JP3762118B2 - 車両用乗員拘束保護装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両に装備される車両用乗員拘束保護装置に関し、特に、乗員を保護するためのシートベルトの巻き取り及び引き出しを行う電動リトラクタを用いた車両用乗員拘束保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シートベルトの巻き取り及び引き出しを行うリトラクタを備えた車両用乗員拘束保護装置は、従来より知られており、シートベルトの装着を容易に行えるようにするため、乗員がシートベルトを引き出したときにモータを空転させるもの(巻き取りばねによるシートベルトの巻き取りを行っていないもの)及びシートベルトの引き出しが検出されるとモータを引き出し側に回転駆動し引き出しの補助を行うもの(巻き取りばねによるシートベルトの巻き取りを行っているもの)等がある。
【0003】
また、従来はシートベルトの引き出しが停止してから所定時間経過後、シートベルトの巻き取り動作を行うようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記所定時間によってはシートベルトを早く巻き取ることを望むのに、現実にはシートベルトをなかなか巻き取らないため乗員に違和感を与える場合があった。また、シートベルトをなかなか装着できなくてその途中で巻き取り状態になりシートベルトを装着しにくくなる場合があった。
【0005】
本発明は、上記点に着目してなされたものであり、快適なシートベルト装着環境を提供することができる車両用乗員拘束保護装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の車両用乗員拘束保護装置は、乗員を保護するシートベルトと、前記乗員による前記シートベルトの装着の有無を検出する第1の検出手段と、必要に応じて前記シートベルトを巻き取り且つ引き出す電動リトラクタとを備え、前記電動リトラクタは、前記シートベルトに巻き取り力及び引き出し力を付与するモータと、前記モータの駆動を制御する制御手段とを有する車両用乗員拘束保護装置であって、前記シートベルトが前記乗員の手によって握られているか否かを検出する第2の検出手段を備え、前記制御手段は、前記第1の検出手段によって前記シートベルトの装着が無いことを検出した状態において、前記第2の検出手段によって前記シートベルトが前記乗員の手によって握られていることを検出した場合、前記シートベルトに引き出し力を付与するように前記モータの駆動を制御することを特徴とする。
【0007】
本発明の構成によれば、シートベルトの装着が無いことを検出した状態において、シートベルトが乗員の手によって握られていることを検出した場合、シートベルトに引き出し力を付与するようにモータの駆動を制御するので、乗員の意志に基づいてシートベルトに引き出し力を付与することができ、さらに、シートベルトの引き出し操作の初期からシートベルトに引き出し力を付与することができるので、快適なシートベルト装着環境を提供することができる。
【0008】
上記目的を達成するため、請求項2記載の車両用乗員拘束保護装置は、請求項1記載の車両用乗員拘束保護装置において、前記制御手段は、前記第1の検出手段によって前記シートベルトの装着が無いことを検出した状態において、前記第2の検出手段によって前記シートベルトが前記乗員の手によって握られていないことを検出した場合、前記シートベルトに巻き取り力を付与するように前記モータの駆動を制御することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、シートベルトの装着が無いことを検出した状態において、シートベルトが乗員の手によって握られていないことを検出した場合、シートベルトに巻き取り力を付与するようにモータの駆動を制御するので、乗員の意志に基づいてシートベルトに巻き取り力を付与することができるので、快適なシートベルト装着環境を提供することができる。
【0010】
上記目的を達成するため、請求項3記載の車両用乗員拘束保護装置は、請求項1又は2記載の車両用乗員拘束保護装置において、前記シートベルトは、その表面に導電性の検出部材を有し、前記第2の検出手段は、前記乗員の皮膚が前記検出部材に接触したときに前記検出部材に発生する電気的変動により、前記シートベルトが前記乗員によって握られているか否かを検出することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、シートベルトが乗員によって握られているか否かを正確に検出することができ、モータの駆動の制御を確実に行うことができる。
