JP3766497B2 - チップ型抵抗器の構造及びその製造方法 - Google Patents

チップ型抵抗器の構造及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,チップ型の絶縁基板に,抵抗膜とその両端に対する端子電極とを形成して成るチップ型の抵抗器において,その構造と,その製造方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来におけるチップ型抵抗器は,例えば,特開昭60−27104号公報等に記載されているように,チップ型の絶縁基板の表面に形成した抵抗膜を覆うカバーコートが,前記抵抗膜の両端に対する端子電極の表面より可成り突出し,カバーコートの表面と両端子電極の表面との間の段差が大きいと言う構造であったから,このチップ型抵抗器を,プリント基板に対して,当該チップ型抵抗器における抵抗膜側をプリント基板に向けた状態にして半田付けするとき,片側が浮き上がってしまって,確実に半田付けできないと言う問題があった。
【0003】
そこで,先行技術としての特開平4−102302号公報は,図43及び図44に示すように,チップ型絶縁基板1の左右両端部に,抵抗膜2の両端に対する端子電極3を形成するに際して,この両端子電極3を,前記絶縁基板1の表面に抵抗膜2に導通するように形成した主上面電極3aと,この主上面電極3aの上面に盛り上げるように形成した補助上面電極3bと,前記絶縁基板1の端面に形成した側面電極3cと,前記補助上面電極3b及び側面電極3cの表面に形成した金属メッキ層3dとで構成することにより,この両端子電極3の表面と,前記抵抗膜2に対するカバーコート4の表面との間における段差を小さくするか,段差を無くすることを提案している。
【0004】
なお,前記カバーコート4は,抵抗膜2の直接覆うアンダーコート4aと,このアンダーコート4aを覆うミドルコート4bと,このミドルコート4bを覆うオーバーコート4cとの三層構造になっている。なお,前記アンダーコートを省略する場合もある。
また,前記先行技術のチップ型抵抗器は,前記公報に記載されているように,
(i ).先づ,絶縁基板の上面に,両主上面電極3aを形成したのち抵抗膜2を形成するか,或いは,抵抗膜2を形成したのち両主上面電極3aを形成する。
(ii).次いで,前記抵抗膜2に対してガラスによるアンダーコート4aを形成したのち(なお,このアンダーコートを省略する場合もある),前記両主上面電極3aに通電用プローブを接触して前記抵抗膜2の抵抗値を測定しながら前記抵抗膜2及びアンダーコート4aに対してレーザ光線の照射等にてトリミング溝を刻設することにより,前記抵抗膜2における抵抗値が所定の許容範囲内に入るようにトリミング調整する。
(iii ).次いで,前記アンダーコート4aの表面に対して,前記トリミング溝を塞ぐためにガラスによるミドルコート4bを形成したのち,これらの全体を覆うガラス又は合成樹脂によるオーバーコート4cを形成する。
(iv).そして,前記両主上面電極3aの表面に,導電ペーストを絶縁基板1の横幅一杯にわたって厚く盛り上げることにより,補助上面電極3bを形成し,絶縁基板1の端面に側面電極3cを形成したのち,全体に対して金属メッキ処理を施すことにより,金属メッキ層3dを形成する。
と言う順序で製造される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし,先行技術は,両主上面電極3aの上面に,導電ペーストを絶縁基板1における幅一杯にわたって厚く盛り上げて補助電極3bを形成することにより,端子電極3とカバーコート4との間の段差を無くするか,小さくするように構成したものであり,換言すると,前記厚さの厚い補助上面電極3bを,絶縁基板1の横幅一杯にわたって形成するように構成したものであるから,端子電極3とカバーコート4との間の段差を無くするか小さくするためには,導電ペーストの使用量が多くなって,材料費が嵩んで製造コストが可成りアップすると共に,チップ型抵抗器の重量もアップするのであった。
【0006】
そこで,別の先行技術としての特開平6−77002号公報は,前記補助上面電極3bにおける横幅を,絶縁基板1における横幅よりも狭くすることを提案している。
しかし,ここに示した別の先行技術は,補助上面電極3bにおける横幅を,絶縁基板1における横幅よりも狭くするものであるから,先に示した先行技術のものよりも,補助上面電極3bを形成するための導電ペーストの使用量を節減できるものの,前記主上面電極3aの上面に,補助上面電極用導電ペーストを厚く塗着したとき,この導電ペーストが,未乾燥中において及び焼成中において絶縁基板1における幅方向に流れることになるから,焼成後における補助上面電極3bの高さ寸法は,導電ペーストを塗着したときにおける厚さよりも大幅に低くなる傾向を呈する。
