JP3760752B2 - 車両のチャイルドシート固定構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の後部にチャイルドシートを固定するような車両のチャイルドシート固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両のチャイルドシート固定構造としては、例えば、特開平7−89384号公報に開示された構造がある。
すなわち、セダン型の車両において、左右のクォータパネル間に渡るアッパバックパネルを設け、このアッパバックパネルの上部に、金属製の強度部材としてのリヤパッケージトレイを設けると共に、アッパバックパネルの下面にチャイルドシート用アンカが、またリヤパッケージトレイの上面にチャイルドシート用の止め金具が、それぞれ位置するようにボルト、ナットを用いて、止め金具、リヤパッケージトレイ、アッパバックパネル、チャイルドシート用アンカを一体的に締結し、上述の止め金具には、チャイルドシート取付具を係止して、このチャイルドシート取付具にリヤシートに上戴したチャイルドシートを強固に固定すべく構成したものである。
【0003】
このようにセダン型の車両においては、リヤパッケージトレイが金属製の強度部材にて構成されるので、上記の如きチャイルドシート固定構造が有効であるが、金属製のリヤパッケージトレイを有さないような車両、例えば、ハッチバック型の車両には上記構造を適用することができない問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、強度部材としてのリヤパッケージトレイを有さない車両であって、かつ強 度が低いリヤパッケージトレイを有する車両であっても、該リヤパッケージトレイの貫通部または切欠部を貫通して延出するトップテザーによって、チャイルドシートを強固に固定することができる車両のチャイルドシート固定構造の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明による車両のチャイルドシート固定構造は、車両の後部にチャイルドシートを固定する車両のチャイルドシート固定構造であって、一端がチャイルドシートに固定され、他端が車体に固定されるトップテザーを設け、上記トップテザーの他端は上記チャイルドシートの後方に設けられた荷室の下面部または後面部を構成する車体の一部に固定されると共に、上記荷室の上方を覆うリヤパッケージトレイが設けられ、該リヤパッケージトレイは車両前方側に配置されて非開放に固定された固定部と、該固定部に折曲可能に接続されて上記荷室を開閉可能に覆い、かつ、リヤゲートと連動して開閉可能な可動部とからなり、上記固定部には、上記トップテザーが貫通して延出される貫通部または切欠き部が設けられているものである。
【0006】
上記構成の車両の後部は、リヤシートに設定することができ、また上記構成の車両はハッチバック型の車両に設定することができる。
さらに上記構成の荷室の下面部または後面部を構成する車体の一部は、リヤフロアまたはリヤエンドパネルに設定することができる。
【0007】
上記構成によれば、トップテザーの他端をチャイルドシート後方の荷室の下面部または後面部を構成する車体の一部に固定したので、強度部材としてのリヤパッケージトレイを有さない車両であても、トップテザーを用いてチャイルドシートを強固に固定することができる。
【0008】
しかも、荷室の上方を覆うリヤパッケージトレイは固定部と、リヤゲートに連動して開閉可能な可動部とからなり、車両前方側に配置されて非開放の固定部に対して貫通部または切欠き部を設け、上記トップテザーが貫通部または切欠き部を貫通して延出すべく構成したので、リヤパッケージトレイの開閉とトップテザーとの干渉が防止でき、リヤパッケージトレイの開放操作と、チャイルドシートの装着とが両立でき、特に、リヤパッケージトレイの可動部を自由に開閉することができるうえ、リヤゲートの開放と連動して、リヤパッケージトレイの可動部が開放されても、該リヤパッケージトレイとトップテザーとの干渉を防止することができる。
【0009】
この発明の一実施態様においては、上記トップテザーの他端がリヤエンドパネルに固定されたものである。
上記構成によれば、トップテザーの他端を車幅方向に延びる強度部材としてのリヤエンドパネルに固定することができ、特に、ハッチバック型車両に適用する場合には、トップテザー他端の着脱性向上を図ることができる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記貫通部は貫通孔に設定され、該貫通孔は所定量移動可能に構成されたものである。
