JP3761288B2 - ロッドレスシリンダ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、スリット側内面の曲率がゼロまたは、極めて小さくしてある非円形シリンダ孔内のピストンの動きをチューブ外側に取り出すようにし、前記スリットは、ピストン両端のピストンパッキンより軸方向外側部分を、薄い平坦な内シールバンドで塞いで成る流体圧作動のロッドレスシリンダに関する。
【0002】
【従来の技術】
長円または楕円など、非円形シリンダ孔を有するスリットチューブ式ロッドレスシリンダとして、▲1▼シリンダ孔の設けてある内面が平坦な平面となっていて、その平面に、薄い平坦な金属ストリップが密着することでピストン部分を除いたスリット部分を塞ぐようにしているものがある(特開昭50−89775号)。また、▲2▼非円形シリンダ孔を有するシリンダチューブの長手方向スリットの両側に、弾性シール材の嵌入溝を設け、比較的厚みのある弾性シール材を前記嵌入溝に嵌め込んでスリットを塞ぐものとして、実開平1−104407号、実公平6−40324号などがある。尚、偏平タイプのシリンダではないが、▲3▼円形シリンダ孔を有するシリンダチューブの長手スリットの両側に、シリンダ孔内面を形成する円弧半径より小さい円弧で円弧面を形成し、その円弧面に対応して、スリットを上向きとしたときに円弧状に上向きに湾曲させた薄いシールバンドを当接してスリットを閉塞するもの(特開昭62−46009号)、▲4▼円形シリンダ孔を有するシリンダチューブのスリット両側の内面に、平坦な内シールバンドをピストン孔内側からの内圧により上方に湾曲させ、その湾曲による前記内面方向へのシールバンド自体の押付力も利用して内シールバンドの幅方向エッジ部分を内面に押し当ててシールするもの(特公昭61−5006号)も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
▲1▼では、スリット両側のシリンダ孔の平坦な内面に平坦な金属ストリップが圧着方向に移動することなくそのまま面圧接するから、両者の圧接平面全体の平坦度合い(平面度)が両者のシール性に大きく影響し、その平面度を高い精度に維持しないと、シール性を安定して高くできない。▲2▼では、弾性シール材が、スチールバンドに代表されるような薄いシールバンドに比して極めて厚みが厚いので、シリンダチュ−ブのスリット形成壁の壁厚が通常厚くなり、その結果、非円形シリンダ孔を採用して、ロッドレスシリンダのシリンダチューブが偏平な外形となっても、高さ(厚み)が円形シリンダ孔を採用したスリット式ロッドレスシリンダに比較してさほど薄くならないという問題があった。さらに▲3▼、▲4▼では、シリンダ孔が円形である点で、本願発明とはロッドレスシリンダの構造が異なり、いわゆる偏平タイプのロッドレスシリンダではないから、ロッドレスシリンダの高さが高くなるものであり、そのような全体構成の不利な点に加えて、▲3▼では薄いシールバンドがスリットを上向きとしたときに上向きに湾曲していて、ピストン内側において、そのシールバンドを湾曲を無くす方向に上からローラで抑えてガイドしているから、シールバンドが強制的に変形されて使用される結果、シールバンドの耐久性が低下する。また、円弧面に円弧に湾曲したシールバンドを圧接するので、両者の円弧面形状がよく一致しないと、シール性が効果的に発揮されない。さらに、シールバンドが湾曲した円弧面となっているから、内圧によるシールバンドの変形が予測しがたく、シール機能を検討するには、極めて扱いにくいなど、設計上、実用上、全く採用しがたい問題がある。
【0004】
また▲4▼では、シールバンドが円弧内面に沿って内圧により撓むことで、幅方向エッジ部には、その撓みを戻そうとする弾性力が作用し、その力が内面に対するエッジ部分の押付力となり、その押付力でシールバンドのエッジ部が、内面に押付けられて線当りのような状態で内面との間をシールしている。そのために、シール機能を検討するときには、シールバンドの撓み量は極めて重要な要素となっており、そのシールバンドが上方に屈曲移動する移動量が小さ過ぎても、大きすぎてもシール機能を低下させるため、内シールバンドに内圧がかかったときの移動量(撓み量)を、適正な値としてシールバンドのエッジ部でシールしているから、前記▲1▼のように面接触する場合よりも、安定して高いシール機能を実現できるものであるが、シリンダ孔が円形であることから、シリンダ孔径が異なるロッドレスシリンダに対しては、シールバンドの倣う内面半径が変化し、その都度、シールバンドの適正撓み量を検討せねばならず、設計に手間がかかる問題があった。