【0007】
従って,焼成後における補助上面電極3bに所定の高さ寸法を確保するためには,主上面電極3aの表面に導電ペーストを塗着するときに,当該導電ペーストにおける絶縁基板の幅方向への流れによってその厚さが大幅に低くなる分だけ余分に厚く塗着するようにしなければならないから,補助上面電極3bを形成するための導電ペーストの使用量の節減,ひいては,製造コストの低減,及び軽量化を,効果的に充分に達成することができないのである。
【0008】
本発明は,この問題を解消できる構造と,その製造方法とを提供することを技術的課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため本発明のチップ型抵抗器は,請求項1に記載したように,
「絶縁基板の左右両端部に,当該絶縁基板の上面に形成した抵抗膜の両端に対する端子電極を備え,この両端子電極を,少なくとも,絶縁基板の面における抵抗膜に導通するように形成した主上面電極と,この主上面電極の面に形成した補助上面電極とで構成する一方,前記絶縁基板の面に前記抵抗膜を覆うカバーコートを形成し,更に,前記絶縁基板の上面から前記補助上面電極の上面までの高さ寸法を,前記絶縁基板の上面から前記カバーコートの上面までの高さ寸法と略等しくするように構成して成るチップ型抵抗器において,
前記両主上面電極における上面の左右両側に,前記カバーコートにおける延長部又は飛び地部を形成する一方,前記補助上面電極を,前記両主上面電極の面のうちその両側に位置する前記延長部又は飛び地部の間の部分に,前記延長部又は飛び地部を形成した後においてこれらの上面よりも全体が盛り上がるように形成する。」
と言う構成にした。
【0010】
この場合,カバーコートにおける延長部又は飛び地部は,請求項2〜4に記載したように,前記カバーコートにおける一つの層を構成するアンダーコート,ミドルコート又はオーバーコートにおける延長部又は飛び地部とすることができる。
また,本発明の製造方法は,請求項5に記載したように,
絶縁基板の上面に抵抗膜及びその両端に対する左右一対の主上面電極を形成する工程と,
前記抵抗膜を覆うカバーコートを,当該カバーコートにおける延長部又は飛び地部を前記両主上面電極における上面の左右両側に位置するようにして形成する工程と,
前記工程に次いで,前記両主上面電極の面のうちその両側に位置する前記両延長部又は飛び地部の間の部分に補助上面電極を形成する工程を備え,
前記補助上面電極を形成する工程が,前記絶縁基板の上面から当該補助上面電極の上面までの高さ寸法を前記絶縁基板の上面から前記カバーコートの上面までの高さ寸法と略等しくなるようにその全体を前記両延長部又は飛び地部の面よりも盛り上げて形成する工程である,
ことを特徴とする。」
ものである。
【0011】
この場合においても,カバーコートにおける延長部又は飛び地部は,請求項6〜8に記載したように,前記カバーコートにおける一つの層を構成するアンダーコート,ミドルコート又はオーバーコートにおける延長部又は飛び地部とすることができる。
【0012】
【発明の効果】
このように,両端子電極における主上面電極における上面の左右両側に,カバーコートにおける延長部又は飛び地部を形成する一方,補助上面電極を,前記両主上面電極の面のうちその両側に位置する前記延長部又は飛び地部の間の部分に,前記延長部又は飛び地部を形成した後においてこれらの上面よりも全体が盛り上がるように形成することにより,前記補助上面電極を,導電ペーストのスクリーン印刷等による塗着及び焼成にて形成するときにおいて,その左右両側に位置する前記延長部又は飛び地部が,その間の部分に塗着した前記導電ペーストにおける絶縁基板の幅方向への流れを阻止すると言う堰止めとしての作用を行うことになるから,前記補助上面電極における主上面電極の上面からの高さ寸法を,少ない量の導電ペーストにて高くすることができるのである。
【0013】
従って,前記絶縁基板の面から補助上面電極の面までの高さ寸法を,例えば,絶縁基板の面からカバーコートの面までの高さ寸法と略等しくすることによって,その間の段差を小さくするか,或いは,段差を無くする等のように,高くする場合において,前記補助上面電極を形成するために必要な導電ペーストの使用量を少なくできるから,前記した各先行技術の場合よりも更に材料費を節減できて,低コスト化を達成できると共に,前記した各先行技術の場合よりも更に軽量化できるのである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施の形態を図面について説明する。
