプラス側接片６６の起立された部分に対峙する位置に設けられている。
【００７２】
これにより、前カバー１６が組み付けられた状態では、プラス側接片接片６６の起立された部分が凸部６７で押圧されてモジュール電池３９に近づく方向に弾性変形され、他端６６ｃがモジュール電池３９のプラス電極面３９ｂに接触された状態（接続位置）に保持される。そして、前カバー１６をユニット本体２から分離すると、凸部６７によるプラス側接片６６の押圧が解除されるため、弾性変形されていたプラス側接片６６の他端６６ｃ側の部分が、その復元力でモジュール電池３９から離れる方向に移動する。結果、他端６６ｃは、プラス電極面４８ｂから離れた切断位置に移動し、モジュール回路への通電が停止される。
【００７３】
図１３に示す例は、カートリッジをカートリッジ収納室から取り出すために行われる動作として、カートリッジ収納室の底蓋の開放動作に連動させてモジュール回路への通電を停止するものである。
【００７４】
図１３に示すように、電池ホルダ部４２は、カートリッジ収納室１３ａの近傍に配されており、またマイナス側接片６８の接触部６８ａが出入りする開口４２ａが形成されている。プラス側接片６９は、その一端がモジュールケース３８の下部に露呈されたモジュール基板３７に半田付けされて固定されており、他端が弾性力でモジュール電池３９のプラス電極面３９ｂに接触し、モジュール電池３９を電池ホルダ部４２に押し付けている。これにより、モジュール電池３９が電池ホルダ部４２に保持されるとともに、モジュール電池３９のプラス電極面３９ｂとモジュール回路とが電気的に接続される。
【００７５】
マイナス側接片６８は、弾性を有した金属板をＬ字形状に打ち抜いたものであり、モジュールケース３８の背面側で、一端がモジュールケース３８の下部のモジュール基板３７に半田付けされて固定されてモジュール回路と電気的に接続されている。このマイナス側接片６８は、モジュール基板３７に固定された部分から他端側の部分が電池ホルダ部４２から離れるように斜め上方に折り曲げられている。マイナス側接片６８の他端には、モジュール電池３９のマイナス電極面３９ａと接触させるための接触部６８ａと、ユニット本体２の左右方向でカートリッジ収納室１３ａに向かう方向に伸びた片６８ｂが一体に形成されている。接触部６８ａは、例えばマイナス側接片６８の他端部分を凸状にプレス加工して形成したものであって、電池ホルダ部４２側に突出している。
【００７６】
電池ホルダ部４２の背後のカートリッジ収納室１３ａの外壁面上には、スライド部材７０がユニット本体２の上下方向にスライド自在に配されている。このスライド部材７０の下端部分には、底蓋１７ａの内面に設けられた係合爪７１と係合する係合爪７０ａが形成され、またスライド部材７０のほぼ中央には、電池ホルダ部４２に向かう方向に突出した接片保持部７０ｂが形成されている。
【００７７】
また、カートリッジ収納室１８ａの外壁面上には、スライド部材７０のスライドを上下方向にガイドするためのガイド板７２ａと、接片保持部７０ｂの上面に当接してスライド部材７０の上方へのスライドを規制する規制部材７２ｂとが設けられている。底蓋１７ａを閉じた際には、規制部材７２ｂによって、スライド部材７０が上方に逃げることなく、その係合爪７０ａと底蓋１７ａの係合爪７１とが係合する。なお、符号７３は、前カバー１６に設けられた突起と係合することにより、底蓋１７ａを閉じた状態に保持する係合爪である。
【００７８】
スライド部材７０は、底蓋１７ａが閉じられた状態では、接片保持部７０ｂが規制部材７２ｂに、また下端が底蓋１７ａの内面にそれぞれ当接することにより位置決めされる。そして、この位置決めされた状態では、マイナス側接片６８の片６８ｂが接片保持部７０ｂに当接するようにされている。なお、この例ではスライド部材７０と底蓋１７ａの係合爪７１とが通電停止手段となる。
【００７９】
この構成によれば、図１４に示すように、カートリッジ収納室１３ａの底面を底蓋１７ａで閉じた状態では、マイナス側接片６８の片６８ｂが接片保持部７０ｂに当接し、マイナス側接片６８が電池ホルダ部４２に向けて弾性変形されて、接触部６８ａが電池ホルダ部４２の開口４２ａ内に入り込んでモジュール電池３９のマイナス側電極面３９ａと接触した接続位置に保持される。したがって、レンズ付きフイルムユニットの出荷から撮影に供されている間では、モジュール回路は通電された状態に維持される。
【００８０】
撮影済のユニット本体２を現像所等に提出して、撮影済の写真フイルムカートリッジ１８を取り出すために、底蓋１７ａを開放すると、図１５に示すように、底蓋１７ａの係合爪７１と係合爪７０ａが係合しているスライド部材７０がユニット本体２の下方に向けてスライドされる。このため、接片保持部７０ｂが片６８ｂと当接している位置から下方に移動して接片保持部７０ｂによる片６８ｂの接触が解除されるから、弾性変形していたマイナス側接片６８は、電池ホルダ部４２から離れる方向にその復元力で移動し、接触部６８ａとモジュール電池３９のマイナス電極面３９ａとの接触を解除した切断位置に変移する。結果、モジュール回路への通電が停止される。
【００８１】
なお、スライド部材をバネ等で底蓋に向けて付勢しておき、底蓋が開かれたときにバネの付勢で下方にスライド移動させてもよい。また、上記のような底蓋にの開放動作に連動してスライドするスライド部材を用いず、レバー等を利用した他の構成により、底蓋の開放動作に連動させて接片を接続位置から切断位置に変移させるようにしてもよい。
【００８２】
図１６に示す例は、カートリッジをカートリッジ収納室から取り出すために行われる操作として、カートリッジ収納室の底蓋を開放するための治具挿入用開口に治具を挿入することに連動して、モジュール回路への通電が停止されるようにしたものである。なお、上記実施形態と同じ構成部材には、同じ符号を付してその説明を省略する。
【００８３】
図１６において、底蓋１７ａは、内面に設けられた係合爪７３が前カバー１６側の突起と係合することで、カートリッジ収納室１３ａの底部を閉じた状態に保持される。また、底蓋１７ａには、これを開放する際にドライバや専用の治具が挿入される治具挿入用開口７７が設けられている。この治具挿入用開口７７の近傍には、係合爪７３と一体に形成された解除片７３ａが配されている。カートリッジ収納室１７ａからカートリッジ１８ａを取り出す際には、ユニット本体２の底面側から治具挿入用開口７７にドライバや治具を差し込んで、解除片７３ａをユニット本体２の背面方向に押圧して係合爪７３を弾性変形させ、係合爪７３と前カバー１６の突起との係合を解除して底蓋１７ａを開放する。
【００８４】
カートリッジ収納室１３ａの外壁面上には、通電停止手段としてのスライド部材７４が設けられている。スライド部材７４には、図１３の例のスライド部材と同様にマイナス側接片６８の片６８ｂを保持する接片保持部７４ｂが設けられている。このスライド部材７４は、ガイド板７２ａに設けられた半球状の凸部７５にスライド部材７４側の半球状の凹部７６がクリック係合する。これにより、マイナス側接片６８の片６８ｂを接片保持部７４ｂで保持する位置にスライド部材７４が位置決めされて、撮影中などにスライド部材７４が上方に移動しないようにされているが、上方にスライドさせる強い力が作用した場合にはクリック係合が解除されてスライド部材７４は上方に移動することができる。なお、規制部材７２ｂは、スライド部材７４の下方へのスライドを規制する。
【００８５】
また、スライド部材７４は、凸部７５と凹部７６とによって位置決めされている状態は、その下端７４ａで閉じられた底蓋１７ａの治具挿入用開口７７に入り込んでこれを塞ぐ。
【００８６】
これによれば、レンズ付きフイルムユニットがメーカーから出荷され、撮影に供されている間では、上記実施形態と同様に接片保持部７４ｂによってマイナス側接片６８が弾性変形されて接続位置に保持されるため、接触部６８ａがモジュール電池３９のマイナス電極面３９ａに接触されてモジュール回路に通電が行われた状態に維持される。
【００８７】
撮影済の写真フイルムカートリッジ１８を取り出すために底蓋１７ａを開放する際に、作業者がユニット本体２の底面側から治具挿入用開口７７に治具等を挿入する。このときに、治具挿入用開口７７は、スライド部材７４の下端７４ａで塞がれているから、作業者は、スライド部材７４の下端７４ａに治具等で上方に押し上げる力を加える。これにより、スライド部材７４は、凸部７５と凹部７６とのクリック係合が解除されて上方にスライド移動し、治具等が治具挿入用開口７７からユニット本体２内に進入可能となる。この後に解除片７１ａを押圧して係合爪７３による係合を解除して底蓋１７ａを開放してから、カートリッジ１８ａを取り出す。
【００８８】
一方、スライド部材７４が上方に向けスライド移動されることによって、接片保持部７４ｂが片６８ｂと当接している位置から上方に移動する。これにより、片６８ｂと接片保持部７０ｂとの接触が解除され、弾性変形していたマイナス側接片６８が電池ホルダ部４２から離れる方向にその復元力で移動し切断位置へと変移する。結果、接触部６８ａとマイナス電極面４８ａとの接触が解除されて、モジュール回路への通電が停止される。
【００８９】
図１３の例ではカートリッジ収納室の底蓋の開放動作に連動させて、また図１６の例では底蓋を開放する際の治具の挿入する操作に連動させて、モジュール回路への通電を停止するものであるが、その他のカートリッジをカートリッジ収納室から取り出すための操作あるいは動作に連動させて、モジュール回路への通電を停止するようにしてもよい。例えば、カートリッジ収納室内のカートリッジの装填の有無を検知して、カートリッジがカートリッジ収納室から取り出されたときにモジュール回路への通電を停止するようにすることもできる。
【００９０】
図１７示す例は、写真フイルムの巻上げ長を測定して、写真フイルムが所定の長さだけ巻き上げられた時に通電を停止するようにしたものである。なお、この例では、巻き上げられた写真フイルムの長さを測定するのに遮光蓋閉鎖機構を利用しており、写真フイルムの全てがカートリッジに完全に収納されるだけの巻上げ長となったときに通電を停止するようにしている。
【００９１】
図１７において、カートリッジ収納室１３ａの上面には、巻上げノブ１１と、遮光蓋閉鎖機構２１が配されている。カートリッジ収納室１３ａの上面中央には軸受け部７８が形成されており、この軸受け部７８に巻上げノブ１１が回転自在に取り付けられている。巻上げノブ１１の下面には、カートリッジ１８ａのスプール１８ｃと係合する駆動軸１１ａと、遮光蓋閉鎖機構２１に含まれる間欠ギヤ７９とが一体に設けられている。
【００９２】
また、カートリッジ収納室１３ａの上面には減速ギヤ８０とカウンタギヤ８１とが回転自在に取り付けられる。減速ギヤ８０は、大径の上ギヤ８０ａと小径の下ギヤ８０ｂとからなり、巻上げノブ１１が１回転する毎に上ギヤ８０ａは間欠ギア７９に形成された１個の歯７９ａに間欠的に噛合されて所定角度（一歯分）ずつ歩進される。下ギヤ８０ｂは、巻上げノブ１１の回転数をカウントすることによって写真フイルム１８ｂの巻上げ長を測定するカウンタギヤ８１に噛合する。すなわちカウンタギヤ８１の回転角度によって巻上げノブ１１の回転数に応じた写真フイルム１８ｂの巻上げ長が測定される。
【００９３】
カウンタギヤ８１は、全ての写真フイルム１８ｂが巻き上げられた後に誤って回転しないように、カウント終了後に減速ギヤ８０に対面する部分には歯が形成されていない。カウンタギヤ８１の上部には、カウンタギヤ８１と一緒に回転するカム円板８２が一体に設けられている。このカム円板８２の外周面には、巻上げノブ１１の回転数から写真フイルム１８ｃの先端までがカートリッジ１８ａに収納されたことを検出するための切欠８２ａ（図１８参照）が形成されている。
【００９４】
カートリッジ収納室１３ａの上面で、カートリッジ１８ａの遮光蓋の係合穴２２に対面する位置には軸受け穴８３が形成されており、この軸受け穴８３には、遮光蓋を閉鎖する蓋閉じ部材８４が回動自在に取り付けられる。この蓋閉じ部材８４は、遮光蓋の係合穴２２に挿入されて係合する係合軸８４ａと、この係合軸８４ａの上部に一体に形成された係止爪部８５とからなる。蓋閉じ部材８４は、係止爪部８５に取り付けられるバネ８６によって、図中反時計方向の遮光蓋の閉じ位置に向けて付勢されている。
【００９５】
また、カートリッジ収納室１３ａの上面には、一端に蓋閉じ部材８４の係止爪部８５に係合する係合爪８７ａが形成され、他端にカム円板８２の外周面に対面する検知用突起８７ｂが形成されたタイミングレバー８７が揺動自在に取り付けられる。また、タイミングレバー８７には、接片保持レバー８８を係止する係止腕８７ｃが一体に設けられている。
【００９６】
タイミングレバー８７の係合爪８７ａは、蓋閉じ部材８４が遮光蓋の開き位置にある状態で係止爪部８５に係合する。これにより、タイミングレバー８７は、蓋閉じ部材８４を介してバネ８６により図中時計方向に付勢されることになり、他端部に設けられた検知用突起８７ｂがカム円板８２の外周面に圧接され、検知用突起８７ｂがカム円板８２の切欠８２ａと対面したときには、この切欠８２ａに検知用突起８７ｂが入り込んで揺動する。
【００９７】
レンズ付きフイルムユニットの製造時における、写真フイルム１８ｂのカートリッジ１８ａからの引出し量と、タイミングレバー８７の検知用突起８７ｂに対するカム円板８２の切欠８２ａの相対的な位置とが管理されている。そして、フイルムロール室１３ｂに収納された写真フイルム１８ｂをカートリッジ１８ａの内部に全部巻き込んだときに、検知用突起８７ｂがカム円板８２の切欠８２ａに入り込むようにされている。
【００９８】
カートッジ収納室１３ａの外壁面には、接片保持レバー８８が軸着されている。この接片保持レバー８８の上端部８８ａは、カートリッジ収納室１３ａの上面に突出し、タイミングレバー８７の係止腕８７ｃの背面側に配されている。これにより、接片保持レバー８８は、検知用突起８７ｂがカム円板８２の外周面に圧接した状態にあるタイミングレバー８７の係止腕８７ｃに係止されて、下端部８８ｂを電池ホルダ部４２に近づけた保持位置と、検知用突起８７ｂをカム円板８２の切欠き８２ａに入り込ませた状態にあるタイミングレバー８７の係止腕８７ｃで係止されて、下端部８８ｂを電池ホルダ部４２から遠ざけた退避位置との間で揺動自在とされている。
【００９９】
マイナス側接片８９は、形状が異なるが図１３に示される実施形態と同様に、一端がモジュール基板３７に固定され、他端８９ａに接触部８９ｂが形成されるとともに、この他端８９ａ側が電池ホルダ部４２から離れる方向に所定の角度で折り曲げられている。マイナス側接片８９は、他端８９ａが接片保持レバー８８の下端部８８ｂと当接し、その弾性力で接片保持レバー８８を反時計方向（図中矢印方向）に付勢する。
【０１００】