上記構成の貫通孔は、所定量移動する部材に形成することができる。
上記構成により、リヤパッケージトレイの見栄え向上と、トップテザーおよびリヤパッケージトレイ間の干渉防止との両立を図ることができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記トップテザーの他端は、荷室後端部下方において車幅方向に延びる車体の車幅方向中央部に固定されたものである。
上記構成によれば、チャイルドシートのセンター配置を達成することができる。
【0012】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両のチャイルドシート固定構造を示すが、まず、図1を参照して車両の後部車体構造について説明する。
【0013】
シートクッション1、シートバック2、ヘッドレスト3を備えたリヤシート4を設け、上述のヘッドレスト3は、ヘッドレストポール5およびガイド部材6により高さ調整可能に構成されている。
【0014】
一方、リヤフロア7の後部には、スペアタイヤパン8を段下げ形成すると共に、その後端部には車幅方向に延びるリヤエンドパネル9を、一体または一体的に形成している。
上述のリヤフロア7の上部には、トランクマット10が敷設され、リヤシート4の後方で、かつ該トランクマット10の上方には荷室11が形成されている。
【0015】
図示の車両はハッチバック型車両であって、この車両はルーフパネル12の後端部を開閉支点として、荷室11を開閉可能に覆うリフトゲート(リヤハッチと同意)13を備えている。
【0016】
このリフトゲート13は、アウタパネル14と、インナパネル15と、これら両パネル14,15の開口部に設けられたウインドガラス16とを備え、インナパネル15の荷室11と対向する面には、リフトゲートトリム17が取付けられている。
【0017】
また、上述のルーフパネル12の後端部下面には、車幅方向に延びるリヤヘッダ18が接合固定されると共に、このルーフパネル12およびリヤヘッダ18の車室側を覆うように、トリム部材としてのトップシーリング19が設けられている。
【0018】
さらに、上述の荷室11の上方を覆うリヤパッケージトレイ20が設けられている。このリヤパッケージトレイ20は、図2に部分斜視図で示すように、車両前後方向の前方寄りの部分に車幅方向に延びる折目21を形成し、この折目21よりも前側は非開放の固定部(開放しない固定部)22に設定され、折目21よりも後側は開閉可能な可動部(開閉移動可能な部分)23に設定されており、また、このリヤパッケージトレイ20は、トリム部材にて中折れ構造に構成されている。
【0019】
このリヤパッケージトレイ20は、その左右両側(但し、図2では右側のみを図示)に折曲部20a,20aを有すると共に、前後両側にも折曲部20b,20cを有し、上述の左右両側の折曲部20a,20aには、荷室トリムなどのリヤパッケージトレイ20の上戴面(載置部)に上戴されるラバー部材24,24を取付けている。
【0020】
上述の後側の折曲部20cの端部側には、連結ロッド25を係止する開口部26が形成され、この連結ロッド25の下端部を該開口部26に係止し、連結ロッド25の上端部をリフトゲート13の所定部に係止することで、リフトゲート13の開放時(図1の仮想線α参照)に、これと連動してリヤパッケージトレイ20の可動部23が図1の仮想線β方向に開放されるように構成している。
【0021】
このリヤパッケージトレイ20の開閉支持構造は次のように構成されている。
すなわち、該リヤパッケージトレイ20の下面において、可動部23の折目近傍部位には断面が略U字状のヒンジブラケット27を固定し、このヒンジブラケット27にはヒンジピン28を配設している。
【0022】
このヒンジピン28(いわゆるメイルヒンジ)は、その支点部28aが車両前後方向の前方にオフセットされ、ヒンジブラケット27に配設される部分が車両前後方向の後方にオフセットされて、略Z字状に形成されたものであって、上記支点部28aは荷室トリムなどのリヤパッケージトレイ20の上戴面に一体または一体的に設けられたフィメルヒンジブラケット(図示せず)で軸支されている。
なお、図1において29はエンドトリム、30はリヤピラーである。
【0023】
