JP3764694B2 - フィルム包装機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、新聞などのシート状あるいはシート束状の被包装物を、プラスチックス製のフィルムで包装する包装機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の包装機は、たとえば新聞販売店において雨の日に配達する新聞を、ポリエチレンシートなどのプラスチックフィルムで包装し、雨による濡れを防止するのに使用され、この新聞包装用のフィルム包装機としては、たとえば特開平8ー143010号公報や特開2001ー171607号公報に開示されたものがある。
【0003】
上記の包装機においては、図23に示すように先端部kを互いに溶着されたフィルムF,F間に被包装物Pを挿入し、この挿入品を搬送装置により所定位置まで搬送後、フィルムの左右両側部を溶着線mで示すように溶着するとともに、フィルムの後端部を溶着線nで示すように溶着後、フィルムと共に被包装物Pを矢印で示す前方へ移動させて溶着線n部にて切断し、包装品として前方へ搬送するものである。
【0004】
そして上記のフィルムの左右両側部の溶着は、特開2001ー171607号公報の図3に示されているように、フィルムで挟んだ被包装物の搬送面(搬送路PTH)に上面が位置する刃受け台に対して、板状の接着ヒータ(溶着用ナイフ)を押付けておこなうものであり、これを搬送方向に直角な断面図であらわすと図24のようになる。すなわち、フィルムF,Fで挟んだ被包装物Pを支持しつつ搬送する搬送装置(図示しない)の搬送面Uと同じ高さ位置に、クッション材aの上面を位置させて固設し、このクッション材a上のフィルムF,Fに対して板状の昇温した接着ヒータbを押付けて溶着するものである。
【0005】
ところが上記方法により新聞の増頁版など、厚い被包装物Pを包装する場合は、この厚さによって図24に示すように上側のフィルムFの端縁部が内側へ大きく引込まれてしまうため、接着ヒータbによる溶着が不完全となるという問題点があり、またこれを避けるためには、上側のフィルムFとして下側のフィルムFより巾広のフィルムを使用せねばならず、フィルムロールの掛け替えや多種類のフィルムロールの準備など、その対応については煩雑で手数のかかるものであった。
【0006】
また上記のフィルムロールは、特開平8ー143010号公報に示されているように、2本の支持ローラ上に載せて支持し、搬送装置による被包装物の搬送時にフィルムの巻戻しにより回転駆動されているフィルムロールの制動は、支持ローラを制動することによりおこなっているので、フィルムの材質や使用によるフィルムロールの直径の変化などにより、フィルムロールの巻戻し抵抗が大きく変動して過大な張力が働いてフィルムが破れたり、被包装物の搬送装置部までの挿入が困難となったり、またフィルムロールの外周部に支持ローラにより摩擦制動をかけるものであるために、上記フィルムの材質や直径の変化により制動時間が大きく変動し、制動不足によりフィルムが大きくたるんで支持ローラとの間に挟込まれて次回のフィルムの巻戻しができなくなったり、使用により小直径・軽量となったフィルムロールが制動により側方へ飛出し脱落するなど、多くの問題点を有するものであった。
【0007】
さらにフィルムの左右両側部の溶着は、上記両公報(特に特開平8ー143010号公報の図11や特開2001ー171607号公報の図6)に記載されているように1回おこなわれるだけであり、通常の四つ折りの新聞などサイズの一定した被包装物に対しては支障なく包装をおこなえるが、たとえば増頁版の厚手の新聞を二つ折り状態で包装したい場合など、長尺の被包装物の包装はおこなうことができなかった。
【0008】
またフィルム後端部の溶着切断時には、クッション材に押付けられる板状のヒータの近傍部においてフィルムを押えることにより切断後のフィルムがヒータに付着する事故を防止できるが、特開平8ー143010号公報に開示されている押え機構は、フィルムに挟まれた被包装物が搬送機構により溶着位置に搬送されてから下降駆動されるものであるため、被包装物と共に進行するフィルムには一定した張力がかからず、包装品先端側の溶着線部のずれやフィルムのたるみにより、溶着後の包装品の仕上り状態が劣るものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上記従来の問題点を解決しようとするもので、被包装物の長さの変動に対しても、確実円滑にフィルムの包装をおこなうことができるフィルム包装機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明のフィルム包装機は、一対のフィルムロールを回転可能に支持するフィルム供給装置と、前記フィルムロールから巻戻され先端部を互いに溶着されたフィルム間に挿入口から挿入された被包装物を、搬出口に向って搬送する搬送装置と、この搬送装置の入口部と前記挿入口との間に配設され前記被包装物を挟んだフィルムの後端部の溶着と切断をおこなう溶着切断装置と、前記搬送装置の両側に配設されフィルムの左右両側部の溶着をおこなう側部溶着装置と、前記被包装物の移動経路に沿って設けたセンサの出力信号により前記搬送装置の起動停止と前記フィルムの溶着および切断を自動的におこなう制御装置とをそなえたフィルム包装機において、前記センサとして、被包装物が前記挿入口内に挿入されたことを検出する第1センサと、被包装物の後端部が前記溶着切断装置部を通過したことを検出する第2センサと、被包装物の前端部が前記搬送装置の内部に達したことを検出する第3センサとをそなえ、前記制御装置が、前記第1センサによる挿入検出により搬送装置を起動後、前記第3センサによる前端部検出時から所定時限後に前記搬送装置を停止させて前記側部溶着装置によりフィルムの第1回の溶着をおこなったのち、搬送装置の再起動と所定時限後の前記搬送装置の停止と前記側部溶着装置によるフィルムの溶着とを繰返し、前記第2センサにより後端部を検出したら搬送 装置を停止させて前記側部溶着装置によるフィルムの溶着および溶着切断装置によるフィルムの後端部の溶着と切断をおこなう制御パターンを有していることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、側部溶着装置によるフィルムの第1回の溶着をおこなったのち、搬送装置の再起動と所定時限後の搬送装置の停止と側部溶着装置によるフィルムの溶着とを繰返すことにより、フィルムは上記所定時限に相当する搬送距離分だけ側部溶着長さの延長が繰返されるので、長尺の被包装物に対しても必要な長さの側部溶着が施されたフィルム包装品を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下図1〜図19に示す第1例により、この発明の実施の形態を説明する。図1および図2において、フィルム包装機1は、移動用のキャスタ101をそなえた架台100上に、包装機本体2を載置して成り、包装機本体2は、前側上部隅角部を大きく面取りした傾斜面部を有する箱体3内に、後述の各機器をそなえている。箱体3は、左右両側の側壁4A,4Bの外周辺部に、左右側方に延びる側枠部5,5を連設し、この側枠部5には、外側板6が嵌脱自在に取付けられ、この側壁4Aと外側板6の間、および側壁4Bと外側板6の間の各空間部には、図3および図4に示す各機器が収容される。7は側枠部5の傾斜辺部に設けた操作パネルである。また箱体3の前面および背面部には、後述のフィルムロール15の着脱作業用に開口部が設けられ、箱体3の頂部には、上部カバー8が着脱自在に取付けられている。
【0013】
10は上記傾斜面部から一部が突出する形で箱体3に取付けた投入ガイドで、逆ハの字形に配置したガイド板11,12とその両端部を接続する側板により包囲されて、挿入口13が形成されている。この投入ガイド10の背面側および下側位置には、一対のフィルムロール15,15が、その中心軸線のまわりに回転自在に支持されており、その支持構造については後述する。16はこのフィルムロール15から巻戻されるフィルムFが巻掛けられる案内用のガイドバーであり、フィルムFはガイドバー16から投入ガイド10の各ガイド板11,12の背面部を経て、後述の溶着切断装置65に向って供給される。
【0014】
20は投入ガイド10の斜め下方位置に設けた搬送装置で、下部搬送ベルト21と上部搬送ベルト22とにより被搬送物をベルト駆動する形式のものであり、この搬送装置20の左右両側部には、フィルムの左右両側部を溶着する側部溶着装置50(図9参照)が設けられており、また搬送装置20と投入ガイド10との間には、新聞を挟んだフィルムの後端部の溶着と切断をおこなう溶着切断装置65が設けてある。9は搬送装置20の搬出口23に対向して箱体3に取付けた湾曲板状の反転ガイド、102はこの反転ガイド9に続く形で架台100に取付けた送出ガイド、103は架台100に引出自在に取付けたホッパで、前側板104と底板105とをそなえて成る。
【0015】