【0012】
上記目的を達成するため、請求項4記載の車両用乗員拘束保護装置は、請求項1又は2記載の車両用乗員拘束保護装置において、さらに、車両室内に前記乗員の手及び前記シートベルトを撮像する撮像手段を備え、前記第2の検出手段は、前記撮像手段によって撮像された前記乗員の手及び前記シートベルトに基づいて前記シートベルトが前記乗員の手によって握られているか否かを検出することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、シートベルトが乗員によって握られているか否かを正確に検出することができ、モータの駆動の制御を確実に行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
(1)第1の実施の形態
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用乗員拘束保護装置が備えている電動リトラクタ100の構成を示す図である。
【0016】
電動リトラクタ100はフレーム1を備えている。このフレーム1にはシートベルト4を巻き取るリールシャフト3が回転自在に設置され、車両に所定の減速度が作用したとき又はシートベルト4が所定の加速度で引き出されたときにシートベルト4の引き出しをロックする公知のシートベルトロック機構2が固定されている。
【0017】
次いで、リールシャフト3の中心軸3aはリールシャフト用プーリ5の中心軸に連結されており、このリールシャフト用プーリ5は動力伝達ベルト7を介して直流モータ用プーリ6に接続されている。
【0018】
リールシャフト用プーリ5及び直流モータ用プーリ6の外周にはそれぞれ所定数の外歯が形成され、また動力伝達ベルト7の内周にも所定数の内歯が形成されており、リールシャフト用プーリ5及び直流モータ用プーリ6の外歯と動力伝達ベルト7の内歯とはそれぞれ過不足なくかみ合っている。
【0019】
直流モータ用プーリ6の中心軸は直流モータ10に連結されている。従って、直流モータ10の回転は直流モータ用プーリ6を介してリールシャフト3に伝達される。
【0020】
直流モータ10は、フレーム1に少なくとも2点以上で固定されており、また直流モータ駆動部11を介してMPU(Micro Processing Unit)14に接続されている。直流モータ駆動部11はMPU14からの制御信号に基づいて直流モータ10の回転を制御する。
【0021】
図2は直流モータ駆動部11の回路図である。図2中の端子P1及び端子P2はMPU14から出力されるPWM(パルス幅変調)信号の入力端子であり、端子P1及び端子P2には、例えば、20kHzのPWM信号が入力される。端子P3及び端子P4は電流検出用の出力端子であり、端子P5及び端子P6は電圧検出用の出力端子であり、端子P1〜端子P6はそれぞれMPU14に接続されている。また、図2中の電圧Vbは直流モータ10に供給され、図2中の複数のトランジスタ及びFET等は、MPU14からのPWM信号により直流モータ10の回転を正転又は反転駆動させるためのものである。
【0022】
図2中の回路C1は、抵抗r1に流れる電流から直流モータ10に流れる電流iを検出する電流検出回路であり、PWM信号の影響による電流の変動を取り除くためのインターフェイス回路(以下、IFという)1及びIF2を備えている。MPU14は、IF1及びIF2からそれぞれ電圧信号を受信し、この電圧信号に基づいて直流モータ10に流れる電流iを検出する。
【0023】
回路C2は直流モータ10にかかる端子間電圧Vを測定する電圧測定回路であり、PWM信号の影響による端子間電圧Vの変動を取り除くため、IF3及びIF4を備えている。MPU14は、IF3及びIF4からそれぞれ電圧信号を受信し、この電圧信号に基づいて直流モータ10にかかる端子間電圧Vを測定する。
【0024】
IF1〜IF4は、例えば抵抗r2、抵抗r2より小さい抵抗値の抵抗r3及びコンデンサc3からなるローパスフィルタ構成となっており、カットオフ周波数を、例えば、20Hzに設定している。これにより、電流検出回路C1及び電圧測定回路C2でMPU14に出力されるPWM信号の影響は、−60dBに低減され、本来電流検出回路C1で検出しようとしている電流や電圧測定回路C2で測定しようとしている端子間電圧にほとんど影響を与えなくなる。
【0025】
