JP3763424B2 - 非線形光学材料およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、SHG(second harmonic generation)活性な新規な非線形光学材料およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】
非線形光学材料、特にSHG活性を示す非線形光学材料は、新しい光源の実現に直接結びつくため活発に研究され多く公知となっている。
【0003】
このような公知材料のなかでもホウ酸系の非線形光学材料は、透過波長域が紫外域まで広がっているものが多く、波長変換に利用して紫外線を発生できる可能性があり、露光用光源や化学反応光源を実現することができる。しかしながら、現在まで知られているホウ酸系材料は、β−ホウ酸バリウム(β−BaB2 O4 )、ホウ酸リチウム(LiB3 O5 )などに限られており、今後の短波長光源実現に向けて、新しい材料開発が待たれている。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、ホウ酸系の非線形光学材料であってSHG活性を示す新規な非線形光学材料およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【発明の概要】
本発明に係る非線形光学材料は、BaAl2 B2 O7 で表され、その結晶体が中心対称を有しないことを特徴としている。
【0006】
本発明の新規な非線形光学材料は、従来公知のβ−BaB2 O4 と同程度以上のSHG活性を示す。
本発明に係る非線形光学材料の第1の製造方法は、
(a)炭酸バリウムと、
(b)酸化アルミニウムと、
(c)ホウ酸または無水ホウ酸とを出発原料として結晶を成長させて上記のような非線形光学材料を製造することを特徴としている。
【0007】
本発明において上記出発原料から非線形光学材料を製造する方法としては、上記出発原料の混合粉または混合粉の圧粉体を加熱し、融液または溶液にした後これを冷却して結晶を成長させることにより結晶を成長させる方法、上記出発原料の混合粉または混合粉の圧粉体を900〜940℃で焼成することにより結晶を成長させる方法などがある。
【0008】
本発明に係る非線形光学材料の第2の製造方法は、
(d)アルミン酸バリウムと、
(c)ホウ酸または無水ホウ酸とを出発原料として結晶を成長させることを特徴としている。
【0009】
本発明において上記出発原料から非線形光学材料を製造する方法としては、上記出発原料の混合粉または混合粉の圧粉体を加熱し、融液または溶液にした後これを冷却して結晶を成長させることにより結晶を成長させる方法、上記出発原料の混合粉または混合粉の圧粉体を900〜940℃で焼成することにより結晶を成長させる方法などがある。
【0010】
本発明の非線形光学材料の製造方法は、従来公知の非線形光学材料と同程度以上のSHG活性を示す非線形光学材料を容易に製造することができる。
【0011】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る非線形光学材料およびその製造方法を具体的に説明する。
本発明に係る非線形光学材料は、次式で表される。
【0012】
BaAl2 B2 O7 (元素比)
この結晶は、従来単斜晶系空間群P2/C(JCPDS29−144)と報告され、中心対称を有し、したがってSHG不活性であるとされていた。本発明者らは、本材料はSHG活性であること、したがって中心対称を有しないこと及び実用的な材料であることを見出した。
【0013】
本発明の非線形光学材料は、従来公知のβ−BaB2 O4 と同程度以上のSHG活性を示す。
このような本発明の非線形光学材料は、たとえば、
(a)炭酸バリウム(BaCO3 )と、
(b)酸化アルミニウム(Al2 O3 )と、
(c)ホウ酸または無水ホウ酸(B2 O3 )とを出発原料として結晶を成長させることにより製造される。
【0014】
前記出発原料の混合比は、モル比で(a):(b)が1:0.8〜1:1.2、好ましくは1:1であり、(a):(c)が1:0.8〜1:1.3、好ましくは1:1である。
【0015】
