JP3557762B2 - 多連チップ抵抗器およびそれを実装する実装基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子回路に用いられる多連チップ抵抗器およびそれを実装する実装基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の多連チップ抵抗器としては、実願平4−61226号(実開平6−26210号)のマイクロフィルムに記載されたものが知られている。
【0003】
図8は従来の多連チップ抵抗器の上面図を示したもので、この図8には、絶縁基板1の上面に形成された4つの抵抗体2a〜2dと、この抵抗体2a〜2dの両端から絶縁基板1の端面および裏面に導出された端子電極3a〜3d、4a〜4dとを備えた多連チップ抵抗器において、絶縁基板1の最外部に形成された端子電極3a,3d,4a,4dの幅を、最外部の端子に挟まれて配置された中央部の端子電極3b,3c,4b,4cの幅に対して、1.1〜1.3倍としたものが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の多連チップ抵抗器は、凹部の形状が真円状であるとともに、4隅部分にも凹部を形成しているため、最外部の裏面側端面電極を中央部の裏面側端面電極の1.3倍以上で形成すると、当然のことながら凹部間が狭くなり、そこで分断が多発していた。従って、最外部の裏面側端面電極は中央部の裏面側端面電極の1.3倍以下にしなくてはならず、セルフアライメント効果を重要視される小形の多連チップ抵抗器においては十分ではなく、従来以上のセルフアライメント効果を持つ多連チップ抵抗器が要求されている。
【0005】
一般に、セルフアライメント効果は多連チップ抵抗器の端子電極の幅と、それを実装する実装基板のランドの幅の重なりが大きいほど表面張力が働き、大きくなることが知られている。
【0006】
本発明は、上記要求を満足させることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、複数個の端面電極間に、絶縁基板の端部から中央 部に向かって矩形状の凹部を形成するとともに、この凹部の頂部は丸みを備え、さらに前記絶縁基板の長手方向に対して前記端面電極の上面側の幅は等ピッチでかつ裏面側の幅は最外部が中央部に対して1.4倍〜1.6倍となるように構成したものである。
【0008】
また、多連チップ抵抗器の絶縁基板の長手方向に対して端面電極の裏面側の最外部の端面電極の幅と同じかまたは大きいランド幅を有するように多連チップ抵抗器を実装する実装基板を構成したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、矩形状の絶縁基板と、この絶縁基板の上面に設けられた複数個の抵抗体と、この複数個の抵抗体のそれぞれから導出されかつ電気的に接続するように前記絶縁基板の上面から裏面にかけて設けられた複数個の端面電極とを備えた多連チップ抵抗器において、前記複数個の端面電極間に、前記絶縁基板の端部から中央部に向かって矩形状の凹部を形成するとともに、この凹部の頂部は丸みを備え、さらに前記絶縁基板の長手方向に対して前記端面電極の上面側の幅は等ピッチでかつ裏面側の幅は最外部が中央部に対して1.4倍〜1.6倍となるようにしたものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明に、絶縁基板の上面の対向する凹部の頂部と等しいかまたは前記凹部の頂部より端面側に広げた保護膜を備えたものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、少なくとも絶縁基板の長手方向に対して上面側の幅は等ピッチでかつ裏面側の幅は最外部が中央部に対して1.4倍〜1.6倍の端面電極を有する多連チップ抵抗器における端面電極の裏面側の最外部の端面電極の幅と同じかまたは大きいランド幅を有する多連チップ抵抗器を実装する実装基板である。
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施の形態における多連チップ抵抗器の切り欠き上面図、図2は同裏面図、図3は同断面図である。図において、11は96%アルミナまたはガラスセラミック等のいずれかからなる矩形状の絶縁基板である。12は絶縁基板11の長手方向に絶縁基板11の端部から中央部に向かって設けられた矩形状の凹部で、この凹部12の頂部12aは丸みを備えている。