JP3760530B2 - 芳香族ハロゲン化物異性化用触媒および芳香族ハロゲン化物の異性化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術】
本発明はゼオライトを含有する触媒およびこれを用いた芳香族ハロゲン化物の異性化方法 に関する。
【0002】
芳香族ハロゲン化物は有用な化合物であり、中でもジクロロベンゼン、クロロトルエン、ジクロロトルエンなどは医薬、農薬の原料として有用な化合物である。
【0003】
【従来の技術】
一般に、芳香族ハロゲン化物は芳香族化合物のハロゲン化によって得られるが、この反応は配向性の強い反応である。さらに、医薬、農薬などの原料として用いる場合、特定の異性体が必要となる。たとえば、トルエンのジクロロ化によって得られるジクロロトルエン(以下、DCTと略称する)を例に取ると、得られる異性体の種類および異性体の生成比率は2,4−DCT20〜35%、2,5−DCT25〜55%、2,6−DCT5〜25%、2,3−DCT8〜12%、3,4−DCT5〜12%である。さらに、この反応によって3,5−DCTを得ることはできないので、3,5−DCTを目的とする場合DCTを異性化する必要がある。
【0004】
DCT各異性体は、その単体として利用するには分離する必要がある。
【0005】
これら異性体を分離する方法としては、沸点が互いに接近しているため蒸留法では分離できず、たとえば特開昭60−423403号公報に示されるように、吸着分離法あるいは吸着分離法と蒸留法の組み合わせによって達成できる。
【0006】
目的とするDCT異性体を分離除去した残りのDCT異性体は、異性化反応により再び目的とするDCT異性体を生成せしめて分離除去する。このサイクルを繰り返すことによって目的とするDCT異性体を効率よく得ることができる。
【0007】
このような異性化反応を行わしめる方法として、特開昭58−144330号公報や特公平4−37055号公報にモルデナイト型ゼオライトによる方法が開示されているが、異性化活性が低く、工業的な方法としては十分なものではなかった。
【0008】
さらに、特開平4−187649号公報には、モルデナイト型ゼオライト中のアルミニウムの一部をゼオライト合成時にホウ素または鉄で置換した酸型ゼオライト、及び該ゼオライトにフッ素及び/またはリン成分を含むゼオライトによるDCTの異性化反応が開示されている。
【0009】
これらモルデナイト型ゼオライトは、表1に示すX線回折パターンを有するのが特徴である。
【0010】
【表1】
このX線回折パターンの格子面間隔d=0.346±0.005nmの半値幅は0.27゜である。なお、この半値幅は、Rigaku RINT X−ray Diffractometerで測定したものであり、測定条件は、管球(X線源)=CuKα線(λ=1.54056オングストローム)、管電圧=34kV、管電流=20mA、広角ゴニオメーター、サンプリング幅=0.020°、発散スリット=1°、散乱スリット=1°、受光スリット=0.30mmである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
芳香族ハロゲン化物を異性化する場合、従来から知られているゼオライト触媒を用いた異性化方法では、異性化率が低いため生産効率が悪く経済的に不利であり、工業的な方法としては満足できるレベルではなかった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる問題を解消し効率よく芳香族ハロゲン化物を異性化し、濃度の乏しい芳香族ハロゲン化物異性体の濃度を増大せしめる工業的に優れた方法を確立すべく鋭意検討した結果、X線回折パターンにおいて、d=0.346±0.005nmにおける半値幅が0.28゜以上であるモルデナイト構造を有するゼオライトを含有する触媒を使用することにより、芳香族ハロゲン化物の異性化が効率的に行われることを見い出し本発明に到達した。
【0013】
すなわち、本発明はモルデナイト構造を有するゼオライトを含み、銀および/またはレニウムを含む触媒のX線回折パターンにおいて、格子面間隔d=0.346±0.005nmにおける半値幅が0.28゜以上であることを特徴とする芳香族ハロゲン化物異性化用触媒および芳香族ハロゲン化物の異性化方法に関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
