JP3763341B2 - 金属缶体のフイルム貼着方法および装置 - Google Patents

金属缶体のフイルム貼着方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、金属製缶体の外面にフイルムを熱接着する方法およびその方法を実施するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属板を絞りしごき加工することにより、缶胴と缶底とを一体的に成形されるツーピース缶が知られている。そのツーピース缶の缶胴に所望の模様や文字などを印刷する場合、缶胴が円筒状であってかつ金属製であるために、グラビア印刷によって模様や文字などを印刷することが困難であるから、従来では、上記のツーピース缶の缶胴に印刷を施す方法として、オフセット印刷が採用されている。またその場合、印刷層を保護するために、印刷層の上に無色透明なオーバーコート層が設けられている。
【0003】
オフセット印刷は、共通のブランケットにより全ての色のインキを塗布し、また、各色のインクが重ならないように塗布する印刷方法であるから、印刷に使用することのできる色数や色調が制約される。そのため、このオフセット印刷によって缶胴の印刷をおこなうツーピース缶は、その外観の多様性に限界があり、消費動向やニーズの変化により、一層美麗な外観が要求されるなどの製品の多様化の要請に応えるのが困難になっている。
【0004】
そこで、このような要求に応えるべく、金属缶胴に直接印刷して得られる缶に替わるものとして、金属缶体の缶胴の外面に、予め模様や文字が印刷されたポリエステルなどの熱可塑性樹脂フイルムを貼着して作られる缶が種々提案されている。その印刷フイルムによれば、オフセット印刷に加えてグラビア印刷、フレキソ印刷などの印刷法を選択することが可能となり、その結果、印刷フイルムの装飾的効果が高いうえに印刷品質がかなり良く、また連続した長尺状のフイルムに印刷できるので高速印刷が可能となり、従来の金属缶胴に直接印刷するドライオフセット印刷にない有利な点を備えている。
【0005】
そのように予め模様や文字が印刷された熱可塑性樹脂フイルムを金属缶体の外面に熱接着したフイルム貼着缶体は、一般的に、長尺状のフイルムから所定寸法に切断されたフイルムを加熱された缶胴面に巻き付けて加熱圧着して製造される。また、フイルム貼着装置としては、熱可塑性樹脂フイルムを所定寸法に切断する切断手段と、缶体を保持するマンドレルと、加熱された金属缶体の缶胴面にフイルムを巻き付ける貼着手段とを備え、そのマンドレルの内部に缶体加熱手段が配置されているのが一般的である。その一例が、特開平3−230940号公報や特開平8−1778号公報、特開平10−683号公報等に記載されている。
【0006】
特開平3−230940号公報に記載された発明は、加熱手段として、金属缶体が嵌着されるマンドレル自身に、螺旋状の電磁誘導コイルを備えて、マンドレルに嵌着される金属缶の缶胴部を誘導加熱し、所定温度に加熱された金属缶の外面にフイルムを押し付けて加熱接着するように構成されている。また、特開平8−1778号公報に記載された発明では、螺旋状の電熱ヒータをマンドレルに内蔵し、マンドレルの壁部を介して金属缶の缶胴部に熱が伝達される。これにより、缶胴部の外面が均一に加熱されるように構成されている。さらに、特開平10−683号公報に記載された発明は、表面が誘導加熱されたマンドレルに金属缶体を嵌着するとともに、嵌着された金属缶体を、その外側に配置した誘導加熱手段により加熱しつつ所定方向に搬送するように構成されている。
【0007】
したがって、上記の特開平3−230940号公報の発明や特開平8−1778号公報の発明によれば、マンドレルに嵌着された金属缶体が、各マンドレルの内部に備えられた加熱手段によって内面側から加熱されつつ所定方向に搬送され、貼着位置では缶胴部の外面温度がフイルム接着可能な温度まで上昇することになる。また、特開平10−683号公報に記載された発明によれば、缶体はマンドレルから伝達される熱によって加熱され、また外側から誘導加熱されることになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前者の特開平3−230940号公報や特開平8−1778号公報に記載された発明では、マンドレルを加熱するための装置が、マンドレルに金属缶体を嵌着させる際の邪魔にならないようにする必要があるから、誘導加熱コイルをマンドレルの内部に埋め込んだ状態にしている。そのために、マンドレルの構造が複雑になってしまう。また、マンドレルは、ターレットなどに取り付けられて所定半径の円周上を旋回すると同時に、自転するから、移動側の誘導加熱コイルに固定側の電源から電力を供給する構造とならざるを得ず、そのために複雑な給電機構が必要となる不都合がある。更に、移動側の誘導加熱コイル内に冷却水を通すことが困難であって誘導加熱コイルやマンドレルの冷却が不充分になることがあり、そのため、誘導加熱コイルやマンドレルが過加熱状態となるほどの高い電力を供給することができず、加熱誘導コイルやマンドレルの熱量の不足によって高速生産を期待できないなどの不都合が生じる。
【0009】
また、特開平10−683号公報(本願出願人によるもの)に記載された発明は、マンドレルに嵌着された缶体が、マンドレルから伝達される熱によって加熱され、また、フイルム貼着部まで搬送される間に、缶体をその外側から高周波誘導により補助的に加熱して目標温度を維持するように構成されている。しかしながら搬送過程におけるマンドレルからの熱伝達と外側からの高周波誘導加熱とによって缶体を加熱するから、その搬送時間を決める機械速度の変化があった場合、つまり高速時と低速時とでは、加熱昇温の程度に相違が生じ、これが原因となってフイルム貼着後の接着強度にバラツキが生じることがあり、この点の改善をおこなって接着の安定性を更に高めることが求められていた。
【0010】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、金属缶体に対する合成樹脂フイルムの貼付を確実かつ安定しておこなうことのできる方法およびその方法を実施するための装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、金属缶体を予備加熱するとともに、自転可能な複数のマンドレルに順次嵌着し、かつそのマンドレルと共に所定の巡回経路に沿って移動させ、その移動過程で、前記金属缶体の缶胴面に、予め所定長さに切断されて貼付ドラムの外表面上に保持された加飾フイルムを、接着剤を介して圧接することにより前記金属缶体に貼着する金属缶体のフイルム貼着方法において、予備加熱した前記金属缶体を前記マンドレルに嵌着する直前に、前記マンドレルの表面温度をフイルム貼着直後の前記金属缶体の表面温度以上の所定の温度範囲となるように高周波誘導加熱するとともに、前記金属缶体の缶胴面と接触するベルト部材のベルト面を赤外線照射加熱し、前記金属缶体を前記マンドレルに嵌着後、前記缶胴面に前記ベルト部材を接触走行させて前記金属缶体を前記マンドレルに密着させることにより前記金属缶体の缶胴壁を内外面両側からの熱伝達で昇温させて、表面温度を50℃超に加温した前記貼付ドラム上の前記加飾フイルムを缶胴に貼着することを特徴とする方法である。
【0012】
