JP2595637B2 - パラジクロロベンゼンの高選択的製造法 - Google Patents

パラジクロロベンゼンの高選択的製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はベンゼン及び/又はモノクロロベンゼン(本
明細書では、以下これらを原料ベンゼン誘導体と総称す
る)を塩素化してパラジクロロベンゼンを高選択的に製
造する方法に関するものである。
更に詳しくは、触媒として特定の組成及び構造を有する
結晶性合成ゼオライトを用い、原料ベンゼン誘導体を塩
素化して、オルソジクロロベンゼン、原料ベンゼン誘導
体の塩素付加物(以下、塩素付加物と略称する)等の副
生を少なくして、高選択的にパラジクロロベンゼンを工
業的に製造する方法に関するものである。
〔従来の技術〕
パラ置換ハロゲン化ベンゼン誘導体の一つであるパラ
ジクロロベンゼン(以下PDCBと略称する)は、医薬、農
薬の原料として、またそれ自体が殺虫剤、防虫剤として
用いられ工業的価値の極めて高いものである。
現在、ジクロロベンゼン(以下DCBと略称する)は、塩
化第二鉄等のルイス酸触媒の存在下で、ベンゼン又はモ
ノクロロベンゼン(以下MCBと略称する)と塩素を接触
させることにより製造されている。
しかしながら、この方法により製造されるDCB異性体の
生成割合は、オルソ体30〜40%、メタ体0〜5%、パラ
体60〜70%であり、これらの生成割合を大きく変化させ
ることは困難であった。加えてオルソジクロロベンゼン
からパラジクロロベンゼンへの異性化反応は非常に困難
であった。その為、工業的価値の高いパラ体を収率良く
得ることを目的として多くの研究が行われている。
例えば、米国特許第3,226,447号公報には、MCB等の塩
素化反応において、塩化第二鉄等のルイス酸触媒に2価
の硫黄を含む有機硫黄化合物を助触媒として加えたもの
を用いるとパラ置換塩素化ベンゼン誘導体への選択率が
向上することが開示されている。
又、これらの反応に於いて触媒としてゼオライトを用い
る方法も報告されている。例えば、ジャーナル・オブ・
キャタリシス(Journzl of Catalysis)第60巻110〜120
頁(1979年発行)には、ハロゲン化ベンゼンの液相臭素
化触媒として各種のイオン交換したX型、Y型ゼオライ
トを使用することにより、ルイス酸を触媒として用いる
従来の方法よりも高い選択率でパラ体が生成することが
示されている。
また、特開昭59-163329号公報にはベンゼンの液相ハロ
ゲン化においてL型ゼオライトを使用することにおり、
選択性良くパラ置換ハロゲン化ベンゼンが製造できるこ
とが開示されている。
特開昭62-87536号公報にはベンゼン誘導体の液相塩素化
においてカリウム含有量が酸化カリウムとして6〜14重
量%であるL型ゼオライトを触媒として使用することに
より、パラ位の塩素置換の割合は90%以下に低下する
が、この触媒は、実用に供し得る程の繰り返し使用が可
能であることが開示されている。
更に、気相ハロゲン化反応の例としては、触媒として
5オングストローム以上、13オングストローム以下の細
孔を有するゼオライト、例えばモレキュラーシーブ5A、
13X或いはHY型ゼオライトを使用してMCBの塩素化により
従来の方法に比べ高い選択率でPDCBが取得されることが
特開昭57-77631号公報に示されている。
〔発明が解決しようとしている問題点〕
現在、また将来においてジクロロベンゼンの内パラジ
クロロベンゼンの需要はますます増加するものと考えら
れるので、ジクロロベンゼンの製法に於いて、オルソジ
クロロベンゼン及びメタジクロロベンゼンの副生を抑制
し、パラジクロロベンゼンを選択的に製造することは重
要である。
また、本塩素化反応は、通常、液相で存在する原料のベ
ンゼン誘導体に塩素ガスを供給することにより実施され