ところで、上述のリヤシート4には、図1に示すようにチャイルドシート31が着脱可能に取付けられる。このチャイルドシート31は後席右側、後席中央、後席左側の何れに固定してもよいが、この実施例では後席中央に取付けるように構成している。
【0024】
まず、図3を参照してチャイルドシート31の下部側の固定構造について説明する。
リヤシート4のシートクッション1の後部には、シートクッションフレーム32が設けられており、このシートクッションフレーム32には門形状のチャイルドシートアンカ33が立設固定されている。
【0025】
一方、チャイルドシート31のシートクッション部31aの背部には支点軸34を中心に回動可能なロック部材35をもったブラケット36が取付けられており、このブラケット36の後端部には、後方が開放する横向き略U字状または横向き略V字状のロック溝36aが形成されている。
【0026】
而して、シートクッションフレーム32側のチャイルドシートアンカ33にブラケット36後端のロック溝36aを係合させた後に、ロック部材35を回動して、ブラケット36とロック部材35との両者によりにチャイルドシートアンカ33を抱持すると、図3に示す如く、チャイルドシート31の下部を強固に固定することができる。
【0027】
次に図1、図4を参照してチャイルドシート31の上部側の固定構造について説明する。
図1に示すように、チャイルドシート31のシートバック部31bの上部背面には係止部材37が固定され、この係止部材37にその一端(前端)を係止させたトップテザー38を設けている。
【0028】
このトップテザー38は、後席中央のヘッドレスト3の上面に沿って後方に延設された後に、リヤパッケージトレイ20の固定部22に形成された貫通部としての開口部22aを貫通して斜め下方へ延出され、このトップテザー38の他端(後端)に設けられた係合手段としてのフック39をアンカ40に係合している。
【0029】
このアンカ40は図4に示す如くボルト41、ナット42を用いて、リヤエンドパネル9の車幅方向中央部に固定されたものであるが、チャイルドシート31を後席右側に固定する場合には、リヤエンドパネル9の後席右側と対応する位置にアンカを設ければよく、またチャイルドシート31を後席左側に固定する場合には、リヤエンドパネル9の後席左側と対応する位置にアンカを設ければよい。さらに、上述のアンカ40を後席右側、後席中央、後席左側のそれぞれに設けて、少なくとも1つのチャイルドシート31の固定位置に対応して複数のアンカ40を選択使用すべく構成してもよく、トップテザー38の中途部にはターンバックル装置を介設してもよい。
【0030】
上述のチャイルドシート31の下部側および上部側の固定構造により、チャイルドシート31のシートクッション部31a下部は、リヤシート4のシートクッション1上部に、またチャイルドシート31のシートバック部31b背面は、リヤシート4のシートバック2前部にそれぞれ密着した状態で強固に固定される。
【0031】
図1、図4において実線で示すヘッドレスト3およびトップテザー38は、ヘッドレスト低位置条件下での状態を示し、図1、図4において仮想線で示すヘッドレスト3およびトップテザー38は、ヘッドレスト高位置条件下での状態を示す。
【0032】
また、リヤパッケージトレイ20は図1に実線で示す閉位置から同図に仮想線βで示すように、その可動部23が開放され、この開放時に固定部22が所定量のみ前高後低状に変位する。このようなリヤパッケージトレイ20とトツプテザー38との相対変位が生じても、これら両者20,38が互に干渉しないように前述の開口部22aの開口面積、なかんずく、その前後方向の長さが設定され、両者20,38間の相対的な動きを開口部22aで許容すべく構成している。
【0033】
このように、リヤパッケージトレイ20に形成された貫通部としての開口部22aの開口面積が設定されているので、図5、図6に拡大図で示すようにヒンジピン28の支点部28aを中心に、リヤパッケージトレイ20の可動部23が開閉されても、またヘッドレスト3の位置が上下調整されても、開口部22aの口縁(つまりリヤパッケージトレイ20)とトップテザー38とが干渉するのを防止することができる。
【0034】
