JP3695622B2 - 車両用乗員拘束保護装置 - Google Patents

車両用乗員拘束保護装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両に装備される車両用乗員拘束保護装置に関し、特に、乗員を保護するためのシートベルトの巻き取り及び引き出しを行う電動リトラクタを用いた車両用乗員拘束保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エアバッグを展開することにより乗員を拘束するエアバック装置、シートベルトを急速に巻き取ることにより乗員を拘束するプリテンショナー、エアバックの起動時間や展開圧力及びプリテンショナーの起動時間やプリテンショナーによるシートベルトの引張張力を制御するエアバック及びプリテンショナー用コントローラ及び車両の衝突時にかかる負の加速度を検出するセンサーを備えている車両用乗員拘束保護装置は、従来より知られている。
【0003】
上記センサーにより車両の衝突時にかかる負の加速度が検出されると、該センサーより車両の衝突時にかかる負の加速度に対応する信号がエアバック及びプリテンショナー用コントローラに出力され、エアバック及びプリテンショナー用コントローラでは該信号に基づいてエアバックの起動時間や展開圧力及びプリテンショナーの起動時間やプリテンショナーによるシートベルトの巻き取り力を制御して、前記エアバック及びプリテンショナーを起動させていた。
【0004】
また、従来は実際にシートベルトの巻き取り及び引き出しができるか否かを乗員等が確認すること又はシートベルトを急速に引き出してロックするか否か確認することでシートベルトのロック機構の故障診断が行われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は大きく分けて2つあり、第1の課題は、従来の車両用乗員拘束保護装置が備えているエアバッグは、車両の衝突時にシートベルトの引き出し速度とは無関係にエアバッグ及びプリテンショナー用コントローラによりその起動時間や展開圧力が制御されるため、例えばエアバッグ及びプリテンショナー用コントローラにより起動時間を遅くしてエアバッグ及びプリテンショナーを起動せよと判断された場合には、シートベルトの引き出し速度が大きく乗員が車内装備品に衝突しそうな場合でも、エアバッグ及びプリテンショナーの起動時間は遅いままであった。
【0006】
また、例えばエアバッグ及びプリテンショナー用コントローラにより展開圧力を大きくしてエアバッグを起動せよと判断された場合には、シートベルトの引き出し速度が大きくてそのまま行けば大きな圧力のエアバッグにより乗員が拘束されて、車両に加わる大きな衝撃が直接乗員に加わることが予想されても、シートベルトの引き出し速度によるエアバッグの圧力変更はできなかった。
【0007】
また、従来、車両の衝突後に規定値以上の張力がシートベルトに加わると、その値を超えないようにするためにリールシャフトをシートベルトの引き出し側に回転させる機能(以下、EA機能という)を有する機構、即ち公知のEA機構(ロードリミッター)があるが、当該EA機能が有効になってからある所定の長さのシートベルトが引き出されるとEA機能は終了する。このため、車両の衝突の強弱に拘わらずEA機能がなされるため、例えば車両の強い衝突のときに、未だEA機能を持続して働かせたいにも拘わらずその途中で終了してしまうことがあり、当該EA機能の終了後に、乗員に急激な衝撃が加わり効果的な乗員の衝撃吸収ができないことがあった。また、車両の弱い衝突のときに、規定値以上の張力がシートベルトに加わわらないため、当該EA機能が働かずに衝撃吸収することができないことがあった。
【0008】
本発明は、上記点に着目してなされたものであり、車両の衝突時に乗員を適切に保護することができる車両用乗員拘束保護装置を提供することを目的とする。
【0009】
第2の課題は、上記従来の故障診断では、シートベルトロック機構の故障を正確に診断できないことがあった。
【0010】
本発明は、上記点に着目してなされたものであり、正確にシートベルトロック手段の故障診断をすることができる車両用乗員拘束保護装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の車両用乗員保護装置は、シートベルトの巻き取り及び引き出しを行う電動リトラクタと、エアバッグを展開することにより乗員を拘束するエアバック装置と、前記シートベルトを急速に巻き取ることにより乗員を拘束するプリテンショナーとを備えている車両用乗員拘束保護装置において、前記シートベルトが引き出される速度を前記電動リトラクタを介して検出する速度検出手段と、該検出されたシートベルトの引き出し速度に応じて、前記エアバックの起動時間、前記エアバックの展開圧力、前記プリテンショナーの起動時間、前記プリテンショナーによるシートベルトの巻き取り力及び前記電動リトラクタによるシートベルトの巻き取り力の少なくとも1つを制御する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明の構成によれば、シートベルトの引き出し速度が電動リトラクタを介して検出され、当該検出されたシートベルトの引き出し速度に応じて、エアバックの起動時間、エアバックの展開圧力、プリテンショナーの起動時間、プリテンショナーによるシートベルトの巻き取り力及び前記電動リトラクタによるシートベルトの巻き取り力の少なくとも1つが制御されるので、車両の衝突時に乗員を適切に保護することができる。
【0013】
前記制御手段は、当該検出されたシートベルトの引き出し速度が速い場合には、エアバックの起動時間を短くするように制御し、当該検出されたシートベルトの引き出し速度が遅い場合には、エアバックの起動時間を長くするように制御してもよい。
【0014】
この構成によれば、シートベルトの引き出し速度が速い場合には、エアバックの起動時間が短くなる、即ち素早くエアバックが起動し、シートベルトの引き出し速度が遅い場合には、エアバックの起動時間が長くなる、即ちゆっくりエアバックが起動するので、車両の衝突時に乗員をより適切に保護することができる。
【0015】
前記制御手段は、当該検出されたシートベルトの引き出し速度が速い場合には、エアバックの展開圧力を小さくするように制御し、当該検出されたシートベルトの引き出し速度が遅い場合には、エアバックの展開圧力を大きくするように制御してもよい。
【0016】
この構成によれば、シートベルトの引き出し速度が速い場合には、エアバックの展開圧力が小さくなり、乗員に加わる衝撃を減らすことができ、車両の衝突時に乗員をより適切に保護することができる。また、シートベルトの引き出し速度が遅い場合には、エアバックの展開圧力が大きくなり、適切な展開圧力となり、車両の衝突時に乗員をより適切に保護することができる。
【0017】
前記制御手段は、当該検出されたシートベルトの引き出し速度が速い場合には、プリテンショナーの起動時間を短くするように制御し、当該検出されたシートベルトの引き出し速度が遅い場合には、プリテンショナーの起動時間を長くするように制御してもよい。
【0018】
この構成によれば、シートベルトの引き出し速度が速い場合には、プリテンショナーの起動時間が短くなる、即ち素早くプリテンショナーが起動し、シートベルトの引き出し速度が遅い場合には、プリテンショナーの起動時間が長くなる、即ちゆっくりプリテンショナーが起動するので、車両の衝突時に乗員をより適切に保護することができる。
【0019】
前記制御手段は、当該検出されたシートベルトの引き出し速度が速い場合には、前記プリテンショナーによるシートベルトの巻き取り力を小さくするように制御し、当該検出されたシートベルトの引き出し速度が遅い場合には、前記プリテンショナーによるシートベルトの巻き取り力を大きくするように制御してもよい。
【0020】
この構成によれば、シートベルトの引き出し速度が速い場合には、プリテンショナーによるシートベルトの巻き取り力が小さくなり、乗員に加わる衝撃を減らすことができ、車両の衝突時に乗員をより適切に保護することができる。また、シートベルトの引き出し速度が遅い場合には、プリテンショナーによるシートベルトの巻き取り力が大きくなり、適切なシートベルトの巻き取り力となり、車両の衝突時に乗員をより適切に保護することができる。