る。その際、反応生成物のひとつであるジクロロベンゼ
ン類は液相に残るが、別の主生成物である塩化水素は気
体となって反応系外に出る。従って、塩素転化率が低い
と、原料である塩素と塩化水素が混合気体となって、反
応器より放出される事となる。
この場合、塩素と塩化水素を分離することは可能である
が、本反応において経済的見地からは、塩素転化率が高
く、生成ガス中の塩素濃度が低く、塩素の分離、回収が
不必要であることが好ましい。更に、触媒の塩素化活性
が低いと、無触媒で進行しうる塩素付加物が系中に多量
に生成しジクロロベンゼン選択率が低下することにな
る。この塩素付加物の中には、二重結合が残存するもの
が多く、ゼオライト等を触媒として用いた場合には、こ
れらの塩素付加物は、触媒に強吸着することが推定さ
れ、その結果、触媒寿命に対し悪影響を及ぼすと考えら
れる。従って、ベンゼン誘導体の塩素化によりパラジク
ロロベンゼンを製造する場合にはオルソジクロロベンゼ
ンやメタジクロロベンゼン等他のジクロロベンゼン類の
生成を可能な限り少なくする事に加えて、塩素転化率を
高め、未反応塩素を減少させるとともに、塩素付加物の
生成を少なくする事が望まれる。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、このような現状に鑑み原料ベンゼン誘
導体の塩素化反応によるパラジクロロベンゼンの選択的
製造触媒を種々検討した結果、触媒としてある特定の組
成及び構造を有する結晶性合成ゼオライトを用いること
により、従来技術に比べ、オルソジクロロベンゼン、塩
素付加物等の副生を著しく低下させ、高選択率、高反応
率、かつ長寿命でパラジクロロベンゼンが製造できるこ
とを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ベンゼン及び/又はモノクロロベンゼ
ンの塩素化反応により、パラジクロロベンゼンを高選択
率に製造するにあたり、触媒として酸化物のモル比で表
わしたときに、次の範囲の組成: M2/nO・Al23・5〜7.4SiO2xH2O (ここで、Mは周期律表の第I族〜第VIII族から選ばれ
る交換可能なカチオンで有り、nはMの原子価、xは3
〜9の数を示す)を有し、第1表の粉末X線回折パター
第1表 格子面間隔 相対強度d(Å) (±0.1A) 15.85 s 13.92 m 10.22 w 7.87 w 7.55 s 7.04 w 6.29 m 5.96 w 5.46 m 5.25 w 5.06 w 4.50 s 4.41 s 4.32 w 3.87 vs 3.64 vs 3.54 s 3.47 w 3.42 w 3.32 w 3.22 w 3.16 m 3.10 s 3.04 s 2.89 vs 2.73 m 2.69 w 2.57 w (w:弱い、m:中程度、s:強い、vs:非常に強い) と実質的に同じ粉末X線回折パターンを有する結晶性合
成ゼオライトを使用することを特徴とするパラジクロロ
ベンゼンの高選択的製造法に関するものである。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の方法においては、触媒として通常、結晶性ア
ルミノシリケートと呼ばれているゼオライトが用いられ
る。
ゼオライトの構造はSiO4四面体及びAlO4四面体から構成
されているが、構造中のSi及びAlの存在比、及び各四面
体の結合様式の相違により多くの種類が知られている。
従って、ゼオライトは組成分析、粉末X線回折スペクト
ルの測定等により他のゼオライトと明確に識別する事が
可能である。本発明の方法において、使用するゼオライ
トは、酸化物のモル比で表したときに、次の範囲の組
成: M2/nO・Al23・5〜7.4SiO2・xH2O (ここで、Mは周期律表の第I族〜第VIII族から選ばれ
