JP3766291B2 - 超音波ミリング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波ミリング装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
金型加工などの分野において、高速ミリング加工法が利用されつつある。この方法は、熱処理された材料を小径のボールエンドミルなどのフライス工具を20000rpm以上の回転数で高速回転させて加工する方法であり、概して1本の工具を用いて粗加工から仕上げ加工まで行なうことを特徴としており、従来の放電加工等による加工法に比べて加工能率及び加工精度の向上を図ることができるとされている。
【0003】
しかしながら、この高速ミリング加工法は1本の工具を用いて高速切削するために工具にかる負担が大きく、工具寿命が短いことが大きな問題となっていた。
この対策として、硬質膜をコーティングした超硬工具、たとえば、TiAlNコーティング工具、さらにはcBN焼結体工具の開発が進められている。後者は硬くて耐熱性に優れているため前者よりも工具寿命を長くすることができるが、刃先成形性が悪いため、工具として良好な形状に成形できない欠点があった。
【0004】
したがって、工具としては、最も硬くかつ刃先成形性もよい焼結ダイヤモンド、単結晶ダイヤモンド、気相ダイヤモンドなどのダイヤモンド工具を用いることが効果的である。しかしながら、ダイヤモンド工具により鉄系材料の切削を行なうと、工具と工作物が化学反応して化学的摩耗が激しいため、工具寿命が極端に短く、実用に耐えないという新たな問題が生ずる。
【0005】
かかる問題点を解決するため、本発明者らは、ダイヤモンド工具を用い、主軸の軸方向、円周方向あるいは曲げ方向(軸方向と直角方向)に超音波振動を付加しながら回転数20000rpm以上で高速ミリングすると、前記化学反応が防止されて工具寿命が向上することを知見した。しかしながら、従来の超音波スピンドル装置は、主軸の軸方向あるいは円周方向で超音波振動しながら20000rpm以上で回転する加工条件に耐えられる構造となっていなかったため、研削用あるいはドリル孔明け用としては使用可能であっても、高速超音波振動ミリングには適用が困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
詳述すると、従来の超音波スピンドル装置は、ホーン部分のみが支持されているだけであるため支持作用が脆弱となり、高速ミリング加工時の高速回転および横方向の負荷に耐えられないという問題があった。また、超音波主軸を駆動するための振動子が軸方向後端部にねじ止めされている構造となっているため、主軸の回転バランスが悪く、高速ミリング加工の高速回転時に超音波振動子が連れ回りして有害な振動が発生したり、スリーブ主軸の内壁との衝突で破壊を招くといった問題があった。
【0007】
この対策として、本発明者らは、特願2001−13738号において、圧電素子の軸方向前後にホーンを一体にした超音波主軸をスリーブ主軸内に配し、前側ホーンと後側ホーンをそれぞれ振動節部位でスリーブ主軸に支持させ、かつ圧電素子が前記前側ホーンと後側ホーンの2か所の支持点間の略振動節部位にあることを特徴とする超音波ミリング装置を提案し、これにより高速回転、振動および横負荷に耐えて、焼入れなどの熱処理された材料等を高い加工能率と加工精度で加工することを可能とした。
【0008】
しかし、この提案においては、超音波主軸の外側にスリーブを配し、それら超音波主軸とスリーブを超音波主軸の振動節部において圧締めなどの形式で連結して主軸とし、それら超音波主軸とスリーブ主軸の一体化主軸を、スピンドルハウジングに回転可能に支持させていた。しかしこの先行技術は主軸が2重構造となっているため、超音波ミリング主軸の直径がどうしても大きくなり、小型工作機械用の小径のスピンドルに適用することができなくなるという問題が解決困難であった。