結晶を製造する方法としては、たとえばCZ(チョクラルスキー)法、HTSG(HIGH TEMPERATURE SOLUTION GROWTH)法などの融液または溶液からの結晶製造法が挙げられる。この場合、融液中でBa、Al、Bの比がストイキオメトリック比になるような混合比でもよいが、ホウ酸を含む系は融液の粘度が高いので、混合比をストイキオメトリック比からずらした融液から結晶を成長させてもよい。
【0016】
上記のような出発原料から単結晶を製造する方法として、具体的には、たとえば、前記出発物質を上記のような比率で混合した混合物を白金坩堝に充填して1〜5℃/分の昇温速度で1000〜1100℃まで加熱し、前記混合物を溶融する。この溶液または融液を充分混合、反応させるため、しばらく高温の状態に保持した後、融点近傍までゆっくり温度を下げる。次に、白金線を融液表面に接触させ、温度を0.1〜1℃/時の速度で下げて結晶を白金線に析出させる。なお、あらかじめBaAl2 B2 O7 の結晶が準備できる場合は、白金線に代えて結晶を用いることが好ましい。
【0017】
本発明では、白金坩堝に充填する出発物質として、前記出発物質の混合粉若しくは混合粉をプレス成形した圧粉体、または混合粉焼成した焼成体若しくは混合粉をプレス成形した圧粉体を焼成した焼成体を用いることができる。
【0018】
また、本発明に係る非線形光学材料の多結晶体を製造する方法として、具体的には、たとえば
▲1▼前記出発物質を上記のような比率で混合した混合物を5〜1000kg/cm2 程度の圧力でプレス成形したものを、450〜940℃、好ましくは800〜940℃の温度で、1〜50時間、好ましくは10〜20時間焼成し、得られた焼成物を1〜50μm程度に粉砕する。
【0019】
▲2▼次に、前記粉砕物を10〜1000kg/cm2 程度の圧力でプレス成形しペレットを成形し、このペレットをBaAl2 B2 O7 の融点以下である900〜940℃の温度で、10〜100時間、好ましくは20〜50時間焼成して結晶を成長させる。このようにBaAl2 B2 O7 の融点以下で固相反応させることによりセラミック状の多結晶体が得られる。
【0020】
なお、本発明では、▲1▼工程を省略し、▲2▼工程において粉砕物に代えて焼成していない前記出発物質の混合物を用いてもよい。
本発明の非線形光学材料は、
(d)アルミン酸バリウム(BaAl2 O4 )と、
(c)ホウ酸または無水ホウ酸とを出発原料として結晶を成長させることにより製造することもできる。
【0021】
前記出発原料の混合比は、モル比で(d):(c)が1:0.8〜1:1.3、好ましくは1:1である。
結晶を製造する方法としては、たとえばCZ法、HTSG法などの融液または溶液からの結晶製造法が挙げられる。この場合、融液中でBa、Al、Bの比がストイキオメトリック比になるような混合比でもよいが、ホウ酸を含む系は融液の粘度が高いので、混合比をストイキオメトリック比からずらした融液から結晶を成長させてもよい。
【0022】
上記のような出発原料から単結晶を製造する方法として、具体的には、たとえば、前記出発物質を上記のような比率で混合した混合物を白金坩堝に充填して1〜5℃/分の昇温速度で1000〜1100℃まで加熱し、前記混合物を溶融する。この溶液または融液を充分混合、反応させるため、しばらく高温の状態に保持した後、融点近傍までゆっくり温度を下げる。次に、白金線を融液表面に接触させ、温度を0.1〜1℃/時の速度で下げて結晶を白金線に析出させる。なお、あらかじめBaAl2 B2 O7 の結晶が準備できる場合は、白金線に代えて結晶を用いることが好ましい。
【0023】
本発明では、白金坩堝に充填する出発物質として、前記出発物質の混合粉若しくは混合粉をプレス成形した圧粉体、または混合粉焼成した焼成体若しくは混合粉をプレス成形した圧粉体を焼成した焼成体を用いることができる。
【0024】
また、本発明に係る非線形光学材料の多結晶体を製造する方法として、具体的には、たとえば
▲1▼前記出発物質を上記のような比率で混合した混合物を5〜1000kg/cm2 程度の圧力でプレス成形したものを、450〜940℃、好ましくは800〜940℃の温度で、1〜50時間、好ましくは10〜20時間焼成し、得られた焼成物を1〜50μm程度に粉砕する。
【0025】
▲2▼次に、前記粉砕物を10〜1000kg/cm2 程度の圧力でプレス成形しペレットを成形し、このペレットをBaAl2 B2 O7 の融点以下である900〜940℃の温度で、10〜100時間、好ましくは20〜50時間焼成して結晶を成長させる。このようにBaAl2 B2 O7 の融点以下で固相反応させることによりセラミック状の多結晶体が得られる。