また、請求項2の発明は、この請求項1の方法を実施するための装置であって、予備加熱された金属缶体を、自転可能な複数のマンドレルに順次嵌着し、かつそのマンドレルと共に所定の巡回経路に沿って移動させ、前記金属缶体をフィルム貼着部に搬送する間に、前記金属缶体の缶胴部に押圧部材を接触させ前記金属缶体の内面を前記マンドレルに強制的に押し付けて密着させながら前記金属缶体を回転させ、前記金属缶体の缶胴面に、予め所定長さに切断されて貼付ドラムの外表面上に保持された加飾フイルムを、接着剤を介して圧接することにより前記金属缶体に貼着する金属缶体のフイルム貼着装置において、予備加熱した前記金属缶体を嵌着する直前のマンドレルの表面温度をフイルム貼着直後の前記金属缶体の表面温度以上の所定の温度範囲となるように高周波誘導加熱するマンドレル加熱手段と、前記貼付ドラムの表面温度を50℃超に加温する貼付ドラム加温手段と、前記押圧部材のうち少なくとも金属缶体に接触する部分を加熱する押圧部材加熱手段とを備えていることを特徴とする装置である。
【0013】
したがって、請求項1の発明あるいは請求項2の発明によれば、マンドレルヘ嵌着する前の金属缶体を予備加熱するとともに、金属缶体をマンドレル嵌着する直前に、マンドレルの表面温度をフイルム貼着直後の前記金属缶体の表面温度以上の所定の温度範囲となるように高周波誘導加熱するので、マンドレルの公転速度が変化して高速になった場合、あるいは反対に低速になった場合であっても、嵌着後の缶体温度を均一化させることができ、そのため、安定してフイルム貼着缶を製造することができる。
【0014】
また、嵌着前のマンドレルの表面温度をフイルム貼着直後の金属缶体の表面温度以上の所定の温度範囲となるように加熱し、一方、加飾フイルムを缶胴に貼着する貼付ドラムの表面温度を50℃超に加温するので、加飾フイルムの缶胴への貼り始め端部の上に、貼り終わりのフイルム端部を重ね合わせる部分、つまり重ねて貼り合わせる重ね合わせ部において、フイルムに熱吸収されても、貼付ドラム側から熱を供給することができ、その結果、フイルム上面の接着剤を融着できる温度に維持することができるため、フイルム重ね合わせ部において安定した接着をおこなうことができる。
【0017】
また、ベルト部材もしくは押圧部材が缶胴壁の外面に接触することにより、缶体内面をマンドレル外面に強制的に押し付けて密着させ、その状態で缶体を回転させるため、缶内径が必ずしも真円でなくても、缶胴壁がベルト部材もしくは押圧部材とマンドレルとで挟持され、マンドレルから金属缶体に確実に熱伝達しやすくなる。さらに金属缶体が回転することによりマンドレルに対する密着部分が円周方向に移動するため、缶胴全周に亘り熱伝達量のバラツキを少なくし、迅速に缶体温度を均一化させることができる。
【0020】
そして、マンドレルに嵌着された金属缶体に対して、缶胴の内面側ではマンドレルからの熱伝達が生じ、また缶胴の外面側ではベルト部材もしくは押圧部材からの熱伝達が生じ、その結果、缶胴壁が内外面両側からの熱伝達で昇温させて、その加熱量が均一化され、その結果、缶胴壁における温度勾配が緩和され、缶胴壁の板厚の差に起因する温度のバラツキが少なくなる。具体的には、缶底側の壁厚が缶胴中央部の壁厚より厚いために、熱伝達の速さが部分的に異なり、缶胴の高さ方向おいて缶体温度にバラツキが生じ易いが、缶胴の内外面側からの熱伝達によりその影響を少なくすることが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明をより具体的に説明する。先ず、本発明で対象とする金属缶体について図16を参照して説明すると、図16は缶底1aと缶胴1bとが一体成形されたツーピース缶用缶体1のネックイン加工前の断面図であり、その缶胴1bの外面に、印刷層と接着剤層とが形成された印刷済み樹脂フイルム2が熱接着され、フイルム貼着缶として構成されている。この発明が対象とする上記の缶体1は金属製であり、その素材としての金属板には、アルミニウム板、アルミニウム合金板、ティンフリースチールなどの表面処理鋼板、ブリキ、クロムメッキ鋼板、アルミメッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板、その他の各種合金メッキ鋼板を用いることができる。またこの缶体1は、絞り缶、絞り加工とストレッチ加工を施した缶、再絞り缶、絞りしごき缶、インパクト缶などの缶底と缶胴とが一体に成形された底付き缶体、すなわちツーピース缶である。なお、本発明はスリーピース缶を対象とすることもできる。
【0022】
本発明に使用されるアルミニウム板は、通常、板厚0.10〜0.30mmの範囲にあり、例えば3004系アルミニウム合金板等が挙げられ、これを素材として円筒状に形成されたツーピース缶の表面に有機系の化成皮膜が形成されるアルミニウム板が用いられる。
【0023】
この缶胴1bの開口端部には、最終的にネックイン加工およびフランジ加工が施される。すなわち複数段にネックイン加工を施してネックイン部を形成し、その後にフランジ部が形成され、あるいはその複数段ネック部分をなだらかなテーパ状に整形した後、フランジ部が形成される。
【0024】
この缶体1に貼着される熱可塑性樹脂フイルム2としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートとイソフタレート酸との共重合体などよりなる共重合ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン樹脂、変性ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン共重合体などのうちから、用途により選ばれた透明な高分子樹脂単体、あるいは上記樹脂の複合体からなる熱可塑性樹脂フィルムが用いられる。中でも、耐熱性があるポリエチレンテレフタレート樹脂を用いることが好ましい。フイルムの厚みは、通常8μm〜30μmの範囲のものが用いられるが、コストの面から10μm〜20μmのものが採用される。
【0025】
図17に示すように、樹脂フイルム2aの一方の面には、印刷層2bと接着層2cとが順に形成されている。すなわち樹脂フイルム2aの一方の面に装飾用の印刷が施され、その印刷層2bの表面に接着層2cが設けられている。なお、樹脂フイルム2aの他方の面に保護塗膜層を設けてもよい。また、樹脂フイルム2aの一方の面に接着層、他方の面に印刷層と保護塗膜層とを設けたフイルムでもよい。
【0026】
上記接着剤としては、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系等の熱硬化型合成樹脂が挙げることができ、金属素材との密着性を考慮して2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。その接着剤の厚みは、1〜8μm、特に外観上の意匠性を考えると5〜7μmが好ましい。
【0027】
印刷方法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷等を採用することができるが、意匠性の点からみると画質が鮮明でかつ高級感があるグラビア印刷が好ましい。印刷に使用するインキとしては、一般的に熱硬化性のウレタン系樹脂のインキが用いられる。
【0028】
フイルム貼着缶用の保護塗膜層としては、具体的には、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等にアミノ樹脂等の硬化剤を使用し、これに周知の滑剤を含有させたものを例示することができる。缶胴1bの外面に樹脂フイルム2が貼着された金属缶の内面には、次工程において、内容物保護のためのスプレー塗装が公知の塗装手段で施され、乾燥焼付けされる。