【0009】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、構造が簡単かつ小型で、小型工作機械用の小径のスピンドルに適用することができ、しかも高速化、高精度化、高剛性化を得ることができる超音波ミリング装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記に加え、工具を高速ミリング加工時の高速回転および横方向の負荷に安定して耐えられ、超音波振動を効率よく伝達できる超音波ミリング装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、主軸が超音波振動しながら回転する形式の超音波ミリング装置であって、圧電素子が振動節部位にあるように圧電素子を中間に位置させその前後軸方向に前側ホーンと後側ホーンを一体に結合した超音波主軸を用い、該超音波主軸を直接スピンドルハウジング内に配し、前記前側ホーンと後側ホーンの前記圧電素子中央部からほぼ等しい距離にある振動節部位をそれぞれベアリングにより前記ハウジングに直接支持させたことを特徴としている。
【0011】
超音波主軸がベアリングの内輪を兼ねていてもよいし、別体のベアリングの内輪を超音波主軸の外周に、外輪をハウジング内壁にそれぞれ圧入してもよい。
ハウジングは超音波主軸の駆動装置を有していることも好都合である。
【0012】
前記第2の目的を達成するため本発明は、前側ホーンの前端部に奥部に雌ねじ穴を有するテーパコーン穴を設け、該テーパコーン穴に対応するテーパ部を有するチャックをねじ込み固定し、このチャックに工具を焼き嵌めしたことを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。
図1ないし図4は本発明による超音波ミリング装置の第1実施例を示しており、1はスピンドルハウジング、2はスピンドルハウジング1内に配置された超音波主軸、3,3’は超音波主軸2をスピンドルハウジング1に支持させたベアリング、4は超音波主軸2に連結されたチャック、5はチャック4に装着された工具、6は超音波主軸2を高速回転する駆動装置、7は超音波発振装置である。Wは工作物である。
【0014】
超音波主軸2はホーンと圧電素子の一体型構造となっており、図3に分解状態を示すように、圧電素子2aと、該圧電素子2aの後端側に重合される裏打ち部材を兼ねた後側ホーン2bと、圧電素子2aの前端側に重合される前面部材を兼ねた前側ホーン2cとからなっている。
【0015】
前記後側ホーン2bは、振動節S1に対応する外周部分に環状溝23を有し、後端面から軸心上には回転力の伝達部としての歯付き孔21が設けられており、後端側には前側ホーン2cとの連結のためのボルト22が設けられている。
圧電素子2aはたとえば圧電セラミックスと電極板とを交互にサンドイッチ構造とした複数枚(図面では2枚)ものからなっており、中心には前記ボルト22の貫通を許容する通孔が形成されている。圧電素子2aは厚さ方向の中央がほぼ振動節S2に対応するように設定されている。
後述する各実施例を含めて、本発明における超音波振動は、図1(b)のように、軸方向F1、ねじり方向F2および曲げ方向F3のいずれの態様をも含んでおり、これは圧電セラミックスの組成(材質)の選定により容易に実現しうる。
【0016】
前側ホーン2cは中間部より先が径大となっており、振動節S3に対応する外周部分に環状溝20を有しており、後端面から軸心上には前記ボルト22と螺合する雌ねじ穴24が設けられている。また、先端面中央部にはテーパーコーン穴26が形成されるとともに、このテーパーコーン穴26の奥端から雌ねじ穴が形成されている。
前側ホーン2cの環状溝20と後側ホーン2bの環状溝23は、圧電素子2aの中央部からほぼ等しい距離に設けられている。
【0017】
ベアリング3,3’は、通常、転がり軸受が用いられ、この例では外輪3aと転動体3bとリテーナ3cとを有し、転動体3bは前側ホーン2cの環状溝20と後側ホーン2bの環状溝23にそれぞれはめられている。したがって、内輪は省略されている。この例では転動体3bとしてボールが使用されているが、ローラであってもよい。
