JP3759544B2 - 電動リールのモータ制御装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータ制御装置、特に、モータの回転が遊星減速機構とクラッチ機構とを介してスプールに伝達される電動リールにおいて、クラッチ機構を接続した状態でモータを一方向に回転させてスプールを糸巻取方向に回転させるための糸巻取モードと、クラッチ機構を離脱した状態でモータを一方向に回転させてスプールを糸繰り出し方向に回転させるための糸送りモードとの2つの動作モードでモータを制御する電動リールのモータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
巻き上げ時のスプールの回転をモータで行う電動リールは、たとえば、100m以上の水深を回遊する魚を船の上から釣るときによく使用される。この種の電動リールは、リール本体と、リール本体に回転自在に支持されたスプールと、スプールを回転させるハンドルと、スプールを巻き上げ方向に駆動するモータとを備えている。ハンドルは、逆転防止機構により繰り出し方向に逆転しないようになっている。モータは、モータの回転を減速するコンパクトな遊星減速機構とともにスプール内部に設けられており、スプールを巻取方向に駆動するように一方向にのみ回転するようになっている。また、ハンドルと遊星減速機構との間には、ハンドルの回転を遊星減速機構に伝達する駆動機構と、動力を係脱するクラッチ機構とが設けられている。駆動機構は、ハンドル軸にドラグ機構を介して連結されたメインギアと、メインギアに噛み合うピニオンギアとを有している。クラッチ機構は、ピニオンギアの端面とこの端面に係合する遊星減速機構の一部とで構成されている。ピニオンギアは、軸方向に係合位置と離脱位置との間で移動可能であり、クラッチ操作レバーによりその位置を係合位置と離脱位置との間で切換可能である。
【0003】
この種の電動リールでは、釣り糸を繰り出す際には、クラッチ操作レバーによりクラッチ機構を離脱状態にし、スプールを自由状態にする。これにより仕掛けは重りの自重により水中を落下し、スプールが糸繰り出し方向に回転して釣り糸が繰り出される。また、釣り糸を巻き取る際には、クラッチ操作レバーによりクラッチ機構を係合状態にするとともにモータオンオフスイッチを操作すると、モータが一方向に回転し、それが遊星減速機構を介してスプールに伝達され、スプールが糸巻き上げ方向に回転する。また、ハンドルを回すと駆動機構及び遊星減速機構を介してその回転がスプールに伝達され、スプールが糸巻き上げ方向に回転する。
【0004】
糸繰り出しときには、電動リールの場合、スプールが回転すると遊星減速機構の遊星ギア等も回転するので、この遊星減速機構の遊星ギアの駆動トルクや軸受の摩擦抵抗やグリースの粘性等によりスプールに制動力が作用し、手巻きリールに比べて仕掛けの落下速度が遅くなることがある。
【0005】
これを防止するために糸送りモードで動作する電動リールが実公平7−46150号公報に開示されている。前記公報に開示された電動リールは、クラッチのオンオフを検知する検知手段と、検知手段の検知結果によりモータを回転制御する制御手段とを有している。この電動リールでは、クラッチをオフしてスプールを自由状態にすると糸送りモードになる。糸送りモードでは、このクラッチオフを検知してモータを糸巻上げ方向に所定速度で回転させる。クラッチオフ状態でモータを糸巻き上げ方向に回転させると、遊星減速機構の駆動トルクや摩擦抵抗等が相殺されるとともにグリースの粘性等によりわずかな駆動力でスプールが糸繰り出し方向に回転する。この結果、糸送りモードにすると、自由状態での降下速度より速く仕掛けが降下するようになる。そして、たとえば棚位置に仕掛けが到達してクラッチがオンされると、クラッチがオンしたことを検知手段が検知してモータをオフする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の構成では、クラッチのオフを検知してモータの回転を開始するとともに、クラッチのオンを検出してモータの回転を停止しているので、糸送りモード時のモータ制御用にリードスイッチやマグネットスイッチ等の専用のクラッチオンオフ検知手段を使用する必要がある。このような検知手段を使用すると、その分コストが上昇するとともに、配線や制御が複雑になり、糸送りモードを簡素な構成で実現できない。
【0007】
本発明の課題は、糸送りモードを簡素な構成で実現することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る電動リールのモータ制御装置は、モータの回転が遊星減速機構とクラッチ機構とを介してスプールに伝達される電動リールにおいて、クラッチ機構を接続した状態でモータを一方向に回転させてスプールを糸巻取方向に回転させるための糸巻取モードと、クラッチ機構を離脱した状態でモータを一方向に回転させてスプールを糸繰り出し方向に回転させるための糸送りモードとの2つの動作モードでモータを制御する装置であって、駆動指令受付手段と、第1モータ駆動手段と、過負荷防止手段と、糸送りモード設定手段と、モータ停止手段とを備えている。駆動指令受付手段は、モータへの駆動指令を受け付ける。第1モータ駆動手段は、駆動指令受付手段が駆動指令を受け付けたとき、動作モードに応じてモータを駆動する。過負荷防止手段は、モータに供給された電流値を検出する電流値検出手段を有し、検出された電流値により過負荷を防止する。糸送りモード設定手段は、動作モードを糸送りモードに設定する。モータ停止手段は、糸送りモードが設定された状態で電流値検出手段が所定電流値以上の電流値を検出したとき、動作モードを糸送りモードに維持してモータの回転を停止する。
【0009】
このモータ制御装置では、糸送りモードに設定された状態で駆動指令が受け付けられると、糸送りモードでモータが糸巻取時と同じ一方向に駆動される。この結果、スプールが糸繰り出し方向に回転して釣り糸が高速で繰り出される。そして、仕掛けがたとえば棚位置に到達してクラッチをオンすると、モータの負荷が増加する。負荷が増加してモータに供給される電流が所定値以上になると、動作モードを糸送り状態に維持した状態でモータの回転を停止する。ここでは、一般の過負荷による焼損を防止するモータ過負荷防止制御に使用されている電流検出手段により実質的にクラッチオンを検出しているので、クラッチのオンを検出するための専用の検知手段を設ける必要がなく、糸送りモードを簡素な構成で実現できる。
【0010】