【0029】
上記の缶体1に上述した合成樹脂フイルム2を貼着するための本発明に係る装置の一例を次に説明する。図1および図2ならびに図3に示すこの発明に係るフイルム貼着装置は、水平に配置した回動軸3に軸着されて回転駆動される回転体4を備えている。その回転体4の外周部には、缶体1が嵌着されるマンドレル5が、その中心軸線を回動軸3と平行になるように向けて、かつ周方向に等間隔で複数設けられている。すなわちその回転体4が回転駆動されることにより、マンドレル5に嵌着された缶体1が、マンドレル5と共に回転体4の周方向(図1において時計回り)に連続的に搬送されるようになっている。
【0030】
そしてマンドレル5の巡回経路の外側すなわち前記回転体4の外周側には、缶体1を嵌着する直前のマンドレル5を予備加熱するマンドレル加熱ステーション6が設けられている。また、このマンドレル加熱ステーション6よりもマンドレル5の巡回方向での下流側には、マンドレル5の巡回経路上に、缶体1を予備加熱するとともに供給する缶体供給ステーション7と、マンドレル5に嵌着された缶体1をその外側から押圧してマンドレル5に密着させる強制伝熱ステーション8と、マンドレル5に嵌着された缶体1に加飾フイルム2を貼着させるフイルム貼着ステーション9と、加飾フイルム2が貼着された缶体1を次工程へ移送する缶体排出ステーション10とが、順に、配置されている。
【0031】
すなわち、このフイルム貼着装置によれば、まず、缶体1は缶体供給ステーション7を通過する過程で予備加熱される。一方、マンドレル加熱ステーション6において、マンドレル5自身が加熱され、その後、缶体供給ステーション7からマンドレル5に缶体1が供給されるようになっている。そしてマンドレル5の熱により、缶体1が内面側から加熱昇温されながら強制伝熱ステーション8に搬送され、缶体1がマンドレル5に対して押し付けられ、マンドレル5からの熱伝達による加熱が促進されるようになっている。続いて所定温度に加熱された缶体1に、フイルム貼着ステーション9において加飾フイルム2が貼着されるようになっている。そして加飾フイルム2が貼着された缶体1が缶体排出ステーション10に移送されて次工程へ搬送されるようになっている。また一方、缶体1を排出後、缶体1が取り外されたマンドレル5を、マンドレル加熱ステーション6に巡回移動させ、これを回転しつつ誘導加熱し、再び、巡回経路中の缶体供給ステーション7へ所定の昇温状態で戻る構成となっている。
【0032】
さらに詳細に説明すると、前記回転体4は、回動軸3に連結された図示しない駆動モータによって回転されるようになっており、図3および図4に示すように、その周辺部分にはマンドレル軸11を先端側に連結してある軸12が、中心軸線と平行に回転自在に取り付けられている。この軸12は、回転体4の周辺部分に一定の間隔をおいて所定の回転半径上に形成された軸孔13にベアリング14を介して回転可能に軸支されている。
【0033】
また回動軸3の先端側には、図3に示すように回転ターレット15が取り付けられている。この回転ターレット15は、缶体供給ステーション7から供給される缶体1を一時的に保持するためのものであり、その外周部分には、缶体1を保持するための複数のポケット部16が、回転体4のマンドレル5に対応して形成されている。
【0034】
図3および図4に示すように、マンドレル5を支持している前記マンドレル軸11は、前記軸12の先端側に偏心して設けられている。そして、軸12のマンドレル軸11と反対側の他端に、半径方向に突出したアーム状の連結部材17が取り付けられ、この連結部材17によって、固定部材18へ延びるカムフォロア軸19が前記軸12と平行に保持されている(図3参照)。なお、軸12と連結部材17とカムフォロア軸19との三者は、互いに一体となって回転するよう相互に固定されている。また固定部材18は、前記回動軸3を回転自在に支持している部材であって、ベース上に立設されている部材である。
【0035】
そして前記カムフォロア軸19の前記固定部材18側の端部には、カムフォロア21が回転可能に取り付けられており、このカムフォロア21が固定部材18に形成されたカム溝22に挿入されて、カム溝22の案内形状に沿って追従移動可能に支持されている。
【0036】
前記カム溝22は、前記回動軸3の中心軸線すなわち回転体4の中心軸線を中心とした円周上を半径方向に向けて蛇行するとともに全体として環状をなす溝であり、前記回転体4が固定部材18に対して相対回転することにより、カムフォロア軸19が軸12を中心に回動し、それに伴う軸12の回転によってその先端側のマンドレル軸11が回転体4の半径方向に往復移動するようになっている。これは、マンドレル5の移動軌跡を完全に円環状とせずに一部で蛇行させることにより、その外周に嵌着した缶体1の缶胴部1bを後述する貼付ドラム62の外周面に沿って可及的に長い距離移動させるためである。詳細は後述する。
【0037】
前記マンドレル5は、図5に示すように、缶体1の内径より若干小径の非導電性(樹脂やセラミック、本例ではベークライト)の筒状部材であるマンドレル本体25と、マンドレル本体25の外周面に一体に設けられた導電性(アルミニウムや鉄、本例では鉄系)の薄肉外皮部材26とで構成され、前記マンドレル軸11を中心に空隙27が生じるようベアリング28,29で回転自在に支持されている。またマンドレル軸11には空気孔30が設けられている。この空気孔30は、マンドレル5からの缶体1を排出する際に空気を送出させ、またマンドレル5へ缶体1を嵌着する際に空気を吸引する通路となっている。
【0038】
なお、薄肉外皮部材26は熱応答性を考慮すると、熱容量の小さいものがよく、しかも外表面温度が缶体嵌着時でも均一な温度分布となるように、缶体1の熱容量の十数倍程度にとるのが好ましい。
【0039】
また、マンドレル5の缶体1が嵌着されない基端部(以下、仮に回転付与部と記す)31は、缶体1が嵌着される部分に比べてやや大径に形成されており、その外周部から摩擦力によってトルクが付与されるようになっている。
【0040】
つぎに、ネックイン加工やフランジ加工が施されていない缶体1を、マンドレル5に供給する缶体供給ステーション7について説明する。缶体供給ステーション7は、図1および図2に示すように、マンドレル5が巡回する前記回転体4の半径方向での外側に配置されている。この缶体供給ステーション7は、熱風加熱部32と赤外線加熱部33とインフィードターレット34とを備えている。
【0041】
熱風加熱部32は、後述する赤外線加熱部33と共に缶体1を予備加熱(プレヒート)するためのものであり、缶体1をその軸線をほぼ水平にした状態で多数配列して移動させるトンネル状の熱風加熱炉35を備えている。その熱風加熱炉35の入口部には、前工程でツーピース缶もしくはスリーピース缶に形成された缶体1を投入するシュート36が設けられている。更にその熱風加熱炉35には、缶体1を載せる案内部材37が長手方向に沿って配置され、その上側には、図6および図7に示すように、缶体1に向かって進行方向斜め下方に熱風を吹き出す吹き出し口38が設けられている。また、案内部材37の下側には、ダクト39が開口して接続されており、このダクト39は前記吹き出し口38に連通していて、全体として循環経路を構成している。図8に示すようにこの循環経路中に送風機40とヒータ41とが介在されている。すなわち一旦加熱した熱風を外部に排出せずに熱風加熱炉35に循環させることにより熱エネルギを有効利用するようになっている。なお、缶体1は、熱風によって押されて前進移動するようになっている。