【0018】
前記ベアリング3と3’はそれぞれ前側ホーン2cと後側ホーン2bの振動節S1,S3に対応するように設けられている環状溝20,23の外周に取り付けられ、その状態で後側ホーン2bと圧電素子2aおよび前側ホーン2cは直列状に重ね合わされ、後側ホーン2bのボルト22の基部が圧電素子2aの通孔を貫通し、ねじ部が前側ホーン2cの雌ねじ穴24に螺合されることにより締付け一体化され、超音波主軸アッセンブリーを構成している。
【0019】
チャック4は、図4のように前記テーパーコーン穴26に対応するテーパコーン部40の頂部に雌ねじ穴と螺合する雄ねじ軸41を有しており、テーパコーン部40の基部には回動操作用の多角形部42を介して工具取り付け部43が連成されている。工具取り付け部43には下端面から軸心上に圧入用穴430が設けられており、この圧入用穴430に工具5のシャンク部50が焼き嵌めされている。
工具5はエンドミルなどが用いられるが、材質としては、焼結ダイヤモンド、単結晶ダイヤモンド、気相合成ダイヤモンドなどのダイヤモンド工具が本発明の効果を最もよく発揮できるため好適である。もちろん超硬工具、コーテッド工具などであってもよい。
【0020】
スピンドルハウジング1は前記超音波主軸2を内挿保持するために内部が筒状をなし、後端側には拡大した内径の駆動装置格納部10が設けられ、この駆動装置格納部10の底から筒室11が形成されている。筒室11の振動節S1付近には前記ベアリング3の位置決め肩12が形成されている。
筒室11は前記振動節S3に略対応する部位に段付き拡大部13が形成されており、下端開口部内周には雌ねじ部が所要範囲にわたって設けられている。
【0021】
前記超音波主軸アッセンブリーはスピンドルハウジング1の筒室11に挿入され、後側ホーン2bに取り付けたベアリング3’の外輪3aが筒室11の内壁に圧入され、位置決め肩12に当接することにより位置決め固定される。また、前側ホーン2cに取り付けられているベアリング3は、外輪3aが段付き拡大部13の段面に当接することで位置決めされ、開口側の雌ねじ部に固定用リング8が螺合されることにより該固定用リング8の上端80が外輪3aに当接することで位置決め保持される。
これにより、超音波主軸2は、スピンドルハウジング1に対し図1のように前端領域と後端領域の2か所のしかも略振動節S1,S3の位置でベアリング3,3’により回転可能かつ軸方向に動かないように保持される。この状態では、圧電素子2aは前記支持点である振動節S1,S3の間の略振動節S2に位置している。
【0022】
高速回転用の駆動装置6は任意であるが、たとえば40000〜150000rpmの回転数を出力可能な高周波モータやACサーボモータなどが使用され、前記駆動装置格納部10に納められ、駆動装置格納部10に取り付けた蓋体10aによって保持される。駆動装置6は出力軸先端の歯車部60が超音波主軸2の歯付き孔21に係合することにより出力を伝達するようになっている。
前記圧電素子2aに対する超音波発振装置7からの給電系はスピンドルハウジング1の任意の箇所から導入されて圧電素子2aに接続されればよい。この例では超音波主軸2の外周表面にスリップリング70を設け、スリップリング70と接続した導線をボルト22に達する導孔25に導き、導孔から径方向に取り出して圧電素子2aに接続する一方、超音波発振装置7からの導線と接続したブラシ71をスピンドルハウジング1の壁を貫いて筒室11に延出させ、前記スリップリング70と接触させている。
その他図面において、15はスピンドルハウジング1の壁を貫通して取り付けた冷却用流体の噴出部である。
【0023】
図5は本発明による超音波ミリング装置の第2実施例を示している。
この実施例においては、ベアリング3,3’が外輪3aと転動体3bとリテーナ(図示せず)および内輪3dとを備え、スピンドルハウジング1とは別体のものとなっている。