また図2において、S1は被包装物である新聞Pが挿入口13内に挿入されたことを検出する第1センサ、S2は新聞Pの後端部が(フィルムと共に)溶着切断装置65部を通過したことを検出する第2センサ、S3は新聞の前端部が搬送装置20の内部に達したことを検出する第3センサで、いずれも投光素子と受光素子とから成り新聞による遮光あるいは遮光終了により上記各検出信号を発するものであり、それぞれ投入ガイド10の出口部、溶着切断装置65と搬送装置20の間、および搬送装置20の入口部から所定量前側(進行方向側)の位置において、投光素子からの光線が新聞通路を横切るように位置決めされ、箱体3の左右中間部において後述の送りパネル28等を介して箱体3に固定取付けされている。
【0016】
以下、上記各装置の詳細を説明すると、先ず搬送装置20においては、図5〜図7に示すように、下部搬送ベルト21は、側壁4A,4Bに回転自在に支持した駆動軸24と従動軸25とにそれぞれ固着したプーリ26,27に巻掛けられ、この下部搬送ベルト21の上面部は、図9にも示すように、左右両縁部を側壁4A,4Bに固着取付けした送りパネル28の切欠穴部28aから上方へ少量突出して、水平方向に対して約45度傾斜した搬送面Uを形成している。また上部搬送ベルト22は、フレーム29に回転自在に支持した駆動軸30と従動軸31とにそれぞれ固着したプーリ32,33に、巻掛けられ、このフレーム29は、側壁4A,4Bに回転自在に支持した中間駆動軸34に基部を揺動自在に支持されたアーム35の先端部に、前記駆動軸30を回転自在に貫通させることにより、このアーム35を介して中間駆動軸34に揺動自在に支持されている。そしてこのフレーム29は、圧縮ばね36,36により下部搬送ベルト21に向う方向に付勢されており、このばね力とフレーム29およびその支持物の自重とにより、上部搬送ベルト22は下部搬送ベルト21に向って押付けられ、また両ベルト間を通過する新聞Pの厚さに応じて上方へ押上げられるようになっている。
【0017】
上記の搬送装置20の駆動系として、モータ37の出力軸37aに固着したプーリ38(図3参照)と上記駆動軸24に固着したプーリ39とにタイミングベルト40を巻掛けて、下部搬送ベルト21を駆動するとともに、駆動軸24の他端部に固着したプーリ41(図4参照)に巻掛けたタイミングベルト42により、同一歯数の歯車43A,43Bを噛合わせた反転ユニット43の一方の歯車43Aを回転駆動し、他方の歯車43Bの回転をタイミングベルト44により上記中間駆動軸34の端部に固着したプーリ45に伝達し、この中間駆動軸34と駆動軸30とにそれぞれ固着したプーリ46,47(図5参照)間にタイミングベルト48を巻掛けることにより、下部搬送ベルト21と上部搬送ベルト22は、相互に対向する対向面部において、矢印Xで示す前進方向に同速度で駆動される。
【0018】
次に側部溶着装置50は、図6〜図10に示すように、図示しない発熱体を側面部に貼付けした板状の接着ヒータ51の先端部と、この先端部に対向するシリコンゴムスポンジ体等から成るクッション材52の上面との間に、重合状態のフィルムを挟んで溶着するものであり、ソレノイド53を内蔵して左右の側壁4A,4Bにそれぞれ取付けた角筒状のカバー54の上部に軸55によりレバー56を揺動自在に軸支し、このレバーの先端部に接着ヒータ51を取付け、レバー56の軸55寄りの位置にソレノイド53のプランジャ53aを連結してある。
【0019】
また、左右の側壁4A,4Bに沿って送りパネル28に設けた切欠穴28b内にすきまをもって嵌合する前後方向に延びる揺動板57の基部を、側壁4A,4Bにそれぞれピン58により揺動自在に支持し、この揺動板57の先端部に前記クッション材52を取付けるとともに、側壁4A,4Bに設けた窓部59の下縁部59aにより中間部を支持されるレバー60の基部を前記ソレノイド53のプランジャ53aにピン止めし、このレバー60の先端部により揺動板57の下面を支持して揺動板57の自重を受けるようにしてある。
【0020】
これによって、図9に示すようにソレノイド53のプランジャ53aの突出状態では、接着ヒータ51は上方へ、クッション材52は下方へ、それぞれ回動して両者は離間した位置にあり、かつクッション材52は搬送装置20の搬送面Uより下側の位置にあるので、新聞を挟んだフィルムが搬送装置20内に進入する際に、フィルムの左右側部(特にその前端部)がクッション材52およびそれを支持する揺動板57と干渉するのを避けることができ、フィルムが薄い場合でもしわやたるみのない良好な状態で側部溶着できる。