る交換可能なカチオンで有り、nはMの原子価、xは3
〜9の数を示す) を有し、第1表に示す様な粉末X線回折パターンと実質
的に同じ粉末X線回折パターンを有する結晶性合成ゼオ
ライトであり、このものの代表的な例として、米国特許
第3,692,470号公報において、便宜上、ZSM-10と略称さ
れるものを挙げることができる。本発明で用いる結晶性
合成ゼオライトを以後ZSM-10と略称する。
ZSM-10の合成は、前出の米国特許第3,692,470号公報に
記載された方法により実施することができる。
即ち、水酸化カリウム、アルミニウム片、二酸化ケイ
素、水、1,4−ジメチル−1,4−ジアゾニアビシクロ(2,
2,2)オクタンジヒドロキサイド(1,4−Dimethyl−1,4
−diazoniabicyclo(2,2,2)octane dihydroxide)を用
いて合成する事ができる。
ZSM-10は合成されたままの状態では、金属カチオンのカ
リウムイオンと有機物カチオンを含んでいる。本発明の
方法においては、上記した方法で得られたものを熱処理
等の処理により有機物を除去したものが触媒として好ま
しい。この際の熱処理温度はZSM-10が完全に構造破壊を
起こさない範囲であれば特に制限はなく、例えば350〜8
50℃の温度範囲を挙げることができる。
本発明の方法においてZSM-10に含有される金属カチオ
ンは特に制限はなく、合成時に含有されるカリウムイオ
ンを有するものを触媒として使用すればよいが、必要に
応じて公知の方法により他の金属カチオン及び/又はプ
ロトンにこれらの金属カチオンの一部又は全部をイオン
交換したものを使用しても差し支えない。ここで用いる
金属カチオンとしては、例えば、ナトリウム、カリウム
以外のアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオ
ン及び希土類金属カチオン等を挙げることができる。
前記金属カチオンとのイオン交換処理は、例えば、交換
する金属カチオンを含む水溶液にゼオライトを懸濁させ
20〜100℃で1〜50時間攪拌して行うことができる。本
発明の方法において、各種のイオン交換されたZSM-10を
そのまま触媒として用いることができるが、金属塩によ
り修飾したもの(特開昭61-189236号公報の記載参照)
を用いることができる。
本発明の方法において、触媒の形状については特に制
限はなく、合成されたものをそのまま用いることも、ま
た成型して用いることも可能である。成型方法は通常の
方法で良く、例えば、圧縮成型法、押出成型法、噴霧乾
燥造粒法等を挙げることができる。成型する場合には、
その機械的強度を高める等の目的で、ZSM-10の性能、特
にパラジクロロベンゼンへの選択率に悪影響を及ぼさな
い物質を粘結剤、あるいは成型助剤として添加しても良
い。例えば、シリカ、粘土類、グラファイト、ステアリ
ン酸、澱粉、ポリビニルアルコール等を0〜80重量%、
好ましくは2〜30重量%の範囲で添加できる。
成型触媒として用いるZSM-10は、必要に応じて、乾燥
処理を行った後、空気流通下あるいは窒素、ヘリウム等
の不活性ガス流通下で10分〜24時間焼成処理を行い塩素
化反応に用いる。焼成温度は熱処理温度と同様にZSM-10
が完全に構造破壊を起こさない範囲であれば制限はな
い。
本発明の方法において、反応装置、反応方法及び反応
条件は原料ベンゼン誘導体と塩素とが触媒上で効率よく
接触する限り何ら制限はない。又、本発明の塩素化反応
は気相、液相のいずれで行なっても良いが、生産性を考
慮すると液相で行うことが好ましい。
本発明で用いる反応装置は回分式、半回分式、あるい
は連続式のいずれであっても良い。ここで用いる触媒
は、例えば、固定床、懸濁床等の形で用いればよい。反
応が液相反応の場合には、液状の原料ベンゼン誘導体自