【0042】
上記の熱風加熱炉35の出口側が下向きに湾曲しており、その出口部に赤外線加熱部33が接続して設けられている。この赤外線加熱部33の詳細を図9、図10、図11、図12に示してある。すなわち熱風加熱炉35から送り出された缶体1を受け取る位置にインフィードスクリュー42が、その軸線を斜め下方に向けて配置されている。このインフィードスクリュー42は、缶体1の外周側の一部を緩くはめ込むことのできる断面円弧状の螺旋溝43を外周面に形成され、その中心軸線を中心に回転させられることにより、螺旋溝43内の缶体1を軸線方向に移動させるように構成されている。なお、インフィードスクリュー42の回転に伴って缶体1が回転しないようにするための2本の軸状の缶押えガイド44が、インフィードスクリュー42と平行にその上側に配置されている。
【0043】
更にその缶押えガイド44よりも上側すなわち缶押えガイド44を挟んでインフィードスクリュー42とは反対側に赤外線ヒータ45が、インフィードスクリュー42と平行に、すなわち缶体1の進行方向と平行に配置されている。したがってインフィードスクリュー42によって斜め下方に向けて搬送される缶体1に対して赤外線を照射して加熱するようになっている。この赤外線ヒータ45の放射源の灯数は加熱効率を考慮して適宜選定されるが、本実施形態では、直列に2灯並ぶように設置されている。また、赤外放射の波長域は、0.8〜5.0μmの範囲のものが使用され、好ましくは、1.0〜1.5μmが使用される。
【0044】
また、インフィードスクリュー42の側部には、これと平行に缶スピンベルト46が配置されている。この缶スピンベルト46の位置は、前記缶押えガイド44との間隔が缶体1の外径とほぼ等しくなる位置に設定されている。したがって、この缶スピンベルト46が図10に矢印で示す方向に走行することにより、缶体1がインフィードスクリュー42における螺旋溝43内で自転し、その結果、赤外線ヒータ45の発する赤外線が缶体1の外面の全体に均等に照射されるようになっている。
【0045】
上記の熱風加熱部32と赤外線加熱部33とは、ここを通過した缶体1の缶胴表面温度が、フイルム貼着部における接着剤が溶融し始める温度以上でかつフイルムの溶融温度以下の温度範囲、具体的には、100℃〜200℃の範囲、好ましくは130℃〜180℃の温度範囲に入るように缶体1を予備加熱するように構成され、もしくは赤外線ヒータ45の出口で図示しない温度センサにより温度検出され、赤外線ヒータ45の出力を制御できるように構成されている。
【0046】
そして、目標温度に維持された缶体1がインフィードターレット34に送り込まれる。また、缶スピンベルト46による缶体1の回転は、少なくとも局所的に缶胴面が過加熱されない程度に回転される。なお、缶体1の搬送が停止した場合には、缶体1の流れが停止した時点で赤外線ヒータ45のスイッチが切れる構成となっている。また、缶底部は缶胴中央部より肉厚であるため加熱効率が低くく、金属缶体全体の温度の均一化をはかるために、缶胴面に臨む位置のほかに缶底側に向けて赤外線を照射する放射源や高周波加熱コイルを併用して設けても良い。
【0047】
上記の赤外線ヒータ45の下端部の近傍が赤外線加熱部33の出口部になっており、その出口部と回転ターレット15との間にインフィードターレット34が配置されている。このインフィードターレット34は、前記回転体4と同期して回転駆動されるもので、前記回動軸3と同じ駆動モータにより回転させられている。またこのインフィードターレット34の外周部には、缶体1をマンドレル5の軸線と一致させて保持する凹部(ポケット)47が形成されている。この凹部47はマンドレル5に対応して周方向に等間隔で形成されている。
【0048】
したがって、インフィードスクリュー42によって供給された缶体1は、インフィードターレット34の凹部47に1缶づつ供給され、さらにインフィードターレット34から、連続的に前記回転体4と一体に回転する回転ターレット15のポケット部16に受け渡されて、該ポケット部16に、底部を図1での手前にした状態で缶体1が保持されるようになっている。
【0049】
回転ターレット15のポケット部16からマンドレル5に対して缶体1を嵌着させるエアーノズル48が設けられている。このエアーノズル48は、図3および図4に示すように、缶体供給ステーション7に対して回転体4の回転方向での下流側に、マンドレル5に対してポケット部16を挟んで対向して数箇所固定配置され、マンドレル5側にエアーブローして缶体1をマンドレル5に向けて移動させ、マンドレル5に缶体1を嵌着させるようになっている。なお、マンドレル5に形成された前記空気孔30は、缶体1のマンドレル5に対する嵌着を円滑化するために適宜の吸引手段(図示せず)に選択的に連結されるようになっている。
【0050】
さらにマンドレル加熱ステーション6について説明すると、このマンドレル加熱ステーション6は、缶体供給ステーション7に対してマンドレル5の巡回方向での上流側に形成されており、このマンドレル加熱ステーション6は、一例として図13に示すような高周波誘導加熱コイル49を主体に構成されている。すなわち、マンドレル5の薄肉外皮部材26に対向して、高周波誘導加熱コイル49がマンドレル5の巡回経路に沿ってトンネル状に配置されている。
【0051】
この高周波誘導加熱コイル49は、図13に示すように渦巻状に巻かれた断面コの字状に形成されており、コイルには過熱防止用の冷却水が通水されている。また、その形状およびコイル間のピッチは、マンドレル5に嵌着される缶体1の軸線方向での外表面温度が均一な温度分布になるように適宜に設定されている。具体的には、絞りしごき成形した缶体1の場合には、缶胴部1bの中心部分で薄肉になっているので、缶胴部1bの軸線方向での中央部分に対応する位置で粗に、また缶胴部1bの端部に付近に対応する位置で密になるようにコイルのピッチが調整されている。さらにこの高周波誘導加熱コイル49は、周波数5KHz〜15KHzのものが使用され、その高周波の出力は、加熱されるマンドレル5の加熱部材の体積を考慮して30KW〜150KWのものが使用される。
【0052】
なお、このマンドレル加熱ステーション6が配置されている範囲で、マンドレル5を2〜10回転程度、回転させてその全体を均等に加熱することが好ましい。また、特には図示しないが、マンドレル5における温度分布を検出するためのセンサが設けられている。すなわちマンドレル5の外面から発せられる赤外線量を10mmピッチ毎にセンサで測定するようになっている。そのため、マンドレル5の外面は、測定誤差を少なくするため放射率が“1”に近い黒色に表面処理されている。
【0053】
更に、特には図示しないが、マンドレル5の巡回経路上でマンドレル加熱ステーション6と強制伝熱ステーション8との間には、マンドレル5の巡回速度を検出する近接速度センサが設けられている。したがって、前記赤外温度センサおよび近接速度センサによって、マンドレル5の温度が検出されるとともに、マンドレル5の巡回速度が検出され、マイクロコンピュータを主体とする制御装置に各信号が出力されるようになっている。そしてマンドレル5が前記高周波誘導加熱コイル49内に入る直前に出力された温度信号と、マンドレル5の巡回速度信号とに基づいて、高周波誘導加熱コイル49の誘導加熱時の電力量の制御が行われるようになっている。
【0054】