これらベアリング3,3’は前側ホーン2cと後側ホーン2bの振動節S1,S3に対応する部位にそれぞれ内輪3dが圧入されることにより固定される。そして、このようにベアリング3,3’を取り付けた超音波主軸2をスピンドルハウジング1の筒室11に挿入し、ベアリング3の外輪3aを筒室11の内壁面に圧入することによりスピンドルハウジング1に保持固定させている。
【0024】
この例では、ベアリング3とベアリング3’の外輪3a,3aとの間に間隔保持のためのスリーブ31を配しているが、これは必ずしも必要ではない。
他の構成は第1実施例と同様であるから、同じ部分および部品に同じ符号を付し、説明は省略する。
なお、この実施例では、給電系として、スピンドルハウジング1の壁を貫通してブラシ71を取り付け、圧電素子2aの電極板と接触させているが、第1実施例と同じ構造を採用してもよい。逆に、第1実施例の給電系を第2実施例に示すものに代えてもよい。
【0025】
図6は本発明の第3実施例を示している。この実施例は超音波主軸2の圧電素子2aと前側ホーン2cおよび後側ホーン2bをボルト2dで結合して一体化した例を示している。
後側ホーン2bには、後端から所要深さの袋孔100が形成されており、この袋孔100の底部から軸方向に通孔101が設けられている。
後側ホーン2bと圧電素子2aおよび前側ホーン2cは直列状に配され、袋孔100を通してボルト2dを挿通し、ねじ部を前側ホーン2cの雌ねじ穴24に螺合することにより締結されている。
ベアリング3,3’の態様と取り付け形式は前記第1実施例または第2実施例のいずれでもよいが、この実施例では前側ホーン2cおよび後側ホーン2bの振動節S1,S3に相当する部位に突台リング状の内輪部30,30を一体形成している。
他の構成は第1実施例と同様であるから、同じ部分および部品に同じ符号を付し、説明は省略する。
【0026】
なお、図示するものは本発明の数例であり、他に種々の構成を採用しうるものである。
1)第1実施例と第2実施例の超音波主軸2を第3実施例のようにボルトによる結合形式としてもよい。
2)チャック5への工具の取り付けは、好適には焼きはめであるが、コレット式でもダイヤフラム式であってもよい。
3)本発明は駆動装置を有する専用の高速ミリング装置としてもよいが、これに限らず、駆動装置が外部にある形式としてもよい。
【0027】
4)被削材としての工作物Wの材質は任意であり、炭素鋼、プレハードン鋼、ステンレス鋼、金型用焼入れ鋼などのほか、アルミニウムなどの非鉄金属も含まれる。
5)本発明は高速ミリングに好適であるが、もちろん低速の通常のミリングでも効果を発揮することができる。また、ミリングだけでなく、研削やドリル加工にも適用可能である。
【0028】
【実施例の作用】
駆動装置6の出力軸の歯車部60が超音波主軸2の歯付き孔21と係合しているため、駆動装置6を駆動すれば、ベアリング3,3’によりスピンドルハウジング1に支持されている超音波主軸2は20000rpm以上の高速で回転させられ、併行して超音波発振装置7からの電流の印加により、圧電素子2aは軸方向、ねじれ方向もしくは曲げ方向に振動させられ、工具5により工作物Wがミーリング加工される。この超音波振動により工具5の材質がダイヤモンド、工作物の材質が鉄系材料である場合にも化学反応による化学的摩耗が回避される。
【0029】
第1実施例ないし第3実施例のいずれにおいても、超音波主軸2の前側ホーン2cと後側ホーン2bの振動節に相当する部分(2か所)がスピンドルハウジング1に固定されているベアリング3,3’により、回転が許容されつつ軸方向および半径方向には動かされないようにしっかりと支持される。
このため、前記のような高速回転と振動とが作用しても、超音波主軸2は高速回転と横方向の負荷に耐えることができ、円滑に安定して長距離の高速ミーリング加工を行なうことができる。
また、冷却用流体の噴出部15をスピンドルハウジング1に取り付けておいた場合には、たとえばミストエアを噴出することにより、加工熱を除去することができるので、超音波主軸2の発熱による伸長や曲りを抑制することができる。