身を液相媒体とするか、又は、塩素化反応に関与しない
溶媒の存在下で行っても良い。溶媒を用いる場合には、
原料ベンゼン誘導体の濃度は5〜99重量%が良く、20〜
99重量%が更に好ましい。前記濃度が5重量%未満で
は、原料が触媒と接触する機会が少なくなり充分な転化
率が得られない。塩素を連続的に供給する場合には、窒
素、ヘリウム等の本反応に対して不活性なガスを希釈剤
として用いてもよい。その際、塩素の濃度は5〜99容量
%が良く20〜99容量%が更に好ましい。
回分式、半回分式反応装置を用いた場合、触媒は主に
反応液に懸濁させた形で用いるが、単位反応容積あたり
の触媒量(Kg/l)は0.001〜1kg/lが良く、0.005〜0.1kg
/lが更に好ましい。触媒量が0.001kg/l未満では触媒の
負荷が大きく充分な転化率が得られず、また、1kg/lを
越えると触媒量を増加させることの効果は相対的に小さ
くなる。本発明の反応において塩素を連続的に供給する
場合、塩素の供給量は触媒重量に対する単位時間当たり
の塩素の量で表わすこいとができ、1〜1500mol/kg-cat
・hrが良く10〜800mol/kg-cat・hrが更に好ましい。塩
素の供給量が1mol/kg-cat・hr未満では十分なクロロベ
ンゼン生成速度が得られず、1500mol/kg-cat・hrを越え
る場合には、未反応の塩素が増加し経済的でない。
また、連続式反応装置を用いた場合、液体原料の供給
量は、使用する触媒重量に対する単位時間当たりの量で
表わすことができ0.5〜300l/kg-cat・hrで良く、2〜10
0l/kr-cat・hrが更に好ましい。その他の反応条件は回
分式、半回分式反応装置を用いた場合と同様である。
本発明の方法において、反応温度は選択率、塩素転化
率に大きく影響するため重要であり、通常、30〜180℃
が良く50〜120℃が好ましい。
反応温度が30℃未満では十分な反応速度が得られず、ト
リクロロベンゼン、塩素付加物等が生成し触媒寿命に問
題があり実用的でない。また180℃を越えるとパラジク
ロロベンゼンの選択率が低下する。反応温度が原料ベン
ゼン誘導体の沸点より高い場合には、圧力を高めること
により液相での塩素化反応を行うことができる。
〔発明の効果〕
本発明の方法によれば、原料ベンゼン誘導体の塩素化
反応において、オルソジクロロベンゼン、塩素付加物等
の副生を少なくし、工業的に価値の高いパラジクロロベ
ンゼンを公知の方法に比べて、より高い選択率及び収率
で製造することができる。即ち、触媒が高活性である
為、触媒の使用量を大幅に減少させることができ、ま
た、触媒寿命に悪影響を及ぼすと考えられる塩素付加物
の生成が少ない為、繰返し反応、あるいは連続反応を行
っても触媒の活性低下が非常に小さい。パラジクロロベ
ンゼンの製造方法において、オルソジクロロベンゼンか
らパラジクロロベンゼンへの異性化反応は非常に困難で
ある為、通常工業的には行なわれていない。
従って、原料ベンゼン誘導体の塩素化反応において、触
媒が高活性で、かつパラジクロロベンゼンの選択率がわ
ずかでも上昇すれば、副生する工業的価値の低いオルソ
ジクロロベンゼン等の生成量を大幅に減少させることが
でき、パラジクロロベンゼンの分離精製も容易となり、
結果的にパラジクロロベンゼンのコストを低下させるこ
とができるので、本発明の方法は工業的にも有利なパラ
ジクロロベンゼンの製造方法である。
〔実施例〕
以下に実施例により本発明を更に詳しく説明するが、
本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではな
い。
なお、実施例中に示される転化率、選択率及び収率と
は以下の式により計算された値を表わす。