モルデナイト構造を有するゼオライトは、例えば特公昭47−46677号公報、特開昭55−26529号公報、特開昭61−17418号公報などに開示されている方法に準じて合成される。これら公報記載の方法にしたがう際、特に限定されないが、例えばポリアルキレングリコールまたはその誘導体を添加することによって本発明の目的に適用されるゼオライト、すなわちX線回折パターンにおいて、d=0.346±0.005nmにおける半値幅が0.28゜以上であるモルデナイト型ゼオライトを効率よく合成することができる。
【0015】
本発明の異性化方法において使用されるゼオライト触媒は、ゼオライトのX線回折パターンにおいて、d=0.346±0.005nmにおける半値幅が0.28゜以上であるモルデナイト型ゼオライトを含むことが必須である。これにより、従来の異性化方法を大きく上回る効果をもたらすことができる。
【0016】
本発明の異性化方法において使用されるゼオライトは酸型体が好ましい。酸型のゼオライトは、よく知られているようにゼオライト中の陽イオンを水素イオンあるいは2価以上の多価カチオンにすることによって得られる。
【0017】
ゼオライト中の陽イオンを水素イオンにするには、ゼオライトを直接酸水溶液でイオン交換するか、金属陽イオンをアンモニウムイオンでイオン交換し、ついで焼成する方法が行われる。また、ゼオライトがあらかじめ有機窒素含有カチオンを有する場合には焼成により該有機窒素含有カチオンを分解させ水素イオンに転化することにより酸型のゼオライトにすることができる。もちろん必要に応じ、上述したイオン交換法により、前記ゼオライト生成時に該ゼオライト中に存在するナトリウム等のアルカリ金属イオンをイオン交換することも可能である。
【0018】
本発明で使用されるゼオライト触媒に銀および/またはレニウムを担持することは異性化活性を向上させることに有効である。銀はイオン交換法、含浸法、混練法などにより導入される。いずれの場合も触媒における銀含有量は、銀原子として全触媒量の約0.1重量%から約15重量%が好ましく、より好ましくは約0.2重量%から約10重量%である。
【0019】
銀をイオン交換法でゼオライト成分に導入する場合、水溶液でイオン交換するのが一般的であり、従って使用できる銀化合物は水溶性であることが好ましく、その例として硝酸銀を挙げることができる。
【0020】
含浸法の場合もイオン交換法と同様に、一般に水溶液で実施されるので、使用する銀化合物としては水溶性の硝酸銀などが挙げられる。しかし、含浸法の場合、銀イオンは容易にゼオライトとイオン交換するので実質的にはイオン交換法と同じと考えられる。
【0021】
混練法の場合には、銀化合物は必ずしも水溶性である必要はなく、塩化銀、炭酸銀などの不溶性化合物でもよい。
【0022】
これらいくつかの方法のうち、イオン交換法がゼオライトに均一に銀イオンを分散できるのでより好ましい。
【0023】
本触媒にレニウム金属を導入することにより、コーキングによる触媒の失活を抑制する効果がある。レニウムは金属形態で、もしくは酸化物、硫化物、セレン化物などの化合物の形態で存在し得るが、いずれの場合もレニウム成分をレニウム原子として全触媒量の0.01重量%から2.0重量%含むときに優れた結果が得られる。特に0.05重量%から1.0重量%が好ましい。レニウム成分として使用できるものは、過レニウム酸アンモニウム、塩化レニウム、過酸化レニウムなどを挙げることができる。
【0024】
本触媒には、フッ素を含有することも好ましい。フッ素成分を含有する場合、フッ素原子として全触媒量の0.05重量%から5.0重量%含むことが好ましい。フッ素の担持法としては、例えばフッ化アンモニウム溶液による処理を挙げることができる。
【0025】
銀とレニウムの両方を含有する場合は、それらの処理の順番は特に限定されず同時に担持しても良い。
【0026】
本発明の触媒は通常成形体として使用される。成型法は特に制限されるものではなく、転動法、押し出し法、圧縮法などが用いられる。成形の際必要ならばアルミナゾル、粘土などのバインダーを加えることも可能である。また、レニウムなどの金属を、含浸法、混練法などにより触媒に導入することも可能である。このゼオライト成形体は通常300〜700℃で焼成することにより活性化して触媒とする。
【0027】