【0030】
また、本発明は超音波主軸2が前側ホーン2cと後側ホーン2bを圧電素子2aを挟んで直結した一体型とし、前側ホーン2cと後側ホーン2bの振動節部分を支持固定し、圧電素子2aを支持固定部の中間に配置しているため、超音波主軸2の回転バランスがよくなり、従来のような振動子が回転に伴って連れ回りして振動を発生したりスピンドルハウジングと衝突して破壊するといった現象が起こらなくなる。
【0031】
しかも本発明は、スリーブ主軸が存在せず、超音波主軸2が直接ベアリング3,3’によりスピンドルハウジング1に支持されているため、スピンドルそのものの直径を小さくすることができ、これにより小型工作機械の小型スピンドルに対応することができる。また、スピンドルハウジング1に駆動装置6をビルトインしているため、外部に駆動源を要さず、工作機械にマウントするだけで高速超音波ミーリング加工を行なうことができる。
【0032】
また、主軸が超音波主軸とスリーブ主軸の2重構造となっておらず、超音波主軸のみの単一主軸構造となっているため、機構が簡単で部材数が少なくなり、かつ組立て誤差が減る。このため振れまわりなどの精度が向上し、より高速化、および高精度化、高剛性化を図ることができる。
加えて、振動節S1,S3に配置されているベアリング3,3’に超音波振動がわずかに作用することによりベアリングの潤滑性が向上するため、よりスムーズな回転性能が得られるとともに、寿命の向上を図ることができる。
【0033】
チャック5に対する工具5の取り付けを焼き嵌めとし、チャック5をテーパコーン式に超音波主軸2の前側ホーン2cに挿着させるようにした場合には、工具支持剛性が高く、動バランス特性もよく、超音波振動を効率よく工具5に伝達することができる。
【0034】
次に本発明を適用した加工例を示す。
装置として図1に示す構造のものを使用した。超音波圧電素子はピエゾタイプを使用した。工具として焼結ダイヤモンドコーテッドエンドミル(R1.5,一枚刃)を使用し、プレハードン鋼HRC40を加工形状:波形に高速超音波ミリング加工した。工具回転数は20000rpm、超音波振動数は60.1KHz、送りは0.05mm/刃、切込みは軸方向0.2mm、送りピッチ0.1mm、切削油は不水溶性を使用した。比較のため、超音波振動を付加しない以外は同条件にて加工を行なった。
【0035】
この結果、比較例の場合は、ダイモンド工具刃先が急速に摩耗し、切削距離18m時には切削不能となってしまった。これに対して本発明の場合には、30m切削時点でも工具の摩耗は生じていなかった。この摩耗状況を検討したところ、初期摩耗が17μm発生したものの、その後はほぼ摩耗ゼロの状態で推移していた。負荷に対する効果を見るため切削距離250mまでの連続切削を行なったところ、摩耗ゼロの状態で推移していた。
また、負荷に対する耐久性を見るため、切削距離10500mまでの連続切削を行なったが、超音波主軸およびスピンドルハウジングはなんらの損傷もなく、安定した耐久性のあることが確認された。
【0036】
また、比較のため、工具に近いホーン部分のフランジのみを支持する従来装置を使用して前記条件で高速ミリングを行なった結果、切削距離1050mで超音波振動子に亀裂が入って異常音が発生し、使用不能となった。この結果から、前側ホーンと超音波圧電素子と後側ホーンとを一体化した構造とし、前側ホーンと後側ホーンの双方を振動節位置で支持固定することが効果的であることがわかる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明した本発明の請求項1によるときには、主軸が超音波振動しながら回転する形式の超音波ミリング装置であって、圧電素子2aが振動節部位にあるように圧電素子2aを中間に位置させその前後軸方向に前側ホーン2cと後側ホーン2bを一体に結合した超音波主軸2を用い、該超音波主軸2を直接スピンドルハウジング1内に配し、前記前側ホーン2cと後側ホーン2bの前記圧電素子中央部からほぼ等しい距離にある振動節部位S3,S1をそれぞれベアリング3,3´により前記スピンドルハウジング1に直接支持させたので、超音波振動を阻害することなく超音波主軸2をミリングスピンドルに固定することができ、高速回転と超音波振動が重畳された厳しい使用条件においても負荷に十分に耐えられ、安定した高速ミリング加工を行うことができる。