以上要するに、図1〜図6で示した実施例の車両のチャイルドシート固定構造は、車両の後部にチャイルドシート31を固定する車両のチャイルドシート固定構造であって、一端(前端)がチャイルドシート31に固定され、他端(後端)が車体(リヤエンドパネル9参照)に固定されるトップテザー38を設け、上記トップテザー38の他端(後端)は上記チャイルドシート31の後方に設けられた荷室11の下面部または後面部を構成する車体(図1〜図6の実施例では後面部を構成する車体)の一部に固定されると共に、上記荷室11の上方を覆うリヤパッケージトレイ20が設けられ、該リヤパッケージトレイ20は車両前方側に配置されて非開放に固定された固定部22と、該固定部22に折曲可能に接続されて上記荷室11を開閉可能に覆い、かつ、リヤゲート(リフトゲート13参照)と連動して開閉可能な可動部23とからなり、上記固定部22には、上記トップテザー38が貫通して延出される貫通部または切欠き部(開口部22a参照)が設けられているものである。
【0035】
このように、トップテザー38の他端(後端)を荷室11の下面部または後面部を構成する車体の一部に固定したので、強度部材としてのリヤパッケージトレイ20を有さない車両(この実施例の車両は、トリム部材で構成された強度の低いリヤパッケージトレイ20を有する)であても、トップテザー38を用いてチャイルドシート31を強固に固定することができる。
【0036】
しかも、荷室11の上方を覆うリヤパッケージトレイ20は固定部22と、リヤゲート(リフトゲート13)に連動して開閉可能な可動部23とからなり、車両前方側に配置されて非開放の固定部22に対して貫通部または切欠き部(開口部22a参照)を設け、上記トップテザー38が貫通部または切欠き部(開口部22a参照)を貫通して延出すべく構成したので、リヤパッケージトレイ20の開閉とトップテザー38との干渉が防止でき、リヤパッケージトレイ20の開放操作と、チャイルドシート31の装着とが両立でき、特に、リヤパッケージトレイ20の可動部23を自由に開閉することができるうえ、リヤゲート(リフトゲート13)の開放と連動して、リヤパッケージトレイ20の可動部23が開放されても、該リヤパッケージトレイ20とトップテザー38との干渉を防止することができる。
【0037】
また、上記トップテザー38の他端(後端)がリヤエンドパネル9に固定されたものであるから、トップテザー38の他端(後端)を車幅方向に延びる強度部材としてのリヤエンドパネル19に固定することができ、特に、実施例で示したようにハッチバック型車両に適用する場合には、リフトゲート13の開時にアンカ40およびフック39の位置が開放されたリフトゲート13による開口部の近傍に位置するので、トップテザー38他端(後端)の着脱性向上を図ることができる。
【0038】
加えて、上記トップテザー38の他端(後端)は、荷室11の後端部下方において車幅方向に延びる車体(リヤエンドパネル9参照)の車幅方向中央部に固定されたものであるから、チャイルドシート31のセンター配置を達成することができる。
【0039】
図7は車両のチャイルドシート固定構造の他の実施例を示し、先の実施例の開口部22aが形成された位置に対応して、開口部22aに代えてリヤパッケージトレイ20の前側の折曲部20bから所定長さ後方に延びる切欠部22bを形成したもので、トップテザー38はこの切欠部22bを貫通して延出されたものである。
【0040】
このように構成すると、トップテザー38を用いてチャイルドシート31を固定した条件下において、リヤパッケージトレイ20を必要に応じて取外すことができるので、該リヤパッケージトレイ20の車両に対する組付け性および取外し性の向上を図ることができる。
なお、その他の構成、作用、効果については先の実施例とほぼ同様であるから、図7において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0041】
図8、図9、図10、図11は車両のチャイルドシート固定構造のさらに他の実施例を示し、この実施例では図1〜図6で示した先の実施例の構成に加えて、開口部22aの開口面積よりも大きいスライドパネル43を設けると共に、リヤパッケージトレイ20の固定部22における開口部22aの口縁下部には該スライドパネル43を前後方向に摺動案内する左右一対のガイド部材44,45を設けている。
【0042】
このガイド部材44,45はリヤパッケージトレイ20に一体形成してもよく、または別部材のガイド部材をリヤパッケージトレイ20に取付けるように構成してもよい。
しかも、上述のスライドパネル43にはトップテザー38を貫通させる程度の必要最小限の貫通孔43aを形成し、トップテザー38は該貫通孔43aを貫通して延出されている。
【0043】