図1〜図13は,第1の実施形態を示す。
この第1の実施形態は,
(i ).先づ,図1に示すように,チップ型の絶縁基板11の上面に,左右一対の主上面電極13aを,導電ペーストのスクリーン印刷による塗着及び焼成にて形成する。
(ii).次いで,図2に示すように,前記絶縁基板11の上面に,抵抗膜12を,ペーストのスクリーン印刷による塗着及び焼成にて形成し(なお,先に,この抵抗膜12を形成し,次いで,前記両主上面電極13aを形成するようにしても良い),この抵抗膜12を直接覆うガラスによるアンダーコート14aを,材料のスクリーン印刷による塗着及び焼成にて形成したのち,前記両主上面電極13aに通電用プローブ(図示せず)を接触して前記抵抗膜12の抵抗値を測定しながら前記抵抗膜12及びアンダーコート14aに対してレーザ光線の照射等にてトリミング溝12aを刻設することにより,前記抵抗膜12における抵抗値が所定の許容範囲内に入るようにトリミング調整する。
なお,前記アンダーコート14aを省略した状態で,抵抗膜12のトリミング調整を行うようにしても良い。
(iii ).次いで,図3〜図5に示すように,前記アンダーコート14aの面(アンダーコート14aを省略する場合には,前記抵抗膜12の面)に対して,前記トリミング溝12aを塞ぐためにガラスによるミドルコート14bを,材料のスクリーン印刷による塗着及び焼成にて形成するに際して,前記両主上面電極13aにおける上面の左右両側の部分に,前記ミドルコート14bから一体的に延びる延長部14b′を,同時に形成する。
(iv).次いで,前記ミドルコート14bの上面のうち前記延長部14b′以外の部分に,図6及び図7に示すように,ガラス又は合成樹脂によるオーバーコート14cを,材料のスクリーン印刷による塗着及び焼成にて形成することにより,これらアンダーコート14a,ミドルコート14b及びオーバーコート14cによる三層構造のカバーコート14を構成する。
(v ).次いで,前記両主上面電極3aにおける面のうちその左右両側に位置する前記延長部14b′の間の部分に,図8〜図10に示すように,補助上面電極13bを,導電ペーストのスクリーン印刷による塗着及び焼成にて,前記延長部14b′の面よりも当該補助上面電極13bの全体が盛り上がるように形成する。
【0015】
この補助上面電極13bの形成に際しては,前記絶縁基板11の上面から当該補助上面 電極13bの上面までの高さ寸法を,前記絶縁基板11の上面から前記オーバーコート14cの上面までの高さ寸法に略等しくするように構成する。
なお,この補助上面電極13bは,後述する側面電極13cと同時に,つまり,絶縁基板11における左右両端面に側面電極13c用の導電ペーストを塗着するときに,この側面電極13c用の導電ペーストを前記両主上面電極3aにおける面のうち両延長部14b′の間の部分にも塗着したのち焼成することによって,同時に形成するようにしても良い。
(vi).そして,図11及び図12に示すように,前記絶縁基板11における左右両端面に,側面電極13cを,導電ペーストの塗着及び焼成にて形成したのち,全体に対して金属メッキ処理を施して,前記補助上面電極13b及び側面電極13cの表面に金属メッキ層13dを形成することにより,端子電極13に構成するのである。
【0016】
このようにして製造されたチップ型抵抗器は,図11及び図12に示すように,両端子電極13における主上面電極13aの上面の左右両側には,ミドルコート14bにおける延長部14b′が位置し,且つ,この主上面電極13aの面のうち前記両延長部14b′の間の部分に,補助上面電極13bが,前記両延長部14b′を形成した後においてその上面よりも全体が盛り上がるように形成されると言うような形態になっていることにより,この補助上面電極13bを,導電ペーストのスクリーン印刷等による塗着及び焼成にて形成するときにおいて,その左右両側に位置する前記ミドルコート14bにおける両延長部14b′が,その間の部分に塗着した前記導電ペーストにおける絶縁基板11の幅方向への流れを阻止すると言う堰止めとしての作用を行うことになるから,前記補助上面電極13bにおける主上面電極13aの面からの高さ寸法(正確には,主上面電極13aの上面から金属メッキ層13dの面までの高さ)を,少ない量の導電ペーストにて高くすることができるのである。
【0017】
従って,前記絶縁基板11の面から補助上面電極13bの面までの高さ寸法H1(正確には,絶縁基板11の面から金属メッキ層13dの面までの高さ)を,絶縁基板11の面からオーバーコート14cの面までの高さ寸法H0と略等しくする場合において,前記補助上面電極13b用導電ペーストの使用量を少なくできるから,材料費を節減できると共に,軽量化できるのである。
