JP3761790B2 - 縦型弾球遊技機の打球発射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機に代表される縦型弾球遊技機の打球発射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ機に代表されるこの種の遊技機は「遊技島」と呼ばれる室内の設置用設備にほぼ立設状態に取り付けられており、その前面の遊技領域(遊技盤)には入賞口や図柄表示装置等の所定の遊技部品が備えられている。遊技領域の下方右側には、遊技機の前方に遊技領域と向かい合うように座った遊技者が操作する打球発射ハンドルが備えられており、遊技者によるこのハンドルの捻り動作を受けて遊技機内部の打球杵(ハンマー)が電気的に駆動され、これにより叩打された遊技球が遊技領域内に送り込まれるようになっている。遊技領域内に送り込まれた打球は遊技盤内を転動落下するが、この際、遊技球が遊技領域内の入賞口に入ったときには複数の遊技球が遊技者に新たに与えられるようになっている。また、図柄表示装置を備えるタイプのものでは、遊技球が入賞口へ入ることにより図柄表示が変化し、これが予め定められた当たり表示と一致したときには出玉率が増大するなど所定の特典が得られるようになっている。
【0003】
このような遊技機における打球発射装置は、上記のように遊技機の下方右側に設けられた打球発射ハンドルと、この打球発射ハンドルの捻り操作量を検知して打球杵を駆動する打球発射機構とから構成されている。打球杵の駆動にはロータリ形ソレノイドを利用したものや電動モータを用いたものなど種々ものが知られているが、いずれも打球発射ハンドルの捻り量に応じた打力調節がなされるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の縦型弾球遊技機における打球発射装置では、打力の調整等を行う打球発射ハンドルは遊技機の前面側に固定されているため、遊技者が打球を行う際には、打球操作を行う手(通常右手)は打球発射ハンドルを握ることができる一定範囲の位置内に位置させておく必要があった。このため、遊技者は自身の体格等によっては多少前屈みにならざるを得ず、また、獲得した遊技球の収納容器を遊技機下部のテーブル上に置いて打球をする遊技者にとっては、この収納容器が邪魔になって打球発射ハンドルの操作がしにくい場合があるなど、遊技者がリラックスした姿勢で打球ができるとは限らなかった。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、打球発射ハンドルの操作位置を遊技者自身の姿勢等に合わせて調節することができるようにした縦型弾球遊技機の打球発射装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するため、本発明に係る縦型弾球遊技機の打球発射装置は、方形枠状の外枠と、この外枠の前側開口域に合わせた方形状に形成されて外枠に開閉自在に取り付けられた前枠とを有して構成され、ほぼ立設状態で遊技に供される縦型弾球遊技機の打球発射装置であって、前枠の前面下部に左右に延びて設けられ、中央部に遊技球の受け皿(例えば、実施形態における下受け皿11)を有した当て板と、この当て板の前面にハンドル移動機構を介して取り付けられた打球発射ハンドルと、前枠に取り付けられ、打球発射ハンドルの捻り操作に応じて前枠内に設けられた遊技領域内に遊技球を発射供給する打球発射機構とを有し、ハンドル移動機構は、受け皿の側方において当て板の前面から前方に延びて当て板と一体に形成されたガイド(例えば、実施形態における外筒31)と、前端部に前記打球発射ハンドルを保持し、ガイドに前後方向にスライド移動可能に取り付けられたスライド部材(例えば、実施形態における内筒32およびハンドル保持部33)と、スライド部材をガイドに対して所定のスライド位置で固定可能な固定手段(例えば、実施形態における金具60及び係止ネジS3)とからなり、固定手段が、スライド部材の後端部に位置する基部(例えば、実施形態における基部61)、および、この基部からガイドとスライド部材との互いに対向する間隔内を前方に延びた弾性変形可能な左右一対のアーム部(例えば、実施形態におけるアーム部62)を有する固定金具と、ガイドに設けられて先端部が互いに対向する間隔内に突出し、固定金具が、左右一対のアーム部のそれぞれの前端部に形成された係止爪をスライド部材の左右両辺部に形成された係止溝に係止させることにより、スライド部材に取り付けられ、先端部がアーム部に形成された係止穴と係合可能な係止部材とから構成され、係止穴がスライド移動方向に沿って複数設けられており、係止部材の先端部がスライド部材のスライド移動に応じてアーム部を弾性変形させて複数の係止穴と選択的に係合し、スライド部材をガイドに対して複数のスライド位置で固定可能となっている。