【0021】
前記制御手段は、当該検出されたシートベルトの引き出し速度が速い場合には、電動リトラクタによるシートベルトの巻き取り力を大きくするように制御し、当該検出されたシートベルトの引き出し速度が遅い場合には、電動リトラクタによるシートベルトの巻き取り力を小さくするように制御してもよい。
【0022】
この構成によれば、シートベルトの引き出し速度が速い場合には、電動リトラクタによるシートベルトの巻き取り力が大きくなり、シートベルトの引き出しに大きな力を必要とし、シートベルトの引き出し速度が遅い場合には、電動リトラクタによるシートベルトの巻き取り力が小さくなり、シートベルトの引き出しに大きな力を必要としないので、シートベルトの引き出しが制御され、車両の衝突時に乗員に加わる衝撃を吸収でき、乗員をより適切に保護することができる。
【0023】
上記目的を達成するため、請求項2記載の車両用乗員拘束保護装置は、さらに、前記シートベルトが所定加速度以上で引き出された時にその引き出しをロックするシートベルトロック手段と、前記シートベルトが引き出された時の加速度に応じて、前記シートベルトロック手段が作動したか否かを判別し、該判別結果に基づいて前記シートベルトロック手段の故障を診断する故障診断手段とを備えるように構成してもよい。
【0024】
本発明の構成によれば、シートベルトが引き出された時の加速度に応じて、シートベルトロック手段が作動したか否かが判別され、該判別結果に基づいてシートベルトロック手段の故障が診断されるので、正確にシートベルトロック手段の故障診断をすることができる。
【0025】
請求項2記載の車両用乗員拘束保護装置は、さらに、車両にかかる加速度が所定加速度以上である場合に、前記シートベルトロック手段が前記シートベルトの引き出しをロックし、前記故障診断手段が前記車両にかかる加速度に応じて、前記シートベルトロック手段が作動したか否かを判別し、該判別結果に基づいて前記シートベルトロック手段の故障を診断するように構成してもよい。
【0026】
この構成によれば、車両にかかる加速度に応じて、シートベルトロック手段が作動したか否かが判別され、該判別結果に基づいてシートベルトロック手段の故障が診断されるので、正確にシートベルトロック手段の故障診断をすることができる。
【0027】
さらに、前記故障診断手段は、車両にかかる加速度が所定加速度以上である時に、前記シートベルトロック手段が作動したと判別した場合には、前記シートベルトロック手段が正常であると診断し、前記シートベルトロック手段が作動していないと判別した場合には、前記シートベルトロック手段が異常であると診断するように構成してもよい。
【0028】
この構成によれば、より正確にシートベルトロック手段の故障診断をすることができる。
【0029】
さらに、前記故障診断手段は、車両にかかる加速度が所定加速度より小さい時に、前記シートベルトロック手段が作動したと判別した場合には、前記シートベルトロック手段が異常であると診断し、前記シートベルトロック手段が作動していないと判別した場合には、前記シートベルトロック手段が正常であると診断するように構成してもよい。
【0030】
この構成によれば、より正確にシートベルトロック手段の故障診断をすることができる。
【0031】
請求項2記載の車両用乗員拘束保護装置は、さらに、前記電動リトラクタを駆動させる駆動手段と、前記シートベルトが前記所定加速度以上で引き出されるような第1の駆動信号を前記駆動手段に供給すると共に、前記所定加速度より小さい加速度で引き出されるような第2の駆動信号を前記駆動手段に供給する駆動信号供給手段を備え、前記故障診断手段が前記第1及び第2の駆動信号が夫々供給された時に、前記シートベルトロック手段が作動したか否かを判別し、該判別結果に基づいて前記シートベルトロック手段の故障を診断するように構成してもよい。
【0032】
本発明の構成によれば、シートベルトが所定加速度以上で引き出されるような第1の駆動信号が駆動手段に供給されると共に、所定加速度より小さい加速度で引き出されるような第2の駆動信号が前記駆動手段に供給され、第1及び第2の駆動信号が夫々供給された時に、シートベルトロック手段が作動したか否かが判別され、該判別結果に基づいてシートベルトロック手段の故障が診断されるので、正確にシートベルトロック手段の故障診断をすることができる。さらに、1つの駆動信号のみが供給され故障診断するのではなく、2つの駆動信号が夫々供給された時に、シートベルトロック手段が作動したか否かが判別され、該判別結果に基づいてシートベルトロック手段の故障が診断されるので、2回の判別結果に基づいて正確にシートベルトロック手段の故障診断をすることができる。また、シートベルトロック手段の分解を行わずに、正確にシートベルトロック手段の故障診断をすることができる。
【0033】
さらに、前記故障診断手段は、前記第1の駆動信号が供給された時に、前記シートベルトロック手段が作動したと判別した場合には、シートベルトロック手段が正常であると診断し、前記シートベルトロック手段が作動していないと判別した場合には、シートベルトロック手段が異常であると診断するように構成してもよい。
【0034】
この構成によれば、シートベルトが所定加速度以上で引き出されるような第1の駆動信号が供給されるので、シートベルトロック手段が作動すれば、シートベルトロック手段が正常であると診断でき、シートベルトロック手段が作動しなければ、シートベルトロック手段が異常であると診断できる。
【0035】
さらに、前記故障診断手段は、前記第2の駆動信号が供給された時に、前記シートベルトロック手段が作動したと判別した場合には、シートベルトロック手段が異常であると診断し、前記シートベルトロック手段が作動していないと判別した場合には、シートベルトロック手段が正常であると診断するように構成してもよい。
【0036】
この構成によれば、シートベルトが所定加速度より小さい加速度で引き出されるような第2の駆動信号が供給されるので、シートベルトロック手段が作動すれば、シートベルトロック手段が異常であると診断でき、シートベルトロック手段が作動しなければ、シートベルトロック手段が正常であると診断できる。
【0037】
さらに、前記故障診断手段は、前記第1の駆動信号が供給された時に、前記駆動手段に流れる電流が所定値より大きいか否かに基づいて前記シートベルトロック手段の故障を診断するように構成してもよい。
【0038】
この構成によれば、シートベルトが所定加速度以上で引き出されるような第1の駆動信号が供給されるので、シートベルトの引き出しが早くなり、シートベルトロック手段がシートベルトの引き出しをロックし、駆動手段に流れる電流が増大するので、駆動手段に流れる電流が所定値より大きい場合にシートベルトロック手段が正常であると診断でき、駆動手段に流れる電流が所定値以下の場合にシートベルトロック手段が異常であると診断できる。
【0039】
さらに、前記故障診断手段は、前記第2の駆動信号が供給された時に、前記駆動手段に流れる電流が所定値より小さいか否かに基づいて前記シートベルトロック手段の故障を診断してもよい。
【0040】
この構成によれば、シートベルトが所定加速度よりも小さい加速度で引き出されるような第2の駆動信号が供給されるので、シートベルトの引き出しが遅くなり、シートベルトロック手段がシートベルトの引き出しをロックせず、駆動手段に流れる電流は増大しないので、駆動手段に流れる電流が所定値より小さい場合にシートベルトロック手段が正常であると診断でき、駆動手段に流れる電流が所定値以上の場合にシートベルトロック手段が異常であると診断できる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0042】
(1)第1の実施の形態
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用乗員拘束保護装置が備えている電動リトラクタ100の構成を示す図である。
【0043】
電動リトラクタ100はフレーム1を備えている。このフレーム1にはシートベルト8を巻き取るリールシャフト3が回転自在に設置され、車両に所定の減速度が作用したとき又はシートベルト8が所定の加速度で引き出されたときにシートベルト8の引き出しをロックする公知のシートベルトロック機構2が固定されている。
【0044】