本発明の異性化方法において原料となる芳香族ハロゲン化物は少なくとも1個のハロゲンで核置換されたハロゲン化ベンゼンであり、例えばDCT、クロロトルエン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどが挙げられる。
【0028】
さらに、より好ましい実施形態は芳香族ハロゲン化物を液相状態にし、水素ガスを少なくとも一部液相芳香族ハロゲン化物に溶解させた状態で異性化させる方法である。液相状態で反応させると、触媒上に生成した高沸点生成物が液相芳香族ハロゲン化物とともに系外へ流出するが、気相状態の場合には触媒上にそのまま残留し、コークス成分となり触媒活性の被毒物質となりやすい。
【0029】
また、固定床、移動床、流動床のいずれの方式も用いられるが、操作の容易さから固定床流通式が特に好ましい。
【0030】
反応温度は通常150〜500℃程度であるが、特に200〜450℃が好ましい。反応圧力は特に限定されないが、液相反応の場合、芳香族ハロゲン化物を液相状態に保つべく反応圧力を設定しなければならないのは言うまでもない。
【0031】
触媒重量あたりの原料の供給速度である重量空間速度(WHSV)は、芳香族ハロゲン化物基準で0.05〜10hr-1、好ましくは0.1〜5hr-1である。
【0032】
かくして異性化によって得られた芳香族ハロゲン化物各異性体は、吸着分離法または蒸留法などにより分離される。
【0033】
【実施例】
以下に、本発明を実施例をもって説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
(ゼオライト合成)
ゼオライト1
樹脂製ビーカーにイオン交換水252gとポリエチレングリコール(東京化成;分子量6000)11.0gを入れてよく溶かした。ついで水酸化ナトリウム2.5gを入れてよく溶かした後、水酸化テトラエチルアンモニウム(三洋化成EAH−20;含量=19.9wt%,H2O=80.1wt%)を36.1g加えた。つづいてアルミン酸ソーダ(住友化学工業;NaOH=26.1wt%,Al2O3=18.5wt%,H2O=55.4wt%)14.3gを入れてよく撹拌した後、最後に含水ケイ酸粉末(日本シリカ工業;SiO2=93.3%,H2O=6.7wt%)41.9gを加えた。このスラリー状の混合物の組成はモル比で表して次の通りであった。
【0035】
SiO2/Al2O3=25
OH/SiO2=0.3
P1/(P1+Na)=0.245
H2O/SiO2=25
Q1/Al2O3=0.075
(ただし、P1はテトラエチルアンモニウム塩、Q1はポリエチレングリコールを示す。)
このスラリーを、内容量500ccのステンレス製オートクレーブに入れ、十分な撹拌下、170℃で71時間反応を行った。生成したゼオライトは蒸留水で十分洗浄後、120℃で一晩乾燥した。
【0036】
得られた白色粉末をX線回折法で測定した結果、表1に示したモルデナイト型ゼオライトのX線回折パターンと実質的に同じであり、他の結晶構造を持つゼオライトの混入は認められなかった。
【0037】
ゼオライト2
ポリエチレングリコールの代わりにポリエチレングリコールモノステアレート(東京化成;分子量2700)を使用した以外ゼオライト1と同様にして合成した。ただし、使用したイオン交換水は253g、ポリエチレングリコールモノステアレート5.3g、水酸化ナトリウム2.6g、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液36.1g、アルミン酸ソーダ14.4g、含水ケイ酸粉末42.4gとした。このスラリー状の混合物の組成はモル比で表して次の通りであった。
SiO2/Al2O3=25
OH/SiO2=0.3
P2/(P2+Na)=0.245
H2O/SiO2=25
Q2/Al2O3=0.075
(ただし、P2はテトラエチルアンモニウム塩、Q2はポリエチレングリコールモノステアレートを示す。)
得られた白色粉末をX線回折法で測定した結果、表1に示したモルデナイト型ゼオライトのX線回折パターンと実質的に同じであり、他の結晶構造を持つゼオライトの混入は認められなかった。
【0038】
ゼオライト3
樹脂製ビーカーにイオン交換水289gと水酸化ナトリウム0.86gを入れてよく溶かした後、水酸化テトラエチルアンモニウム(三洋化成EAH−20;含量=19.9wt%,H2O=80.1wt%)を31.3g加えた。つづいてアルミン酸ソーダ(住友化学工業;NaOH=26.1wt%,Al2O3=18.5wt%,H2O=55.4wt%)13.2gを入れてよく撹拌した後、最後に含水ケイ酸粉末(日本シリカ工業;SiO2=93.3%,H2O=6.7wt%)38.6gを加えた。このスラリー状の混合物の組成はモル比で表して次の通りであった。