【0026】
なお、本発明では、▲1▼工程を省略し、▲2▼工程において粉砕物に代えて焼成していない前記出発物質の混合物を用いてもよい。
このようにして得られたBaAl2 B2 O7 は、XMA等の組成分析とX線回折により同定することができる。
【0027】
本発明の非線形光学材料の製造方法は、従来公知の非線形光学材料と同程度以上のSHG活性を示す非線形光学材料を容易に製造することができる。
本発明の非線形光学材料は、たとえば波長変換を利用した短波長レーザーや各種の非線形光学素子に応用が可能である。
【0028】
本発明の非線形光学材料を単結晶化すれば、基本波長の光をこの単結晶に入射し、単結晶の中で変換された高調波光を取り出すことによって単波長光源として利用できる。
【0029】
また、本発明の非線形光学材料を焼結して多結晶体のセラミック体にすれば、可視領域よりも長い波長のレーザー光をこのセラミックス体に照射することにより可視化できる。これは例えば、YAGを用いた1.06μmの大出力レーザー光をこのセラミックス体に照射すると0.53μmの可視光となり、大出力レーザー光のビーム形状や強度分布などのビーム性状を見ることができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明の非線形光学材料は、従来公知のβ−BaB2 O4 と同程度以上のSHG活性を示す。
【0031】
本発明の非線形光学材料の製造方法は、従来公知の非線形光学材料と同程以上度のSHG活性を示す非線形光学材料を容易に製造することができる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0033】
【実施例1】
炭酸バリウム(BaCO3 )と酸化アルミニウム(Al2 O3 )と無水ホウ酸(B2 O3 )とをモル比で1:1:1となるように秤量し、混合したものを10kg/cm2 の圧力でプレス成形してペレット(20mmφ×10mm)を作製した。このペレットを800℃で10時間焼成した後、粉砕して粒径を1〜50μmとし、再度10kg/cm2 の圧力でプレス成形してペレット(20mmφ×10mm)を作製し、900℃で25時間焼成した。
【0034】
得られたペレットのDTA測定と粉末X線回折測定を行った結果、該ペレットは単一相であり、融点が970℃であることがわかった。また1.06μmのレーザーにより粉末SHG強度を調べるとβ−BaB2 O4 とほぼ同程度のSHG活性を示した。
【0035】
【実施例2】
アルミン酸バリウム(BaAl2 O4 )と無水ホウ酸(B2 O3 )とをモル比で1:1となるように秤量し、混合した。その後白金坩堝に充填して4℃/分の昇温速度で1000℃まで加熱し原料を溶融した。この原料を充分に溶融した後、温度を980℃に下げ、次に白金線を融液表面に接触させ、温度を0.5℃/時の速度でゆるやかに下げて結晶を白金線に析出させた。生成した析出物は、クラックが入っていて白濁していたが透明なものもあった。
【0036】
析出物のDTA測定と粉末X線回折測定を行った結果、該析出物は単一相であった。また該析出物から数mm角の透明部分を取り出し、1.06μmのレーザーを照射したところ、0.53μmの緑色光を発生した。
【発明の属する技術分野】
本発明は、SHG(second harmonic generation)活性な新規な非線形光学材料およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】
非線形光学材料、特にSHG活性を示す非線形光学材料は、新しい光源の実現に直接結びつくため活発に研究され多く公知となっている。
【0003】
このような公知材料のなかでもホウ酸系の非線形光学材料は、透過波長域が紫外域まで広がっているものが多く、波長変換に利用して紫外線を発生できる可能性があり、露光用光源や化学反応光源を実現することができる。しかしながら、現在まで知られているホウ酸系材料は、β−ホウ酸バリウム(β−BaB2 O4 )、ホウ酸リチウム(LiB3 O5 )などに限られており、今後の短波長光源実現に向けて、新しい材料開発が待たれている。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、ホウ酸系の非線形光学材料であってSHG活性を示す新規な非線形光学材料およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【発明の概要】