次いで、リールシャフト3の中心軸3aはリールシャフト用プーリ5の中心軸に連結されており、このリールシャフト用プーリ5は動力伝達ベルト7を介して直流モータ用プーリ6に連結している。リールシャフト用プーリ5の内部には渦巻きばね等の付勢力付与手段が形成されており、常にシートベルト8を巻き取る方向に付勢力が働いている。
【0045】
リールシャフト用プーリ5及び直流モータ用プーリ6の外周にはそれぞれ所定数の外歯が形成され、また動力伝達ベルト7の内周にも所定数の内歯が形成されており、リールシャフト用プーリ5及び直流モータ用プーリ6の外歯と動力伝達ベルト7の内歯とは過不足なくかみ合っている。
【0046】
直流モータ用プーリ6の中心軸は直流モータ10に連結されている。従って、直流モータ10の回転は直流モーター用プーリ6を介してリールシャフト3に伝達される。
【0047】
直流モータ10は、フレーム1に少なくとも2点以上で固定されており、また直流モータ駆動部11を介してMPU(Micro Processing Unit)14に接続されている。
【0048】
直流モータ駆動部11はMPU14からの制御信号に基づいて直流モータ10の回転を制御する。
【0049】
図2は直流モータ駆動部11の回路図である。図2中の端子P1及び端子P2はMPU14から出力される制御信号の入力端子であり、端子P3及び端子P4は電流検出用の出力端子であり、端子P5及び端子P6は電圧検出用出力端子であり、端子P1〜端子P6はそれぞれMPU14に接続されている。図2中の電流検出回路C1は、抵抗r1に流れる電流から直流モータ10に流れる電流を検出し、バッテリ電圧Vbは直流モータ10に電源電圧を供給する。図2中の電圧検出回路C2は、直流モータ10に係る端子間電圧を端子P5及び端子P6を介してMPU14で検出する。また、図2中の複数のトランジスタ及びFET等は、MPU14からの制御信号により直流モータ10の回転を正転又は反転駆動させるためのものである。
【0050】
MPU14により端子P1から制御信号が入力されると、直流モータ10は正転し、リールシャフト3によってシートベルト8が巻き取られる。一方、端子P2から制御信号が入力されると、直流モータ10は逆転し、リールシャフト3によってシートベルト8が引き出される。
【0051】
リールシャフト3は、リールシャフト用プーリ5、動力伝達ベルト7及び直流モータ用プーリ6を介して直流モータ10に連結されているため、リールシャフト3の回転速度は直流モータ10の端子間を開放状態としている時の直流モータ10の端子間電圧に比例する。
【0052】
尚、MPU14は、端子P1及び端子P2から同時に制御信号を入力しないように制御する。
【0053】
図1に戻り、MPU14は、シートベルト8のタングがバックルに装着されたか否かを検出する及びシートベルト8のタングがバックルから解除されたか否かを検出するバックル接続有無検出部16に接続されている。また、MPU14は時間を計測するタイマー15を備えている。尚、MPU14は直流モータ10の端子間電圧の極性によりシートベルト8が引き出されたか否かを判断し、直流モータ10に流れる電流からシートベルト8の巻き取りが終了したか否かを判断する。
【0054】
バックル接続有無検出部16はシートベルト8のタングがバックルに装着されたか否かを検出し又はシートベルト8のタングがバックルから解除されたか否かを検出し、それに対応した制御信号をMPU14に出力する。
【0055】
また、MPU14は、後述するエアバッグ18及びプリテンショナー19を制御するエアバッグ及びプリテンショナー用コントローラ17に接続されており、このエアバッグ及びプリテンショナー用コントローラ17は、車両の衝突時に乗員が車内装備品に衝突することを防ぐエアバッグ18及びプリテンショナー19にそれぞれ接続されている。
【0056】
エアバッグ18はガス発生装置20を複数個備えている。プリンテンショナー19は、車両の衝突時、乗員を保護するためにシートベルトを急速に巻き取るもので、ガス発生装置21を複数個備えており、リールシャフト用プーリ5の中心軸を介してリールシャフト3の中心軸3aに連結されている。
【0057】
図3はプリンテンショナー19の構成図である。プリンテンショナー19は図示しない複数のガス発生装置21から発生したガスを封入するガス室30と、リールシャフト3の中心軸3aに連結されており、所定数の外歯が外周に形成されているピニオン32と、この所定数の外歯にかみ合うように一端に内歯が構成されており、他端でガス室30に封入されたガスを密封するラック31とを備えている。
【0058】
図示しない複数のガス発生装置21から発生したガスがガス室30に封入されると、このガスはラック31により密封されているため、ガス室30の圧力が上がり、ラック31が押し下げられる。ラック31が押し下げられると、ラック31の移動に連動してピニオン32が回転し、ピニオン32と連結されたリールシャフト3がシートベルト8の巻き取り側に回転する。これにより、車両の衝突時にシートベルト8が急速に巻き取られる。
【0059】
再び図1に戻り、エアバッグ及びプリテンショナー用コントローラ17は、MPU14より圧力コントロール信号及びタイミングコントロール信号を受信し、これらの信号に応じてエアバッグ18の起動時間、展開圧力又はプリテンショナー19の起動時間、プリテンショナー19によるシートベルト8の巻き取り力を変更する。
【0060】
図4は車両の衝突時にMPU14が行うエアバッグ及びシートベルト駆動制御の詳細を説明するフローチャートである。尚、このエアバッグ及びシートベルト駆動制御はMPU14が行うメイン制御の一部を成すものである。
【0061】
まず、シートベルト8のタングがバックルに装着されたことをバックル接続有無検出部16により検出されたか否かを判別し(ステップS41)、検出されていない場合には本制御を終了する一方、検出された場合には、ステップS42に進み、シートベルト8が引き出されたか否かを判別する(ステップS42)。尚、MPU14は直流モータ10の端子間電圧の極性によりシートベルト8が引き出されたか否かを判別する。
【0062】
ステップS42で、シートベルト8が引き出されていない場合には、本制御を終了する一方、シートベルト8が引き出された場合には、リールシャフト3の回転速度を検出する(ステップS43)。リールシャフト3の回転速度は直流モータ10の端子間を開放状態としている時の直流モータ10の端子間電圧に比例するので、MPU14は電圧検出回路C2より直流モータ10の端子間電圧を検出し、この検出された直流モータ10の端子間電圧に基づいてリールシャフト3の回転速度を検出する。
【0063】
次いで、ステップS43で検出されたリールシャフト3の回転速度が所定値、例えば毎秒5回転より大きいか否かを判別し(ステップS44)、所定値(毎秒5回転)以下の場合は、乗員がシートベルト8の装着後に動き出す場合に該当するので、本処理を終了する。一方、所定値(毎秒5回転)より大きい場合は、車両が衝突した場合に該当するので、下記(1)式に基づいてエアバッグ18及びプリンテンショナー19の起動時間の補正値T1を算出し、さらに、下記(2)式に基づいてエアバッグ18の展開圧力及びプリンテンショナー19によるシートベルト8の巻き取り力の補正値P1を算出する(ステップS45)。この時、MPU14に備えられているタイマー15は車両の衝突時からの経過時間の計測を開始する。ここで、下記(1)式はエアバッグ18及びプリンテンショナー19の起動時間の補正値T1を算出する式であり、下記(2)式はエアバッグ18の展開圧力及びプリンテンショナー19によるシートベルト8の巻き取り力の補正値P1を算出する式である。
【0064】
【数1】
Figure 0003695622
次に、上記(1)式及び(2)式に基づいて算出された補正値に対応する信号をエアバッグ及びプリンテンショナー用コントローラ17に出力する(ステップS46)。
【0065】
上記(1)式及び(2)式によれば、車両の強い衝突時には、リールシャフト3の回転速度vの値が大きくなり、結果としてエアバッグ18及びプリンテンショナー19の起動時間の補正値T1は長くなり、エアバッグ18の展開圧力及びプリンテンショナー19によるシートベルト8の巻き取り力の補正値P1は大きくなる。一方、車両の弱い衝突時には、リールシャフト3の回転速度vの値が小さくなり、結果としてエアバッグ18及びプリンテンショナー19の起動時間の補正値T1は短くなり、エアバッグ18の展開圧力及びプリンテンショナー19によるシートベルト8の巻き取り力の補正値P1は小さくなる。