【0021】
そしてこの側部溶着装置50によるフィルムFの側部溶着時には、図10に示すようにソレノイド53の励磁によりプランジャ53aを引込方向に駆動すれば、揺動板57と接着ヒータ51は接近方向に駆動され、図22にも示すように、搬送装置20の搬送面Uよりも所定高さHだけ上方の位置に上面が位置するクッション材52に対して、接着ヒータ51の先端部が圧接されてフィルムFの溶着がおこなわれる。そこでこの高さHを、新聞Pの最大厚さの約1/2付近の値に設定しておくことにより、図22(a)に示すように新聞Pが厚物の場合でも、また同図(b)に示すように新聞Pが薄物の場合でも、上側のフィルムFの端縁部が内側へ大きく引込まれることはなく、同一巾の2枚のフィルムを用いて確実にフィルム両側部の溶着をおこなうことができるのである。
【0022】
次に溶着切断装置65は、図3,図4,図8および図11に示すように、図示しない発熱体を側面部に貼付けした板状の切断ヒータ66を、左右の側壁4A,4Bにそれぞれ軸67により揺動自在に支持したレバー68の先端部に取付け、このレバー68の中間部を側壁4A,4Bに取付けたソレノイド69のプランジャ69aに連結するとともに、上記中間部を引張ばね70によりプランジャ69a突出方向に付勢し、プランジャ69aの引込駆動時に切断ヒータ66の先端部が押付けられるシリコンゴムスポンジ体等から成るクッション材71を、送りパネル28上に貼付けて成る。
【0023】
72は押え板で、図8および図11に鎖線で示す切断ヒータ66のクッション材71への押付位置よりも後側の近傍位置において、クッション材71の上面部に押圧される押圧片部72aを有し、側壁4A,4Bに軸73により揺動自在に支持した各アーム74の先端部に押え板72の両端部を固着取付けし、このアーム74の中間部に接続した引張ばね75により押え板72を押圧片部72aがクッション材71の上面に押圧される方向に付勢するとともに、側壁4A,4Bに中間部を軸76aにより軸支された各レバー76の一端部を、側壁4A,4Bに取付けたソレノイド77のプランジャ77aにピン連結し、レバー76の他端部内側面に突設したピン78を、押え板72の下面側に係合させ、プランジャ77aの引込駆動により押え板72を、鎖線79で示すように押圧片部72aがクッション材71から離間した開放位置に駆動するように構成してある。
【0024】
この溶着切断装置65においては、新聞の挿入口13内への投入前には、ソレノイド77を消磁状態として、先端部が相互に溶着された2枚のフィルムFを、引張ばね75のばね力によって押え板72の押圧片部72aによりクッション材71に押付けた押付状態としておく。新聞が挿入口13内に挿入されたら、後述のように第1センサS1の検出信号によりソレノイド77を短時間励磁して押え板72を上記開放位置へと駆動し、新聞が搬送装置20に挟み込まれたらソレノイド77を消磁して上記押付状態に復帰させる。これによって、新聞と共に前進する上側のフィルムFは押圧片部72aにより押圧され、下側のフィルムFもこの押圧力によりクッション材71に押付けられるので、包装品前端部の溶着線部のずれやフィルムのたるみのない良好な仕上り状態の包装品が得られる。また溶着切断装置65によるフィルム後端部の溶着および切断時にも、上記押付状態を維持することにより、フィルムFが切断ヒータ66に接触したり切断ヒータ66と共に上方へ引上げられるのを確実に防止できるのである。
【0025】
次に図12〜図15は、フィルム供給装置80を示し、フィルムロール15を収容する収容空間81の一方の側壁4B部に設けた保持具82と、他方の側壁4A部に設けたクランプ具83とにより、フィルムロール15の芯管15aの両端部を保持して、フィルムロール15を回転自在に支持するものである。保持具82は、芯管15aの端部に嵌脱される嵌合部84と、芯管15aの端面部に圧入される複数本の先細ピン状の係止具85をそなえ、側壁4Bに軸受86により回転自在に支持した軸87の一端部に保持具82を固着し、軸87の他端部側には、この軸を制動する電磁ブレーキ88を設けてある。
【0026】
またクランプ具83は、上記係止具85を有しない点を除いて保持具82と同形状を有し、軸受ブロック89に軸受90と逆転防止用のワンウェイニードルベアリング90aとにより回転自在に支持した軸91に、このクランプ具83を矢印Yで示す軸線方向に摺動自在に支持し、圧縮ばね92によりクランプ具83を芯管15aの端部に向かう方向に付勢するとともに、軸受ブロック89を取付けた軸受台93を、側壁4Aに固着した支持台94に、軸91の中心軸線に対して直角方向に延びる揺動軸95によって揺動自在に支持してあり、これによってクランプ具83は、図12に示すようにその中心軸が水平方向に向いた芯管15aとの嵌合位置から、図15に示すように収容空間81から側方へ退避した退避位置まで揺動可能となっている。