具体的には制御装置に各信号が入力されると、数値処理として、まず、検出した温度データから新しい順に所定数の温度データが加算され、その平均温度値が演算される。そして、予め実験的に求めた関係式(マンドレル5が高周波誘導加熱コイル49内を通過する時間t毎に求めた温度差△Tに対する必要電力量Wの関係)から目標温度と平均温度との温度差に対応した必要電力量が演算され、その電力量が図示しない高周波発振器へ出力され、高周波誘導加熱コイル49に、その電力が供給されるようになっている。そして高周波誘導加熱コイル49内を通過したマンドレル5の外表面が目標温度すなわち設定温度(約150〜160℃)まで加熱昇温されるようになっている。また、マンドレル5が前記高周波誘導加熱コイル49内から出た直後にマンドレル5の温度を検出することによって、マンドレル5が設定温度まで加熱されたか否かが確認されるようになっている。
【0055】
したがって、このマンドレル加熱ステーション6によって、予備加熱されたマンドレル5に、前述した缶体供給ステーション7およびエアーノズル48によって、缶体1が供給されるとともにマンドレル5に嵌着されるようになっている。
【0056】
次に強制伝熱ステーション8について説明する。前記マンドレル5は予め加熱昇温され、そのマンドレル5に缶体1を嵌着させるから、マンドレル5の外径は缶体1の内径より若干小さくなっている。そのためにマンドレル5と缶体1の内面とが必ずしも密着しないので、両者の間の熱伝達が不充分になり、結局は、缶体1を充分に加熱できないおそれがある。このような不都合を回避するために、強制伝熱ステーション8で缶体1の内面をマンドレル5に強制的に密着させるようになっている。
【0057】
すなわち強制伝熱ステーション8は、マンドレル5の巡回方向で前記インフィードターレット34よりも下流側に配置されている。その詳細は図2および図14に示してあり、強制伝熱ステーション8は、マンドレル5に嵌着された缶体1の缶胴面と接触するベルト部材54を有し、そのベルト部材54がマンドレル5の巡回路の外側に配置され、マンドレル5の巡回路に沿うようにベルト部材54を張り渡す一対の回転ロール55と、駆動プーリ56と、テンションプーリ57とに巻き掛けられている。そして、駆動プーリ56を回転駆動することによりベルト部材54を走行させ、マンドレル5に嵌着した缶体1にベルト部材54が接触して缶体1をマンドレル5に対して押し付けるとともに、回転させるようになっている。
【0058】
また、回転ロール55と駆動プーリ56との間には、缶体1の缶胴面と接触するベルト部材54に対して赤外線を照射し、缶体1と接触するベルト面の温度を所定温度に加熱する赤外線照射手段58が設けられている。さらに、駆動プーリ56と一方の回転ロール55との間にテンションプーリ57が配置されており、このテンションプーリ57内に、プーリ軸を通して図示しない温度調節器で加温された油が送られ、プーリ外面を一定温度に保持するようになっている。温度調節器で加温された油は、プーリ軸を通してプーリ内部に供給され、プーリ自体を加温して温度調節器に戻る循環経路を構成している。したがって、駆動プーリ56により走行するベルト部材54は、赤外照射されて加熱昇温されるとともに、テンションプーリ57による加温も可能となっている。
【0059】
また、缶体1の加熱の点から見ると、この強制伝熱ステーション8においてベルト部材54から熱を受けて缶体1が再加熱されることにより、マンドレル5に嵌着された缶体1の外面温度が、次工程のフイルム貼着ステーション9に搬送される間に、目標温度以下に低下するのを防ぐように構成されている。
【0060】
なお、上記のベルト部材54は、厚さ1.3mmで、缶胴外面の幅とほぼ同じ幅(120mm)かあるいはそれ以上の幅を有しており、かつその素材としては、シリコン系ゴム、フッ素系ゴム、又はニトリル系ゴム等の耐熱ゴムが挙げられる。本実施形態では、ポリエステル繊維を心体に、シリコンをカバー体としたベルト構造の耐乾熱ベルトが使用される。なお、ベルト部材54の熱が缶胴1bに伝わり易いように、缶胴1bと接触するベルト面は平滑面となっている。このベルト部材54の一例として商標名「バンドーサンラインB」を使用することができる。
【0061】
前記テンションプーリ57と回転ロール55との間には、加熱されたベルト面の表面温度を検出する赤外線検出温度計59が設けられており、この温度計59の検出信号に基づき、ベルト部材54の表面温度を缶体加熱温度に維持できるように赤外線照射手段58の出力を調整する構成となっている。
【0062】
また、強制伝熱ステーション8とフイルム貼着ステーション9との間におけるマンドレル5の巡回経路の外周部には、マンドレル5に嵌着された缶体1の缶胴温度を検出する放射温度計60が設けられている。この放射温度計60の検出温度に基づき、ベルト表面制御温度を自動的に補正し、缶体1の温度が接着剤の溶融温度になるように温度制御する構成となっている。
【0063】
また、フイルム貼着ステーション9と缶体排出ステーション10との間におけるマンドレル5の巡回経路の外周部には、マンドレル5に嵌着された缶体1の缶胴温度を検出する放射温度計61が設けられている。この放射温度計61の検出温度に基づき、貼付温度が適正か否かを検出でき、さらにこの検出温度に基づき、マンドレル5の表面温度が検出温度と同一温度もしくはそれより5℃〜10℃高い温度となるように、マンドレル5を高周波誘導加熱する構成となっている。
【0064】
したがって、高周波誘導加熱したマンドレル5に金属缶体1を嵌着すると、マンドレル5から金属缶体1へ一応の熱伝達が生じるが、マンドレル5の外径が缶体1の内径より僅かに小さく、しかも缶体1の内面が真円ではないため、マンドレル5と缶1の内面とが全周で均一に密着せず、熱伝達だけでは缶体温度が均一にならない。そこで、本実施態様では、マンドレル5の表面温度を、予備加熱した缶体1の温度より若干高めに温度制御しておき、マンドレル5から金属缶体1への熱伝達を可及的に少なくして、マンドレル5と缶体1との温度差を極力少なくし、かつ金属缶体1からの熱移動を抑制する。しかも、マンドレル5に前記金属缶体1を嵌着後、ベルト部材54の接触により缶体内面をマンドレル5の外面に強制的に押し付けて密着させながら缶体1を回転させることにより、缶胴1bをマンドレル5ヘ強制的に押し付け、缶体1の内面とマンドレル5とを隙間なく接触させて、マンドレル5の熱を缶胴内壁に確実に熱伝達させる。これにより缶体1の内面が必ずしも真円でなくても、マンドレル5から金属缶体1に確実に熱伝達しやすくなり、さらには、ベルト部材54によって缶体1が回転させられることにより、缶体1とマンドレル5との密着部分が円周方向に移動するため、缶胴1bの全周に亘り熱伝達のバラツキを少なくでき、結局は、缶体1の温度を均一化させることができるように構成されている。
【0065】
つまり、強制伝熱ステーション8において、走行させたベルト部材54をマンドレル5に嵌着された複数の缶体1に回転接触させることにより、缶体1の外面側からはベルト部材54の熱が缶胴1bの外壁に伝達され、缶胴1bの内面側からはマンドレル5の熱が缶胴1bの内壁に熱伝達し、缶胴壁の内外両方から熱を受けて缶胴1bの厚さ方向における温度勾配が緩和される。
【0066】
さらに強制伝熱ステーション8において、缶体1の強制伝熱作用のほかに、缶体1の回転力を付与する作用が生じるので、次工程での貼付ドラムとの周速差によるフイルム貼着ズレを解消することもできる。
【0067】