図1に戻り、MPU14は、時間を計るタイマ15を備えており、シートベルト4の装着の有無を検出するシートベルト装着有無検出部(第1の検出手段)16及びシートベルト4の装着動作を検出するシートベルト装着動作検出部(第2の検出手段)20に接続されている。
【0026】
図3は、シートベルト4の構成を示す図である。図3(A)はシートベルト4の断面図であり、(B)はシートベルト4の上面図である。このシートベルト4は導電性繊維(検出部材)8が繊り込まれており、所定の間隔でシートベルト4の表面に導電性繊維8を露出させている。
【0027】
図4はシートベルト装着動作検出部20の構成を示すブロック図である。シートベルト装着動作検出部20は増幅器41、バンドパスフィルタ42及び比較器43を備えている。
【0028】
導電性繊維8の一端は電気的に開放され、他端が増幅器41に接続されている。導電性繊維8から入力された信号は高入力抵抗の増幅器41で増幅され、バンドパスフィルタ42により所定の周波数成分の電気信号以外は減衰され、比較器43により所定周波数の電気信号の電圧レベルが所定値と比較され、所定値以上ならばシートベルト4を手で握っていると判断し、この判断結果を示す電気信号がMPU14に入力される。一方、前記電気信号が所定値以下ならばシートベルト4を手で握っていないと判断し、この判断結果を示す電気信号がMPU14に入力される。
【0029】
MPU14は、シートベルトの非装着状態のときに、シートベルト4を手で握っていることを示す電気信号が入力された場合には、乗員はシートベルト4を装着しようとしていると判断し、シートベルトの引き出し補助を行うため、直流モータ10をシートベルト引き出し側に回転させる制御信号を直流モータ駆動部11に出力する。一方、シートベルト4を手で握っていないことを示す電気信号が入力された場合には、シートベルト4の格納を行うため、直流モータ10をシートベルト巻き取り側に回転させる制御信号を直流モータ駆動部11に出力する。
【0030】
上述したように、本実施の形態によれば、シートベルト装着動作検出部20によりシートベルト4が乗員の手によって握られていることを検出した場合、シートベルト4に引き出し力を付与するように直流モータ10の駆動を制御するので、乗員の意志に基づいてシートベルト4に引き出し力を付与することができ、さらに、シートベルト4の引き出し操作の初期からシートベルト4に引き出し力を付与することができるので、快適なシートベルト装着環境を提供することができる。
さらに、シートベルト装着動作検出部20によりシートベルト4が乗員の手によって握られていないことを検出した場合、シートベルト4に巻き取り力を付与するように直流モータ10の駆動を制御するので、乗員の意志に基づいてシートベルト4に巻き取り力を付与することができるので、快適なシートベルト装着環境を提供することができる。
【0031】
(2)第2の実施の形態
本発明の第2の実施の形態に係る車両用乗員拘束保護装置が備えている電動リトラクタ200の構成は上述した電動リトラクタ100の構成とほぼ同じであるが、シートベルト装着動作検出部20に変えてシートベルト装着動作検出部60を備えている点が異なる。
【0032】
図5は車両の室内の構成を示した図である。図5に示すように運転席側のフロントガラス上部に撮像装置51が取り付けられており、運転席の乗員の手及びシートベルト4を撮像する。
【0033】
図6は、シートベルト装着動作検出部60の構成を示すブロック図である。シートベルト装着動作検出部60はエッジ検出部61、手・シートベルト抽出部62及び装着判断部63を備えている。
【0034】
撮像装置51で撮像された映像データはエッジ検出部61によりエッジ検出される。そして、手・シートベルト抽出部62がエッジ検出された映像データから背景に対する手をまず抽出し、次に手近傍のシートベルト4を抽出する。次いで、装着判断部63がこれらの抽出されたデータから手でシートベルト4を握っているか否かを判断し、この判断結果を示す電気信号をMPU14に出力する。
【0035】
MPU14は、シートベルトの非装着状態のときに、シートベルト4を手で握っていることを示す電気信号が入力された場合には、乗員はシートベルト4を装着しようとしていると判断し、シートベルト4の引き出し補助を行うため、直流モータ10をシートベルト引き出し側に回転させる制御信号を直流モータ駆動部11に出力する。一方、シートベルト4を手で握っていないことを示す電気信号が入力された場合には、シートベルト4の格納を行うため、直流モータ10をシートベルト巻き取り側に回転させる制御信号を直流モータ駆動部11に出力する。