【0007】
本発明の縦型弾球遊技機の打球発射装置では、打球発射ハンドルが、従来のように前枠の前面に固定されるのではなく、中央部に遊技球の受け皿を有した当て板と一体に構成されて受け皿の側方から前方に延びたガイドと、このガイドに案内されて当て板の前後方向にスライド移動可能なスライド部材と、このスライド部材をガイドに固定可能な固定手段とから構成されるハンドル移動機構を介して前枠前面に取り付けられているので、遊技者は、打球発射ハンドルを前枠側に押し、或いは手前側に引き寄せる操作を行って打球発射ハンドルの操作位置を自身の姿勢等に合わせて調節することができる。このため、遊技者は前屈みになったりすることなくリラックスした姿勢で打球できるようになり、獲得した遊技球の収納容器を遊技機下部のテーブル上に置いて打球をする場合でもその収納容器を邪魔に感じることがなくなるので、快適な気分で遊技を楽しむことができるようになる。また、ガイドは当て板と一体になっているので、これら両部を別部材とする場合よりも部品点数が少なくなるとともに、組み立ても簡単になるので製造コストを低減することができる。
【0008】
さらに、上記固定手段は、係止部材の先端部がスライド部材のスライド移動に応じてアーム部を弾性変形させて複数の係止穴と選択的に係合し、スライド部材をガイドに対して複数のスライド位置で固定可能となっている。このため、例えば、実施形態に示すように、「最大押し込み位置」、「最大引き寄せ位置」および「これらの中間位置」において係止部材(係止ネジS3)の先端部が係止穴63(63a,63b,63c)のいずれかと係止して、スライド部材(および打球発射ハンドル)が固定保持される。なお、このように固定保持された状態から打球発射ハンドルを隣の固定位置へ移動させるには、打球発射ハンドルをその移動方向へ押し込み、或いは引き寄せればよく、このような操作により係止穴との係合は外れ、スライド部材はスライド移動する。このとき固定金具のアーム部は、係止部材の先端部に押圧されて若干撓んだ状態となるが、係止部材が隣の係止穴に至った時点でアーム部は元の状態(撓まない状態)に復帰し、係止部材の先端部は係止穴に係合してスライド部材がその位置で固定される。
【0009】
なお、ガイドおよびスライド部材のいずれか一方にスライド方向に延びた所定長さの移動制限用ガイド溝が形成されるとともに他方に先端部が移動制限用ガイド溝内に位置するガイド部材が設けられており、ガイド部材の先端部が移動制限用ガイド溝の前後方向端部に当接してスライド部材の前後スライド移動範囲を制限するように構成されているのが好ましい。
【0010】
また、ガイドおよびスライド部材のいずれか一方にスライド方向に延びた突状部が形成されるとともに他方に突状部と係合するスライド溝が形成されており、突状部がスライド溝と係合してスライド部材がガイドに対して捻れることなく前後にスライド移動するように構成されているのが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。ここでは、本発明の適用対象が縦型弾球遊技機の代表例であるパチンコ機である場合を例に説明するが、これに類似した他の縦型弾球遊技機(例えばアレンジボール等)についても本発明は同様に適用可能である。
【0018】
図1は本発明の実施形態である第1の構成形態に係る打球発射装置を適用したパチンコ機1を示しており、図1(A)はその正面図、図1(B)は右側面図である。本パチンコ機1は、所定の外郭方形枠状に構成されて「遊技島」と呼ばれる設置用設備にほぼ立設状態で据え付けられた外枠3の前側において、この外枠3の前側開口域に合わせた方形枠状に構成された前枠4が、互いの正面左側上下部に配設された上下ヒンジ5,6及び正面右側に設けられた施錠装置7を利用して着脱及び開閉(片持ち横開き)自在に組み付けられた構成となっている。また、このパチンコ機1の下部には前方(遊技者側)に突出したテーブル2が設定されており、このテーブル2上には遊技者が獲得した遊技球の収納容器(図示せず)等を置くことができる。
【0019】