つぎにフイルム貼着ステーション9について説明すると、フイルム貼着ステーション9は、強制伝熱ステーション8よりもマンドレル5の巡回方向での下流側に配置された貼付ドラム62を主体として構成されている。その貼付ドラム62は、通気可能な素材によって外表面が形成され、中心側に吸引することによって加飾フイルム2を外表面に吸着保持するように構成されている。この貼付ドラム62は、その外周面の一部が、回転体4の回転に伴うマンドレル5の巡回半径の円周に交わるよう配置され、かつ前記缶体1と同一の周速度で回転駆動されるようになっている。したがって各マンドレル5の巡回軌跡は、この貼付ドラム62に対応する箇所で回転体4の半径方向で内側に窪んでおり、このような巡回軌跡は、前述したカム溝22の形状を適宜に設定することにより得られる。したがってマンドレル5に嵌着された缶体1が、その巡回途中で、貼付ドラム62の外周面に沿って移動し、貼付ドラム62との接触長さが延長されている。
【0068】
この貼付ドラム62の表面温度を50℃を越える温度に維持するための保温ドラム63が設けられている。この保温ドラム63は、前述したテンションプーリ57と同様に、その内部に加温した油を循環供給することにより、加熱されるようになっている。そしてこの保温ドラム63が、マンドレル5などに干渉しない位置で貼付ドラム62の外周面に接触しており、両者の間の熱伝達によって貼付ドラム62が加熱保温されるようになっている。
【0069】
この貼付ドラム62に対して、缶胴部1bの周長に対応した所定長さに切断された加飾フイルム2が供給され、その場合、加飾フイルム2の供給速度に対して貼付ドラム62の周速が若干速く設定されていることにより、加飾フイルム2が所定の間隔を明けた状態で貼付ドラム62の外周面に吸着して保持される。その後、缶胴部1bの圧接位置に導かれて、マンドレル5に嵌着された缶体1の外面に沿って押圧されながら、加飾フイルム2が缶体1の缶胴部1bに貼着されるようになっている。その場合の接着圧力は、貼付ドラム62とマンドレル5との間隔を調整して適宜の圧力に設定することができ、その一例として40kgf /cm〜60kgf /cm程度の線圧力に設定することが好ましい。
【0070】
なお、貼付ドラム62上に加飾フイルム2を保持するための手段としては、従来知られている種々のものを採用でき、例えば加飾フイルム2を正もしくは負に帯電させて静電気力によって吸着させるように構成してもよい。また、加飾フイルム2は、ロール巻きしたものから巻き出し、かつ所定の張力を付与しつつ一定寸法毎に切断して得ることができ、そのための機構としては、本発明の出願人が既に出願した特願平11−104552号の願書に添付した明細書および図面に記載した機構を採用することができる。
【0071】
つぎに缶体排出ステーション10について説明すると、図1および図2に示すように、前記フイルム貼着ステーション9に対して、マンドレル5の巡回方向での下流側に、加飾フイルム2が貼着された缶体1を次工程へ送り出す缶体排出ステーション10が設けられている。この缶体排出ステーション10は、マンドレル5から排出コンベヤ64に対して缶体1を移載するステーションであって、その排出コンベヤ64は、前記回転体4の下端部に対向する位置に配置されている。また排出コンベヤ64が直線状のものであるから、これに対応してマンドレル5の移動軌跡が所定の区間で排出コンベヤ64と一致するよう前記カム溝22によって直線状に設定されている。さらにマンドレル軸11に形成した空気孔30が、この缶体排出ステーション10において図示しない適宜の圧縮空気源に接続され、空気孔30からエアーブローして缶体1を排出コンベヤ64側に飛翔させてマンドレル5から離脱させるように構成されている。また排出コンベヤ64は、缶体1を確実に保持するために、缶体1の底部を吸着して保持するように構成されている。
【0072】
つぎに上記のように構成されたフイルム貼着装置の作用すなわちこの発明の方法を説明する。まず、装置全体を起動すると、マンドレル5は、回転体4が回転することに伴いその周辺部分をカム溝22によって規定される巡回経路に沿って巡回し、その途中のマンドレル加熱ステーション6においてマンドレル5の外面の薄肉外皮部材26が加熱昇温される。具体的には、フイルム貼着ステーション9における加飾フイルム2の接着剤の溶融開始温度以上でかつフイルムの溶融温度以下の温度範囲(通常、100℃〜200℃、好ましくは130℃〜180℃)の温度となるように高周波誘導加熱されるとともに、稼働開始時からは、フイルム貼着後の缶体1の温度と同一温度もしくはそれより5℃〜10℃高い温度範囲の所定温度となるよう高周波誘導加熱される。なおその場合、マンドレル5を自転させることにより、その外周部の全体を均一に加熱昇温することができる。
【0073】
一方、絞りしごき加工された缶体1が、洗浄および乾燥処理された後、シュート36を介して熱風加熱部32を構成している熱風加熱炉35に供給されている。熱風加熱炉35の内部では、缶体1の進行方向に所定温度に加熱昇温された熱風が吹き出しているので、缶体1はその熱風によって案内部材37上を転動しながら搬送される。その搬送の間に例えば80℃〜90℃程度に加熱昇温される。
【0074】
このようにして加熱された缶体1は、熱風加熱炉35の出口からインフィードスクリュー42に向けて落下する。そのインフィードスクリュー42はその中心軸線を中心に回転しており、かつ外周面に螺旋溝43が形成されているので、缶体1がその螺旋溝43の内部に入り込み、缶押えガイド44との間に挟み込まれた状態で缶体1が斜め下方にかつ所定のピッチ毎に搬送される。
【0075】
このようにしてインフィードスクリュー42によって搬送される間に、赤外線ヒータ45から缶体1に対して赤外線が照射され、缶体1が加熱昇温される。その場合、インフィードスクリュー42の側部に配置されている缶スピンベルト46がインフィードスクリュー42による缶体1の搬送速度とは異なる速度で走行していて缶体1に接触しているので、インフィードスクリュー42における螺旋溝43に保持された缶体1がその中心軸線を中心に自転する。そのため、缶胴1bの外面の全体が赤外線ヒータ45に均等に曝されるので、缶体1が均一に加熱昇温される。なお、缶体1の予備加熱温度は、その表面温度がフイルム貼着ステーション9での接着剤の溶融開始温度以上でかつ加飾フイルム2の溶融温度以下(目標温度:通常100℃〜200℃、好ましくは130℃〜180℃)の温度範囲の所定温度となる温度である。
【0076】
インフィードスクリュー42から斜め下方に送り出された缶体1は、インフィードターレット34における凹部47に入り込む。インフィードターレット34は、回転ターレット15とほぼ同一の周速で回転させられているので、その凹部47に収容された缶体1は、回転ターレット15に向けて搬送されるとともに、各ターレット34,15の交差箇所で回転ターレット15のポケット部16に缶体1が受け渡される。
【0077】
回転ターレット15と回転体4とは同期して回転しているので、ポケット部16に保持された缶体1は、マンドレル5に対向しており、その状態で回転している間にエアーノズル48からポケット部16の缶体1の底部をエアーブローして缶体1をマンドレル5側に移動させ、マンドレル5に嵌着させる。その場合、マンドレル軸11に形成してある空気孔30が所定の吸引源に連通され、缶体1の内部が吸引されるためにマンドレル5に対する缶体1の嵌着がスムースに行われる。
【0078】
マンドレル5は前述した温度に予め加熱されているので、そのマンドレル5に嵌着された缶体1にはマンドレル5から熱が伝達され、マンドレル5に嵌着されるまでの間の温度低下が補正又は防止される。このようにしてマンドレル5に嵌着させられた缶体1は、予め所定温度に加熱されているマンドレル5から熱を受けて内側から加熱昇温され、これと同時にマンドレル5の温度と缶体1の温度との平衡化が缶胴1bの内面側から行われる。