【0039】
SiO2/Al2O3=25
OH/SiO2=0.24
R3/(R3+Na)=0.292
H2O/SiO2=30
(ただし、R3はテトラエチルアンモニウム塩を示す。)
このスラリーを、内容量500ccのステンレス製オートクレーブに入れ、十分な撹拌下、160℃で168時間反応を行った。生成したゼオライトは蒸留水で十分洗浄後、120℃で一晩乾燥した。
【0040】
得られた白色粉末をX線回折法で測定した結果、表1に示したモルデナイト型ゼオライトのX線回折パターンと実質的に同じであり、他の結晶構造を持つゼオライトの混入は認められなかった。
【0041】
ゼオライト4
水酸化テトラエチルアンモニウムの代わりにターシャリーブチルアミンを使用した以外ゼオライト3と同様にして合成した。ただし、使用したイオン交換水は285g、水酸化ナトリウム4.2g、アルミン酸ソーダ14.4g、ターシャリーブチルアミン4.7g、含水ケイ酸粉末41.9gであった。このスラリー状の混合物の組成はモル比で表して次の通りであった。
【0042】
SiO2/Al2O3=25
OH/SiO2=0.306
R4/(R4+Na)=0.245
H2O/SiO2=25
(ただし、R4はターシャリーブチルアミンを示す。)
このスラリーを、内容量500ccのステンレス製オートクレーブに入れ、十分な撹拌下、170℃で69時間反応を行った。生成したゼオライトは蒸留水で十分洗浄後、120℃で一晩乾燥した。
【0043】
得られた白色粉末をX線回折法で測定した結果、表1に示したモルデナイト型ゼオライトのX線回折パターンと実質的に同じであり、他の結晶構造を持つゼオライトの混入は認められなかった。
【0044】
ゼオライト5
ゼオライト3と同様にして合成した。ただし、使用したイオン交換水は278g、水酸化ナトリウム5.9g、水酸化テトラエチルアンモニウム31.2g、アルミン酸ソーダ15.4g、含水ケイ酸粉末45.1gであった。このスラリー状の混合物の組成はモル比で表して次の通りであった。
【0045】
SiO2/Al2O3=25
OH/SiO2=0.4
R5/(R5+Na)=0.15
H2O/SiO2=25
(ただし、R5はテトラエチルアンモニウム塩を示す。)
このスラリーを、内容量500ccのステンレス製オートクレーブに入れ、十分な撹拌下、170℃で73時間反応を行った。生成したゼオライトは蒸留水で十分洗浄後、120℃で一晩乾燥した。
【0046】
得られた白色粉末をX線回折法で測定した結果、表1に示したモルデナイト型ゼオライトのX線回折パターンと実質的に同じであり、他の結晶構造を持つゼオライトの混入は認められなかった。
【0047】
(触媒調製)
触媒1
ゼオライト1の100重量部にアルミナゾル(日産化学200番;Al2O3=10wt%)150重量部を加えて成型した後、120℃で一晩乾燥後500℃で2時間焼成した。このモルデナイト成型体を10wt%塩化アンモニウム水溶液を用いて80℃で5回イオン交換した。このアンモニウムイオン交換したゼオライトを20回以上水洗し、硝酸銀(片山化学;1級)5.53重量部を水に溶かした硝酸銀溶液を、固液比2リットル/kgで加え、室温で30分処理し、さらに70℃で1時間処理した。液切りした後、120℃で一晩乾燥し、1N−NH4F溶液を用いて固液比3.0リットル/kg、室温で3時間処理した。液切りした後、過酸化レニウム水溶液(稀産金属;Re2O7=40wt%含有)1.88重量部を採取し、固液比2リットル/kg、室温で3時間処理した。液切りした後、120℃で一晩乾燥し、ついで540℃で3時間焼成した。得られたゼオライト触媒のX線回折パターンにおいて、d=0.346±0.005nmにおける半値幅は0.33゜であった。
【0048】
触媒2
ゼオライト1の100重量部にアルミナゾル150重量部を加えて成型した後、120℃で1晩乾燥後500℃で2時間焼成した。このモルデナイト成型体を10wt%塩化アンモニウム水溶液を用いて80℃で5回イオン交換した。このアンモニウムイオン交換したゼオライトを120℃で一晩乾燥した後、1N−NH4F溶液を用いて固液比3.0リットル/kg、室温で3時間処理した。液切りした後、過酸化レニウム水溶液1.88重量部を採取し、固液比2リットル/kg、室温で3時間処理した。液切りした後、120℃で一晩乾燥し、ついで540℃で3時間焼成した。得られたゼオライト触媒のX線回折パターンにおいて、d=0.346±0.005nmにおける半値幅は0.33゜であった。