この構成によれば、写真フイルム１８ｂの全てがカートリッジ１８ａ内に巻き込まれるまでは、図１８に示すように、タイミングレバー８７の検知用突起８７ｂがカム円板８２の外周面に圧接された状態が維持される。また、この状態のタイミングレバー８７の係止腕８７ｃに接片保持レバー８８の上端部８８ａが係止されることにより、図１９に示すように、接片保持レバー８８は、マイナス側接片８９の弾性力による付勢に抗して保持位置に維持される。結果、マイナス側接片８９は、その接触部８９ｂを電池ホルダ部４２に配されたモジュール電池３９のマイナス電極面３９ａに接触した接続位置に保持され、モジュール回路への通電を維持した状態になっている。
【０１０１】
撮影毎に巻上げノブ１１が回転操作されると、この巻上げノブ１１が１回転する毎に、間欠ギア７９の歯７９ａにより減速ギヤ８０が所定角度回転され、これにともなってカウンタギヤ８１が回転される。そして、最終コマへの撮影完了後に、写真フイルム１８ｂがカートリッジ１８ａ内に全て巻き込まれるまで巻上げノブ１１が回転操作された時点で、カム円板８２の切欠８２ａにタイミングレバー８７の検知用突起８７ｂが対面する。すると、図２０に示すように、タイミングレバー８７はバネ８６に付勢された蓋閉じ部材８４に押圧されて揺動し、検知用突起８７ｂが切欠８２ａ内に入り込む。タイミングレバー８７が揺動すると蓋閉じ部材８４は遮光蓋の開き位置での保持が解除されるため、バネ８６の付勢によって図中反時計方向の遮光蓋の閉じ位置に向けて回動され、同時に蓋閉じ部材８４の係合軸８４ａに係合された遮光蓋も閉じ位置に回動される。
【０１０２】
一方、タイミングレバー８７の揺動にともなって、係止腕８７ｃがユニット本体２の前方に移動し、接片保持レバー８８の上端部８８ａとの係止位置がずれる。これによって、図２１に示すように、マイナス側接片８９の弾性力で付勢されている接片保持レバー８８は、保持位置から退避位置に揺動し、下端部８８ｂを電池ホルダ部４２から遠ざける。そして、マイナス側接片８９は、この下端部８８ｂの移動にともなって、その弾性力で電池ホルダ部４２から接触部８９ｂを離すように後方に倒れる。結果、カートリッジ１８ａ内に全て巻き込まれるだけの写真フイルム１８ｂを巻上げると、マイナス側接片８９が接続位置から切断位置に変移し、接触部８９ｂとマイナス電極面３９ａとの接触が解除されて、モジュール回路への通電が停止される。
【０１０３】
なお、この例では、前述のように遮光蓋閉鎖機構を利用しているため、カートリッジに完全に収納されるだけの写真フイルムを巻き上げたときに通電が停止されるが、通電を停止する写真フイルムの巻上げ長は、最終撮影コマがアパーチャの背後にセットされるだけの長さを超えていればいつでもよい。また、写真フイルムの巻上げ長を測定する構成は、上記のものに限られない。
【０１０４】
図２２は、フイルム通路内で写真フイルムの先端が通過したことを検知してモジュール回路への通電を停止するようにしたものである。図２２において、通電停止手段は、検知棒９０と、コイルバネ９１とから構成されている。検知棒９０は、これに一体に形成された円筒状の遮光カバー９０ｂを貫いた棒形状とされており、検知棒９０の一端９０ａには、マイナス側接片９２が固着される。コイルバネ９１は、検知棒９０に通されて、マイナス側接片９２と遮光カバー９０ｂとの間に配される。遮光カバー９０ｂは、その外径がコイルバネ９１の径よりも大きくされ、また検知棒９０の一端９０ａ側の端面が塞がれている。この遮光カバー９０ｂは、コイルバネ９１が検知端９０ｃ側へ移動することを規制するとともに、検知棒９０がスライド自在に挿入される本体基部１３側の検知用孔９４の周囲に設けられた遮光筒９５と協同して検知用孔９４からフイルム通路９６内に外光が進入しないようにしている。
【０１０５】
検知用孔９４は、カートリッジ収納室１３ａの近傍の本体基部１３の前面の壁面を貫通してフイルム通路９６に達し、フイルム通路９６の下方で写真フイルム１８ｂの下側の縁部に対面するように設けられている。さらに、カートリッジ収納室１３ｂの外壁面には、カギ穴状の切欠き９７ａが形成された支持部９７が設けられている。検知棒９０は、検知端９０ｃが検知用孔９４に挿入され、一端９０ａ側が切欠き９７ａに圧入される。これにより、検知棒９０は、その軸心方向にスライド自在に本体基部１３に取り付けられ、また支持部９７と遮光カバー９０ｂとの間にコイルバネ９１が圧縮した状態で配され、このコイルバネ９１でフイルム通路９６に向けて付勢される。
【０１０６】
フイルム通路９６は、最初の実施形態で述べたように、本体基部１３と後カバー１７との間に形成され、アパーチャ１３ｃの背後を通ってフイルムロール室１３ｂとカートリッジ収納室１３ａとをつなぐように形成されている。そして、巻上げノブ１１を回転操作することによって、フイルム通路９６を通って写真フイルム１８ｂがフイルムロール室１３ｂからカートリッジ収納室１３ａのカートリッジ１８ａに搬送される。
【０１０７】
フイルム通路９６内に露呈されている検知用孔９４と対面する位置に写真フイルム１８ｂがあるときには、検知棒９０は、検知端９０ｃが後カバー１７の内面で支持された写真フイルム１８ｂに当接するため、コイルバネ９１の付勢に抗して本体基部１３の前方に移動された保持位置に保持される。フイルム通路９６内で写真フイルム１８ｂの先端（写真フイルムの巻き上げ方向に対しては後端）が検知用孔９４を通過したときには、検知端９０ｃと写真フイルム１８ｂとの接触が解除されるため、検知棒９０は、コイルバネ９１の付勢によって保持位置から本体基部１３の後方に移動された退避位置にスライド移動される。
【０１０８】
マイナス側接片９２は、前述のように検知棒９０の一端に固着されている。このマイナス側接片９２は、検知棒９０のスライドとともにユニット本体２の前後方向にスライド移動される。検知棒９０が保持位置に保持されているときには、マイナス側接片９２の一端９２ａがモジュール基板３７の背面側に設けられた接点（図示省略）に、また他端側の接触部９２ｂがモジュール電池３９のマイナス電極面３９ａにそれぞれ接触された接続位置に保持される。また、検知棒９０が退避位置に移動されたときには、マイナス側接片９２は、一端９２ａ及び接触部９２ｂがそれぞれモジュール基板３７の接点及びモジュール電池３９のマイナス電極面３９ａから離れた切断位置に移動される。
【０１０９】
なお、検知棒９０ａの検知端９０ｃ対面する後カバー１７の内面部分には、図２３，図２４に示すように、凹部９８が形成されており、この凹部９８によって検知棒９０の保持位置から退避位置への移動量を写真フイルム１８ｂの厚みよりも大きくしている。これにより、検知棒９０が退避位置に移動した際に、マイナス側接片９２がモジュール基板３７の接片及びマイナス電極面３９ａより確実に離れるようにしている。
【０１１０】
この構成よれば、図２３に示すように、カートリッジ１８ａから引き出された写真フイルム１８ｂがフイルム通路９６内にある状態では、コイルバネ９１で付勢された検知棒９０は、検知端９０ｃが写真フイルム１８ｂに当接するため保持位置に保持される。このため、検知棒９０の一端９０ａに固定されたマイナス側接片９２が接続位置に保持されて、その一端９２ａをモジュール基板３７上の接点に、接触部９２ｂをモジュール電池３９のマイナス電極面３９ａにそれぞれ接触した状態とされ、モジュール電池３９からモジュール回路への通電が継続される。
【０１１１】
そして、最終コマの撮影完了後に、巻上げノブ１１を連続的に回転操作してカートリッジ１８ａ内に写真フイルム１８ｂを巻上げているときに、図２４に示すように、フイルム通路９６内で検知棒９０の検知端９０ｃの位置を写真フイルム１８ｂの先端が通過すると、コイルバネ９１の付勢により検知棒９０が後カバー１７に向けてスライドされて退避位置に移動する。これにより、マイナス側接片９２が電池ホルダ部４２から離れる方向、すなわち切断位置に移動する。結果、マイナス側接片９２の一端９２ａがモジュール基板の接点から離れるとともに、接触部９２ｂがマイナス電極面３９ａより離れて、モジュール回路への通電が停止される。
【０１１２】
なお、通常写真フイルムの先端と、最後の撮影コマ（先端側の撮影コマ）との間には撮影に用いられない領域があるので、フイルム通路内でカートリッジ収納室に寄った位置において写真フイルムの先端の通過を検知しなくてもよい。また、他の構成で写真フイルムの先端の通過を検出してもよい。
【０１１３】
上記各実施形態では、表示手段として透過型のＬＣＤを用い、これを外光で照明してデート光を得ているが、ストロボ光の一部をライトガイドに直接に入射させて導光した光でＬＣＤを照明したり、撮影毎に点灯するライトをデートモジュールに内蔵しこれで照明してもよい。また、表示手段として自ら光を放出するものを用いてもよい。なお、ランプ等を用いた場合には、このランプを点灯させないようにすることで、表示手段の表示を無効化することもできる。
【０１１４】
最初の実施形態では、前カバーを分離することによって通電が停止されるようになっているが、これはユニット本体が写真フイルムカートリッジの再装填及びデートモジュールの取り外しを行うには前カバーを分離する必要がある構成とされているからであって、ユニット本体から分離した際にモジュール回路への通電が停止される構成部材は前カバーに限るものではなく、ユニット本体の構成に応じて適宜に設定することができる。
【０１１５】
また、図１３から図２４で説明した各実施例形態では、カートリッジの取り出しのための操作や動作が行われたとき、または写真フイルムの巻上げ長が所定の長さに達したとき、あるいはフイルム通路内で写真フイルムの先端の通過を検出したときにモジュール回路への通電を停止しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、写真フイルムの最終コマへの撮影完了からカートリッジの取り出しまでの間に必ず行われる上記に説明した他の操作やレンズ付きフイルムユニットの状態の変化（動作）に連動させてモジュール回路への通電を停止するようにしてもよい。例えば、最終コマがアパーチャにセットされていることは、カウンタ機構に設けられた撮影枚数表示板の回転位置で検出することができるから、この撮影枚数表示板の回転位置とシャッタ機構の動作で最終コマまでの撮影が完了したことを検知して、モジュール回路への通電を停止するようにすることもできる。
【０１１６】
また、通電を停止する際には、上記各実施形態のように継続的に通電を停止させる他に一時的に通電を停止してもよい。また、上記のように機械的に操作や動作を検知する他に、電気的，光電的な手法で通電を停止するタイミングを検知してもよく、機械的に通電を停止する他に電気的に通電を停止させてもよい。例えば、シャッタ羽根の作動回数を、例えばシンクロスイッチがＯＮとなる回数から電気的にカウントし、このカウント数、すなわち撮影済のコマ数が写真フイルム固有の撮影可能枚数に達したときに、モジュール回路とモジュール電池との間に接続されたスイッチング素子をＯＦＦとしてモジュール回路への通電を停止することもできる。
【０１１７】
さらに、時計回路にセットする初期日付データについても暗号化して、メーカー以外で現在の時間，年月日を設定できないようにすれば、仮に表示制御信号を「Ｈレベル」としてＬＣＤに表示がされるようにできても正しい表示をＬＣＤに行うことができないから、このようにしてもＬＣＤの表示を無効化することができる。また、初期日付データとプリセットコードを組み合わせて暗号化するようにしてもよい。
【０１１８】
上記説明は、データとして撮影日を光学的に写し込む例にいて説明したが、撮影日の他に、各種の文字や記号等を写し込む場合にも利用することができる。
【０１１９】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、製造時に前記表示手段の表示を有効化した状態で内蔵されたデータ写し込み装置への通電を写真フイルムの撮影終了から写真フイルムカートリッジの取り出しまでの間に、あるいは写真フイルムカートリッジの再装填またはデータ写し込み装置の取り外しのためにユニット本体の構成部材を分離したときに、通電停止手段で停止するようにし、また電池からの通電が開始されたことを検知して写し込むべきデータを表示する表示手段の表示を無効化した状態に維持するようにしたから、写真フイルムカートリッジの取り出しまで、あるいは分解した時点のちに再通電してもデート写し込み装置の表示手段の表示が無効化された状態に維持される。したがって、ユニット本体を不正規に再使用したり、データ写し込み装置を取り出して使用することができなくなる。また、これにより、ユニット本体のメーカーへの回収率を向上させることができる。さらに、所定の信号を入力することで、表示手段の表示を有効化することができるようにしたから、レンズ付きフイルムユニットのメーカーでは、簡単にデータ写し込み装置をリユースすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明を実施したレンズ付きフイルムユニットに内蔵されたデートモジュールを示す斜視図である。
【図２】レンズ付きフイルムユニットの外観を示す斜視図である。
【図３】レンズ付きフイルムユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図４】デートモジュールの要部を示す断面図である。
【図５】集光板の断面を示す断面図である。
【図６】露光ユニットを示す斜視図である。
【図７】デートモジュールの電気的な構成を示すブロック図である。
【図８】通電開始後のデートモジュールの各部の出力を示す波形図である。
【図９】プログラム処理で表示を無効化する例のデートモジュールの電気的な構成を示すブロック図である。
【図１０】図９の例における処理を示すフローチャートである。
【図１１】コントローラが通電検知手段を兼ねた例の処理を示すフローチャートである。
【図１２】デートモジュールケースに接片を固着し前カバーの分離で通電が停止される例を示す斜視図である。
【図１３】カートリッジ収納室の底蓋の開放に連動して通電が停止される例を示す分解斜視図である。
【図１４】図１３の例においてマイナス側接片が接続位置に保持されている状態を示す断面図である。
【図１５】図１３の例においてマイナス側接片が切断位置に変移された状態を示す断面図である。
【図１６】カートリッジ収納室の底蓋の開放のために治具を挿入することに連動して通電が停止される例を示す分解斜視図である。
【図１７】写真フイルムの巻上げ長を測定して通電を停止する例を示す斜視図である。
【図１８】図１７の例において写真フイルムの巻上げ長が所定の長さに達していないときのタイミングレバーの状態を示す説明図である。
【図１９】図１８の状態でマイナス側接片が接続位置に保持された状態を示す断面図である。
【図２０】図１７の例において写真フイルムの巻上げ長が所定の長さに達したときのタイミングレバーの状態を示す説明図である。
【図２１】図２０の状態でマイナス側接片が切断位置に変移された状態を示す断面図である。