発明2に係る電動リールのモータ制御装置は、発明1に記載の装置において、所定電流量は、クラッチ機構がオンしたときの負荷により上昇する程度の電流値を判断するための値である。
【0011】
発明に係る電動リールのモータ制御装置は、モータの回転が遊星減速機構とクラッチ機構とを介してスプールに伝達される電動リールにおいて、クラッチ機構を接続した状態でモータを一方向に回転させてスプールを糸巻取方向に回転させるための糸巻取モードと、クラッチ機構を離脱した状態でモータを一方向に回転させてスプールを糸繰り出し方向に回転させるための糸送りモードとの2つの動作モードでモータを制御する装置であって、駆動指令受付手段と、第1モータ駆動手段と、回転状態検出手段と、速度制御手段と、糸送りモード設定手段と、モータ停止手段とを備えている。駆動指令受付手段は、モータへの駆動指令を受け付ける。第1モータ駆動手段は、駆動指令受付手段が駆動指令を受け付けたとき、動作モードに応じてモータを駆動する。速度制御手段は、回転状態検出手段で検出されたスプール回転速度に応じて糸巻取モード時にモータを速度制御する。回転状態検出手段は、スプールの糸繰り出し方向の回転速度を検出する。糸送りモード設定手段は、動作モードを糸送りモードに設定する。モータ停止手段は、糸送りモードが設定された状態で回転状態検出手段が所定速度未満の回転速度を検出したとき、動作モードを糸送りモードに維持してモータの回転を停止する。
【0012】
このモータ制御装置では、糸送りモードに設定された状態で駆動指令が受け付けられると、糸送りモードでモータが糸巻取時と同じ一方向に駆動される。この結果、スプールが糸繰り出し方向に回転して釣り糸が高速で繰り出される。そして、仕掛けがたとえば棚位置に到達してクラッチをオンすると、スプールの回転速度が低くなる。この回転速度が所定速度未満になると、動作モードを糸送り状態に維持した状態でモータの回転を停止する。ここでも、一般にスプールの速度制御に使用される回転状態検出手段により回転速度が所定速度未満になると実質的にクラッチオンを検出しているので、クラッチのオンを検出するための専用の検知手段を設ける必要がなく、糸送りモードを簡素な構成で実現できる。
【0013】
発明に係る電動リールのモータ制御装置は、モータの回転が遊星減速機構とクラッチ機構とを介してスプールに伝達される電動リールにおいて、クラッチ機構を接続した状態でモータを一方向に回転させてスプールを糸巻取方向に回転させるための糸巻取モードと、クラッチ機構を離脱した状態でモータを一方向に回転させてスプールを糸繰り出し方向に回転させるための糸送りモードとの2つの動作モードでモータを制御する装置であって、駆動指令受付手段と、第1モータ駆動手段と、回転状態検出手段と、糸送りモード設定手段と、モータ停止手段とを備えている。駆動指令受付手段は、モータへの駆動指令を受け付ける。第1モータ駆動手段は、駆動指令受付手段が駆動指令を受け付けたとき、動作モードに応じてモータを駆動する。回転状態検出手段は、巻取方向に回転するスプールによる釣り糸巻き上げ量を検出する。糸送りモード設定手段は、動作モードを糸送りモードに設定する。モータ停止手段は、糸送りモードが設定された状態回転状態検出手段により検出された糸巻き上げ量が所定量未満になると、動作モードを糸送りモードに維持してモータの回転を停止する。
【0014】
このモータ制御装置では、糸送りモードに設定された状態で駆動指令が受け付けられると、糸送りモードでモータが糸巻取時と同じ一方向に駆動される。この結果、スプールが糸繰り出し方向に回転して釣り糸が高速で繰り出される。そして、仕掛けがたとえば棚位置に到達してクラッチがオンされてスプールが巻取方向に回転し釣り糸が所定量未満巻き上げられると、動作モードを糸送り状態に維持した状態でモータの回転を停止する。ここでも、一般にスプールの回転数制御に使用される回転状態検出手段により実質的にクラッチオンを検出しているので、クラッチのオンを検出するための専用の検知手段を設ける必要がなく、糸送りモードを簡素な構成で実現できる。
【0015】
発明5に係る電動リールのモータ制御装置は、発明1から4のいずれかに記載の装置において、スプールの回転方向を検出するスプール回転方向検出手段と、釣り糸の先端部の水深を計測する水深計測手段と、糸送りモード設定手段が動作モードを糸送りモードに設定したとき、糸送りモードに応じて前記モータを駆動する第2モータ駆動手段とをさらに備え、糸送りモード設定手段は、スプールが糸繰り出し方向に回転している状態で釣り糸先端部の水深計測値が所定水深以上の場合に駆動指令が受け付けられたとき、動作モードを前記糸送りモードに設定する。この場合には、所定水深以上で糸送りモードにしているので、波や潮流の影響を受けにくくなり、それによるバックラッシュの発生を防止できる。
【0016】
発明6に係る電動リールのモータ制御装置は、発明5に記載の装置において、糸送りモードが設定された状態でスプールが糸繰り出し方向に回転し、かつ水深計測値が所定水深以上になるまで駆動指令が受け付けられなかったとき、モータを糸送りモードに応じて駆動する第3モータ駆動手段をさらに備える。この場合には、一度糸送りモードが設定されると、それが解除されるまでは所定水深以上になると常に糸送りモードでモータが駆動されるので、モータの駆動指令を行うことなく自動的に糸送りモードでモータを駆動できる。このため、糸送りモードによるモータ駆動をさらに簡単な構成で実行できる。
【0017】
発明7に係る電動リールのモータ制御装置は、発明1から6のいずれかに記載の装置において、動作モードが前記糸送りモードに設定された状態で駆動指令が受け付けられたとき、動作モードを糸巻取モードに設定する糸巻取モード設定手段と、動作モードを糸巻取モードに設定したとき、モータを糸巻取モードに応じて駆動する第4モータ駆動手段とをさらに備える。この場合には、糸送りモード状態のときに駆動指令を入力すると糸巻取モードになり、糸巻取モードでモータが駆動される。ここでは、駆動指令の入力によりモードを切り換えできるので、簡単な操作で糸送りモードから糸巻取モードに切り換えることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
〔全体構成〕
図1に示す本発明の一実施形態を採用した電動リールは、糸繰り出し長さにより水深を表示する水深表示器を有するリールである。電動リールは、リールボディ1と、リールボディ1の側方に配置されたスプール12の回転用のハンドル2と、ハンドル2のリールボディ1側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ3とを主に備えている。スプール12の内部にはモータ13が収納されている。