本発明に係る非線形光学材料は、BaAl2 B2 O7 で表され、その結晶体が中心対称を有しないことを特徴としている。
【0006】
本発明の新規な非線形光学材料は、従来公知のβ−BaB2 O4 と同程度以上のSHG活性を示す。
本発明に係る非線形光学材料の第1の製造方法は、
(a)炭酸バリウムと、
(b)酸化アルミニウムと、
(c)ホウ酸または無水ホウ酸とを出発原料として結晶を成長させて上記のような非線形光学材料を製造することを特徴としている。
【0007】
本発明において上記出発原料から非線形光学材料を製造する方法としては、上記出発原料の混合粉または混合粉の圧粉体を加熱し、融液または溶液にした後これを冷却して結晶を成長させることにより結晶を成長させる方法、上記出発原料の混合粉または混合粉の圧粉体を900〜940℃で焼成することにより結晶を成長させる方法などがある。
【0008】
本発明に係る非線形光学材料の第2の製造方法は、
(d)アルミン酸バリウムと、
(c)ホウ酸または無水ホウ酸とを出発原料として結晶を成長させることを特徴としている。
【0009】
本発明において上記出発原料から非線形光学材料を製造する方法としては、上記出発原料の混合粉または混合粉の圧粉体を加熱し、融液または溶液にした後これを冷却して結晶を成長させることにより結晶を成長させる方法、上記出発原料の混合粉または混合粉の圧粉体を900〜940℃で焼成することにより結晶を成長させる方法などがある。
【0010】
本発明の非線形光学材料の製造方法は、従来公知の非線形光学材料と同程度以上のSHG活性を示す非線形光学材料を容易に製造することができる。
【0011】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る非線形光学材料およびその製造方法を具体的に説明する。
本発明に係る非線形光学材料は、次式で表される。
【0012】
BaAl2 B2 O7 (元素比)
この結晶は、従来単斜晶系空間群P2/C(JCPDS29−144)と報告され、中心対称を有し、したがってSHG不活性であるとされていた。本発明者らは、本材料はSHG活性であること、したがって中心対称を有しないこと及び実用的な材料であることを見出した。
【0013】
本発明の非線形光学材料は、従来公知のβ−BaB2 O4 と同程度以上のSHG活性を示す。
このような本発明の非線形光学材料は、たとえば、
(a)炭酸バリウム(BaCO3 )と、
(b)酸化アルミニウム(Al2 O3 )と、
(c)ホウ酸または無水ホウ酸(B2 O3 )とを出発原料として結晶を成長させることにより製造される。
【0014】
前記出発原料の混合比は、モル比で(a):(b)が1:0.8〜1:1.2、好ましくは1:1であり、(a):(c)が1:0.8〜1:1.3、好ましくは1:1である。
【0015】
結晶を製造する方法としては、たとえばCZ(チョクラルスキー)法、HTSG(HIGH TEMPERATURE SOLUTION GROWTH)法などの融液または溶液からの結晶製造法が挙げられる。この場合、融液中でBa、Al、Bの比がストイキオメトリック比になるような混合比でもよいが、ホウ酸を含む系は融液の粘度が高いので、混合比をストイキオメトリック比からずらした融液から結晶を成長させてもよい。
【0016】
上記のような出発原料から単結晶を製造する方法として、具体的には、たとえば、前記出発物質を上記のような比率で混合した混合物を白金坩堝に充填して1〜5℃/分の昇温速度で1000〜1100℃まで加熱し、前記混合物を溶融する。この溶液または融液を充分混合、反応させるため、しばらく高温の状態に保持した後、融点近傍までゆっくり温度を下げる。次に、白金線を融液表面に接触させ、温度を0.1〜1℃/時の速度で下げて結晶を白金線に析出させる。なお、あらかじめBaAl2 B2 O7 の結晶が準備できる場合は、白金線に代えて結晶を用いることが好ましい。
【0017】
本発明では、白金坩堝に充填する出発物質として、前記出発物質の混合粉若しくは混合粉をプレス成形した圧粉体、または混合粉焼成した焼成体若しくは混合粉をプレス成形した圧粉体を焼成した焼成体を用いることができる。