【図２２】フイルム通路内で写真フイルムの先端の通過を検知して通電が停止される例を示す分解斜視図である。
【図２３】図２２の例においてマイナス側接片が接続位置に保持されている状態を示す断面図である。
【図２４】図２２の例においてマイナス側接片が切断位置に変移された状態を示す断面図である。
【符号の説明】
２ ユニット本体
１６ 前カバー
１７ａ 底蓋
１８ 写真フイルムカートリッジ
２０ デートモジュール
２１ 遮光蓋閉鎖機構
３６ ＬＣＤ
３９ モジュール電池
４０，４１，６６，６８，８９，９２ 接片
４２ 電池ホルダ部
４３ ピン
４５ コネクタ
５３ ＬＣＤドライバ
５６ 充放電回路
５７ 波形整形回路
５８ Ｄ−ＦＦ回路
５９ コード確認回路
６４ コントローラ
６７ 凸部
７０，７２ スライド部材
７１ 係合爪
７７ 治具挿入開口
８７ タイミングレバー
８８ 接片保持レバー
９０ 検知棒
９１ コイルバネ
９６ フイルム通路
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真フイルムにデータを写し込むためのデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニットに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
レンズ付きフイルムユニットは、簡単な撮影機構を内蔵したユニット本体に未露光の写真フイルムとこれを収納するカートリッジとからなる写真フイルムカートリッジが予め装填されており、廉価で使用も簡単であることから広く普及している。レンズ付きフイルムユニットは、使用後にはユニット本体ごと現像所に回収され、現像所でユニット本体から撮影済の写真フイルムカートリッジを取り出して、現像処理及びプリント処理を行うが、写真フイルムが取り出された使用済のユニット本体そのものはユーザに返却されることはない。
【０００３】
上記ユニット本体は、本体基部，撮影レンズやシャッタ機構等が組み付けられた露光ユニット，後カバー，前カバー等の部品から構成されており、ストロボ内蔵型のものでは、これらの他にストロボ放電管，充電回路，電池等が取り付けられたストロボユニットを備えている。ユニット本体は、メーカーに回収された後に各部品毎に分解されリユース，リサイクルされる。
【０００４】
例えば、露光ユニットやストロボユニットについては、機能検査を行って異常がなければそのままリユースされる。また、前カバーや後カバーは、そのままリユースせずに破砕，溶融して再び原材料としてリサイクルされる。後カバー等は、写真フイルムに直接に接触する部品であるため、わずかでも損傷があると写真フイルムにストリーク傷やスクラッチ傷が入ってしまい、写真画像に修復できない影響を及ぼすからである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近ではレンズ付きフイルムユニットを製造したメーカー以外の第３者が、使用済のユニット本体を回収し、そのまま新たな写真フイルムカートリッジを再装填して販売している。このようにして、各部の適正な品質検査を行わず、メーカー以外の者が機能保証のないままにユニット本体を不正規に再利用して販売すると、新たに装填した写真フイルムに損傷を与える等の写真品質の劣化を招く可能性や、撮影機構の劣化による動作不良で、適正な撮影を行えなくなる可能性がある。そして、一般ユーザーに対してレンズ付きフイルムユニットの信頼性を低下させる等の悪影響が生じる。
【０００６】
また、データ写し込み装置をユニット本体に内蔵させて、撮影日等のデータを写真フイルムに写し込むようにした試みがなされており、このようなレンズ付きフイルムユニットが本出願人から提案されている（例えば、特願平９−１４１２４９号）。
【０００７】
例えば撮影日を写し込むデータ写し込み装置は、現在の年月日を計時する時計回路，この時計回路で計時されている年月日を表示する液晶ディスプレイ，電源としての電池等から構成されている。このようなデータ写し込み装置は、比較的に高価なものであるが、これを内蔵した使用済のユニット本体を回収し、データ写し込み装置をリユースするようにすれば、実質的な製造コストを下げることが可能であり、レンズ付きフイルムユニットの価格を低く抑えることができる。
【０００８】
しかしながら、上記のように、第３者にユニット本体が回収されたり、ユニット本体からデータ写し込み装置が取り出されてしまうと、データ写し込み装置を内蔵したレンズ付きフイルムユニットの製造コストが高くなってしまい、レンズ付きフイルムユニットを安価に販売できなくなる。また、ユニット本体及びデータ写し込み装置に対して適正な品質検査を行わずに、新たなフイルムカートリッジを装填して販売すれば、データが写し込まれない等の不都合が発生する可能性もあり、一般ユーザーに対してレンズ付きフイルムユニットの信頼性を低下させてしまう。
【０００９】
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、簡単かつ安価な構成で、データ写し込み装置とこれを内蔵したユニット本体の不正規な再使用ができないようにするとともに、正規の再使用を可能にしたデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニットを提供することを目的とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、写真フイルムの撮影終了から写真フイルムカートリッジの取り出しまでの間に、または写真フイルムカートリッジの再装填またはデータ写し込み装置の取り外しのために所定の構成部品をユニット本体から分離することに連動して、電池からデータ写し込み装置への通電を停止する通電停止手段を備えるとともに、データ写し込み装置が、電池からの通電が開始されたことを検知する通電検知手段と、この通電検知手段によって通電の開始が検知されることに応答して表示手段の表示を無効化した状態に維持する表示制御手段とを備え、通電停止手段によってデータ写し込み装置への通電が停止されてから通電を再開した際に、前記表示手段の表示が無効化された状態に維持されるようにしたものである。また、外部からの所定の信号を表示制御手段に入力することにより、表示手段の表示を有効化した状態にするようにすることで、データ写し込み装置を正規にリユースできるようにしたものである。
【００１１】
【発明の実施の形態】
本発明を実施したデータ写し込み装置を内蔵したレンズ付きフイルムユニットの外観を図２に示す。なお、図２では、レンズ付きフイルムユニットのユニット本体だけを描いてあるが、実際にはユニット本体には外装体が巻き付けられており、この外装体を巻き付けたままで撮影を行うことができる。
【００１２】
ユニット本体２の前面には、撮影レンズ３，ファインダ４の対物側窓４ａ，ストロボ発光部５，ストロボ用の充電をオン，オフするための操作レバー６，集光板７が設けられている。また、ユニット本体２の上面には、シャッタボタン８，残り撮影可能コマ数を表示するカウンタ窓９，ストロボ充電の完了を表示する表示用ライトガイド１０が突出される開口１０ａが設けられている。さらに、ユニット本体２の背面側には、１コマの撮影ごとに回転操作される巻上げノブ１１が露呈され、対物側窓４ａに対面する位置にファインダ４の接眼側窓４ｂ（図３参照）が設けられている。
【００１３】
ユニット本体２の分解斜視図を図３に示す。ユニット本体２は、本体基部１３，露光ユニット１４，ストロボユニット１５，前カバー１６，後カバー１７，Advanced Photo SystemのＩＸ２４０型式の写真フイルムカートリッジ１８、及びデータ写し込み装置としてのデートモジュール２０等から構成されている。
【００１４】
本体基部１３には、写真フイルムカートリッジ１８のカートリッジ１８ａを収納するためのカートリッジ収納室１３ａと、カートリッジ１８ａから引き出されてロール状にされた未露光の写真フイルム１８ｂを収納するためのフイルムロール室１３ｂとが一体に形成されている。カートリッジ収納室１３ａの上部には、巻上げノブ１１が回動自在に配されるとともに、遮光蓋閉鎖機構２１が設けられている。
【００１５】
巻上げノブ１１は、その下部に一体に設けられた軸がカートリッジ収納室１３ａに収納されたカートリッジ１８ａのスプール１８ｃの一端に係合されている。巻上げノブ１１を図中反時計方向に回動することにより、撮影済の写真フイルム１８ｂがカートリッジ１８ａ内に巻き上げられる。カートリッジ１８ａには、写真フイルム１８ｂが出入りするフイルム送出口を開閉する遮光蓋が設けられており、この遮光蓋の端部に設けられた係合穴２２がカートリッジ１８ａの端部に露呈されている。遮光蓋閉鎖機構２１は、巻上げノブ１１の回転数をカウントすることにより、カートリッジ１８ａ内に巻き上げられた写真フイルム１８ｂの長さを測定し、写真フイルム１８ｂの先端までがカートリッジ１８ａ内に収納されるだけ写真フイルム１８ｂが巻き上げられた時点で、係合穴２２に係合した蓋閉じ部材を回動することによって遮光蓋でフイルム送出口を光密に閉じる。
【００１６】
カートリッジ収納室１３ａとフイルムロール室１３ｂとの間には、写真フイルム１８ｂ上に形成される露光画面の画面サイズを画定するアパーチャ１３ｃが形成され、このアパーチャ１３ｃの周囲には、前方に突出した遮光筒１３ｄが設けられている。
【００１７】
露光ユニット１４は、シャッタ機構，フイルム巻き止め機構，残り撮影可能コマ数を表示するためのカウンタ機構，ファインダ４等を暗箱２３に組み付けてユニット化したものである。暗箱２３の前面には、シャッタカバー２４が取り付けられ、このシャッタカバー２４の前面に取り付けられたレンズホルダ２５によって撮影レンズ３が保持されている。この露光ユニット１４は、暗箱２３が遮光筒１３ｄに取り付けられることにより本体基部１３に組み付けられ、暗箱２３と遮光筒１３ｄとによって撮影レンズ３とアパーチャ１３ｃとの間が遮光される。また、露光ユニット１４には、操作レバー６のスライドに連動して上下する表示用ライトガイド１０が設けられている。デートモジュール２０は、受け板３３を介して露光ユニット１４に取り付けられることによってシャッタカバー２４の前面に配される。
【００１８】
ストロボユニット１５は、ストロボ回路基板２６にストロボ発光部５，メインコンデンサ２７，シンクロスイッチ２８，ストロボ用の電池２９等を組み付けてユニット化したものである。操作レバー６が上方に向けてスライドされると、ストロボ回路基板２６上に設けられた充電スイッチがＯＮとなってメインコンデンサ２７への充電が行われる。シンクロスイッチ２８は、上下に配された一対の接片からなり、シャッタ機構が作動されたときにシャッタ羽根３１に一体に形成された押圧片３１ａ（図６参照）で上側の接片が押圧されて下側の接片に接触することによりＯＮとなる。このシンクロスイッチ２８のＯＮによりストロボ発光部５からストロボ光が放出される。
【００１９】
前カバー１６には、シャッタボタン８，対物窓４ａが形成されている他、撮影レンズ３，ストロボ発光部５，操作レバー６を露呈するための開口１６ａ〜１６ｃが形成されている。また、開口１６ａの近傍に形成された開口１６ｄには集光板７がはめ込まれて固定される。この前カバー１６は、露光ユニット１４，ストロボユニット１５，デートモジュール２０が組み付けられた本体基部１３の前面側にこれらを覆うようにしてに組み付けられる。
【００２０】
後カバー１７は、カートリッジ１８ａと写真フイルム１８をカートリッジ収納室１３ａとフイルムロール室１３ｂにそれぞれ収納した本体基部１３の背面側を覆い、本体基部１３との間でフイルムロール室１３ｂからアパーチャ１３ｃの背後を通ってカートリッジ収納室１３ａに至るまでのフイルム通路を形成する。このフイルム通路を通って写真フイルム１８ｂがフイルムロール室１３ｂからカートリッジ収納室１３ａのカートリッジ１８ａに搬送される。
【００２１】
また、後カバー１７には、その底部に底蓋１７ａ，１７ｂが形成されており、これらの底蓋１７ａ，１７ｂによってカートリッジ収納室１３ａとフイルムロール室１３ｂの底部が光密に閉じられる。カートリッジ収納室１３ａの底蓋１７ａは、開閉自在にされており、撮影済の写真フイルム１８ａを全て収納したカートリッジ１８ａを取り出す際の取り出し蓋を兼ねている。
【００２２】
図１及び図４に示すように、デートモジュール２０は、写真フイルム１８ｂに写し込むデータ、この例では撮影日を表示する表示手段としてのＬＣＤ（液晶ディスプレイ）３６を含む表示回路，通電検知手段，表示制御手段からなるモジュール回路，モジュール回路の各部品が実装されたモジュール基板３７、このモジュール基板３７を収納したモジュールケース３８、モジュール回路の電源としてのモジュール電池３９、及び導電性を有した金属製のマイナス側接片４０及びプラス側接片４１等から構成されている。モジュール電池３９としては、小型かつ薄型のボタン型のものが用いられている。
【００２３】
モジュールケース３８には、電池ホルダ部４２が一体に形成されており、この電池ホルダ部４２の中央には、モジュール基板３７に一端が接続されたマイナス側接片４０の他端が露呈されている。モジュール電池３９は、そのマイナス電極面３９ａをマイナス側接片４０の他端に接触するようにして電池ホルダ部４２に配される。
【００２４】
プラス側接片４１は、これに形成された孔４１ａを介して前カバー１６の内面に形成されたピン４３の先端に固着されている。このプラス側接片４１は、前カバー１６を露光ユニット１４，データモジュール２０等が組み付けられた本体基部１３の前面に組み付けることにより、その一端４１ｂがモジュールケース３８の前面に形成された開口３８ａから入り込んでモジュール基板３７上の接点（ランド）３７ａと接触し、また他端４１ｃが電池ホルダ部４２に配されたモジュール電池３９のプラス電極面３９ｂと接触する。これにより、各接片４０，４１を介してモジュール電池３９とモジュール回路とが電気的に接続され、モジュール回路が通電される。すなわち、前カバー１６が組み付けられた状態でピン４３によりプラス側接片４１が接続位置に保持される。
【００２５】
プラス側接片４１は、弾性を有したものが用いられており、上記のようにして前カバー１６を組み付けた際には、モジュールケース３８に向かって弾性変形されることで、その弾性力によって一端４１ｂが接点３７ａに他端４１ｃがモジュール用電池３９のプラス電極面３９ｂにそれぞれ押しつけられように接触される。これにより、モジュール電池３９を電池ホルダ部４２に保持し、また各接片４０，４１とモジュール電池３９との電気的な接続、及びプラス側接片４１と接点３７ａとの電気的な接続が確実なものとされる。
【００２６】