【0019】
リールボディ1は、対向して配置された1対の側板を有するフレーム10と、フレーム10の両側方に配置されたカバー11a,11bとを有している。このフレーム10の中央部に外周に釣り糸が巻き付けられるスプール12が回転自在に配置されている。
スプール12の内部に収納されたモータ13の出力軸14の先端は、ハンドル側のカバー11aに向かって延びている。この出力軸14は、図示しないワンウェイクラッチにより一方向(糸巻取方向)にのみ回転する。
【0020】
〔リール上部の構成〕
リールボディ1の上部には操作パネル4が固定されている。操作パネル4には、図2に詳しく説明するように、仕掛けの水深や2つの基準で棚位置を表示するための液晶ディスプレイからなる表示部5と、表示部5の周囲に配置された各種の操作キー部6とが設けられている。
【0021】
表示部5には、表示モード(上からモードと底からモード)に応じて異なる水深を表示する水深表示部5aと、各種のモードや動作状態を表示するためのモード表示部5bと、水底の水深Sを表示するための底メモ表示部5cと、表示モードに応じて上棚位置TU又は底棚位置TSを表示するための棚メモ表示部5dと、スプール12の巻き上げ時のモータ13の9つの変速段を表示するための速度表示部5eとが含まれている。
【0022】
水深表示部5a、底メモ表示部5c及び棚メモ表示部5dは、正負3桁で水深を表示可能である。動作モード表示部5bは、「上から」と「底から」との2種の文字のいずれかで表示モードを画面上に表示する。ここで、上からモードとは、リールを基準とした水面からの仕掛けの水深を表示するモードであり、底からモードとは水底を基準とした水底から仕掛けまでの距離を表示するモードである。このため、上からモードは、「上もの」と呼ばれる魚を釣るときに好適であり、底からモードは「底もの」と呼ばれる魚を釣るときに好適である。
【0023】
操作キー部6には、表示部5の右側に上下に並べて配置された速度調整スイッチSK及びモータオンオフボタンPBと、左側に上下に並べて配置されたさそいボタンIB、棚メモボタンTB及び底メモボタンSBとが設けられている。速度調整スイッチSKは、上下2つのスイッチSK1,SK2と中立位置とからなるシーソー型のものであり、上スイッチSK1を押すと変速段が押している時間だけ徐々に高速側に移行し、下スイッチSK2を押すと低速側に移行する。また、押すのを止めると中立位置に復帰してそのときの変速段を維持する。モータオンオフボタンPBは、モータ13のオンオフを行うとともに、それを押し続ける時間に応じてモータ13の変速段を低速側から高速側に移行する。そして、押すのを止めると、オフ位置に復帰してそのときの変速段を維持する。
【0024】
さそいボタンIBは、仕掛けを棚近傍でさそい上げるさそいモードをセットしたり、さそい学習を行ったり、さそいモードを解除する際に使用されるボタンである。棚メモボタンTBは、上からモードのときの上棚位置や底からモードのときの底棚位置を設定するためのボタンである。なお、棚メモボタンTBを3秒以上押し続けると、水深表示が0セットされる。底メモボタンSBは、水底の水深を設定するためのボタンである。また、底メモボタンSBを3秒以上押し続けると、表示モードを上からモードと底からモードとの間で切り換えできる。
【0025】
操作パネル4の左側部は、図1に示すように、スプール12に巻き付けられた釣り糸の実際の長さを計測するための糸長測定器15の取付面15aとなっている。リールボディ1の前面及び操作パネル4の後面には、糸長測定器15を装着するための係止部16,17がそれぞれ設けられている。また、取付面15aの裏面側には、糸長計測器15に取り付けられた回転する磁石(図示せず)を感知するリードスイッチからなる中継スイッチ82(図6)と各種警報音を出力するアラーム7(図6)とが設けられている。糸長測定器15は、スプール12に巻き付けられた釣り糸に回転するローラを常に接触させ、そのローラにより磁石を回転させることで、実際の釣り糸の繰り出し長さを計測するためのものである。糸長測定器15は、通常、新たに釣り糸をスプール12に巻き付けるときにのみ装着される。この糸長測定器15を使用して実際の糸長とスプール回転数との関係を学習することで、糸巻径により変化する糸長をスプール回転数によって正確に測定でき、この測定結果により仕掛けの水深を正確に表示できる。
【0026】
〔駆動系の構成〕
スプール12の内部及びカバー11aの内部には、図3に示すように、スプール12を回転駆動するための駆動系8が設けられている。駆動系8は、スプール12の内部に配置された遊星歯車列からなる遊星減速機構20と、カバー11a内に配置されたハンドル軸21に装着されたドラグ機構22と、ドラグ機構22と遊星減速機構20との間に配置されたピニオンギア36及びクラッチ機構24とを有している。
【0027】
遊星減速機構20は、モータ13の出力軸14に固定された第1太陽ギア25と、これに噛み合う3つの第1遊星ギア26(1つのみ図示)と、出力軸14に回転自在に支持された第2太陽ギア28と、この第2太陽ギア28に噛み合う3つの第2遊星ギア29(1つのみ図示)とを備えている。第2太陽ギア28には、第1遊星ギア26を回転自在に支持する第1キャリア27が固定されている。第1及び第2遊星ギア26,29は、スプール12内の内周面に形成された内歯ギア30に噛み合っている。第2遊星ギア29は第2キャリア31に回転自在に支持されている。第2キャリア31は筒状軸31aを有しており、筒状軸31aは出力軸14に回転自在に支持されている。
【0028】
ドラグ機構22は、メインギア35と、このメインギア35内に収容されハンドル軸21とメインギア35とのいずれか一方に回転不能に連結された複数の摩擦プレート及び中間プレートと、皿バネとから構成されており、スタードラグ3を調整することによってそのドラグ力を変更することが可能である。
【0029】
ピニオンギア36はメインギア35に噛み合っている。ピニオンギア36はカバー11aに支持された支持軸37の回りに回転自在に支持されている。クラッチ機構24は、スプール12を巻上状態と自由状態とに切り換えるものであり、クラッチオフすると自由状態となり、釣糸を繰り出すことが可能となる。また、クラッチオンすると巻上状態となり、駆動モータ13またはハンドル2による巻き上げ動作を行うことが可能となる。クラッチ機構24は、ピニオンギア36の一端と第2キャリア31の筒状軸31aの一端とによって構成されている。これらの対向する端部同士は噛み合いが可能であり、ピニオンギア36を筒状軸31aから離す方向に移動させるとクラッチが解除された状態(クラッチオフ)となり、また逆方向に移動させることによってクラッチが接続された状態(クラッチオン)となる。