本願発明の課題は、スリット側内面の曲率がゼロまたは、極めて小さくしてある非円形シリンダ孔のロッドレスシリンダのスリットを、流体もれ少なく塞ぎ、かつ、スリット部分のシール機能を容易に検討できて最適設計が可能であり、従来の偏平シリンダに対して格段に薄くなるロッドレスシリンダとなるスリットの密封装置を得ることにある。また、本願の他の課題は、異なるシリンダ孔形状の偏平シリンダを作るときにも、設計の容易なスリットの密封装置を得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために,シリンダチューブに設けた長手方向のスリットを介して,チューブ内側の非円形シリンダ孔内のピストンの動きをチューブ外側に取り出すようにし,前記スリットは,ピストン両端のピストンパッキンより軸方向外側部分を,薄い平坦な内シールバンドで塞いで成る流体圧作動のロッドレスシリンダであって,前記非円形シリンダ孔は,スリット側内面の曲率がゼロまたは,極めて小さくしてあるロッドレスシリンダにおいて,スリットの幅方向両側内面にシリンダチューブのスリット側内面とスリットを形成するスリット面とを連続させるバンド収容くぼみを形成し,そのバンド収容くぼみを形成するスリットの幅方向両側内面を,前記スリット側内面の曲率よりも大きな曲率で,かつ,薄い平坦な内シールバンドの幅方向端部が接触する断面円弧形状の表面に形成し,それらの表面の円弧の曲率中心を夫々左右のスリット面側へスリットの幅方向両側に離して位置させ,バンド収容くぼみを,平坦な状態の内シールバンドの幅方向端部が前記幅方向両側内面に接触した状態で,内シールバンドのシリンダ孔内側面がスリット側内面とほぼ面一となる深さとし,平坦な状態の内シールバンドの幅方向端部が前記幅方向両側内面に接した状態で,内シールバンドのスリット側面とスリットの内側開口の間には,シリンダ室内の圧力により,平坦な状態の内シールバンドをスリットに向けて凸に撓ませるための距離を設けてあることを特徴とする。前記距離は,スリットからの流体漏れを実用上問題のない程度に少なくする内シールバンドのスリットに向けての撓み量に設定してあることを特徴とする。
【0006】
これによれば、内圧が加わったときに、内シールバンドをスリット方向へ撓ませて幅方向端部でシールすることができ、平面で圧接する場合に比べて高いシール機能を発揮でき、非円形シリンダ孔を有するシリンダチューブの成形が容易となる。また、平坦な内シールバンドを撓ませるので、撓み量と、それにより内シールバンドの幅方向端部に生じる弾性力も容易に検討でき、シール機能の検討が容易になる。さらに、非円形シリンダ孔を偏平形状としたときに、内シールバンドが薄いから、従来のように厚い、樹脂バンドを使用したものに比べて、シリンダチューブのスリット形成壁の厚さを薄くでき、ロッドレスシリンダ全体の厚みが薄くなる。
【0007】
また、曲率と前記距離を非円形シリンダ孔の形状(大きさも含む)に係らず一定とすることで、一つのシリンダ孔形状に対して最適設計をすれば、曲率と適正移動量については、何等変更を加えることなく、他の非円形シリンダ孔のロッドレスシリンダに適用でき、設計の手間が軽減される。
【0008】
好適には,内シールバンドの幅方向端部が接触する円弧形状の表面を形成する円弧の曲率中心は,夫々スリットを構成する左右のスリット面を含む面内に位置している。
【0009】
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本願実施の形態を図1から図9により説明する。ロッドレスシリンダ1のシリンダチューブ(ボディ)2は、非磁性材料(例えばアルミニウム合金)を押出し、もしくは、引き抜き成形して成り、非円形(長円形)のシリンダ孔3を有すると共に、その長手方向全長に亘って、スリット4が形成してある。シリンダチューブ2には、断面でみて、前記シリンダ孔3とスリット4の他に、幅方向左右の側壁外面にシリンダ孔3と平行に、端部材取付用の取付溝5とセンサ取付溝6とが形成されている。
【0011】