このレンズ付きフイルムユニットでは、使用済のユニット本体２に新たな写真フイルムカートリッジ１８を再装填しようとしたり、デートモジュール２０を取り出す場合には、前カバー１６をユニット本体２から分離することが必要である。そして、この前カバー１６にプラス側接片４１を取り付けておくことによって、前カバー１６を分離した際には、プラス側接片４１が接点３７ａ及びモジュール電池３９のプラス電極面３９ｂから離されてデートモジュール２０への通電が停止されるようになっている。すなわち、前カバー１６に一体に形成されたピン４３が通電停止手段であり、前カバー１６が分離されることによりプラス側接片４１が接続位置から切断位置に変移される。
【００２７】
モジュール回路は、モジュール用電池３９からの通電を受けて作動する。ＬＣＤ３６には、写真フイルム１８ｂに写し込むべき現在の「年，月，日」（撮影日）が表示される。ＬＣＤ３６としては、不透明な背景に透明な「年，月，日」、例えば「 '９8 ０５ ２８」等の文字を表示する透過型のものが用いられている。このＬＣＤ３６は、モジュールケース３８の前面側及び背面側に形成された開口から露呈され、前カバー１６に組み付けられた集光板７の照明部７ａに前面側の開口を介して対面される。
【００２８】
集光板７の断面を図５（ａ）に示す。集光板７は、透明なプラスチック樹脂を成形したものであり、照明部７ａは、集光板７の表面７ｂ側に断面が「Ｖ」字の溝形状に、また背面７ｃ側に僅かに突出するように形成されている。ユニット本体２の前面側に露呈された表面７ｂに入射した外光は、集光板７の内部で反射を繰返して照明部７ａに達し、この照明部７ａによって背面方向に射出される。これにより、集光板７の広い表面７ｂで集光した外光を照明部７ａから射出し、ＬＣＤ３６を明るくて照明している。この照明部７ａからの光のうちでＬＣＤ３６を透過した透過光がモジュールケース３８の背面側の開口からデート光として射出される。なお、図５（ｂ）に示すように、集光板７の照明部７ａの背面７ｃ側の部分を突出させなくてもよい。
【００２９】
図１に示されるように、モジュールケース３８の前面にはコネクタ４５が露呈されている。デートモジュール２０は、そのモジュール回路に通電しただけではＬＣＤ３６の表示が無効化された状態に維持されて「年月日」の表示が行われない。ＬＣＤ３６の表示を有効化して「年月日」が表示されるようにするためには、コネクタ４５から所定のプリセット信号として予め決められたプリセットコードを電気的に入力する。また、コネクタ４５は、モジュール回路に初期日付データを入力するためにも用いられる。例えば、コネクタ４５は、前カバー１６の開口１６ｄに対峙する位置に設けられており、レンズ付きフイルムユニットの製造時では、前カバー１６を本体基部１３に組み付けた後で集光板７を前カバー１６に組み付ける前に、開口１６ｄを介して外部コンピュータからの端子をコネクタ４５に接続してプリセットコードと初期日付データを入力することができるようにされている。
【００３０】
図６に露光ユニット１４を示すように、暗箱２３の前面とシャッタカバー２４との間には、軸４６によって回動自在に支持されたシャッタ羽根３１が配されている。シャッタ羽根３１は、バネ４７によって撮影用シャッタ開口２３ａを閉じた閉じ位置に付勢されている。この撮影用シャッタ開口２３ａは、暗箱２３の前面中央、すなわち撮影レンズ３の光軸３ａ上に設けられている。シャッタ羽根３１は、その上端部３１ｂがシャッタレリーズに連動して図中右方向に移動される蹴飛ばしレバー４８によって蹴飛ばされ、軸４６を中心にして時計方向に回動され、この後にバネ４７によって反時計方向に回動される。このシャッタ羽根３１の１往復の揺動により、撮影用シャッタ開口２３ａが開閉される。撮影用シャッタ開口２３ａが開かれている間に、撮影レンズ３を透過した被写体光は、暗箱２３内に入射し、アパーチャ１３ｃの背後にセットされた写真フイルム１８ｂを露光する。
【００３１】
デートモジュール２０のＬＣＤ３６が対面するシャッタカバー２４の部分には開口２４ａが形成され、この開口２４ａと対峙する暗箱２３の前面の部分にはデート用シャッタ開口２３ｂが形成されている。また、シャッタ羽根３１にはデート用シャッタ開口２３ｂを開閉するデート用シャッタ部材４９が一体に形成されている。デート用シャッタ部材４９は、シャッタ羽根３１の揺動に連動してデート用シャッタ開口２３ｂを開閉する。デート用シャッタ開口２３ｂが開かれている間に、ＬＣＤ３６からのデート光が暗箱内２３内に入射する。暗箱２３内には、投影レンズ５０が固定部材５０ａによって固定されている。デート光は、この投影レンズ５０を介して写真フイルム１８ｂに達する。これにより、ＬＣＤ３６に表示されている「年月日」が写真フイルム１８ｂ上に結像されて露光画面内に光学的に写し込まれる。
【００３２】
モジュール回路の電気的な構成を図７に示す。モジュール回路は、前述のように表示回路と通電検知手段と表示制御手段とからなり、いずれもモジュール電池３９を電源としている。表示回路は、発振回路５１，時計回路５２，ＬＣＤドライバ５３，ＬＣＤ３６から構成されている。発振回路５１は、これに接続された水晶発振子５１ａを用いて周期一定のクロックを発生し、これを時計回路５２に送る。
【００３３】
時計回路５２は、数年分のカレンダー情報を記憶しており、発振回路５１からのクロックに基づいて時間（時分秒）、年月日を計時し、現在の年月日を表した年月日データを出力する。レンズ付きフイルムユニットの製造時には、コネクタ４５を介して外部コンピュータ５４からの初期日付データが入力され、この初期日付データが時計回路５２に送られてセットされる。初期日付データは、これの入力時点での時間及び年月日を表しており、時計回路５２は、セットされた初期日付データに表される時間及び年月日から計時を行う。これにより、時計回路５２が現在の時間と年月日を計時する。
【００３４】
年月日データは、ＬＣＤドライバ５３に送られる。このＬＣＤドライバ５３は、年月日データに基づいてＬＣＤ３６を駆動し、年月日データに表される「年月日」をＬＣＤ３６に表示するが、表示制御手段からの表示制御信号が「Ｈレベル」となっている場合にだけＬＣＤ３６の表示を有効化して「年月日」が表示されるようにし、表示制御信号が「Ｌレベル」となっている場合には表示を無効化してＬＣＤ３６に「年月日」が表示されないようにする。
【００３５】
なお、ＬＣＤ３６の表示を無効化する手法としては、表示制御信号が「Ｌレベル」となっているときに、ＬＣＤ３６に年月日を表示させるための駆動信号を停止する、ＬＣＤドライバ５２からＬＣＤ３６への電力供給を停止する、ＬＣＤドライバ５２自体が作動しないようにする等があるが、その他の手法を用いてもよい。また、表示を無効化する手法として、ＬＣＤ３６の表示をデタラメなものとするようにしてもよい。
【００３６】
通電検知手段は、充放電回路５６と波形整形回路５７で構成されており、モジュール電池３９が電気的に接続されてモジュール回路に通電が開始されたことを検知する。充放電回路５６は、直列に接続された抵抗５６ａ，コンデンサ５６ｂと、抵抗５６ａに並列に接続されたダイオード５６ｃとからなり、抵抗５６ａとコンデンサ５６ｂの接続点の電位、すなわちコンデンサ５６ｂの充電電圧を波形整形回路５７に出力する。モジュール電池３９がモジュール回路に電気的に接続されて通電が開始されると、コンデンサ５６ｂが抵抗５６ａを介してモジュール電池３９によって充電されることにより、抵抗５６ａの抵抗値とコンデンサ５６ｂの静電容量とによって決まる時定数に応じて徐々に充電電圧が高くなり、所定の時間後にモジュール電池３９の電圧と同じ大きさとなる。ダイオード５６ｃは、そのアノードがコンデンサ５６ｂ側となるように接続されており、モジュール回路とモジュール電池３９との電気的な接続が解除されると、コンデンサ５６ｂを放電させて充放電回路５６を初期化する。
【００３７】
波形整形回路５７は、２個のインバータ５７ａ，５７ｂを直列に接続したものであり、各インバータ５７ａ，５７ｂとしては、出力信号を「Ｈレベル」から「Ｌレベル」に変化させるためのスレッシュホールドレベルが「Ｌレベル」から「Ｈレベル」に変化させるスレッシュホールドレベルよりも高いシュミットトリガ入力のものが用いられている。コンデンサ５６ｂの充電電圧は、前段のインバータ５６ａに入力されて、後段のインバータ７１ｂからパルス状に変化する通電検知信号として出力される。
【００３８】
このようにして、コンデンサ５６ｂの充電電圧を波形整形回路５７に通すことによって、通電開始後から所定の時間が経過した時点で信号レベルが「Ｌレベル」から「Ｈレベル」に変化する通電検知信号が作成される。これにより、波形成形回路５７の後段のＤ−ＦＦ（フリップフロップ）回路５８が安定して動作するようになってから、通電の開始を示す通電検知信号の変化をＤ−ＦＦ回路５８に与えるようにしている。また、インバータ５７ａ，５７ｂとしてシュミットトリガ入力のものを用いることにより、通電検知信号が外部からの電気的なノイズ、例えばストロボユニット１５で発生される電気的なノイズ等の影響で変化しないようにしている。
【００３９】
表示制御手段は、Ｄ−ＦＦ回路５８，コード確認回路５９，トランジスタ６０から構成されている。Ｄ−ＦＦ回路５８は、クロック端子（ＣＬＫ）に入力される信号が「Ｌレベル」から「Ｈレベル」に変化したときに、Ｄ端子に入力されている信号レベル（「Ｈレベル」または「Ｌレベル」）を取り込んで、この取り込んだ信号レベルをＱ端子から出力する周知のものが用いられており、通電検知信号の「Ｌレベル」から「Ｈレベル」の変化に応答し、表示制御信号を継続的に「Ｌレベル」にするように接続されている。
【００４０】
具体的には、Ｄ−ＦＦ回路５８のクロック端子には、波形整形回路５７からの通電検知信号が入力され、Ｄ端子はプルダウンされて「Ｌレベル」の信号が常時入力される。また、入力信号が「Ｌレベル」とされることによって、Ｑ端子の出力を強制的に「Ｈレベル」とするためのプリセット端子（ＰＲＥ）はプルアップ抵抗を介してプルアップされることによって「Ｈレベル」が入力されているが、コード確認回路５９の制御で「Ｌレベル」を入力することができるようにされている。Ｑ端子には、ＬＣＤドライバ５３が接続されており、このＱ端子からの出力が表示制御信号となっている。なお、入力信号が「Ｌレベル」とされたときに、Ｑ端子の出力を強制的に「Ｌレベル」とするためのクリア端子（ＣＬＲ）は、強制的にＱ端子の出力を「Ｌレベル」とする必要がないのでプルアップされて常時「Ｈレベル」が入力されている。
【００４１】
このようにしてＤ−ＦＦ回路５８を接続することにより、モジュール電池３９による通電が開始されると、「Ｌレベル」から「Ｈレベル」に変化する通電検知信号がＤ−ＦＦ回路５８のクロック端子に入力されるため、このＤ−ＦＦ回路５８は、Ｄ端子の「Ｌレベル」を取り込んでＱ端子から「Ｌレベル」の表示制御信号を継続的にＬＣＤドライバ５３に送る。したがって、モジュール電池３９による通電を開始しただけでは、ＬＣＤドライバ５３によってＬＣＤ３６の表示が無効化された状態が維持される。
【００４２】
トランジスタ６０は、そのコレクタ端子がＤ−ＦＦ回路５８のプリセット端子に接続され、エミッタ端子がグランドされている。また、トランジスタ６０は、そのベース端子がコード確認回路５９に接続されることによって、コード確認回路５９によってコレクタ・エミッタ間が導通状態とされたＯＮと、コレクタ・エミッタ間が非導通状態とされたＯＦＦとに制御される。コード確認回路５９は、所定のプリセットコードを記憶している。このコード確認回路５９は、コネクタ４５を介してプリセットコードが入力され、入力されたプリセットコードが記憶しているものと一致しているの場合にだけ、一定の時間だけトランジスタ６０をＯＮとする。
【００４３】
これにより、コード確認回路５９に所定のプリセットコードが入力されると、プリセット端子に「Ｌレベル」の信号が入力され、Ｑ端子の出力、すなわち表示制御信号が継続的に「Ｈレベル」とされ、ＬＣＤ３６の表示が有効化される。プリセットコードは、外部に漏れることがないようにレンズ付きフイルムユニットのメーカー内で管理されている。これにより、モジュール回路への通電停止後にメーカー以外の第３者がリユース時にモジュール回路への通電を再開しても、ＬＣＤ３６の表示が有効化できないようにし、ユニット本体２及びデートモジュール２０の不正規な再使用を防止し、また再使用できないようにすることでユニット本体２及びデートモジュール２０の回収率を向上させる。また、メーカーでは所定のプリセットコードを入力すればデートモジュール２０をリユースすることができる。
【００４４】
なお、デートモジュール２０毎に製造番号等の番号を付しておき、この番号に基づいてプリセットコードを暗号化する等して、デートモジュール２０毎にプリセットコードが異なるようにすれば、不正規な再使用をより確実に防止することができる。また、ＬＣＤドライバ５３，表示制御手段等を１チップの集積回路としておけば、ＬＣＤ３６の表示を有効化するためのハード的な改造も困難なものとすることができる。
【００４５】
次に上記構成の作用について説明する。レンズ付きフイルムユニットの製造時では、露光ユニット１４，ストロボユニット１５等が組み付けられた本体基部１３に写真フイルムカートリッジ１８が装填される。このときに、カートリッジ１８ａはカートリッジ収納室１３ａに、カートリッジ１８ａから引き出された写真フイルム１８ｂはロール状にされてフイルムロール室１３ｂに収納される。
【００４６】
写真フイルムカートリッジ１８の装填後、本体基部１３の背面に後カバー１７が組み付けられ、カートリッジ収納室１３ａ，フイルムロール室１３ｂの底部がそれぞれ底蓋１７ａ，１７ｂで閉じられる。この本体基部１３は、撮影レンズ１１を上方に向けた姿勢でデートモジュール組み付け工程に送られて、プラス側接片４１を除いたデートモジュール２０が受け板３３とともに組み付けられる。そして、このデートモジュール２０の電池ホルダ部４２に、モジュール電池３９が載せられる。
【００４７】
このようにしてデートモジュール２０が組み付けられた本体基部１３は、前カバー組み付け工程に送られる。前カバー１６は、予めデートモジュール２０のプラス側接片４１がピン４３に固着された状態にされている。そして、プラス側接片４１の一端４１ｂがモジュールケース３８の開口３８ａよりモジュールケース３８内に進入するようにして、前カバー１６が本体基部１３の前面に組み付けられる。これにより、プラス側接片４１の一端４１ｂがモジュール基板３７の接点３７ａに、また他端４１ｃがモジュール電池３９のプラス電極面３９ｂにそれぞれ押し付けられるようにして接触される。したがって、この時点で、マイナス側接片４０及びプラス側接片４１を介してモジュール電池３９からモジュール回路に通電が開始される。
【００４８】
図８に示すように、モジュール電池３９による通電が開始されると、充放電回路５６から出力されるコンデンサ５６ｂの充電電圧が徐々に高くなる。これにより、波形整形回路５７は、通電開始直後では通電検知信号を「Ｌレベル」としているが、コンデンサ５６ｂの充電電圧が所定スレッシュホールドレベルに達した時点で通電検知信号を「Ｈレベル」とする。そして、このようにして通電開始から所定の時間が経過した後に「Ｌレベル」から「Ｈレベル」に変化する通電検知信号がＤ−ＦＦ回路５８のクロック端子に入力される。