【0066】
この後、エアバッグ及びプリンテンショナー用コントローラ17は、下記(3)式に基づいて、所望のエアバッグ18及びプリンテンショナー19の起動時間Tを算出し、該算出されたエアバッグ18及びプリンテンショナー19の起動時間Tに応じてエアバッグ18及びプリンテンショナー19に備えられているガス発生装置20,21を起動させる。
【0067】
また、エアバッグ及びプリンテンショナー用コントローラ17は、下記(4)式に基づいて、所望のエアバッグ18の展開圧力及びプリンテンショナー19によるシートベルト8の巻き取り力Pを算出し、この算出されたエアバッグ18の展開圧力及びプリンテンショナー19によるシートベルト8の巻き取り力Pに応じてエアバッグ18に複数備えられているガス発生装置20を起動させる。
【0068】
【数2】
Figure 0003695622
上記(3)式によれば、車両の強い衝突時には、上記(1)式よりエアバッグ18及びプリンテンショナー19の起動時間の補正値T1は長くなるので、エアバッグ18及びプリンテンショナー19の起動時間Tは短くなる。従って、エアバッグ及びプリンテンショナー用コントローラ17は、ガス発生装置20,21の点火タイミングを速くする。これにより、シートベルト8の引き出し速度が大きく乗員が車内装備品に衝突しそうな場合でも、エアバッグ18及びプリンテンショナー19が素早く起動し、車両の衝突時に乗員を適切に保護することができる。一方、車両の弱い衝突時には、上記(1)式よりエアバッグ18及びプリンテンショナー19の起動時間の補正値T1は短くなるので、エアバッグ18及びプリンテンショナー19の起動時間Tは長くなる。従って、エアバッグ及びプリンテンショナー用コントローラ17は、ガス発生装置20,21の点火タイミングを遅くする。これにより、エアバッグ及びプリンテンショナー用コントローラ17により、例え従来早い点火タイミングを指示されていたとしても、適正なタイミングとなり、車両の衝突時に乗員を適切に保護することができる。
【0069】
上記(4)式によれば、車両の強い衝突時には、上記(2)式よりエアバッグ18の展開圧力及びプリンテンショナー19によるシートベルト8の巻き取り力の補正値P1は大きくなるので、エアバッグ18の展開圧力及びプリンテンショナー19によるシートベルト8の巻き取り力Pは小さくなる。従って、エアバッグ及びプリンテンショナー用コントローラ17は、例えば通常2個のガス発生装置を起動させていた場合には、1個のガス発生装置を起動させて、エアバッグ18の展開圧力及びプリンテンショナー19によるシートベルト8の巻き取り力Pを通常より小さくする。これにより、乗員に加わる衝撃を減らす。一方、車両の弱い衝突時には、上記(2)式よりエアバッグ18の展開圧力及びプリンテンショナー19によるシートベルト8の巻き取り力の補正値P1は小さくなるので、エアバッグ18の展開圧力及びプリンテンショナー19によるシートベルト8の巻き取り力Pは大きくなる。従って、エアバッグ及びプリンテンショナー用コントローラ17は、例えば通常2個のガス発生装置を起動させていた場合には、3個のガス発生装置を起動させて、エアバッグ18の展開圧力及びプリンテンショナー19によるシートベルト8の巻き取り力Pを通常より大きくする。これにより、エアバッグ及びプリンテンショナー用コントローラ17により、例え従来小さい展開圧力及び巻き取り力が指示されていたとしても適正な力となり、車両の衝突時に乗員を適切に保護することができる。
【0070】
上記ステップS45,46及び式(1)〜(4)の制御により、シートベルト8の引き出し速度が大きく乗員が車内装備品に衝突しそうな場合でも、エアバッグ18及びプリンテンショナー19が素早く起動し、車両の衝突時に乗員を適切に保護することができる。さらに、エアバッグ18の展開圧力及びプリンテンショナー19によるシートベルト8の巻き取り力Pを小さくし、従来よりも乗員に加わる衝撃を減らし、車両の衝突時に乗員を適切に保護することができる。
【0071】
また、シートベルト8の引き出し速度が小さい場合に、エアバッグ及びプリンテンショナー用コントローラ17により、例え従来早い点火タイミングが指示されていたとしても適正なタイミングとなり、また従来小さい展開圧力及び巻き取り力が指示されていたとしても適正な力となり、車両の衝突時に乗員を適切に保護することができる。
【0072】
次に、下記(5)式に基づいてリールシャフト3によるシートベルト8の巻き取り駆動力の補正値F1を算出する(ステップS47)。ここで、下記(5)式はリールシャフト3によるシートベルト8の巻き取り駆動力の補正値F1を算出する式である。
【0073】
【数3】
F1=b2(1−b1・v) …(5)
F1:リールシャフト3によるシートベルト8の巻き取り駆動力の補正値
b2:第2の係数(b2>0)
b1:第1の係数(b1>0)
v :リールシャフトの回転速度
F=F2−F1 …… (6)
F :リールシャフト3によるシートベルト8の巻き取り駆動力
F2:予め設定されたリールシャフト3によるシートベルト8の巻き取り駆動力
上記(5)式によれば、車両の強い衝突時には、リールシャフト3の回転速度vの値が大きくなり、結果としてリールシャフト3によるシートベルト8の巻き取り駆動力の補正値F1は小さくなる。一方、車両の弱い衝突時には、リールシャフト3の回転速度vの値が小さくなり、結果としてリールシャフト3によるシートベルト8の巻き取り駆動力の補正値F1は大きくなる。
【0074】
この後、上記(6)式に基づいて、所望のリールシャフト3によるシートベルト8の巻き取り駆動力Fを算出し、当該巻き取り駆動力Fでリールシャフト3を駆動させる(ステップS48)。尚、当該巻き取り駆動力Fでリールシャフト3を駆動させるために、MPU14は直流モータ駆動部11に出力する制御信号のデューティー比を変更し、直流モータ10の端子間電圧を調整する。
【0075】
上記(6)式によれば、車両の強い衝突時には、上記(5)式よりリールシャフト3によるシートベルト8の巻き取り駆動力の補正値F1は小さくなるので、所望のリールシャフト3によるシートベルト8の巻き取り駆動力Fは大きくなる。従って、EA機能は、大きくなったシートベルト8の巻き取り駆動力Fに抗してリールシャフト3をシートベルト8の引き出し側に回転させるので、シートベルトの引き出しが制御され、従来のようにEA機能が持続して働かせたいにも拘わらずその途中で終了することがなくなり、乗員に加わる衝撃を効果的に吸収することができ、車両の衝突時に乗員を適切に保護することができる。一方、車両の弱い衝突時には、上記(5)式よりリールシャフト3によるシートベルト8の巻き取り駆動力の補正値F1は大きくなるので、所望のリールシャフト3によるシートベルト8の巻き取り駆動力Fは小さくなる。従って、EA機能は、小さくなったシートベルト8の巻き取り駆動力Fに抗してリールシャフト3をシートベルト8の引き出し側に回転させるので、シートベルトの引き出しが制御され、従来のようにEA機能が働かずに衝撃吸収することができないことはなくなり、乗員に加わる衝撃を効果的に吸収することができ、車両の衝突時に乗員を適切に保護することができる。
【0076】
次に、タイマー15の計測結果より衝突後所定時間、例えば2秒経過したか否かを判別し(ステップS49)、衝突後所定時間(2秒)経過していない場合には、本判別を繰り返す一方、衝突後所定時間(2秒)経過した場合には、リールシャフト3の駆動を停止させて(ステップS50)、本制御を終了する。尚、リールシャフト3の駆動を停止させるために、MPU14は直流モータ10の駆動を停止させる制御信号を直流モータ駆動部11に出力する。
【0077】
上述したように、第1の実施の形態によれば、直流モータ10の端子間を開放状態としている時の直流モータ10の端子間電圧又はリールシャフト3の回転速度vに応じてエアバッグ18及びプリンテンショナー19の起動時間Tと、エアバッグ18の展開圧力及びプリンテンショナー19によるシートベルト8の巻き取り力Pが変更される(ステップS45,46、式(1)〜(4))ので、シートベルト8の引き出し速度が大きく乗員が車内装備品に衝突しそうな場合でも、エアバッグ18及びプリンテンショナー19が素早く起動し、さらに、エアバッグ18の展開圧力及びプリンテンショナー19によるシートベルト8の巻き取り力を小さくし、従来よりも乗員に加わる衝撃を減らし、車両の衝突時に乗員を適切に保護することができる。