【0027】
96は上部を軸受台93に固着した切換駆動板で、図12に示す上記嵌合位置では、側壁4Aの内面側に沿って垂下した位置にあり、図15に示すように上記退避位置では、収容空間81内に突出した状態となる。そして図14に示すように、支持台94の側面部に設けた穴97内に挿入されたばね98aにより押出方向に付勢された鋼球98bを、軸受台93に穿設した穴99に係合させることにより、クランプ具83は上記嵌合位置に弾性保持され、またフィルムロール15の交換の際にフィルムロール15の端部を矢印Kで示す上向き方向に手で引出すことにより、上記弾性保持は解除され、上記引出し操作によりクランプ具83は図15に示す退避位置まで揺動駆動されて、切換駆動板96の左右突出片部96a,96a(図13参照)の上縁と側壁4Aの内面とが係合した状態で、軸受ブロック89等の自重および前記鋼球98bと軸受台93の側板部下縁との係合等により、クランプ具83は上記退避位置に保持される。
【0028】
なお箱体3の前面側のフィルム供給装置80においては、フィルムロール15を斜め前方から着脱しやすいように、軸受台93(従ってクランプ具83)を揺動自在に支持する揺動軸95は、その軸線を水平面に対して約45度傾斜させて配置してある。(図4参照)また上記のクランプ具83の嵌合位置と退避位置における保持機構としては、上記以外のばねやストッパなどを利用した各種のクリックストップ機構を用いてもよい。
【0029】
上記のフィルム供給装置80に新しいフィルムロール15をセットするときは、手で保持したフィルムロール15の一端部を保持具82に斜め方向から嵌合させ、他端部を図に矢印Mで示すように収容空間81内に手で押込めば、フィルムロール15の端部外周部15bにより突出状態の切換駆動板96が押圧され、軸受台93、従ってクランプ具83は、矢印Wで示すように揺動軸95の回りに回動駆動され、クランプ具83が芯管15aの端部に嵌入し、図12に示す嵌合位置まで回動するので、フィルムロール15のセットは、迅速容易におこなえる。また使用後の芯管15aの取外しも、前述の矢印K方向への引出操作をおこなって上記のセット時と逆の手順で、迅速容易におこなえる。
【0030】
そしてフィルムロール15のセット状態においては、フィルムロール15は保持具82とクランプ具83とにより芯管15aの両端部を保持された状態で回転自在に支持されるので、フィルムFの巻戻し抵抗はフィルムFの材質により影響されることはなく、また保持具82に設けた係止具85が芯管15aの端部に圧入されて芯管15aと一体化するので、フィルム巻戻し終了時点で電磁ブレーキ88によりフィルムロール15を迅速確実に制動・停止させることができるのである。
【0031】
上記各装置により構成されたフィルム包装機1によって新聞の包装をおこなうときの各構成装置の動作は、箱体3内に設けた制御装置による制御パターンに基づいておこなわれ、操作パネル7に設けたパターン切替スイッチの操作により、各種の包装動作を選択できるようになっている。そこで先ず四つ折り状態の通常サイズの新聞に対する通常包装動作について、図16に示すタイミングチャートを参照しつつ説明する。
【0032】
(1)先ずフィルム供給装置80から巻戻されたフィルムFは、溶着切断装置65のクッション材71上の切断位置で、先端部が相互に溶着された状態で、押え板72の押圧片部72aにより押えられている。
【0033】
(2)四つ折り状態の通常サイズの新聞Pを、長手方向を左右に向けて挿入口13内に挿入すると、ガイド板11に沿って落下前進する新聞の前端部を第1センサS1が検出して、モータ37が起動するとともに、ソレノイド77が励磁して押え板72を開くので、新聞Pの先端部はフィルムF,Fに挟まれた状態で搬送装置20の入口部に達し、上部搬送ベルト22と下部搬送ベルト21により挟まれて前方へ搬送される。
【0034】
(3)この搬送装置20による搬送開始直前に、第2センサS2による新聞検出信号によりソレノイド77が消磁され、押え板72はばね力による押付状態に復帰し、押圧片部72aは新聞Pの上側のフィルムFを押え付けるので、上側のフィルムFは、たるみのない状態で新聞Pの上面に沿う形で、フィルムロール15から巻戻されつつ搬送される。