前枠4の各部には必要な遊技構成部材として、前枠4の前面領域に合わせた方形枠サイズの開閉自在なガラス枠8、このガラス枠8の下方において同じく前枠4に対して開閉自在に構成された中央扉9(ヒンジは正面左側)、この中央扉9の前面に取り付けられた上受け皿10、中央扉9の下方を左右に延びて着脱自在に設けられ、その中央部に下受け皿11を有する当て板12等がそれぞれ備え付けられており、当て板12の正面右方には遊技者が操作する打球発射ハンドル34が前枠4の前面側に突出して設けられている。なお、この下受け皿11は当て板12とは別部材に構成されるのが一般的であるが、当て板12と一体に形成されているのであってもよい。
【0020】
遊技構成部材としては更に、パチンコゲームを展開し得る遊技盤(図示せず)が、前枠4内に保持された方形枠状の収納枠(図示せず)に着脱(交換)可能に保持されており、ガラス枠8中央の矩形状開口部8aには透明のガラス板13が取り付けられている。ガラス枠8が前枠4内に収容された閉扉状態では、遊技盤の前面はガラス板13の裏面と対向した状態となる。更に、遊技盤を保持する上記収納枠の裏側には、賞球貯蔵用のタンク14のほか、図示しないその他の構成部品(球寄せカバー、制御基板、受電・入出力用のターミナル基板、払い出し機構等)を所定位置に保持する裏機構板15が収納枠に対して開閉自在に取り付けられている。
【0021】
図2は遊技球を遊技盤内(遊技領域内)に発射供給する打球発射装置20の構成を示す分解斜視図であり、図3は打球発射ハンドル34の近傍領域を右側方より見た部分断面図、図4は打球発射ハンドル34の近傍領域を上方より見た部分断面図である。打球発射装置20は打球発射ハンドル34と、打球発射ハンドル34を保持してこれを前枠4の前後方向に移動させることが可能なハンドル移動機構と、打球発射ハンドル34の捻り操作に応じて遊技盤内(遊技領域内)に遊技球を発射供給する打球発射機構とを有して構成されている。
【0022】
ハンドル移動機構は、前述の当て板12(図2には図示せず)の右方から前方に延びるように当て板12と一体に形成された外筒31と、この外筒31内に挿設されて外筒31の軸方向、すなわち前枠4の前後方向にスライド移動自在な内筒32(図2には図示せず)と、この内筒32の前端部にねじS1(図3参照)により着脱自在に取り付けられたハンドル保持部33と、内筒32を外筒31に固定可能な固定手段(金具60と係止ねじS3とからなる。詳細は後述)とを有して構成される。打球発射ハンドル34は、ハンドル保持部33の前面側に螺設されたグリップ部34aと、このグリップ部34aに対して捻り操作自在に取り付けられたレバー部34bとから構成される。打球発射機構は、図2に詳しく示すように、前枠4下部の裏面側に遊技盤の盤面とほぼ平行な姿勢に取り付けられた矩形平板状の固定ベース41と、この固定ベース41に取り付けられ、固定ベース41の背面側を遊技盤の盤面とほぼ平行な面内で揺動可能な打球杵(ハンマー)42と、この打球杵42を常時図2中の矢印A1方向に付勢するリターンスプリング43と、打球杵42と当接して打球杵42の矢印A1方向への揺動範囲を制限するストッパ44と、リターンスプリング43の上記付勢力に抗して打球杵42を図2中の矢印A2の方向に揺動付勢するロータリ形ソレノイド45とから構成される。
【0023】
当て板12は、図3及び図4に示すように、前枠4下部の前面側に形成された窪み4aに外筒31の基部31aを嵌入させた状態で前枠4に前面側に取り付けられている。ハンドル保持部33は前述のようにねじS1により内筒32の前端部に取り付けられるが、このハンドル保持部33の取り付けは当て板12を前枠4に取り付ける前から取り付けておくことができる。
【0024】
ハンドル保持部33には、レバー部34bを介して人体の静電容量を検出することで遊技者が打球発射ハンドル34に触れているか否かを検知するタッチ板36が設けられており、このタッチ板36により検知された情報は内筒32内を通って前枠4の裏面側へ延びたハーネスHを介して制御装置(図示せず)に送られるようになっている。また、打球発射ハンドル34のレバー部34bは、ハンドル保持部33内に設けられたコイルばねにより常時図2中の矢印B1方向に付勢されており、遊技者がレバー部34bをこのコイルばねの付勢力に抗して図2中の矢印B2方向に捻り操作したときには、このレバー部34bからハンドル保持部33側へ突出して延びた突出部材(図示せず)が回転し、これと嵌合したハンドル保持部33内の操作軸35がレバー部34bと同じ捻り量だけ回転動作するようになっている。この操作軸35の回転角度はハンドル保持部33内に設けられた可変抵抗器(図示せず)により抵抗の大きさとして検知され、その検知情報は上記ハーネスHより制御装置へ送られる。