【0018】
なお,前記ミドルコート14bにおける延長部14b′とすることに代えて,図13に示すように,前記ミドルコート14bを形成するときにおいて,両主上面電極13aにおける左右両側の部分に,当該ミドルコート14bの飛び地部14b″を同時に形成し,両主上面電極13aの面のうちこの両飛び地部14b″の間の部分に補助上面電極13bを,前記飛び地部14b″の面よりも盛り上がるように形成するように構成しても良く,また,これらミドルコート14bにおける延長部14b′又は飛び地部14b″は,図示のように,その一部が主上面電極13aの一部に重なるように形成することが好ましいが,このミドルコート14bの厚さは,主上面電極13aの厚さよりも厚いので,主上面電極13aに重ならないように形成しても良いのである。
【0019】
次に,図14〜図29は,第2の実施形態を示す。
この第2の実施形態は,
(i ).先づ,図14に示すように,チップ型の絶縁基板11の上面に,左右一対の上面電極13aを,導電ペーストのスクリーン印刷による塗着及び焼成にて形成する。
(ii).次いで,図15に示すように,前記絶縁基板11の上面に,抵抗膜12を,その材料ペーストのスクリーン印刷による塗着及び焼成にて形成する(なお,先に,この抵抗膜12を形成し,次いで,両上面電極13aを形成するようにしても良い)。
(iii ).次いで,図16〜図18に示すように,前記絶縁基板11の上面に抵抗膜12を直接覆うガラスによるアンダーコート14aを,その材料のスクリーン印刷による塗着及び焼成にて形成するに際して,前記両主上面電極13aにおける上面の左右両側の部分に,前記アンダーコート14aから一体的に延びる延長部14a′を,同時に形成する。(iv).次いで,図19に示すように,前記両主上面電極13aに通電用プローブ(図示せず)を接触して前記抵抗膜12の抵抗値を測定しながら前記抵抗膜12及びアンダーコート14aに対してレーザ光線の照射等にてトリミング溝12aを刻設することにより,前記抵抗膜12における抵抗値が所定の許容範囲内に入るようにトリミング調整する。
(v ).次いで,図20及び図21に示すように,前記アンダーコート14aの面のうち各延長部14a′を除く部分に,前記トリミング溝12aを塞ぐためにガラスによるミドルコート14bを,その材料のスクリーン印刷による塗着及び焼成にて形成する。
(vi).次いで,図22及び図23に示すように,前記ミドルコート14bの上面のうち前記アンダーコート14aにおける各延長部14a′以外の部分に,ガラス又は合成樹脂によるオーバーコート14cを,材料のスクリーン印刷による塗着及び焼成にて形成することにより,これらアンダーコート14a,ミドルコート14b及びオーバーコート14cによる三層構造のカバーコート14を構成する。
(vii ).次いで,図24〜図26に示すように,前記両主上面電極3aにおける面のうちその左右両側に位置する前記延長部14a′の間の部分に,補助上面電極13bを,導電ペーストのスクリーン印刷による塗着及び焼成にて,前記延長部14a′の面よりも当該補助上面電極13bの全体が盛り上がるように形成する。
【0020】
この補助上面電極13bの形成に際しては,前記絶縁基板11の上面から当該補助上面電極13bの上面までの高さ寸法を,前記絶縁基板11の上面から前記オーバーコート14cの上面までの高さ寸法に略等しくするように構成する。
なお,この補助上面電極13bは,後述する側面電極13cと同時に,つまり,絶縁基板11における左右両端面に側面電極13c用の導電ペーストを塗着するときに,この側面電極13c用の導電ペーストを前記両主上面電極3aにおける上面のうち両延長部14a′の間の部分にも塗着したのち焼成することによって,同時に形成するようにしても良い。
(viii).そして,図27及び図28に示すように,前記絶縁基板11における左右両端面に,側面電極13cを,導電ペーストの塗着及び焼成にて形成したのち,全体に対して金属メッキ処理を施して,前記補助上面電極13b及び側面電極13cの表面に金属メッキ層13dを形成することにより,端子電極13に構成するのである。
【0021】
このようにして製造されたチップ型抵抗器は,前記第1の実施形態の場合と同様に,図27及び図28に示すように,両端子電極13における主上面電極13aの上面の左右両側には,アンダーコート14aにおける延長部14a′が位置し,且つ,この主上面電極13aの面のうち前記両延長部14a′の間の部分に,補助上面電極13bが,前記両延長部14a′を形成した後においてその上面よりも全体が盛り上がるように形成されると言うような形態になっていることにより,この補助上面電極13bを,導電ペーストのスクリーン印刷等による塗着及び焼成にて形成するときにおいて,その左右両側に位置する前記アンダーコート14aにおける両延長部14a′が,その間の部分に塗着した前記導電ペーストにおける絶縁基板11の幅方向への流れを阻止すると言う堰止めとしての作用を行うことになるから,前記補助上面電極13bにおける主上面電極13aの面からの高さ寸法(正確には,主上面電極13aの面から金属メッキ層13dの面までの高さ)を,少ない量の導電ペーストにて高くすることができるのである。