このように構成すると、図8に示すリヤパッケージトレイ20の閉時から図11に示すようにリヤパッケージトレイ20の可動部23が開放された時、このリヤパッケージトレイ20の固定部22は所定量のみ前高後低状に変位するが、この場合、スライドパネル43が左右一対のガイド部材44,45に沿って図示後方へ相対移動するので、トップテザー38は位置不変の張設状態を維持することができ、トップテザー38とリヤパッケージトレイ20との干渉が防止される。
【0044】
なお、このことはヘッドレスト3を図示実線位置の低位置から図示仮想線位置の高位置に調整する際も同様であって、トップテザー38とリヤパッケージトレイ20との干渉が防止される。
【0045】
このように、図8〜図11で示した実施例の車両のチャイルドシート固定構造は、上記貫通部が貫通孔43aに設定され、該貫通孔43aは所定量移動可能に構成されたものであるから、リヤパッケージトレイ20の見栄え向上と、トップテザー38およびリヤパッケージトレイ20間の干渉防止との両立を図ることができる。
【0046】
つまり、上述の開口部22aをその下方から車両前後方向へ移動可能な移動部材としてのスライドパネル43で閉塞することができるので、リヤパッケージトレイ20の見栄えの向上を図ることができる。
【0047】
図8〜図11で示したこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については図1〜図6の実施例とほぼ同様であるから、図8〜図11において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0048】
図12は車両のチャイルドシート固定構造のさらに他の実施例を示し、この実施例では荷室11の下面部を構成する車体としてのリヤフロア7に門形状のチャイルドシートアンカ46を立設固定し、トランクマット10の開口部10aから該チャイルドシートアンカ46を上方へ突出させる一方、トップテザー38をヘッドレスト3の上面に沿って後方下部に延設させた後、このトップテザー38をリヤシート4のシートバック2とリヤパッケージトレイ20との間のクリアランスを介して下方へ延設させ、トップテザー38の他端(後端)に設けられた係合手段としてのフック39をチャイルドアンカ46に係合したものである。
【0049】
図12に示すこの実施例の車両のチャイルドシート固定構造は、車両の後部にチャイルドシート31を固定する車両のチャイルドシート固定構造であって、一端(前端)がチャイルドシート31に固定され、他端(後端)が車体に固定されるトップテザー38を設け、上記トップテザー38の他端(後端)は荷室11の下面部または後面部を構成する車体(この実施例では荷室11の下面部を構成するリヤフロア7)の一部に固定されたものである。
【0050】
このように、トップテザー38の他端(後端)を荷室11の下面部を構成する車体(リヤフロア7参照)の一部に固定したので、強度部材としてのリヤパッケージトレイを有さない車両であても、トップテザー38を用いてチャイルドシート31を強固に固定することができる。
【0051】
しかも、この図12に示す構造の場合には、トップテザー38が荷室11を前部上方から後部下方にかけて横切ることがないので、荷室11のスペースを有効利用することができ、さらにスペアタイヤパン8に対するスペアタイヤの着脱も容易となる。
なお、図12において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0052】
図13は車両のチャイルドシート固定構造のさらに他の実施例を示し、この実施例ではトップテザー38をヘッドレスト3の上面に沿って後方下部に延設させ、この延設部のトップテザー38をリヤシート4のシートバック2とリヤパッケージトレイ20との間のクリアランスを介して下方に延設させた後、トップテザー38の中途部をチャイルドシートアンカ46に係止案内させて後方へ導出し、この後方への導出部後端つまり他端に設けられた係合手段としてのフック39を前述のアンカ40に係合したものである。
【0053】
このように構成すると、荷室11スペースの有効利用と、トップテザー38他端側の着脱操作性向上との両立を図ることができる。
なお、この図13に示す構成にあっても、その他の構成、作用、効果については図12の構造とほぼ同様の作用、効果を奏するので、図13において図12と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0054】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の車両は、実施例のハッチバック型の車両に対応し、