シリンダ孔3は,図4,図5に示すようにスリット側内面7,7とスリット4と対向するスリット対向側内面8とが平面となっており,スリット側内面7,7とスリット対向側内面8とをスリット4両側の円弧(半円)形状内面9,9により連続し,スリット側内面7,7には,スリット4の幅方向両側に断面円弧形状であり,その表面に内シールバンド25の幅方向両端部が接触する幅方向両側内面10,10を連続して形成し,幅方向両側内面10,10によりバンド収容くぼみが形成される。この幅方向両側内面10の表面を形成する円弧の曲率中心は,スリット4を構成する左右のスリット面4a,4aを含む面内に夫々位置している。尚,スリット側内面7は平面の他に曲率を極めて小さく形成してもよく,このスリット側内面7の曲率より大きな曲率で幅方向両側内面10,10を形成しても良い。
【0012】
シリンダチューブ2の長手両端部は、左右のエンドキャップ11,11で塞がれ、左右のエンドキャップ11,11間にシリンダ室13を形成している。左右のエンドキャップは、左右形状が対称となっているのみで同様であるから、以下、左側のエンドキャップ11を示す各図に基づいて説明する。図1,2において、エンドキャップ11とシリンダチューブ2とは、エンドキャップ11の嵌入軸部14をシリンダガスケット15を介してシリンダ孔3端部に嵌入した状態で、自体の捩じ込みにより下孔に雌ねじを形成して締結されるタッピンねじ(例えばJIS(日本工業規格)B−1122に規定されているような)16を、前記端部材取付用の取付溝5の端部に捩じ込むことにより、エンドキャップ11のシリンダチューブ2に対する幅方向位置を決めて結合されている。タッピンねじ16による結合個所は、エンドキャップ11の側面に形成されている図示しない流体給排ポートとの関係で、エンドキャップ11について各3か所である。
【0013】
シリンダ室13は、ピストン本体18aの両端にピストンエンド18bを有するピストン18により前後シリンダ室13A,13Bに区画されている。ピストン18には、前記スリット4を貫通するピストンヨーク19が一体成形されている。そのピストンヨーク19は、シリンダチューブ2外側において左右に拡がり、ピストンマウント20となっている。ピストンマウント20は、外シールバンド26の通過するバンド通過空間21を樹脂材料から成るカバー部材22で塞いでいる。これらピストン18とピストンヨーク19とピストンマウント20とにより移動体23が構成されている。ピストン本体18aとピストンヨーク19とピストンマウント20とは全体がアルミニウム合金からる単一部材で構成されている。ピストンマウント20の下端外周には、全周にわたってスクレーパ24が取り付けられ、シリンダチューブ2の上面(スリット開口方向側外面)との間とピストンマウント20の下面との間の隙間からの塵埃侵入を防止している。
【0014】
スリット4を内側と外側から塞ぐ内外シールバンド25,26は、前記ピストンヨーク19の上下を通ってその両端が左右のエンドキャップ11,11に達している。内外シールバンド25,26は、厚みの薄い、弾性を有する可撓性バンドであり、例えばスチールバンドなどの磁性材料から成る。内外シールバンド25,26は周知のように、スリット4の幅より大きな幅を有している。各シールバンド25,26は、それらの両端をエンドキャップ11の対応するバンド嵌入孔27,28に嵌め込み、シールバンド25,26の長手両端に設けた図示しない取付孔と、エンドキャップ11のピン孔29とを一致させた状態で、外方から取付ピン30をピン孔29に嵌め込んで、エンドキャップ11に連結される。
【0015】
これらの内外シールバンド25,26を吸着するための磁石31が、シリンダチューブ2外面において、スリット4両側に長手に沿って配置されている。ピストンヨーク19を通過している部分を除いて、内シールバンド25は、その磁気吸着力とシリンダ室13に加わる流体圧力によりスリット4を内側から塞ぎ、また、外シールバンド26は前記磁気吸着力によりスリット4を外側から塞ぐ。
【0016】