【0078】
また、シートベルト8の引き出し速度が小さい場合に、エアバッグ及びプリンテンショナー用コントローラ17により、例え従来早い点火タイミングが指示されていたとしても適正なタイミングとなり、また従来小さい展開圧力及び巻き取り力が指示されていたとしても適正な力となり、車両の衝突時に乗員を適切に保護することができる。
【0079】
また、直流モータ10の端子間を開放状態としている時の直流モータ10の端子間電圧又はリールシャフト3の回転速度vに応じてリールシャフト3によるシートベルト8の巻き取り駆動力Fが変更される(ステップS47,48、式(5)〜(6))ので、乗員に加わる衝撃を効果的に吸収することができ、車両の衝突時に乗員を適切に保護することができる。
【0080】
また、本実施の形態では、リールシャフト3の回転速度vを直流モータ10の端子間を開放状態としている時の直流モータ10の端子間電圧から検出したが、これに限らず、例えばリールシャフト3の中心軸3aに回転速度センサを設けて、リールシャフト3の回転速度vを検出してもよい。
【0081】
また、本実施の形態では、リールシャフト3の回転速度vを使用したが、シートベルトの引き出し口にシートベルトの引き出し速度を検出する引き出し速度センサを設けて、直接シートベルトの引き出し速度を検出し、この速度をリールシャフト3の回転速度vの代わりに使用しても、本発明と同様の効果を奏することができる。
【0082】
(2)第2の実施の形態
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る車両用乗員拘束保護装置が備えている電動リトラクタ200の構成を示す図である。
【0083】
電動リトラクタ200はフレーム201を備えている。このフレーム201にはシートベルト208を巻き取るリールシャフト203が回転自在に設置され、車両に所定の減速度が作用したとき又はシートベルト208が所定の加速度で引き出されたときにシートベルト208の引き出しをロックする公知のシートベルトロック機構202が固定されている。
【0084】
次いで、リールシャフト203の中心軸203aはリールシャフト用プーリ205の中心軸に連結されており、このリールシャフト用プーリ205は動力伝達ベルト207を介して直流モータ用プーリ206に連結している。リールシャフト用プーリ205の内部には渦巻きばね等の付勢力付与手段が形成されており、常にシートベルト208を巻き取る方向に付勢力が働いている。
【0085】
リールシャフト用プーリ205及び直流モータ用プーリ206の外周にはそれぞれ所定数の外歯が形成され、また動力伝達ベルト207の内周にも所定数の内歯が形成されており、リールシャフト用プーリ205及び直流モータ用プーリ206の外歯と動力伝達ベルト207の内歯とは過不足なくかみ合っている。
【0086】
直流モータ用プーリ206の中心軸は直流モータ210に連結されている。従って、直流モータ210の回転は直流モータ用プーリ206を介してリールシャフト203に伝達される。
【0087】
直流モータ210は、フレーム201に少なくとも2点以上で固定されており、また直流モータ駆動部211を介してMPU(Micro Processing Unit)214に接続されている。
【0088】
直流モータ駆動部211はMPU214からの制御信号のデューティー比に基づいて直流モータ210の回転を制御する。
【0089】
図6は直流モータ駆動部211の回路図である。図6中の端子P11及び端子P12はMPU214から出力される制御信号の入力端子であり、端子P13及び端子P14は電流検出用の出力端子であり、端子P15及び端子P16は電圧検出用出力端子であり、端子P11〜端子P16はそれぞれMPU214に接続されている。図6中の電流検出回路C11は、抵抗r11に流れる電流から直流モータ210に流れる電流を検出し、バッテリ電圧Vbは直流モータ210に電源電圧を供給する。図6中の電圧検出回路C12は、直流モータ210に係る端子間電圧を端子P15及び端子1P6を介してMPU214で検出する。また、図6中の複数のトランジスタ及びFET等は、MPU214からの制御信号により直流モータ210の回転を正転又は反転駆動させるためのものである。
【0090】
MPU214により端子P11から制御信号が入力されると、直流モータ210は正転し、リールシャフト203によってシートベルト208が巻き取られる。一方、端子P12から制御信号が入力されると、直流モータ210は逆転し、リールシャフト203によってシートベルト208が引き出される。
【0091】
MPU214により制御信号のデューティー比を大きくし、端子P11から制御信号が入力されると、直流モータ10の回転加速度は大きくなり、制御信号のデューティー比を小さくし、端子P11から制御信号が入力されると、直流モータ10の回転加速度は小さくなる。
【0092】
リールシャフト203は、リールシャフト用プーリ205、動力伝達ベルト207及び直流モータ用プーリ206を介して直流モータ210に連結されているため、リールシャフト203の回転速度は直流モータ210の端子間を開放状態としている時の直流モータ210の端子間電圧に比例する。
【0093】
尚、MPU214は、端子P11及び端子P12から同時に制御信号を入力しないように制御する。
【0094】
以上のように構成された車両用乗員拘束保護装置、特にMPU214が実行する制御処理(故障診断)の概要を説明する。
【0095】
故障診断では、次の2種類の方法を独立して実行し、いずれかの方法において、故障と判断されたときに、シートベルトロック機構202が故障であると診断される。即ち、
(a)シートベルトロック機構202が故障していない場合に、シートベルト208の引き出しがロックされるだけの引き出し加速度をリールシャフト203に与え、シートベルトロック機構202が正確に作動しているか否か検査し、正確に作動していないときに故障であると判断する。
【0096】
(b)シートベルトロック機構202が故障していない場合に、シートベルト208の引き出しがロックされないだけの引き出し加速度をリールシャフト203に与え、シートベルトロック機構202が作動していないか否か検査し、作動しているときに故障であると判断する。
【0097】
以下、図7及び図8に基づいて詳細に説明する。図7はMPU214が実行する故障診断プログラム(上記(a)の方法に対応する)の一例を示すフローチャートである。
【0098】
まず、例えばシートベルト208を装着する時にシートベルト208の引き出しを素早く行うため、MPU214は直流モータ210をシートベルト208の引き出し側に高速回転させる制御信号、即ち当該高速回転に必要なデューティー比の制御信号を直流モータ駆動部211に出力し(ステップS301)、これに応じて直流モータ駆動部211は直流モータ210をシートベルト208の引き出し側に高速回転させる。リールシャフト203は、リールシャフト用プーリ205、動力伝達ベルト207及び直流モータ用プーリ206を介して直流モータ210に連結されているため、直流モータ210の回転に連動してシートベルトの引き出し側に高速回転する。尚、シートベルトロック機構202が正常な場合には、リールシャフト203が高速回転する時に、リールシャフト203の回転をロックする。
【0099】
次に、直流モータ駆動部211内の電流検出回路C11で抵抗r11に流れる電流から直流モータ210に流れる電流iを測定し(ステップS302)、この電流iが規定値、例えば5Aより大きいか否かを判別する(ステップS303)。
【0100】
電流iが規定値(5A)より大きい場合、即ち、リールシャフト203の回転がロックされた状態で、直流モータ210が回転を続けようとしている場合には、シートベルトロック機構202を正常であると判断し(ステップS304)、本処理を終了する。
【0101】