【0025】
制御装置は、タッチ板36を介して遊技者がレバー部34bに触れているとの情報が得られているときには、上記可変抵抗器を介して検出されたレバー部34bの捻り量に応じた電流をロータリ形ソレノイド45に供給する所要の制御を行う。これによりロータリ形ソレノイド45は電磁動作してレバー部34bの捻り量に応じた揺動角で打球杵42を図2中の矢印A2の方向に揺動付勢するが、ロータリ形ソレノイド45に供給される電流は上記制御装置の制御により一定時間経過後には遮断されるため、打球杵42はリターンスプリング43の付勢力を受けて図2中の矢印A1の方向に勢い良く揺動する。
【0026】
打球杵42はこの揺動後、ストッパ44に当接して静止するが、この打球杵42の揺動により、発射レール71下端の所定位置に供給された遊技球は打球杵42の上端部から左方に突出形成された槌部42aにより叩打され、発射レール71上を転がって遊技盤内(遊技領域内)に供給される。ここで、発射レール71は中央扉9の裏面側に相当する前枠4の下部スペースに右下方から左上方に向かって延びるように設けられており、遊技球は中央扉9に裏面側に取り付けられた球送り装置72より上記所定位置に順次供給される。ここで、図2に示すように、ハンドル保持部33内には発射停止スイッチ37が設けられており、ハンドル保持部33の側方から外方に突出して設けられた発射停止レバー38を指で操作したときにオンとなるようになっている。この発射停止スイッチ37のオン信号は上記ハーネスHから上述の制御装置へ送られ、制御装置はこのオン信号が入力されている間は打球杵42による遊技球の叩打を停止する制御を行う。このため遊技者は打球発射ハンドル34の操作と発射停止レバー38の操作とを組み合わせることにより、一発ずつの打球を行うことも可能である。
【0027】
図5(A)は内筒32及びこれに固定される金具60を内筒32の後方斜め上方から見た分解斜視図であり、図5(B)は金具60を取り付けた内筒32を前方(図5(A)における矢印Cの方向)から見た部分断面図である。これら両図に示すように、内筒32は丸みを帯びた四辺形の閉断面形状をなしており、その上辺部の外面側には長手方向(外筒31に対するスライド方向)に延びたスライド溝32aが設けられている。金具60は内筒32の後端部に位置する基部61と、この基部61から前方に延びて形成された左右のアーム部62とからなっており、これら両アーム部62それぞれの前端部に形成された係止爪62aを内筒32の左右両辺部に形成された係止溝32bに係止させるとともに、複数のねじS2(図4における右方の部分拡大図参照)により金具60側のねじ穴61aと内筒32側のねじ穴32cとが接合されて内筒32に取り付けられる。金具60の左右のアーム部62はそれぞれ両端が支持された梁状になって面外方向に微少量の弾性変形が可能であり、それぞれの中間部には左右で一対となる係止穴63が複数組(ここでは3組)所定間隔をおいて設けられている。
【0028】
図6は外筒31を当て板12の前方(図5の矢印Cに相当する方向)から見た部分断面図である。この図に示すように、外筒31は内筒32を挿入できる大きさの内部領域を有して底辺部が水平に形成されたほぼ円形の閉断面形状をなしており、その上頂部の内面側には軸方向(長手方向)に延びた突状部31cが設けられている。この突状部31cは、内筒32が外筒31に挿入された状態で内筒32に形成された上記スライド溝32aと係合されるようになっており、内筒32を外筒31に対してスライド移動させたときに、内筒32が外筒31の軸回り方向に捻れることがないようになっている。また、外筒31の左右側辺部には係止ねじS3が外方から内方に向かうように取り付けられており、その先端部は内筒32に固定された金具60の係止穴63と係合するようになっている(図4における下方の部分拡大図参照)。なお、これら金具60と係止ねじS3とから、内筒32を外筒31に固定する前述の固定手段が構成される。
【0029】