【0035】
(4)一方新聞Pの搬送装置20内への進入を第3センサS3により検出後、所定時限経過後に、モータ37には減速指令を与えて低速運転に切換え、新聞Pの後端が第2センサS2位置を通過したら、モータ37を停止させるとともに、ソレノイド53,69を励磁し、またこれより所定時限後にフィルム供給装置80の電磁ブレーキ88に通電し、2本のフィルムロール15を制動し停止させる。
【0036】
(5)上記のモータ停止と各ソレノイドの励磁によって、2枚のフィルムFにより挟まれて停止状態の新聞Pに対して、側部溶着装置50と溶着切断装置65により、新聞Pの左右両側および後側の2枚のフィルムFが、加圧溶着される。
【0037】
(6)その後、所定時限後にソレノイド53,69は消磁されるが、ソレノイド69はソレノイド53より励磁時間が長く、このソレノイド69のみの励磁中にモータ37が起動され、上記溶着によりフィルムFで包装された新聞Pを強制駆動することにより、フィルムFは切断ヒータ66による加圧部で切断され、フィルム包装品Qとして前方へ搬送される。
【0038】
(7)この新聞Pの後端部通過を第3センサS3で検出したら、フィルム供給装置80の電磁ブレーキ88によるフィルムロール15の停止保持を解除し、次の新聞Pの投入可能状態に戻る。
【0039】
(8)得られたフィルム包装品Qは、搬送装置20の搬出口23部から、反転ガイド9部で反転して、送出ガイド102上を滑り落ち、引出状態のホッパ103内に集積される。
【0040】
次に完全密封動作について、図17に示すタイミングチャートを参照しつつ説明する。すなわち、前記通常包装動作では、フィルムFの側部溶着線(の後端)と後端部溶着線との間には、図8に示す各ヒータ間の間隙gと等しい僅かな隙間ができるので、新聞配達時の降雨が激しい場合など、上記隙間部分も接着して完全に密封させる場合は、完全密封パターンを選択して密封動作をおこなわせる。この動作中、(1)〜(5)は前記通常包装動作と同じであり、これに続けて次の動作をおこなう。
【0041】
(6)ソレノイド53が消磁されソレノイド69のみの励磁中に、モータ37を低速で短時間運転後停止させて新聞後側のフィルム溶着部を切断後、ソレノイド53を励磁して側部溶着装置により側部溶着の追加をおこなう。
【0042】
(7)ソレノイド53の消磁後、短時間後にモータ37を起動して包装品Qを前方へ搬送し、その後端部通過を第3センサS3で検出し、前記通常動作の(7)と同様に電磁ブレーキによるフィルムロールの停止保持を解除し、次の新聞の投入可能状態に戻る。
【0043】
(8)得られたフィルム密封包装品は、前記通常包装動作の(8)と同様にホッパ内に集積される。
【0044】
上記のようにこの完全密封動作は、前記通常動作にモータ37の短時間運転とソレノイド53の励磁による側部溶着追加工程を付加したものであり、上記のモータ37の短時間運転による搬送距離を、前記隙間寸法g以上とすることにより、フィルム側部は後端部溶着線まで完全に密封されるのである。
【0045】
次に被包装品が長尺物である場合として、二つ折りにした新聞Pを縦長状態で挿入して包装する長尺品包装動作について、図18に示すタイミングチャートおよび図19を参照しつつ説明する。この動作は、前記の制御装置による長尺制御パターンを選択しておこなわせるものであり、この動作中[1]〜[3]は、二つ折り状態の新聞Pを長手方向を前後方向に向けて挿入口内に挿入する点、およびモータを低速運転させる点以外は、前記通常包装動作の動作(1)〜(3)と同じであり、これに続けて次の動作をおこなう。
【0046】
[4]新聞Pの搬送装置20内への進入を第3センサS3により検出したら[図19(a)参照]、所定時限T経過後にモータ37を停止させるとともに、ソレノイド53を励磁し、フィルム供給装置80の電磁ブレーキ88に通電し、2本のフィルムロール15を制動し停止させる。
【0047】
[5]上記のモータ停止とソレノイド53の励磁によって、2枚のフィルムFにより挟まれて停止状態の新聞Pに対して、側部溶着装置50により新聞Pの左右両側の2枚のフィルムFが、接着ヒータ51の長さにほぼ等しい長さL分だけ加圧溶着される。[図19(b)参照]
【0048】