【0018】
また、本発明に係る非線形光学材料の多結晶体を製造する方法として、具体的には、たとえば
▲1▼前記出発物質を上記のような比率で混合した混合物を5〜1000kg/cm2 程度の圧力でプレス成形したものを、450〜940℃、好ましくは800〜940℃の温度で、1〜50時間、好ましくは10〜20時間焼成し、得られた焼成物を1〜50μm程度に粉砕する。
【0019】
▲2▼次に、前記粉砕物を10〜1000kg/cm2 程度の圧力でプレス成形しペレットを成形し、このペレットをBaAl2 B2 O7 の融点以下である900〜940℃の温度で、10〜100時間、好ましくは20〜50時間焼成して結晶を成長させる。このようにBaAl2 B2 O7 の融点以下で固相反応させることによりセラミック状の多結晶体が得られる。
【0020】
なお、本発明では、▲1▼工程を省略し、▲2▼工程において粉砕物に代えて焼成していない前記出発物質の混合物を用いてもよい。
本発明の非線形光学材料は、
(d)アルミン酸バリウム(BaAl2 O4 )と、
(c)ホウ酸または無水ホウ酸とを出発原料として結晶を成長させることにより製造することもできる。
【0021】
前記出発原料の混合比は、モル比で(d):(c)が1:0.8〜1:1.3、好ましくは1:1である。
結晶を製造する方法としては、たとえばCZ法、HTSG法などの融液または溶液からの結晶製造法が挙げられる。この場合、融液中でBa、Al、Bの比がストイキオメトリック比になるような混合比でもよいが、ホウ酸を含む系は融液の粘度が高いので、混合比をストイキオメトリック比からずらした融液から結晶を成長させてもよい。
【0022】
上記のような出発原料から単結晶を製造する方法として、具体的には、たとえば、前記出発物質を上記のような比率で混合した混合物を白金坩堝に充填して1〜5℃/分の昇温速度で1000〜1100℃まで加熱し、前記混合物を溶融する。この溶液または融液を充分混合、反応させるため、しばらく高温の状態に保持した後、融点近傍までゆっくり温度を下げる。次に、白金線を融液表面に接触させ、温度を0.1〜1℃/時の速度で下げて結晶を白金線に析出させる。なお、あらかじめBaAl2 B2 O7 の結晶が準備できる場合は、白金線に代えて結晶を用いることが好ましい。
【0023】
本発明では、白金坩堝に充填する出発物質として、前記出発物質の混合粉若しくは混合粉をプレス成形した圧粉体、または混合粉焼成した焼成体若しくは混合粉をプレス成形した圧粉体を焼成した焼成体を用いることができる。
【0024】
また、本発明に係る非線形光学材料の多結晶体を製造する方法として、具体的には、たとえば
▲1▼前記出発物質を上記のような比率で混合した混合物を5〜1000kg/cm2 程度の圧力でプレス成形したものを、450〜940℃、好ましくは800〜940℃の温度で、1〜50時間、好ましくは10〜20時間焼成し、得られた焼成物を1〜50μm程度に粉砕する。
【0025】
▲2▼次に、前記粉砕物を10〜1000kg/cm2 程度の圧力でプレス成形しペレットを成形し、このペレットをBaAl2 B2 O7 の融点以下である900〜940℃の温度で、10〜100時間、好ましくは20〜50時間焼成して結晶を成長させる。このようにBaAl2 B2 O7 の融点以下で固相反応させることによりセラミック状の多結晶体が得られる。
【0026】
なお、本発明では、▲1▼工程を省略し、▲2▼工程において粉砕物に代えて焼成していない前記出発物質の混合物を用いてもよい。
このようにして得られたBaAl2 B2 O7 は、XMA等の組成分析とX線回折により同定することができる。
【0027】
本発明の非線形光学材料の製造方法は、従来公知の非線形光学材料と同程度以上のSHG活性を示す非線形光学材料を容易に製造することができる。
本発明の非線形光学材料は、たとえば波長変換を利用した短波長レーザーや各種の非線形光学素子に応用が可能である。
【0028】
本発明の非線形光学材料を単結晶化すれば、基本波長の光をこの単結晶に入射し、単結晶の中で変換された高調波光を取り出すことによって単波長光源として利用できる。
【0029】