13a〜13d、14a〜14d、15a〜15dは4個の上面側端面電極、端面側端面電極および裏面側端面電極で、絶縁基板11の長手方向の凹部12を有しない領域の絶縁基板11の上面から裏面にかけて設けられ、上面側および裏面側は金、銀、銅、銀パラジウム等のいずれかを主成分とし、端面側はニッケル系の導電性樹脂材料または銀、銀パラジウム等のいずれかを主成分とするものからなり、上面側端面電極13a〜13dはそれぞれ絶縁基板11の長手方向の幅が等ピッチで、裏面側端面電極15a〜15dは最外部の裏面側端面電極15a,15dが中央部の裏面側端面電極15b,15cより1.3〜1.6倍の幅を有するものである。16は絶縁基板11の長手方向の対向する上面側端面電極13a〜13dを跨ぎかつ電気的に接続するように設けられた酸化ルテニウム等からなる抵抗体である。17は少なくとも抵抗体16を覆うように設けられたガラス等からなるプリコートガラス層である。18は絶縁基板11の上面に対向する凹部12の頂部12aと等しいかもしくは凹部12の頂部12aより絶縁基板11の端面側に広げたエポキシ系の樹脂またはガラス等を主成分とする保護膜である。
【0014】
以上のように構成された本発明の一実施の形態における多連チップ抵抗器の製造方法について、以下に図面を参照しながら説明する。
【0015】
図4、図5、図6は本発明の一実施の形態における多連チップ抵抗器の工程図である。
【0016】
まず、図4(a)に示すように、長手方向に凹部21を有しかつこの凹部21の頂部21aに丸みを有する96%アルミナからなる絶縁基板22の裏面に、銀を主成分とするペーストをスクリーン印刷した後、約850℃で焼成して裏面側端面電極23a〜23dを形成する。この際、最外部の裏面側端面電極23a,23dは、中央部の裏面側端面電極23b,23cより絶縁基板22の長手方向の幅が1.4倍〜1.6倍の幅を有するように形成されている。
【0017】
次に、図4(b)に示すように、絶縁基板22の上面に、銀を主成分とするペーストをスクリーン印刷した後、約850℃で焼成して上面側端面電極24a〜24dを形成する。この際、上面側端面電極24a〜24dは、絶縁基板22の長手方向に対して等ピッチの幅を有するように形成されている。
【0018】
次に、図4(c)に示すように、絶縁基板22の上面の対向する上面側端面電極24a〜24dを跨ぐように酸化ルテニウムからなるペーストをスクリーン印刷した後、約850℃で焼成して4個の抵抗体25を形成する。
【0019】
次に、図5(a)に示すように、少なくとも4個の抵抗体25を覆うようにガラスペーストをスクリーン印刷した後、約600℃で焼成してプリコートガラス層26を形成する。
【0020】
次に、図5(b)に示すように、所望の抵抗値を得るためレーザーにより溝切り27して抵抗値修正を行う。
【0021】
次に、図5(c)に示すように、絶縁基板22の上面に対向する凹部21の頂部21aと等しいかもしくは凹部21の頂部21aより端面側に広げて、エポキシ系の絶縁性樹脂を主成分とするペーストをスクリーン印刷した後、約200℃で硬化して保護膜28を形成する。
【0022】
次に、図6(a)に示すように、絶縁基板22の長手方向で一次基板分割をする。
【0023】
次に、図6(b)に示すように、絶縁基板22の端面側に上面側端面電極24a〜24dおよび裏面側端面電極23a〜23dと電気的に接続するように、ニッケル系の導電性樹脂を主成分とするペーストをローラーで塗布した後、約200℃で硬化して端面側端面電極29a〜29dを形成する。
【0024】
次に、図6(c)に示すように、絶縁基板22の凹部21を形成していない対向する面で二次基板分割をする。
【0025】
最後に、図6(d)に示すように、上面側端面電極24a〜24d、端面側端面電極29a〜29dおよび裏面側端面電極23a〜23dを覆うようにニッケルめっきを施し、その後ニッケルめっき(図示せず)を覆うようにはんだめっき30を施して、多連チップ抵抗器を製造するものである。
【0026】
なお、本発明は、本発明の一実施の形態における製造方法のみに限定されるものではない。
【0027】
また、本発明の一実施の形態において、最外部の裏面側端面電極15a,15dの幅を中央部の裏面側端面電極15b,15cの幅の1.4倍〜1.6倍とした理由は以下の通りである。従来の多連チップ抵抗器は、凹部の形状が真円状であるとともに、4隅部分にも凹部を形成していたために、最外部の裏面側端面電極を中央部の裏面側端面電極の1.3倍以上で形成すると、当然のことながら凹部間が狭くなり、そこで分断が多発していた。しかしながら、本発明の一実施の形態における多連チップ抵抗器は、凹部12を矩形状とし、かつ4隅部分には凹部を形成していないため、凹部12間を広くとれ、最外部の裏面側端面電極15a,15dを中央部の裏面側端面電極15b,15cの1.3倍以上である1.4倍以上の幅で形成しても、凹部12間での分断の発生率を増加させることなく、従来よりセルフアライメント効果を大きくすることが可能となる。なお、1.6倍以上にすることは絶縁基板11の作製上、物理的に不可能である。