【0022】
従って,前記絶縁基板11の面から補助上面電極13bの面までの高さ寸法H1(正確には,絶縁基板11の面から金属メッキ層13dの面までの高さ)を,絶縁基板11の面からオーバーコート14cの面までの高さ寸法H0と略等しくする場合において,前記補助上面電極13b用導電ペーストの使用量を少なくできるから,材料費を節減できる共に,軽量化できるのである。
【0023】
なお,前記アンダーコート14aにおける延長部14a′とすることに代えて,図29に示すように,前記アンダーコート14aを形成するときにおいて,両主上面電極13aにおける上面の左右両側の部分に,当該アンダーコート14aの飛び地部14a″を同時に形成し,両主上面電極13aの面のうちこの両飛び地部14a″の間の部分に補助上面電極13bを形成するように構成しても良く,また,これらアンダーコート14aにおける延長部14a′又は飛び地部14a″は,図示のように,その一部が主上面電極13aの一部に重なるように形成することが好ましいが,このアンダーコート14aの厚さは,主上面電極13aの厚さよりも厚いので,主上面電極13aに重ならないように形成しても良いのである。
【0024】
そして,図30〜図42は,第3の実施形態を示す。
この第3の実施形態は,
(i ).先づ,図30に示すように,チップ型の絶縁基板11の上面に,左右一対の主上面電極13aを,導電ペーストのスクリーン印刷による塗着及び焼成にて形成する。
(ii).次いで,図31に示すように,前記絶縁基板11の上面に,抵抗膜12を,ペーストのスクリーン印刷による塗着及び焼成にて形成し(なお,先に,この抵抗膜12を形成し,次いで,前記両主上面電極13aを形成するようにしても良い),この抵抗膜12を直接覆うガラスによるアンダーコート14aを,材料のスクリーン印刷による塗着及び焼成にて形成したのち,前記両主上面電極13aに通電用プローブ(図示せず)を接触して前記抵抗膜12の抵抗値を測定しながら前記抵抗膜12及びアンダーコート14aに対してレーザ光線の照射等にてトリミング溝12aを刻設することにより,前記抵抗膜12における抵抗値が所定の許容範囲内に入るようにトリミング調整する。
なお,前記アンダーコート14aを省略した状態で,抵抗膜12のトリミング調整を行うようにしても良い。
(iii ).次いで,図32及び図33に示すように,前記アンダーコート14aの面(アンダーコート14aを省略する場合には,前記抵抗膜12の面)に対して,前記トリミング溝12aを塞ぐためにガラスによるミドルコート14bを,材料のスクリーン印刷による塗着及び焼成にて形成する。
(iv).次いで,図34〜図36に示すように,前記ミドルコート14bの面に対して,ガラス又は合成樹脂によるオーバーコート14cを,材料のスクリーン印刷による塗着及び焼成にて形成することにより,これらアンダーコート14a,ミドルコート14b及びオーバーコート14cによる三層構造のカバーコート14を構成するにおいて,前記両主上面電極13aにおける上面の左右両側の部分に,前記オーバーコート14cから一体的に延びる延長部14c′を,同時に形成する。
(v ).次いで,前記両主上面電極3aにおける面のうちその左右両側に位置する前記延長部14c′の間の部分に,図37〜図39に示すように,補助上面電極13bを,導電ペーストのスクリーン印刷による塗着及び焼成にて,前記延長部14c′の面よりも当該補助上面電極13bの全体が盛り上がるように形成する。
【0025】
この補助上面電極13bの形成に際しては,前記絶縁基板11の上面から当該補助上面電極13bの上面までの高さ寸法を,前記絶縁基板11の上面から前記オーバーコート14cの上面までの高さ寸法に略等しくするように構成する。
なお,この補助上面電極13bは,後述する側面電極13cと同時に,つまり,絶縁基板11における左右両端面に側面電極13c用の導電ペーストを塗着するときに,この側面電極13c用の導電ペーストを前記両主上面電極3aにおける面のうち両延長部14b′の間の部分にも塗着したのち焼成することによって,同時に形成するようにしても良い。