・転化率(%)= 塩素の供給量(mol)−塩素の回収量(mol)×100 塩素の供給量(mol) ・選択率(%)= 目的生成物の生成量(mol)×100 全生成物の生成量の和(mol) ・収率(%)= PDCBの生成量(mol)×100 塩素の供給量(mol) 実施例1 還流冷却管付の1フラスコにN,N−ジメチルピペラ
ジン(和光純薬工業社製)100gと1,2−ジブロモエタン
(和光純薬工業社製)165g、及びエチレングリコール
(和光純薬工業社製)242gを入れて、オイルバスに浸け
て100℃で2時間加熱し、その後、室温で18時間放置し
て1,4−ジメチル−1,4−ジアゾニアビシクロ(2,2,2)
オクタンジブロマイド(以下、臭化物と略称する)を結
晶化させた。その結果を取り出して95%エタノールで再
結晶して純粋な臭化物を得た。
この臭化物を予め水酸化カリウム水溶液を用いてOH型に
交換したイオン交換樹脂(Dowex 1−X8 Dow Chemical社
製)を充填したイオン交換塔に水溶液で通して、1,4−
ジメチル−1,4−ジアゾニアビシクロ(2,2,2)オクタン
ジヒドロキサイド(以下、水酸化物と略称する)に交換
した。
得られた水酸化物水溶液の濃度を0.5Nの塩素で滴定した
ら0.71Nであった。市販のアルミニウム粉末(和光純薬
工業社製)5.4gを水酸化カリウム(関東化学社製85.5
%)19.8g/水144mlに溶解させた。同時に市販の二酸化
ケイ素(CABOT Co.社製Cab−O−SiL)90gを市販の水酸
化カリウム39.7gと水424mlに懸濁させ、室温で3時間攪
拌した。このアルミン酸カリウム及びケイ酸カリウムを
混合して、以下の様な組成を有する混合液を調製した。
4.5K2O・Al23・15SiO2・260H2O これに、予め調製した0.71Nの水酸化物水溶液120mlを加
えて、室温で攪拌しながら3日間熟成した。この原料混
合液360gをステンレススチール製の500mlオートクレー
ブに入れ100℃で7日間、更に140℃に昇温して2日間保
った。生成物をろ過、水洗、乾燥し、さらに空気流通下
550℃で2時間焼成処理して、次の化学組成を有する粉
末を得た。
0.84K2O・Al23・7.2SiO2 この粉末を銅のKα二重線を用いて粉末X線回折スペク
トルを測定したところ、第2表に示すパターンが得られ
ZSM-10であることが確認された。得られた粉末を用いて
MCBの液相塩素化反応を行なった。第2表 格子面間隔 相対強度d(Å) 15.92 80 13.82 50 10.32 17 7.97 18 7.56 55 6.98 6 6.28 44 5.98 25 5.47 31 5.25 8 5.07 23 4.5 80 4.44 66 4.31 30 3.77 100 3.63 81 3.54 54 3.47 30 3.41 30 3.33 10 3.23 17 3,16 40 3.11 61 3.04 80 2.89 85 2.73 50 2.67 16 2.57 17 反応は通常の半回分式反応装置を用いて行なった。ガ
ス吹込み管、冷却管を装着した容積約100mlのパイレッ
クス製反応器(内径40mm、高さ100mm)に40gのMCBと0.4
gの上記の粉末触媒を加えて懸濁液とした。反応混合物
をマグネチツク・スターラーで十分に攪拌しながら60ml
/minの供給速度で塩素及び窒素の混合ガス(Cl2:N2=1:
1)を吹込んだ。反応温度は反応器の周囲をオイルバス
によりコントロールし、70℃とした。ガスを吹込みはじ
めてから2時間経過後、生成物をガスクロマトグラフィ
ーにより分析した。その結果を第3表に示す。
実施例2 実施例1で調製した粉末10gを、塩化カリウム(和光
純薬工業社製)の1N水溶液300mlで、90℃で5時間イオ
ン交換処理した。その後、ろ過、水洗、さらに乾燥して
次の化学組成を有する粉末を得た。
0.95K2O・Al23・7.1SiO2 得られた粉末を空気流通下500℃で3時間焼成処理