ここで、金具60のアーム62上に形成された複数の係止穴63のうち最も手前側(遊技者から見て手前側。図3及び図4では紙面の左方)に位置するもの(図3中に示す係止穴63a)は、打球発射ハンドル34を最も前枠4側へ近づけた状態の打球発射ハンドル34の位置である「最大押し込み位置」(図3中、二点鎖線で示す打球発射ハンドル34の位置)に位置させたときに外筒31に取り付けられた上記係止ねじS3と係合する位置に形成されている。また、上記複数の係止穴63のうち最も奥側(遊技者から見て最も前枠4に近い側。図3及び図4では紙面の右方)に位置するもの(図3中に示す係止穴63c)は、打球発射ハンドル34を最も手前側に近づけた状態の打球発射ハンドル34の位置である「最大引き寄せ位置」(図3中、実線で示す打球発射ハンドル34の位置)に位置させたときに上記係止ねじS3と係合する位置に形成されている。また、それ以外の係止穴63(図3中に示す係止穴63b)は、これら両係止穴63間(係止穴63a,63c間)にほぼ等間隔で形成される。
【0030】
また、図4及び図6に示すように、外筒31の下辺部にはガイドねじS4が外方から内方に向かうように取り付けられており、その先端部は内筒32の下辺部に内筒32のスライド移動方向に延びて設けられたガイド溝32d(図5(B)参照)内に位置している(図3及び図4参照)。このガイド溝32dは、内筒32が外筒31から抜け落ちることがないように設けられるものであり、打球発射ハンドル34が上記両位置(「最大押し込み位置」と「最大引き寄せ位置」)の間をのみ移動するように、内筒32の外筒31に対するスライド移動領域を制限する位置及び長さに設けられている。すなわち、ガイド溝32dの手前側の端部は打球発射ハンドル34が「最大押し込み位置」に位置したときに外筒31に取り付けられた上記ガイドねじS4と当接する位置に形成されており、ガイド溝32dの奥側の端部は打球発射ハンドル34が「最大引き寄せ位置」に位置したときに上記ガイドねじS4と当接する位置に形成されている。なお、図4は打球発射ハンドル34が「最大押し込み位置」に位置してガイドねじS4がガイド溝32dの手前側端部に当接している状態を示している。
【0031】
ハンドル移動機構はこのような構成を有しているため、遊技者は内筒32を外筒31に対してスライド移動させつつ、打球発射ハンドル34を上記「最大押し込み位置」と「最大引き寄せ位置」との間で移動させることができるが、外筒31に設けられた左右の係止ねじS3が、内筒32と一体となって移動する金具60のアーム62に形成された3組の係止穴63(63a,63b,63c)のいずれかと係止した位置で内筒32は外筒31に対して固定される。また、このように固定された打球発射ハンドル34を隣の固定位置へ移動させるには、打球発射ハンドル34をその方向へ押し込み、或いは引き寄せればよく、このような操作により係止穴63と係止ねじS3との係合は外れ、内筒32は外筒31内をスライド移動する。このとき金具60の両アーム62は、係止ねじS3の先端部に押圧されて内筒32の中心方向に若干撓んだ状態となるが、係止ねじS3が隣の係止穴63に至った時点で両アーム62は元の状態(撓まない状態)に復帰し、係止ねじS3はその係止穴63に係合して内筒32は外筒31に固定される。
【0032】
ここで、図5(A)に示すように、内筒32の上面側の最前部にスライド方向を示す矢印のマークMが記されていれば、これが外筒31と内筒32の間から遊技者に見えるようになり、打球発射ハンドル34を矢印Mの方向に動かして打球発射ハンドル34の操作位置の変更ができることを遊技者に知らせることができる。
【0033】
このように本パチンコ機1における打球発射装置20では、打球発射ハンドル34が、従来のように前枠4の前面に固定されるのではなく、前枠4の前面を左右に延びて設けられ、中央部に下受け皿11を有した当て板12と一体に構成されて受け皿11の右方から前方に延びた外筒31と、この外筒31に案内されて当て板12の前後方向にスライド移動可能な内筒32と、この内筒32を外筒31に固定可能な固定手段(金具60及び係止ねじS3)とから構成されるハンドル移動機構を介して前枠4前面に取り付けられているので、遊技者は、打球発射ハンドル34を前枠4側に押し込み、或いは手前側に引き寄せる操作を行って打球発射ハンドル34の操作位置を自身の姿勢等に合わせて調節することができる。このため、遊技者は前屈みになったりすることなくリラックスした姿勢で打球できるようになり、獲得した遊技球の収納容器をパチンコ機1下部のテーブル2上に置いて打球をする場合でも、その収納容器を邪魔に感じることがなくなるので、快適な気分で遊技を楽しむことができるようになる。また、外筒31は当て板12と一体になっているので、これら両部31,12を別部材とする場合よりも部品点数が少なくなるとともに、組み立ても簡単になるので製造コストを低減することができる。