【0028】
以下に本発明の一実施の形態で説明した多連チップ抵抗器を作製し、従来の形態の多連チップ抵抗器とセルフアライメント効果を測定した結果を(表1)に示す。測定方法として、最外部の裏面側端面電極15a,15dの幅が中央部の裏面側端面電極15b,15cの幅の1.1〜1.6倍である多連チップ抵抗器を試作し、それをそれぞれ実装基板の正規の位置から0.05mm、0.10mmおよび0.15mmずらして実装を行った。
【0029】
【表1】
【0030】
(表1)より、本発明は大きなセルフアライメント効果を有し、高い実装性を誇ることがわかる。
【0031】
以上のように構成、かつ製造された本発明の一実施の形態における多連チップ抵抗器について、以下にその使用例を説明する。
【0032】
図7は本発明の一実施の形態における多連チップ抵抗器の使用例を示す図である。図において、41は上述した多連チップ抵抗器42を実装するための実装基板である。この実装基板41は、多連チップ抵抗器42の裏面側端面電極(図示せず)に対応したランド43に接続されるもので、この場合、少なくとも最外部の裏面側端面電極は、この裏面側端面電極の幅より大きい幅のランド44に実装されるものである。
【0033】
このように、少なくとも裏面側端面電極の幅より大きい幅のランド44を設けることにより、実装ズレが生じた場合のセルフアライメント効果の点で有利である。
【0034】
なお、ランド44は多連チップ抵抗器42の裏面側端面電極の幅より大きくしたが、同じでもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、次のような優れた効果が得られる。
【0036】
(1)多連チップ抵抗器における複数個の端面電極間に、絶縁基板の端部から中央部に向かって矩形状の凹部を形成しているため、凹部間を広くとることができ、その結果、従来のように凹部の形状を真円状にしたもののように、最外部の裏面側端面電極を中央部の裏面側端面電極の1.3倍以上で形成した場合、凹部間が狭くなってそこで分断が多発するということもなくなるため、絶縁基板の長手方向に対して前記端面電極は裏面側の幅を最外部が中央部に対して1.4倍〜1.6倍とすることが可能となり、これにより、この多連チップ抵抗器を実装する実装基板として、多連チップ抵抗器における端面電極の裏面側の最外部の端面電極の幅と同じかまたは大きいランド幅を有する実装基板を用いれば、裏面側端面電極の幅と、それを実装する実装基板のランドの幅の重なりは大きなものが得られて表面張力が強く働くため、実装ズレが生じた場合のセルフアライメント効果は大きくなる。さらに前記凹部の頂部は丸みを備えているため、凹部形成時のストレスによるクラックを防止でき、製品強度が向上する。
【0037】
(2)多連チップ抵抗器の絶縁基板の上面に対向する凹部の頂部と等しいかまたは凹部の頂部より端面側に広げた保護膜を備えることにより、端子間のマイグレーションを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における多連チップ抵抗器の切り欠き上面図
【図2】同裏面図
【図3】同断面図
【図4】同工程図
【図5】同工程図
【図6】同工程図
【図7】同使用例を示す図
【図8】従来の多連チップ抵抗器の上面図
【符号の説明】
11 絶縁基板
12 凹部
12a 頂部
13a〜13d 上面側端面電極
14a〜14d 端面側端面電極
15a〜15d 裏面側端面電極
16 抵抗体
17 プリコートガラス層
18 保護膜
Claims (3)
- 矩形状の絶縁基板と、この絶縁基板の上面に設けられた複数個の抵抗体と、この複数個の抵抗体のそれぞれから導出されかつ電気的に接続するように前記絶縁基板の上面から裏面にかけて設けられた複数個の端面電極とを備えた多連チップ抵抗器において、前記複数個の端面電極間に、前記絶縁基板の端部から中央部に向かって矩形状の凹部を形成するとともに、この凹部の頂部は丸みを備え、さらに前記絶縁基板の長手方向に対して前記端面電極の上面側の幅は等ピッチでかつ裏面側の幅は最外部が中央部に対して1.4倍〜1.6倍となるようにした多連チップ抵抗器。
- 絶縁基板の上面の対向する凹部の頂部と等しいかまたは前記凹部の頂部より端面側に広げた保護膜を備えた請求項1記載の多連チップ抵抗器。
- 少なくとも絶縁基板の長手方向に対して上面側の幅は等ピッチでかつ裏面側の幅は最外部が中央部に対して1.4倍〜1.6倍の端面電極を有する多連チップ抵抗器における端面電極の裏面側の最外部の端面電極の幅と同じかまたは大きいランド幅を有する多連チップ抵抗器を実装する実装基板。
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