【0030】
また、スプール12の一端側には第1ギア40が一体で形成されており、この第1ギア40は中間ギア列41を介して螺軸駆動ギア42と噛み合っている。螺軸駆動ギア42は螺軸43の一端に固定されており、螺軸43の表面には螺旋溝43aが形成されている。螺旋溝43aには釣り糸ガイド44が噛み合っており、釣り糸ガイド44は、スプール12の回転により螺軸43により左右に往復移動して釣り糸をスプール12に均一に巻き取る。
【0031】
クラッチ機構24は、図4に示すように、カバー11a内に設けられたクラッチ操作機構によってクラッチをオン/オフすることが可能である。クラッチ操作機構は、カバー11aから上方に突出するクラッチレバー60と、クラッチプレート61と、クラッチヨーク62とを有している。クラッチレバー60は揺動自在に設けられており、その揺動中心部にはカム63が形成されている。カム63の一部には突起部63aが設けられており、この突起部63aは、クラッチプレート61の上部に設けられた長孔61aに係合している。クラッチプレート61は斜め上下方向にスライド自在であり、かつほぼ中間部に設けられた支持ピン64を中心に揺動自在である。
【0032】
また、クラッチプレート61にはカム面61bが形成されている。クラッチヨーク62はカム面61bに当接しており、クラッチプレート61が斜め方向にスライドすることによって図3の紙面直交方向にスライドが可能である。クラッチヨーク62はピニオン36に係合しており、このクラッチヨーク62がスライドすることでピニオン36をモータ13の出力軸14方向にスライド可能である。なお、クラッチヨーク62はリターンスプリングによって常にピニオンギア36を第2キャリア31側(クラッチオン側)に付勢している。
【0033】
クラッチプレート61の下方には、クラッチプレート61を下降させた図5に示す状態で維持するためのロック部材65が設けられている。ロック部材65はフレーム10に取付られたソレノイド66及びそのロッドに装着されたリング部材67によって斜め方向に昇降可能である。このため、図5に示すように、クラッチプレート61とロック部材65とは噛み合ってクラッチプレート61がクラッチオフ位置に維持された状態でソレノイド66をオンすると、リンク部材67を介してロック部材65が下降し、そのロックを解除することが可能である。
【0034】
また、ハンドル軸21はラチェット70が固定されており、このラチェット70はストッパーレバー71によってその一方向(図4反時計回り)の回転が禁止されるようになっている。この結果、駆動モータ13使用時にハンドル2が逆回転しないようにできる。なお、ストッパーレバー71は、図示しないストッパーアームによりラチェット70に当接する位置(図4)と解除する位置(図5)とに移動可能である。ストッパーアームは、カバー11aから下方に突出している。
【0035】
ラチェット70にはクラッチロック解除用のロッド72が設けられている。このため図5に示すように、クラッチがオフされた状態でハンドル軸21を回すと、ラチェット70が図5において時計方向に回転し、そのクラッチロック解除用のロッド72がクラッチプレート61に当接してその下端を上方に押す。すると、クラッチプレート61は支持ピン64を中心に反時計回りに回動し、ロック部材65とのロックが外れる。これによりクラッチプレート61はバネ73によって上昇させられ、クラッチはオン状態となる。なお、クラッチレバー60もスプリング74によって常にクラッチオン側の姿勢に付勢されている。
【0036】
〔駆動系の動作〕
このように構成された駆動系8では、クラッチ機構24が接続(クラッチオン)した状態でモータ13を回転させると、出力軸14に固定された第1太陽ギア25が回転する。これに噛み合う第1遊星ギア26は、内歯ギア30に噛み合っているので、第1太陽ギア25の回転が回転すると、第1遊星ギア26を回転自在に支持する第1キャリア27がモータ13と同方向に公転する。これにより、第1キャリア27に固定された第2太陽ギア28が同方向に回転する。このとき、第2遊星ギア29を回転自在に支持する第2キャリア31は、クラッチ機構24によりハンドル軸21に連結されており、ハンドル軸21はラチェット70により逆転禁止されているので、第2キャリア31は公転が禁止された状態である。したがって第2太陽ギア28が回転すると、第2遊星ギア29が自転しスプール12をモータ13の回転方向と逆方向に減速回転させる。
【0037】
クラッチ機構24を切断(クラッチオフ)しスプール12が仕掛けの重量で糸繰り出し方向に自由回転しているときにモータ13を駆動すると、内歯ギア30に噛み合う第1及び第2遊星ギア26,29の噛み合いによる抵抗や軸受部の摩擦抵抗や内部に封入されたグリースの粘性等によりスプール12に作用する制動力を相殺するようなトルクでモータ13は回転する。すなわち、第2キャリア31が空転状態のため、モータ13が回転すると第1及び第2遊星ギア26,29は自転しながら公転し、第2キャリア31にそれを公転させる駆動トルクがわずかに作用する。この結果、スプール12を僅かの駆動トルクでモータ13の回転方向と同じ糸繰り出し方向に減速回転させる。このようにモータ13の回転により前述した制動力が相殺されるため、スプール12はスムーズに糸繰り出し方向に回転する。
【0038】
一方、クラッチ機構24が接続(クラッチオン)した状態でハンドル2を回転させると、その回転は、ドラグ機構22を介してピニオンギア36に伝達される。このとき、モータ12は逆転禁止されているので、第1太陽ギア25は回転しない。このため、これに噛み合う第1遊星ギア26は公転せず、第1キャリア27も回転せず、第2太陽ギア28も固定状態である。この状態では、ピニオンギア36に回転が伝達されると第2キャリア31が公転し、それにより第2遊星ギア29が公転しながら自転してスプール12を増速回転させる。
【0039】
〔制御系の構成〕