【0038】
しかもスピンドルハウジング1に直接超音波主軸2を回転自在に支持させ、スリーブ主軸が無いため、直径を小さくすることができ、小型工作機械の小型スピンドルに対応することができる。さらにスリーブ主軸を使用しない超音波主軸のみの単一構造となるので、機構や構造が簡単になるとともに組立て誤差が減り、これにより振れまわり等の精度を向上することができ、さらなる高速化、高精度化、高剛性化を低コストで実現することができる。また、ベアリング3,3´に超音波振動がわずかに作用するため潤滑性が向上し、よりスムーズな回転性能と寿命向上を図ることができるなどのすぐれた効果が得られる。
【0039】
請求項2によれば、請求項1の効果に加え、超音波主軸がベアリングの内輪を兼ねているので、構造を簡易化することができるとともに、支持剛性を高くすることができるというすぐれた効果が得られる。
請求項3によれば、請求項1の効果に加え、スピンドルハウジング1が超音波主軸2の駆動装置6をも有した超音波高速ミリングユニットとなっているので、特別な駆動源や伝達機構を要さず、工作機械にマウントするだけで高速ミリング加工を行うことができるというすぐれた効果が得られる。
【0040】
請求項4によれば、前側ホーン2cの前端部に奥部に雌ねじ穴261を有するテーパコーン穴26を設け、該テーパコーン穴26に対応するテーパ部40を有するチャック4をねじ込み固定し、このチャック4に工具5を焼き嵌めしているので、工具支持剛性が高く、動バランス性もよいので、超音波振動を効率よく加工物に伝えることができるとともに高速ミリング加工時の高速回転及び振動や負荷に耐えることができるというすぐれた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明による超音波ミリング装置の第1実施例を示す縦断面図、(b)は振動方向の例を示す説明図である。
【図2】図1のX−X線に沿う断面図である。
【図3】第1実施例における超音波主軸を分解状態で示す部分切欠正面図である。
【図4】チャツク機構の部分切欠正面図である。
【図5】本発明装置の第2実施例を示す一部切欠断面図である。
【図6】本発明装置の第3実施例を示す一部切欠断面図である。
【符号の説明】
1 スピンドルハウジング
2 超音波主軸
2a 圧電素子
2b 後側ホーン
2c 前側ホーン
3,3’ ベアリング
4 チャック
5 工具
8 固定リング

Claims (4)

  1. 主軸が超音波振動しながら回転する形式の超音波ミリング装置であって、圧電素子2aが振動節部位にあるように圧電素子2aを中間に位置させその前後軸方向に前側ホーン2cと後側ホーン2bを一体に結合した超音波主軸2を用い、該超音波主軸2を直接スピンドルハウジング1内に配し、前記前側ホーン2cと後側ホーン2bの前記圧電素子中央部からほぼ等しい距離にある振動節部位S3,S1をそれぞれベアリング3,3’により前記スピンドルハウジング1に直接支持させたことを特徴とする超音波ミリング装置。
  2. 超音波主軸2がベアリング3,3’の内輪を兼ねているものを含む請求項1に記載の超音波ミリング装置。
  3. スピンドルハウジング1が超音波主軸2の駆動装置6を有している請求項1または2に記載の超音波ミリング装置。
  4. 前側ホーン2cの前端部に奥部に雌ねじ穴261を有するテーパコーン穴26を設け、該テーパコーン穴26に対応するテーパ部40を有するチャック4をねじ込み固定し、このチャック4に工具5を焼き嵌めしている請求項1ないし3のいずれかに記載の超音波ミリング装置。
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