内シールバンド25は図5に示すようにシリンダ孔3側に向く内側面25aの幅方向両端部がエッジ部分25cに向けて傾斜する傾斜面33に面取りされ、これと反対側の外側面25bの幅方向端部が前記スリット4の幅方向両側内面10,10に圧接するエッジ部分25cとなっていて、エッジ部分25cは長手方向に歪みのない状態で高精度に、例えばシェーパー加工により、形成されている。この内シールバンド25の両端部と幅方向両側内面10,10とにより窪み34が形成される。この内シールバンド25の端部厚さは好ましくは0.02〜0.05mmであり、0.1mm以下に形成されている。また、前記内側面25aは内シールバンド25が平坦状態では、スリット側内面7、7と同一面を成している。内シールバンド25のスリット側面25bとスリット4の内側開口までの距離である動き量Lがスリットからの流体漏れを、実用上問題のない程度に少なくする適正移動量に設定してある。この適正移動量は実験等により定められる。
【0017】
こうして、スリット側内面7が平面または曲率が極めて小さく設定された一つのシリンダ孔形状に対して、漏れ量を少なくできる所定の軸方向両側内面10,10の曲率と、それに対する一つの適正移動量が決定されると、その曲率と適正動き量の値とを同じとして、スリット側内面7が平面または曲率が極めて小さく設定された別のシリンダ孔形状のものに適用しても、シール機能が満足されることはいうまでもなく、従って、異なるシリンダ出力となる受圧面積を違えた、別のシリンダ孔形状に対応して幅方向両側内面半径Rと動き量Lとを新たに設定する必要がなく、スリット部分のシール性能の最適設計が容易に行える。ちなみに、半径Rを25mm、動き量Lを0.125mmとしたとき、スリット4からの圧流体漏れ量が少なく、実用的であった。尚、本願請求項1では、前記幅方向内面半径Rと動き量Lとを、同じにせずその都度検討することを否定するものではない。
【0018】
前記ピストン18両端のピストンエンド18bにはピストンパッキン35を嵌合する嵌合溝36が設けられている。この嵌合溝36にピストンパッキン35が嵌合される。ピストンパッキン35はシリンダ孔3より大きな略相似形をしている。ピストンパッキン35は図6、図7に示すように基部37と内側リップ38と外側リップ39とから形成され、内側リップ38と外側リップ39との間に隙間40が設けられた略U字形状断面をしたUパッキンである。内側リップ38と基部37とに貫通する中心孔は嵌合溝36に嵌合し、外側リップ39はピストン18をシリンダ孔4に嵌合した状態でシリンダ孔4の内面と内シールバンド25とに内側から圧接する。図6,7に示すように内シールバンド25側の外側リップ39には、内シールバンド25の幅方向の両端部と幅方向両側内面10との間の窪み34に対応した形状の突起41aが設けられている。基部37には、前記突起41aを形成した外側リップ39の背部側の部分が、基部37の他の肉厚に比べて厚肉部41bに形成してあり、突起41aと連続している。前記厚肉部41bは、内側リップ38と外側リップ39の連結点Aより、リップ開き方向と反対側にあって、ピストンパッキン25をピストン孔3に嵌入したとき圧縮され、厚肉部41bとなっていない他の基部の圧縮こわさよりも大きな圧縮こわさによる復元弾力で、幅方向両側内面10との間をシールし、また、内シールバンド25を幅方向両側内面10に押し付ける。
【0019】
前記ピストンパッキン35はゴムから形成され、一般的なピストンパッキンのゴム硬度(HS70程度)としているが、このピストンパッキン35の表面を化成処理(例えば塩素化処理)して耐久性と潤滑性を向上してもよいし、あるいは、シール性を向上するために前記ゴム硬度(HS70程度)より低いゴム硬度(HS60程度)とし、それによって低下する耐久性を補うために、ピストンパッキン35の表面に前記のような化成処理をしてもよい。
【0020】
尚、42は外部ダンパであり、エンドキャップ11のピストンマウント20と対向する側に取付けられ、ピストンマウント20のストロークエンドでピストンマウント20と衝接してその運動エネルギを吸収する。
【0021】
ロッドレスシリンダ1はエンドキャップ11側面に設けた図示しない給排ポートからの圧流体が前後シリンダ室13A,13Bに給排され、これによりピストン18即ち移動体23が左右に移動する。窪み34に入り込んでいるピストンパッキン35の突起41a部分において、外側リップ39に流体圧が作用し、外側リップ39が外方に押し付けられて幅方向両側内面10と内シールバンド25に内側から圧接する。また、図8に示す内、外側リップ38,39との連結点Aから、厚肉部41bと幅方向両側内面10、内シールバンド25との圧接が始まる点Bまでの間は、ピストンパッキン35の基部37の中実部分が、厚肉部41bを設けたことによって高くなった圧縮こわさによって幅方向両側内面10と内シールバンド25に圧接する。こうして、ピストンパッキン35と幅方向両側内面10と内シールバンド25端部との集合部分は、外側リップ39の流体圧による押し付けと、厚肉部41bによる復元弾力でシールされる。勿論、外側リップ39は、前記の他のシリンダ孔3内周にも圧接して、その部分をシールしている。