【0036】
上述したように、本実施の形態によれば、シートベルト装着動作検出部60によりシートベルト4が乗員の手によって握られていることを検出した場合、シートベルト4に引き出し力を付与するように直流モータ10の駆動を制御するので、乗員の意志に基づいてシートベルト4に引き出し力を付与することができ、さらに、シートベルト4の引き出し操作の初期からシートベルト4に引き出し力を付与することができるので、快適なシートベルト装着環境を提供することができる。
さらに、シートベルト装着動作検出部60によりシートベルト4が乗員の手によって握られていないことを検出した場合、シートベルト4に巻き取り力を付与するように直流モータ10の駆動を制御するので、乗員の意志に基づいてシートベルト4に巻き取り力を付与することができるので、快適なシートベルト装着環境を提供することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1記載の車両用乗員拘束保護装置によれば、シートベルトの装着が無いことを検出した状態において、シートベルトが乗員の手によって握られていることを検出した場合、シートベルトに引き出し力を付与するようにモータの駆動を制御するので、乗員の意志に基づいてシートベルトに引き出し力を付与することができ、さらに、シートベルトの引き出し操作の初期からシートベルトに引き出し力を付与することができるので、快適なシートベルト装着環境を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る車両用乗員拘束保護装置が備えている電動リトラクタ100の構成を示す図である。
【図2】 直流モータ駆動部11の回路図である。
【図3】 シートベルト4の構成を示す図である。
【図4】 シートベルト装着動作検出部20の構成を示すブロック図である。
【図5】 車両の室内の構成を示した図である。
【図6】 シートベルト装着動作検出部60の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 フレーム
2 シートベルトロック機構
3 リールシャフト
4 シートベルト
5 リールシャフト用プーリ
6 直流モータ用プーリ
7 動力伝達ベルト
10 直流モータ
11 直流モータ駆動部
14 MPU(制御手段)
16 シートベルト装着有無検出部(第1の検出手段)
20,60 シートベルト装着動作検出部(第2の検出手段)
100 電動リトラクタ
Claims (4)
- 乗員を保護するシートベルトと、前記乗員による前記シートベルトの装着の有無を検出する第1の検出手段と、必要に応じて前記シートベルトを巻き取り且つ引き出す電動リトラクタとを備え、前記電動リトラクタは、前記シートベルトに巻き取り力及び引き出し力を付与するモータと、前記モータの駆動を制御する制御手段とを有する車両用乗員拘束保護装置であって、
前記シートベルトが前記乗員の手によって握られているか否かを検出する第2の検出手段を備え、
前記制御手段は、前記第1の検出手段によって前記シートベルトの装着が無いことを検出した状態において、前記第2の検出手段によって前記シートベルトが前記乗員の手によって握られていることを検出した場合、前記シートベルトに引き出し力を付与するように前記モータの駆動を制御することを特徴とする車両用乗員拘束保護装置。 - 前記制御手段は、前記第1の検出手段によって前記シートベルトの装着が無いことを検出した状態において、前記第2の検出手段によって前記シートベルトが前記乗員の手によって握られていないことを検出した場合、前記シートベルトに巻き取り力を付与するように前記モータの駆動を制御することを特徴とする請求項1記載の車両用乗員拘束保護装置。
- 前記シートベルトは、その表面に導電性の検出部材を有し、前記第2の検出手段は、前記乗員の皮膚が前記検出部材に接触したときに前記検出部材に発生する電気的変動により、前記シートベルトが前記乗員によって握られているか否かを検出することを特徴とする請求項1又は2記載の車両用乗員拘束保護装置。
- さらに、車両室内に前記乗員の手及び前記シートベルトを撮像する撮像手段を備え、前記第2の検出手段は、前記撮像手段によって撮像された前記乗員の手及び前記シートベルトに基づいて前記シートベルトが前記乗員の手によって握られているか否かを検出することを特徴とする請求項1又は2記載の車両用乗員拘束保護装置。
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