【００４９】
Ｄ−ＦＦ回路５８は、モジュール電池３９による通電を受けて作動を開始した時点では、その時の供給電圧の変化やＤ−ＦＦ回路５８の特性によって、Ｑ端子からの出力、すなわち表示制御信号が「Ｌレベル」，「Ｈレベル」のいずれになるかはわからない。しかし、前述のようにして「Ｌレベル」から「Ｈレベル」に変化する通電検知信号がクロック端子に入力されると、Ｄ端子の「Ｌレベル」がＤ−ＦＦ回路５８に取り込まれ、これがＱ端子からの表示制御信号の信号レベルとなる。すなわち、表示制御信号のが「Ｌレベル」となる。
【００５０】
したがって、モジュール電池３９による通電が開始されると、時計回路５２が作動を開始して年月日データがＬＣＤドライバ５３に送られるが、表示制御信号が「Ｌレベル」とされるため、ＬＣＤドライバ５３によってＬＣＤ３６の表示が無効化されるため、ＬＣＤ３６には年月日が表示されない。
【００５１】
前カバー１６が組み付けられた本体基部１３は、さらに次の工程に送られて、前カバー１６の開口１６ｄを介してコネクタ４５に外部コンピュータ５４からの端子が接続される。外部コンピュータ５４は、コネクタ４５を介してモジュール回路に接続されると、所定のプリセットコードをコード確認回路５９に入力し、またその時点での時間，年月日を表す初期日付データを時計回路５２に入力する。
【００５２】
コード確認回路５９は、プリセットコードが入力されると、これを記憶しているプリセットコードと比較する。もちろん、この場合にコード確認回路５９に記憶したものと同じプリセットコードが入力されるから、コード確認回路５９は、プリセットコードの一致によってトランジスタ６０をＯＮとして、Ｄ−ＦＦ回路５８のプリセット端子に一定の時間だけ「Ｌレベル」の信号を入力する。これにより、Ｄ−ＦＦ回路５８は、Ｑ端子からの表示制御信号を「Ｈレベル」とするから、ＬＣＤドライバ５３は、それまで無効化して無表示であったＬＣＤ３６の表示を有効化され、これが継続される。
【００５３】
また、初期日付データは、時計回路５２にセットされる。これにより、時計回路５２は、初期日付データに表される時間，年月日から計時を開始するようになって、現在の年月日を表す年月日データをＬＣＤドライバ５３に出力するようになる。結果、ＬＣＤ３６には、時計回路５２で計時されている現在の年月日が透明な文字で表示された状態になる。
【００５４】
プリセットコード及び初期日付データの入力が完了すると、前カバー１６の開口１６ｄに集光板７がはめ込まれ固定されて、ユニット本体２が完成する。完成したユニット本体２は、各種の機能検査を受け、機能検査に合格したユニット本体２に外装が施されてレンズ付きフイルムユニットが完成する。完成したレンズ付きフイルムユニットは、出荷・販売されてユーザのもとで撮影に供される。
【００５５】
撮影時に撮影者は、巻上げノブ１１を回転操作して写真フイルム１８ｂを１コマ分巻上げてから、シャッタボタン８を押圧してシャッタレリーズ操作する。シャッタボタン８が押圧されると、シャッタ羽根３１が揺動して、撮影用シャッタ開口２３ａが開閉され、この間に撮影レンズ３を透過した被写体光で写真フイルム１８ｂが露光される。また、シャッタ羽根３１に連動して、デート用シャッタ部材４９がデート用シャッタ開口２３ｂを開閉する。ＬＣＤ３６は、集光板７で集光された光で照明されており、表示している年月日の部分からデート光が射出されている。これにより、デート用シャッタ開口２３ｂが開かれている間に、デート光が暗箱内２３内に入射し、投影レンズ５０を介して写真フイルム１８ｂに達し、現在の年月日が写真フイルム１８ｂ上で露光画面内に撮影日として光学的に写し込まれる。
【００５６】
撮影後、巻上げノブ１１を回転操作して１コマ分の写真フイルムを巻き上げると、次の撮影の待機状態となる。以下、シャッタボタン８の押圧操作と巻上げノブ１１の回転操作を行いながら順次に撮影を行う。全撮影コマの撮影終了後には、巻上げノブ１１が連続的に回転できるようになるから、撮影者は、巻上げノブ１１を連続的に回転操作して、全ての写真フイルム１８ｂをカートリッジ１８ａ内に収納する。そして、全ての写真フイルム１８ｂがカートリッジ１８ａに収納されると、遮光蓋閉鎖機構２１が作動して、カートリッジ１８ａのフイルム送出口が遮光蓋で閉じられる。ユーザは、レンズ付きフイルムユニットを現像所等に持ち込んで現像とプリントを依頼する。
【００５７】
現像所等では、ユニット本体２の底蓋１７ａを開放してカートリッジ収納室１３ａから撮影済の写真フイルムカートリッジ１８を取り出す。この後、写真フイルム１８ｂに現像処理を施し、現像済の写真フイルム１８ｂの各撮影コマからプリント写真を作成する。各撮影コマの露光画面内には、デートモジュール２０のＬＣＤ３６に表示されていた撮影日が写し込まれているから、作成されたプリント写真には撮影日が被写体画像とともにプリントされる。写真フイルム１８ｂは、カートリッジ１８ａに収納された状態で、プリント写真とともにユーザに返却される。
【００５８】
一方、写真フイルムカートリッジ１８が取り出された使用済のユニット本体２は、レンズ付きフイルムユニットのメーカーに回収される。メーカーでは、回収したユニット本体２を分解する。この分解に際して、前カバー１６を分離すると、前カバー１６に取り付けられているプラス側接片４１がデートモジュール２０から分離される。これにより、プラス側接片４１の一端４１ｂがモジュール基板３７の接点３７ａより、また他端４１ｃがモジュール電池３９のプラス電極面３９ｂよりそれぞれ離されるから、モジュール電池３９からモジュール回路への通電が断たれる。そして、通電が断たれると、コンデンサ５６ｂがダイオード５６ｃを介して放電するため充放電回路５６が初期化される。
【００５９】
分解して得られる各部品は、その機能、劣化度合いに応じてリサイクル，リユースされる。露光ユニット１４，ストロボユニット１５等は、機能検査を実施して機能に問題がなければ撮影レンズ３やストロボ発光部５を洗浄した後にレンズ付きフイルムユニットの製造工程に送られ、新たなレンズ付きフイルムユニットの部品としてリユースされる。また、前カバー１６や後カバー１７などは、細かく破砕されて樹脂ペレットにされ、レンズ付きフイルムユニットの各部品の原料としてリサイクルされる。
【００６０】
デートモジュール２０は、露光ユニット１４，ストロボユニット１５と同様に、機能検査を実施してその機能に問題がないものは、レンズ付きフイルムユニットの製造工程に送られ、新たなレンズ付きフイルムユニットに組み付けられる。そして、この組み付けは、上記と同じ手順で行われる。新たなモジュール電池３９と、前カバー１６の組み付けると、前カバー１６に固定されたプラス側接片４１でモジュール電池３９のプラス電極面３９ａとモジュール回路とが接続され、このモジュール回路に通電が再開される。モジュール回路への通電が再開されると、分解時にダイオード５６ｃで放電されたコンデンサ５６ｂが再び充電されるから、このときにも「Ｌレベル」から「Ｈレベル」に変化する通電検知信号が発生して表示制御信号が「Ｌレベル」とされるが、所定のプリセットコードの入力を行うことで、表示制御信号が「Ｈレベル」とされてＬＣＤ３６の表示が有効化され、初期日付データの入力で現在の日付がＬＣＤ３６に表示された状態とされる。このようにメーカーではＬＣＤ３６の表示を有効化できる。
【００６１】
ところで、使用済のユニット本体２がメーカに回収されずに、写真フイルムの詰め替え業者等に回収された場合で、新たな写真フイルムカートリッジ１８をユニット本体２に再装填する場合には、カートリッジ収納室１３ａの上部に設けられた遮光蓋閉鎖機構２１をカートリッジ１８ｂの遮光蓋を開いた状態に保持する位置に戻したり、露光ユニット１４に組み付けられたカウンタ機構や巻き止め機構を初期位置に戻す操作が必要となるため、前カバー１６をユニット本体２から分離する必要がある。また、デートモジュール２０を取り出す場合であっても、前カバー１６を分離する必要がある。
【００６２】
写真フイルムカートリッジ１８の再装填，デートモジュール２０の取り出しを行うために、前カバー１６をユニット本体２から分離すると、メーカーでの分解時と同様に、前カバー１６に取り付けられているプラス側接片４１がデータモジュール２０から離されて、モジュール回路への通電が停止される。
【００６３】
例えば、写真フイルムカートリッジ１８の再装填の完了後に、前カバー１６を本体基部１３に取り付け、プラス側接片４１でモジュール電池３９のプラス電極面３９ｂとモジュール基板３７上の接点３７ａとを接続すれば、モジュール回路への通電が開始（再開）される。しかし、先に前カバー１６を分離した際にダイオード５６ｃでコンデンサ５６ｂが放電されているため、上記同様にして、通電が開始されると通電検知信号が「Ｌレベル」から「Ｈレベル」に変化する。このため、表示制御信号が「Ｌレベル」となって、ＬＣＤ３６の表示が無効化され、ＬＣＤ３６は年月日が表示されない状態となる。
【００６４】
そして、メーカー以外の者は、プリセットコードを知らないから、表示制御信号は「Ｌレベル」とされたままであり、「Ｈレベル」とすることができない。したがって、ＬＣＤ３６の表示が無効化された状態に維持され、レンズ付きフイルムユニットのメーカー以外のものがユニット本体２をリユースすることができない。同様に、デートモジュール２０を分離してリユースすることもできない。結果、ユニット本体２及びデートモジュール２０をリユースすることができなくなるため、メーカー以外へのユニット本体２の回収が行われなくなって、メーカーへの回収率が向上する。
【００６５】
上記実施形態では、Ｄ−ＦＦ回路を用いてハード的に表示制御信号を「Ｌレベル」としたが、ソフト的な処理で「Ｌレベル」とすることもできる。図９及び図１０に示す例は、コントローラがプログラムに基づいて通電検知信号の変化で表示制御信号を「Ｌレベル」とするようにしたものである。なお、以下に説明する他は、上記実施形態と同様であり、実質的に同じ構成部材には、上記実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【００６６】
図９において、表示制御手段としてのコントローラ６４には、制御に必要なプログラムとプリセットコードとが書き込まれたＲＯＭ６４ａと、ワークメモリとして利用されるＲＡＭ６４ｂとが接続されている。このコントローラ６４は、ＲＯＭ６４ａのプログラムにしたがって時計回路５２に初期日付データをセットするとともに、ＬＣＤドライバ５３への表示制御信号の信号レベルを制御する。
【００６７】
コントローラ６４は、図１０に示されるように、「Ｌレベル」から「Ｈレベル」に変化する通電検知信号が波形整形回路５７から入力されると、表示制御信号を「Ｌレベル」とし、コネクタ４５を介して入力されるプリセットコードがＲＯＭ６４ａのものと一致すると表示制御信号を「Ｈレベル」とする。また、コントローラ６４は、プリセットコードの入力で表示制御信号を「Ｈレベル」とした後に、初期日付データが入力されると、この初期日付データを時計回路５２にセットする。
【００６８】
これにより、使用済のユニット本体２が分解されて、いったんモジュール回路への通電が停止された後に通電を再開しても、上記実施形態と同様に所定のプリセットコードを入力しない限り、表示制御信号が「Ｌレベル」とされた状態がコントローラ６４で維持されるからＬＣＤ３６の表示が無効化された状態に維持される。
【００６９】
図１１は、コントローラが作動を開始した直後に実行するプログラムによって表示制御信号を「Ｌレベル」とすることで、充放電回路と波形整形回路を省略できるようにした例を示すものである。なお、この例におけるモジュール回路の構成は、充放電回路と波形整形回路がない他は、図９の例と同じであるから、その図示を省略する。この例の場合には、モジュール電池３９からの通電で作動を開始すると、コントローラ６４は、図１１の処理を行う。コントローラ６４は、最初に表示制御信号を「Ｌレベル」とし、この後に所定のプリセットコードの入力を待った状態になる。そして、プリセットコードが入力されて、これがＲＯＭ６４ａに記憶しているものと一致すれば表示制御信号を「Ｈレベル」とするが、一致しなければ「Ｌレベル」に維持する。このようにして、コントローラ６４を作動するようにすれば、コントローラ６４が作動することが通電開始を検知することとなって、コントローラ６４自体が通電検知手段となるため、充放電回路と波形整形回路とを必要としない。
【００７０】
上記各実施形態では、前カバーにデートモジュールのプラス側接片を取り付けてユニット本体から前カバーを分離するとモジュール回路への通電が停止されるようにしているが、その他の手法を用いて通電を停止するようにしてもよい。以下、上記実施形態と異なる手法で通電を停止する例について説明する。なお、以下に説明する以外の部分は、上記実施形態と同様であり、上記実施形態の構成部材と実質的に同じもには同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【００７１】
図１２に示す例では、モジュール電池３９のプラス電極面３９ｂとモジュール回路との電気的な接続を行うプラス側接片６６は、それに形成された孔６６ａを介してモジュールケース３８の前面側に設けられたピン３８ｂに固着され、その一端６６ｂがモジュールケース３８内でモジュール基板３７の接点３７ａに常時接続された状態に保持されている。一方、プラス側接片６６の孔６６ａよりも他端６６ｃ側の部分は、適当な角度で電池ホルダ部４２から離れる方向、すなわち前カバー１６の方向に起立されている。前カバー１６の内面には、通電停止手段としての凸部６７がプラス側接片６６の起立された部分に対峙する位置に設けられている。
【００７２】
これにより、前カバー１６が組み付けられた状態では、プラス側接片接片６６の起立された部分が凸部６７で押圧されてモジュール電池３９に近づく方向に弾性変形され、他端６６ｃがモジュール電池３９のプラス電極面３９ｂに接触された状態（接続位置）に保持される。そして、前カバー１６をユニット本体２から分離すると、凸部６７によるプラス側接片６６の押圧が解除されるため、弾性変形されていたプラス側接片６６の他端６６ｃ側の部分が、その復元力でモジュール電池３９から離れる方向に移動する。結果、他端６６ｃは、プラス電極面４８ｂから離れた切断位置に移動し、モジュール回路への通電が停止される。
【００７３】
図１３に示す例は、カートリッジをカートリッジ収納室から取り出すために行われる動作として、カートリッジ収納室の底蓋の開放動作に連動させてモジュール回路への通電を停止するものである。
【００７４】