【0034】
図7は第2の構成形態に係る打球発射装置を説明するものであり、図7(A)は打球発射ハンドル34の近傍領域をパチンコ機1の右方から見た要部部分断面図、図7(B)は図7(A)における矢視D−Dから見た端面図である。本構成形態に係る打球発射装置では、上述の第1の構成形態における外筒31と同様の手順により前枠4前面に取り付けられる外筒131は円形の閉断面形状をなしており、前端部に打球発射ハンドル34が取り付けられる内筒132はこの外筒131内をスライド移動できるように、外筒131の内周面と接触する円弧外周部を上下に有した閉断面形状をなしている。この構成形態では前述の第1の構成形態において示したような金具60は用いられず、内筒132の一方側の側面に外筒131に対するスライド方向に延びて形成された主溝133aと、この主溝133aから内筒132の面内を直角方向に延びた複数の係止溝133bとからなるガイド溝133が設けられる。なお、本構成形態では第1の構成形態のように互いに係合するスライド溝(内筒32に形成されたスライド溝32a)及び突状部(外筒31に形成された突状部31a)は不要である。
【0035】
このガイド溝133のうち係止溝133bは打球発射ハンドル34の固定位置、すなわち内筒132の外筒131に対する固定位置に対応して設けられる。従って打球発射ハンドル34の固定位置を第1の構成形態のように3箇所とするならば係止溝133bの数は3つとなり、図7(A)に示すようにガイド溝133はアルファベットの「E」字状に形成される。また、ガイド溝133の主溝133aは前述の第1の構成形態における内筒32の下辺部に形成されたガイド溝32dに相当するものであり、この主溝133aにより内筒132の外筒131に対するスライド移動領域が制限され、内筒132の外筒131からの抜け落ちが防止される。また、外筒131の側面には先端部が上ガイド溝133内に位置するようにガイドねじS11が外方から内方に向かって取り付けられる。
【0036】
遊技者は、打球発射ハンドル34の固定位置を変更するときには、打球発射ハンドル34を図2中の矢印B1の方向に捻って内筒132を外筒131に対して回転させ、ガイドねじS11を係止溝133bから主溝133a内に位置させた状態で(このガイドねじS11が主溝133a内に位置した状態は、打球発射ハンドル34がそれ以上矢印B1方向に回らなくなることで判る)、打球発射ハンドル34を前後方向にスライド移動させる。そして、好みの固定位置において打球発射ハンドル34を今度は図2中の矢印B2の方向に捻る。これによりガイドねじS11は主溝133aから係止溝133b内に位置し、打球発射ハンドル34はその位置に固定される。なお、この構成形態においても、内筒32上面側の最前部に打球発射ハンドル34の操作位置の変更ができることを遊技者に知らせるためのマーク(上記第1の構成形態で示したマークMに相当するもの)を設けることができるが、この場合には打球発射ハンドルのスライド方向のみならず、捻り方向も示すようにすることが好ましい。
【0037】
なお、主溝133aから係止溝133bが延びる方向は、打球時にレバー部34bが捻られる方向と一致していることが好ましい。このようにすれば、ガイドねじS11を係止溝133bから外すときの打球発射ハンドル34の捻り操作方向は、打球時におけるレバー部34bの捻り操作方向は反対になるので、打球中に内筒132の外筒131に対する固定が緩む虞がなくなる。また、図示はしないが各係止溝133bの両側部を絞った形状にして簡単なデテントを形成し、位置決め後のガイドねじS11が遊技者による操作なく係止溝133bからはずれることを防止できるようにした構成としてもよい。
【0038】
このように本構成形態に係る打球発射装置においても前述の第1の構成形態に係る打球発射装置と同様の効果が得られるが、本構成形態では、第1の構成形態において必要であった金具60が不要になるので部品点数が少なくなるという利点がある。また、この第2の構成形態におけるガイド溝133は、第1の構成形態における金具60のアーム部62に形成された係止穴63と、内筒32の下辺部に形成されたガイド溝32dとを一体にした働きをなしているので、工作工程が簡単になるという利点もある。
【0039】