一方、電流iが規定値(5A)以下の場合、即ち、リールシャフト203の回転が正確にロックされない状態で、直流モータ210が回転を続けようとしている場合には、シートベルトロック機構202を異常であると判断し(ステップS305)、シートベルトロック機構202が異常であることを表示装置又は表示ランプ等(図示せず)を介して乗員に知らせて(ステップS306)、本処理を終了する。
【0102】
図8はMPU214が実行する故障診断プログラム(上記(b)の方法に対応する)の一例を示すフローチャートである。
【0103】
まず、例えばシートベルト208の装着後にシートベルト208を乗員の体にフィットさせて、シートベルト208に所定の弛みを与える時にシートベルト208の引き出しをゆっくり行うため、MPU214は直流モータ210をシートベルト208の引き出し側に低速回転させる制御信号、即ち当該低速回転に必要なデューティー比の制御信号を直流モータ駆動部211に出力し(ステップS401)、これに応じて直流モータ駆動部211は直流モータ210をシートベルト208の引き出し側に低速回転させる。リールシャフト203は、リールシャフト用プーリ205、動力伝達ベルト207及び直流モータ用プーリ206を介して直流モータ210に連結されているため、直流モータ210の回転に連動してシートベルト208の引き出し側に低速回転する。尚、シートベルトロック機構202が正常な場合には、リールシャフト203が低速回転する時に、リールシャフト203はロックされない。
【0104】
次に、直流モータ駆動部211内の電流検出回路C11で抵抗r11に流れる電流から直流モータ210に流れる電流iを測定し(ステップS402)、この電流iが規定値、例えば、3Aより小さいか否かを判別する(ステップS403)。
【0105】
電流iが規定値(3A)より小さい場合、即ち、リールシャフト203の回転がロックされない状態で、直流モータ210が回転を続けようとしている場合には、シートベルトロック機構202を正常であると判断する(ステップS405)。
【0106】
一方、電流iが規定値(3A)以上の場合、即ち、リールシャフト203の回転がロックされた状態で、直流モータ210が回転を続けようとしている場合には、シートベルトロック機構202を異常であると判断する(ステップS404)。
【0107】
そして、上記判断結果に基づいて、シートベルトロック機構202が正常であるか異常であるかを表示装置又は表示ランプ等(図示せず)を介して乗員に知らせて(ステップS406)、本処理を終了する。
【0108】
その後、本制御処理(故障診断)では、図7のステップS304及び図8のステップS405で、シートベルトロック機構202を正常であると判断した時に、初めて正常であると診断し、図7のステップS305又は図8のステップS404で、シートベルトロック機構202を異常であると判断した時に、異常であると診断する。
【0109】
上述したように、第2の実施の形態によれば、MPU214は直流モータ210をシートベルト208の引き出し側に高速回転させる制御信号、即ち当該高速回転に必要なデューティー比の制御信号を直流モータ駆動部211に出力した(ステップS301)後に、直流モータ210に流れる電流iを測定し(ステップS302)、この電流iが規定値より大きいか否かの判別を行い(ステップS303)、この判別結果に基づいて、シートベルトロック機構202を正常又は異常であると判断し(ステップS304,305)、さらに、MPU214は直流モータ210をシートベルト208の引き出し側に低速回転させる制御信号、即ち当該低速回転に必要なデューティー比の制御信号を直流モータ駆動部211に出力した(ステップS401)後に、直流モータ210に流れる電流iを測定し(ステップS402)、この電流iが規定値より小さいか否かの判別を行い(ステップS403)、この判別結果に基づいて、シートベルトロック機構202を正常又は異常であると判断し(ステップS404,405)、上記2つの判断結果に基づいて故障診断するので、正確にシートベルトロック機構の故障診断をすることができる。
【0110】
また、これらの判断結果(ステップS305,404,405)を表示装置又は表示ランプ等(図示せず)を介して乗員に知らせる(ステップS306,406)ので、乗員は故障原因を知ることができる。
【0111】
尚、本実施の形態では、2つの判断結果に基づいて故障診断したが、直流モータ210をシートベルト208の引き出し側に高速回転させる制御信号又は直流モータ210をシートベルト208の引き出し側に低速回転させる制御信号を複数設けることにより、2つ以上の判断結果に基づいて故障診断してもよい。
【0112】
(3)第3の実施の形態
本発明の第3の実施の形態に係る車両用乗員拘束保護装置が備えている電動リトラクタの構成は、本発明の第2の実施の形態に係る車両用乗員拘束保護装置が備えている電動リトラクタ200の構成と同様である。本発明の第3の実施の形態が上記第2の実施の形態と異なる点は、MPU214が実行する故障診断の方法であり、その他は同様である。
【0113】
まず、MPU214が実行する制御処理(故障診断)の概要を説明する。
【0114】
故障診断では、次の2種類の方法を独立して実行し、いずれかの方法において、故障と判断されたときに、シートベルトロック機構202が故障であると診断される。即ち、
(c)シートベルトロック機構202が故障していない場合に、シートベルト208の引き出しがロックされる回転加速度をリールシャフト203に与え、シートベルトロック機構202が正確に作動しているか否か検査し、正確に作動していないときに故障であると判断する。
【0115】
(d)シートベルトロック機構202が故障していない場合に、シートベルト208の引き出しがロックされない回転加速度をリールシャフト203に与え、シートベルトロック機構202が作動していないか否か検査し、作動しているときに故障であると判断する。
【0116】
以下、図9及び11に基づいて詳細に説明する。図9はMPU214が実行する故障診断プログラム(上記(c)の方法に対応する)の一例を示すフローチャートである。
【0117】
まず、例えばシートベルト208を装着する時にシートベルト208の引き出しを素早く行うため、MPU214は直流モータ210をシートベルト208の引き出し側に高速回転させるべく直流モータ210の回転加速度を低い回転加速度から所望の高い回転加速度に変える制御信号を直流モータ駆動部211に出力する(ステップS501)、従って、MPU214は制御信号のデューティー比を間欠的に徐々に大きくし、これに応じて直流モータ駆動部211は直流モータ210の回転加速度を低い回転加速度から高い回転加速度に変える。リールシャフト203は、リールシャフト用プーリ205、動力伝達ベルト207及び直流モータ用プーリ206を介して直流モータ210に連結されているため、直流モータ210の回転加速度に連動して回転加速度が変わる。尚、シートベルトロック機構202が正常な場合には、リールシャフト203の回転加速度が低い回転加速度から所望の高い回転加速度に変わった時に、リールシャフト203の回転をロックする。
【0118】
次に、直流モータ駆動部211内の電流検出回路C11で抵抗r11に流れる電流から直流モータ210に流れる電流iを測定し(ステップS502)、この電流iが規定値、例えば5Aより大きいか否かを判別する(ステップS503)。
【0119】
ステップS503で、電流iが規定値(5A)より大きい場合、即ち、リールシャフト203の回転がロックされた状態で、直流モータ210が回転を続けようとしている場合に、MPU214が直流モータ駆動部211に出力した制御信号のデューティー比を検出する(ステップS504)。
【0120】
次いで、MPU214が直流モータ駆動部211に出力した制御信号のデューティー比が、規定値1以上且つ規定値2以下、例えば、60%以上且つ70%以下であるか否かを判別する(ステップS505)。これは、直流モータ駆動部211に出力した制御信号のデューティー比が、直流モータ210の回転加速度を低い回転加速度から所望の高い回転加速度に変えるデューティー比の範囲に含まれているか否かを判別するためのものである。
【0121】
デューティー比が規定値1以上且つ規定値2以下(デューティー比が60%以上且つ70%以下)である場合には、直流モータ210の回転加速度を低い回転加速度から所望の高い回転加速度に変えるデューティー比の範囲に含まれているので、シートベルトロック機構202を正常であると判断し(ステップS506)、本処理を終了する。