電動リールは、図6に示す制御部80を有している。制御部80は、操作パネル4内に配置されたCPU,RAM,ROM,I/Oインターフェイス等を含むマイクロコンピュータを備えており、制御プログラムに従って後で説明する各種の制御動作を実行する。制御部80には、操作キー部6の各種のボタンと、スプール10の回転方向及び回転数を検出するための1対のリードスイッチからなるスプール回転センサ81と、中継スイッチ82と、モータ13に供給された電流を検出する電流検出部83とが接続されている。
また、制御部80には、アラーム7と、表示部5と、モータ13を電流のパルス幅を変更してデューティ制御するためのPWM駆動回路85と、各種の制御データを記憶する不揮発メモリからなる記憶部86と、クラッチオン用のソレノイド66と、他の入出力部とが接続されている。PWM駆動回路85にはモータ13が接続されている。
【0040】
〔制御系の動作〕
次に、制御部80によって行われる制御処理を図7〜図12に示す制御フローチャートに従って説明する。
【0041】
電動リールに図示しないバッテリーが接続されると、図7のステップS1において初期設定を行う。ここでは、水深表示を「0」にしたり、動作モードを示す動作フラグLF等の各種のフラグを「0」にリセットしたり、表示モードを上からモードに設定する。
ステップS2では、表示処理を行う。表示処理では、表示部5での水深表示等の各種の表示を行う。ここで、上からモードのときには、水深表示部5aに上からの水深LNが、底からモードのときには水底からの距離Sが表示される。また、棚位置がセットされると、上からモードのときには棚メモ表示部5dに上棚位置TUが、底からモードのときには底棚位置TSが表示される。
【0042】
ステップS3では、操作キー部6の各種ボタンの押圧によるキー入力がなされているか否かを判断する。ステップS4では、スプール10が回転しているか否かを判断する。この判断は、スプール回転センサ21の出力により行う。ステップS5では、モータ13が糸巻取状態で回転しているか否かを、回転フラグMFにより判断する。ステップS6では、モータ13が糸送り状態で回転しているか否かを回転フラグFFにより判断する。これらの回転フラグMF,FFは、後述糸巻取処理及び糸送り処理でモータ13の回転を開始したときセットされる。ステップS7では、他の指令がなされたか否かを判断する。
キー入力がなされているとステップS3からステップS8に移行し、図8に示すキー入力処理を行う。スプール10が回転していると判断するとステップS4からステップS9に移行し、中継スイッチ82がオンしているか否かを判断する。中継スイッチ82は、糸長測定器15が装着され糸長とスプール10の回転位置との関係を学習するときにのみオンする。中継スイッチ82がオンしている場合にはステップS10に移行し、スプール10の回転と糸長との関係を学習する学習モード処理に移行する。この学習モード処理では、糸長(水深)LNとスプール10の回転データNとの関係を示すマップデータMAP(N)を算出して記憶部86に記憶する。中継スイッチ82がオンしていない場合にはステップS11に移行し、各モード処理を実行する。
【0043】
モータ13が糸巻取状態で回転しているとステップS5からステップS12に移行する。ステップS12では、図11に示す糸巻取処理を実行する。モータ13が糸送り状態で回転しているとステップS6からステップS13に移行する。ステップS13では、図10に示す糸送り処理を実行する。他の指令がなされるとステップS7からステップS14に移行し、指令に応じた他の処理を行う。
【0044】
ステップS8のキー入力処理では、図8のステップS21でモータオンオフボタンPBが押されているか否かを判断する。ステップS22では速度調整スイッチSKの上スイッチSK1が押されているか否かを判断する。ステップS23では速度調整スイッチSKの下スイッチSK2が押されているか否かを判断する。ステップS24では棚メモボタンTBが押されたか否かを判断する。ステップS25では底メモボタンSBが押されたか否かを判断する。ステップS26では、底メモボタンSBの長時間(たとえば3秒以上)のキー入力や底メモボタンSBと棚メモボタンTBとの同時操作やさそいボタンIBのキー入力等の他のキー入力がなされたか否かを判断する。
【0045】
モータオンオフボタンPBが押されていると、ステップS21からステップS31に移行する。ステップS31では、図9に示すモータオンオフボタンPBの押圧(PBON)処理を行う。
【0046】
速度調整スイッチSKの上スイッチSK1が押されていると、ステップS22からステップS32に移行する。ステップS32では増速処理を行う。ここでは、上スイッチSK1が押されていると増速処理を行うので、結果として上スイッチSK1を押している時間だけ増速処理が行われる。速度調整スイッチSKの下スイッチSK2が押されていると、ステップS23からステップS33に移行する。ステップS33では減速処理を行う。ここでも、下スイッチSK2が押されていると減速処理を行うので、結果として下スイッチSK2を押している時間だけ減速処理が行われる。
【0047】
棚メモボタンTBが押されるとステップS24からステップS34に移行する。ステップS34では、この時の水深LNを上棚位置TUとして記憶部86に記憶する。ステップS35では、水底の水深Sからそのときの水深LNを引いた値を底棚位置SUとして記憶部86に記憶する。
【0048】
底メモボタンSBが押されるとステップS25からステップS36に移行する。ステップS36では、この時の水深LNを水底の水深Sとして記憶部86に記憶する。他のキー入力がなされた場合にはステップS26からステップS37に移行し、押されたキーに応じた他のキー入力処理を行う。たとえば、底メモボタンSBが3秒以上押されると、表示モードが上からと底からとで切り換えられる。また、さそいボタンIBが押されると動作モードがさそいモードに切り換えられる。
【0049】
図9に示すモータオンオフボタンPBの押圧処理では、ステップS41でモータ13が回転しているか否かを判断する。この判断は、回転フラグMF又は回転フラグFFのいずれかがセット(=1)されているか否かにより行う。モータ13が回転していない場合には、ステップS42に移行しスプール12が糸繰り出し方向に回転しているか否かを判断する。この判断はスプール回転センサ81の出力により行う。スプール12が糸繰り出し方向に回転している場合にはステップS43に移行し、仕掛けの水深LNが10m未満か否かを判断する。水深LNが10m以上の場合にはステップS44に移行し、モータオンオフボタンPBの押圧時間が5秒以上か否かを判断する。ここで、糸送りモードを設定したり解除するには5秒以上モータオンオフボタンPBを押圧する必要がある。5秒以上モータオンオフボタンPBが押圧された場合には、ステップS45に移行し、既に糸送りモードが設定されているか否かを判断する。まだ、糸送りモードが設定されていない(LF=0)場合にはステップS46に移行し、動作フラグLFを「1」にセットし動作モードを糸送りモードに設定する。ステップS47では、図10の糸送り処理を実行し、キー入力処理ルーチンに戻る。