【0049】
触媒3
ゼオライト2を使用した以外は実施例2と同様にして行った。得られたゼオライト触媒のX線回折パターンにおいて、d=0.346±0.005nmにおける半値幅は0.30゜であった。
【0050】
触媒4
ゼオライト3を使用した以外は、触媒2と同様にして行った。得られたゼオライト触媒のX線回折パターンにおいて、d=0.346±0.005nmにおける半値幅はそれぞれ0.27゜であった。
【0051】
触媒5
ゼオライト4を使用した以外は、触媒2と同様にして行った。得られたゼオライト触媒のX線回折パターンにおいて、d=0.346±0.005nmにおける半値幅はそれぞれ0.24゜であった。
【0052】
触媒6
ゼオライト5を使用した以外は、触媒2と同様にして行った。得られたゼオライト触媒のX線回折パターンにおいて、d=0.346±0.005nmにおける半値幅はそれぞれ0.21゜であった。
【0053】
(芳香族ハロゲン化物の異性化反応)
実施例1〜3
触媒1〜3を用いて固定床流通反応装置を使用し、DCT異性体混合物の異性化反応を行った。反応条件と反応結果を表2に示す。
【0054】
比較例1〜3
触媒4〜6を用いて固定床流通反応装置を使用し、DCT異性体混合物の異性化反応を行った。反応条件と反応結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
表2から明らかなように、2,5−DCT、2,4−DCTの含量の多い原料を本発明のゼオライト触媒と接触させることにより、2,5−DCT、2,4−DCTが3,5−DCT、2,6−DCT、3,4−DCT、2,3−DCTへ効率よく異性化することがわかった。
【0056】
【発明の効果】
本発明により、モルデナイト構造を有するゼオライトを含み、銀および/またはレニウムを含む触媒のX線回折パターンにおいて、格子面間隔d=0.346±0.005nmにおける半値幅が0.28゜以上である芳香族ハロゲン化物異性化用触媒を提供することができ、該触媒を使用することにより、異性化反応活性が向上した芳香族ハロゲン化物の異性化方法を提供することができる。
Claims (10)
- モルデナイト構造を有するゼオライトを含み、銀および/またはレニウムを含む触媒のX線回折パターンにおいて、格子面間隔d=0.346±0.005nmにおける半値幅が0.28゜以上であることを特徴とする芳香族ハロゲン化物異性化用触媒。
- 触媒が酸型であることを特徴とする請求項1記載の芳香族ハロゲン化物異性化用触媒。
- 触媒がフッ素を含有することを特徴とする請求項1または2記載の芳香族ハロゲン化物異性化用触媒。
- 芳香族ハロゲン化物を、モルデナイト構造を有するゼオライトを含み、銀および/またはレニウム含む触媒のX線回折パターンにおいて、格子面間隔d=0.346±0.005nmにおける半値幅が0.28゜以上である触媒と接触させることを特徴とする芳香族ハロゲン化物の異性化方法。
- 触媒が酸型であることを特徴とする請求項4記載の芳香族ハロゲン化物の異性化方法。
- 触媒がフッ素を含有することを特徴とする請求項4または5のいずれか1項記載の芳香族ハロゲン化物の異性化方法。
- (I)式中のRがメチル基および/またはエチル基、Xが塩素および/または臭素であることを特徴とする請求項7記載の芳香族ハロゲン化物の異性化方法。
- 水素雰囲気下、液相で反応を行うことを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項記載の芳香族ハロゲン化物の異性化方法。
- 3,5−ジクロロトルエン、2,6−ジクロロトルエン、3,4−ジクロロトルエンまたは2,3−ジクロロトルエン濃度の低い原料を使用し、3,5−ジクロロトルエン、2,6−ジクロロトルエン、3,4−ジクロロトルエンまたは2,3−ジクロロトルエン濃度を高めることを特徴とする請求項4〜9のいずれか1項記載の芳香族ハロゲン化物の異性化方法。
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