【0122】
一方、デューティー比が規定値1より小さく又は規定値2より大きい(デューティー比が60%より小さく又は70%より大きい)場合には、直流モータ210の回転加速度を低い回転加速度から所望の高い回転加速度に変えるデューティー比の範囲に含まれていないので、シートベルトロック機構202を異常であると判断し(ステップS507)、シートベルトロック機構202が異常であることを表示装置又は表示ランプ等(図示せず)を介して乗員に知らせて(ステップS508)、本処理を終了する。
【0123】
上記ステップS503で、電流iが規定値以下の場合、即ち、リールシャフト203の回転がロックされない状態で、直流モータ210が回転を続けようとしている場合に、MPU214は制御信号のデューティー比をさらに大きくする(ステップS509)。
【0124】
その後、制御信号のデューティー比が最大、即ち、100%であるか否かを判別し(ステップS510)、制御信号のデューティー比が最大である場合には、ステップS505に進む一方、制御信号のデューティー比が最大でない場合には、ステップS502に戻る。
【0125】
図10は制御信号のデューティー比と制御信号出力後の経過時間との関係を示す図である。
【0126】
図10中の点Aは、電流iが規定値(5A)より大きく(ステップS503でYES)、制御信号のデューティー比を検出した(ステップS504)場合を表す。この時の制御信号のデューティー比は65%であるので、規定値1以上且つ規定値2以下(デューティー比が60%以上且つ70%以下)である(ステップS505でYES)。従って、この時のデューティー比は直流モータ210の回転加速度を低い回転加速度から所望の高い回転加速度に変えるデューティー比の範囲に含まれているので、シートベルトロック機構202を正常であると判断する(ステップS506)。
【0127】
一方、図10中の点Bは、初めに電流iを測定した時に、電流iが規定値(5A)以下で(ステップS503でNO)、制御信号のデューティー比を大きくし(ステップS509)、再び電流iを測定し(ステップS510でNO、ステップS502)、電流iが規定値(5A)より大きく(ステップS503でYES)、制御信号のデューティー比を検出した(ステップS504)場合を表す。この時の制御信号のデューティー比は80%であるので、規定値1より小さく又は規定値2より大きい(デューティー比が60%より小さく又は70%より大きい)場合である(ステップS505でNO)。従って、この時のデューティー比は直流モータ210の回転加速度を低い回転加速度から所望の高い回転加速度に変えるデューティー比の範囲に含まれていないので、シートベルトロック機構202を異常であると判断する(ステップS507)。
【0128】
図11はMPU214が実行する故障診断プログラム(上記(d)の方法に対応する)の一例を示すフローチャートである。
【0129】
まず、例えばシートベルトを装着後にシートベルト208を乗員の体にフィットさせて、シートベルト208に所定の弛みを与える時にシートベルト208の引き出しをゆっくり行うため、MPU214は直流モータ210をシートベルト208の引き出し側に低速回転させるべく直流モータ210の回転加速度を高い回転加速度から所望の低い回転加速度に変える制御信号を直流モータ駆動部211に出力する(ステップS701)、従って、MPU214は制御信号のデューティー比を間欠的に徐々に小さくし、これに応じて直流モータ駆動部211は直流モータ210の回転加速度を高い回転加速度から低い回転加速度に変える。リールシャフト203は、リールシャフト用プーリ205、動力伝達ベルト207及び直流モータ用プーリ206を介して直流モータ210に連結されているため、直流モータ210の回転加速度に連動して回転加速度が変わる。尚、シートベルトロック機構202が正常な場合には、リールシャフト203の回転加速度が高い回転加速度から所望の低い回転加速度に変わった時に、リールシャフト203はロックされない。
【0130】
次に、直流モータ駆動部211内の電流検出回路C11で抵抗r11に流れる電流から直流モータ210に流れる電流iを測定し(ステップS702)、この電流iが規定値、例えば5Aより小さいか否かを判別する(ステップS703)。
【0131】
ステップS703で、電流iが規定値(5A)より小さい場合、即ち、リールシャフト203のロックがされない状態で、直流モータ210が回転を続けようとしている場合に、MPU214が直流モータ駆動部211に出力した制御信号のデューティー比を検出する(ステップS704)。
【0132】
次いで、MPU214が直流モータ駆動部211に出力した制御信号のデューティー比が、規定値1以上且つ規定値2以下、例えば、30%以上且つ40%以下であるか否かを判別する(ステップS705)。これは、直流モータ駆動部211に出力した制御信号のデューティー比が、直流モータ210の回転加速度を高い回転加速度から所望の低い回転加速度に変えるデューティー比の範囲に含まれているか否かを判別するためのものである。
【0133】
デューティー比が規定値1以上且つ規定値2以下(デューティー比が30%以上且つ40%以下)である場合には、直流モータ210の回転加速度を高い回転加速度から所望の低い回転加速度に変えるデューティー比の範囲に含まれているので、シートベルトロック機構202を正常であると判断する(ステップS706)。
【0134】
一方、デューティー比が規定値1より小さく又は規定値2より大きい(デューティー比が30%より小さく又は40%より大きい)場合には、直流モータ210の回転加速度を高い回転加速度から所望の低い回転加速度に変えるデューティー比の範囲に含まれていないので、シートベルトロック機構202を異常であると判断する(ステップS707)。
【0135】
その後、上記判断結果に基づいて、シートベルトロック機構202が正常であるか異常であるかを表示装置又は表示ランプ等(図示せず)を介して乗員に知らせて(ステップS708)、本処理を終了する。
【0136】
上記ステップS703で、電流iが規定値以上の場合、即ち、リールシャフト203の回転がロックされた状態で、直流モータ210が回転を続けようとしている場合に、MPU214は制御信号のデューティー比をさらに小さくする(ステップS709)。
【0137】
その後、制御信号のデューティー比が最小、即ち、0%であるか否かを判別し(ステップS710)、制御信号のデューティー比が最小である場合には、ステップS705に進む一方、制御信号のデューティー比が最小でない場合には、ステップS702に戻る。
【0138】
図12は制御信号のデューティー比と制御信号出力後の経過時間との関係を示す図である。
【0139】
図12中の点Cは、電流iが規定値(5A)より小さく(ステップS703でYES)、制御信号のデューティー比を検出した(ステップS704)場合を表す。この時の制御信号のデューティー比は35%であるので、規定値1以上且つ規定値2以下(デューティー比が30%以上且つ40%以下)である(ステップS705でYES)。従って、この時のデューティー比は直流モータ210の回転加速度を高い回転加速度から所望の低い回転加速度に変えるデューティー比の範囲に含まれているので、シートベルトロック機構202を正常であると判断する(ステップS706)。
【0140】
一方、図12中の点Dは、初めに電流iを測定した時に、電流iが規定値(5A)以上で(ステップS703でNO)、制御信号のデューティー比を小さくし(ステップS709)、再び電流iを測定し(ステップS710でNO、ステップS702)、電流iが規定値(5A)より小さく(ステップS703でYES)、制御信号のデューティー比を検出した(ステップS704)場合を表す。この時の制御信号のデューティー比は20%であるので、規定値1より小さく又は規定値2より大きい(デューティー比が30%より小さく又は40%より大きい)場合である(ステップS705でNO)。従って、この時のデューティー比は直流モータ210の回転加速度を高い回転加速度から所望の低い回転加速度に変えるデューティー比の範囲に含まれていないので、シートベルトロック機構202を異常であると判断する(ステップS707)。
【0141】