[6]その後、所定時限後に電磁ブレーキ88を断電後、ソレノイド53を消磁し、次いで短時間後にモータ37を再起動して、上記工程により長手方向の途中まで新聞の左右両側部のフィルムFが溶着された半包装品を、低速で前方へ搬送し、新聞Pの後端が第2センサS2位置を通過したら、モータ37を停止させるとともに、ソレノイド53,69を励磁し、またこれより所定時限後に電磁ブレーキ88に通電し、2本のフィルムロール15を制動し停止させるが、これらの動作は前記通常包装動作の(4)と同じである。
【0049】
[7]上記のモータ停止と各ソレノイドの励磁によって、側部溶着装置50と溶着切断装置65により、新聞Pの左右両側および後側の2枚のフィルムFが、加圧溶着される。この左右両側の溶着による溶着部は、上記[5]の工程の溶着部と一部重複するが、図19(c)に太線で示す長さL′の溶着部が新たに追加されることになる。
【0050】
[8]その後、ソレノイド53,69の消磁と、ソレノイド69のみの励磁中におけるモータ37の起動を、前記通常包装動作の(6)と同工程でおこなうことにより、切断ヒータ66による加圧部でフィルムFを切断された長尺包装品Q′[図19(c)参照]が得られるので、前記通常包装動作の(7),(8)と同じ動作により、上記長尺包装品をホッパ103内に集積させる。
【0051】
また上記の長尺包装品Q′における側部溶着部後端の長さの未溶着部をも溶着して、完全密封させる場合は、上記動作[7]に続いて、前記完全密封動作の動作(6),(7)をおこなって前記側部溶着追加工程を付加すればよく、これによってフィルム側部が後端部溶着線まで完全に密封された長尺密封包装品が得られる。
【0052】
なお上記の二つ折り縦長の新聞以外に、さらに長尺の被包装品に対して包装をおこなうには、図18における所定時限T分の搬送と側部溶着装置50による溶着とモータ37の再起動とから成る工程(図18に示す部分溶着工程)を被包装物の長さに応じて複数回繰返し、その後上記動作[6]以後の動作をおこなえばよい。
【0053】
次に図20はこの発明の実施の形態の第2例を、図21はこの発明の実施の形態の第3例を示し、側部溶着装置50A,50Bの構成が前記第1例の側部溶着装置50と一部異なるだけであり、これら側部溶着装置以外のフィルム包装機各部の構成は前記第1例と同じである。図20および図21において図9と同一部分には同一符号を付して図示し、それらの部分の詳細な説明は省略する。
【0054】
これらの例においては、接着ヒータ51は第1例と同様に昇降駆動されるのに対して、この接着ヒータ51の先端部に対向するクッション材52を、箱体(この例では送りパネル28)に固定取付けしてある。そしてクッション材52の上面が搬送装置20の搬送面Uと平行な第2例(図20)においては、上記上面を搬送面より所定高さHだけ上方に位置させてある。またクッション材52の上面を、側壁4A側が高くなるように搬送面Uに対して傾斜させた第3例(図21)においては、少なくともその一部(図21の例では全面)を搬送面Uより上方に位置させてあり、下降駆動された接着ヒータ51の先端部が、搬送面Uよりも所定高さHだけ上方の位置においてクッション材52の上面に接触するように構成してある。なお図20において61は、フィルムFの左右両側部を局部的な折曲りなしにクッション材52の上面部に向ってガイドするガイド板で、クッション材52の側部全長にわたって固定取付けされ、フィルムFの厚さや柔軟度などにより、必要に応じて設けるものである。
【0055】
これら第2例および第3例の側部溶着装置50A,50Bを用いたフィルム包装機においても、フィルムの側部溶着は、前記第1例と同様に搬送面Uより所定高さHだけ上方の位置において接着ヒータ51とクッション材52により挟んでおこなわれるため、前記第1例と同様に新聞Pが厚物の場合でも薄物の場合でも、溶着時の上側のフィルムFの端縁部が内側へ大きく引込まれることはなく、同一巾の2枚のフィルムを用いて確実にフィルム両側部の溶着をおこなうことができるのである。またこれら第2例および第3例の側部溶着装置においては、クッション材52は固定位置に設ける構造なので、装置の構造が簡潔となり安価に製造できるとともに、接着ヒータ51のみを昇降駆動すればよいので、制御も簡単となる。
【0056】
この発明は上記各例に限定されるものではなく、たとえば各部の材質や形状は上記以外のものとしてもよく、また側部溶着装置における接着ヒータ51とクッション材52は、たとえばモータ駆動されるカムなどにより直動状に昇降駆動する構成としてもよい。
【0057】