【0079】
マンドレル5の巡回に伴って缶体1が強制伝熱ステーション8を通過する。この強制伝熱ステーション8では、ベルト部材54がマンドレル5の巡回経路の外側から缶体1に接触するので、缶体1が回転体4の中心方向に向けて押圧され、その結果、缶体1の内面がマンドレル5の外面に密着させられ、かつベルト部材54が走行していて缶体1が回転させられるために、その内面の全体がマンドレル5に順に密着させられる。すなわち缶体1の全体にマンドレル5から均等に熱が伝達される。
【0080】
一方、ベルト部材54は、赤外線照射手段58によって赤外線が照射されて加所定温度に加熱されている。したがってこのベルト部材54が缶体1をマンドレル5に向けて押圧してその内面をマンドレル5に密着させると同時に、ベルト部材54から缶体1に対して熱伝達が生じる。その結果、缶胴壁が内外両方から熱を受け、缶胴1bの厚さ方向における温度勾配が緩和される。
【0081】
上記のベルト部材54がマンドレル5に嵌着された缶体1に接触して缶体1を回転させることにより、缶体1の周速が後段のフイルム貼着ステーション9における貼付ドラム62の周速とほぼ一致し、その状態で缶体1がフイルム貼着ステーション9に搬送される。すなわち缶体1は、フイルム貼着ステーション9に至る直前でプレスピンを掛けた状態で回転させられることになる。
【0082】
フイルム貼着ステーション9では、所定の長さに切断された加飾フイルム2が貼付ドラム62の外周面に吸着して保持されて貼付ドラム62と共に回転している。このフイルム貼着ステーション9に到達したマンドレル5および缶体1は、回転体4の回転に伴って旋回移動するが、その際にカム溝22の形状に従ってカムフォロア21が移動してカムフォロア軸19が回動することにより、軸12が回転し、この軸12に偏心して一体化してあるマンドレル5が回転体4の半径方向に移動する。
【0083】
その間に缶体1の外面の一部が、貼付ドラム62の外面における加飾フイルム2同士の間の部分62Aに接触し、ここを接触開始点として缶体1が貼付ドラム62に押し付けられる。その状態を図14および図15に模式的に示してある。したがって缶体1の自転による周速と貼付ドラム62の周速とが相違していても、両者がこのように接触することにより貼付始めでは同期した回転数になり、またその場合、缶体1に対してトルクが作用するが、両者の間に加飾フイルム2が介在されていないので、加飾フイルム2のシワの発生などの不都合は生じない。
【0084】
前述したようにマンドレル5を軸12に対して偏心した状態に一体化し、かつその軸12をカム溝22の形状に従って回転させ、それに伴ってマンドレル5の巡回軌跡を貼付ドラム62の外周面に沿う形状としたので、貼付ドラム62の外面に接触した缶体1は、その接触状態を維持して貼付ドラム62の外周面に沿って移動する。すなわち相対的には、缶体1が貼付ドラム62の外周面を転動することになるので、貼付ドラム62の外面に吸着保持してある加飾フイルム2が缶体1の外周面に巻き付く。そして缶体1が接着剤の溶融開始温度程度に事前に加熱昇温されており、また貼付ドラム62に対して押し付けられているから、加飾フイルム2が缶体1の外周面に熱接着される。その場合、マンドレル5の巡回軌跡の設定の仕方に応じて缶体1が一回転以上する間、缶体1が貼付ドラム62に接触し続けるので、加飾フイルム2は、缶体1の外周面に確実に貼着される。
【0085】
そして加飾フイルム2が貼着された缶体1は、マンドレル5に嵌着された状態で自転しながら、缶体排出ステーション10まで搬送される。この缶体排出ステーション10では、マンドレル軸11に形成してある空気孔30からエアーブローされて缶体1が排出コンベヤ64に向けてマンドレル5から抜き取られる。同時に排出コンベヤ64では缶体1の底部をマグネットまたはバキュームで吸着し、缶体1を確実に保持して次工程に搬送する。その場合、缶体排出ステーション10におけるマンドレル5の巡回経路が、排出コンベヤ64に合わせて直線状になっているので、マンドレル5からの排出コンベヤ64に対する缶体1の受け渡しが確実に行われる。そして、缶体1は、接着剤の硬化工程へ移送され、さらに後工程に搬送されて、缶体1の内面に塗装が施され、開口端部にはネックイン加工やフランジ加工が施され缶体1が製造される。
【0086】
一方、缶体1を排出後、缶体1が離脱されたマンドレル5は、マンドレル加熱ステーション6に巡回移動し、回転されながら設定温度まで誘導加熱され、再び、巡回経路の最初の缶体供給ステーション7へ所定の温度状態で戻ることが繰り返され、フイルムが貼着された缶体1が連続して形成される。
【0087】
ここでこの発明の方法の実施例を比較例と共に示す。
マンドレルの公転速度30m/分、60m/分、90m/分、120m/分の4種類に設定し、それぞれの公転速度において、マンドレルを室温(約30℃)、100℃、150℃の3種類に高周波誘導加熱により加熱し、また目標温度まで予備加熱して加温された缶体を連続供給し、缶胴にフイルムを連続貼着させ、フイルム貼着直前の缶体温度(T1)とフイルム貼着直後の缶体温度(T2)との変化を測定した。その結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0003763341
【0088】
この実施例および比較例における缶体の種別、フイルム材、接着剤の仕様、評価方法、およびその評価結果の表示は、以下のとおりである。
缶の種別:アルミニウム缶(開口端部の缶胴壁厚0.162〜0.165mm、缶胴中央部の壁厚0.110〜0.115mm)
フイルム材:ポリエチレンテレフタレート樹脂、厚さ16μm
接着剤の仕様:ポリエステルエポキシ系樹脂、厚さ5μm
評価試験方法:フイルム貼着後、内面スプレー、乾燥後レトルト処理(130℃×30分)実施した後、フイルム貼着缶を目視にて、缶胴全面および重ね合わせ部におけるフイルムの浮き上がりがないかを確認する。○…浮き上がりなし、×…浮き上がり部の直径が1mm以上あるものとして評価する。
【0089】
上記の実施例および比較例の結果から、以下の事項が明らかになった。マンドレル温度が室温の例および100℃の例では、マンドレルの公転速度が遅くなると、缶体にフイルムを貼着した後、急速に缶体の熱がマンドレルに奪われ、缶体温度が低下していることが分かる。一般的に、接着剤の溶融開始温度が150℃であれば、接着剤の表面が接着力を維持する温度範囲は130〜170℃であり、120℃よりも低い温度であれば、接着剤が缶体の熱によって加熱されても、接着力が維持されず、その後の製缶工程や、内容物を充填する工程でフイルムが浮き上がって剥離することがある。また、フイルムの貼り始めと貼り終わりとが重なる部分でフイルムの密着性が低下し、商品価値をなくすおそれがある。
【0090】
このような意味から、フイルムの貼着の前後における缶体温度(T1)と(T2)との温度差が大きくなるのは好ましくなく、安定してフイルムの接着剤を溶融させて確実に缶胴外面に熱接着できるようにするためは、マンドレルの温度をフイルム貼着直後の缶体温度と同じか若干高めの温度にするのが好ましいことが分かる。また、接着剤の表面が接着力を維持する温度範囲を超えてマンドレルを過剰に加熱して昇温することは、熱エネルギを無駄に消費して不経済である。したがって、金属缶体を嵌着する前段の前記マンドレルを、その表面温度がフイルム貼着直後の前記金属缶体の表面温度(T2)と同一温度乃至はそれより5℃〜10℃高い温度範囲となるように高周波誘導加熱するのが好ましい。