最後に、本制御処理(故障診断)では、図9のステップS506及び図11のステップS706で、シートベルトロック機構202を正常であると判断した時に、初めて正常であると診断し、図9のステップS507又は図11のステップS707で、シートベルトロック機構202を異常であると判断した時に、異常であると診断する。
【0142】
上述したように、第3の実施の形態によれば、リールシャフト203の回転がロックされた状態で、直流モータ210が回転を続けようとしている場合に、MPU214が直流モータ駆動部211に出力した制御信号のデューティー比を検出し(ステップS504)、デューティー比が直流モータ210の回転加速度を低い回転加速度から所望の高い回転加速度に変えるデューティー比の範囲に含まれているか否かで、シートベルトロック機構202を正常である又は異常であると判断し(ステップS506,ステップS507)、さらに、リールシャフト203のロックがされない状態で、直流モータ210が回転を続けようとしている場合に、MPU214が直流モータ駆動部211に出力した制御信号のデューティー比を検出し(ステップS704)、デューティー比が直流モータ210の回転加速度を低い回転加速度から所望の高い回転加速度に変えるデューティー比の範囲に含まれているか否かで、シートベルトロック機構202を正常である又は異常であると判断し(ステップS706,ステップS707)、上記2つの判断結果に基づいて故障診断するので、正確にシートベルトロック機構の故障診断をすることができる。
【0143】
さらに、判断結果(ステップS506,507,706,707)を表示装置又は表示ランプ等(図示しない)を介して乗員に知らせる(ステップS508,708)ので、乗員は故障原因を知ることができる。
【0144】
尚、本実施の形態では、2つの判断結果に基づいて故障診断したが、直流モータ210の回転加速度を低い回転加速度から所望の高い回転加速度に変える制御信号又は直流モータ210の回転加速度を高い回転加速度から所望の低い回転加速度に変える制御信号を複数設けることにより、2つ以上の判断結果に基づいて故障診断してもよい。
【0145】
また、上記第2及び第3の実施の形態では、直流モータ210に流れる電流i及び直流モータ駆動部211に出力した制御信号のデューティー比に基づいて、シートベルトロック機構202の故障診断を行ったが、電動リトラクタにリールシャフト203の回転の有無、リールシャフト用プーリ205の回転の有無、直流モータ用プーリ206の回転の有無、又は動力伝達ベルト207の動作の有無等を検知するセンサーを設けて、リールシャフト203の回転の有無、リールシャフト用プーリ205の回転の有無、直流モータ用プーリ206の回転の有無、又は動力伝達ベルト207の動作の有無等によりシートベルトロック機構202の故障診断を行ってもよい。
【0146】
また、車両の減速時に、車両にかかる加速度を直流モータ210に係る端子間電圧により計測し、当該計測された加速度の大きさに応じてシートベルトロック機構202が作動するか否かによりシートベルトロック機構202の故障診断を行ってもよい。このケースでは、車両にかかる加速度が所定加速度以上である時に、シートベルトロック機構202が作動すると、シートベルトロック機構202が正常であると診断され、シートベルトロック機構202が作動しないと、シートベルトロック機構202が異常であると診断される。一方、車両にかかる加速度が所定加速度より小さい時に、シートベルトロック機構202が作動すると、シートベルトロック機構202が異常であると診断され、シートベルトロック機構202が作動しないと、シートベルトロック機構202が正常であると診断される。
【0147】
従って、車両にかかる加速度を直流モータ210に係る端子間電圧により計測し、当該計測された加速度の大きさに応じてシートベルトロック機構202が作動するか否かによりシートベルトロック機構202の故障診断を行っても、正確にシートベルトロック機構202の故障診断をすることができる。
【0148】
尚、車両にかかる加速度は車両にセンサを設けて、当該センサで計測してもよい。
【0149】
また、上記第2及び第3の実施の形態では、シートベルトロック機構202が正常又は異常であるという判断結果を表示装置又は表示ランプ等(図示せず)を介して乗員に知らせたが、新たに警報部を設け、シートベルトロック機構202が異常であると判断された場合に、警報部が警報を発してもよい。これにより、乗員はシートベルトロック機構202の故障を知ることができる。
【0150】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1の車両用乗員保護装置によれば、シートベルトの引き出し速度が電動リトラクタを介して検出され、当該検出されたシートベルトの引き出し速度に応じて、エアバックの起動時間、エアバックの展開圧力、プリテンショナーの起動時間、プリテンショナーによるシートベルトの巻き取り力及び前記電動リトラクタによるシートベルトの巻き取り力の少なくとも1つが制御されるので、車両の衝突時に乗員を適切に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両用乗員拘束保護装置が備えている電動リトラクタ100の構成を示す図である。
【図2】直流モータ駆動部11の回路図である。
【図3】プリテンショナー19の構成図である。
【図4】車両の衝突時にMPU14が行うエアバッグ及びシートベルト駆動制御の詳細を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る車両用乗員拘束保護装置が備えている電動リトラクタ200の構成を示す図である。
【図6】直流モータ駆動部211の回路図である。
【図7】MPU214が実行する故障診断プログラムの一例を示すフローチャートである。
【図8】MPU214が実行する故障診断プログラムの一例を示すフローチャートである。
【図9】MPU214が実行する故障診断プログラムの一例を示すフローチャートである。
【図10】制御信号のデューティー比と制御信号出力後の経過時間との関係を示す図である。
【図11】MPU214が実行する故障診断プログラムの一例を示すフローチャートである。
【図12】制御信号のデューティー比と制御信号出力後の経過時間との関係を示す図である。
【符号の説明】
1,201 フレーム
2,202 シートベルトロック機構
3,203 リールシャフト
5,205 リールシャフト用プーリ
6,206 直流モータ用プーリ
7,207 動力伝達ベルト
8,208 シートベルト
10,210 直流モータ(駆動手段)
11,211 直流モータ駆動部(駆動手段)
14,214 MPU(制御手段、駆動信号供給手段、故障診断手段)
17 エアバッグ及びプリンテンショナー用コントローラ17(制御手段)
18 エアバッグ
19 プリテンショナー
100,200 電動リトラクタ

Claims (2)

  1. シートベルトの巻き取り及び引き出しを行う電動リトラクタと、エアバッグを展開することにより乗員を拘束するエアバック装置と、前記シートベルトを急速に巻き取ることにより乗員を拘束するプリテンショナーとを備えている車両用乗員拘束保護装置において、
    前記シートベルトが引き出される速度を前記電動リトラクタを介して検出する速度検出手段と、
    該検出されたシートベルトの引き出し速度に応じて、前記エアバックの起動時間、前記エアバックの展開圧力、前記プリテンショナーの起動時間、前記プリテンショナーによるシートベルトの巻き取り力及び前記電動リトラクタによるシートベルトの巻き取り力の少なくとも1つを制御する制御手段とを備えていることを特徴とする車両用乗員拘束保護装置。
  2. さらに、前記シートベルトが所定加速度以上で引き出された時にその引き出しをロックするシートベルトロック手段と、前記シートベルトが引き出された時の加速度に応じて、前記シートベルトロック手段が作動したか否かを判別し、該判別結果に基づいて前記シートベルトロック手段の故障を診断する故障診断手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の車両用乗員拘束保護装置。
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