【0022】
ピストンパッキン35に対応していない部分では、シリンダ室6内の圧力により内シールバンド25がスリット4に向けて凸にたわみ、この内シールバンド25の屈曲によるエッジ部分25cを幅方向両側内面10に圧接しようとする押圧力と圧流体の圧力とにより、特にエッジ部分25cが幅方向両側内面10に圧接して圧流体の漏れを防ぎ、この状態でピストン18が移動すると、ピストンパッキン35は内シールバンド25の変形に追従し、内シールバンド25とピストンパッキン35とでシリンダ室6内のシール性が保たれる。エッジ部分25cでシールする本構成では、高いシール性を保つことができ、これによって、平面度(2次元方向)の面粗度を精度良くしなくてはならない従来のものと比べて、シリンダチューブ2の成形が容易に行える。
【0023】
前後シリンダ室13A,13Bに作用する圧流体が高圧の場合には、外側リップ39の圧接力は圧力に比例するから、特に圧力作用により外側リップ39がシリンダ孔3の内面、幅方向両側内面10、及び内シールバンド38に圧接する方向に強い押付力を受けるので厚肉部41bの復元弾力と相俟ってシール性が高い。また、外側リップ39によるシール性は圧力に比例するため、圧流体が低圧の場合には、外側リップ39によるシール性が低くなるが、厚肉部41bは圧流体の圧力に影響されず、その圧縮こわさの増加によるスクイズ効果(パッキン35の厚肉部41bが圧縮されて生じる復元弾力によるシール効果)によって、厚肉部41bが前記集合部分に強く圧接しているから、シール性が保たれる。また、厚肉部41bは突起41aと対応する位置のみに設けられており、その他の部分の外側リップ39では、内側リップ38と外側リップ39との間の隙間40によって外側リップ39がシリンダ孔3中心方向に変形できるようになっており、リップの復元弾力が小さいのでシリンダ孔3内面への押付力は厚肉部41bと突起41aの押付力に比べ小さく、ピストン18全体としては摺動抵抗が小さく、ピストン18を円滑に作動させることが可能である。
【0024】
尚、シリンダチューブ2のシリンダ孔3の形状は図10から図12に示すような形状であっても良く、スリット側内面7,7が平面または曲率が極めて小さい面であり、幅方向両側内面10,10がスリット側内面7,7の曲率より大きな円弧形状であればその他の内面はどのような形状であっても良い。
【0025】
【0026】
【発明の効果】
以上のように,本願発明では,シリンダチューブに設けた長手方向のスリットを介して,チューブ内側の非円形シリンダ孔内のピストンの動きをチューブ外側に取り出すようにし,前記スリットは,ピストン両端のピストンパッキンより軸方向外側部分を,薄い平坦な内シールバンドで塞いで成る流体圧作動のロッドレスシリンダであって,前記非円形シリンダ孔は,スリット側内面の曲率がゼロまたは,極めて小さくしてあるロッドレスシリンダにおいて,スリットの幅方向両側内面にシリンダチューブのスリット側内面とスリットを形成するスリット面とを連続させるバンド収容くぼみを形成し,そのバンド収容くぼみを形成するスリットの幅方向両側内面を,前記スリット側内面の曲率よりも大きな曲率で,かつ,薄い平坦な内シールバンドの幅方向端部が接触する断面円弧形状の表面に形成し,それらの表面の円弧の曲率中心を夫々左右のスリット面側へスリットの幅方向両側に離して位置させ,バンド収容くぼみを,平坦な状態の内シールバンドの幅方向端部が前記幅方向両側内面に接触した状態で,内シールバンドのシリンダ孔内側面がスリット側内面とほぼ面一となる深さとし,平坦な状態の内シールバンドの幅方向端部が前記幅方向両側内面に接した状態で,内シールバンドのスリット側面とスリットの内側開口の間には,内シールバンドのスリット側面とスリットの内側開口の間に,シリンダ室内の圧力により,平坦な状態の内シールバンドをスリットに向けて凸に撓ませるための距離を設けてあるので,内圧が加わったときに,薄い平坦な内シールバンドをスリット方向へ撓ませて幅方向端部でシールすることができ,平面で圧接する場合に比べて高いシール機能を発揮できる。また,平坦な内シールバンドを撓ませるので,撓み量と,それにより内シールバンドの幅方向端部に生じる弾性力も容易に検討でき,シール機能の検討が容易になる。