【0050】
ステップS42でスプール12が糸巻取方向に回転している場合、ステップS43で仕掛けの水深LNが10m未満の場合、及びステップS44で押圧時間が5秒未満の場合には、ステップS49に移行し、図1111の糸巻取処理を実行し、キー入力ルーチンに戻る。また、ステップS45で既に糸送りモードに設定されている場合にはステップS47に移行し、動作フラグLFを「0」にリセットし、動作モードを糸巻取モードに設定する。
【0051】
一方、ステップS41でモータ13が既に回転している場合には、ステップS50に移行し、モータ13の回転を停止する。ステップS51では回転フラグMF及び回転フラグFFをそれぞれ「0」にリセットする。
【0052】
図10に示す糸送り処理では、ステップS53で回転フラグFFによりモータ13が糸送り状態で回転しているか否かを判断する。モータ13が回転していない場合(FF=0)にはステップS54に移行し、回転フラグFFを「1」にセットする。ステップS55では、モータ13を一定の速度でデューティ制御することなく一方向回転させる。この結果、駆動系8での動作で説明したように、スプール12に作用する制動力がモータ13の回転により相殺され、スプール12が僅かな駆動トルクで糸繰り出し方向に駆動され、スプール12の繰り出し速度が増加して、棚位置に仕掛けを早く到達させることができる。なお、このモータ13の速度をキー操作により自由に変更できるようにしてもよい。モータ13が既に回転しているときにはこのステップS54及びステップS55を飛び越す。
【0053】
ステップS56では、モータ13に供給された電流値Iを電流検出部83の出力を読み込むことにより検出する。ステップS57では、検出された電流値Iが所定の電流値Ia未満か否かを判断する。検出された電流値Iが所定の電流値Ia未満の場合には糸送り処理を終了する。検出された電流値Iが所定の電流値Ia以上の場合にはステップS57からステップS58に移行する。この所定の電流値Iaはクラッチ機構24がオンしたときの負荷により上昇する程度の電流値を判断するための値である。ステップS58では、モータ13の回転を停止する。ステップS59では、回転フラグFFをリセットする。ここでは、釣り糸の繰り出しを停止するために釣り人がクラッチ機構24をオンすると、モータ13に作用する負荷が上昇して供給された電流値Iが所定の電流値Iaを超えることを利用してクラッチオンを検出している。そして、供給された電流値Iが所定の電流値Ia以上になると、糸送りモードを維持してモータ13を停止させている。これにより、糸送りモードでモータ13を停止させるためにクラッチのオンオフ検出機構を設ける必要がなくなり、糸送りモードを簡素な構成で実現できる。
【0054】
図11に示す糸巻取処理では、ステップS60で回転フラグMFによりモータ13が糸巻取状態で回転しているか否かを判断する。モータ13が回転していない場合にはステップS61に移行し、回転フラグMFを「1」にセットする。ステップS62では、モータ13を回転させる。この結果、駆動系8での動作で説明したように、スプール12が糸巻取方向に回転する。モータ13が既に回転しているときにはこのステップS61及びステップS62を飛び越す。ステップS63では、スプール12の回転数Rをスプール回転センサ81の出力により検出する。ステップS64では、検出した回転数Rが変速段に応じた所定の回転数RSに到達したか否かを判断する。すでに所定の回転数RSに到達した場合にはこの処理を終了する。所定の回転数RSに到達していない場合には、ステップS65に移行し、現在のデューティ比Dが変速段に応じた最大デューティ比DSを超えているか否かを判断する。現在のデューティ比Dが変速段に応じた最大デューティ比DSを超えていない場合には、ステップS66に移行する。ステップS66では、デューティ比Dを所定の増分DI増加させる。この増分DIはたとえば「5」程度である。最大デューティ比DSを超えた場合にはステップS65からステップS67に移行する。ステップS67ではデューティ比Dを最大デューティ比DSにセットする。
【0055】
ステップS68では、モータ13に供給された電流Iを電流検出部83の出力を読み込むことにより検出する。ステップS69では、検出された電流値Iが上限電流値IUを超えたか否かを判断する。ステップS70では、検出された電流値Iが下限電流値ILより低下したか否かを判断する。電流値Iが上限電流値IUを超えた場合にはステップS69からステップS71に移行し、モータ13が焼損しない程度の定格最大電流値(たとえば、16A)がモータ13に供給されるようなデューティ比DEを現在のデューティ比Dにセットする。電流値Iが下限電流値ILより低下した場合には処理を終了する。低下していない場合には、ステップS70からステップS72に移行し、デューティ比DEを現在のデューティ比Dにセットする。ここでは、電流値Iが上限電流値IUを超えると、所定の時定数τの後それより低い最大定格電流に電流値Iを維持するように供給電流を制御し、下限電流値IL以下になるとその制御を解除する。これにより、急激な負荷の上昇によるモータ13や制御素子の劣化・損傷を抑えることができる。このように、通常モータ13を制御する場合には、電流値Iを検出して過負荷防止制御することが多い。この検出結果を糸送りモードの実施に使用することで、専用のクラッチオン検出手段を用いることなく、糸送りモードを解除できる。
【0056】
図12に示す各モード処理では、ステップS81でスプール12の回転が糸繰り出し方向の回転か否かを判断する。この判断はスプール回転センサ81のいずれのリードスイッチが先にオンしたかにより行う。スプール12の回転方向が糸繰り出し方向と判断するとステップS82に移行する。ステップS82では、回転データNを増加する。ステップS83では、増加された回転データNからマップデータMAPにより水深LNを求める。これにより表示処理で水深表示が更新される。ステップS84では、水深LNが10m未満か否かを判断する。ステップS85では、算出された水深LNが上棚位置TUと一致するか否かを判断する。ステップS86では、他のモードか否かを判断する。他のモードではない場合には、各モード処理を終わりメインルーチンに戻る。