図１３に示すように、電池ホルダ部４２は、カートリッジ収納室１３ａの近傍に配されており、またマイナス側接片６８の接触部６８ａが出入りする開口４２ａが形成されている。プラス側接片６９は、その一端がモジュールケース３８の下部に露呈されたモジュール基板３７に半田付けされて固定されており、他端が弾性力でモジュール電池３９のプラス電極面３９ｂに接触し、モジュール電池３９を電池ホルダ部４２に押し付けている。これにより、モジュール電池３９が電池ホルダ部４２に保持されるとともに、モジュール電池３９のプラス電極面３９ｂとモジュール回路とが電気的に接続される。
【００７５】
マイナス側接片６８は、弾性を有した金属板をＬ字形状に打ち抜いたものであり、モジュールケース３８の背面側で、一端がモジュールケース３８の下部のモジュール基板３７に半田付けされて固定されてモジュール回路と電気的に接続されている。このマイナス側接片６８は、モジュール基板３７に固定された部分から他端側の部分が電池ホルダ部４２から離れるように斜め上方に折り曲げられている。マイナス側接片６８の他端には、モジュール電池３９のマイナス電極面３９ａと接触させるための接触部６８ａと、ユニット本体２の左右方向でカートリッジ収納室１３ａに向かう方向に伸びた片６８ｂが一体に形成されている。接触部６８ａは、例えばマイナス側接片６８の他端部分を凸状にプレス加工して形成したものであって、電池ホルダ部４２側に突出している。
【００７６】
電池ホルダ部４２の背後のカートリッジ収納室１３ａの外壁面上には、スライド部材７０がユニット本体２の上下方向にスライド自在に配されている。このスライド部材７０の下端部分には、底蓋１７ａの内面に設けられた係合爪７１と係合する係合爪７０ａが形成され、またスライド部材７０のほぼ中央には、電池ホルダ部４２に向かう方向に突出した接片保持部７０ｂが形成されている。
【００７７】
また、カートリッジ収納室１８ａの外壁面上には、スライド部材７０のスライドを上下方向にガイドするためのガイド板７２ａと、接片保持部７０ｂの上面に当接してスライド部材７０の上方へのスライドを規制する規制部材７２ｂとが設けられている。底蓋１７ａを閉じた際には、規制部材７２ｂによって、スライド部材７０が上方に逃げることなく、その係合爪７０ａと底蓋１７ａの係合爪７１とが係合する。なお、符号７３は、前カバー１６に設けられた突起と係合することにより、底蓋１７ａを閉じた状態に保持する係合爪である。
【００７８】
スライド部材７０は、底蓋１７ａが閉じられた状態では、接片保持部７０ｂが規制部材７２ｂに、また下端が底蓋１７ａの内面にそれぞれ当接することにより位置決めされる。そして、この位置決めされた状態では、マイナス側接片６８の片６８ｂが接片保持部７０ｂに当接するようにされている。なお、この例ではスライド部材７０と底蓋１７ａの係合爪７１とが通電停止手段となる。
【００７９】
この構成によれば、図１４に示すように、カートリッジ収納室１３ａの底面を底蓋１７ａで閉じた状態では、マイナス側接片６８の片６８ｂが接片保持部７０ｂに当接し、マイナス側接片６８が電池ホルダ部４２に向けて弾性変形されて、接触部６８ａが電池ホルダ部４２の開口４２ａ内に入り込んでモジュール電池３９のマイナス側電極面３９ａと接触した接続位置に保持される。したがって、レンズ付きフイルムユニットの出荷から撮影に供されている間では、モジュール回路は通電された状態に維持される。
【００８０】
撮影済のユニット本体２を現像所等に提出して、撮影済の写真フイルムカートリッジ１８を取り出すために、底蓋１７ａを開放すると、図１５に示すように、底蓋１７ａの係合爪７１と係合爪７０ａが係合しているスライド部材７０がユニット本体２の下方に向けてスライドされる。このため、接片保持部７０ｂが片６８ｂと当接している位置から下方に移動して接片保持部７０ｂによる片６８ｂの接触が解除されるから、弾性変形していたマイナス側接片６８は、電池ホルダ部４２から離れる方向にその復元力で移動し、接触部６８ａとモジュール電池３９のマイナス電極面３９ａとの接触を解除した切断位置に変移する。結果、モジュール回路への通電が停止される。
【００８１】
なお、スライド部材をバネ等で底蓋に向けて付勢しておき、底蓋が開かれたときにバネの付勢で下方にスライド移動させてもよい。また、上記のような底蓋にの開放動作に連動してスライドするスライド部材を用いず、レバー等を利用した他の構成により、底蓋の開放動作に連動させて接片を接続位置から切断位置に変移させるようにしてもよい。
【００８２】
図１６に示す例は、カートリッジをカートリッジ収納室から取り出すために行われる操作として、カートリッジ収納室の底蓋を開放するための治具挿入用開口に治具を挿入することに連動して、モジュール回路への通電が停止されるようにしたものである。なお、上記実施形態と同じ構成部材には、同じ符号を付してその説明を省略する。
【００８３】
図１６において、底蓋１７ａは、内面に設けられた係合爪７３が前カバー１６側の突起と係合することで、カートリッジ収納室１３ａの底部を閉じた状態に保持される。また、底蓋１７ａには、これを開放する際にドライバや専用の治具が挿入される治具挿入用開口７７が設けられている。この治具挿入用開口７７の近傍には、係合爪７３と一体に形成された解除片７３ａが配されている。カートリッジ収納室１７ａからカートリッジ１８ａを取り出す際には、ユニット本体２の底面側から治具挿入用開口７７にドライバや治具を差し込んで、解除片７３ａをユニット本体２の背面方向に押圧して係合爪７３を弾性変形させ、係合爪７３と前カバー１６の突起との係合を解除して底蓋１７ａを開放する。
【００８４】
カートリッジ収納室１３ａの外壁面上には、通電停止手段としてのスライド部材７４が設けられている。スライド部材７４には、図１３の例のスライド部材と同様にマイナス側接片６８の片６８ｂを保持する接片保持部７４ｂが設けられている。このスライド部材７４は、ガイド板７２ａに設けられた半球状の凸部７５にスライド部材７４側の半球状の凹部７６がクリック係合する。これにより、マイナス側接片６８の片６８ｂを接片保持部７４ｂで保持する位置にスライド部材７４が位置決めされて、撮影中などにスライド部材７４が上方に移動しないようにされているが、上方にスライドさせる強い力が作用した場合にはクリック係合が解除されてスライド部材７４は上方に移動することができる。なお、規制部材７２ｂは、スライド部材７４の下方へのスライドを規制する。
【００８５】
また、スライド部材７４は、凸部７５と凹部７６とによって位置決めされている状態は、その下端７４ａで閉じられた底蓋１７ａの治具挿入用開口７７に入り込んでこれを塞ぐ。
【００８６】
これによれば、レンズ付きフイルムユニットがメーカーから出荷され、撮影に供されている間では、上記実施形態と同様に接片保持部７４ｂによってマイナス側接片６８が弾性変形されて接続位置に保持されるため、接触部６８ａがモジュール電池３９のマイナス電極面３９ａに接触されてモジュール回路に通電が行われた状態に維持される。
【００８７】
撮影済の写真フイルムカートリッジ１８を取り出すために底蓋１７ａを開放する際に、作業者がユニット本体２の底面側から治具挿入用開口７７に治具等を挿入する。このときに、治具挿入用開口７７は、スライド部材７４の下端７４ａで塞がれているから、作業者は、スライド部材７４の下端７４ａに治具等で上方に押し上げる力を加える。これにより、スライド部材７４は、凸部７５と凹部７６とのクリック係合が解除されて上方にスライド移動し、治具等が治具挿入用開口７７からユニット本体２内に進入可能となる。この後に解除片７１ａを押圧して係合爪７３による係合を解除して底蓋１７ａを開放してから、カートリッジ１８ａを取り出す。
【００８８】
一方、スライド部材７４が上方に向けスライド移動されることによって、接片保持部７４ｂが片６８ｂと当接している位置から上方に移動する。これにより、片６８ｂと接片保持部７０ｂとの接触が解除され、弾性変形していたマイナス側接片６８が電池ホルダ部４２から離れる方向にその復元力で移動し切断位置へと変移する。結果、接触部６８ａとマイナス電極面４８ａとの接触が解除されて、モジュール回路への通電が停止される。
【００８９】
図１３の例ではカートリッジ収納室の底蓋の開放動作に連動させて、また図１６の例では底蓋を開放する際の治具の挿入する操作に連動させて、モジュール回路への通電を停止するものであるが、その他のカートリッジをカートリッジ収納室から取り出すための操作あるいは動作に連動させて、モジュール回路への通電を停止するようにしてもよい。例えば、カートリッジ収納室内のカートリッジの装填の有無を検知して、カートリッジがカートリッジ収納室から取り出されたときにモジュール回路への通電を停止するようにすることもできる。
【００９０】
図１７示す例は、写真フイルムの巻上げ長を測定して、写真フイルムが所定の長さだけ巻き上げられた時に通電を停止するようにしたものである。なお、この例では、巻き上げられた写真フイルムの長さを測定するのに遮光蓋閉鎖機構を利用しており、写真フイルムの全てがカートリッジに完全に収納されるだけの巻上げ長となったときに通電を停止するようにしている。
【００９１】
図１７において、カートリッジ収納室１３ａの上面には、巻上げノブ１１と、遮光蓋閉鎖機構２１が配されている。カートリッジ収納室１３ａの上面中央には軸受け部７８が形成されており、この軸受け部７８に巻上げノブ１１が回転自在に取り付けられている。巻上げノブ１１の下面には、カートリッジ１８ａのスプール１８ｃと係合する駆動軸１１ａと、遮光蓋閉鎖機構２１に含まれる間欠ギヤ７９とが一体に設けられている。
【００９２】
また、カートリッジ収納室１３ａの上面には減速ギヤ８０とカウンタギヤ８１とが回転自在に取り付けられる。減速ギヤ８０は、大径の上ギヤ８０ａと小径の下ギヤ８０ｂとからなり、巻上げノブ１１が１回転する毎に上ギヤ８０ａは間欠ギア７９に形成された１個の歯７９ａに間欠的に噛合されて所定角度（一歯分）ずつ歩進される。下ギヤ８０ｂは、巻上げノブ１１の回転数をカウントすることによって写真フイルム１８ｂの巻上げ長を測定するカウンタギヤ８１に噛合する。すなわちカウンタギヤ８１の回転角度によって巻上げノブ１１の回転数に応じた写真フイルム１８ｂの巻上げ長が測定される。
【００９３】
カウンタギヤ８１は、全ての写真フイルム１８ｂが巻き上げられた後に誤って回転しないように、カウント終了後に減速ギヤ８０に対面する部分には歯が形成されていない。カウンタギヤ８１の上部には、カウンタギヤ８１と一緒に回転するカム円板８２が一体に設けられている。このカム円板８２の外周面には、巻上げノブ１１の回転数から写真フイルム１８ｃの先端までがカートリッジ１８ａに収納されたことを検出するための切欠８２ａ（図１８参照）が形成されている。
【００９４】
カートリッジ収納室１３ａの上面で、カートリッジ１８ａの遮光蓋の係合穴２２に対面する位置には軸受け穴８３が形成されており、この軸受け穴８３には、遮光蓋を閉鎖する蓋閉じ部材８４が回動自在に取り付けられる。この蓋閉じ部材８４は、遮光蓋の係合穴２２に挿入されて係合する係合軸８４ａと、この係合軸８４ａの上部に一体に形成された係止爪部８５とからなる。蓋閉じ部材８４は、係止爪部８５に取り付けられるバネ８６によって、図中反時計方向の遮光蓋の閉じ位置に向けて付勢されている。
【００９５】
また、カートリッジ収納室１３ａの上面には、一端に蓋閉じ部材８４の係止爪部８５に係合する係合爪８７ａが形成され、他端にカム円板８２の外周面に対面する検知用突起８７ｂが形成されたタイミングレバー８７が揺動自在に取り付けられる。また、タイミングレバー８７には、接片保持レバー８８を係止する係止腕８７ｃが一体に設けられている。
【００９６】
タイミングレバー８７の係合爪８７ａは、蓋閉じ部材８４が遮光蓋の開き位置にある状態で係止爪部８５に係合する。これにより、タイミングレバー８７は、蓋閉じ部材８４を介してバネ８６により図中時計方向に付勢されることになり、他端部に設けられた検知用突起８７ｂがカム円板８２の外周面に圧接され、検知用突起８７ｂがカム円板８２の切欠８２ａと対面したときには、この切欠８２ａに検知用突起８７ｂが入り込んで揺動する。
【００９７】
レンズ付きフイルムユニットの製造時における、写真フイルム１８ｂのカートリッジ１８ａからの引出し量と、タイミングレバー８７の検知用突起８７ｂに対するカム円板８２の切欠８２ａの相対的な位置とが管理されている。そして、フイルムロール室１３ｂに収納された写真フイルム１８ｂをカートリッジ１８ａの内部に全部巻き込んだときに、検知用突起８７ｂがカム円板８２の切欠８２ａに入り込むようにされている。
【００９８】
カートッジ収納室１３ａの外壁面には、接片保持レバー８８が軸着されている。この接片保持レバー８８の上端部８８ａは、カートリッジ収納室１３ａの上面に突出し、タイミングレバー８７の係止腕８７ｃの背面側に配されている。これにより、接片保持レバー８８は、検知用突起８７ｂがカム円板８２の外周面に圧接した状態にあるタイミングレバー８７の係止腕８７ｃに係止されて、下端部８８ｂを電池ホルダ部４２に近づけた保持位置と、検知用突起８７ｂをカム円板８２の切欠き８２ａに入り込ませた状態にあるタイミングレバー８７の係止腕８７ｃで係止されて、下端部８８ｂを電池ホルダ部４２から遠ざけた退避位置との間で揺動自在とされている。
【００９９】
マイナス側接片８９は、形状が異なるが図１３に示される実施形態と同様に、一端がモジュール基板３７に固定され、他端８９ａに接触部８９ｂが形成されるとともに、この他端８９ａ側が電池ホルダ部４２から離れる方向に所定の角度で折り曲げられている。マイナス側接片８９は、他端８９ａが接片保持レバー８８の下端部８８ｂと当接し、その弾性力で接片保持レバー８８を反時計方向（図中矢印方向）に付勢する。
【０１００】
この構成によれば、写真フイルム１８ｂの全てがカートリッジ１８ａ内に巻き込まれるまでは、図１８に示すように、タイミングレバー８７の検知用突起８７ｂがカム円板８２の外周面に圧接された状態が維持される。また、この状態のタイミングレバー８７の係止腕８７ｃに接片保持レバー８８の上端部８８ａが係止されることにより、図１９に示すように、接片保持レバー８８は、マイナス側接片８９の弾性力による付勢に抗して保持位置に維持される。結果、マイナス側接片８９は、その接触部８９ｂを電池ホルダ部４２に配されたモジュール電池３９のマイナス電極面３９ａに接触した接続位置に保持され、モジュール回路への通電を維持した状態になっている。
【０１０１】
撮影毎に巻上げノブ１１が回転操作されると、この巻上げノブ１１が１回転する毎に、間欠ギア７９の歯７９ａにより減速ギヤ８０が所定角度回転され、これにともなってカウンタギヤ８１が回転される。そして、最終コマへの撮影完了後に、写真フイルム１８ｂがカートリッジ１８ａ内に全て巻き込まれるまで巻上げノブ１１が回転操作された時点で、カム円板８２の切欠８２ａにタイミングレバー８７の検知用突起８７ｂが対面する。すると、図２０に示すように、タイミングレバー８７はバネ８６に付勢された蓋閉じ部材８４に押圧されて揺動し、検知用突起８７ｂが切欠８２ａ内に入り込む。タイミングレバー８７が揺動すると蓋閉じ部材８４は遮光蓋の開き位置での保持が解除されるため、バネ８６の付勢によって図中反時計方向の遮光蓋の閉じ位置に向けて回動され、同時に蓋閉じ部材８４の係合軸８４ａに係合された遮光蓋も閉じ位置に回動される。