(vi).そして,図40及び図41に示すように,前記絶縁基板11における左右両端面に,側面電極13cを,導電ペーストの塗着及び焼成にて形成したのち,全体に対して金属メッキ処理を施して,前記補助上面電極13b及び側面電極13cの表面に金属メッキ層13dを形成することにより,端子電極13に構成するのである。
【0026】
このようにして製造されたチップ型抵抗器は,前記第1及び第2の実施形態の場合と同様に,図40及び図41に示すように,両端子電極13における主上面電極13aにおける上面の左右両側には,オーバーコート14cにおける延長部14c′が位置し,且つ,この主上面電極13aの面のうち前記両延長部14c′の間の部分に,補助上面電極13bが,前記延長部14c′を形成した後においてその上面よりも全体が盛り上がるように形成されると言うような形態になっていることにより,この補助上面電極13bを,導電ペーストのスクリーン印刷等による塗着及び焼成にて形成するときにおいて,その左右両側に位置する前記オーバーコート14cにおける両延長部14c′が,その間の部分に塗着した前記導電ペーストにおける絶縁基板11の幅方向への流れを阻止すると言う堰止めとしての作用を行うことになるから,前記補助上面電極13bにおける主上面電極13aの面からの高さ寸法(正確には,主上面電極13aの面から金属メッキ層13dの面までの高さ)を,少ない量の導電ペーストにて高くすることができるのである。
【0027】
従って,前記絶縁基板11の面から補助上面電極13bの面までの高さ寸法H1(正確には,絶縁基板11の面から金属メッキ層13dの面までの高さ)を,絶縁基板11の面からオーバーコート14cの面までの高さ寸法H0と略等しくする場合において,前記補助上面電極13b用導電ペーストの使用量を少なくできるから,材料費を節減できる共に,軽量化できるのである。
【0028】
なお,前記オーバーコート14cにおける延長部14c′とすることに代えて,図42に示すように,前記オーバーコート14cを形成するときにおいて,両主上面電極13aにおける上面の左右両側の部分に,当該オーバーコート14cの飛び地部14c″を同時に形成し,両主上面電極13aの面のうちこの両飛び地部14c″の間の部分に補助上面電極13bを形成するように構成しても良く,また,これらオーバーコート14cにおける延長部14c′又は飛び地部14c″は,図示のように,その一部が主上面電極13aの一部に重なるように形成することが好ましいが,このオーバーコート14cの厚さは,主上面電極13aの厚さよりも厚いので,主上面電極13aに重ならないように形成しても良いのである。
【0029】
なお,前記各実施形態は,両主上面電極13aにおける上面の左右両側の部分に,ミドルコート14bにおける延長部14b′又は飛び地部14b″,或いは,アンダーコート14aにおける延長部14a′又は飛び地部14a″,若しくは,オーバーコート14cにおける延長部14c′又は飛び地部14c″のみを形成する場合を示したが,本発明は,これに限らず,両主上面電極13aにおける上面の左右両側の部分に,ミドルコート14bにおける延長部14b′又は飛び地部14b″とアンダーコート14aにおける延長部14a′又は飛び地部14a″とを同じ箇所に重ねて形成するか,又は,ミドルコート14bにおける延長部14b′又は飛び地部14b″とオーバーコート14cにおける延長部14c′又は飛び地部14c″とを同じ箇所に重ねて形成するか,或いは,アンダーコート14aにおける延長部14a′又は飛び地部14a″とオーバーコート14cにおける延長部14c′又は飛び地部14c″とを同じ箇所に重ねて形成するか,若しくは,ミドルコート14bにおける延長部14b′又は飛び地部14b″,アンダーコート14aにおける延長部14a′又は飛び地部14a″及びオーバーコート14cにおける延長部14c′又は飛び地部14c″との三者を同じ箇所に重ねて形成するように構成しても良いのであり,このように構成することにより,前記両主上面電極13aにおける左右両側の部分に形成される延長部又は飛び地部の高さを高くできるから,補助上面電極を形成するための導電ペーストの使用量を更に節減できるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態において絶縁基板に主上面電極を形成した状態を示す斜視図である。
【図2】 第1の実施形態において前記絶縁基板に抵抗膜に次いでアンダーコートを形成した状態を示す斜視図である。
【図3】 第1の実施形態において前記絶縁基板にミドルコートを形成した状態を示す平面図である。
【図4】 図3のIV−IV視断面図である。
【図5】 図3のV−V視断面図である。
【図6】 第1の実施形態において前記絶縁基板にオーバーコートを形成した状態を示す平面図である。
【図7】 図6のVII −VII 視断面図である。