図8は第3の構成形態に係る打球発射装置を説明するものであり、図8(A)は図7(A)におけるガイド溝133とガイドねじS11との係合部に相当する部分を拡大して示す要部側面図、図8(B)は図8(A)における矢視E−Eから見た端面図である。この第3の構成形態における外筒231と内筒232の外形形状は第2の構成形態における外筒131及び内筒132とほぼ同じであるが、第2の構成形態において内筒132に形成されたガイド溝133の代わりに、第1の構成形態において金具60のアーム部62に形成された係止穴63と同様の複数の係止穴263(窪みでもよい)が内筒232のスライド方向に並んで設けられる。但し、第1の構成形態では係止穴63は左右のアーム部62に対になるように設けられたが、本構成形態では内筒232の一方の側面にのみ設けられる。また、本構成形態では、第2の構成形態において外筒131に設けられたガイドねじS11の代わりに外筒231の外方から内方に向かう方向に係止ねじS21が設けられ、その先端部を上記係止穴263に係止させることで内筒232を外筒231に固定できるようになっている。また、係止ねじS21の頭部には遊技者が手動でこれを捻り操作することができるようにするためのレバーLが取り付けられている。
【0040】
遊技者は、打球発射ハンドル34の固定位置を変更するときには、先ずレバー部を図8中の矢印F1の方向に捻る。そして、係止ねじS21が緩まったところで打球発射ハンドル34を前後にスライド移動させ、好みの固定位置においてレバーLを今度は図8中の矢印F2の方向に捻って係止ねじS21を締める。これにより係止ねじS21の先端は係止穴263に係合し、打球発射ハンドル34はその位置に固定される。
【0041】
このように本構成形態に係る打球発射装置においても前述の両構成形態に係る打球発射装置と同様の効果が得られるが、この第3の構成形態に係る打球発射装置では第2の構成形態の場合と同様、第1の構成形態において必要であった金具60が不要になるので部品点数が少なくなるという利点がある。
【0042】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述のものに限定されない。例えば、上記構成形態では、遊技球を叩打する打球杵42はロータリ形ソレノイド45により駆動(揺動付勢)される構成であったが、打球発射ハンドル34の捻り量を電気的に検出して打球発射を行う構成のものであれば、必ずしもこのような構成でなくてもよい。また、ハンドル移動機構は、上述の構成形態における外筒と内筒の構成を入れ換え、前枠4の前面から内筒が前方に延び、打球発射ハンドルが取り付けられた外筒がこの内筒に取り付けられた構成であってもよい。要は、前枠の前面を左右に延びて設けられ、中央部に遊技球の受け皿を有した当て板と一体に形成されて受け皿の側方から前方へ延びたガイドと、前端部に打球発射ハンドルを保持し、ガイドに案内されて当て板の前後方向にスライド移動可能なスライド部材とからなる構成であればよい。
【0043】
また、これらガイドとスライド部材は上述の構成形態のような円筒形状に限られず、角筒を始め他の形状であってもよい。また、上述の構成形態では、打球発射ハンドルの固定位置、すなわち内筒の外筒に対する固定位置は3箇所であったが、これは一例に過ぎず、2箇所以上であれば何段であってもよい。更には固定位置をこのような飛び飛びの位置ではなく、内筒(スライド部材)の許容移動範囲内における任意の位置に固定できるようにしてもよい。これは、例えば上述の第3の構成形態で示した構成(図8参照)において、内筒232の軸方向に並んだ複数の係止穴263を連ねて一本の溝を形成させた構成にするとともに、上記第1の構成形態で示した内筒のスライド移動領域を制限する機構(第1の構成形態ではガイド溝32dとガイドねじS4からなる機構)を設けることにより実現できる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の縦型弾球遊技機の打球発射装置では、打球発射ハンドルが、従来のように前枠の前面に固定されるのではなく、中央部に遊技球の受け皿を有した当て板と一体に構成されて受け皿の側方から前方に延びたガイドと、このガイドに案内されて当て板の前後方向にスライド移動可能なスライド部材と、このスライド部材をガイドに固定可能な固定手段とから構成されるハンドル移動機構を介して前枠前面に取り付けられているので、遊技者は、打球発射ハンドルを前枠側に押し、或いは手前側に引き寄せる操作を行って打球発射ハンドルの操作位置を自身の姿勢等に合わせて調節することができる。また、ガイドは当て板と一体になっているので、これら両部を別部材とする場合よりも部品点数が少なくなるとともに、組み立ても簡単になるので製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の構成形態に係る打球発射装置が適用されたパチンコ機の構成を示す図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図2】 このパチンコ機における打球発射装置の構成を示す分解斜視図である。