【０１０２】
一方、タイミングレバー８７の揺動にともなって、係止腕８７ｃがユニット本体２の前方に移動し、接片保持レバー８８の上端部８８ａとの係止位置がずれる。これによって、図２１に示すように、マイナス側接片８９の弾性力で付勢されている接片保持レバー８８は、保持位置から退避位置に揺動し、下端部８８ｂを電池ホルダ部４２から遠ざける。そして、マイナス側接片８９は、この下端部８８ｂの移動にともなって、その弾性力で電池ホルダ部４２から接触部８９ｂを離すように後方に倒れる。結果、カートリッジ１８ａ内に全て巻き込まれるだけの写真フイルム１８ｂを巻上げると、マイナス側接片８９が接続位置から切断位置に変移し、接触部８９ｂとマイナス電極面３９ａとの接触が解除されて、モジュール回路への通電が停止される。
【０１０３】
なお、この例では、前述のように遮光蓋閉鎖機構を利用しているため、カートリッジに完全に収納されるだけの写真フイルムを巻き上げたときに通電が停止されるが、通電を停止する写真フイルムの巻上げ長は、最終撮影コマがアパーチャの背後にセットされるだけの長さを超えていればいつでもよい。また、写真フイルムの巻上げ長を測定する構成は、上記のものに限られない。
【０１０４】
図２２は、フイルム通路内で写真フイルムの先端が通過したことを検知してモジュール回路への通電を停止するようにしたものである。図２２において、通電停止手段は、検知棒９０と、コイルバネ９１とから構成されている。検知棒９０は、これに一体に形成された円筒状の遮光カバー９０ｂを貫いた棒形状とされており、検知棒９０の一端９０ａには、マイナス側接片９２が固着される。コイルバネ９１は、検知棒９０に通されて、マイナス側接片９２と遮光カバー９０ｂとの間に配される。遮光カバー９０ｂは、その外径がコイルバネ９１の径よりも大きくされ、また検知棒９０の一端９０ａ側の端面が塞がれている。この遮光カバー９０ｂは、コイルバネ９１が検知端９０ｃ側へ移動することを規制するとともに、検知棒９０がスライド自在に挿入される本体基部１３側の検知用孔９４の周囲に設けられた遮光筒９５と協同して検知用孔９４からフイルム通路９６内に外光が進入しないようにしている。
【０１０５】
検知用孔９４は、カートリッジ収納室１３ａの近傍の本体基部１３の前面の壁面を貫通してフイルム通路９６に達し、フイルム通路９６の下方で写真フイルム１８ｂの下側の縁部に対面するように設けられている。さらに、カートリッジ収納室１３ｂの外壁面には、カギ穴状の切欠き９７ａが形成された支持部９７が設けられている。検知棒９０は、検知端９０ｃが検知用孔９４に挿入され、一端９０ａ側が切欠き９７ａに圧入される。これにより、検知棒９０は、その軸心方向にスライド自在に本体基部１３に取り付けられ、また支持部９７と遮光カバー９０ｂとの間にコイルバネ９１が圧縮した状態で配され、このコイルバネ９１でフイルム通路９６に向けて付勢される。
【０１０６】
フイルム通路９６は、最初の実施形態で述べたように、本体基部１３と後カバー１７との間に形成され、アパーチャ１３ｃの背後を通ってフイルムロール室１３ｂとカートリッジ収納室１３ａとをつなぐように形成されている。そして、巻上げノブ１１を回転操作することによって、フイルム通路９６を通って写真フイルム１８ｂがフイルムロール室１３ｂからカートリッジ収納室１３ａのカートリッジ１８ａに搬送される。
【０１０７】
フイルム通路９６内に露呈されている検知用孔９４と対面する位置に写真フイルム１８ｂがあるときには、検知棒９０は、検知端９０ｃが後カバー１７の内面で支持された写真フイルム１８ｂに当接するため、コイルバネ９１の付勢に抗して本体基部１３の前方に移動された保持位置に保持される。フイルム通路９６内で写真フイルム１８ｂの先端（写真フイルムの巻き上げ方向に対しては後端）が検知用孔９４を通過したときには、検知端９０ｃと写真フイルム１８ｂとの接触が解除されるため、検知棒９０は、コイルバネ９１の付勢によって保持位置から本体基部１３の後方に移動された退避位置にスライド移動される。
【０１０８】
マイナス側接片９２は、前述のように検知棒９０の一端に固着されている。このマイナス側接片９２は、検知棒９０のスライドとともにユニット本体２の前後方向にスライド移動される。検知棒９０が保持位置に保持されているときには、マイナス側接片９２の一端９２ａがモジュール基板３７の背面側に設けられた接点（図示省略）に、また他端側の接触部９２ｂがモジュール電池３９のマイナス電極面３９ａにそれぞれ接触された接続位置に保持される。また、検知棒９０が退避位置に移動されたときには、マイナス側接片９２は、一端９２ａ及び接触部９２ｂがそれぞれモジュール基板３７の接点及びモジュール電池３９のマイナス電極面３９ａから離れた切断位置に移動される。
【０１０９】
なお、検知棒９０ａの検知端９０ｃ対面する後カバー１７の内面部分には、図２３，図２４に示すように、凹部９８が形成されており、この凹部９８によって検知棒９０の保持位置から退避位置への移動量を写真フイルム１８ｂの厚みよりも大きくしている。これにより、検知棒９０が退避位置に移動した際に、マイナス側接片９２がモジュール基板３７の接片及びマイナス電極面３９ａより確実に離れるようにしている。
【０１１０】
この構成よれば、図２３に示すように、カートリッジ１８ａから引き出された写真フイルム１８ｂがフイルム通路９６内にある状態では、コイルバネ９１で付勢された検知棒９０は、検知端９０ｃが写真フイルム１８ｂに当接するため保持位置に保持される。このため、検知棒９０の一端９０ａに固定されたマイナス側接片９２が接続位置に保持されて、その一端９２ａをモジュール基板３７上の接点に、接触部９２ｂをモジュール電池３９のマイナス電極面３９ａにそれぞれ接触した状態とされ、モジュール電池３９からモジュール回路への通電が継続される。
【０１１１】
そして、最終コマの撮影完了後に、巻上げノブ１１を連続的に回転操作してカートリッジ１８ａ内に写真フイルム１８ｂを巻上げているときに、図２４に示すように、フイルム通路９６内で検知棒９０の検知端９０ｃの位置を写真フイルム１８ｂの先端が通過すると、コイルバネ９１の付勢により検知棒９０が後カバー１７に向けてスライドされて退避位置に移動する。これにより、マイナス側接片９２が電池ホルダ部４２から離れる方向、すなわち切断位置に移動する。結果、マイナス側接片９２の一端９２ａがモジュール基板の接点から離れるとともに、接触部９２ｂがマイナス電極面３９ａより離れて、モジュール回路への通電が停止される。
【０１１２】
なお、通常写真フイルムの先端と、最後の撮影コマ（先端側の撮影コマ）との間には撮影に用いられない領域があるので、フイルム通路内でカートリッジ収納室に寄った位置において写真フイルムの先端の通過を検知しなくてもよい。また、他の構成で写真フイルムの先端の通過を検出してもよい。
【０１１３】
上記各実施形態では、表示手段として透過型のＬＣＤを用い、これを外光で照明してデート光を得ているが、ストロボ光の一部をライトガイドに直接に入射させて導光した光でＬＣＤを照明したり、撮影毎に点灯するライトをデートモジュールに内蔵しこれで照明してもよい。また、表示手段として自ら光を放出するものを用いてもよい。なお、ランプ等を用いた場合には、このランプを点灯させないようにすることで、表示手段の表示を無効化することもできる。
【０１１４】
最初の実施形態では、前カバーを分離することによって通電が停止されるようになっているが、これはユニット本体が写真フイルムカートリッジの再装填及びデートモジュールの取り外しを行うには前カバーを分離する必要がある構成とされているからであって、ユニット本体から分離した際にモジュール回路への通電が停止される構成部材は前カバーに限るものではなく、ユニット本体の構成に応じて適宜に設定することができる。
【０１１５】
また、図１３から図２４で説明した各実施例形態では、カートリッジの取り出しのための操作や動作が行われたとき、または写真フイルムの巻上げ長が所定の長さに達したとき、あるいはフイルム通路内で写真フイルムの先端の通過を検出したときにモジュール回路への通電を停止しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、写真フイルムの最終コマへの撮影完了からカートリッジの取り出しまでの間に必ず行われる上記に説明した他の操作やレンズ付きフイルムユニットの状態の変化（動作）に連動させてモジュール回路への通電を停止するようにしてもよい。例えば、最終コマがアパーチャにセットされていることは、カウンタ機構に設けられた撮影枚数表示板の回転位置で検出することができるから、この撮影枚数表示板の回転位置とシャッタ機構の動作で最終コマまでの撮影が完了したことを検知して、モジュール回路への通電を停止するようにすることもできる。
【０１１６】
また、通電を停止する際には、上記各実施形態のように継続的に通電を停止させる他に一時的に通電を停止してもよい。また、上記のように機械的に操作や動作を検知する他に、電気的，光電的な手法で通電を停止するタイミングを検知してもよく、機械的に通電を停止する他に電気的に通電を停止させてもよい。例えば、シャッタ羽根の作動回数を、例えばシンクロスイッチがＯＮとなる回数から電気的にカウントし、このカウント数、すなわち撮影済のコマ数が写真フイルム固有の撮影可能枚数に達したときに、モジュール回路とモジュール電池との間に接続されたスイッチング素子をＯＦＦとしてモジュール回路への通電を停止することもできる。
【０１１７】
さらに、時計回路にセットする初期日付データについても暗号化して、メーカー以外で現在の時間，年月日を設定できないようにすれば、仮に表示制御信号を「Ｈレベル」としてＬＣＤに表示がされるようにできても正しい表示をＬＣＤに行うことができないから、このようにしてもＬＣＤの表示を無効化することができる。また、初期日付データとプリセットコードを組み合わせて暗号化するようにしてもよい。
【０１１８】
上記説明は、データとして撮影日を光学的に写し込む例にいて説明したが、撮影日の他に、各種の文字や記号等を写し込む場合にも利用することができる。
【０１１９】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、製造時に前記表示手段の表示を有効化した状態で内蔵されたデータ写し込み装置への通電を写真フイルムの撮影終了から写真フイルムカートリッジの取り出しまでの間に、あるいは写真フイルムカートリッジの再装填またはデータ写し込み装置の取り外しのためにユニット本体の構成部材を分離したときに、通電停止手段で停止するようにし、また電池からの通電が開始されたことを検知して写し込むべきデータを表示する表示手段の表示を無効化した状態に維持するようにしたから、写真フイルムカートリッジの取り出しまで、あるいは分解した時点のちに再通電してもデート写し込み装置の表示手段の表示が無効化された状態に維持される。したがって、ユニット本体を不正規に再使用したり、データ写し込み装置を取り出して使用することができなくなる。また、これにより、ユニット本体のメーカーへの回収率を向上させることができる。さらに、所定の信号を入力することで、表示手段の表示を有効化することができるようにしたから、レンズ付きフイルムユニットのメーカーでは、簡単にデータ写し込み装置をリユースすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明を実施したレンズ付きフイルムユニットに内蔵されたデートモジュールを示す斜視図である。
【図２】レンズ付きフイルムユニットの外観を示す斜視図である。
【図３】レンズ付きフイルムユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図４】デートモジュールの要部を示す断面図である。
【図５】集光板の断面を示す断面図である。
【図６】露光ユニットを示す斜視図である。
【図７】デートモジュールの電気的な構成を示すブロック図である。
【図８】通電開始後のデートモジュールの各部の出力を示す波形図である。
【図９】プログラム処理で表示を無効化する例のデートモジュールの電気的な構成を示すブロック図である。
【図１０】図９の例における処理を示すフローチャートである。
【図１１】コントローラが通電検知手段を兼ねた例の処理を示すフローチャートである。
【図１２】デートモジュールケースに接片を固着し前カバーの分離で通電が停止される例を示す斜視図である。
【図１３】カートリッジ収納室の底蓋の開放に連動して通電が停止される例を示す分解斜視図である。
【図１４】図１３の例においてマイナス側接片が接続位置に保持されている状態を示す断面図である。
【図１５】図１３の例においてマイナス側接片が切断位置に変移された状態を示す断面図である。
【図１６】カートリッジ収納室の底蓋の開放のために治具を挿入することに連動して通電が停止される例を示す分解斜視図である。
【図１７】写真フイルムの巻上げ長を測定して通電を停止する例を示す斜視図である。
【図１８】図１７の例において写真フイルムの巻上げ長が所定の長さに達していないときのタイミングレバーの状態を示す説明図である。
【図１９】図１８の状態でマイナス側接片が接続位置に保持された状態を示す断面図である。
【図２０】図１７の例において写真フイルムの巻上げ長が所定の長さに達したときのタイミングレバーの状態を示す説明図である。
【図２１】図２０の状態でマイナス側接片が切断位置に変移された状態を示す断面図である。
【図２２】フイルム通路内で写真フイルムの先端の通過を検知して通電が停止される例を示す分解斜視図である。
【図２３】図２２の例においてマイナス側接片が接続位置に保持されている状態を示す断面図である。
【図２４】図２２の例においてマイナス側接片が切断位置に変移された状態を示す断面図である。
【符号の説明】
２ ユニット本体
１６ 前カバー
１７ａ 底蓋
１８ 写真フイルムカートリッジ
２０ デートモジュール
２１ 遮光蓋閉鎖機構
３６ ＬＣＤ
３９ モジュール電池
４０，４１，６６，６８，８９，９２ 接片
４２ 電池ホルダ部
４３ ピン
４５ コネクタ
５３ ＬＣＤドライバ
５６ 充放電回路
５７ 波形整形回路
５８ Ｄ−ＦＦ回路
５９ コード確認回路
６４ コントローラ
６７ 凸部
７０，７２ スライド部材
７１ 係合爪
７７ 治具挿入開口
８７ タイミングレバー
８８ 接片保持レバー
９０ 検知棒
９１ コイルバネ
９６ フイルム通路
Claims (11)