【図8】 第1の実施形態において前記絶縁基板に補助上面電極を形成した状態を示す平面図である。
【図9】 図8のIX−IX視断面図である。
【図10】図8のX−X視断面図である。
【図11】第1の実施形態によるチップ型抵抗器を示す縦断正面図である。
【図12】図11のXII −XII 視断面図である。
【図13】前記第1の実施形態におけるミドルコートの変形例を示す平面図である。
【図14】第2の実施形態において絶縁基板に主上面電極を形成した状態を示す斜視図である。
【図15】第2の実施形態において前記絶縁基板に抵抗膜を形成した状態を示す斜視図である。
【図16】第2の実施形態において前記絶縁基板にアンダーコートを形成した状態を示す平面図である。
【図17】図16のXVII−XVII視断面図である。
【図18】図16のXVIII −XVIII 視断面図である。
【図19】第2の実施形態において抵抗膜にトリミング溝を刻設した状態を示す平面図である。
【図20】第2の実施形態において絶縁基板にミドルコートを形成した状態を示す平面図である。
【図21】図20のXXI −XXI 視断面図である。
【図22】第2の実施形態において絶縁基板にオーバーコートを形成した状態を示す平面図である。
【図23】図22のXXIII −XXIII 視断面図である。
【図24】
第2の実施形態において絶縁基板に補助上面電極を形成した状態を示す平面図である。
【図25】図24のXXV −XXV 視断面図である。
【図26】図24のXXVI−XXVI視断面図である。
【図27】第2の実施形態によるチップ型抵抗器を示す縦断正面図である。
【図28】図27のXXVIII−XXVIII視断面図である。
【図29】前記第2の実施形態におけるアンダーコートの変形例を示す平面図である。
【図30】第3の実施形態において絶縁基板に主上面電極を形成した状態を示す斜視図である。
【図31】第3の実施形態において前記絶縁基板に抵抗膜に次いでアンダーコートを形成した状態を示す斜視図である。
【図32】第3の実施形態において前記絶縁基板にミドルコートを形成した状態を示す平面図である。
【図33】図32のXXXIII−XXXIII視断面図である。
【図34】第3の実施形態において前記絶縁基板にオーバーコートを形成した状態を示す平面図である。
【図35】図34のXXXV−XXXV視断面図である。
【図36】図34のXXXVI −XXXVI 視断面図である。
【図37】第3の実施形態において前記絶縁基板に補助上面電極を形成した状態を示す平面図である。
【図38】図37のXXXVIII −XXXVIII 視断面図である。
【図39】図37のXXXIX −XXXIX 視断面図である。
【図40】第3の実施形態によるチップ型抵抗器を示す縦断正面図である。
【図41】図40のXXXXI −XXXXI 視断面図である。
【図42】前記第3の実施形態におけるミドルコートの変形例を示す平面図である。
【図43】先行技術によるチップ型抵抗器を示す斜視図である。
【図44】図43のXXXXIV−XXXXIV視拡大断面図である。
【符号の説明】
11 絶縁基板
12 抵抗膜
13 端子電極
13a 主上面電極
13b 補助上面電極
13c 側面電極
13d 金属メッキ層
14 カバーコート
14a アンダーコート
14b ミドルコート
14c オーバーコート
14a′ アンダーコートの延長部
14a″ アンダーコートの飛び地部
14b′ ミドルコートの延長部
14b″ ミドルコートの飛び地部
14c′ オーバーコートの延長部
14c″ オーバーコートの飛び地部

Claims (8)

  1. 絶縁基板の左右両端部に,当該絶縁基板の上面に形成した抵抗膜の両端に対する端子電極を備え,この両端子電極を,少なくとも,絶縁基板の面における抵抗膜に導通するように形成した主上面電極と,この主上面電極の面に形成した補助上面電極とで構成する一方,前記絶縁基板の面に前記抵抗膜を覆うカバーコートを形成し,更に,前記絶縁基板の上面から前記補助上面電極の上面までの高さ寸法を,前記絶縁基板の上面から前記カバーコートの上面までの高さ寸法と略等しくするように構成して成るチップ型抵抗器において,
    前記両主上面電極における上面の左右両側に,前記カバーコートにおける延長部又は飛び地部を形成する一方,前記補助上面電極を,前記両主上面電極の面のうちその両側に位置する前記延長部又は飛び地部の間の部分に,前記延長部又は飛び地部を形成した後においてこれらの上面よりも全体が盛り上がるように形成したことを特徴とするチップ型抵抗器の構造。