【0027】
また、非円形シリンダ孔を偏平形状としたときに、内シールバンドが薄いから、従来のように厚い、樹脂バンドを使用したものに比べて、シリンダチューブのスリット形成壁の厚さを薄くでき、ロッドレスシリンダ全体の厚みが薄くなる。
【0028】
また、スリット側内面の曲率がゼロまたは、極めて小さくしてある非円形シリンダ孔を有するロッドレスシリンダにおいて、あるシリンダ孔形状に対して、一つの幅方向両側内面の曲率(半径)と、これに対応した内シールバンドの適正移動量(撓み量)を求めておけば、それらの曲率、撓み量を、そのまま、別のシリンダ孔形状のものに適用することで、全くおなじシール効果が期待できるから、異なるシリンダ孔形状に対応してその都度、撓み量などを検討する手間が少なくなり、設計に要する工数が減少する効果がある。
【0029】
【0030】
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明を実施したロッドレスシリンダの縦断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】シリンダチューブの断面形状を示す図である。
【図5】図4のV部拡大図である。
【図6】ピストンパッキンの正面図である。
【図7】図6のVII−VII線断面拡大図である。
【図8】ピストンパッキンのピストンエンドへの嵌合状態を示す説明図である。
【図9】ピストンパッキンの装着状態を示す説明図である。
【図10】他のシリンダ孔の形状を示す断面図である。
【図11】他のシリンダ孔の形状を示す断面図である。
【図12】他のシリンダ孔の形状を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ロッドレスシリンダ
2 シリンダチューブ
3 シリンダ孔
4 スリット
7 スリット側内面
10 幅方向両側内面
18 ピストン
25 内シールバンド
25a 内側面
25b 外側面
34 窪み
35 ピストンパッキン
39 外側リップ
41a 突起
41b 厚肉部
L 動き量(適正移動量)
Claims (3)
- シリンダチューブに設けた長手方向のスリットを介して,チューブ内側の非円形シリンダ孔内のピストンの動きをチューブ外側に取り出すようにし,前記スリットは,ピストン両端のピストンパッキンより軸方向外側部分を,薄い平坦な内シールバンドで塞いで成る流体圧作動のロッドレスシリンダであって,前記非円形シリンダ孔は,スリット側内面の曲率がゼロまたは,極めて小さくしてあるロッドレスシリンダにおいて,スリットの幅方向両側内面にシリンダチューブのスリット側内面とスリットを形成するスリット面とを連続させるバンド収容くぼみを形成し,そのバンド収容くぼみを形成するスリットの幅方向両側内面を,前記スリット側内面の曲率よりも大きな曲率で,かつ,薄い平坦な内シールバンドの幅方向端部が接触する断面円弧形状の表面に形成し,それらの表面の円弧の曲率中心を夫々左右のスリット面側へスリットの幅方向両側に離して位置させ,バンド収容くぼみを,平坦な状態の内シールバンドの幅方向端部が前記幅方向両側内面に接触した状態で,内シールバンドのシリンダ孔内側面がスリット側内面とほぼ面一となる深さとし,平坦な状態の内シールバンドの幅方向端部が前記幅方向両側内面に接した状態で,内シールバンドのスリット側面とスリットの内側開口の間には,シリンダ室内の圧力により,平坦な状態の内シールバンドをスリットに向けて凸に撓ませるための距離を設けてあることを特徴とするロッドレスシリンダ。
- 前記距離は,スリットからの流体漏れを実用上問題のない程度に少なくする内シールバンドのスリットに向けての撓み量に設定してあることを特徴とする請求項1記載のロッドレスシリンダ。
- 内シールバンドの幅方向端部が接触する円弧形状の表面を形成する円弧の曲率中心は,夫々スリットを構成する左右のスリット面を含む面内に位置していることを特徴とする請求項1又は2記載のロッドレスシリンダ。
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