- 製造時に未露光の写真フイルム及びカートリッジが装填されるユニット本体と、電池及びこの電池を電源として写真フイルムに写し込むデータを表示する表示回路を有し、製造時に前記表示回路による表示を有効化した状態でユニット本体に内蔵されるデータ写し込み装置とを備え、シャッタレリーズ操作に連動して前記データ写し込み装置に表示されているデータを写真フイルムに写し込むデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニットにおいて、
写真フイルムの再装填または前記データ写し込み装置の取り外しの際にユニット本体から取り外される所定の構成部品に取り付けられ、この所定の構成部品がユニット本体に組み付けられているときには一端が前記電池の電極面に他端が前記データ写し込み装置の基板上の接点にそれぞれ接触して前記データ写し込み装置に通電し、前記所定の構成部品がユニット本体から外された際には前記電極面及び前記接点からそれぞれ離れて前記データ写し込み装置への通電を断つようにされた導電性を有する接片と、前記データ写し込み装置への通電開始に応答して通電検知信号を出力する通電検知手段と、通電検知信号に応答して、前記表示回路による表示を無効化した状態に維持する表示制御手段とを前記データ写し込み装置に備えることを特徴とするデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニット。 - 前記ユニット本体は、ロール状にされた未露光の写真フイルムが収納されるフイルム室と撮影済みの写真フイルムを収納するカートリッジが装填されるカートリッジ室を有する本体基部と、この本体基部の前面を覆う前カバーとを構成部品として有し、前記データ写し込み装置は、前記本体基部の前面に組み付けられ、前記所定の構成部品は、前記前カバーであり、前記接片は、前カバーの内面に取り付けられていることを特徴とする請求項１記載のデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニット。
- 未露光の写真フイルムが装填される本体基部及びこの本体基部の前面を覆う前カバーを有するユニット本体と、電池及びこの電池を電源として写真フイルムに写し込むデータを表示する表示回路を有し、製造時に前記表示回路による表示を有効化した状態で前記本体基部の前面に組み付けられたデータ写し込み装置とを備え、シャッタレリーズ操作に連動して前記データ写し込み装置により表示されているデータを写真フイルムに写し込むデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニットにおいて、
一端が前記電池の電極面と前記データ写し込み装置の基板上の接点のうちの一方に接触した状態に維持され、他端を前記電極面と前記接点のうちの他方から離して前記データ写し込み装置への通電を断った切断位置から接触させて前記データ写し込み装置に通電する接続位置に弾性変形自在な導電性を有する接片と、前記データ写し込み装置への通電開始に応答して通電検知信号を出力する通電検知手段と、通電検知信号に応答して、前記表示回路による表示を無効化した状態に維持する表示制御手段とを前記データ写し込み装置に備えるとともに、前記前カバーの内面に設けられ、前記前カバーが本体基部に組み付けられているときには前記接片を押圧して接続位置に弾性変形させた状態に維持し、前記前カバーを本体基部から分離した際に前記接片の押圧を解除し、前記接片をその復元力で切断位置とする凸部を備えることを特徴とするデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニット。 - ロール状にされた未露光の写真フイルムが収納されるフイルム室と撮影済みの写真フイルムを収納するカートリッジが装填されるカートリッジ室を有する本体基部と前記カートリッジ室の底部に開閉自在に設けられ撮影済みの写真フイルムを収納したカートリッジを取り出す際に開放される底蓋とを有し、製造時に未露光の写真フイルム及びカートリッジが装填されるユニット本体と、電池及びこの電池を電源として写真フイルムに写し込むデータを表示する表示回路を有し、製造時に前記表示回路による表示を有効化した状態でユニット本体に内蔵されるデータ写し込み装置とを備え、シャッタレリーズ操作に連動して前記データ写し込み装置により表示されているデータを写真フイルムに写し込むデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニットにおいて、
一端が前記電池の電極面と前記データ写し込み装置の基板上の接点のうちの一方に接触した状態に維持され、他端を前記電極面と前記接点のうちの他方から離して前記データ写し込み装置への通電を断った切断位置から接触させて前記データ写し込み装置に通電する接続位置に弾性変形自在な導電性を有する接片と、前記データ写し込み装置への通電開始に応答して通電検知信号を出力する通電検知手段と、通電検知信号に応答して、前記表示回路による表示を無効化した状態に維持する表示制御手段とを前記データ写し込み装置に備えるとともに、前記接片を押圧して接続位置に保持する第１位置と押圧を解除して切断位置に復元させる第２位置との間でスライド自在とされ、前記底蓋の開放により第１位置から第２位置にスライドする移動部材を備えたことを特徴とするデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニット。 - 前記移動部材は、一端が底蓋と係合されており、前記底蓋の開放により第２位置から第１位置にスライドすることを特徴とする請求項４記載のデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニット。
- ロール状にされた未露光の写真フイルムが収納されるフイルム室と撮影済みの写真フイルムを収納するカートリッジが装填されるカートリッジ室を有する本体基部と前記カートリッジ室の底部に開閉自在に設けられ撮影済みの写真フイルムを収納したカートリッジを取り出す際に開放される底蓋とを有し、製造時に未露光の写真フイルム及びカートリッジが装填されるユニット本体と、電池及びこの電池を電源として写真フイルムに写し込むデータを表示する表示回路を有し、製造時に前記表示回路による表示を有効化した状態でユニット本体に内蔵されるデータ写し込み装置とを備え、シャッタレリーズ操作に連動して前記データ写し込み装置に表示されているデータを写真フイルムに写し込むデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニットにおいて、
一端が前記電池の電極面と前記データ写し込み装置の基板上の接点のうちの一方に接触した状態に維持され、他端を前記電極面と前記接点のうちの他方から離れて前記データ写し込み装置への通電を断った切断位置から接触して前記データ写し込み装置に通電する接続位置に弾性変形自在な接片と、前記データ写し込み装置への通電開始に応答して通電検知信号を出力する通電検知手段と、通電検知信号に応答して、前記表示回路による表示を無効化した状態に維持する表示制御手段とを前記データ写し込み装置に備えるとともに、前記底蓋を開放する際に治具が挿入される治具挿入用開口と、前記接片を押圧して接続位置に保持するとともに一端が前記治具挿入用開口に入り込んだ第１位置と前記接片の押圧を解除して解除位置に復元させる第２位置との間でスライド自在であり、前記治具挿入用開口に治具を挿入することにより第２位置に向けての押圧力が加えられて第２位置にスライドするスライド部材とを備えたことを特徴とするデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニット。 - ロール状にされた未露光の写真フイルムが収納されるフイルム室と撮影済みの写真フイルムを収納するカートリッジが装填されるカートリッジ室を有する本体基部と前記カートリッジ室の上面に回動自在に設けられ、撮影ごとの回転操作によって撮影済みの写真フイルムをカートリッジ内に巻き込むための巻上げノブとを有し製造時に未露光の写真フイルム及びカートリッジが装填されるユニット本体と、電池及びこの電池を電源として写真フイルムに写し込むデータを表示する表示回路を有し製造時に前記表示回路による表示を有効化した状態でユニット本体に内蔵されるデータ写し込み装置とを備え、シャッタレリーズ操作に連動して前記データ写し込み装置に表示されているデータを写真フイルムに写し込むデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニットにおいて、
一端が前記電池の電極面と前記データ写し込み装置の基板上の接点のうちの一方に接触した状態に維持され、他端を前記電極面と前記接点のうちの他方から離れて前記データ写し込み装置への通電を断った切断位置から接触して前記データ写し込み装置に通電する接続位置に弾性変形自在な接片と、前記データ写し込み装置への通電開始に応答して通電検知信号を出力する通電検知手段と、通電検知信号に応答して、前記表示回路による表示を無効化した状態に維持する表示制御手段とを前記データ写し込み装置が備えるとともに、前記巻上げノブと同軸で一体に回転する間欠ギヤと、この間欠ギヤに噛合されて所定角度ずつ歩進されるカウンタギヤと、このカウンタギヤと同軸で一体に回転し外周面に保持レ バーの他端が当接するカム円板と、このカム円板の外周面に設けられた切欠と、一端が前記カム円板の外周面に当接した第１位置と前記切欠内に入り込んだ第２位置との間で回動自在とされるとともに第２位置に向けて付勢され、写真フイルムの巻上げ長が最終撮影コマをアパーチャの背後にセットするだけの長さとなった後に前記一端が切欠に対面して第１位置から第２位置に回動するタイミングレバーと、一端で前記接片の他端を弾性力に抗して押圧して前記接片を接続位置に保持する保持位置と、前記接片を弾性力で復元させて切断位置とする退避位置との間で回動自在とされ、他端が前記タイミングレバーの他端に係止され、前記タイミングレバーの第１位置から第２位置への回動にともない前記接片の弾性力によって保持位置から退避位置に回動する接片保持レバーとを備えたことを特徴とするデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニット。 - ロール状にされた未露光の写真フイルムが収納されるフイルム室と撮影済みの写真フイルムを収納するカートリッジが装填されるカートリッジ室を有する本体基部と前記カートリッジ室の上面に回動自在に設けられ、撮影ごとの回転操作によって撮影済みの写真フイルムをカートリッジ内に巻き込む巻上げノブとを有し製造時に未露光の写真フイルム及びカートリッジが装填されるユニット本体と、電池及びこの電池を電源として写真フイルムに写し込むデータを表示する表示回路を有し製造時に前記表示回路による表示を有効化した状態でユニット本体に内蔵されるデータ写し込み装置とを備え、シャッタレリーズ操作に連動して前記データ写し込み装置により表示されているデータを写真フイルムに写し込むデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニットにおいて、
一端が前記電池の電極面に他端がデータ写し込み装置の基板上の接点にそれぞれ接触して前記電池から前記データ写し込み装置に通電する導電性を有する接片と、前記データ写し込み装置への通電開始に応答して通電検知信号を出力する通電検知手段と、通電検知信号に応答して、前記表示回路による表示を無効化した状態に維持する表示制御手段とを前記データ写し込み装置に備えるとともに、一端に前記接片が取付けられ他端が前記カートリッジ室とフイルム室とを繋ぐフイルム通路内に突出され、この他端が写真フイルムに当接し前記接片を前記電極面及び前記接点に接触した状態に保持する保持位置とこの保持位置よりもさらにフイルム通路内に入り込んで前記接片を前記電極面及び前記接点から離す退避位置との間でスライド自在とされるとともに退避位置に向けて付勢され、写真フイルムの通過により退避位置にスライドする検知棒とを備えたことを特徴とするデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニット。 - 前記表示制御手段は、外部からの所定の信号が入力されることにより、前記表示回路の表示を有効化した状態にすることを特徴とする請求項１ないし８のいずれか１項に記載のデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニット。
- 前記通電検知手段は、前記電池からの通電を受けることにより出力電圧を漸増する抵抗とコンデンサの直列回路と、この直列回路からの出力電圧を所定のしきい値で波形成形して出力することにより前記データ写し込み装置への通電開始時から所定時間の経過後に通電検知信号を発生させる波形成形回路とからなり、前記表示制御手段は、Ｄ型フリップフロップ回路であり、通電検知信号の発生に応答して所定の信号レベルを取り込んで、その信号レベルを前記表示回路の表示を無効化する表示制御信号として出力することを特徴とする請求項１ないし９のいずれか１項に記載のデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニット。
- 製造時に未露光の写真フイルム及びカートリッジが装填されるユニット本体と、電池及びこの電池を電源として写真フイルムに写し込むデータを表示する表示回路を有し、製造時に前記表示回路による表示を有効化した状態でユニット本体に内蔵されるデータ写し込み装置とを備え、シャッタレリーズ操作に連動して前記データ写し込み装置により表示されているデータを写真フイルムに写し込むデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニットにおいて、
写真フイルムの撮影終了からカートリッジの取り出しまでの間に前記電池から前記データ写し込み装置への通電を停止、または写真フイルムの再装填若しくは前記データ写し込み装置の取り外しのための所定の構成部品のユニット本体からの取り外しに連動して、前記電池の電極面と前記データ写し込み装置の基板上の接点とにそれぞれ接触して前記データ写し込み装置に通電する導電性を有する接片の前記接触を解除させて、前記電池から前記データ写し込み装置への通電を停止する通電停止手段を備えるとともに、前記データ写し込み装置は、前記電池からの通電を受けることにより出力電圧を漸増する抵抗とコンデンサの直列回路と、この直列回路からの出力電圧を所定のしきい値で波形成形して出力することによりデータ写し込み装置への通電開始時から所定時間の経過後に通電検知信号を生成する波形成形回路と、通電検知信号の発生に応答して所定の信号レベルを取り込んでその信号レベルを前記表示回路による表示を無効化する表示制御信号として出力するＤ型フリップフロップ回路からなる表示制御手段とを備えたことを特徴とするデータ写し込み装置付きレンズ付きフイルムユニット。
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