【0057】
水深LNが10m以上の場合には、ステップS84からステップS87に移行する。ステップS87では、動作フラグLFが「1」か否か、つまり動作モードが糸送りモードに設定されているか否かを判断する。糸送りモードに設定されている場合には、ステップS88に移行し、図10の糸送り処理を実行する。ここでは、一度、動作モードが糸送りモードに設定されると、水深LNが10mを超えた時点で自動的に糸送りモード処理、つまりモータ13の回転が開始され、釣り糸が速く繰り出される。糸送りモードに設定されていない場合にはステップS85に移行する。
【0058】
水深LNが上棚位置TUに一致するとステップS85からステップS90に移行する。ステップS90ではアラーム7から棚アラームを出力する。ステップS91では、ソレノイド66をオンしてクラッチ機構24をオンする。この結果、釣り糸の繰り出しが停止し、負荷の上昇によりモータ13に供給される電流値Iが増加する。このため、糸送りモードのとき図10のステップS58でモータ13を停止する。他のモードの場合にはステップS86からステップS92に移行し、他のモード処理を実行する。
【0059】
スプール12の回転方向が糸巻き上げ方向と判断するとステップS81からステップS95に移行する。ステップS95では、回転データNを減少する。ステップS96では、増加された回転データNからマップデータMAPにより水深LNを求める。これにより表示処理で水深表示が更新される。ステップS97では、水底の水深Sから算出された水深LNを引いた減算値が底棚位置TSと一致するか否かを判断する。ステップS98では、算出された水深LNが船縁停止位置FBと一致するか否かを判断する。この船縁停止位置FBは、仕掛けが手元に戻るようにセットされた位置である。
【0060】
減算値が底棚位置TSに一致するとステップS97からステップS99に移行する。ステップS99ではアラーム7から棚アラームを出力する。ステップS100ではモータ13を停止する。ステップS101では回転フラグMF及び回転フラグFFをそれぞれリセットする。水深LNが船縁停止位置FBに一致するとステップS98からステップS102に移行する。ステップS102ではアラーム7から船縁アラームを出力する。ステップS103ではモータ12を停止する。ステップS104では、回転フラグMF及び回転フラグFFをそれぞれリセットする。
【0061】
ここでは、一般のモータ過負荷防止制御に使用されている電流検出部83により図10のステップS54で実質的にクラッチオンを検出しているので、クラッチのオンを検出するための専用の検知手段を設ける必要がなく、糸送り処理を簡素な構成で実現できる。
また、スプール12が糸繰り出し方向に回転して釣り糸が繰り出された状態で仕掛けの水深LNが10m以上の場合に、5秒以上のモータオンオフボタンPBの入力が受け付られたとき、図9のステップS46で動作モードを糸送りモードに設定するので、10m以上でモータオンオフボタンPBを5秒以上操作するだけで自動的に糸送りモードに設定できる。このため、糸送りモードの設定するためにクラッチオフを検出する必要がなく、糸送りモードをより簡素な構成で実現できるとともに、迅速に糸送りモードを実行することができる。
【0062】
また、糸送りモードが設定された状態でスプール12が糸繰り出し方向に回転して釣り糸が繰り出され、仕掛けの水深LNが10m以上になると、自動的に糸送りモード処理が実行されるので、モータオンオフボタンPBを操作するのを忘れても仕掛けの水深LNが10m以上になると自動的にモータ13が回転して釣り糸が速く繰り出される。このため、糸送りモードの設定するためにクラッチオフを検出したり駆動指令を入力する必要がなく、糸送りモードをさらに簡素な構成で実現できる。
【0063】
さらに、モータオンオフボタンPBの5秒未満の入力等により、図9のステップS49で、モータ13が、たとえばデューティ制御により一方向に回転駆動されるので、モータオンオフボタンPBの操作による巻取を確実に行える。
【0064】
〔他の実施形態〕
(a)図13に示すように、各モード処理において、スプールの回転速度SPにより糸送りモードに設定するか否かを決定してもよい。ここでは、ステップS87で糸送りモードに設定されていることを検出すると、ステップS87aでスプール12の回転速度SPをスプール回転センサ81の検出出力により検出する。そして、ステップS87bで回転速度SPが所定の速度SS未満か否かを判断し、所定速度SS以上の場合にだけステップS88に移行して糸送り処理を実行する。このようにすることで、サミング等によりスプールの糸繰り出し方向の回転速度が低下している場合には、糸送り処理が実行されないので、モータに余分な負荷をかけずに糸送り処理が確実に実行される。
【0065】
(b)図14に示すように、糸送り処理において、電流を検出してモータ13の回転を停止させる構成に代えて、回転速度SPが所定速度未満になると、糸送りモードを維持してモータ13を停止してもよい。ここでは、ステップS55でスプール12の回転速度SPをスプール回転センサ81の検出出力により検出する。そして、ステップS56で回転速度SPが所定の速度SS未満か否かを判断し、所定速度SS未満の場合にだけステップS57に移行してモータ13の回転を停止する。この場合には、糸送り処理でクラッチオンによりスプールの回転速度が低下するとモータ13の回転が停止する。
【0066】
(c)図15に示すように、糸送りモード処理において、電流を検出してモータ13の回転を停止させる構成に代えて、スプール12による糸巻き上げ量WUが所定量WS未満になると、糸送りモードを維持してモータ13を停止してもよい。ここでは、ステップS55でスプール12の糸巻き上げ量WUを水深LNにより検出する。そして、ステップS56で糸巻き上げ量WUが所定量WS未満か否かを判断し、所定量WS未満の場合にだけステップS57に移行してモータ13の回転を停止する。この場合には、糸送り処理でクラッチオンにより所定量未満の巻き上げがなされると、モータ13の回転が停止する。
【0067】
(d)前記実施形態では、糸送りモードの設定をモータオンオフボタンPBにより設定したが、専用のモード切換ボタンを設け、そのボタンの操作により動作モードを切り換えてもよい。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、一般のモータ過負荷防止制御に使用されている電流検出手段により実質的にクラッチオンを検出しているので、クラッチのオンを検出するための専用の検知手段を設ける必要がなく、糸送りモードを簡素な構成で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態が採用された電動リールの平面図。