【図3】 打球発射ハンドルの近傍領域を右側方より見た部分断面図である。
【図4】 打球発射ハンドルの近傍領域を上方より見た部分断面図である。
【図5】 (A)は内筒及びこれに固定される金具を内筒の後方斜め上方から見た分解斜視図であり、(B)は金具を取り付けた内筒を前方から見た部分断面図である。
【図6】 外筒を前方から見た部分断面図である。
【図7】 第2の構成形態に係る打球発射装置における打球発射ハンドル近傍の構成を示す図であり、(A)は打球発射ハンドル近傍をパチンコ機の右方から見た要部部分断面図、(B)は(A)における矢視D−Dから見た端面図である。
【図8】 第3の構成形態に係る打球発射装置における打球発射ハンドル近傍の構成を示す図であり、(A)は図7(A)におけるガイド溝とガイドねじとの係合部に相当する部分を拡大して示す要部側面図であり、(B)は(A)における矢視E−Eから見た端面図である。
Claims (3)
- 方形枠状の外枠と、この外枠の前側開口域に合わせた方形状に形成されて前記外枠に開閉自在に取り付けられた前枠とを有して構成され、ほぼ立設状態で遊技に供される縦型弾球遊技機の打球発射装置であって、
前記前枠の前面下部に左右に延びて設けられ、中央部に遊技球の受け皿を有した当て板と、
前記当て板の前面にハンドル移動機構を介して取り付けられた打球発射ハンドルと、
前記前枠に取り付けられ、前記打球発射ハンドルの捻り操作に応じて前記前枠内に設けられた遊技領域内に遊技球を発射供給する打球発射機構とを有し、
前記ハンドル移動機構は、
前記受け皿の側方において前記当て板の前面から前方に延びて前記当て板と一体に形成されたガイドと、
前端部に前記打球発射ハンドルを保持し、前記ガイドに前後方向にスライド移動可能に取り付けられたスライド部材と、
前記スライド部材を前記ガイドに対して所定のスライド位置で固定可能な固定手段とからなり、
前記固定手段が、前記スライド部材の後端部に位置する基部、および、前記基部から前記ガイドと前記スライド部材との互いに対向する間隔内を前方に延びた弾性変形可能な左右一対のアーム部を有する固定金具と、前記ガイドに設けられて先端部が前記互いに対向する間隔内に突出し、前記先端部が前記アーム部に形成された係止穴と係合可能な係止部材とから構成され、
前記固定金具が、前記左右一対のアーム部のそれぞれの前端部に形成された係止爪を前記スライド部材の左右両辺部に形成された係止溝に係止させることにより、前記スライド部材に取り付けられ、
前記係止穴が前記スライド移動方向に沿って複数設けられており、前記係止部材の先端部が前記スライド部材のスライド移動に応じて前記アーム部を弾性変形させて複数の前記係止穴と選択的に係合し、前記スライド部材を前記ガイドに対して複数のスライド位置で固定可能となっていることを特徴とする縦型弾球遊技機の打球発射装置。 - 前記ガイドおよび前記スライド部材のいずれか一方にスライド方向に延びた所定長さの移動制限用ガイド溝が形成されるとともに他方に先端部が前記移動制限用ガイド溝内に位置するガイド部材が設けられており、前記ガイド部材の先端部が前記移動制限用ガイド溝の前後方向端部に当接して前記スライド部材の前後スライド移動範囲を制限するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の縦型弾球遊技機の打球発射装置。
- 前記ガイドおよび前記スライド部材のいずれか一方にスライド方向に延びた突状部が形成されるとともに他方に前記突状部と係合するスライド溝が形成されており、前記突状部が前記スライド溝と係合して前記スライド部材が前記ガイドに対して捻れることなく前後にスライド移動するように構成されていることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の縦型弾球遊技機の打球発射装置。
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