以下同様に、
荷室の下面部を構成する車体は、リヤフロア7に対応し、
荷室の後面部を構成する車体は、リヤエンドパネル9に対応し、
貫通部は、開口部22aまたは貫通孔43aに対応し、
荷室後端部下方において車幅方向に延びる車体は、リヤエンドパネル9に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0055】
例えば、上記トップテザー38の中途部にはターンバックル装置を介設してもよく、また図12、図13においてチャイルドシートアンカ46を固定するリヤフロア7の上部または下部には車幅方向に延びるクロスメンバを接合してもよい。
【0056】
【発明の効果】
この発明によれば、トップテザーの他端を荷室の下面部または後面部を構成する車体の一部に固定したので、強度部材としてのリヤパッケージトレイを有さない車両であても、トップテザーを用いてチャイルドシートを強固に固定することができる効果があり、しかも、荷室の上方を覆うリヤパッケージトレイは固定部と、リヤゲートに連動して開閉可能な可動部とからなり、車両前方側に配置されて非開放の固定部に対して貫通部または切欠き部を設け、上記トップテザーが貫通部または切欠き部を貫通して延出すべく構成したので、リヤパッケージトレイの開閉とトップテザーとの干渉が防止でき、リヤパッケージトレイの開放操作と、チャイルドシートの装着とが両立でき、特に、リヤパッケージトレイの可動部を自由に開閉することができるうえ、リヤゲートの開放と連動して、リヤパッケージトレイの可動部が開放されても、該リヤパッケージトレイとトップテザーとの干渉を防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の車両のチャイルドシート固定構造を示す側面図。
【図2】 リヤパッケージトレイの部分斜視図。
【図3】 チャイルドシートの下部固定構造を示す側面図。
【図4】 トップテザー他端の係合構造を示す側面図。
【図5】 可動部閉成時におけるリヤパッケージトレイとトップテザーとの関係を示す側面図。
【図6】 可動部開放時におけるリヤパッケージトレイとトップテザーとの関係を示す側面図。
【図7】 本発明の車両のチャイルドシート固定構造の他の実施例を示す側面図。
【図8】 本発明の車両のチャイルドシート固定構造のさらに他の実施例を示す側面図。
【図9】 リヤパッケージトレイの部分斜視図。
【図10】 図8のA−A線矢視断面図。
【図11】 可動部開放時におけるリヤパッケージトレイとトップテザーとの関係を示す側面図。
【図12】 車両のチャイルドシート固定構造の他の構成を示す側面図。
【図13】 車両のチャイルドシート固定構造のさらに他の構成を示す断面図。
【符号の説明】
7…リヤフロア(車体)
9…リヤエンドパネル(車体)
11…荷室
13…リフトゲート(リヤゲート)
20…リヤパッケージトレイ
22…固定部
22a…開口部(貫通部)
22b…切欠部
23…可動部
31…チャイルドシート
38…トップテザー
43a…貫通孔(貫通部)
Claims (4)
- 車両の後部にチャイルドシートを固定する車両のチャイルドシート固定構造であって、
一端がチャイルドシートに固定され、他端が車体に固定されるトップテザーを設け、
上記トップテザーの他端は上記チャイルドシートの後方に設けられた荷室の下面部または後面部を構成する車体の一部に固定されると共に、
上記荷室の上方を覆うリヤパッケージトレイが設けられ、
該リヤパッケージトレイは車両前方側に配置されて非開放に固定された固定部と、
該固定部に折曲可能に接続されて上記荷室を開閉可能に覆い、かつ、リヤゲートと連動して開閉可能な可動部とからなり、
上記固定部には、上記トップテザーが貫通して延出される貫通部または切欠き部が設けられている
車両のチャイルドシート固定構造。 - 上記トップテザーの他端がリヤエンドパネルに固定された
請求項1記載の車両のチャイルドシート固定構造。 - 上記貫通部は貫通孔に設定され、該貫通孔は所定量移動可能に構成された
請求項1記載の車両のチャイルドシート固定構造。 - 上記トップテザーの他端は、荷室後端部下方において車幅方向に延びる車体の車幅方向中央部に固定された
請求項1,2または3記載の車両のチャイルドシート固定構造。
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