  2. 前記請求項1の記載において,前記カバーコートが,前記抵抗膜を直接覆う下層のアンダーコートと,これを覆う上層のオーバーコートを有する構成であり,前記延長部又は飛び地部が,前記アンダーコートにおける延長部又は飛び地部であることを特徴とするチップ型抵抗器の構造。
  3. 前記請求項1の記載において,前記カバーコートが,前記抵抗膜を直接覆う下層のアンダーコートと,これを覆う中層のミドルコートと,これを覆う上層の上層のオーバーコートを有する構成であり,前記延長部又は飛び地部が,前記ミドルコートにおける延長部又は飛び地部であることを特徴とするチップ型抵抗器の構造。
  4. 前記請求項1の記載において,前記カバーコートが,前記抵抗膜を直接覆う下層のアンダーコートと,これを覆う上層のオーバーコートを有する構成であり,前記延長部又は飛び地部が,前記オーバーコートにおける延長部又は飛び地部であることを特徴とするチップ型抵抗器の構造。
  5. 絶縁基板の上面に抵抗膜及びその両端に対する左右一対の主上面電極を形成する工程と,
    前記抵抗膜を覆うカバーコートを,当該カバーコートにおける延長部又は飛び地部を前記両主上面電極における上面の左右両側に位置するようにして形成する工程と,
    前記工程に次いで,前記両主上面電極の面のうちその両側に位置する前記両延長部又は飛び地部の間の部分に補助上面電極を形成する工程を備え,
    前記補助上面電極を形成する工程が,前記絶縁基板の上面から当該補助上面電極の上面までの高さ寸法を前記絶縁基板の上面から前記カバーコートの上面までの高さ寸法と略等しくなるようにその全体を前記両延長部又は飛び地部の面よりも盛り上げて形成する工程である,
    ことを特徴とするチップ型抵抗器の製造方法。
  6. 絶縁基板の上面に抵抗膜及びその両端に対する左右一対の主上面電極を形成する工程と,
    前記抵抗膜を直接覆う下層のアンダーコートを,当該アンダーコートにおける延長部又は飛び地部を前記両主上面電極における上面の左右両側に位置するようにして形成する工程と,
    前記抵抗膜をトリミング調整する工程と,
    前記アンダーコートに重ねて上層のオーバーコートを形成する工程と,
    前記工程に次いで,前記両主上面電極の面のうちその両側に位置する前記両延長部又は飛び地部の間の部分に補助上面電極を形成する工程を備え,
    前記補助上面電極を形成する工程が,前記絶縁基板の上面から当該補助上面電極の上面までの高さ寸法を前記絶縁基板の上面から前記オーバーコートの上面までの高さ寸法と略等しくなるようにその全体を前記両延長部又は飛び地部の面よりも盛り上げて形成する工程である,
    ことを特徴とするチップ型抵抗器の製造方法。
  7. 絶縁基板の上面に抵抗膜及びその両端に対する左右一対の主上面電極を形成する工程と,
    前記抵抗膜を直接覆う下層のアンダーコートを形成する工程と,
    前記抵抗膜をトリミング調整する工程と,
    前記アンダーコートに重ねて中層のミドルコートを,当該ミドルコートにおける延長部又は飛び地部を前記両主上面電極における上面の左右両側に位置するようにして形成する工程と,
    前記ミドルコートに重ねて上層のオーバーコートを形成する工程と,
    前記工程に次いで,前記両主上面電極の面のうちその両側に位置する前記両延長部又は飛び地部の間の部分に補助上面電極を形成する工程を備え,
    前記補助上面電極を形成する工程が,前記絶縁基板の上面から当該補助上面電極の上面までの高さ寸法を前記絶縁基板の上面から前記オーバーコートの上面までの高さ寸法と略等しくなるようにその全体を前記両延長部又は飛び地部の面よりも盛り上げて形成する工程である,
    ことを特徴とするチップ型抵抗器の製造方法。
  8. 絶縁基板の上面に抵抗膜及びその両端に対する左右一対の主上面電極を形成する工程と,
    前記抵抗膜を直接覆う下層のアンダーコートを形成する工程と,
    前記抵抗膜をトリミング調整する工程と,
    前記アンダーコートに重ねて上層のオーバーコートを,当該オーバーコートにおける延長部又は飛び地部を前記両主上面電極における上面の左右両側に位置するようにして形成する工程と,
    前記工程に次いで,前記両主上面電極の面のうちその両側に位置する前記両延長部又は飛び地部の間の部分に補助上面電極を形成する工程を備え,
    前記補助上面電極を形成する工程が,前記絶縁基板の上面から当該補助上面電極の上面までの高さ寸法を前記絶縁基板の上面から前記オーバーコートの上面までの高さ寸法と略等しくなるようにその全体を前記両延長部又は飛び地部の面よりも盛り上げて形成する工程である,
    ことを特徴とするチップ型抵抗器の製造方法。
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