【図2】 その操作パネルの平面拡大図。
【図3】 電動リールの断面部分図。
【図4】 電動リールの断面側面部分図
【図5】 電動リールの断面側面部分図。
【図6】 電動リールの制御ブロック図。
【図7】 メインルーチンの処理内容を示すフローチャート。
【図8】 キー入力処理の内容を示すフローチャート。
【図9】PBON処理の内容を示すフローチャート。
【図10】 糸送り処理の内容を示すフローチャート。
【図11】 糸巻取処理の内容を示すフローチャート。
【図12】各モード処理の内容を示すフローチャート。
【図13】 他の実施形態の図12に相当するフローチャート。
【図14】 他の実施形態の図10に相当するフローチャート。
【図15】他の実施形態の図10に相当するフローチャート。
【符号の説明】
12 スプール
13 モータ
24 クラッチ機構
80 制御部
81 スプール回転センサ
83 電流検出部

Claims (7)

  1. モータの回転が遊星減速機構とクラッチ機構とを介してスプールに伝達される電動リールにおいて、前記クラッチ機構を接続した状態で前記モータを一方向に回転させて前記スプールを糸巻取方向に回転させるための糸巻取モードと、前記クラッチ機構を離脱した状態で前記モータを前記一方向に回転させて前記スプールを糸繰り出し方向に回転させるための糸送りモードとの2つの動作モードで前記モータを制御する装置であって、
    前記モータへの駆動指令を受け付ける駆動指令受付手段と、
    前記駆動指令受付手段が駆動指令を受け付けたとき、動作モードに応じて前記モータを駆動する第1モータ駆動手段と、
    前記モータに供給された電流値を検出する電流値検出手段を有し、検出された電流値により過負荷を防止する過負荷防止手段と、
    動作モードを前記糸送りモードに設定する糸送りモード設定手段と、
    前記糸送りモードが設定された状態で前記電流値検出手段が所定電流値以上の電流値を検出したとき、動作モードを前記糸送りモードに維持して前記モータの回転を停止するモータ停止手段と、
    を備えた電動リールのモータ制御装置。
  2. 前記所定電流量は、前記クラッチ機構がオンしたときの負荷により上昇する程度の電流値を判断するための値である、請求項1に記載の電動リールのモータ制御装置。
  3. モータの回転が遊星減速機構とクラッチ機構とを介してスプールに伝達される電動リールにおいて、前記クラッチ機構を接続した状態で前記モータを一方向に回転させて前記スプールを糸巻取方向に回転させるための糸巻取モードと、前記クラッチ機構を離脱した状態で前記モータを前記一方向に回転させて前記スプールを糸繰り出し方向に回転させるための糸送りモードとの2つの動作モードで前記モータを制御する装置であって、
    前記モータへの駆動指令を受け付ける駆動指令受付手段と、
    前記駆動指令受付手段が駆動指令を受け付けたとき、動作モードに応じて前記モータを駆動する第1モータ駆動手段と、
    前記スプールの糸巻取方向及び糸繰り出し方向の回転速度を検出する回転状態検出手段と、
    前記回転状態検出手段で検出された前記スプールの糸巻取方向の回転速度に応じて前記糸巻取モード時に前記モータを速度制御する速度制御手段と、
    動作モードを前記糸送りモードに設定する糸送りモード設定手段と、
    前記糸送りモードが設定された状態で前記回転状態検出手段が所定速度未満の糸繰り出し方向の回転速度を検出したとき、動作モードを前記糸送りモードに維持して前記モータの回転を停止するモータ停止手段と、
    を備えた電動リールのモータ制御装置
  4. モータの回転が遊星減速機構とクラッチ機構とを介してスプールに伝達される電動リールにおいて、前記クラッチ機構を接続した状態で前記モータを一方向に回転させて前記スプールを糸巻取方向に回転させるための糸巻取モードと、前記クラッチ機構を離脱した状態で前記モータを前記一方向に回転させて前記スプールを糸繰り出し方向に回転させるための糸送りモードとの2つの動作モードで前記モータを制御する装置であって、
    前記モータへの駆動指令を受け付ける駆動指令受付手段と、
    前記駆動指令受付手段が駆動指令を受け付けたとき、動作モードに応じて前記モータを駆動する第1モータ駆動手段と、
    巻取方向に回転する前記スプールによる釣り糸巻き上げ量を検出する回転状態検出手段と、
    動作モードを前記糸送りモードに設定する糸送りモード設定手段と、
    前記糸送りモードが設定された状態で前記回転状態検出手段により検出された糸巻き上げ量が所定量未満になると、動作モードを前記糸送りモードに維持して前記モータの回転を停止するモータ停止手段と、
    を備えた電動リールのモータ制御装置。
  5. 前記スプールの回転方向を検出するスプール回転方向検出手段と、
    前記釣り糸の先端部の水深を計測する水深計測手段と、
    前記糸送りモード設定手段が動作モードを糸送りモードに設定したとき、前記糸送りモードに応じて前記モータを駆動する第2モータ駆動手段とをさらに備え、
    前記糸送りモード設定手段は、前記スプールが糸繰り出し方向に回転している状態で前記釣り糸先端部の水深計測値が所定水深以上の場合に前記駆動指令が受け付けられたとき、動作モードを前記糸送りモードに設定する、請求項1から4のいずれかに記載の電動リールのモータ制御装置。
  6. 前記糸送りモードが設定された状態で前記スプールが糸繰り出し方向に回転し、かつ水深計測値が所定水深以上になるまで前記駆動指令が受け付けられなかったとき、前記モータを糸送りモードに応じて駆動する第3モータ駆動手段をさらに備える、請求項5に記載の電動リールのモータ制御装置。
  7. 動作モードが前記糸送りモードに設定された状態で前記駆動指令が受け付けられたとき、動作モードを前記糸巻取モードに設定する糸巻取モード設定手段と、
    動作モードを前記糸巻取モードに設定したとき、前記モータを前記糸巻取モードに応じて駆動する第4モータ駆動手段とをさらに備える、請求項1から6のいずれかに記載の電動リールのモータ制御装置。
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