【0091】
ここで、上記の具体例とこの発明の関係を説明すると、上記の缶体1がこの発明の金属缶体に対応し、上記の加飾フイルム2がこの発明の加飾フイルムに対応し、上記の貼付ドラム62がこの発明の貼付ドラムに対応し、ベルト部材54がこの発明のベルト部材および押圧部材に対応し、上記のマンドレル加熱ステーション6あるいは高周波加熱コイル49がこの発明のマンドレル加熱手段に対応し、上記の保温ドラム63がこの発明の貼付ドラム加温手段に対応し、上記の赤外線照射手段58がこの発明の押圧部材加熱手段に対応する。
【0092】
なお、この発明は上記の具体例に限定されないのであって、例えば強制伝熱ステーションにおけるベルト部材を加熱するための手段は、マンドレルに嵌着されている缶体に接触しているベルト部材の背面側に配置し、ベルト部材を缶体に接触させた状態でこれらを加熱するように構成してもよい。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の方法あるいは請求項2の装置によれば、マンドレルヘ嵌着する前の金属缶体を予備加熱するとともに、金属缶体をマンドレル嵌着する直前に、マンドレルの表面温度をフイルム貼着直後の前記金属缶体の表面温度以上の所定の温度範囲となるように高周波誘導加熱するので、マンドレルの公転速度が変化して高速になった場合、あるいは反対に低速になった場合であっても、嵌着後の缶体温度を均一化させることができ、そのため、安定してフイルム貼着缶を製造することができる。
【0094】
また、嵌着前のマンドレルの表面温度をフイルム貼着直後の金属缶体の表面温度以上の所定の温度範囲となるように加熱し、一方、加飾フイルムを缶胴に貼着する貼付ドラムの表面温度を50℃超に加温するので、加飾フイルムの缶胴への貼り始め端部の上に、貼り終わりのフイルム端部を重ね合わせる部分、つまり重ねて貼り合わせる重ね合わせ部において、フイルムに熱吸収されても、貼付ドラム側から熱を供給することができ、その結果、フイルム上面の接着剤を融着できる温度に維持することができるため、フイルム重ね合わせ部において安定した接着をおこなうことができる。
【0095】
更に、ベルト部材もしくは押圧部材が缶胴壁の外面に接触することにより、缶体内面をマンドレル外面に強制的に押し付けて密着させ、その状態で缶体を回転させるため、缶内径が必ずしも真円でなくても、缶胴壁がベルト部材もしくは押圧部材とマンドレルとで挟持され、マンドレルから金属缶体に確実に熱伝達しやすくなる。さらに金属缶体が回転することによりマンドレルに対する密着部分が円周方向に移動するため、缶胴全周に亘り熱伝達量のバラツキを少なくし、迅速に缶体温度を均一化させることができる。
【0096】
そして、マンドレルに嵌着された金属缶体に対して、缶胴の内面側ではマンドレルからの熱伝達が生じ、また缶胴の外面側ではベルト部材もしくは押圧部材からの熱伝達が生じ、その結果、缶胴壁を内外面両側からの熱伝達で昇温させて、その加熱量が均一化され、缶胴壁における温度勾配が緩和され、缶胴壁の板厚の差に起因する温度のバラツキが少なくなる。具体的には、缶底側の壁厚が缶胴中央部の壁厚より厚いために、熱伝達の速さが部分的に異なり、缶胴の高さ方向おいて缶体温度にバラツキが生じ易いが、缶胴の内外面からの熱伝達によりその影響を少なくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例におけるフイルム貼着装置の全体概略正面図である。
【図2】 そのフイルム貼着装置の主要部分の配置を示す機構図である。
【図3】 図1に示すフイルム貼着装置の概略的な断面図である。
【図4】 マンドレルの構造を説明するための部分断面図である。
【図5】 そのマンドレルの断面図である。
【図6】 熱風加熱炉の構成を説明するための模式的な部分断面正面図である。
【図7】 熱風加熱炉の構成を説明するための模式的な部分断面側面図である。
【図8】 熱風加熱部の熱風の循環経路を説明するための系統図である。
【図9】 図1におけるIX部の拡大図である。
【図10】 赤外線加熱部の構成を説明するための模式的な部分断面正面図である。
【図11】 赤外線加熱部の構成を説明するための模式的な部分断面側面図である。
【図12】 赤外線加熱部の構成を説明するための模式的な部分平面図である。
【図13】 この発明の実施例における高周波誘導加熱コイルの形状を概略的に示す斜視図である。
【図14】 フイルム貼付ステーションの構成を示す模式図である。
【図15】 缶体に対して貼付ドラムによってフイルムを貼着している状態を示す模式的な斜視図である。
【図16】 この発明で対象とする缶体の一例を示す正面図である。
【図17】 加飾フイルムの拡大断面図である。
【符号の説明】
1…缶体、 2…加飾フイルム、 5…マンドレル、 6…マンドレル加熱ステーション、 7…缶体供給ステーション、 8…強制伝熱ステーション、 9…フイルム貼着ステーション、 10…缶体排出ステーション、 32…熱風加熱部、 33…赤外線加熱部、 49…高周波誘導加熱コイル、 54…ベルト部材、 58…赤外線加熱手段、 62…貼付ドラム、 63…保温ドラム。

Claims (2)

  1. 金属缶体を予備加熱するとともに、自転可能な複数のマンドレルに順次嵌着し、かつそのマンドレルと共に所定の巡回経路に沿って移動させ、その移動過程で、前記金属缶体の缶胴面に、予め所定長さに切断されて貼付ドラムの外表面上に保持された加飾フイルムを、接着剤を介して圧接することにより前記金属缶体に貼着する金属缶体のフイルム貼着方法において、
    備加熱した前記金属缶体を前記マンドレルに嵌着する直前に、前記マンドレルの表面温度をフイルム貼着直後の前記金属缶体の表面温度以上の所定の温度範囲となるように高周波誘導加熱するとともに、前記金属缶体の缶胴面と接触するベルト部材のベルト面を赤外線照射加熱し、前記金属缶体を前記マンドレルに嵌着後、前記缶胴面に前記ベルト部材を接触走行させて前記金属缶体を前記マンドレルに密着させることにより前記金属缶体の缶胴壁を内外面両側からの熱伝達で昇温させて、表面温度を50℃超に加温した前記貼付ドラム上の前記加飾フイルムを缶胴に貼着することを特徴とする金属缶体のフイルム貼着方法。
  2. 予備加熱された金属缶体を、自転可能な複数のマンドレルに順次嵌着し、かつそのマンドレルと共に所定の巡回経路に沿って移動させ、前記金属缶体をフィルム貼着部に搬送する間に、前記金属缶体の缶胴部に押圧部材を接触させ前記金属缶体の内面を前記マンドレルに強制的に押し付けて密着させながら前記金属缶体を回転させ、前記金属缶体の缶胴面に、予め所定長さに切断されて貼付ドラムの外表面上に保持された加飾フイルムを、接着剤を介して圧接することにより前記金属缶体に貼着する金属缶体のフイルム貼着装置において、
    予備加熱した前記金属缶体を嵌着する直前のマンドレルの表面温度をフイルム貼着直後の前記金属缶体の表面温度以上の所定の温度範囲となるように高周波誘導加熱するマンドレル加熱手段と、
    前記貼付ドラムの表面温度を50℃超に加温する貼付ドラム加温手段と、
    前記押圧部材のうち少なくとも金属缶体に接触する部分を加熱する押圧部材加熱手段とを備えていることを特徴とする金属缶体のフイルム貼着装置。
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