し、実施例1と同様にしてMCBの液相塩素化反応を行な
った。結果を第3表に示す。
実施例3 実施例1において、使用した0.71Nの水酸化物水溶液
を96mlに代えた以外には、実施例1と同様にして合成し
た。その生成物をろ過、水洗、乾燥し、さらに空気流通
下550℃で2時間焼成処理して、次の化学組成を有する
粉末を得た。
0.81K2O・Al23・7.3SiO2 この粉末を銅のKα二重線を用いて粉末X線回折スペ
クトルを測定したところ、第2表と同様なパターンが得
られ、ZSM-10であることが確認された。得られた粉末を
用いて、実施例1と同様にしてMCBの液相塩素化反応を
行なった。結果を第3表に示す。
実施例4 実施例3で調製した粉末を、実施例2と同様にして、
イオン交換処理した。その後、ろ過、水洗、さらに乾燥
して次の化学組成を有する粉末を得た。
0.95K2O・Al23・7.4SiO2 得られた粉末を空気流通下500℃で3時間焼成処理
し、実施例1と同様にしてMCBの液相塩素化反応を行な
った。結果を第3表に示す。
比較例1 触媒としてK−L型ゼオライト(東ソ−株式会社製)
を用いた以外は、実施例1と同様にしてMCBの液相塩素
化反応を行なった。結果を第3表に示す。
比較例2 500mlの四つ口フラスコに284mlの純水を入れ、K−L
型ゼオライト(東ソ−株式会社製)粉末50gと塩化アン
モニウム(和光純薬工業社製)17gを加えて懸濁させ、
攪拌しながら30℃で2時間イオン交換処理を行った。そ
の後、ろ過、水洗、さらに乾燥して次の化学組成(カリ
ウム含有量が酸化カリウムとして10.4重量%)を有する
粉末を得た。
0.60K2O・0.01Na2O・Al23・6.2SiO2 得られた粉末を空気流通下540℃で3時間焼成処理
し、実施例1と同様にしてMCBの液相塩素化反応を行な
った。結果を第3表に示す。
実施例5〜9 実施例1で調製した粉末を用いて、反応温度30℃(実
施例5)、50℃(同6)、80℃(同7)、100℃(同
8)、120℃(同9)に代えた以外は、実施例1と全く
同様にしてMCBの液相塩素化反応を行なった。
結果を第4表に示す。
実施例10 実施例1で調製した粉末18gを100mlの純水に懸濁さ
せ、塩化ナトリウム(和光純薬工業社製)3.2gを加えて
攪拌しながら蒸発乾固、乾燥、更に空気流通下500℃で
3時間焼成処理して、塩化ナトリウム修飾したZSM-10を
調製した。この触媒を用いて反応温度を100℃に代えた
以外は、実施例1と同様にしてMCBの液相塩素化反応を
行なった。供給ガスを吹込みはじめてから2時間経過
後、塩素転化率は99.5%、パラジクロロベンゼン選択率
は89%、パラジクロロベンゼン収率は88.5%であった。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ベンゼン及び/又はモノクロロベンゼンの
    塩素化反応により、パラジクロロベンゼンを高選択的に
    製造するにあたり、触媒として酸化物のモル数で表した
    ときに、次の範囲の組成: M2/n0・Al23・5〜7.4SiO2・xH20 (ここで、Mは周期律表の第I〜VIII族から選ばれる交
    換可能なカチオンであり、nはMの原子価、xは3〜9
    の数を表す。)を有し、下記の粉末X線回折パターン と実質的に同じ粉末X線回折パターンを有する結晶性合
    成ゼオライトを使用することを特徴とするパラジクロロ
    ベンゼンの高選択的製造法。
JP63073375A 1988-03-29 1988-03-29 パラジクロロベンゼンの高選択的製造法 Expired - Fee Related JP2595637B2 (ja)

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