また、本発明の非線形光学材料を焼結して多結晶体のセラミック体にすれば、可視領域よりも長い波長のレーザー光をこのセラミックス体に照射することにより可視化できる。これは例えば、YAGを用いた1.06μmの大出力レーザー光をこのセラミックス体に照射すると0.53μmの可視光となり、大出力レーザー光のビーム形状や強度分布などのビーム性状を見ることができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明の非線形光学材料は、従来公知のβ−BaB2 O4 と同程度以上のSHG活性を示す。
【0031】
本発明の非線形光学材料の製造方法は、従来公知の非線形光学材料と同程以上度のSHG活性を示す非線形光学材料を容易に製造することができる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0033】
【実施例1】
炭酸バリウム(BaCO3 )と酸化アルミニウム(Al2 O3 )と無水ホウ酸(B2 O3 )とをモル比で1:1:1となるように秤量し、混合したものを10kg/cm2 の圧力でプレス成形してペレット(20mmφ×10mm)を作製した。このペレットを800℃で10時間焼成した後、粉砕して粒径を1〜50μmとし、再度10kg/cm2 の圧力でプレス成形してペレット(20mmφ×10mm)を作製し、900℃で25時間焼成した。
【0034】
得られたペレットのDTA測定と粉末X線回折測定を行った結果、該ペレットは単一相であり、融点が970℃であることがわかった。また1.06μmのレーザーにより粉末SHG強度を調べるとβ−BaB2 O4 とほぼ同程度のSHG活性を示した。
【0035】
【実施例2】
アルミン酸バリウム(BaAl2 O4 )と無水ホウ酸(B2 O3 )とをモル比で1:1となるように秤量し、混合した。その後白金坩堝に充填して4℃/分の昇温速度で1000℃まで加熱し原料を溶融した。この原料を充分に溶融した後、温度を980℃に下げ、次に白金線を融液表面に接触させ、温度を0.5℃/時の速度でゆるやかに下げて結晶を白金線に析出させた。生成した析出物は、クラックが入っていて白濁していたが透明なものもあった。
【0036】
析出物のDTA測定と粉末X線回折測定を行った結果、該析出物は単一相であった。また該析出物から数mm角の透明部分を取り出し、1.06μmのレーザーを照射したところ、0.53μmの緑色光を発生した。
Claims (7)
- BaAl2 B2 O7 で表され、その結晶体が中心対称を有しないことを特徴とする非線形光学材料。
- (a)炭酸バリウムと、
(b)酸化アルミニウムと、
(c)ホウ酸または無水ホウ酸とを出発原料として結晶を成長させて請求項1に記載の非線形光学材料を製造することを特徴とする非線形光学材料の製造方法。 - (a)前記炭酸バリウムと、
(b)前記酸化アルミニウムと、
(c)前記ホウ酸または無水ホウ酸との混合粉または混合粉の圧粉体を加熱し、融液または溶液にした後これを冷却して結晶を成長させることを特徴とする請求項2に記載の非線形光学材料の製造方法。 - (a)前記炭酸バリウムと、
(b)前記酸化アルミニウムと、
(c)前記ホウ酸または無水ホウ酸との混合粉または混合粉の圧粉体を900〜940℃で焼成することにより結晶を成長させることを特徴とする請求項2に記載の非線形光学材料の製造方法。 - (d)アルミン酸バリウムと、
(c)ホウ酸または無水ホウ酸とを出発原料として結晶を成長させて請求項1に記載の非線形光学材料を製造することを特徴とする非線形光学材料の製造方法。 - (d)前記アルミン酸バリウムと、
(c)前記ホウ酸または無水ホウ酸との混合粉または混合粉の圧粉体を加熱し、融液または溶液にした後これを冷却して結晶を成長させることを特徴とする請求項5に記載の非線形光学材料の製造方法。 - (d)前記アルミン酸バリウムと、
(c)前記ホウ酸または無水ホウ酸との混合粉または混合粉の圧粉体を900〜940℃で焼成することにより結晶を成長させることを特徴とする請求項5に記載の非線形光学材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21596395A JP3763424B2 (ja) | 1995-08-24 | 1995-08-24 | 非線形光学材料およびその製造方法 |
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