また以上は被包装物が新聞である場合について説明したが、この発明のフィルム包装機は、新聞以外にも雑誌やカレンダーなど、各種のシート状あるいはシート束状(冊子状を含む)の被包装物をフィルムで包装する包装機に広く適用できるものである。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明によれば、被包装物の長さの変動に対しても、確実円滑にフィルムの溶着をおこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態の第1例を示すフィルム包装機の斜視図である。
【図2】 図1のフィルム包装機の縦断面(図6におけるA−A線断面図)である。
【図3】 図1の包装機本体の側壁4B部の正面図である。
【図4】 図1の包装機本体の側壁4A部の正面図である。
【図5】 図2における搬送装置20部の拡大図である。
【図6】 図2における矢視B−B側面図である。
【図7】 図6の矢視C−C平面図である。
【図8】 図6のD−D線断面図である。
【図9】 図8のE−E線断面図である。
【図10】 フィルム接着状態を示す図9相当図である。
【図11】 図3のG部拡大正面図である。
【図12】 図2のH−H線断面図である。
【図13】 図12の矢視I−I正面図である。
【図14】 図12のJ−J線断面図である。
【図15】 フィルムロール装着動作を示す図12相当図である。
【図16】 図1のフィルム包装機の通常包装動作を示すタイミングチャートである。
【図17】 図1のフィルム包装機の密封包装動作を示すタイミングチャートである。
【図18】 図1のフィルム包装機の長尺物包装動作を示すタイミングチャートである。
【図19】 図1のフィルム包装機の長尺物包装動作時のフィルム包装工程を示す略示平面図である。
【図20】 この発明の実施の形態の第2例を示す図9相当図である。
【図21】 この発明の実施の形態の第3例を示す図9相当図である。
【図22】 この発明のフィルム包装機における側部溶着動作を示す略示縦断面図である。
【図23】 一般のフィルム包装工程を示す斜視図である。
【図24】 従来のフィルム包装機による側部溶着動作を示す略示縦断面図である。
【符号の説明】
1…フィルム包装機、4A…側壁、4B…側壁、13…挿入口、15…フィルムロール、20…搬送装置、23…搬出口、50…側部溶着装置、50A…側部溶着装置、50B…側部溶着装置、51…接着ヒータ、52…クッション材、53…ソレノイド、56…レバー、57…揺動板、60…レバー、65…溶着切断装置、66…切断ヒータ、71…クッション材、72…押え板、72a…押圧片部、75…引張ばね、76…レバー、77…ソレノイド、80…フィルム供給装置、81…収容空間、82…保持具、83…クランプ具、84…嵌合部、85…係止具、88…電磁ブレーキ、93…軸受台、94…支持台、95…揺動軸、96…切換駆動板、F…フィルム、S1…第1センサ、S2…第2センサ、S3…第3センサ。
Claims (1)
- 一対のフィルムロールを回転可能に支持するフィルム供給装置と、前記フィルムロールから巻戻され先端部を互いに溶着されたフィルム間に挿入口から挿入された被包装物を、搬出口に向って搬送する搬送装置と、この搬送装置の入口部と前記挿入口との間に配設され前記被包装物を挟んだフィルムの後端部の溶着と切断をおこなう溶着切断装置と、前記搬送装置の両側に配設されフィルムの左右両側部の溶着をおこなう側部溶着装置と、前記被包装物の移動経路に沿って設けたセンサの出力信号により前記搬送装置の起動停止と前記フィルムの溶着および切断を自動的におこなう制御装置とをそなえたフィルム包装機において、前記センサとして、被包装物が前記挿入口内に挿入されたことを検出する第1センサと、被包装物の後端部が前記溶着切断装置部を通過したことを検出する第2センサと、被包装物の前端部が前記搬送装置の内部に達したことを検出する第3センサとをそなえ、前記制御装置が、前記第1センサによる挿入検出により搬送装置を起動後、前記第3センサによる前端部検出時から所定時限後に前記搬送装置を停止させて前記側部溶着装置によりフィルムの第1回の溶着をおこなったのち、搬送装置の再起動と所定時限後の前記搬送装置の停止と前記側部溶着装置によるフィルムの溶着とを繰返し、前記第2センサにより後端部を検出したら搬送装置を停止させて前記側部溶着装置によるフィルムの溶着および溶着切断装置によるフィルムの後端部の溶着と切断をおこなう制御パターンを有していることを特徴とするフィルム包装機。
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